説明

自動薬剤供給装置

【課題】薬剤ピッキング部に複数のボックスが配膳された場合であっても、所望の薬剤を間違いなく取り出すことができる自動薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】薬剤ピッキング部13は、収納部から搬送される複数のボックス21を配膳可能な複数の配膳部65a,65bを備え、配膳部65a,65bは、収納部から搬送されるボックス21を出し入れするボックス取出口と、ボックス21から薬剤を出し入れする薬剤取出口67と、薬剤取出口67を開閉可能な開閉カバー68とを有し、複数の配膳部65a,65bのうち、薬剤を出し入れするボックス21が配膳された配膳部65a,65bの開閉カバー68のみが開状態になるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤師等が薬剤を処方する際に、複数種類の薬剤の中から患者の処方箋に沿った薬剤を自動的に選別するような自動薬剤供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、薬剤が種類ごとに収容されているボックスから処方箋に沿って所要の薬剤を供給する自動薬剤供給装置において、複数のボックスが配列されたボックス収納部と、ボックス収納部を経由してトレイを搬送する搬送コンベアとを備え、トレイの搬送時にボックス収納部に収納されたボックスから所望の薬剤がトレイに投入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−234824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に従来の自動薬剤供給装置では、ボックス収納部に収納された複数のボックスから、患者の処方箋に沿った薬剤が収納されたボックスを選択してくれるものの、最終段階であるボックスからトレイへの薬剤の収納作業は、選択されたボックスからユーザー自身(薬剤師等)が人手により必要分量の薬剤をピッキングし、トレイに収納するようになっているのが現状である。そのため、複数のボックスから薬剤を取出可能に構成されている場合、処方箋とは異なった薬剤のボックスから薬剤を取り出してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、薬剤ピッキング部に複数のボックスが配膳された場合であっても、所望の薬剤を間違いなく取り出すことができる自動薬剤供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る自動薬剤供給装置は、薬剤を収納するボックスを複数配列可能に構成された収納部と、前記収納部との間で前記ボックスが搬送され、前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤ピッキング部と、を備えた自動薬剤供給装置であって、前記薬剤ピッキング部は、前記収納部から搬送される複数の前記ボックスを配膳可能な複数のボックス配膳部を備え、前記ボックス配膳部は、前記収納部から搬送される前記ボックスを出し入れするボックス取出口と、前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤取出口と、前記薬剤取出口を開閉可能な開閉カバーとを有し、前記複数のボックス配膳部のうち、前記薬剤を出し入れする前記ボックスが配膳された前記ボックス配膳部の前記開閉カバーのみが開状態になるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、まず薬剤ピッキング部に複数のボックス配膳部を設けることで、各ボックス配膳部には、処方箋に沿ったそれぞれ異なる種類の薬剤が収納されたボックスが順に運び込まれることになる。そのため、複数種類の薬剤を処方する際に、薬剤のピッキング作業を連続的に行うことができる。これにより、スムーズなピッキング作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
特に、これらボックス配膳部は、薬剤を出し入れするボックス(ピッキング対象であるボックス)が配膳されたボックス配膳部の薬剤取出口のみが開状態になるように構成されているため、複数のボックス配膳部が配列されている場合であっても、間違ったボックスから薬剤をピッキングする虞がない。そのため、各患者に対して正確な処方を行うことができる。また、ピッキングする薬剤を迷うことなく選択することができるので、これによっても作業効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、隣接する前記ボックス配膳部のうち、一方の前記ボックス配膳部の前記開閉カバーが開状態にある場合に、他方の前記ボックス配膳部の前記開閉カバーは、前記一方のボックス配膳部の前記開閉カバーに干渉することで、開動作不可能に構成されていることを特徴としている。
この構成によれば、一方のボックス配膳部の開閉カバーが開状態にある場合に、他方のボックス配膳部の開閉カバーの開動作を行おうとしても、開閉カバー同士が干渉して他方のボックス配膳部の開閉カバーの開動作を行えないようになっている。すなわち、隣接するボックス配膳部の両方の開閉カバーがともに開状態になることはなく、ピッキング対象であるボックスが配膳されたボックス配膳部の開閉カバーのみが開状態になるように構成されている。そのため、間違った薬剤をピッキングするのを確実に防ぐことができる。
【0010】
また、前記一方のボックス配膳部の前記開閉カバーが開状態にある場合に、前記他方のボックス配膳部には、次の前記薬剤を出し入れする前記ボックスが搬送可能とされていることを特徴としている。
この構成によれば、一方のボックス配膳部でのピッキング作業中に、次のピッキング対象となる薬剤が他方のボックス配膳部に運び込まれるため、ボックスの搬送に要する待ち時間を短縮またはなくすことができる。すなわち、各ボックス配膳部に搬送されるボックスから薬剤を次々にピッキングしていくことで、スムーズなピッキング作業を行うことができる。
【0011】
また、前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーが開状態にある場合に、前記薬剤取出口から前記ボックスを出し入れ不能に構成されていることを特徴としている。
この構成によれば、薬剤取出口からのボックスの取り出しが不可能に構成されているため、ボックスを容易に入れ替えることができなくなる。そのため、不正にボックスが交換されたりすることを防止でき、薬剤の種類を誤って処方することを防止できる。
【0012】
また、前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーが開状態にある場合に、前記ボックス取出口から前記ボックスを出し入れ不能に構成されていることを特徴としている。
この構成によれば、薬剤のピッキング中(開閉カバーの開状態)において、ボックス配膳部からボックスが入れ替わることがないので、薬剤の種類を誤って処方することを防止できる。
【0013】
また、前記開閉カバーは、閉状態において前記ボックス配膳部内を視認可能な透明部を有していることを特徴としている。
この構成によれば、透明部を通してボックス配膳部内を視認することで、閉状態においてもボックス内に収納された薬剤を確認することができる。そのため、例えばボックス内に残存している薬剤の凡その残数を確認したり、複数種類の薬剤を処方する場合に、次のピッキング対象である薬剤を確認したり、ボックス配膳部にボックスが正確に運ばれているか否か等を確認したりすることができる。その結果、よりスムーズに薬剤のピッキング作業を行うことができる。
【0014】
また、前記開閉カバーに作用する開閉トルクが所定値以上になった場合に、前記開閉カバーへの前記開閉トルクの作用を中止するトルクリミッタが設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、開閉カバーの開閉動作時に、開閉カバーと取出口との間に、万が一物等が挟まった場合であっても、開閉カバーがそれを噛み込んでしまったり、開閉カバーに過負荷がかかることで開閉カバーが故障したり、物が損傷したりすることもない。
【0015】
また、前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーの開閉状態を検出する検出手段を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、開閉カバーの開閉状態を検出することで、複数のボックス配膳部が配列されている場合であっても、何れかのボックス配膳部の開閉カバーが開状態にある場合に、他のボックス配膳部の開閉カバーが開状態になるのを防止できる。すなわち、複数のボックス配膳部が同時に開状態になることがない。そのため、間違った薬剤をピッキングするのを確実に防ぐことができる。
【0016】
また、前記薬剤ピッキング部を照射可能な照明手段を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、薬剤ピッキング部が照明手段によって照らされることで、薬剤のピッキング作業を行いやすくなる。
【0017】
また、前記薬剤ピッキング部を撮像する撮像手段を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、撮像装置により薬剤の処方作業を撮像することにより、ピッキングの作業状況を記録することができる。
【0018】
また、前記複数のボックス配膳部のうち、前記開閉カバーが開状態にある前記ボックス配膳部を表示する表示部を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、開状態にあるボックス配膳部が表示部に表示されるため、表示部の表示に従いながらピッキング作業を行うことで、薬剤を正確にピッキングすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自動薬剤供給装置によれば、まず薬剤ピッキング部に複数のボックス配膳部を設けることで、各ボックス配膳部には、処方箋に沿ったそれぞれ異なる種類の薬剤が収納されたボックスが順に運び込まれることになる。そのため、複数種類の薬剤を処方する際に、薬剤のピッキング作業を連続的に行うことができる。これにより、スムーズなピッキング作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
特に、これらボックス配膳部は、ピッキング対象であるボックスが配膳されたボックス配膳部の薬剤取出口のみが開状態になるように構成されているため、複数のボックス配膳部が配列されている場合であっても、間違ったボックスから薬剤をピッキングする虞がない。そのため、各患者に対して正確な処方を行うことができる。また、ピッキングする薬剤を迷うことなく選択することができるので、これによっても作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の斜視図であり、カバーを開状態にするとともに、収納部を回動させた状態を示したものである。
【図4】図3の状態の上面図である。
【図5】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図6】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図7】本発明の実施形態におけるボックス移動機構の斜視図である。
【図8】薬剤ピッキング部を前方から見た斜視図である。
【図9】薬剤ピッキング部を後方から見た斜視図である。
【図10】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置を用いた薬剤供給システムを示す構成図である。
【図11】第1配膳部の開状態を示す自動薬剤供給装置の斜視図である。
【図12】第2配膳部の開状態を示す自動薬剤供給装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(自動薬剤供給装置)
次に、本発明に係る自動薬剤供給装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は自動薬剤供給装置の正面図であり、図2は斜視図である。また、図3は図2の状態からカバーを開状態にするとともに、収納部を回動させた状態を示した図である。
図1〜図3に示すように、自動薬剤供給装置10は、薬剤が収納されるボックス21が複数配列される収納部23およびボックス21を移動させるボックス移動機構25が配設された本体部11と、処方箋などにより選別された薬剤が収納されているボックス21から該薬剤を所定分量取り出すための薬剤ピッキング部13と、患者の氏名や処方箋情報(例えば、薬剤名、ピッキング数)などを表示しタッチパネル機能を有するモニタ15と、患者の氏名および処方箋情報などを印字可能なプリンタ17と、ボックス21から取り出した薬剤を収納するトレイ14(図11、図12参照)を載置するトレイ載置台19と、を備えている。
【0022】
また、収納部23の前面には開閉可能な扉状のカバー31が設けられている。さらに、カバー31には施錠部材33が設けられており、鍵によりカバー31を施錠することができるようになっている。つまり、通常はカバー31を施錠しておくことにより、薬剤が収納されたボックス21を取り出すことができないようになっている。したがって、ボックス21の位置が移動するのを防止することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、薬剤ピッキング部13およびモニタ15が正面視で略中央部に配されており、その両側に収納部23が配されるように構成されている。このように薬剤ピッキング部13を正面視略中央部に配することにより、ボックス移動機構25の移動距離を最短にすることができ、ボックス移動機構25の長寿命化を図ることができる。
【0024】
図4は図3の状態の上面図である。
図3、図4に示すように、カバー31は観音開きの扉で構成されている。また、カバー31と本体部11とが接触する本体部11側には、カバー31の開閉状態を検知する開閉確認センサー35が設けられている。この開閉確認センサー35は、ボックス移動機構25とのインターロック機構に利用されており、開閉確認センサー35によりカバー31が開状態と判定された場合には、ボックス移動機構25の駆動を停止するように構成されている。
【0025】
また、収納部23は本体部11の鉛直方向に沿って設けられた支柱27を中心に回動可能に構成されている。本実施形態では、支柱27の両側に収納部23が配設されており、各収納部23は支柱27を中心に平面視で約180°回動可能に構成されている。このように構成することにより、収納部23の装置背面側に配されたボックス移動機構25のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0026】
図5は図1のA−A線に沿う断面図であり、図6は図1のB−B線に沿う断面図である。
図3、図5、図6に示すように、収納部23は薬剤を収納するボックス21が縦横に複数配列可能に構成されている。また、収納部23を本体部11内に納めた状態で、ボックス21が全て装置手前側に配されている。つまり、カバー31を開けると、全てのボックス21が視認でき、例えばボックス移動機構25が故障した場合であっても容易に所望の薬剤が収納されたボックス21を取り出すことができる。さらに、収納部23におけるボックス21が配される棚部分には、ボックス21が落下するのを防止するための段差(不図示)が設けられている。なお、この段差は、ボックス移動機構25でボックス21を収納部23から引き出す際には乗り越えることができる高さで形成されている。なお、図5、図6は収納部23の表示を省略している。
【0027】
収納部23に配されるボックス21の装置奥行方向の位置と、薬剤ピッキング部13に配されるボックス21の装置奥行方向の位置とは略同一の位置になるように配置構成されている。また、収納部23の装置背面側にはボックス21を移動するためのボックス移動機構25が配設されている。このように構成することにより、ボックス移動機構25における収納部23からボックス21を出し入れする機構および薬剤ピッキング部13からボックス21を出し入れする機構を略同一の機構で構成することができる。したがって、ボックス移動機構25の構成を簡素化することができる。
【0028】
ここで、ボックス移動機構25の駆動方法について説明する。図7は、ボックス移動機構の斜視図である。
図7に示すように、ボックス移動機構25は、ボックス21を鉛直方向に移動させる鉛直軸移動機構41と、ボックス21を水平方向に移動させる水平軸移動機構42と、ボックス21を載置可能なボックス載置部43と、を備えている。なお、鉛直軸移動機構41および水平軸移動機構42は、例えばモータにより駆動して、ベルトを回転させることによりボックス載置部43を所望の方向(鉛直方向および水平方向)へと移動させることができる。
【0029】
また、ボックス載置部43は鉛直方向に配された移動軸45に支持されており、移動軸45に沿ってボックス載置部43が移動することによりボックス21は鉛直方向に移動し、移動軸45が水平方向に移動することによりボックス21は水平方向に移動するように構成されている。
【0030】
さらに、ボックス載置部43には、ボックス21に形成された被係止部22と係合可能な爪部47が形成されており、該爪部47はボックス載置部43の奥行方向に移動可能に構成されている。つまり、爪部47が装置前面側に位置したときにボックス21の被係止部22と係止されるように構成され、その状態で爪部47を装置背面側に移動させることによりボックス21をボックス載置部43に載置することができる。そして、ボックス21を収納部23と薬剤ピッキング部13との間で移動させることができるように構成されている。
【0031】
(薬剤ピッキング部)
図8は薬剤ピッキング部を前方から見た斜視図であり、図9は後方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、水平面において装置奥行方向に直交する方向を装置幅方向とし、幅方向中心から離れる方向を幅方向外側、幅方向中心に近づく方向を幅方向内側として説明する。
ここで、図8、図9に示すように、薬剤ピッキング部13は、ボックス移動機構25によって運ばれたボックス21が配膳される複数(本実施形態では2個)のボックス配膳部(第1配膳部65a及び第2配膳部65b)を備えている。これら配膳部65a,65bは、装置幅方向に沿って並んで配置されており、それぞれ本体部11内に配置されたフレーム66と、薬剤ピッキング部13の上面にフレーム66に対向するように開口された薬剤取出口67と、薬剤取出口67を開閉可能とされた開閉カバー68とを主に備えている。なお、各配膳部65a,65bは、装置幅方向の中心を通る鉛直方向に沿う直線を対称にして線対称に配置された部材のため、以下の説明では、各配膳部65a,65bを分けて説明する必要がない場合はまとめて説明する。
【0032】
各フレーム66は、金属等の板材が略C字状に屈曲形成された部材であり、鉛直方向に沿って延在し、本体部11内に支持固定される一対のブラケット部71,72と、装置前後方向に亘って延在し、各ブラケット部71,72の上端部間を架け渡す載置台73とを備えている。
載置台73は、その上面でボックス移動機構25により運ばれたボックス21を支持するようになっている。そして、ボックス移動機構25によってボックス21を薬剤ピッキング部13に出し入れする際には、まず薬剤ピッキング部13の背面側で、ボックス移動機構25のボックス載置部43の上面と、載置台73の上面との鉛直方向が一致するようにボックス移動機構25を移動させる。この状態でボックス載置部43の爪部47を装置前面側または背面側に向けて移動させることにより、ボックス載置部43と載置台73との間でボックス21の出し入れが行えるようになっている。
【0033】
各薬剤取出口67は、薬剤ピッキング部13の上面においてボックス21の開口部と略同形状に形成されており、幅方向に並んで配置されている。そして、ユーザーは、この薬剤取出口67を通してボックス21内に収納された薬剤をピッキングできるようになっている。
【0034】
図8に示すように、各開閉カバー68は、装置前後方向を軸方向にして、薬剤取出口67を閉塞する閉状態と、薬剤取出口67を開放する開状態との間で回動可能に構成されている(図8中矢印参照)。具体的に、開閉カバー68は、回動方向における一端側(閉状態側)に形成された円弧部77と、回動方向における他端側(開状態側)に形成された平面部79と、装置前後方向において円弧部77及び平面部79に連結された一対の側面部75,76とを備えている。
各側面部75,76は、装置前後方向からフレーム66を挟みこむように配置されており、その基端部(幅方向内側)にはブラケット部71,72を貫通して各側面部75,76を架け渡すように、シャフト78が挿通されている。これにより、開閉カバー68は、シャフト78回りに回動可能に構成されている。
【0035】
円弧部77及び平面部79は、閉状態においてボックス21の上方から幅方向外側の側面を覆うように連続的に形成されている。
まず、円弧部77は、装置前後方向を軸方向として湾曲しており、ボックス21の開口部と対向位置にある場合(ボックス21の上方に配置された場合)に薬剤取出口67を閉状態とするものである。具体的に、円弧部77は、その中央部にボックス21の開口面積より僅かに小さい開口部を有し、この開口部を覆うようにカバー体(透明部)80が設けられている。このカバー体80は、樹脂等の透明材料により構成されている。すなわち、開閉カバー68は、カバー体80を通してボックス配膳部65a,65b内を視認することで、閉状態においてもボックス21内の薬剤を確認できるようになっている。
【0036】
各配膳部65a,65bのそれぞれの平面部79は、開閉カバー68が閉状態にある場合(図8参照)に、円弧部77の幅方向外側の端部に一体的に形成され、幅方向外側に向かうにつれ下方に傾斜するように形成されている。すなわち、各平面部79は、互いに離れる方向に向かって延在している。平面部79は、図9に示すように、ボックス21の上方に配置された場合に、水平方向に沿って延在するとともに、薬剤取出口67を開状態とするものである。具体的に、平面部79は、その中央部にボックス21の開口面積より僅かに小さい開口部81を有し、この開口部81を通してユーザーはボックス21内に収納された薬剤をピッキングできるようになっている。
また、開閉カバー68の開状態において、平面部79における開口部81の周縁と、ボックス21における開口部の周縁とは、鉛直方向から見て重なるように配置されている。そのため、薬剤取出口67からボックス21を取り出そうとした場合には、開口部81の周縁部同士が干渉してボックス21を引き抜けないようになっている。そのため、収納部23以外の場所からボックス21を容易に入れ替えることができなくなり、不正にボックスを交換されることを防止し、薬剤の種類を誤って処方することを防止できる。
【0037】
図9に示すように、装置背面側の側面部76には、収納部23から運び込まれるボックス21を出し入れするボックス取出口83が形成されている。ボックス取出口83は、回動方向における一端側、すなわち閉状態側においてボックス21の背面に重なるように配置されている。また、ボックス取出口83は、正面視で矩形状に形成されるとともに、その開口面積は、ボックス21の背面よりも大きく形成されている。つまり、ボックス21は、閉状態においてボックス移動機構25によってボックス取出口83から出し入れ可能に構成される一方、開状態において側面部76の周縁とボックス21の背面とが干渉することで出し入れ不能に構成されている。これにより、薬剤のピッキング中において、配膳部65a,65bからボックス21が入れ替わることがないので、薬剤の種類を誤って処方することを防止できる。
【0038】
また、各ボックス配膳部65a,65bは、開閉カバー68を自動的に開閉するための図示しないモータを備え、モータのモータギヤと、シャフト78に連結されたギヤ84とが噛合している。これにより、モータのトルク(開閉トルク)がギヤ84に伝達され、開閉カバー68が回動するようになっている。なお、モータには、図示しないトルクリミッタが連結されており、シャフト78に作用する開閉トルクが所定値以上になった場合に、モータを逆回転させるようになっている。
【0039】
ここで、図9に示すように、各配膳部65a,65bの開閉カバー68は、閉状態と開状態との間を移行する際に互いに逆方向に回動するように構成されている。具体的に、各開閉カバー68は、開動作時に幅方向内側に倒れこむように回動し、隣接する配膳部65a,65b間に入り込むようになっている。そのため、一方の開閉カバー(例えば、第1配膳部65aの開閉カバー68)が開状態にある場合に、他方の開閉カバー(例えば、第2配膳部65bの開閉カバー68)の開動作を行うと開閉カバー68同士が干渉して開動作を行えないようになっている。すなわち、本実施形態では、配膳部65a,65bの両方の開閉カバー68がともに開状態になることはなく、何れか一方の開閉カバー68のみが開状態になるように構成されている。
【0040】
また、図8に示すように、装置前面側において、各フレーム66のブラケット部71には、開閉カバー68の開閉状態を検出する例えば2つのセンサー(第1センサー88及び第2センサー89)が幅方向に沿って配列されている。各センサー88,89は、例えば投光部と受光部とが二股状に配置されたフォトマイクロセンサーであり、開閉カバー68の開閉動作に伴って、投光部と受光部との間に側面部75が進退可能に構成されている。
また、各開閉カバー68の側面部75における先端側には、周縁部が切り欠かれた切欠き部90が形成されている。具体的に、第1配膳部65aの開閉カバー68に形成された切欠き部90は、開状態において第1センサー88を避けるように形成されている。一方、第2配膳部65bの開閉カバー68に形成された切欠き部90は、開状態において第2センサー89を避けるように形成されている。すなわち、第1配膳部65aの開閉カバー68の開状態時には、側面部75が第2センサー89内のみに進入することで、第1配膳部65aの開閉カバー68が開状態にあると検出する。一方、第2配膳部65bの開閉カバー68の開状態時には、側面部75が第1センサー88内のみに進入することで、第2配膳部65bの開閉カバー68が開状態にあると検出する。これにより、配膳部65a,65bのうち、何れの開閉カバー68が開状態にある場合に、他の開閉カバー68が開状態になるのを防ぐことができる。
【0041】
なお、各フレーム66の幅方向外側には、開閉カバー68の開動作時において、平面部79の端部に当接して開閉カバー68の回動範囲を規制するストッパ91が設けられている。
【0042】
また、薬剤ピッキング部13には、例えば載置されたボックス21の底面に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ69(図10参照)が設けられている。薬剤ピッキング部13にバーコードリーダ69を設けることにより、ボックス移動機構25により運ばれてきたボックス21に収容されている薬剤が処方する薬剤と一致しているか否かを判定することができる。したがって、万一収納部23におけるボックス21の位置が移動してしまったときにも種類の異なる薬剤を誤って処方してしまうのを防止することができる。なお、ボックス21に付すものはバーコードでなくICチップなどでもよい。この場合は、バーコードリーダの代わりにICリーダを薬剤ピッキング部13に設ければよい。
【0043】
さらに、モニタ15の下部には、照明器具(照明手段)16が配設されており、薬剤ピッキング部13およびトレイ載置台19を照射できるように構成されている。これにより、薬剤のピッキング作業及びトレイ14への載置作業を行いやすくなる。
また、モニタ15の上方には、薬剤ピッキング部13を撮像するCCDカメラ等の図示しない撮像手段が配置されており、ユーザーのピッキング作業を撮像できるようになっている。これにより、ピッキングの作業状況を確認することができる。
【0044】
(薬剤供給システム及び薬剤処方方法)
次に、上述した自動薬剤供給装置10を駆動するための薬剤供給システムおよび薬剤を処方する方法について説明する。図10は、自動薬剤供給装置を用いた薬剤供給システムを示す構成図である。
図10に示すように、薬剤供給システム50は、患者の処方箋情報などを認識するレセプトPC51と、薬剤を自動的に選別して取り出すことができる自動薬剤供給装置10に設けられた装置制御部53と、を備えている。装置制御部53は、ネットワークI/F54を介してレセプトPC51に接続されている。
【0045】
レセプトPC51は、一般的なパソコンで構成されており、記録部55を備え、表示部56、キーボード57、プリンタ58およびICタグやバーコードを読み取るためのリーダ59を備えている。
【0046】
なお、リーダ59は、患者が持参してきたレセプト(処方箋)の情報を読み取るものであり、レセプトに付されたICタグやバーコードを読み取ることで患者に処方される薬剤の種類や分量が認識できるようになっている。
【0047】
患者のレセプトをリーダ59で読み込むと、その情報は、レセプトPC51で処理され、患者の名前、その薬剤の種類や分量などの情報が装置制御部53に送られる。
【0048】
装置制御部53は、RAMなどで構成され患者の名前、薬剤の種類やピッキング数、分量といった処方箋情報を記録する記録部61を備え、記録部61からの指示によりボックス移動機構25を駆動させるように構成されている。さらに、所定の薬剤がどのボックス21に収納されているかを記憶している薬剤位置記憶部62と、ボックス移動機構25の移動管理をする移動管理部63と、ボックス21内に残っている薬剤の数量や使用期限などを管理する薬剤情報管理部64と、を備えている。また、自動薬剤供給装置10は、各種情報を表示するモニタ15、処方箋情報を出力するプリンタ17、ボックス21に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ69および補充する薬剤が収容された箱などに付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ70を備えている。なお、モニタ15には、記録部61に記録された患者の名前、薬剤の種類やピッキング数等が表示され、ユーザーが視認可能に構成されている。
【0049】
薬剤位置記憶部62は、収納部23に配された複数のボックス21の位置を認識するとともに、所定のボックス21にはどの薬剤が収納されているかを記憶している。なお、ボックス21にはICタグやバーコードなどが付されており、特定のボックス21が収納部23のどの位置に収納されているものかを記憶できるように構成されている。
【0050】
つまり、レセプトPC51から患者の処方箋情報を受領した装置制御部53は、処方箋情報に基づいて薬剤の種類を特定することで、どこのボックス21に該当する薬剤が収納されているかを特定し、そのボックス21が収納部23のどこの位置に載置されているかを認識することができる。
【0051】
移動管理部63は、薬剤位置記憶部62により所望のボックス21の位置を認識して、該ボックス21の移動管理を行うものである。具体的には、ピッキング対象である所望のボックス21が収納部23のどの位置に存在するかを把握して、効率良くボックス移動機構25を駆動させてボックス載置部43をピッキング対象のボックス21の背面に最短距離で移動させることができる。そして、ピッキング対象のボックス21の背面側にボックス載置部43が位置した状態で、爪部47を移動させてボックス21を係止し、ボックス21をボックス載置部43上に移動させる。さらに、当該ボックス21を所望の配膳部(例えば、第1配膳部65a)の背面側まで移動させた後、爪部47を装置前面側に押し出すように移動させる。これにより、開閉カバー68のボックス取出口83を通って、ボックス21が第1配膳部65aの載置台73上に載置される。
【0052】
図11は、第1配膳部の開状態を示す自動薬剤供給装置の斜視図である。
図9、図11に示すように、第1配膳部65aの載置台73にピッキング対象のボックス21が載置されると、モータが駆動することで、開閉カバー68がシャフト78回りに回動し始める。その際、円弧部77が幅方向内側に向けて倒れこむように回動することで、平面部79がボックス21の上方に配置された開状態に移行する。これにより、ユーザーは、モニタ15に表示された各種情報に従いながら、平面部79の開口部81を通して薬剤を所定分量取り出し、トレイ載置台19に置かれたトレイ14に薬剤を入れる。
【0053】
ここで、本実施形態において、薬剤ピッキング部13の配膳部65a,65bには2個のボックス21が同時に載置可能になっているが、両方の開閉カバー68を同時に開状態にすることができないようになっている。すなわち、一方の開閉カバー68が開状態にある場合に、他方の開閉カバー68の開動作を行うと開閉カバー68同士が干渉して開動作を行えないようになっている。これにより、薬剤を誤って処方するのを防止することができる。さらに、モニタ15には、ピッキング対象のボックス21が載置された第1配膳部65aを指し示すマークが表示されるようになっており、これを確認することで、ピッキング対象のボックス21が載置された第1配膳部65aが、開状態にあることを認識できるようになっている。したがって、薬剤を誤って処方するのをより確実に防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、センサー88,89によって開閉カバー68の開閉状態を検出できるようになっている。具体的に、何れかのセンサー88,89に開閉カバー68の側面部75が進入すると、この検出信号が装置制御部53に出力され、装置制御部53は何れの配膳部65a,65bの開閉カバー68が開状態にあるかを判断する。これにより、何れかの配膳部の開閉カバー68が開状態にある場合に、他の配膳部の開閉カバー68が開状態になるのを防止できる。すなわち、複数の配膳部が同時に開状態になることがないので、複数の配膳部65a,65bが配列されている場合であっても、薬剤を間違ってピッキングすることがない。
【0055】
なお、処方する薬剤が複数種類ある場合に、開状態になっている第1配膳部65a側で薬剤のピッキング作業を行っている間に、ボックス移動機構25は次のピッキング対象となるボックス21を収納部23から運び出し、閉状態になっている第2配膳部65b側の載置台73に載置するようになっている。これにより、第1配膳部65aでのピッキング作業中に、次のピッキング対象となる薬剤が第2配膳部65bに運ばれるため、ボックス21の持ち運びに要する待ち時間を短縮またはなくすことができる。
【0056】
そして、第1配膳部65aで薬剤のピッキング作業が終了すると、例えばモニタ15に表示された「処方終了」の箇所をタッチすることにより、第1配膳部65aの開閉カバー68が回動して薬剤取出口67が閉塞される。第1配膳部65aが閉状態になると、続いて、図12に示すように、第2配膳部65bの開閉カバー68が回動して、薬剤取出口67が開放される。この際、第2配膳部65bの載置台73上には、ピッキング対象であるボックス21が既に載置されている。そして、ユーザーは、第2配膳部65bに運ばれた薬剤を、平面部79の開口部81を通して取り出し、トレイ載置台19に置かれたトレイ14に薬剤を入れる。このように、各配膳部65a,65bに運ばれるボックス21から交互に薬剤をピッキングしていくことで、複数種類の薬剤を処方する際であっても、連続的なピッキング作業を行うことができる。なお、図12は、第2配膳部の開状態を示す自動薬剤供給装置の斜視図である。
【0057】
そして、最後のピッキング対象であるボックス21から薬剤をピッキングした後、モニタ15に表示された「処方終了」の箇所をタッチすると、プリンタ17から患者の氏名や処方箋情報などが印字された紙片が排出される。この紙片をトレイ14に入れておくことにより、トレイ14を見ただけでどの患者の薬剤かを即座に認識することができる。また、ボックス21に収納されている薬剤が足りない場合には、その旨紙片に書き込むようにすれば、薬剤の渡し忘れを防止することができる。
【0058】
ここで、ボックス21内の薬剤の量が所定量よりも少なくなった場合には、モニタ15にその旨を表示して、薬剤を補充することを喚起する。薬剤の補充は、薬剤の処方中に行うことや、患者のいない時間帯などにモニタ15からの操作により補充が必要なボックス21を呼び出して補充することができる。また、薬剤を補充する際には、薬剤が入った箱などに付されているバーコードをバーコードリーダ70で読み取り、読み取ったバーコードが補充する薬剤のバーコードか否かを判定する。補充する薬剤でない場合には警告を出すなどして、ボックス21に対応した正しい薬剤を補充するように構成されている。
【0059】
なお、ボックス21内の薬剤の残量管理の方法としては、例えば、薬剤をボックス21に補充する際に、何錠補充したかをモニタ15から入力して薬剤情報把握部64に記憶させる。そして、薬剤を必要分量だけ取り出すごとに当該薬剤の残量を減じ、予め設定した閾値よりも薬剤の残量が少なくなったときに薬剤を補充することを喚起するようにすればよい。
【0060】
モニタ15は、各種情報を表示するとともに、タッチパネル機能を有する表示装置であり、例えば、所望のボックス21が選択されたこと、その選択されたボックス21の薬剤の補充をすべきことの喚起、正しいボックス21が選択され、かつそのボックス21が薬剤ピッキング部13に載置されたことの表示など様々なものが表示される。
【0061】
このように、本実施形態では、薬剤ピッキング部13は複数の配膳部65a,65bを備え、ピッキング対象のボックス21が運ばれた配膳部の開閉カバー68のみが開状態になるような構成にした。
この構成によれば、まず薬剤ピッキング部13に複数の配膳部65a,65bを設けることで、配膳部65a,65bには処方箋に沿ったそれぞれ異なる種類の薬剤が収納されたボックス21が順に運び込まれることになる。そのため、例えば複数種類の薬剤を処方する際に、薬剤のピッキング作業を連続的に行うことができる。これにより、スムーズなピッキング作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0062】
特に、これら配膳部65a,65bは、ピッキング対象である配膳部の開閉カバー68のみが開状態になるように構成されているため、モニタ15に表示された各種情報に従いながら、容易にピッキング作業を行うことができる。これにより、複数の配膳部65a,65bが配列されている場合であっても、間違ったボックス21から薬剤をピッキングする虞がない。そのため、各患者に対して正確な処方を行うことができる。また、ピッキングする薬剤を迷うことなく選択することができるので、作業効率の向上を図ることができる。
この場合、本実施形態では、一方の開閉カバー68が開状態にある場合に、他方の開閉カバー68の開動作を行おうとしても、開閉カバー68同士が干渉して開動作を行えないようになっている。すなわち、隣接する配膳部65a,65bの両方の開閉カバー68がともに開状態になることはなく、ピッキング対象であるボックス21が運び込まれた配膳部の開閉カバー68のみが確実に開状態となる。そのため、間違った処方の薬剤をピッキングするのを確実に防ぐことができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、開状態になっている配膳部側で薬剤のピッキング作業を行っている間に、ボックス移動機構25は次のピッキング対象となるボックス21を収納部23から運び出し、閉状態になっている配膳部側の載置台73に載置するようになっている。これにより、一方の配膳部でのピッキング作業中に、次のピッキング対象となる薬剤が他方の配膳部に運ばれるため、ボックス21の持ち運びに要する待ち時間を短縮またはなくすことができる。すなわち、各ボックス配膳部65a,65bに運び込まれるボックス21から交互に薬剤をピッキングしていくことで、スムーズなピッキング作業を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、円弧部77に透明材料からなるカバー体80が設けられているため、このカバー体80を通して配膳部65a,65b内を視認することで、閉状態においてもボックス21内に収納された薬剤を確認することができる。そのため、例えばボックス21内に残存している薬剤の凡その残数を確認したり、複数種類の薬剤を処方する場合に、次のピッキング対象である薬剤を確認したり、配膳部65a,65bにボックス21が正確に運ばれているか否か等を確認したりすることができる。その結果、よりスムーズに薬剤のピッキング作業を行うことができる。
【0065】
また、開閉カバー68のモータにはトルクリミッタが連結されているため、シャフト78に作用するトルクが所定値以上になった場合に、モータが逆回転するようになっている。そのため、開閉カバー68の閉動作時に、開閉カバー68と薬剤取出口67との間に、万一物等が挟まった場合であっても、開閉カバー68がそれを噛み込んで、開閉カバー68に過負荷がかかることで開閉カバー68が故障したり、物が損傷したりすることがない。また、開閉カバー68の開動作時に、開閉カバー68と薬剤取出口67との間で、物が引きずりこまれることもない。これによっても、開閉カバー68に過負荷がかかることで開閉カバー68が故障したり、物が損傷したりすることがない。
【0066】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、薬剤ピッキング部13に2つの配膳部65a,65bを配列し、2個のボックス21を同時に載置できるように構成したが、3つ以上のボックス配膳部を配列し、3個以上のボックス21を載置できるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、開閉カバー68を回動式に構成したが、これに限らずスライド式に構成しても構わない。
また、上記実施形態では、カバーの施錠方法として鍵を用いたが、これに限らず暗証番号方式やカードキーを用いた方式であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…自動薬剤供給装置 13…薬剤ピッキング部 16…照明器具(照明手段) 21…ボックス 23…収納部 65a…第1配膳部(ボックス配膳部) 65b…第2配膳部(ボックス配膳部) 67…薬剤取出口 68…開閉カバー 83…ボックス取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収納するボックスを複数配列可能に構成された収納部と、
前記収納部との間で前記ボックスが搬送され、前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤ピッキング部と、を備えた自動薬剤供給装置であって、
前記薬剤ピッキング部は、前記収納部から搬送される複数の前記ボックスを配膳可能な複数のボックス配膳部を備え、
前記ボックス配膳部は、
前記収納部から搬送される前記ボックスを出し入れするボックス取出口と、
前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤取出口と、
前記薬剤取出口を開閉可能な開閉カバーとを有し、
前記複数のボックス配膳部のうち、前記薬剤を出し入れする前記ボックスが配膳された前記ボックス配膳部の前記開閉カバーのみが開状態になるように構成されていることを特徴とする自動薬剤供給装置。
【請求項2】
隣接する前記ボックス配膳部のうち、一方の前記ボックス配膳部の前記開閉カバーが開状態にある場合に、
他方の前記ボックス配膳部の前記開閉カバーは、前記一方のボックス配膳部の前記開閉カバーに干渉することで、開動作不能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動薬剤供給装置。
【請求項3】
前記一方のボックス配膳部の前記開閉カバーが開状態にある場合に、
前記他方のボックス配膳部には、次の前記薬剤を出し入れする前記ボックスが搬送可能とされていることを特徴とする請求項2記載の自動薬剤供給装置。
【請求項4】
前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーが開状態にある場合に、前記薬剤取出口から前記ボックスを出し入れ不能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項5】
前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーが開状態にある場合に、前記ボックス取出口から前記ボックスを出し入れ不能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項6】
前記開閉カバーは、閉状態において前記ボックス配膳部内を視認可能な透明部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項7】
前記開閉カバーに作用する開閉トルクが所定値以上になった場合に、前記開閉カバーへの前記開閉トルクの作用を中止するトルクリミッタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項8】
前記ボックス配膳部は、前記開閉カバーの開閉状態を検出する検出手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項9】
前記薬剤ピッキング部を照射可能な照明手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項10】
前記薬剤ピッキング部を撮像する撮像手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項11】
前記複数のボックス配膳部のうち、前記開閉カバーが開状態にある前記ボックス配膳部を表示する表示部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の自動薬剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−79642(P2011−79642A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233802(P2009−233802)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】