説明

自動車のためのジョイント

本発明は、自動車のためのジョイントであって、ケーシング(5)と、該ケーシング(5)に配置された支承シェル(4)と、支承領域(1)とスタッド領域(2)とを有していて、支承領域(1)で支承シェル(4)に旋回可能及び/又は回転可能に支承されている支承スタッド(3)と、前記ケーシング(5)に配置されて、固体として形成されている少なくとも1つの緊締手段(33)とを有しており、該緊締手段によって、支承シェル(4)から支承領域(1)に加えられる機械的な応力が変更可能である形式のものにおいて、支承シェル(4)が、少なくとも所定の領域でばね弾性的に形成されていて、緊締手段(33)によってばね弾性的に変形可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのジョイントであって、ケーシングと、該ケーシングに配置された支承シェルと、支承領域とスタッド領域とを有していて、支承領域で支承シェルに旋回可能及び/又は回転可能に支承されている支承スタッドと、前記ケーシングに配置されて、固体として形成されている少なくとも1つの緊締手段とを有しており、該緊締手段によって、支承シェルから支承領域に加えられる機械的な応力が変更可能である形式のものに関する。
【0002】
ジョイント、特にボールジョイントは、支承領域もしくはジョイントボールを動かすために所定の回転モーメントを要する。典型的な回転モーメントは、例えば約2Nmであって、これはボールをボールシェルにプレス嵌め(過剰寸法)することにより意図的に得られる。このようにしないと、僅かな摩耗後に既に、または僅かな製造誤差のもとで既に、許容できない遊びが生じてしまう。しかしながら以前は、走行快適性を改善するために、回転モーメントを1Nm以下に下げることが所望された。しかしながら他方、ホイール振動がステアリングやシャシに伝わる前に、このようなホイール振動を減衰するために、ホイール振動数が上昇するにつれ回転モーメントを上昇させることが所望されている。これまでこのような要求は、合成グリスとポリウレタン支承シェルを使用することにより満たしていた。これにより回転モーメントは振動数が上昇するにつれ受動的に上昇する。しかしながらこの効果は不十分なものであり(回転モーメントの上昇は最大で3倍である)、常に再現可能ではない。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10245983号明細書により公知のボールジョイントは、ケーシングと、このケーシングに配置された2つの支承シェルエレメントと、スタッド及びジョイントボールを有したジョイント本体と、ケーシング底面とを有していて、ジョイント本体はジョイントボールで両支承シェルエレメントの間に装着されていて、ケーシング底面は、ケーシングの、スタッドとは反対の側に配置されている。両支承シェルエレメントのうち第1の支承シェルエレメントとケーシング底面との間には、調節可能な緊締装置が配置されており、この装置により、ジョイント本体を両支承シェルエレメントの間に緊定するプレロードを変更することができる。機械的なプレロードの変更のためには、緊締装置は圧電的なエレメント、または液圧的なエレメント、例えば液圧ピストンを有していて良い。
【0004】
しかしながらこのような形式のボールジョイントでは、プレロードは極めて微細に調節することはできない。1/100mm範囲の運動が既に、極めて大きな回転モーメントの変化を引き起こすからである。さらに、場合によっては存在するホイールの遊びを補償することはできない。少なくとも一方の支承シェルエレメントが、他方の支承シェルエレメントに接近または離反運動することができるようにするための滑り軸受も必要である。このことは製造精度に対する要求を高める。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3740442号明細書により公知のボールジョイントは、ケーシングと、このケーシングに配置された弾性的な支承シェルと、スタッド及びジョイントボールを有したジョイントスタッドと、カバーとを有していて、ジョイントスタッドはジョイントボールで支承シェルに装着されていて、カバーはケーシングの、支承スタッドとは反対側の開口を閉鎖している。支承シェルには、単数又は複数の室が形成されていて、これらの室には流動性の媒体が充填されており、圧力媒体源に後置された弁装置に接続されている。これにより、ジョイントボールの軸方向および半径方向の調節可能性が得られる。さらに、傾動モーメント及び回転モーメントが調節可能である。
【0006】
このような形式の支承シェルは、中空であって、従って比較的肉薄に製造しなければならない。この場合、通常支承シェルで生じる摩耗により、支承シェル壁に亀裂や孔が生じる危険がある。圧力媒体回路が損傷された状態では、流動性の媒体は流出する恐れがあり、これにより、ケーシングにおいて、ボールジョイントを使用不可能にするほど大きな支承スタッドの遊びが生じる恐れがある。
【0007】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のジョイントを改良して、回転モーメントを精密に調節することができるようにすることである。
【0008】
この課題は、請求項1に記載のジョイントにより解決される。有利な別の構成は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明による自動車のためのジョイントは、ケーシングと、該ケーシングに配置された支承シェルと、支承領域とスタッド領域とを有していて、支承領域で支承シェルに旋回可能及び/又は回転可能に支承されている支承スタッドと、前記ケーシングに配置されて、固体として形成されている少なくとも1つの緊締手段とを有しており、該緊締手段によって、支承シェルから支承領域に加えられる機械的な応力が変更可能である形式のものにおいて、支承シェルが、少なくとも所定の領域でばね弾性的に形成されていて、緊締手段によってばね弾性的に変形可能である。
【0010】
本発明によるジョイントによれば、特にプラスチックから成る支承シェルを緊締手段を介して変形させることができる。これにより、支承シェルからジョイント領域に加えられる応力を変更させることができる。これにより、回転モーメントの精密な調節可能性が得られる。何故ならば、緊締手段により支承シェルで行われる作業は部分的に支承シェルの変形に変換され、従ってさらに減衰されてもしくは緩衝されて回転モーメントに影響を与えるために提供されるからである。支承シェルのための材料としては例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン(PUR)、ポリアミド(PA)またはこれらの材料の組み合わせが使用される。
【0011】
さらに、多部分から成る支承シェルの別個の支承シェル部分のための滑り軸受を省くことができる。このことは、本発明によるジョイントの構造を簡単にする。1つの部分から成る支承シェルを使用することもでき、これにより、製造の手間とジョイントの組み付けの手間が減じられる。緊締手段が固体として形成されているので、支承シェルは内実の材料から成っていて良く、これにより、液圧流体が充填された支承シェルに伴う欠点を回避可能である。特に、固体として形成された緊締手段を支承シェルに埋め込む際には、支承シェルの中空の構成を省くことができる。従って支承シェルの損傷により、流体の圧力媒体が流出することはない。支承シェルにおいて孔または亀裂が生じた場合でも、少なくとも移行期間はジョイントの機能的な運転は可能である。
【0012】
本発明によるジョイントは例えば、自動車の車両懸架装置に配置されていて、ボールジョイントとして形成することができる。これにより、支承領域によって有利にはジョイントボールが形成されている。一体の支承シェルを使用するならば、支承シェルには例えば、ジョイントボールに当接する球面の支承面が設けられている。この支承面には少なくとも、完全に支承シェルの内側に延びていて、特に支承シェルの縁部を形成しない大円が位置している。この場合、この大円は、ジョイントボールの大円であっても良く、ジョイントボールの直径を有している。さらに本発明によるジョイントには角度センサが設けられていて、この角度センサは有利にはジョイントに組み込まれており、この角度センサによって、ケーシングに対する支承スタッドの旋回及び/又は回転を検出することができる。
【0013】
緊締手段は支承シェルと一体的に形成することができ、特に支承シェルに組み込むことができる。このような形式の手段のために、支承シェルの材料に埋め込まれている圧電的な繊維が緊締手段として適している。このために支承シェルは複合材料、例えば、埋め込まれた、緊締手段を形成するピエゾセラミックの繊維またはカーボン・ナノ・チューブを有したプラスチックから成っている。支承シェルに電圧をかけることにより、圧電的な繊維の長さ変更が可能であり、これにより、支承シェルは変形され、支承シェルから支承領域に加えられる応力を変化させることができる。しかしながら選択的には、緊締手段は、支承シェルとは別個であって、特に支承シェルの外側に配置されている。この場合、緊締手段は有利には、支承シェルの第1の外面領域に作用し、例えば支承シェルとケーシングとの間に配置されている。
【0014】
圧電的な材料の使用及び/又はカーボン・ナノ・チューブの使用に対して付加的にまたは選択的に、電気ひずみ性及び/又は磁気ひずみ性の材料を、緊締手段もしくはアクチュエータのために使用することができる。
【0015】
第1の外面領域が、ジョイントの長手方向軸線に対して垂直に延びる平面上にあるならば、このジョイントは、このジョイント領域に作用する外的な軸方向力に対して敏感である。何故ならば、支承シェルからジョイント領域に加えられる緊締力は、このような外的な力に抗しても作用するからである。このような外的な力が所定の量に達する、または所定の量を超えると、緊締効果は支承シェル部分からなくなる。これは特に支承シェルが2つの部分から形成されている場合に生じる。このような理由から、第1の外面領域は有利には、ジョイントの長手方向軸線に対して傾斜していて、長手方向軸線と0°より大きく90°より小さい角度を成している。外面領域は特に円錐台形状に形成されている。この場合、外面領域の対象軸線は有利には、ジョイントの長手方向軸線と一致している。さらに緊締手段は、傾斜した、例えば、円錐台形状の面領域を有することができ、この面領域を介して、第1の外面領域に当接もしくは作用する。
【0016】
支承シェルに、傾斜した、例えば円錐台形状に形成された第2の外面領域が設けられていると有利である。この場合、ケーシングは、傾斜した、例えば円錐台形状に形成された内壁領域を有する内壁を有している。この内壁領域には、第2の外面領域が当接している。傾斜とは、この文脈では、例えば、第2の外面領域のような各面が、ジョイントの長手方向軸線と、0°より大きく90°よりも小さい角度を成していることを意味する。さらに、第2の外面領域および傾斜したもしくは円錐台形状に形成された内壁領域の対象軸線は、有利にはジョイントの長手方向軸線と一致している。傾斜した、もしくは円錐台形状に形成された両外面領域は、この場合、特に、互いの間隔が増すほど減径する。支承領域は、有利には少なくとも部分的に、両外面領域の間に位置している。特に、両円錐台形状に形成された各外周面領域を、直径が最も小さいところで、それぞれ1つの円面を取り囲んでいる。この場合、支承領域は少なくとも部分的に、これら両円面の間に配置されている。支承シェルが一体的に構成されている場合には、支承シェルは、両円錐台形状に形成された外面領域の間に、支承領域が配置されている円筒状の外面領域を有している。
【0017】
緊締手段は摺動可能、延長可能及び/又は短縮可能である。これにより、緊締手段の位置若しくは外側の寸法の変化により、支承シェルが変形され、これにより、支承シェルから支承領域に加えられる機械的な応力が変化させられる。例えば、緊締手段は、電圧をかけることができる圧電的な材料から成っていて、これにより、緊締手段の長さが変化し、従って支承シェルの変形が行われる。しかしながら、このような形式の圧電的な緊締手段は、支承シェルの摩耗状態に応じて新たに調整しなくてはならず、これはジョイントの継続運転において欠点となる。このような理由から、緊締手段は、ケーシング内に摺動可能に支承された部材、特に、例えば液圧的な調節装置によって摺動させることができるピストンが有利である。このような液圧的な調節装置は、特に、液圧流体を有していて、ケーシングの外側に配置されていて良いが、有利には少なくとも部分的に、または完全にケーシングに組み込まれている。さらに、ピストンの外周面をケーシング壁に対してシールするシールリングを設けることができる。
【0018】
液圧的な調節装置には補償容器を設けることができる。補償容器には特に液圧媒体が充填されていて、例えば、漏れ損失を補償するために及び/又は液圧媒体の温度に関する容積変動を補償するために液圧的な調節装置で働く。このような補償容器もケーシングに組み込むことができ、特に、弾性的なエレメントもしくは弾性的なカバーによって閉鎖される。
【0019】
有利には液圧的な調節装置による部材もしくはピストンの摺動は、支承シェルの摩耗と場合によってはこれに起因する、支承シェルにおける支承スタッドの、不都合に大きな遊びを補償することができる。さらには、液圧的な調節装置によって、支承スタッドのために所定の作業モーメントを調節することができ、これは支承シェルの摩耗の際でさえ、維持され、もしくは調整される。従って、支承シェルが摩耗した場合も、ジョイントに遊びがない状態が維持される。
【0020】
付加的に、力センサ及び/又は圧力センサをジョイントに設けることができる。これにより、液圧的な調節装置の、例えば作業モーメントの後調節のための制御が実現可能である。圧力センサは有利には液圧的な回路に組み込まれ、これに対し力センサは、支承シェルとジョイントケーシングとの間に装着することができる。
【0021】
摺動可能な部材もしくはピストンと液圧的な調節装置の組み合わせにはさらに、液圧回路における漏れにより通常、支承シェルがすぐに損傷するということはなく、これによりジョイントは、液圧媒体の損失の場合でも少なくとも移行的に機能を維持し、従来の受動的なジョイントのように挙動する(本発明によるジョイントのフェイル・セーフ特性)、という利点がある。
【0022】
ピストンとケーシングとの間に弾性的なダイヤフラムを設けることができ、このダイヤフラムを介して液圧的な調節装置がピストンに作用する。ダイヤフラムは有利には、ピストンの、支承シェルとは反対側に延びていて、例えばケーシングに特に密に固定されているので、ピストンの外周面をケーシング内壁に対してシールするシールリングを省くことができる。
【0023】
液圧的な調節装置は、液圧媒体と、単数又は複数の液圧経路または液圧管路を有していて良い。これらの管路には特に、単数又は複数の弁、例えば逆止弁及び/又は電磁弁が設けられている。
【0024】
しかしながら有利には、液圧的な調節装置は、レオロジー的な、例えば電気レオロジー的または磁気レオロジー的な液圧液体を液圧流体として有している。この場合、少なくとも1つの液圧管路に、特に変更可能な電場または磁場が通っている。従って、電場または磁場によって貫流される液圧管路を弁として利用することができる。この場合、液圧流体の粘性は、電場または磁場に応じて制御することができる。このような形式の弁はレオロジー弁(Reho−Ventil)と言われる。
【0025】
液圧的な調節装置は液圧ポンプを有していて良く、これは有利にはケーシング内に配置されていて、例えばピエゾダイヤフラムポンプとして形成することができる。しかしながら、液圧ポンプをケーシングの外側に設けることもできる。
【0026】
付加的または選択的に、液圧的な調節装置は、ケーシング面またはケーシング内に配置された電動モータと、電動モータによって摺動可能な、液圧室に配置された主ピストンとを有している。特にステップモータとして形成されたこのような電動モータは、主ピストンを伝動装置を介して直線的に調節することができ、従って、液圧室でピストンもしくは緊締手段の調節のために圧力を制御することができる。従って電動モータは、直線アクチュエータとして形成することができ、これにより例えばねじ山付きスピンドルが回転される。ねじ山付きスピンドルは、回転に基づき、それ自体が直線的に摺動される、またはねじ山付きスピンドルに装着された、例えばナットのようなエレメントが直線的に摺動される。
【0027】
次に本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0028】
図1には本発明によるジョイントの断面図が示されている。この場合4つの構成が同時に示されていて、ジョイントはボールジョイントとして形成されている。ジョイントボール1とスタッド領域2とを有する支承スタッドもしくはボールスタッド3は、ジョイントボールもしくは支承領域1で、一体的に形成された支承シェル4に回転可能および旋回可能に支承されている。支承シェル4はケーシング5に装着されていて、このケーシング5は開口6を有しており、この開口6を通ってボールスタッド3が延びている。ケーシング5は、開口6の反対側に位置する開口7を有しており、この開口7はカバー8によって閉鎖されている。開口6の領域では、ケーシング5にシールベローズ9が緊締リング10を介して固定されており、このシールベローズ9の、開口6とは反対側の端部11は密にスタッド領域2に当接している。ケーシング5には、ケーシング5の内壁によって制限されている切欠12が設けられている。内壁13は円筒状の内壁領域14と、これに接続している、減径する、特に円錐状の内壁領域15とを有している。内壁領域15はこの場合、開口6への距離が近くなるにつれ減径している。支承シェル4の外周面16は両内壁14,15に当接しているので、承シェル4は、内壁領域14に当接する円筒状の外周面領域17と、内壁領域15に当接する、減径する、特に円錐状の外周面領域18とを有している。外周面領域18は、この場合、開口6への距離が近くなるにつれ減径している。全体を符号20で示したボールジョイントの長手方向軸線19は、ボールスタッド3が変位していない状態で、ボールスタッド3の長手方向軸線21に一致する。
【0029】
本発明の第1の構成では、有利にはリング状の緊締手段22が、支承シェル4とカバー8との間に、支持リング23を介して配置されている。緊締手段22は面領域24で、支承シェル4の外周面領域25に当接している。この場合、支持リング23は緊締手段22とカバー8との間に配置されている。ここでは緊締手段22は、例えば電気的に起動制御可能な圧電アクチュエータとして形成されている。この圧電アクチュエータは長さの変更を介して、長手方向軸線19に対して平行に支承シェル4を変形することができる。これにより、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力は変化され、これにより、ボールスタッド3の旋回のために必要なトルクを、緊締エレメントの長さ変更を介して、もしくは緊締エレメントにかけられている電圧の変更を介して調節することができる。面領域24と外周面領域25とはこの場合、長手方向軸線19に対して垂直に延びていて、特にリング面として形成されている。
【0030】
第2の構成では、緊締手段22の代わりに、有利にはリング状の緊締手段26が設けられている。この緊締手段26は、支持リング23と支承シェル4との間に配置されていて、面領域27で支承シェル4の外周面領域28に当接している。面領域27と外周面領域28とは円錐状もしくは円錐台形状に形成されていて、その延長線と長手方向軸線19とで、0°<α<90°の角度αを成している。両面27,28が傾斜してもしくは円錐状に形成されていることにより、特にボール1の中心点Mに向かって効果的な力の伝達が得られる。有利には、角度αはこの場合30°であるので、円錐の開放角度は60°である。しかし選択的には角度α例えば60°である。緊締手段26も電圧を介して制御可能な圧電アクチュエータとして形成されていて良い。圧電アクチュエータは長さの変更を介して長手方向軸線19に対して平行に支承シェル4を変形させ、これにより、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力が変化することができる。第2の構成は、特に、第1の構成に対して択一的なものである。
【0031】
第3の構成では、緊締手段22または緊締手段26に対して付加的にまたはこれらに対して選択的に、緊締エレメント29が設けられている。この緊締エレメント29は、半径方向で支承シェル4とケーシング5の内壁13との間に配置されている。緊締エレメント29はこの場合、支承シェル4の切欠30に装着されているが、選択的に、内壁13に形成された切欠に配置されていても良い。緊締エレメント29によって、予め半径方向で、ジョイントボール1に作用する応力を形成することができる。この場合、半径方向とは、長手方向軸線19に対して垂直に延び、有利には、ジョイントボール1の中心点Mに交差する方向と理解されたい。緊締エレメント29は、電圧を介して制御可能な圧電アクチュエータとして形成されていて良い。圧電アクチュエータは長さの変更を介して半径方向で支承シェル4を変形させ、従って、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力を変化させることができる。
【0032】
第4の構成では、上記構成に付加的にまたは選択的に、支承シェルを完全にまたは少なくとも領域的に、電気的に変形可能な複合材料31から製造することができる。この複合材料31は例えば、内部に埋め込まれ、緊締手段を形成するピエゾセラミック繊維を有したプラスチック、又はカーボン・ナノ・チューブから成っている。支承シェル4に電圧をかけることにより、支承シェル4の変形もしくは支承シェル4の体積の変化が生じ、このことは、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力を変更する。従って、支承シェル4自体がアクチュエータを成している。
【0033】
これら最初の4つの構成では、回転モーメントへの影響を積極的に制御している。この場合、特に電気的に制御可能なアクチュエータが緊締手段として使用される。アクチュエータの長さ変化もしくは膨張により、力が支承シェル4に加えられ、従ってジョイントボール1に加えられる。これによりボールジョイント20の運動モーメントを高める、または低めることができる。アクチュエータはこの場合、例えば、ピエゾセラミック、例えば電気的に作動するポリマのようなプラスチック、例えばカーボン・ナノ・チューブのような炭素複合材料、または、例えば上記材料の組み合わせから成る複合材料から成っている。
【0034】
ボールジョイント20の回転モーメントを、単数又は複数の緊締手段を介して積極的に変化させることができるので、所定の走行状況において自動車の車輪で生じるような不都合な振動をボールジョイント20で緩衝することができる。従って、このような振動はもはや車両内部に進入してこない、または緩衝されてしか進入してこない。さらに、ボールジョイント20の耐用期間にわたって発生し、遊びや騒音を生ぜしめる恐れのあるボールジョイント20の摩耗を補償することもできる。
【0035】
図2には、本発明によるジョイントの第5の構成が示されている。この場合、前述の構成と同じまたは類似の特徴には、前述の構成のものと同じ符号が付与されている。ケーシング5は、開口6の反対の側で、ケーシング5に一体に形成されている底面32によって閉じられている。底面32と支承シェル4との間には緊締手段33が設けられている。この緊締手段33は、長手方向軸線19に対して平行に摺動可能なピストンとして形成されていて、その外周面34は、ケーシング5の内壁13に摺動可能にガイドされている。外周面34にはリング溝35が設けられていて、この溝35にはシールリング36が装着されていて、ピストン33を内壁13に対してシールしている。ピストン33と底面32との間には液圧室37が形成されていて、この液圧室37は、接続部38と液圧管路39とを介して、ケーシング5の外側に配置された液圧的な調節装置40に接続されている。この場合、液圧管路39と液圧的な調節装置40とは単に概略的に示されている。
【0036】
液圧的な調節装置40を介して、液圧流体41を液圧室37にもたらす、または液圧室37から放出することができる。これによりピストン33は長手方向軸線19に沿ってジョイントボール1に向かって運動可能、またはジョイントボール1から離れるように運動可能である。これにより、支承シェル4は変形することができ、これにより、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力が変化する。従って、液圧的な調節装置40を介して、ボールジョイントの回転モーメントを変化させることができる。
【0037】
液圧的な調節装置40はモータ42によって駆動される液圧ポンプ43を有しており、該液圧ポンプ43は一方では液圧管路39に、他方では、液圧流体41によって充填された補償容器44に接続されている。さらに、補償容器44と液圧管路39との間に弁45が設けられている。
【0038】
ピストン33は、円錐台形状の面領域46を有しており、この面領域46は、支承シェル4の同様に円錐台形状の外周面領域47に接している。両円錐台形状の面領域46,47は、この場合、延長線で、長手方向軸線19と、0°<α<90°の角度αを成している。この場合、α=30°の角度が特に適当である。しかしながら選択的には、角度αは例えば60°である。支承シェル4は面領域47の反対側に、円錐台形状の外周面領域48を有している。この面領域48は、ケーシング5の、同様に円錐台形状の内壁領域49に接している。両円錐台形状の領域48,49は、この場合、その延長線で長手方向軸線19と、0°<β<90°の角度βを成している。この場合、β=30°が特に適当である。しかしながら選択的には、βは例えば60°である。ジョイントボール1もしくは中心点Mは例えば、両外周面領域47,48の間に配置されている。この場合、外周面領域47と面領域46とは、両領域47,46が、開口6からの距離を増すほど減径するように形成されている。これに対して、外周面領域48と内壁領域49とは、これら両領域48,49が開口6への距離を狭めるほど減径するように形成されている。
【0039】
従って、全体として一体的に形成された支承シェル4は、円錐状の2つの外輪郭を領域47,48に有している。さらにケーシング内壁13は開口部6に向かって領域49で円錐状に形成されている。ピストン33は、支承シェル4に面した外面が領域46で円錐状に形成されている、もしくはここに内部円錐を有している。この場合、これら全ての円錐面46,47,48,49は寸法的に有利には、長手方向軸線19に対して同じ傾斜角度αもしくはβを有している。このような配置により、2つの部分から成る支承シェルの欠点は、完全に円筒状のケーシング内面において解消される。有利には約60°の円錐(46,47,48,49)により、ボール1は上方および下方から同じ力で均一に、支承シェル4によって緊締され、場合によっては存在する横方向の遊びをなくす。緊締力は楔効果によって強化され、この場合、相応に拡大された緊締行程を良好に制御することができる。さらにこのシステムは、外側の軸方向力に対して著しく耐性がある。支承シェル内面の赤道領域に設けられた切欠76(図6参照)はこの効果を強化する。何故ならば、緊締力は実質的にボール中央、特に中央の上下約30°のところにしか作用しないからである。
【0040】
図3には、本発明によるジョイントの第6の構成が示されている。この構成は、第5の構成の変化形である。従って、同じまたは似たような特徴には、第5の構成と同じ符号を付与してある。第5の構成とは異なり、第6の構成では、液圧的な調節装置がジョイントケーシング5内に組み込まれている。このケーシングはここでは2つの部分から構成されていて、上方のケーシング部分50と、この上方のケーシング部分50に固定されている下方のケーシング部分51とを有している。下方のケーシング部分51は、開口6の反対側に位置する上方のケーシング部分50の開口52を閉鎖し、従ってケーシング底面を形成している。ピストン33と液圧室37と協働する液圧的な調節装置は下方のケーシング部分51内に配置されていて、以下に記載する。
【0041】
ピエゾダイアフラムポンプ53はケーシング部分51の切欠54内に装着されており、ケーシング部分51内で摺動可能に案内され液圧室55内に達するポンプピストン56を操作している。このポンプピストン56はポンプ53から矢印Pの方向および矢印Pの反対方向で摺動することができ、これにより、液圧室55の容積が変更可能である。ポンプピストン56は矢印Pの方向で運動し、液圧室55の容積は減少する。これにより、室にもたらされる液圧流体57は液圧通路58を通って液圧室37内に流入する。これによりピストン33は矢印Qの方向で摺動され、これは支承シェル4を変形させ、従って、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる機械的な応力を高める。液圧室55には弁59が設けられており、この弁によって、液圧流体57が液圧室37から液圧室55に逆流することを阻止することができる。さらに、液圧流体57によって充填された補償容器60はケーシング部分51の切欠61内に配置されていて、カバー62を介してケーシング5に固定されている弾性的な遮蔽体82によって閉じられている。
【0042】
図4には、第6の構成が図3の線79に沿って断面されて示されている。この場合、液圧室55の後方に位置する液圧室63は省かれて示されている。液圧室63は開口64を介して液圧室55に接続されていて、液圧導管65を介して補償容器60に接続されている。さらに、液圧室63は弁66を有しており、該弁は、ポンプピストン56が矢印Pの方向で運動する際に、液圧流体57の流れが、液圧室55から開口64と、液圧室63と、液圧管路65を通って補償室60に到ることを阻止している。両弁59,66は逆止弁として形成することができ、この場合、有利には、特に、ミニ電磁弁として形成された付加的な弁67(図5参照)と、付加的な液圧経路68,69(図5参照)とが設けられている。これにより圧力流体もしくは液圧流体が液圧室37から放出され得る。しかしながら選択的には、液圧流体57として、その粘性を電場もしくは磁場によって制御可能な電気的なまたは磁気的な流体を使用することも可能である。弁59と66とは、いわゆる「レオロジー弁」として形成することができ、通路77と78を貫通する磁場または電場を形成することができる。これにより、場の強さに応じて通路77及び/又は78を通る液圧流体の貫流が可能または不可能になる。このような場合、液圧室37から圧力を放出するための付加的な弁67と管路68,69とは不要である。
【0043】
図5には、第6の構成の液圧的な調節装置もしくは液圧回路のブロック図が示されている。この場合、弁59,66は有利にはレオロジー弁として形成されていて、両方向での液圧流体57の貫流を可能にする。弁59,66が単に逆止弁として形成されている場合には、付加的な弁67と、付加的な2つの導管68,69が設けられ、これは点線で示されている。付加的な弁67はこの場合、導管68を介して液圧室37に接続されていて、導管69を介して補償容器60に接続されている。
【0044】
第6の構成では、圧力発生装置をボールジョイントケーシング5に直接組み込むことが提案される。これは、実際に全くまたは僅かにしか圧送容積がなく(最大で1cm+圧力媒体の圧縮性)、必要な圧力が比較的小さい(<100bar、平均最大50bar)であるので行うことができる。電動モータ、ポンプ、弁、管から成る外側に位置する配置の代わりに、下方のケーシング部分51もしくはボールジョイント20のカバーに組み込まれたピエゾダイヤフラムがポンプ53として使用される。このポンプ56は電圧により振動されて、ピストン56の手前にある液圧流体を往復ポンピングする。ポンプ作用を有効にするために、ポンプ室は2つの接続通路もしくは接続部を有しており、一方は補償容器60に続いており、他方は支承シェル4の下側のピストン33における液圧室37に通じている。両接続部には逆止弁59,66を設けることができ、これらはピストン56の各行程の際に、液体57を往復移動させることなしに、吸込と吐出を可能にする。ミニ電磁弁67は、液圧室37から圧力を放出するために、液圧室37に接続することができる。しかしながら選択的には、レオロジー的な液体も圧力媒体57として使用することができる。この場合、両弁59,66はレオロジー弁として形成されている。この場合、補償容器60と液圧室37への接続は、電場または地場を介して制御可能であって、これらは、ピエゾダイヤフラムの振動のサイクルもしくは同じサイクルで交互に液圧流体57の流れを遮断もしくは解放する。接続部は極めて小さな直径(1〜3mm)を有しており、下方のケーシング部分51内に設けられている。その直径が、ジョイントボール1の直径よりも幾分大きなピストン33は、自動的に圧力が負荷される。しかしながら、ピストン33の面積は、ピストン56の面積の約100倍なので、ピエゾ効果によりさらに得られる軸方向力よりも約100倍大きな圧力も得られる。ピストン33の行程は極めて小さい(例えば最大で0.3mm)が、支承シェル4によってジョイントボール1に加えられる力を、ジョイントボール1が動けなくなるまで上げるためには十分である。液圧流体57としてレオロジー的液体を使用しレオロジー弁59,66が設けられている場合、室37から圧力を放出するための付加的な弁67は必要ない。何故ならば、例えば、レオロジー弁59,66を通って流れ、磁場の形成のために役立つ電流を減じるもしくはなくすことにより、両通路77,78が液圧流体57の貫流のために解放可能であるからである。
【0045】
ボールジョイントケーシング5へのピエゾポンプ53の組み込みと、レオロジー的な液体を液圧流体57として使用することにより、ボールジョイント20の回転モーメントを無段階式に、特に極めて繊細に各位置で制御することができる。ピエゾポンプ53の振動周波数は、極めて高く選択されており、ピエゾダイヤフラムと両レオロジー弁59,66との間の同期は問題なく可能である。効率は極めて高く、運転時間は、高い振動数により極めて小さい。さらに、ピエゾダイヤフラムは圧力測定のために使用され、例えば制御回路において圧力センサとして使用することができる。
【0046】
図6には、本発明によるジョイントの第7の構成が示されている。この構成は、第5の構成の変化形である。この場合、液圧的な調節装置はボールジョイントケーシング5内に組み込まれている。特に、第7の構成は、第6の構成に対して択一的なものである。この場合、第5及び第6の構成と同じまたは類似の特徴には同じ符号が付与される。
【0047】
ケーシング5は上方のケーシング部分50と、この上方のケーシング部分50に固定されている下方のケーシング部分51とを有している。下方のケーシング部分51には液圧室55が形成されていて、液圧室55は液圧管路58を介してピストン33の下側の液圧室37に接続されている。液圧室55では主ピストン56が矢印Pの方向および矢印Pとは逆の方向で摺動可能に案内されているので、主ピストン56の運動により、液圧室55の容積が変更可能である。液圧室55には液圧流体57が設けられており、該液圧流体57は、主ピストン56が矢印Pの方向で運動する際に液圧管路58を介して液圧室37へと流れ、ピストン33を矢印Qの方向で持ち上げる。主ピストン56はリング溝70を有しており、該リング溝70には、主ピストン56を液圧室55の内壁に対してシールするシールリング71が装着されている。主ピストン56は伝動装置72を介して、下方のケーシング部分51に固定されている電動モータ73に接続されている。電動モータ73は特に電気的なステップモータとして形成されていて、主ピストン56に接続されている直線スピンドル75をスライドさせることができる。さらに、下方のケーシング部分51の切欠61には、液圧流体57が充填され、弾性的な遮蔽体82によって閉鎖された補償容器60が設けられている。この補償容器60は保持体62によって下方のケーシング部分51に固定されている。補償容器60は通路74を介して液圧室55に接続されている。この場合、主ピストン56の位置に応じて通路74を開閉することができる。通路74は、開放状態では、補償容器60と、液圧流体57が充填された液圧室55の容積との間を液圧的に接続する。通路74の閉鎖状態では、通路74は液圧的な接続を遮断する。
【0048】
第6の構成の場合と同様に、第7の構成によれば、圧力発生装置がボールジョイントケーシング5に直接に組み込まれている。このことは、第6の構成の場合と同様の理由から実現可能である。特に、小さなステップモータ73に、組み込まれた直線スピンドル75を設けることができる。この直線スピンドル75は主ピストン56を矢印Pの方向および矢印Pとは逆方向に往復摺動させることができる。このような形式の直線スピンドル75を備えたステップモータ73は、市販のものとして安価に購入可能である。
【0049】
主ピストン56は有利には3〜5mmの小さい直径を有しており、下方のケーシング部分51の液圧室55もしくは孔に装着されている。主ピストン56は特に15〜30mmの行程を有している。孔55は通路58を介して室37に、従ってピストン33に接続されている。ジョイントボール1の直径よりも幾分大きな直径を有した第2ピストン33は自動的に同じ圧力で負荷される。しかしながら第2ピストン33の面積は、主ピストン56の面積よりも約100倍大きいので、圧力も約100倍の大きさで形成される。第2ピストン33の行程は、主ピストン56の行程の約1/100であるが、これは、ボールジョイント20の回転モーメントもしくは摩擦モーメントを回転運動できない程度まで高めるには十分である。液圧室37内の圧力を下げるために弁は必要ではない。圧力の低減は、ステップモータ73が逆回転することにより得られる。このことは、主ピストン56を矢印Pとは逆方向に運動させる。補償室60は、主ピストン56が走入位置にある場合にだけ液圧回路において閉じられ、漏れ損失および温度に依存した圧力変動を補償するためにだけ使用される。走入位置とはこの場合、主ピストン56が矢印Pとは逆方向で、通路74を介して、補償容器60と液圧室55の容積との間の液圧的な接続部を形成するまで摺動されている位置と理解されたい。
【0050】
第5の構成および第6の構成とは異なり、弁と圧力センサとを省くことができる。さらに、必要な管路とねじを減じることができる。ボールジョイント20の回転モーメントは無段階式に、極めて繊細に全ての位置で制御される。100倍の強化を難なく得られるが、効率の損失は極めて僅かである。液圧回路をボールジョイント20に組み込むことにより、必要な圧力媒体の量が最小に減じられ、特に圧力媒体の圧縮性の補償に必要なものにまで減じられる。
【0051】
図7には、図6の構成の線79に沿った断面図が示されていて、これにより、第6の構成と比べて簡単化された構成が明らかである。
【0052】
図8及び図9には、図3の構成の変化実施例が示されている。この場合、同じ特徴および似たような特徴には、第6の構成と同じ符号が付与されている。上方のケーシング部分50に配置されたピストン33と、下方のケーシング部分51もしくはケーシング底面との間には弾性的なダイヤフラム80が設けられている。これにより、液圧通路58を介してアクセス可能な液圧室37がダイヤフラム80とケーシング底面51との間に形成されている。液圧室37に液圧通路58を介して液圧流体57が供給されると、ダイヤフラム80が広がり、ピストンを矢印Qの方向に押す。弾性的なダイヤフラム80は有利には密にケーシング5に固定されていて、これにより、この変化実施例では、図3に示された、ケーシング内壁13に対してピストン33をシールするためのシールリング36を省くことができる。さらには、ダイヤフラム80は、ピストン33の外周面34とケーシング内壁13との間の領域内にまで延びていて良い。
【0053】
図8に示された第1の変化実施例によれば、ダイヤフラム80は、ケーシング5の内壁13に設けられたリング溝81に固定されている。しかしながら選択的にはダイヤフラム80は、上方のケーシング部分50と下方のケーシング部分51との間に固定、特にクランプされていても良い。これは図9に示されている。
【0054】
さらに図9に示されているように、力センサ83が、支承シェル4とケーシング5との間に配置されており、このセンサは、支承シェル4からジョイントボール1に加えられる実際の機械的な応力を表す信号を送る。従って力センサ83は、液圧的な調節装置のための制御の実現を可能にする。選択的には力センサは圧力センサとして形成されていても良く、例えば液圧的な回路に組み込むことができる。圧力センサはこのために例えば、液圧室55に装着されており、または、ポンプ53のピエゾダイヤフラムによって形成されている。
【0055】
第6の構成の別の構成としてこのような変化実施例が説明されたが、別の構成において、弾性的なダイヤフラムをピストン33とケーシング底面32もしくは51との間に設けることができる。これにより、ここでもシールリング36を省くことができる。さらには、力センサまたは圧力センサの使用は全ての構成で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】4つの構成を概略的に示した本発明によるボールジョイントの断面図である。
【図2】本発明の第5の構成によるボールジョイントの断面図である。
【図3】本発明の第6の構成によるボールジョイントの断面図である。
【図4】図3の構成の別の断面図である。
【図5】図3の構成の液圧的な調節装置を概略的に示した図である。
【図6】本発明によるジョイントの第7の構成を示す断面図である。
【図7】図6の構成の別の断面図である。
【図8】図3のジョイントの第1変化形を示した図である。
【図9】図3のジョイントの第2変化形を示した図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ジョイントボール、 2 スタッド領域、 3 支承スタッド/ボールスタッド、 4 支承シェル、 5 ケーシング、 6,7 ケーシングの開口、 8 カバー、 9 シールベローズ、 10 緊締リング、 11 シールベローズ端部、 12 ケーシング切欠、 13 ケーシング内壁、 14 円筒状の内壁領域、 15 減径内壁領域、 16 支承シェルの外周面、 17 支承シェルの円筒状外周面領域、 18 支承シェルの減径外周面領域、 19 ボールジョイントの長手方向軸線、 20 ボールジョイント、 21 ボールスタッドの長手方向軸線、 22 緊締手段、 23 支持リング、 24 緊締手段の面領域、 25 支承シェルの外周面領域、 26 緊締手段、 27 緊締手段の面領域 28 支承シェルの外周面領域、 29 緊締手段、 30 切欠、 31 複合材料から成る支承シェルの領域、 32 ケーシング底面、 33 緊締手段/ピストン、 34 ピストンの外周面、 35 リング溝、 36 シールリング、 37 液圧室、 38 接続部、 39 液圧管路、 40 液圧的な調節装置、 41 液圧流体、 42 モータ、 43 液圧ポンプ、 44 補償容器、 45 弁、 46 ピストンの円錐台形状面領域、 47,48 支承シェルの円錐台形状外周面領域、 49 ケーシングの円錐台形状内壁領域、 50 上方のケーシング部分、 51 下方のケーシング部分、 52 ケーシング開口、 53 ポンプ、 54 下方のケーシング部分における切欠、 55 液圧室、 56 ポンプピストン/主ピストン、 57 液圧流体、 58 液圧通路、 59 弁、 60 補償容器、 61 下方のケーシング部分における切欠、 62 カバー/保持体、 63 液圧室、 64 液圧室における開口、 65 液圧導管、 66 弁、 67 付加的な弁、 68,69 付加的な液圧導管、 70 リング溝、 71 シールリング、 72 伝動装置、 73 モータ、74 通路、 75 直線スピンドル、 76 切欠、 77,78 通路、 79 線、 80 弾性的なダイヤフラム、 81 ケーシングにおける溝、 82 弾性的なカバー、 83 力センサもしくは圧力センサ、 α,β 角度、 M ジョイントボールの中心点、 P,Q 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのジョイントであって、ケーシング(5)と、該ケーシング(5)に配置された支承シェル(4)と、支承領域(1)とスタッド領域(2)とを有していて、支承領域(1)で支承シェル(4)に旋回可能及び/又は回転可能に支承されている支承スタッド(3)と、前記ケーシング(5)に配置されて、固体として形成されている少なくとも1つの緊締手段(33)とを有しており、該緊締手段によって、支承シェル(4)から支承領域(1)に加えられる機械的な応力が変更可能である形式のものにおいて、
支承シェル(4)が、少なくとも所定の領域でばね弾性的に形成されていて、緊締手段(33)によってばね弾性的に変形可能であることを特徴とする、自動車のためのジョイント。
【請求項2】
緊締手段(33)が支承シェル(4)の外側に配置されていて、支承シェル(4)の第1の外面領域(47)に作用する、請求項1記載のジョイント。
【請求項3】
第1の外面領域(47)が円錐台形状に形成されている、請求項2記載のジョイント。
【請求項4】
緊締手段(33)が少なくとも1つの円錐台形状の面領域(46)を有しており、この領域を介して第1の外面領域(47)に作用する、請求項2又は3記載のジョイント。
【請求項5】
支承シェル(4)に、円錐台形状に形成された第2の外面領域(48)が設けられていて、ケーシング(5)が、円錐台形状に形成された内壁領域(49)を有する内壁(13)を有していて、前記内壁領域(49)に第2の外面領域(48)が当接する、請求項3または4記載のジョイント。
【請求項6】
支承シェル(4)の、円錐台形状に形成された両外面領域(47,48)が、互いの間隔が増すほど、減径する、請求項5記載のジョイント。
【請求項7】
支承領域(1)が、少なくとも部分的に、支承シェル(4)の前記両外面領域(47,48)の間に配置されている、請求項5又は6記載のジョイント。
【請求項8】
緊締手段(22,26,29,31)が、カーボン・ナノ・チューブまたは圧電的な、または電気ひずみ性または磁気ひずみ性の材料を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項9】
緊締手段(33)が、ケーシング(5)内に摺動可能に支承されたピストンである、請求項1から8までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項10】
ケーシング(5)内に、液圧的な調節装置が少なくとも部分的に配置されていて、該調節装置によってピストン(33)がケーシング(5)内で摺動可能である、請求項9記載のジョイント。
【請求項11】
液圧的な調節装置が、電気レオロジー的な、または磁気レオロジー的な液圧流体(57)と、電場または磁場が通る少なくとも1つの液圧管路(77)とを有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項12】
液圧的な調節装置が、ケーシング(5)内にまたはケーシング(5)の面に配置された液圧ポンプ(53)を有している、請求項10又は11記載のジョイント。
【請求項13】
液圧的な調節装置は、ケーシング(5)内にまたはケーシング(5)の面に配置された電気的モータ(73)と主ピストン(56)とを有しており、該主ピストンはモータ(73)によって摺動可能である、請求項10から12までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項14】
ピストン(33)とケーシング(5)との間に弾性的なダイヤフラム(80)が配置されている、請求項10から13までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項15】
液圧的な調節装置が、ケーシング(5)に組み込まれた補償容器を有している、請求項10から14までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項16】
補償容器(60)が弾性的な遮蔽体(82)を有している、請求項15記載のジョイント。
【請求項17】
液圧的な調節装置が完全にジョイントに組み込まれている、請求項10から16までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項18】
ジョイントがボールジョイント(20)であって、ジョイント領域がジョイントボール(1)である、請求項1から17までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項19】
支承シェル(4)が一体的に形成されている、請求項1から18までのいずれか1項記載のジョイント。
【請求項20】
ケーシング(5)に圧力センサ及び/又は力センサ(83)が設けられている、請求項1から19までのいずれか1項記載のジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−534863(P2008−534863A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502232(P2008−502232)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000526
【国際公開番号】WO2006/099821
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】