自動注射器
シリンジ(14)を受容するためのハウジング(10)と、プランジャー(42)で中間部材(34)を介して協働して駆動する第一ばね及び第二ばね(30、32)を有する駆動機構とを具備する自動注射器。プランジャーは、トリガーによって拘束ポジションに固定される。トリガーの解放によって、第一ばねは、シリンジを拘束ポイントまで前進させ、次いで第二ばねが、シリンジ内部に伸張し、薬剤を吐出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな形状で目立たずに持ち運び及び使用が可能であり、更に製造、組立及び使用が容易であり、結果、製造コスト、組立コストの節約となり、且つ、環境影響の低減ともなる自動注射器の需要がある。
【0003】
従って、一つの態様において本発明は、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、その中間駆動部材が、その第二圧縮ばねの後端を受容するための内部の円筒状空間を有し、それによって、第二ばねを伸張させる駆動機構の次の解放は、少なくとも円筒状空間及びシリンジ本体の内部穴のいずれか一方によって、少なくともその長さの大部分に亘り周設されている、自動注射器を提供する。
【0004】
この機構において、比較的径の小さな長いばねの第二圧縮ばね手段に設けられた外部的支持は、座屈するリスク(risk of snaking)なく、又は、ばねの長さに沿った内部支持の必要もなく使用することができる。好適実施形態にかかる比較的径の小さなばね手段を使用する機能と同様に、ばねが外部で伸張するのではなく、シリンジ本体の内部に受容するように設計することができ、伸張幅よりも装置の全長を短くすることができるこの手段は、シリンジの外側で実施されるため、コンパクトな設計を可能とする。当然のことながら、ピストンが適切に形成されていれば第二ばねは、ピストン上で、直接駆動することができる。
【0005】
好ましくは、中間部材は、後端が閉じた略円筒状の本体を具備する。この態様において、中間部材は、第二ばねの少なくとも一部を外部拘束するための内部の円筒状の壁面及び第一ばねの少なくとも一部を内部拘束するための外部の円筒状の表面を設ける。
【0006】
駆動機構が解放されると、中間部材がシリンジの後端近傍に押し出されて当接し、それによって実質的に完全に第二ばねを密閉し、外部拘束するように自動注射器が構成されると好都合である。好ましくは、駆動機構は、仕掛けポジションからの中間部材の移動を防ぐため、解放可能に構成されたトリガー機構を有する。トリガー機構は、前記中間部材の当接面と係合可能なラッチ部材を有するのが好ましい。仕掛けポジションにおいて、当接面は、中間部材の先端及びシリンジの後端に配置されるのが好ましい。好ましくは、トリガー機構は、一方又は両方の駆動ばねによってその解放ポジションから付勢され得るトリガー要素によって解放される。付勢又は制御された抵抗を付与するため、発射ボタンに小さなばねを設け、惰性動作又はガタつきを防ぐことが自動注射器において慣用されている。付勢を付与するための駆動ばねを使用することにより、この目的のための余計なばねは不要となる。これは、ばねが扱われ且つばねのもつれが問題となる、自動的に組立てられた装置において重要な利点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の多くの自動注射器は、自動注射器のシリンジ前方移動及びシリンジプランジャー移動を順次駆動するために、機械シーケンス式又はラッチ式のシステム等を必要とする。こうした機構は、自動注射器を複雑にし、その長さを長くしてしまう。従って、我々は、こうした機構を必要とせず、駆動機構の解放直後にプランジャー及び中間部材が相対運動のため自由となる、コンパクトな自動注射器を設計した。前述された慣例的な機構において、中間部材及びプランジャーは、それらが掛止される前方ポジションに到達するまで、移動に抗して積極的に拘束される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、別の態様において、本発明は、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、駆動機構が解放されるとすぐに中間駆動部材及びプランジャーが相対運動のため自由になる自動注射器を提供する。
【0009】
更に別の態様において、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、ピストンと、シリンジ本体との間の静摩擦を越えるために必要な力より小さく、シリンジが注射ポジションにあるときに第一ばねの残留力によってひとたび静摩擦を越えたピストンの、移動継続に必要な力よりは大きいように第二ばねが選択された自動注射器が提供されている。
【0010】
ここまで本発明を説明してきたが、本発明は、明細書又は図面に開示した任意の発明的組合せの構成に拡張される。
【0011】
本発明は、様々な方法で実施することができるが、ここで、例示にすぎないが、そのいくつかの実施形態を添付図面について説明しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】使用前仕掛けポジションにある、本発明にかかる自動注射器の、第一実施形態の断面図である。
【図2】トリガーボタンが押されてシリンジが前方に移動し、薬剤を投与できる状態の、図1の実施形態の断面図である。
【図3】薬剤投与後の図1及び図2の実施形態の断面図である。
【図4】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図5】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図6】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図7】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図8】本発明にかかる自動注射器の第三実施形態についての分解図である。
【図9】図8の自動注射器の組立後且つ使用前の垂直断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、それぞれ、所定の場所にキャップを有する自動注射器の垂直断面図、及び、キャップを取り除いた自動注射器の水平断面図である。
【図11】(a)及び(b)はそれぞれ、発射ボタンが部分的に押され、プランジャーが解放される直前の自動注射器の、垂直断面図及び水平断面図である。
【図12】(a)、(b)及び(c)は、それぞれピストンの始動直後及び注射完了段階の、最前方ポジションにあるシリンジを備える、自動注射器を示す垂直断面図である。
【図13】磁気に誘導されたラッチによって延出され、外方で拘束された覆設部(shroud)を備える、使用後の装置を示す。
【図14】自動注射器についての第四実施形態の垂直断面図である。
【図15】第四実施形態の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に図1について説明すると、自動注射器は、穴部においてシリンジ12がスライド可能に配置された、円筒形状の外部のハウジング10を具備する。シリンジ12は、慣例的な形状であり、先端から突出する針18を備え、後端でフランジ16を有するシリンジ本体14を具備する。ピストン20は、薬剤22の投与のため、そのシリンジ本体内にスライド可能に受容されている。シリンジ12は、圧縮ばね24によって与えられる付勢に抗して、図1に示す後方ポジションから、ハウジングの内部肩26及び圧縮ばね24によって画成され針18がハウジングから突出する前方ポジションへと、ハウジング内でスライド可能である。シリンジは、本体のリブ28によってハウジングの中央に配置されている。
【0014】
ハウジング10の後端に、自動注射器のための駆動機構が設けられている。その駆動機構は、プランジャー部材42において、中間部材34を介し協働して駆動する第一圧縮ばね及び第二圧縮ばね(30、32)を具備する。その後端において、第一ばね30は、ハウジングに拘束されたトリガーボタン38の、内部の穴部に固定されている。トリガーボタンは、以下に説明するように装置を発射させるため、図1に示す後方ポジションから、図2及び図3に示す前方ポジションへ移動させることができる。第一ばね30の前方端は、中間部材34の閉じた後端に周設され、その外側でカラー37に当接する。第二ばね32の後端は、中間部材34の内部の閉じた後端と係合し、それによって外部拘束される。第二ばねの先端は、図1及び図2に示すように、第二ばね内に係挿された後部柄44を有するプランジャー42の肩40と当接する。
【0015】
プランジャー42は、ハウジング10で枢支された一組のラッチ指48によって掛止された、円錐台形のラッチ面46を有する。ラッチ指48は、トリガーボタン38が図1に示すように後部ポジションにあるとき、枢動に抗して拘束されるが、トリガーボタンが前方ポジションに押されたとき、外方に広がり、プランジャー42を解放する。トリガーボタンは、ボタンが前方に押されたときにラッチ指48の後端が内部で枢動できる開口部を有する。
【0016】
使用時に、図1に示すポジションから肌と接する先端を備える注射部へ自動注射器が押し出される。任意の安全装置を外した後、第一ばね30による付勢に抗してトリガーボタン38が押されると、ラッチ指が枢動し、プランジャー42及び中間部材34を解放して前方移動させる。第一ばね30は、第二ばね32より強いため、まず、中間部材34、プランジャー42、ピストン20及びシリンジ14は、第一ばね30の影響の下、一体となって移動し、シリンジをその前方ポジションへと駆動し、針を延出させる。この工程中、ハウジングの中をシリンジが前方に移動し、針が肌に穿通するときのシリンジの前方移動に対する反応又は抵抗は、比較的低く、シリンジの先へピストンを進めるために始動力(break out force)以下の力が必要である。前方ポジションに到達すると、シリンジは拘束され、第一ばねの継続する拡張は、ここで固定されたシリンジに対して中間部材のカラー37がシリンジの後端に抗して当接するまで中間部材34を押す(図2)。このとき、まず中間部材34は、第二ばねが完全に圧縮されるまで更にわずかにその第二ばね32を圧縮しながらプランジャー42に向かって近づき、そのとき、中間部材34、プランジャー42及びピストン20が、シリンジに対して前方に移動するため、シリンジの拘束に続き、ピストン及びシリンジ本体間の静摩擦又は始動力を越える、より強力な第一ばね30の推力が利用される。その後、第二ばね32は、中間部材がシリンジ後部に当接している間、薬剤を吐出するためにピストンを前方へ押し出す。操作のこの後工程の間、第二ばねは、シリンジ及び中間部材間で画成される内部空間において完全に外部から密封されている。その上、ピストン及びシリンジ間の静摩擦を越えるための第一ばね30の力の利用は、第二ばねが、滑る力(glide force)を提供し薬剤を加圧して針から吐出させるためにのみ必要な、より弱い力のものとすることができることを意味する。
【0017】
次に、図4から図7に示す第二実施形態について説明すると、これは多くの点で第一実施形態と類似しており、図示するように類似部品が使用されている。主な違いは中間部材34の設計にある。第二実施形態において中間部材は、カラー37の前方に延出し、シリンジの後端に係挿し得る円筒状シェル区分39を更に有する。この実施形態において、円筒状シェル区分は、シリンジの本体で伸張するまでの第二ばね32の完全に密閉されたサポート部を提供する。こうしたシェルがなければ、ばねの前方部は、最初の工程で露出されてしまうが、一方でこの場合、第二ばねの直径は、略シリンジの内径まで大きくすることができ、これは有利となり得る。
【0018】
ここで図8から図11について説明すると、自動注射器の第三実施形態は、穴部で円筒容器114と、前方端から延出する針116と、後端でフランジ118とを備える、公知の形状のシリンジ112が配置された円筒形状の外部のハウジング110を具備する。薬剤はシリンジ内に満たされ、円筒容器内のピストン120によって針を通して輸送し得る。シリンジは、径方向に対向するばね126と両側で一体として形成された前方空中の円筒部124と、シリンジフランジの前方面と係合するように形成されたカラー128とを具備する成形されたプラスチック製の覆設部又は輸送部122の組立体に支持され、周設されている。注射前に針シールドがシリンジら引き出されたとき、カラー128ひいてはシリンジ112が、以下に説明する中間部材142から最短距離以上離れないことを確実とするため、中間部材と係合する顎付き歯132を備えた二つの径方向に対向する間隙指130が、カラーから後方に延出する。顎付き歯132は、それぞれ、ハウジングの後部部品の内部面でそれぞれ径方向に対向する溝134を通る。使用前ポジションにおいて、覆設部124は、ハウジングの前方端に伸縮自在に受容され且つそこに当接する。
【0019】
ハウジングの後部において、ハウジングの後方にある横断する内部壁138の前面と、シルクハット形状の(top hat-shaped)中間部材142の前方のフランジ140との間で駆動する第一外部ばね136を具備した駆動機構を有する。内部にある、第二のばね144は、中間部材142の円筒部内に受容され、その後端壁の内部面と、プランジャー148の前方部の周縁リブ146との間で駆動する。後端において、プランジャーは、ハウジングの横断する内部壁138の開口部の縁部周りで係合する弾性の掛合アーム150を有する(図8、図11(b)参照)。ハウジング後端から後方へ突出しているのは、例えば図11(a)に示す解放指154が、掛合アーム150の後方に配置されたポジションから、指154が掛合アームをカム駆動して壁138による保持力を解放し、それによってばね136、144がプランジャー148を前方駆動させる前方ポジション(図11(b))へと、付勢力に抗して可動な軸線方向にスライド可能に拘束されたトリガーボタン152である。プランジャーは、ピストン120を押し出して薬剤を輸送するために、シリンジ円筒容器114の内部穴部に挿入され且つ移動できるように形作られ、サイズ指定されている。プランジャー前方端に、小さくて強力な磁石156が配置された円筒状の凹部がある。
【0020】
トリガーボタン152は、ハウジングの後部の内側において、それぞれの当接部162に載設されたカム面160を備える、前方に延出した二つの不可欠な(integral)ばね付アーム158によって後方付勢している。しかしながら、まず、トリガーボタンの前方移動は、キャップ166の後端から後方延出する、二つの後方延出拘束アーム164によって防がれる。キャップは、ハウジングの前方端全体を包接し、爪機構170を備える内側にへこんだ円筒部168を有する。爪機構170は、製造時に針の先端に固定された針シールド172の後端に亘り滑動する。こうしてキャップ166は、シールド取り外し器として機能するトリガーボタン152のための、安全装置として駆動する機能を果たす。
【0021】
ハウジングの前方端の内部で固定されているのは、プレス鋼又は他の強磁性材料で形成され、固定部(anchorage)から前方に延出し、通常覆設部124と、ハウジング壁の内部との間の環状空間に着座する2つのラッチアーム176を有するラッチ174である。
【0022】
操作時、使用者は、キャップ66を前方に引き外して針シールド122をシリンジから取り除き、トリガーボタン152を操作可能とすることによって装置を使用できる状態とする。使用者は、それからインジェクション装置を注射部にあて、トリガーボタン152を押す。これによって、図12(b)に詳細を示すように、プランジャー148の掛合アーム150が解放される。ひとたびプランジャーが解放されると、第一ばねは、シリンジ120を延出させるために伸張し、よって針が肌を穿通する。この行程の間(図13(a))、プランジャー148がシリンジ内のピストン210に対して支承しつつも、シリンジに対しては不動のままで第二ばね144が実質的に完全に圧縮された状態を維持するため、第一ばねの推力が、中間部材142、圧縮された第二ばね及びピストンを介してシリンジに伝達される。
【0023】
その延出部において、シリンジは、底部に達した覆設部124が肌面との接触によって移動を止められた状態で、圧縮ばね部126に拘束される。シリンジが拘束されたとき、第一ばね136は伸張し続け、中間部材のフランジ140を駆動してシリンジフランジ118と係合し、それによって、ピストンの初動に必要な力に貢献し、シリンジを押し下げる(図12(b))。このポジションから、第二ばね144は、伸張してピストンを駆動してシリンジの円筒容器内で押し下げ、薬剤を輸送する。注目すべきことに、この移動の最終段階において、プランジャー内の磁石156は、図12(c)に示すように、ラッチ174のラッチアーム176間に配置されている。薬剤が輸送されると、使用者は肌から装置を抜き取り、よって、覆設部124は、圧縮ばね部126の影響の下、自由に延出する。覆設部は、ばね126によってラッチアーム176の先端を越えて前方へ駆動される。ひとたびこれが生じると、ラッチアームは、磁石120の影響の下、自由に、図13に示す掛止ポジションへと内方に移動する。従って覆設部124は拘束され、それによって装置は安全な状態とされる。
【0024】
図示していないが、他の実施形態において、プランジャーが、そのストロークの最終段階に近づくときの磁力強化効果を付与するため、シリンジ周り又はシリンジの前のハウジングの先端において、更に、磁石又は強磁性材が配置されてもよい。
【0025】
ここで図14及び図15について説明すると、第四実施形態は、第三実施形態と同一の構成部品を多く有し、その構成部品は、類似した方法で駆動する。これらの構成部品には、同じ参照番号が付与されているため、ここでは詳細についての再度の説明は割愛する。この第二実施形態は、最初の穿通移動工程の間、プランジャーが、シリンジフランジ118の背面と接触するように配置された強磁性材からなるスラストカラー180と、磁気結合されるように設計された、プランジャー148及びシリンジ間の磁気結合の実施形態を含む。こうしてプランジャー148及びシリンジ118は、まず相対運動に抗して保持され、よって、この工程中、その最前方ポジションに到達し、針が注射部に挿入されることによってシリンジが拘束されるまで、一体となって移動する。シリンジが拘束されると、プランジャー上で駆動するばね力が磁性結合力及び結合降伏(coupling yield)に勝るため、プランジャーが解放され、シリンジに対して前方に移動し、ピストンに当接させてそれを前方に押し出し、薬剤を吐出する。前述したように、プランジャーが、強磁性のラッチアーム176と共に移動するとき、それらは内方に引きつけられる。これは、ラッチアームの前方端に2つの磁石182を使用することによる実施形態において強められる。これらの磁石は、ストロークの最前方端に向かうプランジャーに対して磁気的影響による前方推進力を付与するため、プランジャーの磁石156に向かって設置され且つ牽引力が働くように配置される。注射が完了し、装置が注射部から取り除かれると、覆設部124は、前方に延出し、ばね部126が伸張し、覆設部の後方縁が磁石を通過させたとき、ラッチアームが内方に移動し、覆設部の後退を防ぎ、それによって覆設部を拘束する。磁石182は、覆設部の後方縁が磁石を通過させるときにラッチアームも共に内方に移動させるようにハウジング壁の貫通孔にスライド可能に受容されてもよく、こうして覆設部124の拘束の視覚的確認性及び触知的確認性を提供する。
【0026】
磁石ラッチを包含する両方の実施形態において、ラッチは、ラッチ又はラッチと関連する構成部品が、ラッチ機構として可聴なクリック音を出し、それによって注射が完了したことを確認することができるように構成されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は自動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな形状で目立たずに持ち運び及び使用が可能であり、更に製造、組立及び使用が容易であり、結果、製造コスト、組立コストの節約となり、且つ、環境影響の低減ともなる自動注射器の需要がある。
【0003】
従って、一つの態様において本発明は、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、その中間駆動部材が、その第二圧縮ばねの後端を受容するための内部の円筒状空間を有し、それによって、第二ばねを伸張させる駆動機構の次の解放は、少なくとも円筒状空間及びシリンジ本体の内部穴のいずれか一方によって、少なくともその長さの大部分に亘り周設されている、自動注射器を提供する。
【0004】
この機構において、比較的径の小さな長いばねの第二圧縮ばね手段に設けられた外部的支持は、座屈するリスク(risk of snaking)なく、又は、ばねの長さに沿った内部支持の必要もなく使用することができる。好適実施形態にかかる比較的径の小さなばね手段を使用する機能と同様に、ばねが外部で伸張するのではなく、シリンジ本体の内部に受容するように設計することができ、伸張幅よりも装置の全長を短くすることができるこの手段は、シリンジの外側で実施されるため、コンパクトな設計を可能とする。当然のことながら、ピストンが適切に形成されていれば第二ばねは、ピストン上で、直接駆動することができる。
【0005】
好ましくは、中間部材は、後端が閉じた略円筒状の本体を具備する。この態様において、中間部材は、第二ばねの少なくとも一部を外部拘束するための内部の円筒状の壁面及び第一ばねの少なくとも一部を内部拘束するための外部の円筒状の表面を設ける。
【0006】
駆動機構が解放されると、中間部材がシリンジの後端近傍に押し出されて当接し、それによって実質的に完全に第二ばねを密閉し、外部拘束するように自動注射器が構成されると好都合である。好ましくは、駆動機構は、仕掛けポジションからの中間部材の移動を防ぐため、解放可能に構成されたトリガー機構を有する。トリガー機構は、前記中間部材の当接面と係合可能なラッチ部材を有するのが好ましい。仕掛けポジションにおいて、当接面は、中間部材の先端及びシリンジの後端に配置されるのが好ましい。好ましくは、トリガー機構は、一方又は両方の駆動ばねによってその解放ポジションから付勢され得るトリガー要素によって解放される。付勢又は制御された抵抗を付与するため、発射ボタンに小さなばねを設け、惰性動作又はガタつきを防ぐことが自動注射器において慣用されている。付勢を付与するための駆動ばねを使用することにより、この目的のための余計なばねは不要となる。これは、ばねが扱われ且つばねのもつれが問題となる、自動的に組立てられた装置において重要な利点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の多くの自動注射器は、自動注射器のシリンジ前方移動及びシリンジプランジャー移動を順次駆動するために、機械シーケンス式又はラッチ式のシステム等を必要とする。こうした機構は、自動注射器を複雑にし、その長さを長くしてしまう。従って、我々は、こうした機構を必要とせず、駆動機構の解放直後にプランジャー及び中間部材が相対運動のため自由となる、コンパクトな自動注射器を設計した。前述された慣例的な機構において、中間部材及びプランジャーは、それらが掛止される前方ポジションに到達するまで、移動に抗して積極的に拘束される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、別の態様において、本発明は、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、駆動機構が解放されるとすぐに中間駆動部材及びプランジャーが相対運動のため自由になる自動注射器を提供する。
【0009】
更に別の態様において、使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、そのシリンジは、略円筒形状のシリンジ本体と、そのシリンジ本体の先端の針と、薬剤を輸送するためにそのシリンジ本体にスライド可能に設置されたピストンとを具備し、自動注射器は、使用時に、後退ポジションと、針がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のためのシリンジを受容するためのそのハウジングと、そのシリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構とを具備し、その駆動機構が、使用時にピストンを駆動するように構成されたプランジャーと、中間駆動部材と、その中間駆動部材を前方に押し出すために、その中間駆動部材と、ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばねと、プランジャーを前方に押し出すために、中間駆動部材と、そのプランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばねとを有し、実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、ピストンと、シリンジ本体との間の静摩擦を越えるために必要な力より小さく、シリンジが注射ポジションにあるときに第一ばねの残留力によってひとたび静摩擦を越えたピストンの、移動継続に必要な力よりは大きいように第二ばねが選択された自動注射器が提供されている。
【0010】
ここまで本発明を説明してきたが、本発明は、明細書又は図面に開示した任意の発明的組合せの構成に拡張される。
【0011】
本発明は、様々な方法で実施することができるが、ここで、例示にすぎないが、そのいくつかの実施形態を添付図面について説明しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】使用前仕掛けポジションにある、本発明にかかる自動注射器の、第一実施形態の断面図である。
【図2】トリガーボタンが押されてシリンジが前方に移動し、薬剤を投与できる状態の、図1の実施形態の断面図である。
【図3】薬剤投与後の図1及び図2の実施形態の断面図である。
【図4】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図5】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図6】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図7】自動注射器の第二実施形態の断面図である。
【図8】本発明にかかる自動注射器の第三実施形態についての分解図である。
【図9】図8の自動注射器の組立後且つ使用前の垂直断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、それぞれ、所定の場所にキャップを有する自動注射器の垂直断面図、及び、キャップを取り除いた自動注射器の水平断面図である。
【図11】(a)及び(b)はそれぞれ、発射ボタンが部分的に押され、プランジャーが解放される直前の自動注射器の、垂直断面図及び水平断面図である。
【図12】(a)、(b)及び(c)は、それぞれピストンの始動直後及び注射完了段階の、最前方ポジションにあるシリンジを備える、自動注射器を示す垂直断面図である。
【図13】磁気に誘導されたラッチによって延出され、外方で拘束された覆設部(shroud)を備える、使用後の装置を示す。
【図14】自動注射器についての第四実施形態の垂直断面図である。
【図15】第四実施形態の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に図1について説明すると、自動注射器は、穴部においてシリンジ12がスライド可能に配置された、円筒形状の外部のハウジング10を具備する。シリンジ12は、慣例的な形状であり、先端から突出する針18を備え、後端でフランジ16を有するシリンジ本体14を具備する。ピストン20は、薬剤22の投与のため、そのシリンジ本体内にスライド可能に受容されている。シリンジ12は、圧縮ばね24によって与えられる付勢に抗して、図1に示す後方ポジションから、ハウジングの内部肩26及び圧縮ばね24によって画成され針18がハウジングから突出する前方ポジションへと、ハウジング内でスライド可能である。シリンジは、本体のリブ28によってハウジングの中央に配置されている。
【0014】
ハウジング10の後端に、自動注射器のための駆動機構が設けられている。その駆動機構は、プランジャー部材42において、中間部材34を介し協働して駆動する第一圧縮ばね及び第二圧縮ばね(30、32)を具備する。その後端において、第一ばね30は、ハウジングに拘束されたトリガーボタン38の、内部の穴部に固定されている。トリガーボタンは、以下に説明するように装置を発射させるため、図1に示す後方ポジションから、図2及び図3に示す前方ポジションへ移動させることができる。第一ばね30の前方端は、中間部材34の閉じた後端に周設され、その外側でカラー37に当接する。第二ばね32の後端は、中間部材34の内部の閉じた後端と係合し、それによって外部拘束される。第二ばねの先端は、図1及び図2に示すように、第二ばね内に係挿された後部柄44を有するプランジャー42の肩40と当接する。
【0015】
プランジャー42は、ハウジング10で枢支された一組のラッチ指48によって掛止された、円錐台形のラッチ面46を有する。ラッチ指48は、トリガーボタン38が図1に示すように後部ポジションにあるとき、枢動に抗して拘束されるが、トリガーボタンが前方ポジションに押されたとき、外方に広がり、プランジャー42を解放する。トリガーボタンは、ボタンが前方に押されたときにラッチ指48の後端が内部で枢動できる開口部を有する。
【0016】
使用時に、図1に示すポジションから肌と接する先端を備える注射部へ自動注射器が押し出される。任意の安全装置を外した後、第一ばね30による付勢に抗してトリガーボタン38が押されると、ラッチ指が枢動し、プランジャー42及び中間部材34を解放して前方移動させる。第一ばね30は、第二ばね32より強いため、まず、中間部材34、プランジャー42、ピストン20及びシリンジ14は、第一ばね30の影響の下、一体となって移動し、シリンジをその前方ポジションへと駆動し、針を延出させる。この工程中、ハウジングの中をシリンジが前方に移動し、針が肌に穿通するときのシリンジの前方移動に対する反応又は抵抗は、比較的低く、シリンジの先へピストンを進めるために始動力(break out force)以下の力が必要である。前方ポジションに到達すると、シリンジは拘束され、第一ばねの継続する拡張は、ここで固定されたシリンジに対して中間部材のカラー37がシリンジの後端に抗して当接するまで中間部材34を押す(図2)。このとき、まず中間部材34は、第二ばねが完全に圧縮されるまで更にわずかにその第二ばね32を圧縮しながらプランジャー42に向かって近づき、そのとき、中間部材34、プランジャー42及びピストン20が、シリンジに対して前方に移動するため、シリンジの拘束に続き、ピストン及びシリンジ本体間の静摩擦又は始動力を越える、より強力な第一ばね30の推力が利用される。その後、第二ばね32は、中間部材がシリンジ後部に当接している間、薬剤を吐出するためにピストンを前方へ押し出す。操作のこの後工程の間、第二ばねは、シリンジ及び中間部材間で画成される内部空間において完全に外部から密封されている。その上、ピストン及びシリンジ間の静摩擦を越えるための第一ばね30の力の利用は、第二ばねが、滑る力(glide force)を提供し薬剤を加圧して針から吐出させるためにのみ必要な、より弱い力のものとすることができることを意味する。
【0017】
次に、図4から図7に示す第二実施形態について説明すると、これは多くの点で第一実施形態と類似しており、図示するように類似部品が使用されている。主な違いは中間部材34の設計にある。第二実施形態において中間部材は、カラー37の前方に延出し、シリンジの後端に係挿し得る円筒状シェル区分39を更に有する。この実施形態において、円筒状シェル区分は、シリンジの本体で伸張するまでの第二ばね32の完全に密閉されたサポート部を提供する。こうしたシェルがなければ、ばねの前方部は、最初の工程で露出されてしまうが、一方でこの場合、第二ばねの直径は、略シリンジの内径まで大きくすることができ、これは有利となり得る。
【0018】
ここで図8から図11について説明すると、自動注射器の第三実施形態は、穴部で円筒容器114と、前方端から延出する針116と、後端でフランジ118とを備える、公知の形状のシリンジ112が配置された円筒形状の外部のハウジング110を具備する。薬剤はシリンジ内に満たされ、円筒容器内のピストン120によって針を通して輸送し得る。シリンジは、径方向に対向するばね126と両側で一体として形成された前方空中の円筒部124と、シリンジフランジの前方面と係合するように形成されたカラー128とを具備する成形されたプラスチック製の覆設部又は輸送部122の組立体に支持され、周設されている。注射前に針シールドがシリンジら引き出されたとき、カラー128ひいてはシリンジ112が、以下に説明する中間部材142から最短距離以上離れないことを確実とするため、中間部材と係合する顎付き歯132を備えた二つの径方向に対向する間隙指130が、カラーから後方に延出する。顎付き歯132は、それぞれ、ハウジングの後部部品の内部面でそれぞれ径方向に対向する溝134を通る。使用前ポジションにおいて、覆設部124は、ハウジングの前方端に伸縮自在に受容され且つそこに当接する。
【0019】
ハウジングの後部において、ハウジングの後方にある横断する内部壁138の前面と、シルクハット形状の(top hat-shaped)中間部材142の前方のフランジ140との間で駆動する第一外部ばね136を具備した駆動機構を有する。内部にある、第二のばね144は、中間部材142の円筒部内に受容され、その後端壁の内部面と、プランジャー148の前方部の周縁リブ146との間で駆動する。後端において、プランジャーは、ハウジングの横断する内部壁138の開口部の縁部周りで係合する弾性の掛合アーム150を有する(図8、図11(b)参照)。ハウジング後端から後方へ突出しているのは、例えば図11(a)に示す解放指154が、掛合アーム150の後方に配置されたポジションから、指154が掛合アームをカム駆動して壁138による保持力を解放し、それによってばね136、144がプランジャー148を前方駆動させる前方ポジション(図11(b))へと、付勢力に抗して可動な軸線方向にスライド可能に拘束されたトリガーボタン152である。プランジャーは、ピストン120を押し出して薬剤を輸送するために、シリンジ円筒容器114の内部穴部に挿入され且つ移動できるように形作られ、サイズ指定されている。プランジャー前方端に、小さくて強力な磁石156が配置された円筒状の凹部がある。
【0020】
トリガーボタン152は、ハウジングの後部の内側において、それぞれの当接部162に載設されたカム面160を備える、前方に延出した二つの不可欠な(integral)ばね付アーム158によって後方付勢している。しかしながら、まず、トリガーボタンの前方移動は、キャップ166の後端から後方延出する、二つの後方延出拘束アーム164によって防がれる。キャップは、ハウジングの前方端全体を包接し、爪機構170を備える内側にへこんだ円筒部168を有する。爪機構170は、製造時に針の先端に固定された針シールド172の後端に亘り滑動する。こうしてキャップ166は、シールド取り外し器として機能するトリガーボタン152のための、安全装置として駆動する機能を果たす。
【0021】
ハウジングの前方端の内部で固定されているのは、プレス鋼又は他の強磁性材料で形成され、固定部(anchorage)から前方に延出し、通常覆設部124と、ハウジング壁の内部との間の環状空間に着座する2つのラッチアーム176を有するラッチ174である。
【0022】
操作時、使用者は、キャップ66を前方に引き外して針シールド122をシリンジから取り除き、トリガーボタン152を操作可能とすることによって装置を使用できる状態とする。使用者は、それからインジェクション装置を注射部にあて、トリガーボタン152を押す。これによって、図12(b)に詳細を示すように、プランジャー148の掛合アーム150が解放される。ひとたびプランジャーが解放されると、第一ばねは、シリンジ120を延出させるために伸張し、よって針が肌を穿通する。この行程の間(図13(a))、プランジャー148がシリンジ内のピストン210に対して支承しつつも、シリンジに対しては不動のままで第二ばね144が実質的に完全に圧縮された状態を維持するため、第一ばねの推力が、中間部材142、圧縮された第二ばね及びピストンを介してシリンジに伝達される。
【0023】
その延出部において、シリンジは、底部に達した覆設部124が肌面との接触によって移動を止められた状態で、圧縮ばね部126に拘束される。シリンジが拘束されたとき、第一ばね136は伸張し続け、中間部材のフランジ140を駆動してシリンジフランジ118と係合し、それによって、ピストンの初動に必要な力に貢献し、シリンジを押し下げる(図12(b))。このポジションから、第二ばね144は、伸張してピストンを駆動してシリンジの円筒容器内で押し下げ、薬剤を輸送する。注目すべきことに、この移動の最終段階において、プランジャー内の磁石156は、図12(c)に示すように、ラッチ174のラッチアーム176間に配置されている。薬剤が輸送されると、使用者は肌から装置を抜き取り、よって、覆設部124は、圧縮ばね部126の影響の下、自由に延出する。覆設部は、ばね126によってラッチアーム176の先端を越えて前方へ駆動される。ひとたびこれが生じると、ラッチアームは、磁石120の影響の下、自由に、図13に示す掛止ポジションへと内方に移動する。従って覆設部124は拘束され、それによって装置は安全な状態とされる。
【0024】
図示していないが、他の実施形態において、プランジャーが、そのストロークの最終段階に近づくときの磁力強化効果を付与するため、シリンジ周り又はシリンジの前のハウジングの先端において、更に、磁石又は強磁性材が配置されてもよい。
【0025】
ここで図14及び図15について説明すると、第四実施形態は、第三実施形態と同一の構成部品を多く有し、その構成部品は、類似した方法で駆動する。これらの構成部品には、同じ参照番号が付与されているため、ここでは詳細についての再度の説明は割愛する。この第二実施形態は、最初の穿通移動工程の間、プランジャーが、シリンジフランジ118の背面と接触するように配置された強磁性材からなるスラストカラー180と、磁気結合されるように設計された、プランジャー148及びシリンジ間の磁気結合の実施形態を含む。こうしてプランジャー148及びシリンジ118は、まず相対運動に抗して保持され、よって、この工程中、その最前方ポジションに到達し、針が注射部に挿入されることによってシリンジが拘束されるまで、一体となって移動する。シリンジが拘束されると、プランジャー上で駆動するばね力が磁性結合力及び結合降伏(coupling yield)に勝るため、プランジャーが解放され、シリンジに対して前方に移動し、ピストンに当接させてそれを前方に押し出し、薬剤を吐出する。前述したように、プランジャーが、強磁性のラッチアーム176と共に移動するとき、それらは内方に引きつけられる。これは、ラッチアームの前方端に2つの磁石182を使用することによる実施形態において強められる。これらの磁石は、ストロークの最前方端に向かうプランジャーに対して磁気的影響による前方推進力を付与するため、プランジャーの磁石156に向かって設置され且つ牽引力が働くように配置される。注射が完了し、装置が注射部から取り除かれると、覆設部124は、前方に延出し、ばね部126が伸張し、覆設部の後方縁が磁石を通過させたとき、ラッチアームが内方に移動し、覆設部の後退を防ぎ、それによって覆設部を拘束する。磁石182は、覆設部の後方縁が磁石を通過させるときにラッチアームも共に内方に移動させるようにハウジング壁の貫通孔にスライド可能に受容されてもよく、こうして覆設部124の拘束の視覚的確認性及び触知的確認性を提供する。
【0026】
磁石ラッチを包含する両方の実施形態において、ラッチは、ラッチ又はラッチと関連する構成部品が、ラッチ機構として可聴なクリック音を出し、それによって注射が完了したことを確認することができるように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材を前方に移動させるために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に移動させるために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記中間駆動部材(34)が、前記第二圧縮ばね(32)の後端を受容するための内部の円筒状空間を有し、それによって、前記第二ばねを伸張させる前記駆動機構の次の解放は、少なくとも円筒状空間及び前記シリンジ本体の内部穴のいずれか一方によって少なくともその長さの大部分に亘り周設されている自動注射器。
【請求項2】
前記中間駆動部材(34)が、前記第二ばねを外部拘束するための内部の円筒状の支持面を有する略円筒状の本体と、前記第一ばねを内部拘束するための外部の円筒状の面とを具備する請求項1に記載の自動注射器。
【請求項3】
前記第一ばね(30)が、前記第二ばね(32)よりも強く且つ少なくとも前記シリンジがその注射部に到達するまで前記第二ばね(32)が実質的に圧縮されたままであるように選択された請求項1に記載の自動注射器。
【請求項4】
実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、前記ピストン(20)と、前記シリンジ本体(14)との間の静摩擦を越えるために必要な力より小さく、前記シリンジが注射ポジションにあるときに前記第一ばねの残留力によってひとたび静摩擦を越えた前記ピストン(20)の、移動継続に必要な力よりは大きいように前記第二ばね(32)が選択された請求項2に記載の自動注射器。
【請求項5】
前記駆動機構が解放されると、前記中間部材(34)が、前記シリンジの後端近傍まで押し出され、又は、前記シリンジの後端に当接し、それによって実質的に完全に前記第二ばねを密閉し外部拘束する請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の自動注射器。
【請求項6】
仕掛けポジションからの前記中間部材の移動を防ぐために、解放可能に構成されたトリガー機構(38、48)を有する請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の自動注射器。
【請求項7】
前記プランジャー(42)の当接面(46)と係合可能であり且つトリガーボタン(38)によって解放可能な前記トリガー機構が、ラッチ部材(48)を有する請求項6に記載の自動注射器。
【請求項8】
前記第一ばねの後方端が、前記トリガーボタンにおいて、解放ポジションから外側へ前記トリガーボタンを付勢するために駆動する請求項7に記載の自動注射器。
【請求項9】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記駆動機構が解放されると、すぐに前記中間駆動部材(34)及びプランジャー(34)が相対運動のため自由になる自動注射器。
【請求項10】
前記駆動機構が解放されると、前記シリンジが前記注射ポジションに到達するまで前記中間部材(34)及びプランジャー(36)が一体となって移動する請求項11に記載の自動注射器。
【請求項11】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、完全に伸張され前記シリンジが注射ポジションにあるときの前記第一ばねによって働く力よりも小さいように前記第二ばね(34)が選択された自動注射器。
【請求項12】
シリンジ(14)を受容するためのハウジングと、前記シリンジを前方に駆動し且つ薬剤を吐出するための駆動機構(30−36)とを具備し、前記駆動機構が、少なくとも一つの駆動用のばね(30、32)と、前記駆動機構を発射するために付勢に抗して可動なトリガー要素(38)を有する解放機構とを有し、前記トリガー要素のための前記付勢が、少なくとも一つの前記駆動用のばねによって付与される自動注射器。
【請求項13】
前記駆動機構が、前記トリガー要素において直接的に又は間接的に駆動する細長い圧縮ばねを有する請求項12に記載の自動注射器。
【請求項14】
前記駆動機構が、略同軸の前方ばね及び後方ばねと、前記トリガー要素において駆動する前記後方ばねとを有する請求項13に記載の自動注射器。
【請求項15】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記駆動機構の解放の前に、前記第一圧縮ばねが、前記第二圧縮ばねよりも強いばねの力を働かせる自動注射器。
【請求項16】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
使用時、前記駆動機構の次の解放において、前記第一圧縮ばねが伸張して、前記中間部材を前方に押し出し、前記シリンジを前記注射ポジションへと駆動する自動注射器。
【請求項17】
前記第一圧縮ばねの最初の伸張移動の間、前記プランジャーが前記シリンジに対して固定され且つ前記第一圧縮ばねの伸長部端に向かったままで、前記中間部材が、前記少なくとも部分的に圧縮された第二ばね及び前記プランジャーを介して前記シリンジに動作を伝達し、前記シリンジが注射部に拘束されるとすぐに、継続する前記第一ばねの拡張は薬剤の投与を開始するため前記シリンジに対して前記プランジャーを前方へ押し出し、次いで前記第二圧縮ばねが、薬剤の投与を完了させるため伸張する、請求項16に記載の自動注射器。
【請求項18】
前記第一圧縮ばねの拡張部端において又は拡張部端近傍において、前記中間部材が移動して前記シリンジと係合する、請求項17に記載の自動注射器。
【請求項19】
前記第一ばねが完全に伸張する前に、前記第二ばねが、わずかに伸張するか、又は、全く伸張しない、請求項15から請求項18のいずれか一つに記載の自動注射器。
【請求項1】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材を前方に移動させるために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に移動させるために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記中間駆動部材(34)が、前記第二圧縮ばね(32)の後端を受容するための内部の円筒状空間を有し、それによって、前記第二ばねを伸張させる前記駆動機構の次の解放は、少なくとも円筒状空間及び前記シリンジ本体の内部穴のいずれか一方によって少なくともその長さの大部分に亘り周設されている自動注射器。
【請求項2】
前記中間駆動部材(34)が、前記第二ばねを外部拘束するための内部の円筒状の支持面を有する略円筒状の本体と、前記第一ばねを内部拘束するための外部の円筒状の面とを具備する請求項1に記載の自動注射器。
【請求項3】
前記第一ばね(30)が、前記第二ばね(32)よりも強く且つ少なくとも前記シリンジがその注射部に到達するまで前記第二ばね(32)が実質的に圧縮されたままであるように選択された請求項1に記載の自動注射器。
【請求項4】
実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、前記ピストン(20)と、前記シリンジ本体(14)との間の静摩擦を越えるために必要な力より小さく、前記シリンジが注射ポジションにあるときに前記第一ばねの残留力によってひとたび静摩擦を越えた前記ピストン(20)の、移動継続に必要な力よりは大きいように前記第二ばね(32)が選択された請求項2に記載の自動注射器。
【請求項5】
前記駆動機構が解放されると、前記中間部材(34)が、前記シリンジの後端近傍まで押し出され、又は、前記シリンジの後端に当接し、それによって実質的に完全に前記第二ばねを密閉し外部拘束する請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の自動注射器。
【請求項6】
仕掛けポジションからの前記中間部材の移動を防ぐために、解放可能に構成されたトリガー機構(38、48)を有する請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の自動注射器。
【請求項7】
前記プランジャー(42)の当接面(46)と係合可能であり且つトリガーボタン(38)によって解放可能な前記トリガー機構が、ラッチ部材(48)を有する請求項6に記載の自動注射器。
【請求項8】
前記第一ばねの後方端が、前記トリガーボタンにおいて、解放ポジションから外側へ前記トリガーボタンを付勢するために駆動する請求項7に記載の自動注射器。
【請求項9】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記駆動機構が解放されると、すぐに前記中間駆動部材(34)及びプランジャー(34)が相対運動のため自由になる自動注射器。
【請求項10】
前記駆動機構が解放されると、前記シリンジが前記注射ポジションに到達するまで前記中間部材(34)及びプランジャー(36)が一体となって移動する請求項11に記載の自動注射器。
【請求項11】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
実質的に完全に圧縮されたときに働くばねの力が、完全に伸張され前記シリンジが注射ポジションにあるときの前記第一ばねによって働く力よりも小さいように前記第二ばね(34)が選択された自動注射器。
【請求項12】
シリンジ(14)を受容するためのハウジングと、前記シリンジを前方に駆動し且つ薬剤を吐出するための駆動機構(30−36)とを具備し、前記駆動機構が、少なくとも一つの駆動用のばね(30、32)と、前記駆動機構を発射するために付勢に抗して可動なトリガー要素(38)を有する解放機構とを有し、前記トリガー要素のための前記付勢が、少なくとも一つの前記駆動用のばねによって付与される自動注射器。
【請求項13】
前記駆動機構が、前記トリガー要素において直接的に又は間接的に駆動する細長い圧縮ばねを有する請求項12に記載の自動注射器。
【請求項14】
前記駆動機構が、略同軸の前方ばね及び後方ばねと、前記トリガー要素において駆動する前記後方ばねとを有する請求項13に記載の自動注射器。
【請求項15】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材(34)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
前記駆動機構の解放の前に、前記第一圧縮ばねが、前記第二圧縮ばねよりも強いばねの力を働かせる自動注射器。
【請求項16】
使用時に投与量の薬剤を収容するシリンジを受容するための自動注射器であって、前記シリンジ(12)は、略円筒形状のシリンジ本体(14)と、該シリンジ本体の先端の針(18)と、前記薬剤を輸送するために前記シリンジ本体にスライド可能に設置されたピストン(20)とを具備し、
前記自動注射器は、
使用時に、後退ポジションと、前記針(18)がハウジングから突出する延出された注射ポジションとの間のスライド移動のための前記シリンジ(12)を受容するための前記ハウジング(10)と、
前記シリンジを前方へ駆動するためにエネルギー貯蓄された状態から前記注射ポジションへと解放され、薬剤を吐出する駆動機構(30−36)とを具備し、
前記駆動機構が、
使用時に前記ピストン(20)を駆動するように構成されたプランジャー(36)と、
中間駆動部材(34)と、
前記中間駆動部材を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記ハウジング又はそれと関連する部品との間に配置された第一圧縮駆動ばね(30)と、
プランジャー(36)を前方に押し出すために、前記中間駆動部材と、前記プランジャーとの間で駆動する第二圧縮ばね(32)とを有し、
使用時、前記駆動機構の次の解放において、前記第一圧縮ばねが伸張して、前記中間部材を前方に押し出し、前記シリンジを前記注射ポジションへと駆動する自動注射器。
【請求項17】
前記第一圧縮ばねの最初の伸張移動の間、前記プランジャーが前記シリンジに対して固定され且つ前記第一圧縮ばねの伸長部端に向かったままで、前記中間部材が、前記少なくとも部分的に圧縮された第二ばね及び前記プランジャーを介して前記シリンジに動作を伝達し、前記シリンジが注射部に拘束されるとすぐに、継続する前記第一ばねの拡張は薬剤の投与を開始するため前記シリンジに対して前記プランジャーを前方へ押し出し、次いで前記第二圧縮ばねが、薬剤の投与を完了させるため伸張する、請求項16に記載の自動注射器。
【請求項18】
前記第一圧縮ばねの拡張部端において又は拡張部端近傍において、前記中間部材が移動して前記シリンジと係合する、請求項17に記載の自動注射器。
【請求項19】
前記第一ばねが完全に伸張する前に、前記第二ばねが、わずかに伸張するか、又は、全く伸張しない、請求項15から請求項18のいずれか一つに記載の自動注射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図12(c)】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図12(c)】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−508054(P2013−508054A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534778(P2012−534778)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051774
【国際公開番号】WO2011/048422
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(501410160)オウエン マンフォード リミティド (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051774
【国際公開番号】WO2011/048422
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(501410160)オウエン マンフォード リミティド (25)
【Fターム(参考)】
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