説明

自動洗浄機用洗浄剤組成物

【課題】高い洗浄力を有し、スケールの付着を効果的に抑制し得る自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)〜(D)成分を配合し、(A)成分3〜50質量%、(B)成分と(C)成分との合計5〜45質量%、(D)成分0.5〜10質量である自動洗浄機用洗浄剤組成物。
(A)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び珪酸塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)一般式(1)で表される化合物


(式中、M1〜M3は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
(C)一般式(2)で表される化合物


(式中、M4〜M7は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示す。)
(D)カルボキシル基含有ポリマー

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄機用洗浄剤組成物に関し、例えば、食器類、食缶類、コンテナ類、トレー類等の硬表面の洗浄を行う業務用自動洗浄機用として好適な洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホテル、レストラン、ケータリング等において使用後の食器、食缶等を一度に多量に洗浄するために、業務用自動洗浄機が使用されている。この洗浄機では、使用時に人が直接洗浄剤に触れないため、洗浄力を高める点から、強アルカリ剤を多量に配合した固体状や液体状の洗浄剤が用いられている。
【0003】
このような強アルカリ剤を多量に含む洗浄剤は空気中の二酸化炭素を吸収し易いという性質を有し、その吸収の結果、炭酸イオンが生成することが知られている。自動食器洗浄機による洗浄時間は長くて数分間と短時間ではあるが、生成した炭酸イオンは、水道水に含まれるマグネシウムイオン、カルシウムイオン等と結合して、水不溶性の炭酸塩を生成し、これらが自動洗浄機の洗浄槽内にスケールとして付着するという問題がある。
【0004】
スケール除去力の点から、水道水中に含まれる金属イオンのキレート力が高いNTA又はその塩、EDTA又はその塩が多く使用されている。しかしながら、これらのキレート剤については自然界での分解が困難であり、環境負荷が大きいといわれている。
【0005】
以上のことから、上記問題がなく、自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケール付着を抑制し、優れた洗浄力を有する自動洗浄機用洗浄剤組成物が望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−8094号公報
【特許文献2】特開2001−3084号公報
【特許文献3】特開2004−204055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高い洗浄力を有し、自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケールの付着を効果的に抑制し得る自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のアルカリ剤と、特定の有機キレート剤と、カルボキシル基含有ポリマーとをそれぞれ特定量配合することにより、NTA又はその塩、EDTA又その塩と同等、又はそれ以上の優れた洗浄力を示し、自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケール付着を抑制できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、下記発明を提供する。
[1].下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を配合し、(A)成分の配合量が3〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%であり、(D)成分の配合量が0.5〜10質量である自動洗浄機用洗浄剤組成物。
(A)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びM2O(式中、Mは、Na又はKを示す。)/SiO2≧1.0(モル比)で表される珪酸塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)下記一般式(1)で表される化合物
【化1】

(式中、M1〜M3は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
(C)下記一般式(2)で表される化合物
【化2】

(式中、M4〜M7は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示す。)
(D)カルボキシル基含有ポリマー
[2].(A)成分の配合量が5〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%である[1]記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
[3].(A)成分の配合量が3〜30質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜35質量%である[1]記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
[4].(B)成分と(C)成分との質量比が0.1<(B)/(C)<8.0である[1]〜[3]のいずれかに記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
[5].(D)成分が、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、α−オレフィンと無水マレイン酸又はその塩との共重合体、及び(メタ)アクリル酸又はその塩と(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩との共重合から選ばれる1種又は2種以上のカルボキシル基含有ポリマーである[1]〜[4]のいずれかに記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
[6].さらに、有機リン系キレート剤を配合してなる[1]〜[5]のいずれかに記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い洗浄力を有し、自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケールの付着を効果的に抑制し得る自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供することができる。また、(B)及び(C)成分のキレート剤は高い生分解性を有しているため、環境中に排出された際の環境負荷をも軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(A)成分は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びM2O(式中、Mは、Na又はKを示す。)/SiO2≧1.0(モル比)で表される珪酸塩から選ばれる1種又は2種以上である。M2O(式中、Mは、Na又はKを示す。)/SiO2≧1.0(モル比)で表される珪酸塩としては、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、オルト珪酸カリウム及びそれらの水和物等が挙げられ、アルカリ度を高めることを考慮すると、上記のモル比は1.0〜3.0が好ましい。(A)成分としては、洗浄剤組成物に十分な洗浄力を付与し得る点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0012】
本発明の(B)成分は、下記一般式(1)で表される化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0013】
【化3】

(式中、M1〜M3は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0014】
一般式(1)において、M1〜M3は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示すが、アンモニア臭が無く、水溶性が良好である点から、水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましく、中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましい。一般式(1)で表される化合物としては、メチルグリシン2酢酸又はその塩(以下、MGDAと略す場合がある。)が好ましい。
【0015】
本発明の(C)成分は、下記一般式(2)で表される化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
【化4】

(式中、M4〜M7は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示す。)
【0017】
一般式(2)において、M4〜M7は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示すが、アンモニア臭が無く、水溶性が良好である点から、水素原子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましく、中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましい。一般式(2)で表される化合物としては、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸又はその塩(以下、HIDSと略す場合がある。)が好ましい。
【0018】
(A)成分の自動洗浄機用洗浄剤組成物の配合量は3〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%である。(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%であり、好ましくは15〜35質量%である。配合量がこの範囲外であると、優れた洗浄力やスケール付着の抑制効果が得られない。(A)成分の配合量と、(B)成分と(C)成分との合計配合量との好ましい組み合わせは、固形・粉体等の固体洗浄剤組成物の場合は、[1].(A)成分の配合量が5〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%であり、液体洗浄剤組成物の場合は、[2].(A)成分の配合量が3〜30質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜35質量%である。
【0019】
[1].(A)成分の配合量が5〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%である固体洗浄剤組成物の場合、(A)成分の配合量は10〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%が好ましく、さらに好ましくは25〜45質量%である。(A)成分の配合量が50質量%を超えると、スケールの発生及び付着が顕著になる場合がある。(B)成分と(C)成分との合計配合量は、20〜45質量%が好ましく、より好ましくは25〜40質量%である。(B)成分と(C)成分との合計配合量が、5質量%未満では、油脂の洗浄力の低下、スケール付着抑制効果が不十分となる場合があり、一方、45質量%を超えると、高コストになるのみならず、製剤化に問題が生じる場合がある。
【0020】
[2].(A)成分の配合量が3〜30質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜35質量%である液体洗浄剤組成物の場合、(A)成分の配合量は10〜25質量%が好ましく、より好ましくは15〜20質量%である。30質量%を超えると、液体組成系の経日安定性が低下し、沈殿、液分離等の問題が生じる場合がある。(B)成分と(C)成分との合計配合量は、10〜25質量%が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。(B)成分と(C)成分との合計配合量が5質量%未満では、油脂洗浄力の低下、スケール付着抑制効果が不十分となる場合があり、一方、35質量%を超えると、液体組成の経日安定性が低下し、沈殿、液分離等の問題が生じる場合がある。
【0021】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物において、(B)成分と(C)成分との質量比は、0.1<(B)/(C)<8.0が好ましく、より好ましくは0.2<(B)/(C)<5.0である。この範囲とすることで、より洗浄力が得られ、洗浄機の洗浄槽内におけるスケール付着をより抑制することができる。
【0022】
本発明の(D)成分はカルボキシル基含有ポリマーであり、カルボキシル基を含むポリマーであれば、特に限定されるものではなく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(D)成分と、(B)及び(C)成分との相乗効果により、スケールの発生及び付着抑制効果をより一層高めることができる。この効果の点から、(D)カルボキシル基含有ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、α−オレフィンと無水マレイン酸又はその塩との共重合体、及び(メタ)アクリル酸又はその塩と(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩との共重合、α−オレフィンとマレイン酸又はその塩との共重合体、(メタ)アクリル酸又はその塩と(メタ)アリルスルホン酸又はその塩との共重合体、スチレンと無水マレイン酸又はその塩との共重合体、スチレンとマレイン酸又はその塩との共重合体、(メタ)アクリル酸又はその塩とマレイン酸又はその塩との共重合体等が挙げられる。この中でも、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、α−オレフィンと無水マレイン酸又はその塩との共重合体、及び(メタ)アクリル酸又はその塩と(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩との共重合が好ましい。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル及び/又はアクリルを、(メタ)アリルは、メタリル及び/又はアリルを表す。カルボキシル基含有ポリマーとして塩を用いる場合、アルカリ性を示すことから、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好適である。なお、塩の場合、カルボキシル基の全部が中和されていてもよく、一部のみが中和されていてもよい。
【0023】
(D)カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量としては、通常、1,000〜90,000であり、好ましくは3,000〜50,000である。なお、本発明において、重量平均分子量は、液体クロマトグラフ法(溶離液:テトラヒドロフラン、分子量:ポリスチレン換算)により測定する。
【0024】
(D)成分の自動洗浄機用洗浄剤組成物の配合量は0.5〜10質量であり、0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。(D)成分の配合量が0.5質量%未満では、スケール発生及び付着抑制効果が不十分となり、一方、10質量%を超えても性能のさらなる向上は望めず、コスト増を招来してしまう。
【0025】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物には、スケールの発生及び付着抑制効果をより高める点から、有機リン系キレート剤を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することが好ましい。有機リン系キレート剤としては、ホスホン酸誘導体が好適であり、例えば、イミノジメチルホスホン酸等のイミノジアルキルホスホン酸又はその塩、アルキルジホスホン酸又はその塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)又はその塩、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)等のヒドロキシアルキリデンジホスホン酸又はその塩が挙げられる。
【0026】
有機リン系キレート剤の自動洗浄機用洗浄剤組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。配合量が0.1質量%未満では、スケール付着抑制効果が十分に向上しない場合がある。一方、配合量が20質量%を超えると、高コストになるのみならず、製剤化に問題が生じたり、液体組成の経日安定性が低下したりする場合がある。
【0027】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物には、上記(B)成分、(C)成分及び有機リン系キレート剤以外の一般的なキレート剤を配合することもできる。このようなキレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)又はその塩、ニトリロ3酢酸(NTA)又はその塩等のアミノカルボン酸塩、その他、生分解性がよいといわれているアスパラギン酸ジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、イミノジコハク酸、ポリアスパラギン酸、これらの塩、クエン酸又はその塩等のヒドロキシ多価カルボン酸又はその塩、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム等の縮合リン酸又はその塩等が挙げられる。これらのキレート剤の塩を用いる場合も、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩が好適であり、この場合、酸性基の全部が中和されていてもよく、一部のみが中和されていてもよい。
【0028】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物には、本発明の作用効果を損なわない限りにおいて、珪酸塩、炭酸アルカリ金属塩等のアルカリ剤、硫酸ナトリウム等の無機ビルダー、漂白剤、香料、着色剤、腐食防止剤、消泡剤、界面活性剤、水等のその他の成分を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適当量配合することができる。
【0029】
界面活性剤は、洗浄力向上のために用いられるが、本発明においては、特に、低泡性のものが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。ただし、本発明においては本発明の必須成分のみで十分な洗浄力、スケール付着抑制効果を有するため、界面活性剤を非配合にすることができる。
【0030】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、固体洗浄剤組成物、液体洗浄剤組成物にすることができ、固体洗浄剤組成物は上記成分を混合し、液体洗浄剤組成物は上記成分及び水(残部)を混合し、それぞれ常法に基づいて得ることができる。
【0031】
自動洗浄機用洗浄剤組成物は、水道水等に溶かしたり、適宜希釈したりして使用すればよい。希釈液中の自動洗浄機用洗浄剤組成物濃度は、0.1〜1質量%が好適であるが、被洗浄物の状態等に応じて適宜調整することができる
【0032】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、食器類、食缶類、コンテナ類、トレー類等を、自動洗浄機を用いて洗浄する際に好適であり、優れた洗浄力及びスケール抑制効果を有することから、短時間に洗浄を行う業務用自動洗浄機用として好適である。
【0033】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムと、(B),(C)特定のキレート剤と、(D)カルボキシル基含有ポリマーとを、それぞれ特定量で配合してなることから、これら各成分の相乗効果によって、高洗浄力が発揮されるとともに、スケール発生及びその自動洗浄機の洗浄槽内における付着を効果的に抑制できる。また、(B),(C)成分のキレート剤は高い生分解性を有しているため、環境中に排出された際の環境負荷をも軽減することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0035】
[実施例1〜12、比較例1〜4]
1000mLのステンレスビーカーに無水硫酸ナトリウム(商品名:A−6、四国化成工業(株)製)を添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら、界面活性剤(エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物(商品名:プロロニックTR−913R、旭電化(株)製))をまぶし、粉末状の水溶性高分子化合物(1;C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:クインフロー750、日本ゼオン(株)製)、2;ポリアクリル酸重合体ナトリウム塩(分子量4500、商品名:ローム&ハース社製)、3;アクリル酸/アクリルアミドプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アロンA−6017、東亞合成(株)製))を必要に応じて添加し、さらに、水酸化ナトリウム(商品名:パール水酸化ナトリウム、東ソー(株)製)、水酸化カリウム(旭硝子(株)製)、及びメタ珪酸ナトリウム・5水塩(広栄化学(株)製)から選ばれる1種以上を添加した後、MGDA(メチルグリシン2酢酸3ナトリウム(BASFジャパン(株)製、粉体品))、HIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム((株)日本触媒製、粉体品))、NTA3Na(ニトリロ3酢酸3ナトリウム(商品名:キレスト700、キレスト(株)製))、HEDP4Na(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(商品名:デイクエスト2016D、ソルーシア社製))、及びその他の成分を必要に応じて添加して十分に撹拌し、粉体洗浄剤組成物を調製した。各成分の配合割合(質量%)を表1,2に示す。なお、各成分の配合量は成分純分量である。
【0036】
[実施例13〜20、比較例5〜8]
500mLガラスビーカーにイオン交換水を添加した後、MGDA(メチルグリシン2酢酸3ナトリウム(BASFジャパン(株)製))、HIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム((株)日本触媒製:50質量%水溶液))、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(商品名:BRIQUEST ADPA 60A、オルブライト ウイルソン社製))を必要に応じて添加し、十分にマグネットスターラーで撹拌した。続いて48質量%水酸化ナトリウム水溶液(鶴見曹達(株)製)又は48質量%水酸化カリウム水溶液(旭硝子(株)製)、液体状の水溶性高分子化合物(6;C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:クインフロー542:日本ゼオン(株)製:40質量%水溶液)、2;ポリアクリル酸重合体ナトリウム塩(分子量4500、商品名:ローム&ハース社製)、3;アクリル酸/アクリルアミドプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アロンA−6017 東亞合成(株)製))、及びその他の成分を必要に応じて添加し、液体洗浄剤組成物を調製した。各成分の配合割合(質量%)を表2に示す。なお、各成分の配合量は成分純分量(水溶液のものについては有効成分量)である。比率は原料固形分(有効成分)の比率を示す。
【0037】
上記各実施例及び比較例で調製した各洗浄剤組成物について、洗浄力及びスケール付着の抑制力を下記方法により評価した。結果を表中に併記する。
【0038】
[1]洗浄力
〈洗浄条件〉
使用洗浄機:ドアタイプ業務用自動食器洗浄機(JWD−6型、石川島播磨重工(株)
製、洗浄剤水溶液が回転ノズルから噴射され、その噴射軌道上面に設置された食器類を洗
浄し、洗浄機内上方4角から仕上げすすぎを行なう形式のもの)
洗浄温度:60℃
仕上げすすぎ温度:80〜85℃
洗浄用水:アメリカ硬度90ppmの水道水
洗浄濃度:0.1質量%(固形・粉体品、希釈液中の洗浄剤組成物濃度)
0.2質量%(液体品、希釈液中の洗浄剤組成物濃度)
洗浄時間:40秒
仕上げすすぎ時間:12秒
〈洗浄力評価〉油脂汚れ洗浄力測定法
市販されているサラダ油を160℃〜180℃で6時間酸化させ、その後冷却した後、酸化した油脂2gを直径25cmの時計皿(透明)に薄く伸ばして塗布し、室温で1時間静置した後、4枚/1(1回洗浄で皿4枚)で洗浄した。
洗浄後の皿に残留している油脂を確認するため、汚れの付着について目視と、液状が親水性であるエリスロシン溶液を用い、洗浄後の皿が添加した溶液を弾くか否かを確認し、下記基準により総合的に評価した。
◎:油脂汚れが完全に除去された。
○:油脂汚れがほとんど除去された。
△:皿全面の半分程度に油脂の残留が認められた。
×:全く洗浄されなかった。
【0039】
[2]スケール付着性
洗浄剤組成物に、アメリカ硬度90ppmの水道水(東京都江戸川区)を加えて洗浄剤組成物0.15質量%に調整した洗浄剤水溶液75mLを、100mLステンレス製ビーカーに加えた。さらに、このビーカーに、ステンレス板(SUS304、厚さ×幅×長さ=1.0×25×75mm)を入れて、ウォーターバスで加熱して溶液を蒸発させていき、液量が20〜30mLになったところで、洗浄剤水溶液の残液を捨て、ステンレスビーカーにイオン交換水を約100mL入れ、10分間加熱し、すすぎを行った。
その後、ステンレス板をビーカーから取り出し、この板に付着しているスケールの量を目視判定し、下記基準にて評価した。
◎:スケールが全く付着していない。
○:スケールがほとんど付着していない。
△:スケールが少し付着している。
×:スケールが多量に付着している。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1,2中の成分を下記に示す。
水酸化ナトリウム:水酸化ナトリウム(商品名:パール水酸化ナトリウム、東ソー(株)製)
水酸化カリウム:48質量%水酸化カリウム水溶液(旭硝子(株)製)
メタ珪酸ナトリウム・5水塩:メタ珪酸ナトリウム5水塩(広栄化学(株)製)、無水分は25.9質量%
MGDA:メチルグリシン2酢酸3ナトリウム(BASFジャパン(株)製)
HIDS:3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム((株)日本触媒製)
NTA3Na:ニトリロ3酢酸3ナトリウム(商品名:キレスト700、キレスト(株)製)
HEDP4Na:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(商品名:デイクエスト2016D、ソルーシア社製)
高分子化合物*1:C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:クインフロー750、日本ゼオン(株)製)
高分子化合物*2:ポリアクリル酸重合体ナトリウム塩(分子量4500、ローム&ハース社製)
高分子化合物*3:アクリル酸/アクリルアミドプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アロンA−6017、東亞合成(株)製)
界面活性剤:エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物(商品名:プロロニックTR−913R、旭電化(株)製)
無水硫酸ナトリウム:(商品名A−6、四国化成工業(株)製)
【0043】
【表3】

【0044】
表3中の成分を下記に示す。
水酸化ナトリウム:48質量%水酸化ナトリウム水溶液(鶴見曹達(株)製)
水酸化カリウム:48質量%水酸化カリウム水溶液(旭硝子(株)製)
KOH:48質量%水酸化カリウム水溶液(旭硝子(株)製)
MGDA:メチルグリシン2酢酸3ナトリウム(BASFジャパン(株)製)
HIDS:3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム((株)日本触媒製:50質量%水溶液)
HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(商品名:BRIQUEST ADPA 60A、オルブライト ウイルソン社製)
高分子化合物*6:C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:クインフロー542:日本ゼオン(株)製:40質量%水溶液)
高分子化合物*2:ポリアクリル酸重合体ナトリウム塩(分子量4500、ローム&ハース社製)
高分子化合物*3:アクリル酸/アクリルアミドプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アロンA−6017 東亞合成(株)製)
【0045】
上記結果から、実施例の洗浄剤組成物は、比較例の洗浄剤組成物に比べ、油脂洗浄力及びスケール抑制力に優れていることが分かった。
【0046】
[実施例21]
1000mLのステンレスビーカーに、48質量%水酸化ナトリウム水溶液(旭硝子(株)製)38.5質量部、粉体のMGDA(メチルグリシン2酢酸3ナトリウム(BASFジャパン(株)製))18質量部、HIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム((株)日本触媒製))18質量部、及び水酸化ナトリウム(商品名:パール水酸化ナトリウム、東ソー(株)製)16.5質量部を添加し、70℃に加温しつつ、スリーワンモーターで撹拌しながら、粉末の高分子化合物*1:C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:クインフロー750、日本ゼオン(株)製)3質量部、界面活性剤(エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物(商品名:プロロニックTR−913R、旭電化(株)製))1質量部、無水硫酸ナトリウム(商品名A−6、四国化成工業(株)製)5質量部をさらに添加・混合し、スラリー化した後、これをポリプロピレン製の容器に移し、室温まで冷却して固化させて、固体洗浄剤組成物を得た。
この固体洗浄剤組成物の水酸化ナトリウム含有量は35質量%、MGDA有効成分としての含有量は15質量%、HIDS有効成分としての含有量は15質量%、高分子化合物含有量は3質量%である。
この洗浄剤組成物の洗浄力及びスケール付着性について、上記実施例と同様に評価したところ、いずれの評価結果も「◎」であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を配合し、(A)成分の配合量が3〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%であり、(D)成分の配合量が0.5〜10質量である自動洗浄機用洗浄剤組成物。
(A)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びM2O(式中、Mは、Na又はKを示す。)/SiO2≧1.0(モル比)で表される珪酸塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)下記一般式(1)で表される化合物
【化1】

(式中、M1〜M3は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
(C)下記一般式(2)で表される化合物
【化2】

(式中、M4〜M7は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを示す。)
(D)カルボキシル基含有ポリマー
【請求項2】
(A)成分の配合量が5〜50質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜45質量%である請求項1記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分の配合量が3〜30質量%であり、(B)成分と(C)成分との合計配合量が5〜35質量%である請求項1記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
(B)成分と(C)成分との質量比が0.1<(B)/(C)<8.0である請求項1〜3のいずれか1項記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
(D)成分が、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、α−オレフィンと無水マレイン酸又はその塩との共重合体、及び(メタ)アクリル酸又はその塩と(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩との共重合から選ばれる1種又は2種以上のカルボキシル基含有ポリマーである請求項1〜4のいずれか1項記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに、有機リン系キレート剤を配合してなる請求項1〜5のいずれか1項記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2007−332245(P2007−332245A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164797(P2006−164797)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000115429)ライオンハイジーン株式会社 (11)
【Fターム(参考)】