説明

自動発行システム

【課題】本発明は、車両が通行券を発行する自動発行機3の前方位置の車線内に存在するか否かを検知し、通行券を再発行する必要があるか否かを判定することによって車両の運転者が確実に通行券を受け取ることが出来る自動発行システムを提供することを目的とする。
【解決手段】車両が有料道路などの入口に進入したことを検知したことに基づいて、自動発行機3は発行口より通行券を発行する。この通行券が発行口に存するか否かを検知し、発行口に通行券が存していないと検知され、かつ自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在しないと検知されたとき通行券が車両の運転手に受け取られたのではなく、強風などにより通行券が発行口から落下するなどして存在しなくなったとみなし、通行券の再発行を行う為、車両の運転者が確実に通行券を受け取ることが可能な自動発行システムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動発行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駐車場、有料道路の料金所などにおいて進入車両に対して自動的に通行券を発行する自動発行機が使用されている。また、特開平9−161112号公報には進入車両の位置を検知し、その検知した位置に応じて通行券の発行位置を可変させ運転者が確実に通行券を受け取ることができる自動発行システムが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−161112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動発行システムは、上述の様に検知した進入車両の位置に応じて通行券の発行位置を可変させるため、自動発行機の近傍に車両を横付け出来なかった場合に車両の運転者は車窓から身をのりだすといった運転姿勢を崩すことなく通行券を受け取るができる。しかし、自動発行機の設置条件によっては、通行券が気象条件などにより運転者が通行券を受け取る前に落下してしまうことが有り、この場合には運転者は通行券を受け取ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、運転者が確実に通行券を受け取ることが出来る自動発行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に請求項1記載の自動発行システムは、入口へ進入する車両を検知する進入検知手段と、前記進入検知手段によって車両が検知されたことに基づいて車両が前記入口を通過したことを示す入口情報を記録した第1の通行券を発行口より発行する通行券発行手段と、前記通行券発行手段によって発行された第1の通行券が前記発行口に存するか否かを検知する通行券検知手段と、前記発行口の前方位置の車線内に車両が存在するか否かを検知する車両検知手段と、前記車両検知手段によって発行口の前方位置の車線内に車両が存在すると検知され、かつ前記通行券検知手段によって発行口に第1の通行券が存しないと検知されたとき前記第1の通行券とは異なる第2の通行券を発行する再発行手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の運転者が確実に通行券を受け取ることが出来る自動発行システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動発行システムの構成を示す構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る自動発行システムの自動発行機3構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る自動発行システムに使用される通行券を示す図。
【図4】図4の通行券の磁気ストライプに記録される情報を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る自動発行システムの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る自動発行システムを有料道路の各入口に導入した場合を例にとって本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る実施の形態1に係る自動発行システムの構成を示す図である。図2はこの自動発行システムの自動発行機3の構成を示す図、図3は自動発行機3に記憶されている通行券発行制御情報を示す図である。
【0010】
(実施の形態1)
図1に示すように、自動発行システムは、有料道路の料金所において入口処理を行う車線(図1の斜線部)に設置された路側システムを有している。路側システムは、進入検知器12(進入検知手段)、車種判別装置13、自動発行機3、車線制御装置6、発信制御器8、表示装置9、発信検知器14から構成される。
【0011】
進入検知器12は車線の入り口に設置されており、矢印A方向に車線に進入する車両を検知し車両検知情報を車線制御装置6へ通知する。
【0012】
車種判別装置13は、路側部及び路面に設置したセンサ、車両を撮像するカメラ、メモリを備え、メモリには予め車種判別のための車種判別情報が記憶されている。車種判別装置13は、路側部に設置したセンサで検知した車両の外形情報、路面に設置したセンサで検知した車軸、車輪情報、カメラで撮像したナンバープレートなどの情報を基にしてメモリに記憶されている車種判別情報と照合することで車線に進入した車両の車種を判別し車種判別結果の情報を車線制御装置6へ通知する。
【0013】
つまり、車種判別装置13は、進入検知器12とほぼ同じ位置で車線の両側の路側帯に発光部と受光部が対向して設けられた赤外線高さセンサと、車線を横切るように路面に配置された圧力センサと、車両のナンバープレートを撮像し、ナンバーを認識するナンバー認識手段(カメラと文字認識装置)とを有しており、車両の外形と車軸、タイヤの押圧、ナンバーから車両の車種を判別する。
【0014】
車線制御装置6は、各検知器12、14による車両検知情報、車種判別装置13による車種判別結果の情報などにより得られた情報に基づいて、路側システムの各装置、機器を制御する。車線制御装置6は車両或いは有料道路利用のための媒体処理に関する制御(車両に対する通行券の発行制御)を行う。車線制御装置6には予めメモリに入口ゲート番号などが入口情報として記憶されている。車線制御装置6は時計機能を備えており、入口処理の際に時計機能により掲示された車両の通過時刻が入口情報に加えられる。発進制御器8は車両退出口付近に設置されており、車線制御装置6からの制御により、車線に開閉自在に設置された開閉バーを開閉制御し、車両の発信を許可或いは阻止する。
【0015】
表示装置9は車線制御装置6からのメッセージを表示することにより車両の運転者へ処理状況の報知、処理異常の際の対応指示などを行う。この他、処理異常の旨を報知する手段としてブザーなどの警告手段も設けられている。
【0016】
発信検知器14は車線の退出口に設置されており、車線から退出する車両を検知し、車両検知情報を車線制御装置6へ通知する。
【0017】
図2に示すように、自動発行機3はCPU21、メモリ22、搬送部24、通信インターフェース25(以下、通信I/F25)、エンコード部26、印刷部27、センサ28、通行券をストックした発行用の通行券の蓄積部であるストッカ、通行券の発行口・取出口として機能する発行口、廃棄用の通行券の蓄積部としての回収箱を有している。搬送部24、エンコード部26、印刷部27などを通行券発行手段という。通行券発行手段は、車両が入口を通過したことを示す入口情報を印刷し、磁気記録した通行券を発行する。
【0018】
CPU21は、車種判別装置13により判別された車両の車種に基づいて車種ごとに通行券に関する発行制御(通行券発行手段、再発行手段)及び回収制御を行う。
【0019】
CPU21は、進入検知器12により車両が検知された場合、車種判別装置13により判別された車両の車種に基づいて通行券発行手段に対して通行券を発行させる制御を行う。メモリ22には、この装置を制御するための制御プログラムや各種設定情報が記憶されている。各種設定情報の一つとして、メモリ22にはリミット情報が記憶されている。リミット情報は通行券の再発行回数を制御するための情報であり、例えば5、10などの数値が設定される。メモリ22は、CPU21が制御動作を行う上で各機器より受信された情報を記憶し、比較、照合、その結果を更に記憶する作業エリアである。
【0020】
また、CPU21は後述のセンサ28によって検知される通行券が発行口に存する状態が所定時間以上経過するか否かを判定する(判定手段)。所定時間は、任意に設定可能であり、例えば5秒に設定される。
【0021】
搬送部24は、この自動発行システムで利用する磁気カード、つまり通行券をストッカから発行口、回収箱までの間の搬送を行う。搬送部24は通行券発行時にCPU21により制御され、通行券をストッカから発行口へ搬送する。
【0022】
通信I/F25は、車線制御装置6からの情報を受信する一方、自動発行機3で処理した通行券の処理情報を車線制御装置6へ送信する。エンコード部26は、CPU21により制御され、通行券に記録する磁気情報を生成し、磁気ヘッドにより通行券の磁気ストライプへ記録する。また、エンコード部26は通行券に記録されている磁気情報を読取りCPU21へ通知する。印刷部27は、CPU21により制御され、通行券へ情報を印字する。通行券へ印字する情報としては、例えば日付、時刻、車種番号、ナンバー情報などである。
【0023】
車種番号とは車種を特定する番号であり、例えば普通、大型、特大、中型、軽、二輪などの車種に対して、例えば中型車は「1」、大型車は「2」、…二輪車は「6」などと予め決めた数値である。ナンバー情報は、文字認識したナンバーの全部の文字あるいは少なくとも数桁の文字の情報である。
【0024】
センサ28は、発行口、ストッカ、回収箱の入口付近や、その間の搬送路に所定間隔(券の長さ程度の間隔)で複数設けられており、自動発行機2の装置内における通行券の所在を検知する。例えば、発行口の位置するセンサ(以下、発行口センサとする)は通行券の引き抜き(発行口に通行券が存するか否か)を検知する(通行券検知手段)。また、センサ28は自動発行機3の装置内における通行券の所在を検知するとともに車両検知センサ5(車両検知手段)としても機能する。車両検知センサ5は、車両が自動発行機3の前方位置の車線内に存在するか否かを検知するセンサとして機能する。
【0025】
具体的には、図1に示すように車両検知センサ5は照射部5aと受光部5bとの一対からなる透過型センサであり、車線を挟む形で設置される。照射部5aから常に照射される赤外線が車両によって遮られることにより車両が自動発行機3の前方位置に存在するか否かを検知する。車両検知センサ5は、この他、上述した透過型センサではなく、反射型センサを用い、自動発行機3の前方位置に存在する車両からの反射光を受光することで車両が自動発行機3の前方位置の車線内にいるか否かを検知するものであっても良い。
【0026】
図3に示すように通行券の片面には磁気ストライプ31と印刷エリア32が設けられている。磁気ストライプ31は、磁性層を含む磁気記録層からなり、磁気ヘッドにより磁気的に情報が記録される。印刷エリア32には、日付、時刻、車種番号、ナンバー情報などが印字される。
【0027】
図4に示すように、磁気ストライプ31に記録される情報は、入口情報、処理時刻、車両情報(車種、ナンバー情報など)、通行券発行回収回数、印刷済みフラグなどである。
【0028】
CPU21は、磁気ストライプ31に印刷済みフラグが設定されている通行券については、搬送部24を制御して回収箱に回収する。また、通行券の発行により通行券発行回収回数が所定回数に達した通行券については搬送部24を制御して回収箱に回収する。
【0029】
図5を参照してこの自動発行システムの処理を説明する。
【0030】
この自動発行システムでは、有料道路の料金所の入口に設置された入口処理用の車線に矢印A方向に進入する車両が進入検知器12により検知されたとき(S101のYes)、車両が進入したことを示す車両検知情報が車線制御装置6へ送信されて通知される。
【0031】
また、車種判別装置13の位置を通過したことに基づいて、車両の軸数、車幅、ナンバプレートなどの検知情報から車両の車種が判別され(S102)、入口へ進入する車両がの車種を示す車種判別結果の情報が、車線制御装置6に送信されて通知される。
【0032】
車線制御装置6は車種判別結果の情報を受信すると、それを自動発行機3へ送信する。
【0033】
自動発行機3は、通信IF25を介して車種判別結果の情報を受信し、通信I/F25からメモリ22に車種判別結果の情報が記憶されると、通行券の発行処理を行う(S103)。
【0034】
CPU21は、搬送部24を制御してストッカ内の通行券を磁気ヘッドの位置へ搬送し、印刷部27により通行券に印刷処理を行う(S104)とともに記録対象情報に印刷済みフラグをセットする。
【0035】
S104の後、CPU21は、エンコード部26を制御してエンコード処理、つまり入口情報、車両情報などをコード化し磁気ストライプ31に磁気情報の書込み処理を行う(S105)。
【0036】
S105におけるエンコード処理の後、CPU21は搬送部24を制御して通行券を発行口へ搬送し、発行口から通行券を若干突き出した状態で止めるなどの発行制御を行う(S106)。
【0037】
S106において通行券の搬送、発行制御を行った後、センサ28は、発行口センサにより通行券が発行口に存するか否かを検知する(S107)。
【0038】
S107における検知の結果、通行券が発行口に検知されなかったとき、車両検知センサ5により自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在するか否かを検知する(S108)。S108における検知の結果、自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在しないと検知されたとき(S108のNo)、S104からの処理を再び行うことにより通行券の再発行処理を行う。
【0039】
また、S108における検知の結果、自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在すると検知されたときは(S108のYes)、CPU21は、一台の車両に対する処理を終了する(End)。
【0040】
S107における検知の結果、通行券が発行口に存すると検知されたとき(S107のYes)、S107における通行券の存する状態が所定時間を経過した判定されたとき(S109のYes)、「発行済み通行券を直ちに受け取ってください」との旨の警告を発する(S110)。
【0041】
S109において通行券の存する状態が所定時間内であると判定されたとき(S109のNo)、及びS110における警告を発した後はS107からの処理を再び行う。
【0042】
以上説明したように本実施の形態では、自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在するかを検知し、発行口に通行券が検知されなくなったときに自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在するときは、車両の運転者が自動発行機3から通行券を受け取ったとみなし通行券の再発行は行わない。一方、発行口に通行券が検知されなくなったときに、自動発行機3の前方位置の車線内に車両が検知されなかったときは、車両の運転者が自動発行機3から通行券を受け取ったのではなく、強風などにより通行券が発行口から存しなくなったとみなし、通行券の再発行を行う。
【0043】
すなわち、以上述べたように発行口に通行券が検知されなかったときに、自動発行機3の前方位置の車線内に車両が存在するか否かを検知することによって、必要に応じて再発行制御を行うことで、車両の運転者は確実に通行券を受け取ることができる。
【0044】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。さらに異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0045】
3 自動発行機
6 車線制御装置
8 発信制御器
9 表示装置
12 進入検知器
13 車種判別装置
14 発信検知器
21 CPU
22 メモリ
24 搬送部
25 通信I/F
26 エンコード部
27 印字部
28 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口へ進入する車両を検知する進入検知手段と、
前記進入検知手段によって車両が検知されたことに基づいて車両が前記入口を通過したことを示す入口情報を記録した第1の通行券を発行口より発行する通行券発行手段と、
前記通行券発行手段によって発行された第1の通行券が前記発行口に存するか否かを検知する通行券検知手段と、
前記発行口の前方位置の車線内に車両が存在するか否かを検知する車両検知手段と、
前記車両検知手段によって発行口の前方位置の車線内に車両が存在すると検知され、かつ前記通行券検知手段によって発行口に第1の通行券が存しないと検知されたとき前記第1の通行券とは異なる第2の通行券を発行する再発行手段と、
を有することを特徴とする自動発行システム。
【請求項2】
前記通行券検知手段によって第1の通行券が発行口に所定時間以上、存するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって第1の通行券が所定時間以上、発行口に存すると判定されたとき、前記進入検知手段によって検知された車両に対して警告を発する警告手段を有することを特徴とする請求項1記載の自動発行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−60097(P2011−60097A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210541(P2009−210541)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】