自動車のウインドウに固定するキャリア装置
本発明は、自動車のウインドウ(12)に固定可能なキャリアプレート(10)を有し、このキャリアプレートは、少なくとも部分的にプラスチックから製造され、該キャリアプレートにより、少なくとも1つのカメラ(22)、1つのセンサ(20)又は同様のものが担持されている、自動車のウインドウ、特にフロントウインドウ(12)に固定するキャリア装置に関し、キャリアプレート(10)のプラスチックには、添加物、特にガラス添加材料が混ぜられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドウ、特にフロントウインドウに固定する、請求項1の前提部分に示されている種類のキャリア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなキャリア装置は、例えば文献1からすでに周知のものとして参照することができ、自動車のウインドウに固定可能なキャリアプレートを有し、このキャリアプレートは、少なくとも部分的にプラスチックから製造され、このキャリアプレートにより、少なくとも1つのカメラ、1つのセンサ又は同様のものが担持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10328468A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、種類の異なる車両でも極めて簡単にウインドウに固定することのできる、冒頭に述べた種類のキャリア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴を備えるキャリア装置によって解決される。本発明の適切かつ重要な発展形態を備える有利な実施形態は、その他の請求項に示されている。
【0006】
種類の異なる車両にも極めて簡単かつ有利にウインドウに固定することのできる、冒頭に述べた種類のキャリア装置を装着できるようにするため、本発明に基づいて、プラスチック製キャリアプレートには、添加物、特にガラス添加物が混ぜられる。別の表現を用いると、本発明に基づき、繊維性材料又は同様のものを添加したキャリアプレート用プラスチックが少なくとも部分的に使用されている。この添加材料を加えることにより、例えば太陽光の照射によってウインドウが高温に加熱された場合に、通常は1種類のガラス材料からなるウインドウと、キャリアプレートとの間で異なっている膨張の度合いが適切に軽減されるか、又は互いに均一化することができる。従って、ウインドウとキャリアプレートの材料膨張が少なくともある程度類似しているガラス添加物を使用することは、特に有利である。結果として、このことにより、特にポリウレタン系接着剤など、一般的な接着剤を補助的に使用して、キャリアプレートを極めて有利にウインドウに固定することができる。
【0007】
本発明の別の実施形態において、このキャリアプレートが少なくとも1つの伸縮継ぎ目を有している場合は、さらに有利である。このような伸縮継ぎ目により、加熱によって発生するキャリアプレートの膨張を、ウインドウに対して、より有利な方法で補整することができる。
【0008】
さらに、このキャリアプレートが、ウインドウに対向する面に少なくとも1つのスペーサを有している場合は有利である。これにより、特に、適切な接着剤を使用して、極めて均一かつ再現可能にキャリアプレートをウインドウに固定することができる。
【0009】
これに加えて、キャリアプレートを、少なくとも1つの通気孔が貫通している場合は有利である。このような通気孔により、特にキャリアプレートを貼り付ける際に、気泡が生じるのを防止する。
【0010】
さらに、キャリアプレートが少なくとも1つの開口部を有しており、この開口部が、組み込まれるカメラの絞りとして形成されている場合は有利である。これにより、キャリアプレートにもう1つの絞り機能が加わるため、別個の構成部品を省略することができる。好ましいのは、絞りを形成するキャリアプレートの開口部が、この場合、枠を有しており、この枠は、ウインドウに対向するキャリアプレート面の向こう側に隆起した状態で突き出している。この隆起した状態で突き出している枠により、ウインドウに取り付けた後、この枠が直接ウインドウの表面に接触するため、有効な埃防止となる。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態では、キャリアプレートが、ストッパとして働く維持構造を有しており、この維持構造に対抗して、カメラ、センサ又は同様のものがキャリアプレートから車内方向へ向く力によって支えられている。このことにより、特に有利な公差連鎖と、カメラ、センサ又は同様のものの正確な配置とが達成される。
【0012】
さらに、カメラ、センサ又は同様のものを維持構造に対抗して支える力が、キャリアプレートに配置されているスプリング構造によって加えられる場合は有利である。このスプリング構造により、カメラを確実に所定の位置に保持する一定の力が常時加えられる。
【0013】
さらに有利であるのは、カバーが設けられており、このカバーによって、少なくとも1つのカメラ、センサ又は同様のものを覆うことができ、このカバーが比較的調整可能にキャリアプレートに配置されていることである。カバーがキャリアプレートに対して調整可能であることにより、車両から車両への公差を極めて適切に調整することができるため、例えば、このカバーは常に自動車のルーフ内張りと面一に隣接している。
【0014】
キャリアプレートに対してカバーを調整するため、本発明のもう1つの実施形態では、相互作用する両方の構成部品に、それぞれガイドエレメントが設けられており、その際、両方の構成部品の調整は、段階的か又は無段階かのどちらか一方で相互に行うことができる。このガイドエレメントにより、とりわけ簡単かつ確実な調整が可能となる。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態では、カバーが絞りを有している。これにより、別個の絞りを省略することができるため、キャリア装置全体を極めて少ない構成部品で、すなわち実質的にキャリアプレートとカバーのみで実施することができる。この場合、カバーには少なくとも部分的にラッカが塗布され、散光からカバーを適切に保護することが好ましい。
【0016】
さらに有利であるのは、ウインドウヒータがキャリアプレートの中に組み込まれていることである。これによって、簡単な方法で、キャリア装置前のウインドウ部分を加熱して、ウインドウのくもりを防止することができる。
【0017】
さらに有利であるのは、プラスチックに加えられる添加材料が、強化繊維及び特にガラス繊維を有していることである。この代替として、この添加材料はガラスビーズ又は同様のものを有することができる。ガラス材料は少なくとも大部分が自動車のウインドウと同一の特性を有しているため、全体として、プラスチックとウインドウの膨張率を近づけることが可能である。従って、フロントウインドウとできるだけ同じ膨張特性をもつ、熱膨張しにくいプラスチックが使用される。このことは、このプラスチックができる限り多くのガラス繊維又はガラスビーズを有していることを意味する(例えばPBTGF30又はPBTGB20)。
【0018】
この場合、添加材料又はガラス材料の割合は10%〜40%の範囲に、とりわけ20%〜30%の範囲にあるのが特に有利である。
【0019】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、好ましい実施例及び図に基づく以下の説明によって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フロントウインドウに配置された、複数のカメラ、センサ又は同様のもののキャリア装置の部分的な斜視図である。この図ではキャリア装置のカバーが確認できる。
【図2】カバーを取り外した場合の、図1によるキャリア装置の部分的な斜視図である。特に、複数のカメラ、センサ又は同様のものが取り付けられ、接着剤によってウインドウの内側に固定されているキャリアプレートが確認できる。
【図3】図2によるキャリアプレートの斜視図である。分かりやすくするため、特にカメラ、センサ又は同様のものが省略されている。
【図4】図3によるキャリアプレートの別の斜視図である。特に、フロントウインドウに対向するキャリアプレート面が示されている。
【図5】図1及び2によるキャリア装置の配置の部分的な斜視図である。カバー及びカメラ、センサ又は同様のものは、分かりやすくするために省略されている。
【図6】フロントウインドウとその後ろに配置されたキャリア装置を外側から見た場合の部分的な斜視図である。
【図7】第2の実施形態に基づく、フロントウインドウに取り付けられているキャリア装置を内側から見た場合の部分的な斜視図である。
【図8】カバーを取り外して、キャリア装置を内側から見た場合の部分的な斜視図である。特に、キャリアプレートによって保持されているカメラ、センサ又は同様のものが確認できる。
【図9】図7及び8によるキャリア装置のキャリアプレートの斜視図である。
【図10】ウインドウに対向する、図9によるキャリアプレート面の斜視図である。
【図11】図7及び8による、フロントウインドウの内側に接着されたキャリア装置のキャリアプレートの部分的な斜視図である。
【図12】図7によるキャリアプレートのカバーの斜視図である。
【図13】図12によるカバーの内側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜6には、キャリア装置の第1の実施形態が示されている。図1、2及び5は、この場合、それぞれ車室から見た場合のキャリア装置の配置を示している。図3及び4は、後でさらに詳しく説明する独立したキャリアプレート10を示しており、このキャリアプレートは、後でさらに詳しく説明する方法で、図1、2、5において確認できるフロントウインドウ12の内側の、特にフロントウインドウ12と車両ルーフ内張り14との移行部分に接着されている。最後に、図6は、フロントウインドウ12又は車両ルーフ内張り14を外側から見た場合のキャリア装置の配置を示している。
【0022】
これに対して、図7〜13は、本キャリア装置の第2の実施形態を示し、これは、特に後に詳しく述べる追加カメラが設けられているという点で、第1の実施形態とは異なっている。この場合、図7及び8は、図1及び2と同じく、車室から見た場合の、フロントウインドウ12の、特に車両ルーフ内張り14への移行部分に取り付けたキャリア装置の配置を示している。これに対して、図9及び10は、キャリアプレート10の第2の実施形態をそれぞれ斜視図で示したものであるが、キャリアプレートは、図3及び4によるキャリアプレートとほぼ同一に形成されている。
【0023】
図11は、接着剤を介してフロントウインドウ12に内側から取り付けられているキャリアプレート10の配置を示している。
【0024】
最後に、図12及び13は、第2の実施形態(図7〜13)によるキャリア装置のカバー16を、それぞれ斜視図で示したものである。
【0025】
両方の実施形態は、主な基本機能が一致しているため、両方の実施形態において一致している部分はまとめて説明されているか、又は同一の符号が付けられている。
【0026】
両方の実施形態に基づくキャリア装置には、この場合、まずカバー16が含まれており、このカバーはキャリア装置を車室側に対して閉鎖している。このカバー16を取り外すと、図2及び8において確認できるように、主としてキャリア装置の外観を見ることができる。図2及び8に一致して、それぞれの実施例では、1台の多目的カメラ18が取り付けられており、このカメラは車線維持支援システム、道路標識認識システムまたは駐車支援システムに利用可能である。さらに、両方の実施形態には、レイン/ライトセンサ20が取り付けられており、このセンサにより、雨又は明るさに応じて、ワイパシステム、エアコン及び車両ライトなどが制御される。
【0027】
図1〜6による実施形態とは異なり、図7〜13による実施形態の場合は、もう1つのカメラ22が設けられており、このカメラはナイトビューシステムに使用される。当業者には、特にカメラとセンサといった幾つかの構成部品を追加で設けることが可能であるのは自明なことである。カメラ及びセンサの配置は、さらに、様々な使用目的に応じて変更することが可能である。
【0028】
図3及び4又は図9及び10によるそれぞれのキャリアプレート10を説明するには、まず、キャリアプレート10が、それぞれ添加材料、特にガラス材料を加えたプラスチックからなることを指摘しておかなければならない。このガラス材料は、例えばガラス繊維又はガラスビーズを含むことができ、この添加材料は、プラスチック全体の10%〜40%、特に20%〜30%の割合を占めている。この添加材料により、キャリアプレート10は、フロントウインドウ12と同じような膨張特性又は膨張率を得られる。その結果として、フロントウインドウ12又は車室のキャリアプレート10が加熱されると、両方の部品は少なくともほぼ均等に膨張する。このことにより、キャリアプレートを特に有利にフロントウインドウ12に固定することが可能となる。従って、カメラ及びセンサ18〜22をとりわけ確実に、動かないように配置することができ、このことはそれぞれの測定結果又は検知結果に有利に働く。カメラアングルを車両に合わせて正しく調整するため、キャリアプレート10のカメラホルダをモデルごとに様々に形成することも可能である。従って、基礎構造を変更する必要はない。
【0029】
さらに、両方の実施形態では、フロントウインドウ12に対向するキャリアプレート側に複数の伸縮継ぎ目24を確認することができ、これらの継ぎ目は部分的に交差している。これらの伸縮継ぎ目24は、ここでは溝として形成されており、これらの溝は、フロントウインドウ12に対向する面からキャリアプレート10の中へ取り付けられている。この伸縮継ぎ目24により、キャリアプレート10をさらに有利にフロントウインドウ12に配置することができる。プレート10の中に残っている機械的応力を補整するため、これに加えて、Y状及び垂直に様々な伸縮継ぎ目24が配置されている。
【0030】
その他に、図3及び4又は9及び10から、フロントウインドウ12に対向する面に複数のスペーサ26が取り付けられていることが分かり、これらのスペーサは、キャリアプレート10の配置箇所でフロントウインドウ12の表面に接して支持されている。キャリアプレート10は、この場合、ポリウレタン系接着剤又はその他のできる限り弾性のある接着剤によってフロントウインドウ12に固定され、突起のような形のスペーサ26によってキャリアプレート10の間隔が正確に保たれている。その際、フロントウインドウ12とキャリアプレート10との間でなおも膨張が異なっているような場合、できる限り弾性のある接着剤によってそれが調整される。好ましいのは、接着剤の均等な厚さが保証されるように、少なくとも3つのスペーサ(高さ約1mm)が取り付けられることである。キャリアプレートの厚さが大きくなればなるほど、接着剤によって調整する長さの変動は大きくなるであろう。キャリアプレートの開口部、切り抜き、溝、伸縮継ぎ目は接着層の通気に作用し、それによって接着剤が適切に硬化する。
【0031】
さらに図3及び4又は9及び10から、キャリアプレート10に複数の貫通開口部28が取り付けられているのが分かり、これらの貫通開口部により、キャリアプレート10を接着する際に、閉じ込められた空気を逃がすことができる。従って、この貫通開口部28により、キャリアプレート10とフロントウインドウ12との間に、特に均質な接着床を作ることができる。
【0032】
両方の実施形態において、実質的に台形の開口部30が確認でき、多目的カメラ18はこの開口部からキャリアプレート10を通り抜けて外部を撮影することができる。この場合、開口部30は多目的カメラ18の絞りとして形成されており、そのため幾何学的に設計形成されている。従って、このキャリアプレート10は、様々なカメラ又はセンサ18〜22の支持機能だけではなく、多目的カメラ18の絞りの機能も備えている。この場合、開口部30には、図4及び10から分かるように、枠32が含まれており、この枠はシーリングとして設けられ、フロントウインドウ12に対向するキャリアプレート10の面の向かい側へ隆起した状態で突き出している。この場合、特に、枠32は、隆起している高さがスペーサ26と同じ高さであるように寸法が決められており、キャリアプレート10をフロントウインドウ12に配置した場合、内側を向くフロントウインドウの表面に接触する。それにより、枠32が埃に対するシーリングとして働くため、開口部30の範囲には埃が入らない。特に図3及び5又は9及び11から分かるように、キャリアプレート10には、それぞれ維持構造34が含まれており、この維持構造は、この場合、4つの維持エレメント(2つの上部維持エレメント36と2つの下部維持エレメント38)を有し、多目的カメラ18には、これらの維持エレメントに対抗する、車室方向の力又はキャリアプレート10から離れようとする力が加えられている。この力は、2つのスプリングエレメント42と44を備えるスプリング構造40によって生じる。維持エレメント36と38には、この場合、基準面46が備えられており、これに対応する多目的カメラ18の面(図では確認できない)がこの基準面に向かって押し付けられる。従って、多目的カメラ18は、スプリングエレメント42及び44の力によって、維持エレメント36又は38の基準面46に向かって均等に押し付けられているため、多目的カメラ18の位置決めが再現可能になり、位置決めの交差連鎖は小さくなる。この場合、多目的カメラ18は維持構造34の中にはめ込まれ、その中で、カメラはもう1つのスプリングエレメント48のスプリング力に対抗してはめ込まれており、このもう1つのスプリングエレメントが、はめ込まれた多目的カメラ18を下部の維持エレメント38に向かって押し付けている。このことによっても、多目的カメラ18の最適な位置決めが達成される。従って、スプリング42、44により、多目的カメラ18は、遊びがなく、少ない公差によってエンドポジションに保持されることが分かる。外側からウインドウ12を見た場合に見える台形部分又はプレート10の開口部30については、以下のことが言える。くさび形の視野部分から黒枠までの必要な間隔、公差を含めたこの部分は、シボが付けられるか、黒く塗られるか又は着色されるため、外からこの範囲を黒枠と区別することはできない。
【0033】
キャリアプレート10の外側には、さらに、もう1つの開口部50が確認でき、ここにはレイン/ライトセンサ20が取り付けられている。
【0034】
開口部50の上部には、図2、5、8において、はんだ付けされたディストリビュータ52が確認できる。
【0035】
さらに、キャリアプレート10の範囲には、特にカメラ及びセンサ18〜22の部分でフロントウインドウのくもりが発生しないようにするウインドウヒータモジュール又はウインドウヒータを組み込むことができる。
【0036】
さらに図8から、図1による実施形態とは異なり(この部分は特に図2において確認できる)、カメラ22が多目的カメラ12とレイン/ライトセンサ20との間に設けられていることが分かる。これに対応して、図9及び10から、第2の実施形態によるキャリアプレート10は、このカメラ22のためのもう1つの開口部54を有しており、この開口部は同様に絞りの役割を果たす。第2の実施形態によるキャリア装置のカバー16を示している図12及び13から、レンズフード56が取り付けられていることが分かる。このレンズフード56は、第2の実施形態によるキャリアプレート10の開口部54に合わせられているため、全体として漏斗型のエレメントになっている。図12及び13によるレンズフード56の内側には、該当するラッカが塗布されている。これにより、カバー16は、キャリア装置全体の保護機能又はカバー機能ばかりではなく、さらにレンズフード56を提供するというもう1つの機能も持っている。
【0037】
両方の実施形態で共通しているのは、さらに、各カバーに(図1及び7から分かるように)、それぞれフィンのような通気孔58が装備されていることである。この通気孔58は、カバー16の付近に配置されるバックミラーの調整範囲を大きくするために、内側に窪んでいる状態で配置することができる。
【0038】
第1又は第2の実施形態によるそれぞれのカバー16は、次に詳しく説明する方法で調整可能に、対応するキャリアプレート10に固定されている。このことは、特に、製造条件により様々に位置決めされるキャリア装置又はキャリアプレート10を、例えば車両ルーフ内張り14に対して調整するために必要である。ここでは、ガイドエレメント60又は62によってその調整が可能になっている。この場合、キャリアプレート10の側にそれぞれガイドレール62が設けられており、これらのガイドレールは、全て、主として車両の前後方向又は一方向に互いに平行に延びている。 このガイドエレメント62の上に、実質的に円形の開口部64を有するガイドエレメント60を介して、カバー16が差し込可能になっており、レールのようになっているガイドエレメント62に沿って移動することができる。この場合、ガイドエレメント60と62との間には、該当する段、歯形又は同様のものを設けることができるため、調整が段階的に行われる。同様に無段階の調整も考えられる。このためには、ガイドレール62を実質的に滑らかに形成することになるであろう。しかし、全体として確認できることは、キャリアプレート10又はカバー16の側に取り付けられているガイドエレメント60、62により、カバーの調整が行われていることであり、このことから、車両の前後方向及びフロントウインドウ12の延長方向と平行にカバーを調整することが可能となる。これにより、フロントウインドウ12の取付け時などに生じる製造技術上の公差が調整されるため、例えば車両ルーフ内張り14と面一にカバー16を配置することができる。最後に、図6から、キャリア装置の配置を、車両の外から確認することができる。図7〜13による実施形態の場合も、この配置は実質的に同じであるが、ただ、さらにもう1台のカメラ22のための該当する開口部54が設けられている。
【0039】
全体として、図から分かることは、このキャリアプレート10には、例えば、カメラ18、22用固定エレメント、スプリング42、44用固定エレメント、センサ20用クリップ、接続装置用クリップ、ヒータ用クリップ、運搬保護又は埃防止装置用クリップ、カバー16の歯止め機構用クリップボルト、伸縮継ぎ目24、Y0マーク又はフロントウインドウの位置決め用マーク、スペーサ26、車内エアを迅速にくもりセンサに送るためのエアガイド用ウェブなど、多数のエレメントが取り付けられている、又は取り付けられることである。レイン/ライトセンサ20を低コストで固定できるようにするため、キャリアプレート10に、例えば金属ガイド又は別のプラスチック部品も射出形成することができる。
【0040】
輸送保護又は埃を入れない輸送のために、キャリアプレートの中に、追加的に取外し可能な輸送保護装置をカメラ用の窓にクリップ留めすることも可能である。この輸送保護装置は、組み立てラインで再度取り外すことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドウ、特にフロントウインドウに固定する、請求項1の前提部分に示されている種類のキャリア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなキャリア装置は、例えば文献1からすでに周知のものとして参照することができ、自動車のウインドウに固定可能なキャリアプレートを有し、このキャリアプレートは、少なくとも部分的にプラスチックから製造され、このキャリアプレートにより、少なくとも1つのカメラ、1つのセンサ又は同様のものが担持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10328468A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、種類の異なる車両でも極めて簡単にウインドウに固定することのできる、冒頭に述べた種類のキャリア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴を備えるキャリア装置によって解決される。本発明の適切かつ重要な発展形態を備える有利な実施形態は、その他の請求項に示されている。
【0006】
種類の異なる車両にも極めて簡単かつ有利にウインドウに固定することのできる、冒頭に述べた種類のキャリア装置を装着できるようにするため、本発明に基づいて、プラスチック製キャリアプレートには、添加物、特にガラス添加物が混ぜられる。別の表現を用いると、本発明に基づき、繊維性材料又は同様のものを添加したキャリアプレート用プラスチックが少なくとも部分的に使用されている。この添加材料を加えることにより、例えば太陽光の照射によってウインドウが高温に加熱された場合に、通常は1種類のガラス材料からなるウインドウと、キャリアプレートとの間で異なっている膨張の度合いが適切に軽減されるか、又は互いに均一化することができる。従って、ウインドウとキャリアプレートの材料膨張が少なくともある程度類似しているガラス添加物を使用することは、特に有利である。結果として、このことにより、特にポリウレタン系接着剤など、一般的な接着剤を補助的に使用して、キャリアプレートを極めて有利にウインドウに固定することができる。
【0007】
本発明の別の実施形態において、このキャリアプレートが少なくとも1つの伸縮継ぎ目を有している場合は、さらに有利である。このような伸縮継ぎ目により、加熱によって発生するキャリアプレートの膨張を、ウインドウに対して、より有利な方法で補整することができる。
【0008】
さらに、このキャリアプレートが、ウインドウに対向する面に少なくとも1つのスペーサを有している場合は有利である。これにより、特に、適切な接着剤を使用して、極めて均一かつ再現可能にキャリアプレートをウインドウに固定することができる。
【0009】
これに加えて、キャリアプレートを、少なくとも1つの通気孔が貫通している場合は有利である。このような通気孔により、特にキャリアプレートを貼り付ける際に、気泡が生じるのを防止する。
【0010】
さらに、キャリアプレートが少なくとも1つの開口部を有しており、この開口部が、組み込まれるカメラの絞りとして形成されている場合は有利である。これにより、キャリアプレートにもう1つの絞り機能が加わるため、別個の構成部品を省略することができる。好ましいのは、絞りを形成するキャリアプレートの開口部が、この場合、枠を有しており、この枠は、ウインドウに対向するキャリアプレート面の向こう側に隆起した状態で突き出している。この隆起した状態で突き出している枠により、ウインドウに取り付けた後、この枠が直接ウインドウの表面に接触するため、有効な埃防止となる。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態では、キャリアプレートが、ストッパとして働く維持構造を有しており、この維持構造に対抗して、カメラ、センサ又は同様のものがキャリアプレートから車内方向へ向く力によって支えられている。このことにより、特に有利な公差連鎖と、カメラ、センサ又は同様のものの正確な配置とが達成される。
【0012】
さらに、カメラ、センサ又は同様のものを維持構造に対抗して支える力が、キャリアプレートに配置されているスプリング構造によって加えられる場合は有利である。このスプリング構造により、カメラを確実に所定の位置に保持する一定の力が常時加えられる。
【0013】
さらに有利であるのは、カバーが設けられており、このカバーによって、少なくとも1つのカメラ、センサ又は同様のものを覆うことができ、このカバーが比較的調整可能にキャリアプレートに配置されていることである。カバーがキャリアプレートに対して調整可能であることにより、車両から車両への公差を極めて適切に調整することができるため、例えば、このカバーは常に自動車のルーフ内張りと面一に隣接している。
【0014】
キャリアプレートに対してカバーを調整するため、本発明のもう1つの実施形態では、相互作用する両方の構成部品に、それぞれガイドエレメントが設けられており、その際、両方の構成部品の調整は、段階的か又は無段階かのどちらか一方で相互に行うことができる。このガイドエレメントにより、とりわけ簡単かつ確実な調整が可能となる。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態では、カバーが絞りを有している。これにより、別個の絞りを省略することができるため、キャリア装置全体を極めて少ない構成部品で、すなわち実質的にキャリアプレートとカバーのみで実施することができる。この場合、カバーには少なくとも部分的にラッカが塗布され、散光からカバーを適切に保護することが好ましい。
【0016】
さらに有利であるのは、ウインドウヒータがキャリアプレートの中に組み込まれていることである。これによって、簡単な方法で、キャリア装置前のウインドウ部分を加熱して、ウインドウのくもりを防止することができる。
【0017】
さらに有利であるのは、プラスチックに加えられる添加材料が、強化繊維及び特にガラス繊維を有していることである。この代替として、この添加材料はガラスビーズ又は同様のものを有することができる。ガラス材料は少なくとも大部分が自動車のウインドウと同一の特性を有しているため、全体として、プラスチックとウインドウの膨張率を近づけることが可能である。従って、フロントウインドウとできるだけ同じ膨張特性をもつ、熱膨張しにくいプラスチックが使用される。このことは、このプラスチックができる限り多くのガラス繊維又はガラスビーズを有していることを意味する(例えばPBTGF30又はPBTGB20)。
【0018】
この場合、添加材料又はガラス材料の割合は10%〜40%の範囲に、とりわけ20%〜30%の範囲にあるのが特に有利である。
【0019】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、好ましい実施例及び図に基づく以下の説明によって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フロントウインドウに配置された、複数のカメラ、センサ又は同様のもののキャリア装置の部分的な斜視図である。この図ではキャリア装置のカバーが確認できる。
【図2】カバーを取り外した場合の、図1によるキャリア装置の部分的な斜視図である。特に、複数のカメラ、センサ又は同様のものが取り付けられ、接着剤によってウインドウの内側に固定されているキャリアプレートが確認できる。
【図3】図2によるキャリアプレートの斜視図である。分かりやすくするため、特にカメラ、センサ又は同様のものが省略されている。
【図4】図3によるキャリアプレートの別の斜視図である。特に、フロントウインドウに対向するキャリアプレート面が示されている。
【図5】図1及び2によるキャリア装置の配置の部分的な斜視図である。カバー及びカメラ、センサ又は同様のものは、分かりやすくするために省略されている。
【図6】フロントウインドウとその後ろに配置されたキャリア装置を外側から見た場合の部分的な斜視図である。
【図7】第2の実施形態に基づく、フロントウインドウに取り付けられているキャリア装置を内側から見た場合の部分的な斜視図である。
【図8】カバーを取り外して、キャリア装置を内側から見た場合の部分的な斜視図である。特に、キャリアプレートによって保持されているカメラ、センサ又は同様のものが確認できる。
【図9】図7及び8によるキャリア装置のキャリアプレートの斜視図である。
【図10】ウインドウに対向する、図9によるキャリアプレート面の斜視図である。
【図11】図7及び8による、フロントウインドウの内側に接着されたキャリア装置のキャリアプレートの部分的な斜視図である。
【図12】図7によるキャリアプレートのカバーの斜視図である。
【図13】図12によるカバーの内側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜6には、キャリア装置の第1の実施形態が示されている。図1、2及び5は、この場合、それぞれ車室から見た場合のキャリア装置の配置を示している。図3及び4は、後でさらに詳しく説明する独立したキャリアプレート10を示しており、このキャリアプレートは、後でさらに詳しく説明する方法で、図1、2、5において確認できるフロントウインドウ12の内側の、特にフロントウインドウ12と車両ルーフ内張り14との移行部分に接着されている。最後に、図6は、フロントウインドウ12又は車両ルーフ内張り14を外側から見た場合のキャリア装置の配置を示している。
【0022】
これに対して、図7〜13は、本キャリア装置の第2の実施形態を示し、これは、特に後に詳しく述べる追加カメラが設けられているという点で、第1の実施形態とは異なっている。この場合、図7及び8は、図1及び2と同じく、車室から見た場合の、フロントウインドウ12の、特に車両ルーフ内張り14への移行部分に取り付けたキャリア装置の配置を示している。これに対して、図9及び10は、キャリアプレート10の第2の実施形態をそれぞれ斜視図で示したものであるが、キャリアプレートは、図3及び4によるキャリアプレートとほぼ同一に形成されている。
【0023】
図11は、接着剤を介してフロントウインドウ12に内側から取り付けられているキャリアプレート10の配置を示している。
【0024】
最後に、図12及び13は、第2の実施形態(図7〜13)によるキャリア装置のカバー16を、それぞれ斜視図で示したものである。
【0025】
両方の実施形態は、主な基本機能が一致しているため、両方の実施形態において一致している部分はまとめて説明されているか、又は同一の符号が付けられている。
【0026】
両方の実施形態に基づくキャリア装置には、この場合、まずカバー16が含まれており、このカバーはキャリア装置を車室側に対して閉鎖している。このカバー16を取り外すと、図2及び8において確認できるように、主としてキャリア装置の外観を見ることができる。図2及び8に一致して、それぞれの実施例では、1台の多目的カメラ18が取り付けられており、このカメラは車線維持支援システム、道路標識認識システムまたは駐車支援システムに利用可能である。さらに、両方の実施形態には、レイン/ライトセンサ20が取り付けられており、このセンサにより、雨又は明るさに応じて、ワイパシステム、エアコン及び車両ライトなどが制御される。
【0027】
図1〜6による実施形態とは異なり、図7〜13による実施形態の場合は、もう1つのカメラ22が設けられており、このカメラはナイトビューシステムに使用される。当業者には、特にカメラとセンサといった幾つかの構成部品を追加で設けることが可能であるのは自明なことである。カメラ及びセンサの配置は、さらに、様々な使用目的に応じて変更することが可能である。
【0028】
図3及び4又は図9及び10によるそれぞれのキャリアプレート10を説明するには、まず、キャリアプレート10が、それぞれ添加材料、特にガラス材料を加えたプラスチックからなることを指摘しておかなければならない。このガラス材料は、例えばガラス繊維又はガラスビーズを含むことができ、この添加材料は、プラスチック全体の10%〜40%、特に20%〜30%の割合を占めている。この添加材料により、キャリアプレート10は、フロントウインドウ12と同じような膨張特性又は膨張率を得られる。その結果として、フロントウインドウ12又は車室のキャリアプレート10が加熱されると、両方の部品は少なくともほぼ均等に膨張する。このことにより、キャリアプレートを特に有利にフロントウインドウ12に固定することが可能となる。従って、カメラ及びセンサ18〜22をとりわけ確実に、動かないように配置することができ、このことはそれぞれの測定結果又は検知結果に有利に働く。カメラアングルを車両に合わせて正しく調整するため、キャリアプレート10のカメラホルダをモデルごとに様々に形成することも可能である。従って、基礎構造を変更する必要はない。
【0029】
さらに、両方の実施形態では、フロントウインドウ12に対向するキャリアプレート側に複数の伸縮継ぎ目24を確認することができ、これらの継ぎ目は部分的に交差している。これらの伸縮継ぎ目24は、ここでは溝として形成されており、これらの溝は、フロントウインドウ12に対向する面からキャリアプレート10の中へ取り付けられている。この伸縮継ぎ目24により、キャリアプレート10をさらに有利にフロントウインドウ12に配置することができる。プレート10の中に残っている機械的応力を補整するため、これに加えて、Y状及び垂直に様々な伸縮継ぎ目24が配置されている。
【0030】
その他に、図3及び4又は9及び10から、フロントウインドウ12に対向する面に複数のスペーサ26が取り付けられていることが分かり、これらのスペーサは、キャリアプレート10の配置箇所でフロントウインドウ12の表面に接して支持されている。キャリアプレート10は、この場合、ポリウレタン系接着剤又はその他のできる限り弾性のある接着剤によってフロントウインドウ12に固定され、突起のような形のスペーサ26によってキャリアプレート10の間隔が正確に保たれている。その際、フロントウインドウ12とキャリアプレート10との間でなおも膨張が異なっているような場合、できる限り弾性のある接着剤によってそれが調整される。好ましいのは、接着剤の均等な厚さが保証されるように、少なくとも3つのスペーサ(高さ約1mm)が取り付けられることである。キャリアプレートの厚さが大きくなればなるほど、接着剤によって調整する長さの変動は大きくなるであろう。キャリアプレートの開口部、切り抜き、溝、伸縮継ぎ目は接着層の通気に作用し、それによって接着剤が適切に硬化する。
【0031】
さらに図3及び4又は9及び10から、キャリアプレート10に複数の貫通開口部28が取り付けられているのが分かり、これらの貫通開口部により、キャリアプレート10を接着する際に、閉じ込められた空気を逃がすことができる。従って、この貫通開口部28により、キャリアプレート10とフロントウインドウ12との間に、特に均質な接着床を作ることができる。
【0032】
両方の実施形態において、実質的に台形の開口部30が確認でき、多目的カメラ18はこの開口部からキャリアプレート10を通り抜けて外部を撮影することができる。この場合、開口部30は多目的カメラ18の絞りとして形成されており、そのため幾何学的に設計形成されている。従って、このキャリアプレート10は、様々なカメラ又はセンサ18〜22の支持機能だけではなく、多目的カメラ18の絞りの機能も備えている。この場合、開口部30には、図4及び10から分かるように、枠32が含まれており、この枠はシーリングとして設けられ、フロントウインドウ12に対向するキャリアプレート10の面の向かい側へ隆起した状態で突き出している。この場合、特に、枠32は、隆起している高さがスペーサ26と同じ高さであるように寸法が決められており、キャリアプレート10をフロントウインドウ12に配置した場合、内側を向くフロントウインドウの表面に接触する。それにより、枠32が埃に対するシーリングとして働くため、開口部30の範囲には埃が入らない。特に図3及び5又は9及び11から分かるように、キャリアプレート10には、それぞれ維持構造34が含まれており、この維持構造は、この場合、4つの維持エレメント(2つの上部維持エレメント36と2つの下部維持エレメント38)を有し、多目的カメラ18には、これらの維持エレメントに対抗する、車室方向の力又はキャリアプレート10から離れようとする力が加えられている。この力は、2つのスプリングエレメント42と44を備えるスプリング構造40によって生じる。維持エレメント36と38には、この場合、基準面46が備えられており、これに対応する多目的カメラ18の面(図では確認できない)がこの基準面に向かって押し付けられる。従って、多目的カメラ18は、スプリングエレメント42及び44の力によって、維持エレメント36又は38の基準面46に向かって均等に押し付けられているため、多目的カメラ18の位置決めが再現可能になり、位置決めの交差連鎖は小さくなる。この場合、多目的カメラ18は維持構造34の中にはめ込まれ、その中で、カメラはもう1つのスプリングエレメント48のスプリング力に対抗してはめ込まれており、このもう1つのスプリングエレメントが、はめ込まれた多目的カメラ18を下部の維持エレメント38に向かって押し付けている。このことによっても、多目的カメラ18の最適な位置決めが達成される。従って、スプリング42、44により、多目的カメラ18は、遊びがなく、少ない公差によってエンドポジションに保持されることが分かる。外側からウインドウ12を見た場合に見える台形部分又はプレート10の開口部30については、以下のことが言える。くさび形の視野部分から黒枠までの必要な間隔、公差を含めたこの部分は、シボが付けられるか、黒く塗られるか又は着色されるため、外からこの範囲を黒枠と区別することはできない。
【0033】
キャリアプレート10の外側には、さらに、もう1つの開口部50が確認でき、ここにはレイン/ライトセンサ20が取り付けられている。
【0034】
開口部50の上部には、図2、5、8において、はんだ付けされたディストリビュータ52が確認できる。
【0035】
さらに、キャリアプレート10の範囲には、特にカメラ及びセンサ18〜22の部分でフロントウインドウのくもりが発生しないようにするウインドウヒータモジュール又はウインドウヒータを組み込むことができる。
【0036】
さらに図8から、図1による実施形態とは異なり(この部分は特に図2において確認できる)、カメラ22が多目的カメラ12とレイン/ライトセンサ20との間に設けられていることが分かる。これに対応して、図9及び10から、第2の実施形態によるキャリアプレート10は、このカメラ22のためのもう1つの開口部54を有しており、この開口部は同様に絞りの役割を果たす。第2の実施形態によるキャリア装置のカバー16を示している図12及び13から、レンズフード56が取り付けられていることが分かる。このレンズフード56は、第2の実施形態によるキャリアプレート10の開口部54に合わせられているため、全体として漏斗型のエレメントになっている。図12及び13によるレンズフード56の内側には、該当するラッカが塗布されている。これにより、カバー16は、キャリア装置全体の保護機能又はカバー機能ばかりではなく、さらにレンズフード56を提供するというもう1つの機能も持っている。
【0037】
両方の実施形態で共通しているのは、さらに、各カバーに(図1及び7から分かるように)、それぞれフィンのような通気孔58が装備されていることである。この通気孔58は、カバー16の付近に配置されるバックミラーの調整範囲を大きくするために、内側に窪んでいる状態で配置することができる。
【0038】
第1又は第2の実施形態によるそれぞれのカバー16は、次に詳しく説明する方法で調整可能に、対応するキャリアプレート10に固定されている。このことは、特に、製造条件により様々に位置決めされるキャリア装置又はキャリアプレート10を、例えば車両ルーフ内張り14に対して調整するために必要である。ここでは、ガイドエレメント60又は62によってその調整が可能になっている。この場合、キャリアプレート10の側にそれぞれガイドレール62が設けられており、これらのガイドレールは、全て、主として車両の前後方向又は一方向に互いに平行に延びている。 このガイドエレメント62の上に、実質的に円形の開口部64を有するガイドエレメント60を介して、カバー16が差し込可能になっており、レールのようになっているガイドエレメント62に沿って移動することができる。この場合、ガイドエレメント60と62との間には、該当する段、歯形又は同様のものを設けることができるため、調整が段階的に行われる。同様に無段階の調整も考えられる。このためには、ガイドレール62を実質的に滑らかに形成することになるであろう。しかし、全体として確認できることは、キャリアプレート10又はカバー16の側に取り付けられているガイドエレメント60、62により、カバーの調整が行われていることであり、このことから、車両の前後方向及びフロントウインドウ12の延長方向と平行にカバーを調整することが可能となる。これにより、フロントウインドウ12の取付け時などに生じる製造技術上の公差が調整されるため、例えば車両ルーフ内張り14と面一にカバー16を配置することができる。最後に、図6から、キャリア装置の配置を、車両の外から確認することができる。図7〜13による実施形態の場合も、この配置は実質的に同じであるが、ただ、さらにもう1台のカメラ22のための該当する開口部54が設けられている。
【0039】
全体として、図から分かることは、このキャリアプレート10には、例えば、カメラ18、22用固定エレメント、スプリング42、44用固定エレメント、センサ20用クリップ、接続装置用クリップ、ヒータ用クリップ、運搬保護又は埃防止装置用クリップ、カバー16の歯止め機構用クリップボルト、伸縮継ぎ目24、Y0マーク又はフロントウインドウの位置決め用マーク、スペーサ26、車内エアを迅速にくもりセンサに送るためのエアガイド用ウェブなど、多数のエレメントが取り付けられている、又は取り付けられることである。レイン/ライトセンサ20を低コストで固定できるようにするため、キャリアプレート10に、例えば金属ガイド又は別のプラスチック部品も射出形成することができる。
【0040】
輸送保護又は埃を入れない輸送のために、キャリアプレートの中に、追加的に取外し可能な輸送保護装置をカメラ用の窓にクリップ留めすることも可能である。この輸送保護装置は、組み立てラインで再度取り外すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のウインドウ(12)に固定可能なキャリアプレート(10)を有し、該キャリアプレートは、少なくとも部分的にプラスチックから製造され、前記キャリアプレートにより、少なくとも1つのカメラ(22)、1つのセンサ(20)又は同様のものが担持されている、自動車のウインドウ、特にフロントウインドウ(12)に固定するキャリア装置であって、 前記キャリアプレート(10)のプラスチックには、添加物、特にガラス添加材料が混ぜられていることを特徴とするキャリア装置。
【請求項2】
前記キャリアプレート(10)が、少なくとも1つの伸縮継ぎ目(24)を有していることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項3】
前記キャリアプレート(10)が、前記ウインドウ(12)に対向する面に少なくとも1つのスペーサ(26)を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャリア装置。
【請求項4】
前記キャリアプレート(10)を、少なくとも1つの通気孔(28)が貫通していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項5】
前記キャリアプレート(10)が、少なくとも1つの開口部(30)を有しており、該開口部が、組み込まれる前記カメラ(22)の絞りとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項6】
前記絞りを形成する前記キャリアプレート(10)の前記開口部(30)が、枠(32)を有しており、該枠は、前記ウインドウ(12)に対向する前記キャリアプレート(10)面の向こう側に隆起した状態で突き出していることを特徴とする、請求項5に記載のキャリア装置。
【請求項7】
前記キャリアプレート(10)が、ストッパとして働く維持構造(34)を有しており、該維持構造に対抗して、前記カメラ(22)、前記センサ(20)又は同様のものが前記キャリアプレート(10)から車内方向へ向く力によって支えられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項8】
前記カメラ(22)、前記センサ又は同様のものを前記維持構造(34)に対抗して支える力が、前記キャリアプレート(10)に配置されているスプリング構造(40)によって加えられることを特徴とする、請求項7に記載のキャリア装置。
【請求項9】
カバー(16)が設けられており、該カバーによって、少なくとも1つの前記カメラ(22)、前記センサ(20)又は同様のものを覆うことができ、前記カバーは、比較的調整可能に前記キャリアプレート(10)に配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項10】
前記キャリアプレート(10)に対して前記カバー(16)を調整するため、前記両方の構成部品(10、16)に、相互作用するキャリアエレメント(36、38)が設けられており、調整は、段階的か又は無段階かのどちらか一方で行われることを特徴とする、請求項9に記載のキャリア装置。
【請求項11】
前記カバー(16)が、絞り(56)を有していることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項12】
前記カバー(16)には、少なくとも部分的にラッカが塗布されていることを特徴とする、請求項11に記載のキャリア装置。
【請求項13】
前記キャリア装置、特に前記キャリアプレート(10)の中に、ウインドウヒータが組み込まれており、該ウインドウヒータにより、少なくとも、前記カメラ(22)、前記センサ又は同様のものに近い前記ウインドウ(12)部分が暖められることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項14】
前記添加物が、強化繊維、特にガラス繊維によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項15】
前記添加物が、ガラスビーズによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項16】
前記プラスチックが、10%〜40%、特に20%〜30%の割合で添加物を有していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項1】
自動車のウインドウ(12)に固定可能なキャリアプレート(10)を有し、該キャリアプレートは、少なくとも部分的にプラスチックから製造され、前記キャリアプレートにより、少なくとも1つのカメラ(22)、1つのセンサ(20)又は同様のものが担持されている、自動車のウインドウ、特にフロントウインドウ(12)に固定するキャリア装置であって、 前記キャリアプレート(10)のプラスチックには、添加物、特にガラス添加材料が混ぜられていることを特徴とするキャリア装置。
【請求項2】
前記キャリアプレート(10)が、少なくとも1つの伸縮継ぎ目(24)を有していることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項3】
前記キャリアプレート(10)が、前記ウインドウ(12)に対向する面に少なくとも1つのスペーサ(26)を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャリア装置。
【請求項4】
前記キャリアプレート(10)を、少なくとも1つの通気孔(28)が貫通していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項5】
前記キャリアプレート(10)が、少なくとも1つの開口部(30)を有しており、該開口部が、組み込まれる前記カメラ(22)の絞りとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項6】
前記絞りを形成する前記キャリアプレート(10)の前記開口部(30)が、枠(32)を有しており、該枠は、前記ウインドウ(12)に対向する前記キャリアプレート(10)面の向こう側に隆起した状態で突き出していることを特徴とする、請求項5に記載のキャリア装置。
【請求項7】
前記キャリアプレート(10)が、ストッパとして働く維持構造(34)を有しており、該維持構造に対抗して、前記カメラ(22)、前記センサ(20)又は同様のものが前記キャリアプレート(10)から車内方向へ向く力によって支えられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項8】
前記カメラ(22)、前記センサ又は同様のものを前記維持構造(34)に対抗して支える力が、前記キャリアプレート(10)に配置されているスプリング構造(40)によって加えられることを特徴とする、請求項7に記載のキャリア装置。
【請求項9】
カバー(16)が設けられており、該カバーによって、少なくとも1つの前記カメラ(22)、前記センサ(20)又は同様のものを覆うことができ、前記カバーは、比較的調整可能に前記キャリアプレート(10)に配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項10】
前記キャリアプレート(10)に対して前記カバー(16)を調整するため、前記両方の構成部品(10、16)に、相互作用するキャリアエレメント(36、38)が設けられており、調整は、段階的か又は無段階かのどちらか一方で行われることを特徴とする、請求項9に記載のキャリア装置。
【請求項11】
前記カバー(16)が、絞り(56)を有していることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項12】
前記カバー(16)には、少なくとも部分的にラッカが塗布されていることを特徴とする、請求項11に記載のキャリア装置。
【請求項13】
前記キャリア装置、特に前記キャリアプレート(10)の中に、ウインドウヒータが組み込まれており、該ウインドウヒータにより、少なくとも、前記カメラ(22)、前記センサ又は同様のものに近い前記ウインドウ(12)部分が暖められることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項14】
前記添加物が、強化繊維、特にガラス繊維によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項15】
前記添加物が、ガラスビーズによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【請求項16】
前記プラスチックが、10%〜40%、特に20%〜30%の割合で添加物を有していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のキャリア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−504518(P2012−504518A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529468(P2011−529468)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006896
【国際公開番号】WO2010/037500
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006896
【国際公開番号】WO2010/037500
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】
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