説明

自動車が間隙を通過できるか否かを決定する方法およびシステム

【課題】自動車が、損傷することなく、制限された間隙を通過できるか否かの決定を可能にする方法を提供する。
【解決手段】自動車が道路の間隙を通過できるか否かを決定する方法であって、道路(30)の制限された間隙を検出するステップと、自動車のイメージ(32)を画定するステップと、自動車のイメージ(32)を制限された間隙(30)と比較するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の制限された間隙を自動車が通過できるか否かを決定する方法、およびこの目的のために、自動車のドライバーを支援するシステムに関する。
【0002】
本発明は、特に自動車の分野に適している。
【背景技術】
【0003】
自動車を運転していると、道路上の進行方向に、制限された間隙に出会うことがある。道路のこのような間隙は、例えば、道路工事で狭まった部分、トンネル、陸橋の下の制限された高さ、または駐車スペースなどである。このような制限は、道路の制限された幅、制限された高さ、または制限された長さによって生じるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、自動車が、損傷することなく、制限された間隙を通過できるか否かを決定できる方法、およびこれに関連したドライバー支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は、自動車が道路における間隙を通過できるか否かを決定することによって達成される。この方法は、道路における制限された間隙を検出するステップと、自動車のイメージを画定するステップと、自動車のイメージと制限された間隙とを比較するステップを含んでいる。
【0006】
このタイプの方法は、自動車が間隙を通過できるか否かを、単純な方法で決定できるという利点を有する。したがって、この方法によると、自動車の損傷を回避することができ、より重要なことに、事故を回避することができる。さらに、ドライバーによる自動車の操作を助ける手段が提供される。
【0007】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージと間隙の比較は、自動的に行われる。これは、自動車のドライバーにより行われる比較よりも迅速であり、ドライバーは、道路で間隙に遭遇した際に、迅速に対応することができる。さらに、ドライバー自身が比較を行わなくてもよい。
【0008】
限定目的ではない一実施形態では、間隙と自動車のイメージの比較を行って、自動車が損傷することなく間隙を通過できるか否かを、視覚的に決定できるように、間隙がディスプレイに表示され、自動車のイメージが、間隙のイメージの平面に、この間隙の大きさに合った寸法スケールで表示される。
【0009】
したがって、自動車のイメージの大きさが、間隙のクリアランス寸法よりも小さい場合、自動車は、損傷することなく間隙を通過することができる。次に、イメージを生成する手段が、比較の時点で前方に位置する間隙を、自動車が、損傷することなく後方へ通過できるか否かを決定する。
【0010】
限定目的ではない一実施形態では、ディスプレイに表示された制限された間隙は、カメラによって記録された周囲のイメージの一部を構成する。ディスプレイに表示されたこの周囲のイメージにおいて、自動車のイメージは、その自動車のイメージが、間隙のイメージの平面で、間隙の寸法スケールに一致するように投影される。
【0011】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のドライバーによって比較が行われる場合、ディスプレイ上で自動車のイメージを間隙に投影する際には、イメージの平面、および自動車のイメージの位置をディスプレイ上で手動調節して、自動車のイメージを間隙の位置に移動させることができる。この調節を行う際、ドライバーは、例えばスライド式、回転式、およびプッシュボタン式のスイッチなどの手動操作手段を用いることができる。ドライバーは、ディスプレイ上の自動車のイメージを、間隙における適切な位置に再配置し、次に、自動車のイメージの寸法スケールが、間隙またはその周囲に一致するように、寸法スケールを変更することができる。
【0012】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージの位置および平面は、ディスプレイ上で、間隙の位置に自動的に移される。そのため、自動車のイメージを、ディスプレイ上で手動で移動させる必要がない。
【0013】
ディスプレイ上の自動車のイメージが間隙の位置に移され、寸法スケールが適宜に調節されたら、自動車が、損傷することなく間隙を通過できるか否かを決定することができる。
【0014】
限定目的ではない一実施形態では、間隙は、ディスプレイ上で固定されている。このため、自動車が移動する際に、間隙が同時に移動することがない。
【0015】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージは、自動車の速度と推定距離に関連した大きさであり、この推定距離は、自動車の前部と自動車のイメージとの間の距離である。そのため、ドライバーは、自分の位置が間隙に対して、どのように変化しているかを確認することができる。
【0016】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージは、自動車の型式によって決定される。したがって、自動車のイメージと間隙との比較の際に、自動車の正確な寸法が考慮される。したがって、この比較は、きわめて正確である。
【0017】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージと間隙(例えば、トンネルの入口、陸橋の支持構造、または道路工事の障壁など)を表すゾーンが重なり合う場合、警告信号が発せられる。これにより、自動車が通過できないことが、ドライバーに知らせられる。
【0018】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージは、この自動車のアウトラインまたはこのアウトラインを描く線によって表される。線または半透明なイメージが表示される場合、この利点は、このように描かれた自動車のアウトライン内に位置するゾーンが、ディスプレイ上で覆われないことである。
【0019】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のイメージの大きさを間隙に正確に合わせる際には、ディスプレイの底部に、自動車のイメージに向かって延びる自動車の通路を表示することができる。
【0020】
通路は、具体的には、道路に沿って自動車のイメージまで延びており、通路の幅は、イメージの各平面において、具体的には、自動車のイメージの幅(車輪の幅を考慮)と一致している。通路がバーの形態で示される場合、このバーは、イメージの下縁から自動車のイメージまで遠近法によって細くなっている。ディスプレイ上に描かれた通路により、イメージの平面における自動車のイメージの正確な寸法スケール、または間隙の位置を得ることができる。正確な寸法スケールを設定するために、通路を道路に沿って選択し、自動車のイメージの下縁を、間隙の高さに調節することができる。
【0021】
限定目的ではない一実施形態では、自動車のドライバーは、自動車に配置された光源によって、自動車の幅または高さを自動車の進行方向前方で視認することができる。そのため、ドライバーは、前方の周囲またはディスプレイを観察して、自動車が同じ方向を進んだ場合、自動車が進行方向の間隙を通過できるか否かを決定することができる。従って、ドライバーはより効率的に案内され、間隙を通過する際に衝突するリスクが軽減される。この光源は、具体的には、着色光を放出することができるものである。
【0022】
限定目的ではない一実施形態では、光源が、道路に沿って光を放出するか、または自動車の幅または高さを表す2本の線を、道路上に投射するように、光源を配置することができる。
【0023】
上記した目的は、本発明による方法を実施するためのドライバー支援システムによって達成することができる。このシステムは、周囲を記録するためのカメラと、道路の制限された間隙を検出するためのイメージ解析手段、および間隙を自動車のイメージと比較するための手段を備えた評価ユニットと、ディスプレイ16とを備えている。
【0024】
限定目的ではない一実施形態では、記録された周囲の再生、および自動車のイメージが、ディスプレイに表示される。
【0025】
限定目的ではない一実施形態では、支援システムは、さらに、自動車のイメージの位置および平面を調節して、自動車のイメージをディスプレイ上で再配置するための手動調節手段または自動調節ユニットを有する。
【0026】
限定目的ではない一実施形態では、支援システムは、さらに、自動車のドライバーが自動車の幅または高さを視認できるようにする光源を有する。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明、および限定目的でない添付の図面を参照すれば、より良く理解できると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1に模式的に示すドライバー支援システム10は、カメラ12と、自動車が通過すべき道路の制限された間隙を検出するためのイメージ解析手段14a、および間隙と自動車のイメージを比較する手段14bを有する評価ユニット14と、ディスプレイ16を備えている。
【0029】
限定目的ではない実施形態では、このシステム10は、さらに、2つの光源15と、自動車のドライバーによって操作される調節手段18を備えている。この調節手段18は、限定目的ではない実施形態では、評価ユニット14に接続された、回転ボタンまたはトラックボールなどのスライド式、回転式、またはプッシュボタン式のタクトスイッチとすることができる。
【0030】
限定目的ではない一実施形態では、比較手段14bは、ディスプレイ16上の自動車のイメージの位置および平面を調節して、自動車のイメージを、間隙の位置に移動させる自動調節ユニットを備えている。
【0031】
詳細は後述するが、自動車のイメージ(プロフィールとも呼ぶことができる)が画定され、次に、このイメージが、既に検出されている道路の制限された間隙と比較される。このイメージは、自動車の少なくとも1つの寸法(幅、高さ、または長さ)を考慮し、少なくとも1つの自動車の寸法と道路の制限の種類(道路、トンネル、陸橋、駐車スペースなど)によって決まる間隙との比較が行われる。例えば、この制限が陸橋の場合は、自動車の高さが考慮され、この制限がトンネルの場合は、自動車の高さと幅が考慮され、この制限が駐車スペースの場合は、自動車の長さが考慮される。図から分かるように、このイメージと間隙は、ディスプレイ16に表示しても、しなくても良い。
【0032】
自動車の走行方向の前方の場景が、カメラ12によって記録される。
【0033】
次の説明は、逆方向の走行にも当てはまりうる。
【0034】
この記録された情景は、ディスプレイ16に表示することができる。したがって、この場景が表示されると、両方の光源15(図1に模式的に図示)は、道路に沿った自動車の幅bを表す2つの線17を放出する。自動車のドライバーは、走行方向の場景を観察する際に、これらの線17を視認することができる。適宜、光源15によって放出される線17を、ドライバーがディスプレイ16で確認できるように、光源15を設計することができる。
【0035】
具体的には、この光源として、レーザー光源を用いることができる。この光源は、具体的には、各ヘッドランプのハウジング内に取り付けることができる。もちろん、他の種類の光源を用いることもできる。
【0036】
図2〜図4は、例えば、カメラ12によって記録された場景のイメージを例示している。この場景のイメージは、道路20と、センターライン22の左側および歩道24の右側の自動車の通路を示している。対向車26は、反対の車線を走行している。ディスプレイのイメージから分かるように、自動車は、陸橋の支持構造28によって右側が制限されているガード下に近づいている。陸橋の支持構造28と対向車26との間の領域が、道路の制限された間隙30を表している。この間隙は、イメージ解析手段14aによって検出され決定される。
【0037】
限定目的ではない第1の例では、このようなイメージ解析手段14aは、文献「P.ビオラ(三菱電機研究所)およびM.ジョーンズ(コンパックVRL)による、”単純な構造のブーストカスケードを用いた迅速な物体の検出”(Rapid Object Detection Using a Boosted Cascade of Simple Features-P.Viola-Mitsubishi Electric Research Labs, M.Jones-Compaq CRL-Conference on computer vision and pattern recognition 2001)」に開示されている。このような解析手段の限定目的ではない第2の例が、フランス国特許第0511488号に開示されている。
【0038】
システム10は、損傷することなく、道路の制限された間隙30を自動車が通過できるか否かを決定することができる。
【0039】
このために、限定目的ではない一実施形態では、ディスプレイ16は、図2および図3に示すように、ドライバーが乗車している自動車のイメージ32を表示している。
【0040】
第1の変更形態では、イメージ32は、例えば、後方または前方から見た自動車のアウトラインを表す実線の形態である。もちろん、自動車のアウトラインよりも単純な正方形や平行六面体などの別の形状を用いることもできる。イメージ32によって、自動車の長さを表すこともできることに留意されたい。
【0041】
図面にグラフィック形式で描いてある、自動車のイメージ32の方向に、道路20に沿って延びた通路34を、ディスプレイの底部に示している。通路34の幅bは、各イメージの平面における自動車のイメージ32の幅(車輪の幅を考慮している)と一致している。遠近法のため、この幅bは、関連するイメージの平面の位置に対して狭くなっている。
【0042】
図2に示すように、ディスプレイのイメージの下縁から自動車のイメージ32の下縁までの距離aは、間隙に対する自動車の距離と一致している。
【0043】
図2〜図4に示すように、カメラ12によって記録された場景のイメージにおいて、間隙30は、自動車の走行方向前方に位置している。したがって、通路34は、走行方向に直線状に延びている。線17は、図2のディスプレイ16には示していない。
【0044】
光源15によって放出される線17が、ディスプレイ16に表示される場合、この線17は、ディスプレイ16に示されている位置にある通路34を画定する。道路の制限された間隙30が、自動車の前方に直線状に延びていない場合は、線17が、通路34を表す線の上ではなく、別の方向に現れる。
【0045】
図3に示すように、車輪の操舵角と一致する軌道35を、実線で表すこともできる。この軌道は、制限された間隙30まで延びる車輪の経路を示す線によって表されている。
【0046】
車輪の軌道を示すことにより、例えば、ドライバーが自動車間の距離を維持したい場合に、ドライバーが容易に駐車したり、曲がりくねった道路を容易に走行することができる。したがって、ドライバーは、車輪の軌道上の障害物を検出して回避したり、軌道上を走行することができる。車輪の軌道は、必ずしも通路34に平行でなくてもよいことに留意されたい。
【0047】
車輪の軌道は、操舵角を考慮して調節するできることに留意されたい。操舵角は、例えばセンサから得られ、例えば自動車の垂直軸に対して計算される。この時、この値を偏揺れ角と呼ぶ。したがって、軌道35を表す線は、直線ではなく曲線とすることができる。
【0048】
軌道は、前輪の軌道と後輪の軌道の2つのタイプに分けることができる。こうすることにより、これらの2つのタイプの車輪に対して、異なる回転半径を考慮することができる。
【0049】
図2または図3に示す自動車のイメージ32を、手動操作の調節手段18を用いてディスプレイ16上で再配置し、その大きさを調節することができる。再配置は、一連のステップで連続的または段階的に行うことができる。したがって、自動車のイメージ32を、道路30の制限された間隙の位置に移動させて、イメージ32の寸法スケールが、このイメージ平面に示されている間隙30の寸法スケールと一致するように、寸法スケールを調節することができる。
【0050】
ドライバーが、自動車のイメージ32を通路34に再配置するのを容易にするために、図3に太い点線で示すように、自動車のイメージ32の両側の垂直線および水平線36などを定めるための補助を用いることもできる。
【0051】
図4は、3つの異なるイメージ平面に配置されたイメージ32の3つの異なる寸法スケールの組合せを示している。図示されている最も大きい自動車のイメージ32’は、自動車がガード下に進入する時のイメージ平面に位置している。図示されている中間の大きさの自動車のイメージ32’’は、ガード下内の自動車の寸法スケールに一致している。3番目の32’’’は、自動車がガード下を出る時の自動車の寸法スケールと一致し、対応するイメージ平面に位置している。
【0052】
ドライバーが通過しようとする間隙30の位置は、ディスプレイ16に固定するのが好ましいことに留意されたい。したがって、自動車が、間隙30に対して前進するか、または後退するかによって、自動車のイメージ32、32’、32’’を、ディスプレイ16上に固定された間隙30のイメージに合わせる。
【0053】
自動車のイメージ32の大きさは、推定距離d2および自動車の速度Vitに関連して調節できることにも留意されたい。したがって、通路34は、自動車と道路の制限された間隙30との間の最初の正確な距離に設定される。
【0054】
自動車の速度Vitを考慮し、この速度Vtiに走行時間Tを乗じて、走行距離d1と、最初の距離からこの走行距離d1を減じた値に等しい推定距離d2が得られる。したがって、自動車のイメージ32は、自動車が道路30の制限された間隙に近づくにつれて、自動車のイメージ32の大きさが増大するように大きさが変更される。したがって、自動車のイメージ32の大きさと、推定距離d2との間の対応が確立される。この推定距離は、自動車の前部とイメージ32との間の距離である。イメージ32の様々な大きさと推定距離d2の様々な値との間のこのような対応を、自動車のメモリに保存することができる。
【0055】
推定距離d2は、例えば工場で、最小または最大に設定できることにも留意されたい。
【0056】
この第1の実施形態の第2の限定目的ではない変更形態では、ディスプレイ16は、図5に例示するように、ドライバーが乗車している自動車の上から見たイメージ32およびその周囲を示している。このタイプのディスプレイは、「鳥瞰図」と呼ばれ、限定目的ではない例である文献「Fホルツマンら著、”仮想ドライバーを用いた安全運転の向上”(Improvement of driving safety using a virtual driver-F.Holzmann, et al-Daimler Chrysler AG, Truck Product Creation-Ecole Polytechnique de Lausanne-Technical University of Munich)」、特に4章のAおよびBに記載されている。
【0057】
このようなディスプレイ16は、例えば駐車スペースなどの制限された間隙30に対して、自動車の長さまたは幅をチェックしたり、図5に例示するように、単純に用いて、対向車や交差する車両を示し、自動車が交差点で道路を行き過ぎないようにチェックすることができる。したがって、このタイプの図は、特に、自動車の側で生じる危険をドライバーに警告するのに適している。
【0058】
例えば、ドライバーの操作方法が、駐車スペースに入れるのに適していない場合には、例えば危険が存在する側の自動車の側面の赤色インジケータなどの警告信号を表示することができる。
【0059】
もちろん、自動車の3Dビューなどの別のタイプの図を用いることもできる。
【0060】
その結果、自動車のイメージ32と対応するイメージ平面に示されている間隙30の内側の幅との比較により、自動車が損傷することなく、間隙を通過できるか否かを決定することができる。ドライバーは、具体的には、ディスプレイ16上の自動車のイメージ32と間隙30を観察して、この比較を行うことができる。
【0061】
第2のより完全な実施形態では、この比較は、評価ユニット14、間隙30を検出するイメージ解析手段14a、および比較手段14bによって自動的に行うことができる。このイメージの適切な処理により、この間隙30の内側の幅を計算し、自動車のイメージ32と対応するイメージ平面を比較することができる。
【0062】
別の変更形態では、この比較は、自動車のイメージ32と間隙30のイメージの両方を、同じ平面に配置して(例えば自動車のイメージ32の位置および平面を調節して、このイメージ32を間隙の位置に移動させて)行うことができる。
【0063】
この場合、この比較は、ドライバーによって行われない。
【0064】
したがって、ディスプレイ16は、自動車のイメージ32や間隙30のイメージを表示する必要がない。ドライバーが、自動車を損傷することなく、間隙を通過できるか否かをドライバーに知らせるために、視覚信号を、ディスプレイ16上に表示させることができる。また、ディスプレイ16は、必ずしも表示する必要はない。
【0065】
この時、別のインターフェイスを音または触知のインターフェイス(不図示)などとして用いて、ドライバーが自動車を損傷することなく、間隙を通過できるか否かをドライバーに知らせることができる。したがって、視覚インターフェイスを備えていないビデオセンサを有するカメラ12を使用することができる。
【0066】
もちろん、ディスプレイ16が、自動車のイメージ32、間隙30のイメージ、および周囲を表示した状態で、比較が自動的に行われる第3の実施形態を提供することもできる。これは、比較手段14bの自動調節ユニットによって行われる。この自動調節ユニットは、ディスプレイ16上の自動車のイメージの位置および平面を調節して、自動車のイメージを間隙の位置に移動させることができる。
【0067】
したがって、ドライバーによる確認、または光、音、または触知の信号の生成によって、自動車が損傷することなく、間隙30を通過できると決定された場合、ドライバーは、前方で起きることに集中しながら、間隙30を適切に通過することができる。
【0068】
これは、自動車を損傷することなく、間隙を通過するためにドライバーが選択した進路が適切か否かが、ドライバーに知らされるという点で、線17によって促進されることに留意されたい。線17を考慮しながら、ドライバーは、自動車の前方で起きることに集中し、ディスプレイ16に注意を払わなくても良い。したがって、線17は、自動車が損傷することなく、ドライバーが間隙を通過するのを助ける。
【0069】
光源15は、具体的には、周囲に対して目立ち、ドライバーが明確に確認できる着色光を放出することができる。同様に、線17は、ディスプレイ16上にカラーで示すことができる。
【0070】
自動車が、損傷することなく、間隙30を通過できない場合、警告信号を、ドライバーに対して発することもできる。重なり合う場合、ドライバーに対して発せられる警告信号を、光、可聴音、または触知の信号とすることができる。例えば、音の信号を発するか、または「進め」、「ゆっくり進め」、「進むな」などの警告文字をディスプレイ16上に表示することができる。
【0071】
衝突が迫った場合、他のドライバー支援システム、具体的には、自動車の自動ブレーキを作動させることもできる。
【0072】
例えば強制ターンまたは強制ブレーキを作動させるために、他のドライバー支援システムを、警告信号に接続することも可能である。
【0073】
一般的な方法では、自動車のイメージ32(ディスプレイ16上に表示されていてもいなくても)を決定する際には、使用されるパラメータが、自動車の正確な寸法を確認できる自動車の型式であることに留意されたい。したがって、自動車の型式が、工場でまたは改造時に、自動車のメモリに保存される。
【0074】
特に自動車が静止している場合、例えばドアの幅やテールゲートの長さなどのパラメータを用いて、自動車が駐車スペースなどの道路30の制限された間隙に位置している時に、ドアまたはテールゲートを開けることができるか否かを決定することができる。自動車の型式は、工場でまたは改造時に記録することができる。
【0075】
ルーフ上の自転車や取外し式ルーフラックの存在などの他のパラメータを考慮することもできる。このようなパラメータは、ドライバーが適当なインターフェイス(例えば、システム10のスタートアップ)を介して、または存在センサなどによって自動的にメモリに保存することができる。
【0076】
限定目的ではない一実施形態では、支援システム10は、図1に例示するような障害物検出システム40と協働することができる。この障害物検出システム40は、通路34すなわち自動車と間隙30との間に障害物が存在するか否かの決定、障害物の種類(自動車、オートバイなど)の決定、および障害物が移動しているか静止しているかの決定に役立つ。
【0077】
このようなシステムは、例えば、当業者に周知の1または複数のセンサ(視覚、レーダー、超音波、レーザーなど)、および/またはこのようなセンサによって生成されるデータの組合せに基づいている。
【0078】
レーダーセンサを用いる障害物検出システム40の限定目的ではない例が、文献「Fクルーゼ、Fフォルスター、Mアーホルト、MMメイネック、Hローリング著、”自動車レーダーを用いた物体の分類”(Object classification with automotive radar-F.Kruse, F.Folster, M.Ahrholdt, MM.Meinecke, H.Rohling-Technical University of Hamburg-Harburg, Dpt of Telecommunications-Volkswagen AG, Research Electronic Systems)」に記載されている。
【0079】
別のタイプのセンサを用いる障害物検出システム40の別の限定目的ではない例が、文献「MJカルソおよびLSウイザナワサム著、”AMR磁気センサを用いた自動車の検出およびコンパスの利用”(Vehicle Detection and Compass Applications using AMR Magnetic Sensors-MJ. Caruso, LS. Withanawasam-Honeywell, SSEC)」、特にAMRセンサの利用および自動車の分類(AMR Sensor Applications and Vehicle Classification)の章に記載されている。
【0080】
障害物検出システムは、自動または半自動である。半自動の場合、適当なインターフェイスにより、自動車のドライバー自身が障害物を決定することができる。
【0081】
したがって、例えば自動車などの障害物が通路34に存在すると、ドライバーが進まないように警告するために、信号(可聴音や視覚信号など)が発せられる。
【0082】
限定目的ではない実施形態では、支援システム10は、自動車のサイドミラーなどの搭載システム50を自動的に制御するために搭載システム50と協働することもできる。例えば、ドライバーが狭い駐車スペースに自動車を駐車したい場合、支援システム10が、駐車スペースが狭すぎることを検出し、上記したような警告信号を発することができるが、サイドミラーを折りたためば駐車スペースに入れることができる場合は、自動的にサイドミラーを折りたたむことができる。同じことを、同様に搭載システム50と協働することができる障害物検出システム40に適用することもできる。
【0083】
このような自動制御は、オプションとして、ドライバーが適当なインターフェイスを介して作動させることができる。また、この自動制御を、自動車のドアやテールゲート、またはブレーキペダルの段階的な作動や自動駐車システムに利用することも可能である。
【0084】
したがって、このような支援システム10は、自動車が移動している場合(道路を前進または後退している際や、ドライバーが駐車スペースなどに駐車したい場合など)、自動車が静止している場合(例えば、ドライバーが自動車のドアを開けたい時など)に用いることができる。したがって、支援システム10により、事故や自動車の損傷を回避することができ、ドライバーによる自動車の正確な操作が助けられる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明によるドライバー支援システムの模式的な線図である。
【図2】図1のシステムによって生成されるディスプレイの第1の例を例示す図である。
【図3】図1のシステムによって生成されるディスプレイの第2の例を例示す図である。
【図4】図1のシステムによって生成されるディスプレイの第3の例を例示す図である。
【図5】図1のシステムによって生成されるディスプレイの第4の例を例示す図である。
【符号の説明】
【0086】
10 ドライバー支援システム
12 カメラ
14 評価ユニット
14a イメージ解析手段
14b 比較手段
15 光源
16 ディスプレイ
17 線
18 調節手段
20 道路
22 センターライン
24 歩道
26 対向車
28 支持構造
30 間隙
32 自動車のイメージ
32’ 最も大きい自動車のイメージ
32’’ 中間の大きさの自動車のイメージ
32’’’ 最も小さい自動車のイメージ
34 通路
35 軌道
36 水平線
40 障害物検出システム
50 搭載システム
a 下縁から自動車のイメージ32の下縁までの距離
b 自動車の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路30における制限された間隙を自動車が通ることができるか否かを決定する方法であって、
前記道路30の制限された間隙を検出するステップと、
自動車のイメージ32を画定するステップと、
前記自動車のイメージ32を、制限された間隙30と比較するステップを含む方法。
【請求項2】
自動車のイメージ32と間隙30との比較は、自動的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表示された間隙30と自動車のイメージ32とを比較することによって、自動車が、損傷することなく、前記間隙を通過できるか否かを決定できるように、前記間隙30と自動車のイメージ32を、ディスプレイ16に表示させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ディスプレイに表示された間隙30は、周囲の記録されたイメージの一部を構成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
自動車のイメージ32、32’、32’’、32’’’の位置および平面を、ディスプレイ16上で手動調節して、この自動車のイメージを、間隙30の位置に移動させることを特徴とする、請求項1、または3、または4に記載の方法。
【請求項6】
自動車のイメージ32の位置および平面を、ディスプレイ16上で、間隙30の位置まで自動的に移動させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
間隙30は、ディスプレイ16に固定されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
自動車のイメージ32は、自動車の速度Vtiと、自動車の前部と前記自動車のイメージ32との間の距離である推定距離d2と関連する大きさであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
自動車のイメージ32は、自動車の型式によって定められていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
自動車のイメージ32と間隙30を表すゾーン26、28とが重なり合う場合、警告信号が発せられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
自動車のイメージ32は、この自動車のアウトライン、またはこのアウトラインを示す線によって表わされることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
自動車のイメージ32に向かって延びる通路34が、ディスプレイの底部に表示されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
自動車に配置された光源15によって、ドライバーが、前記自動車の前方の走行方向に前記自動車の幅または高さを視認できるようにすることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
光源は、自動車の幅または高さを表す2本の線を、道路に沿って放出するか、または前記道路へ投射することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法を実施するためのドライバー支援システム10であって、
周囲を記録するためのカメラ12と、
道路30の制限された間隙を検出するためのイメージ解析手段14a、および前記間隙30を自動車のイメージ32と比較するための手段14bを備えた評価ユニット14と、
ディスプレイ16とを有する支援システム10。
【請求項16】
記録された周囲の再生および自動車のイメージ32が、ディスプレイ16に表示されるようになっている、請求項15に記載の支援システム10。
【請求項17】
ディスプレイ16上で、自動車のイメージ32の位置および平面を調節して、前記自動車のイメージ32を間隙30の位置まで移動させるための手動調節手段18または自動調節ユニットを、さらに有する、請求項15または16に記載の支援システム10。
【請求項18】
自動車のドライバーがこの自動車の幅または高さを視認できる光源15を有する、請求項15〜17のいずれかに記載の支援システム10。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−108240(P2008−108240A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−217712(P2007−217712)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】