説明

自動熱分解反応装置

本発明は、自動熱分解反応工程を任意の適切な圧力で実行することが可能な反応装置の設計であって、ガス状反応物質は混合前に個別に予備加熱され、その後均一に分布した態様で提示される。特に本発明は、第1および第2のガス状反応物質を反応させてガス状生成物を生成する装置に関し、該装置は、第1のガス状反応物質のための少なくとも1個の第1の供給手段と、第2のガス状反応物質のための少なくとも1個の第2の供給手段と、抵抗領域と、好適には触媒を備える反応領域とを備え、第1の供給手段は第1のガス状反応物質の送達のための複数の第1の出口を備え、第2の供給手段は第2のガス状反応物質の送達のための複数の第2の出口を備え、抵抗領域は、多孔性で第1および第2のガス状反応物質の流れに対して第1のおよび第2の供給手段の下流側に位置し、第1および第2の供給手段と流体連通状態にあり、反応領域は、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、第1の供給手段と第2の供給手段は、第1の気体と第2の気体とが略平行な態様で接触させられ、抵抗領域に接触する前に混合されるよう、配置されている。また本発明は、前記装置を利用したモノオレフィンの生成工程も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、自動熱分解によるオレフィンの製造に適した反応装置に関する。
【0002】
自動熱分解は、オレフィンの製造に適した既知の工程である。このような工程の例は欧州特許出願公開第0332289号明細書に開示されている。この工程では、炭化水素と酸素含有ガスが触媒存在下で接触し、多燃料燃焼の可燃限界を超える燃焼を起こすことができる。炭化水素は不完全燃焼され、熱はオレフィンに供給される炭化水素の脱水素化を行うために使用される。
【0003】
自動熱分解工程では、炭化水素と酸素含有ガスとを、触媒に接触させる前に、均一に混合し予備加熱を行ってもよい。しかし、炭化水素と酸素含有ガスを混合し予備加熱すると、可燃性の制約を理由に高圧下での実行が望ましい場合には、問題が発生する。このため、高熱のガス状反応物質の形成と、触媒への混合物の接触の間の時間を減少させることが望ましい。
【0004】
本発明は、自動熱分解工程を任意の適切な圧力で実行可能な反応装置の設計であって、ガス状反応物質が混合前に別々に予備加熱され、次に均一に分布した状態で反応領域に提供される反応装置の設計を提供する。
【0005】
したがって、本発明は第1のガス状反応物質を第2のガス状反応物質と反応させてガス状生成物を形成する装置を提供し、
該装置は、第1のガス状反応物質のための少なくとも1個の第1の供給手段と、第2のガス状反応物質のための少なくとも1個の第2の供給手段と、抵抗領域と、好適には触媒を備える反応領域とを備え、
第1の供給手段は第1のガス状反応物質の送達のための複数の第1の出口を備え、第2の供給手段は第2のガス状反応物質の送達のための複数の第2の出口を備え、
抵抗領域は、多孔性で、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、第1のおよび第2の供給手段の下流側に位置し、第1および第2の供給手段と流体連通状態にあり、
反応領域は、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、
第1の供給手段と第2の供給手段は、第1の気体と第2の気体とが略平行な態様で接触させられ、抵抗領域に接触する前に混合されるよう、配置されている。
【0006】
好適には、第1の供給手段は、第1のガス状反応物質を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、第1のガス状反応物質の送達のための第1のマニホルドから出る複数の第1の出口とを備え、第2の供給手段は、第2のガス状反応物質を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、第2のガス状反応物質の送達のための第2のマニホルドから出る複数の第2の出口とを備える。
【0007】
本装置は、反応領域の横断面1平方メートルあたり、適切には少なくとも100個、好適には少なくとも500個、最も好適には少なくとも1000個の第1および第2の出口を備える。
【0008】
第1および第2の供給手段は、第1および第2の気体が略平行な態様で接触するよう配置される。「略平行な態様」でとは、第1および第2の気体は、接触させられる際には、両気体が、反対または相対接線方向に流れるのではなく、略同一方向に、例えば軸方向に流れていることを意味する。気体を、例えば接線方向の状態ではなく、略平行な態様で接触させることによって、気体が最初に接触する領域での乱流を減少させる。(この領域では、混合が未完了であり、存在する気体の組成は大きく異なる可能性がある。)
【0009】
乱流によって混合気体の滞留時間が増加することがあり、このことによって可燃性リスクの問題が生じる。場合によっては、気体を直角の状態で接触させると、接触領域に近接して可燃性の混合気体を含有する低流量領域あるいは滞留領域すらもたらす可能性がある。本発明により略平行な態様で気体を接触させることによって、低流量混合気体領域となる可能性を低下させ、可燃性の問題について可能性を低下させる。
【0010】
発明の第1の実施形態では、この接触/混合用の配置は、一方の供給手段を他方内に配置し、該他方の内部に配置された該一方の供給手段の少なくとも一部に適切な開口部を設けることによって、一方のガス状反応物質が開口部を通過して他方のガス状反応物質と接触するようにして提供されている。
【0011】
好適には、第1の実施形態は、
第1の供給手段が、第1のガス状反応物質を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、第1のガス状反応物質の送達のための前記第1のマニホルドから出る複数の注入管とを備え、第2の供給手段が、第2のガス状反応物質を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、第2のガス状反応物質の送達のための前記第2のマニホルドから出る複数の導管とを備え、
第2のマニホルドは、第1のガス状反応物質の流れに対して、第1のマニホルドの下流側に位置し、
抵抗領域は、多孔性であり、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、第2の供給手段の下流側に位置し、第2のマニホルドから出る導管と流体連通状態にあり、
反応領域は、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、
各導管は、第2のマニホルドから出る上流側端部と、抵抗領域と流体連通状態にある下流側端部とを備え、第1のマニホルドから出る注入管は、第2のマニホルドを経由して延出し、導管の上流側端部に向かって軸方向に突出する。
【0012】
有利には第1の実施形態の装置は、通常は、複数の導管の下流側端部が冷却されるよう、第2のマニホルドから出る複数の導管の下流側端部に接触する第1の冷却領域を備える。このことによって、反応領域に入るまではガス状反応物質の反応を防止することができる。
【0013】
さらに第1の実施形態の装置は通常、ガス状生成物が反応領域から出ると即座に冷却することができるよう、生成物冷却領域を反応領域の下流側に備える。
【0014】
本発明の第1の実施形態では、好適には、第1のマニホルドが第1の室であり、第2のマニホルドが第2の室であり、第1の室から出る注入管が、第2のマニホルドから出る複数の導管の上流側端部まで第2の室を経由して延出する複数の細長い通路を形成する。
【0015】
第1および第2の室の容積はとりわけ重要ではない。しかし、好適な実施形態では、安全上の理由から第1および第2の室は比較的小さいほうが適している。典型的には、反応装置の直径が600mmの場合、第1の室の容積は、通常は5〜100リットルの間であり、好適には10〜40リットルの間であり、より好適には15〜25リットルの間、例えば22リットルであある。これら室の容積は、反応装置の横断面積(すなわち直径の二乗)に比例するであろう。
【0016】
典型的には、反応装置の直径が600mmの場合、第2の室の容積は、通常は20〜200リットルの間であり、好適には30〜100リットルの間であり、より好適には40〜80リットルの間、例えば50リットルである。
【0017】
第1の実施形態の装置は、通常は等しい数の注入管と導管を備え、各注入管は対応する導管に突出している。好適には、本装置は、反応領域の横断面積1平方メートルあたり、少なくとも100個の、より好適には少なくとも500個の、最も好適には少なくとも1000個の注入管を有する。
【0018】
注入管を導管に突出させるためには、注入管は外径から導管に向かって突出するが、該外径は導管の内径よりも小さい。厳密な外径寸法は本発明とっては重要でないが、通常は注入管は2.0〜5.0mmの間、例えば4.0mmの外径を有する。注入管は第2の室を経由して延出するに十分な長さ(すなわち、典型的には170mm超)を有している。
【0019】
マニホルドから離れた複数の注入管それぞれの端部において、第1のガス状反応物質は適切な開口部、好適にはノズルであり、直径が注入管の外径よりも小さい、好適には0.5〜3.0mm、例えば1.0〜2.0mmである開口部を経由して管から出る。ノズルが存在する場合、ノズルは好適には、ノズルのない注入管の直径よりも小さい直径を有するため、制限を加え、すべての注入管から均一の流速を得ることに役に立ち、注入管の内径が注入管の長さと同じであれば獲得される圧力低下特性を提供しない。
【0020】
導管は、通常は1〜10mmの間、好適には2〜8mmの間、例えば7mmの直径、および通常は50〜500mmの間、好適には100〜300mmの間、例えば210mmの長さを有する。導管は、三角形または正方形の構成等、対称的な構成に配置されてもよい。
【0021】
注入管のノズル等開口部の直径に対する導管内径の比率は、適切には2:1〜10:1の範囲、例えば3:1〜5:1の範囲にある。
【0022】
第1の供給手段の注入管が第2の供給手段のマニホルドを経由して延出する場合、各注入管は、注入管周囲に外管を備えていてもよい。(注入管は、前記外管内に内管を形成している。)外管は、第2のガス状反応物質が(内管の内側を通過する)第1のガス状反応物質とは異なる温度の場合、第2の気体物質からの断熱性を提供する。
【0023】
さらに別の好適な実施形態では、適切な流量制限器もまた、注入管の外面と導管の内面との間の、注入管が導管の上流側端部で導管に挿入される位置(すなわち、第2のマニホルドの近傍)またはその近傍に備えられている。これらの流量制限器は、注入管上および/または導管上に配置されていてもよく、該流量制限器は、抵抗を与えて、第2のガス状反応物質の各導管への均一な流速を獲得する助けとなる。流速制限器を通過する際または通過した後に最大流速を有する第2のガス状反応物質が、第1のガス状反応物質と混合されたときに、流速が(該最大流速よりも)減少するよう、これら流速制限器は第1の注入管から離れて配置されるべきである。好適にはこれら制限を通過する流れの圧力低下は、第1のガス状反応物質の注入管の端部のノズルまたは他の制限を経由しての圧力低下と(それぞれ1barおよび0.5bar等)桁数に差はない。これによって、反応領域に入る反応物質の割合は、反応領域内または仕込み部内の圧力に小さな変動があっても、ほぼ同じままである。最適生産量を得るためには、ノズル直径および第2のガス状反応物質用の流速制限器に対する公差は、ガス状混合物の濃度のばらつきが5%以下となるようにすべきである。
【0024】
典型的には5〜40mm、好適には10〜30mm、最も好適には15〜25mm、例えば20mmの長さの注入管が軸方向に導管に向かって突出する。
【0025】
第1の実施形態による装置が第1の冷却領域を備える場合、該第1の冷却領域は好適には冷却液を導管の下流側端部の外面領域に接触させることによって提供される。典型的には、導管の外側表面積の10〜20%は冷却液に接触していてもよい。
【0026】
本発明の第2の実施形態では、接触/混合用の配置は、第1のガス状反応物質を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、第1のガス状反応物質の送達のための該第1のマニホルドから出る複数の第1の注入管とを備える第1の供給手段と、第2のガス状反応物質を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、第2のガス状反応物質の送達のための該第2のマニホルドから出る複数の第2の注入管とを備える第2の供給手段とによって提供される。また、各注入管はマニホルドから離れた端部に、1mm以下の断面開口部を有する出口を有し、第1および第2の注入管からの出口は混合構成中に存在する。
【0027】
本明細書で使用されている「混合」とは、複数の第1の注入管の出口が複数の第2の注入管の出口の内部に分散されることおよび/またはその逆を意味している。このため、例えば、第2の注入管よりも第1の注入管が多い場合、第2の注入管の出口は第1の注入管の出口の中に分散され、第2の注入管の出口の最適構成は、第2の注入管のそれぞれが、最も近傍に少なくとも1個の第1の注入管の出口を有するものである。
【0028】
適切には、第1および第2の注入管を合わせて少なくとも10000個が1平方メートルあたりに存在する。上記個数の混在する管を使用することによって、管出口における急速な混合を提供する。
【0029】
第1および第2のガス状反応物質の抵抗領域への最適な送達のため、第2の実施形態における注入管の出口はすべて、略平面構成中に配置されるべきである。
【0030】
第1の注入管の出口は、三角形、正方形、長方形または六角形の構成等、対称的な構成中に配置されてもよく、および/または第2の注入管の出口は、三角形、正方形、長方形または六角形の構成等、対称的な構成中に配置されてもよい。
【0031】
この第2の実施形態では、出口は、三角形、長方形、正方形、六角形、D字形、楕円形、円形等、任意の断面形状を取ってもよい。
【0032】
気体の混合は、管の数が増えるに連れておよび管出口の断面開口部面積が減少するにつれて、気体はより急速に混合される。
【0033】
こうして、本発明の第2の実施形態の好適な態様では、各注入管はマニホルドから遠く離れた端部に、0.5mm未満の断面開口部を有する出口を備えている。より好適には、出口は0.2mm未満、例えば0.1mm未満の断面開口部を有する。適切には、出口は0.004mm以上の断面開口部を有する。
【0034】
片方の反応物質の入力管出口の大きさおよび形状は異なっていてもよいが、好適には同一である。同様に、第2のガス状反応物質の出口と第1のガス状反応物質の出口とは、大きさおよび形状が異なっていても同じであってもよい。
【0035】
最も好適には、これら出口は半円形等、D字形であり、断面開口部は0.01mm〜0.05mmの範囲内にある。
【0036】
本第2実施形態の装置は、該第1および第2ガス状反応物質をそれぞれ送達する等しい数の第1および第2の注入管を備えていてもよい。あるいは、各ガス状反応物質の送達のための注入管の相対数は、送達される各ガス状反応物質の相対量に比例してもよい。しかし、管の数の関係は本発明にとって重要ではない。また、例えば、各注入管から出る第1および第2のガス状反応物質の流速は異なっていてもよく、好適には異なっている。特に、第1および第2のガス状反応物質に異なる流速を用いることによって、各反応物質ごとに定められた数の注入管を利用して、異なる比率の該第1および第2のガス状反応物質を達成することができる。
【0037】
好適には、片方の反応物質、より好適には分子質量の低いほうの反応物質は、他方の反応物質が他方の注入管から出る場合に比べて、より高速で片側の組の注入管から出る。例えば、片方の反応物質に対する注入管の大きさおよび数は、出口速度の比率が少なくとも10:1となるよう、例えば、片方の反応物質の出口速度が100m/sであり、他方の反応物質の注入管の数および大きさが出口速度が10m/sとなるようであってもよい。これら注入管から出た混合された流れの平均速度は3m/s秒であってもよい。
【0038】
出口管の断面開口部面積が減少するにつれ、反応領域横断面の単位面積あたりの第1および第2の注入管の数は増加する可能性がある。このため、第2の実施形態の装置は、反応領域横断面1平方メートルあたり、(第1および第2の注入管を合わせて)少なくとも100,000個、例えば1,000,000個、例えば4,000,000個等の注入管を備えていてもよい。
【0039】
同様に、出口管の断面開口部および第1および第2の注入管の数が増加するにつれて、一方の出口と出口に最も近い近傍との間の距離もまた減少するであろう。こうして、本第2の実施形態の一方の出口と該出口に最も近い近傍との間の距離は、2000ミクロン未満、例えば1000ミクロン未満であってもよく、好適には100〜500ミクロンの範囲にある。好適には、隣接する管と管の間の距離は、出口開口部を横切る最大寸法の半分から2倍までの範囲等、出口自体の寸法と類似した値である。
【0040】
本発明の第2の実施形態による、比較的小さな出口孔を備えた第1および第2の注入管の混合構成を使用することによって、第1および第2のガス状反応物質の急速な混合が達成される。典型的には、0.5mm以下の断面開口部を有する出口を有する第1および第2の注入管の混合構成を使用することによって、注入管出口から5mm未満の距離において十分な混合を達成することができ、これによって、小さい空間内で、したがって短い時間内で、抵抗領域において気体を混合し接触させることができる。
【0041】
第2の実施形態の装置は通常、ガス状生成物が反応領域を出た直後に冷却されるよう、反応領域の下流側に生成物冷却領域を備えている。
【0042】
好適には、本発明の第2の実施形態では、第1のマニホルドは第1の室を備え、第2のマニホルドは第2の室を備え、第1および第2の気体成分がそれぞれの室から複数の第1および第2の注入管に向かって出ている。1mm以下の断面開口部を有する出口を備える注入管は、好適には拡散接合ブロック中の通路として形成される。エッチング加工された金属構造の層の拡散接合によって形成される拡散接合ブロックは、熱交換の用途において知られており、一般には例えば、Pua,L.M.およびRumbold,S.O.による「工業用マイクロチャネルデバイス−現在の状況は?」マイクロチャネルおよびミニチャネルに関する第1回国際会議、ロチェスター、ニューヨーク、2003年4月に記載されている。
【0043】
拡散接合技術を本発明に使用することによって、第1および第2の室をそれぞれ複数の第1および第2の出口に接続する複数の通路を形成することができる。該出口は本発明の第2の実施形態の注入管を形成するために必要な混合構成中にある。
【0044】
第1の実施形態と同じく、第1および第2の室の容積は特に重要ではない。しかし好適には、第2の実施形態の第1および第2の室の容積は安全上の理由から比較的小さいほうが適している。
【0045】
本発明の工程にしたがって、第1または第2の実施形態の装置あるいは他の装置によって混合した後、混合された第1および第2のガス状反応物質は、第1および第2の供給手段の下流側に位置した抵抗領域に接触させられる。
【0046】
抵抗領域は多孔性である。この多孔性抵抗領域の透過性によって、流体反応物質が該領域を通過する際に該流体反応物質を確実に拡散する。流体はチャネル網を軸方向および横方向に移動し、(軸方向とは、反応物質の流れが抵抗領域を通過する略方向である)、抵抗領域は抵抗領域の断面全体にわたって略均一に分散される。
【0047】
抵抗領域は好適には、軸方向と同様に、横方向にも透過性を有する。より好適には、抵抗領域は任意の方向において略同一の透過性を有する。例えば、任意の方向における透過性は、任意の他の方向における透過性の0.2〜5倍の透過性を有する。
【0048】
多孔性媒体の透過性の決定方法が知られている。抵抗領域を通過する際の単位長さ当たりの圧力勾配または圧力降下は、圧力勾配が慣性抵抗係数と動態的圧力の積である場合の慣性抵抗を用いて定義してもよい。動態的圧力は流体密度と表面速度の積の2分の1であり、圧力単位を有する。慣性抵抗係数は、長さの逆数の単位を有する。抵抗領域の平均慣性抵抗係数(すなわち全方向の平均)は、通常500〜10000/メートル(/m)、好適には2000〜4000/m、有利には、2500〜3500/m、例えば3250/mである。
【0049】
抵抗領域は多孔性金属構造から形成されてもよいが、好適には多孔性材料は非金属、例えばセラミック材料である。適切なセラミック材料は、リチウムアルミシリケート(LAS)、アルミナ(α−Al)、イットリア安定化ジルコニア、チタン酸アルミナ、ニアスコン(niascon)およびリン酸カルシウムジルコニウムである。好適な多孔性材料はガンマアルミナである。
【0050】
第1の実施形態の導管端部から、および第2の実施形態の管の出口からの抵抗領域の距離は、好適には20mm未満、より好適には1〜10mmの間、より好適には1.5〜5mmの間、例えば2mmである。
【0051】
反応領域が担持された触媒を備える場合、好適には抵抗領域中の多孔性材料は、触媒担体として使用される多孔性材料と同じでもよい。多孔性材料は、球体、その他の粒状形状またはセラミック発泡体であってもよい。反応領域は、連続マルチチャンネル構造を提供するモノリスの形状をした担持された触媒を備えていてもよい。
【0052】
反応領域中の多孔性材料において、孔のうち有利には少なくとも70%、好適には少なくとも80%、さらに有利には少なくとも90%が、5.0mm未満、例えば通常は0.1〜3.0mm、好適には0.2〜2.0mm、最も好適には0.5〜1.5mmの孔を有している。
【0053】
抵抗領域は、典型的には1平方インチあたり10〜60個の孔、好適には1平方インチあたり20〜50個の孔、最も好適には1平方インチあたり30〜45個の孔を有している。
【0054】
抵抗領域の深さは、通常は5〜100mmの間にあるが、好適には10〜50mmの間にある。
【0055】
抵抗領域は、通常は10〜200mm、好適には20〜100mm、例えば60mmの深さを有する。好適には、反応領域は触媒を備えている。
【0056】
(抵抗領域および反応領域の深さは、反応気体の流れの方向で測定される。一般には、好適な深さは、反応気体の流速が接触時間を決定することから反応気体の流速によって定義される。また、気体流の方向に測定された他の寸法と同様、大部分の実際的用途では反応物質に依存していない。)
【0057】
触媒が適切に採用される場合、触媒は担持されたプラチナ基金属である。好適には、金属はプラチナあるいはパラジウム、またその混合のいずれかである。広範な担体材料が利用可能であるが、アルミナを担体として使用することが好適である。担体材料は、球体、その他の粒状形状またはセラミック発泡体であってもよい。好適には、担体は、連続マルチチャンネル構造であり、多くの場合ハニカム外観である。触媒活性のある金属の好適な担体はガンマアルミナである。該担体には、プラチナおよびパラジウムの混合物が、当業者には既知の従来方法によって担持されている。結果生じる化合物は次に、1200℃へと加熱処理された後使用される。触媒プロモータを触媒に担持してもよい。適切なプロモータは銅およびスズを含有する。
【0058】
触媒は、触媒バスケット等、適切なホルダ中の反応装置中の適切な位置に保持される。好適には、気体が触媒とホルダとの間にある触媒を迂回することを防ぐために、触媒とホルダとの間の空間はすべて適切な封止剤で充填される。適切な封止剤は、セラミックウール等、人工の鉱滓綿を含み、ホルダ中の触媒の縁部の周囲に巻き付けることができる。さらに触媒の縁部周囲は、アルミナ等、主要触媒担持材料に類似した材料で被覆して、この封止を強化する。
【0059】
装置は、ガス状生成物が反応領域から出た直後に冷却されるよう、反応領域の下流側に生成物冷却領域を備えてもよい。生成物冷却領域は、反応領域から出る生成物流へと縮合物を注入可能な1個または複数の注入ノズルによって提供されてもよい。
【0060】
好適には第1および第2のマニホルド、注入管、導管(存在する場合)、抵抗領域および反応領域のハウジングは金属性であり、例えば鋼である。純酸素がガス状反応物質として採用される場合、酸素を酸素との反応に抵抗を示す合金と接触させる装置の全部または任意の一部を作成または被覆する必要が生じるかもしれない。酸素が高温でおよび/または酸素が高速のとき、酸素との反応はより起こりやすい。適切な合金はモネルを含む。
【0061】
反応による生成物の温度が高い反応領域の直下流では、好適な構成物の材料はインコネル、インカロイ、ハステロイ、パラロイ等の高ニッケル合金である。金属は、置注鋳造、回転鋳造、鍛造、機械加工および溶接等の技術の一つまたは複数によって形成することができる。
【0062】
本装置は、反応領域の直下流の装置に加わる熱応力を低減するために、適切なサーマルスリーブを備えていてもよい。急速な増加であれ減少であれ、比較的急速な温度変化が例えば始動時あるいは終了時に装置内部で発生する場合に、熱応力は発生しうる。壁の内面は急速に加熱または冷却されるが、外面はよりゆっくりと加熱または冷却され、壁前面に応力を供給する。(壁は、装置の内側と外側の間の圧力差に対応するため等の理由で、相対的に肉厚である。)装置内の熱スリーブとして、装置の壁の材料と同一材料でもよい肉薄の材料のスリーブを使用することによって、壁の内面に影響を及ぼす温度変化の速度を低減させ、したがって熱応力を低減する。
【0063】
本装置は有利には、気体原料を部分的に酸化するために採用される。好適には、第1のガス状反応物質は酸素含有気体であり、第2のガス状反応物質はパラフィン系炭化水素である。
【0064】
本発明は、先に記載した装置を利用するモノオレフィンの生成工程も提供する。
【0065】
こうして、本発明は、第1の実施形態を利用するモノオレフィンの生成工程であって、
酸素含有気体を第1のマニホルドに送り、該酸素含有気体を複数の注入管を経由して複数の導管へと注入することと、
ガス状パラフィン系炭化水素を第2のマニホルドを経由して複数の導管へと送り、該ガス状パラフィン系炭化水素は酸素含有気体と略平行な態様で接触し、混合されることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、好適には多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において部分燃焼させ、モノオレフィンを生成すること
を含む工程を提供する。
【0066】
本発明は、第2の実施形態の装置を利用するモノオレフィンの生成工程であって、
酸素含有気体を少なくとも1個の第1の入口から少なくとも1個のマニホルドを経由して複数の第1の注入管へと送り、ガス状パラフィン系炭化水素を少なくとも1個の第2の入口から少なくとも1個の第2のマニホルドを経由して複数の第2の注入管へと送ることであって、各注入管はマニホルドから離れた端部に、1mm未満の断面開口部を有する出口を有し、第1および第2の注入管の出口は混合構成中に同じ場所に配置されることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、好適には多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において部分燃焼させ、モノオレフィンを生成すること
を含む工程を提供する。
【0067】
モノオレフィンの生成のための好適な工程は、前述した好適な特徴を有する装置を利用する。このため、例えば、第2の実施形態の装置を利用する工程用の好適な装置は、各注入管がマニホルドから遠い端部に0.5mm以下の開口部を有する出口を備える。より好適には、出口は0.2mm以下、例えば0.1mm以下の断面開口部を有する。
【0068】
ガス状パラフィン系炭化水素を含有する原料からモノオレフィンを生成する工程において、パラフィン系炭化水素は適切にはエタン、プロパンまたはブタンであってもよい。パラフィン系炭化水素は、事実上純粋であってもよく、あるいは、例えばメタン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、蒸気または水素等、他の炭化水素、または状況に応じて他の材料との混合物であってもよい。ナフサ、軽油、減圧軽油、またはこれらの混合物等パラフィン系炭化水素含有分画を使用してもよい。適切な原料は、原則的にエタンを含有し、メタンを天然ガスから分離することから生じるガス状パラフィン系炭化水素である。好適な原料は、原則的にエタンを含有し、原則的にモノオレフィンとしてエチレン含有生成物を提供する。
【0069】
酸素含有気体として、適切には酸素または空気を使用してもよい。酸素を使用することが好適であり、状況に応じて例えば窒素等不活性ガスで希釈された酸素が使用される。ガス状パラフィン系炭化水素の酸素含有ガス状混合物に対する比率は通常、炭化水素が二酸化炭素および水へ完全燃焼するための酸素含有気体を示す化学量論的比率の5〜20倍である。好適な組成は、炭化水素の酸素含有気体に対する化学量論的比率の5〜10倍である。
【0070】
本装置は例えば0〜100bargの間の任意の圧力において使用することができるが、高圧下では特に有用である。第1および第2の入口での圧力は好適には10〜50bargであり、最も好適には20〜40bargであり、有利には25〜35barg、例えば30bargである。
【0071】
酸素含有気体は、周囲温度で供給されてもよいが、通常は50〜150℃まで、好適には80〜120℃まで、例えば100℃まで予備加熱される。酸素含有気体は、注入管の出口での保炎の可能性を防止する速度で導管へないしは複数の注入管の出口から注入される。特に本発明の第1の実施形態では、注入管の末端形状は、出口速度を増加するため適切なノズル形状であってもよい。出口速度は典型的には30m/sより大きく、好適には50m/sより大きく、有利には70m/sより大きい。
【0072】
ガス状パラフィン系炭化水素は、通常は100〜400℃まで、好適には150〜350℃の間、例えば300℃まで予備加熱され、導管へとまたは、該パラフィン系炭化水素が酸素含有気体と密に混合される複数の第2の注入管から送られる。ガス状パラフィン系炭化水素は、典型的には5m/s超の、好適には15m/s超の、有利には20m/sの速度で、導管へと入るか、あるいは複数の注入管から出る。
【0073】
第1の実施形態では、注入管を出る酸素含有気体の速度および導管へと送られるガス状パラフィン系炭化水素の速度は、少なくとも1.5:1、好適には少なくとも3:1、最も好適には6:1未満、例えば4:1の比率を有する。この比率によって、確実に急速な混合を行う。
【0074】
第2の実施形態において、第1の注入管から出る酸素含有気体の速度と第2の注入管から出るガス状パラフィン系炭化水素の速度は、第1および第2の注入管の数の相対比、これらの相対的な大きさ、および所望の酸素のパラフィン系炭化水素に対する所望の比率に依存する。しかし、好適には、この比率は少なくとも、0.1:1であり、好適には少なくとも1:1であり、最も好適には少なくとも5:1である。酸素含有気体の出口速度は、典型的には少なくとも50m/sであり、特に100m/sである。例えば、酸素含有気体の注入管の大きさおよび数は、出口速度が少なくとも100m/sとなるようであってもよく、一方、ガス状パラフィン系炭化水素の入口管の数および大きさは、出口速度が10m/sとなるようであってもよく、注入管から出た混合された流れの平均速度は3m/s台であってもよい。
【0075】
ガス状混合物の温度は、通常100〜400℃であり、好適には100〜300℃、例えば200℃である。ガス状パラフィン系炭化水素を導管または第2の注入管へと追加させることに加えて、例えば水素、一酸化炭素および/または二酸化炭素等の他の気体も送ってもよい。
【0076】
第1の実施形態では、ガス状混合物は、第1の冷却領域では水等の冷却液が導管の下流側端部の外面領域周囲を通過する第1の冷却領域によって冷却されてもよい。導管の下流側端部を冷却することによって、導管の局部的な加熱を防止し、これによって導管の出口で安定した炎が形成される場合、「フレームクリープバック」の傾向を除去することができる。
【0077】
冷却液の温度は、典型的には20〜200℃であり、好適には80〜120℃、例えば100℃である。冷却液の流速は、冷却液の温度が100℃未満まで、好適には50℃未満まで、最も好適には30℃未満となるよう操作される。
【0078】
第1の冷却領域は、少なくとも10℃、好適には少なくとも20℃、および最も好適には少なくとも30℃、ガス状混合物の温度を低下させる。
【0079】
両方の実施形態では、ガス状混合物は、通常は1.0〜10.0m/s、好適には2.0〜6.0m/s、最も好適には2.5〜3.5m/sの平均断面速度で送られる。
【0080】
ガス状混合物は、通常は1.0〜10.0m/s、好適には2.0〜6.0m/s、最も好適には2.5〜3.5m/sの速度で、反応領域へと送られる。
【0081】
抵抗領域を通る圧力降下は、典型的には0.01〜0.2bar、好適には0.05〜0.1bar、例えば0.08barである。
【0082】
反応領域における温度は、通常は500℃超、例えば650℃超、典型的には750℃、好適には800℃である。上限温度は適切には1200℃まで、例えば1100℃、好適には1000℃まで上昇してもよい。
【0083】
生成物は、800℃超、例えば900℃の温度で、および通常は10〜50barg、最も好適には20〜40bargおよび有利には25〜35barg、例えば30bargの圧力で、反応領域を出る。
【0084】
好適には、生成物は生成物冷却領域中で急速に冷却される。したがって、生成物冷却工程がガス状生成物中の反応速度を低下させ、さらなる反応が起こることを阻止するので、オレフィン収率が高くなる。
【0085】
有利には、ガス状生成物流は、縮合物の蒸発によってガス状生成物流を冷却するよう、好適には複数の箇所で、ガス状生成物流に縮合物を注入することによって冷却される。
【0086】
縮合物は気体でも液体でもよい。縮合物が気体の場合、好適には不活性気体である。好適には、縮合物は液体、例えば水である。
【0087】
縮合物を高圧および高温で注入することによって、縮合物のうち多くの割合が反応装置圧で即座に蒸発し、したがってガス状生成物流中では非常に迅速に温度が降下する。したがって、水等縮合物は通常はガス状生成物流の圧力よりも高い圧力、例えば100bargで注入され、また通常は100〜400℃、好適には200〜350℃、例えば300℃で注入される。
【0088】
好適には、ガス状生成物流の温度は、反応領域を出てから60mS以内、好適には40mS以内、有利には20mS以内に、800℃、好適には600℃まで低下する。
【0089】
以下本発明を図面の助けを借りて説明する。
【0090】
図1では、酸素含有気体が第1の入口(1)を経由して第1の室(2)へと、次に複数の注入管(3)へと送られる。ガス状パラフィン系炭化水素が第2の入口(4)を経由して、第2の室(5)、次に複数の導管(6)へと送られる。酸素含有気体は、注入管(3)を経由して導管(6)へと注入され、該導管中でガス状パラフィン系炭化水素は酸素含有気体と混合される。
【0091】
ガス状混合物は次に抵抗領域(7)へと送られ、該抵抗領域において、燃焼性の多燃料限界を超えても燃焼を促進可能な触媒を備える反応領域(8)に均一な状態でガス状混合物が送られるよう、ガス状混合物からモーメントを取り出す。ガス状反応物質は、反応領域(8)内で、オレフィンを含有する生成物流を提供するよう変換される。
【0092】
ガス状混合物を抵抗領域(7)へと送る前に、複数の導管の下流側端部に接触する第1の冷却領域(9)を利用して、ガス状混合物の温度を低下させる。
【0093】
最後にオレフィンを含有する生成物流が生成物冷却領域(10)へと送られ、回収前に生成物流の温度を低下させる。
【0094】
図2aでは、白丸で示す一連の注入管(23)が三角形構造で配置されている。第1の注入管の出口は、三角形構造で配置された複数の第2の注入管(26)の出口の中に分散されている。全体配置において(この図は一部のみを示している)、この構成では第2の注入管が第1の注入管の約2倍である。
【0095】
図2bでは、酸素含有気体が第1の室(22)へ、次に複数の第1の注入管(23)へと送られる。ガス状パラフィン系炭化水素は、第2の室(25)へ、次に複数の第2の注入管(26)へと送られる。酸素含有気体およびガス状パラフィン系炭化水素はそれぞれの注入管から出て、急速に混合される。
【0096】
ガス状混合物は次に抵抗領域(27)へと送られ、そこでガス状混合物の速度が、均一な態様で反応領域(28)に送られるよう、平滑化される。(モーメントがガス状混合物から除去される。)該反応領域は、燃焼の多燃料限界を上回る燃焼を促進可能な触媒を備えている。反応領域(28)中で気体反応物資は、オレフィンを含有する生成物流を供給するよう変換される。
【0097】
最後に、オレフィンを含有する生成物流は(図示しない)生成物冷却領域へと送られ、回収前に生成物流の温度を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態の装置の図である。
【図2a】本発明の第2の実施形態の装置の第1および第2の注入管の混合構成の概略的な断面図である。
【図2b】本発明の第2の実施形態の装置の概略的な側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガス状反応物質と第2のガス状反応物質を反応させてガス状生成物を生成する装置であって、該装置は、第1のガス状反応物質のための少なくとも1個の第1の供給手段と、第2のガス状反応物質のための少なくとも1個の第2の供給手段と、抵抗領域と、好適には触媒を備える反応領域とを備え、
第1の供給手段は第1のガス状反応物質の送達のための複数の第1の出口を備え、第2の供給手段は第2のガス状反応物質の送達のための複数の第2の出口を備え、
抵抗領域は、多孔性であり、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、第1のおよび第2の供給手段の下流側に位置し、第1および第2の供給手段と流体連通状態にあり、
反応領域は、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、
第1の供給手段と第2の供給手段は、第1の気体と第2の気体とが略平行な態様で接触させられ、抵抗領域に接触する前に混合されるよう配置されている装置。
【請求項2】
反応領域の横断面1平方メートルあたり、適切には少なくとも100個、好適には少なくとも500個、最も好適には少なくとも1000個の第1および第2の出口を備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1の供給手段が、第1のガス状反応物質を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、第1のガス状反応物質の送達のための前記第1のマニホルドから出る複数の注入管とを備え、第2の供給手段が、第2のガス状反応物質を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、第2のガス状反応物質の送達のための前記第2のマニホルドから出る複数の導管とを備え、
第2のマニホルドは、第1のガス状反応物質の流れに対して、第1のマニホルドの下流側に位置し、
抵抗領域は、多孔性であり、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して、第2の供給手段の下流側に位置し、第2のマニホルドから出る導管と流体連通状態にあり、
反応領域は、第1および第2のガス状反応物質の流れに対して抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、
各導管は、第2のマニホルドから出る上流側端部と、抵抗領域と流体連通状態にある下流側端部とを備え、第1のマニホルドから出る注入管は、第2のマニホルドを経由して延出し、導管の上流側端部に向かって軸方向に突出する請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
複数の導管の下流側端部が冷却されるよう配置された第2のマニホルドから出る複数の導管の下流側端部に接触する、第1の冷却領域をさらに備える請求項3記載の装置。
【請求項5】
第1のマニホルドが第1の室であり、第2のマニホルドが第2の室であり、第1の室から出る注入管が、第2のマニホルドから出る複数の導管の上流側端部まで第2の室を経由して延出する複数の細長い通路を形成する請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
注入管の末端が、開口部に制限を与え、好適には0.5〜3.0mmの範囲の、例えば1.0〜2.0mmの範囲の内径を有するノズルである請求項3から5いずれかに記載の装置。
【請求項7】
流量制限器が、注入管の外面と導管の内面との間の、注入管が導管の上流側端部で導管に挿入される位置またはその近傍に備えられている請求項3から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
第1の供給装置は、第1のガス状反応物質を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、第1のガス状反応物質の送達のための該第1のマニホルドから出る複数の第1の注入管とを備える第1の供給手段と、第2のガス状反応物質を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、第2のガス状反応物質の送達のための該第2のマニホルドから出る複数の第2の注入管とを備え、
各注入管は、マニホルドから離れた端部に、1mm以下の断面開口部を有する出口を有し、
第1および第2の注入管からの出口は、混合構成中の同位置に配置されている請求項1または2記載の装置。
【請求項9】
合計して少なくとも10000個の第1および第2の注入管が1平方メートルあたりに存在する請求項8記載の装置。
【請求項10】
注入管からの出口のすべてが略平面構成中に配置される請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
各注入管が、マニホルドから遠く離れた端部に、0.5mm以下、より好適には0.2mm以下、例えば0.1mm以下の断面開口部を有する出口を有する請求項8から10いずれかに記載の装置。
【請求項12】
注入管が、拡散接合ブロック中の通路として形成される請求項8から11いずれかに記載の装置。
【請求項13】
ガス状生成物を反応領域から出た直後に冷却できるよう、反応領域の下流側に生成物冷却領域を備える請求項1から12いずれかに記載の装置。
【請求項14】
抵抗領域が、1000〜5000/mの間、好適には2000〜4000/mの間、例えば2500〜3500/mの間の平均慣性圧力勾配係数を有する請求項1から13いずれかに記載の装置。
【請求項15】
請求項1または2記載の装置を利用したモノオレフィンの生成工程であって、
ガス状パラフィン系炭化水素が酸素含有気体と略平行な態様で接触し、混合されるよう、酸素含有気体を第1のマニホルドに送り、ガス状パラフィン系炭化水素を第2の供給手段へと送ることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して、反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、好適には多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において、部分燃焼させ、モノオレフィンを生成することを含む工程。
【請求項16】
請求項3から7いずれかに記載の装置を利用したモノオレフィンの生成工程であって、
酸素含有気体を第1のマニホルドに送り、酸素含有気体を複数の注入管を経由して複数の導管へと送ることと、
ガス状パラフィン系炭化水素を第2のマニホルドを経由して複数の導管へと送り、該導管ではガス状パラフィン系炭化水素が酸素含有気体と略平行な態様で接触し、混合されることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して、反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、好適には多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において、部分燃焼させ、モノオレフィンを生成することを含む工程。
【請求項17】
請求項8から12いずれかに記載の装置を利用したモノオレフィンの生成工程であって、
酸素含有気体を少なくとも1個の第1の入口から少なくとも1個の第1のマニホルドを経由して複数の第1の注入管へと送り、ガス状パラフィン系炭化水素を少なくとも1個の第2の入口から少なくとも1個の第2のマニホルドを経由して複数の第2の注入管へと送ることであって、各注入管はマニホルドから離れた端部に、1mm未満の断面開口部を有する出口を有し、第1および第2の注入管の出口は混合構成中の同位置に配置されていることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、好適には多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において部分燃焼させ、モノオレフィンを生成することを含む工程。
【請求項18】
ガス状パラフィン系炭化水素が、エタン、プロパンまたはブタンであり、状況に応じて他の炭化水素との、および状況に応じて他の材料、例えばメタン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、蒸気または水素との混合物である、請求項15から17いずれかに記載の工程。
【請求項19】
酸素含有ガス状混合物に対するガス状パラフィン系炭化水素の比率が、二酸化炭素および水への完全燃焼のための酸素含有気体に対する炭化水素の化学量論的比率の5〜20倍であり、好適には、酸素含有気体に対する炭化水素の化学量論的比率の5〜10倍である請求項15から18いずれかに記載の工程。
【請求項20】
第1および第2の入口での圧力が好適には10〜50bargの間であり、最も好適には20〜40bargの間であり、有利には25〜35bargの間である請求項15から19いずれかに記載の工程。
【請求項21】
反応領域からのガス状生成物流が、好適には縮合物の蒸発によってガス状生成物流を冷却するよう、縮合物をガス状生成物流に複数の箇所で注入することによって、冷却される請求項15から20いずれかに記載の工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素含有気体とガス状パラフィン系炭化水素を反応させることによってモノオレフィンを生成するモノオレフィンの生成工程であって、該工程は、酸素含有気体の送達のための複数の第1の出口を備える第1の供給手段と、ガス状パラフィン系炭化水素の送達のための複数の第2の出口を備える第2の供給手段と、抵抗領域と、反応領域とを備える装置を利用し、
抵抗領域は、多孔性であり、酸素含有気体およびガス状パラフィン系炭化水素の流れに対して、第1のおよび第2の供給手段の下流側に位置し、第1および第2の供給手段と流体連通状態にあり、反応領域は、酸素含有気体およびガス状パラフィン系炭化水素の流れに対して、抵抗領域の下流側に位置し、抵抗領域と流体連通状態にあり、第1の供給手段と第2の供給手段は、第1の気体と第2の気体とが略平行な態様で接触させられ、抵抗領域に接触する前に混合されるよう配置されており、
該工程は、
ガス状パラフィン系炭化水素が酸素含有気体と略平行な態様で接触し、混合されるよう、酸素含有気体を前記第1の供給手段へと送り、ガス状パラフィン系炭化水素を第2の供給手段へと送ることと、
ガス状混合物を、多孔性抵抗領域を経由して、反応領域へと送ることと、
反応領域中でガス状混合物を、多燃料燃焼の可燃限界を超えた燃焼を促進可能な触媒の存在下において、部分燃焼させ、モノオレフィンを生成することを含む工程。
【請求項2】
装置が、反応領域の横断面1平方メートルあたり、少なくとも100個、好適には少なくとも500個、最も好適には少なくとも1000個の第1および第2の出口を備える請求項1記載の工程。
【請求項3】
装置が反応領域の下流側に生成物冷却領域を備え、縮合物の蒸発によってガス状生成物流を冷却するよう、縮合物をガス状生成物流に複数の箇所で注入することによって、ガス状生成物流が生成物冷却領域中で急速に冷却される請求項1から2いずれかに記載の工程。
【請求項4】
ガス状生成物流の温度が、反応領域を出てから60ms以内に800℃未満まで低下する請求項1から3いずれかに記載の工程。
【請求項5】
抵抗領域が、1000〜5000/mの間、好適には2000〜4000/mの間、例えば2500〜3500/mの間の平均慣性圧力勾配係数を有する請求項1から4いずれかに記載の工程。
【請求項6】
ガス状パラフィン系炭化水素が、エタン、プロパンまたはブタンであり、状況に応じて他の炭化水素との、および状況に応じて他の材料、例えばメタン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、蒸気または水素との混合物である請求項1から5いずれかに記載の工程。
【請求項7】
酸素含有ガス状混合物に対するガス状パラフィン系炭化水素の比率が、二酸化炭素および水への完全燃焼のための酸素含有気体に対する炭化水素の化学量論的比率の5〜20倍であり、好適には、酸素含有気体に対する炭化水素の化学量論的比率の5〜10倍である請求項1から6いずれかに記載の工程。
【請求項8】
第1および第2の入口での圧力が好適には10〜50bargの間であり、最も好適には20〜40bargの間であり、有利には25〜35bargの間である請求項1から7いずれかに記載の工程。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載の工程であって、第1の供給手段が、酸素含有気体を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、酸素含有気体の送達のための前記第1のマニホルドから出る複数の注入管とを備え、第2の供給手段が、ガス状パラフィン系炭化水素を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、ガス状パラフィン系炭化水素の送達のための前記第2のマニホルドから出る複数の導管とを備え、
第2のマニホルドは、酸素含有気体の流れに対して、第1のマニホルドの下流側に位置し、
抵抗領域は、多孔性であり、酸素含有気体およびガス状パラフィン系炭化水素の流れに対して、第2のマニホルドの下流側に位置し、第2のマニホルドから出る導管と流体連通状態にあり、
各導管は、第2のマニホルドから出る上流側端部と、抵抗領域と流体連通状態にある下流側端部とを備え、第1のマニホルドから出る注入管は、第2のマニホルドを経由して延出し、導管の上流側端部に向かって軸方向に突出し、
該工程は、
酸素含有気体を第1のマニホルドへと送り、酸素含有気体を複数の注入管を経由して複数の導管へと注入することと、
ガス状パラフィン系炭化水素を第2のマニホルドを経由して複数の導管へと送り、該導管でガス状パラフィン系炭化水素が酸素含有気体と略平行な態様で接触し、混合されることを含む工程。
【請求項10】
装置が、複数の導管の下流側端部が冷却されるよう配置された第2のマニホルドから出る複数の導管の下流側端部に接触する、第1の冷却領域をさらに備える請求項9記載の工程。
【請求項11】
第1のマニホルドが第1の室であり、第2のマニホルドが第2の室であり、第1の室から出る注入管が、第2のマニホルドから出る複数の導管の上流側端部まで第2の室を経由して延出する複数の細長い通路を形成する請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
注入管の末端が、開口部に制限を与え、好適には0.5〜3.0mmの範囲の、例えば1.0〜2.0mmの範囲の内径を有するノズルである請求項9から11いずれかに記載の工程。
【請求項13】
流量制限器が、注入管の外面と導管の内面との間の、注入管が導管の上流側端部で導管に挿入される位置またはその近傍に備えられている請求項9から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
請求項1から8いずれかに記載の工程であって、第1の供給手段は、酸素含有気体を少なくとも1個の第1のマニホルドに供給する少なくとも1個の第1の入口と、酸素含有気体の送達のための該第1のマニホルドから出る複数の第1の注入管とを備え、第2の供給手段は、ガス状パラフィン系炭化水素を少なくとも1個の第2のマニホルドに供給する少なくとも1個の第2の入口と、ガス状パラフィン系炭化水素の送達のための該第2のマニホルドから出る複数の第2の注入管とを備え、
各注入管は、マニホルドから離れた端部に、1mm以下の断面開口部を有する出口を有し、
第1および第2の注入管からの出口は、混合構成中の同位置に配置されており、
該工程は、
酸素含有気体を最小の1個の第1の入口から最小の1個の第1のマニホルドを経由して複数の第1の注入管へと送り、ガス状パラフィン系炭化水素を最小の1個の第2の入口から最小の第2のマニホルドを経由して第2の注入管へと送り、該導管でガス状パラフィン系炭化水素と略平行な態様で接触し、混合されることを含む工程。
【請求項15】
合計して少なくとも100,000個の第1および第2の注入管が1平方メートルあたりに存在する請求項14記載の工程。
【請求項16】
合計して少なくとも1,000,000個の第1および第2の注入管が1平方メートルあたりに存在する請求項15記載の工程。
【請求項17】
注入管からの出口のすべてが略平面構成中に配置される請求項14から16いずれか記載の装置。
【請求項18】
各注入管が、マニホルドから遠く離れた端部に、0.5mm以下、より好適には0.2mm以下、例えば0.1mm以下の断面開口部を有する出口を有する請求項14から17いずれかに記載の装置。
【請求項19】
注入管が、拡散接合ブロック中の通路として形成される請求項14から18いずれかに記載の装置。
【請求項20】
第1のガス状反応物質と第2のガス状反応物質とを反応させてガス状生成物を生成することに適した、請求項9から13のいずれかによって定義された装置。
【請求項21】
第1のガス状反応物質と第2のガス状反応物質とを反応させてガス状生成物を生成することに適した、請求項14から19のいずれかによって定義された装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公表番号】特表2006−517956(P2006−517956A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502252(P2006−502252)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000488
【国際公開番号】WO2004/074222
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505229003)イノビーン ヨーロッパ リミテッド (20)
【Fターム(参考)】