説明

自動車のコーナーターニングハンドルの固定装置

本発明は、自動車用のコーナーターニングハンドル(2)の固定装置(1)に関し、前記ターニングハンドル(2)は、自動車の構造要素(4)に少なくとも1つの取付け点によって固定される。本発明は、前記構造要素(4)に固定された支持部(10)を備え、この支持部(10)の上に、コーナーターニングハンドル(2)の固定を可能にする少なくとも1つの局部的変形部(28)が形成されること、及び前記支持部(10)の一端がたわみ手段(21)を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、自動車用のグラブハンドルの固定装置に関する。本発明は、具体的には、グラブハンドルが自動車の構造要素(4)に少なくとも1つの取付け点によって固定されるようなグラブハンドル(2)の固定装置に関する。
【0002】
従来、グラブハンドルは、自動車の構造要素に形成された2つの凹み、即ち自動車前部のフロントガラスの柱材内部パネル内と、自動車後部の側方レールに形成された凹みとにおいて固定される。
このような設計では、空間的な調和性を維持することも、構造要素の縁の厚さを均一に保持することもできず、これは自動車の衝突耐久能力が低下するという欠点を有する。
【0003】
これらの区域に側方エアバッグを有する自動車が既知である。これらのバッグは、衝突時に、扉又は窓に対して乗客が激突することを防止するために、各乗客と乗客に最も近い側方扉との間で展開するように位置決めされる。この場合、エアバッグが所望の方向に膨張することにより最適にエネルギーを吸収することが重要である。エアバッグの膨張がガイドされるという事実はまた、エアバッグがグラブハンドルと接触することを回避でき、これはこのハンドルを駆出する効果を持つ。
本発明が目的とするグラブニングハンドルの固定装置は、グラブハンドルに強度を与えることにより、自動車の構造要素の構造的健全性を維持し、側方の保護エアバッグの膨張を可能にする。
【0004】
これらの目的を達成するために、本発明は、前述のようなグラブハンドルの固定装置であって、この構造要素に固定された単一部品を備え、この単一部品の上に、グラブハンドルの固定を可能にする少なくとも1つの局部的変形部が形成されること、並びに、この単一部品の一端がたわみ手段を形成することを特徴とする装置を提供する。
【0005】
本発明の種々の特徴によれば、
−単一部品が、上に2つの局部的変形部が形成される概ね垂直な固定部分を含み、この固定部分の下端からたわみ手段が延長しており、
−たわみ手段が、この固定部分の下端から概ね垂直に延びる概ね水平な中間部分から形成され、
−たわみ手段が更に、固定部分の反対側で中間部分から連続するたわみ部分から形成され、
−たわみ部分が中間部分と90〜135度の角度を形成し、且つ
−たわみ手段が、構造要素に取り付けられた保護エアバッグの設置を可能にする大きさを有する。
本発明はまた、上述のようなグラブハンドルの固定装置を有する自動車であって、上記固定装置が搭載される構造要素が、概して自動車の前部座席上方に配置されるフロントガラス柱材内部パネルであるか、又は概して自動車の後部座席上方に配置される側方レールである自動車に関する。
【0006】
本発明の他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照する以下の詳細な説明により明らかになる。
後述の説明では、長手方向、垂直方向、及び横方向は、自動車業界において常套的に使用される方向に従って適用され、且つ図1で記号L、V、Tを付した3つの軸によって示されるが、これは限定的でない。
【実施例】
【0007】
図1及び図2に一実施例として示すように、グラブハンドル2の固定装置1は、自動車の側方の構造要素4、特に自動車の屋根6を支持する長手方向のレールのうちの1つに固定される支持部10を備える。この装置1は、自動車の後部座席上方の、屋根の側部レール上、又は前部座席の上方の、フロントガラス柱材内部パネル上に、同じようにうまく取り付けることができる。
支持部10は少なくとも1つの固定部分12から作製されており、この固定部分12は対応する構造要素4に固定されるほぼ垂直なパネルを有する。このパネルの第1の外面14は構造要素4と接触し、構造要素4へ支持部10を溶接可能とするために、固定部分12の周辺部に、構造要素4と補完的な形状を有するパネル縁部16を設けることができる。固定用の穴18を固定部分12に設けることにより、リベット接合、ねじ接合、又は点溶接を実施して支持部10を接続することができる。この固定部分12の下端20は中間部分22にほぼ垂直に連続し、この中間部分22は、固定部分12を形成するパネルの第1の外面14と反対の方向に水平に延びる。中間部分22は、固定部分12の反対側でたわみ部分24に連続し、たわみ部分24と中間部分22とは、自動車の構造要素4とたわみ部分24の間に設置されるエアバッグ8の膨張の方向を決める所定の角度を形成する。例えば、たわみ部分24は、間に100度の角度が形成されるように中間部分22に連続する。このような角度αは、このエアバッグ8が、たわみ部分24の上方に位置するグラブハンドルを妨害することなしに、車体側5と自動車の乗客の間に位置するように、エアバッグ8の膨張の方向を決めることを可能にする。
【0008】
本発明の範囲を離脱することなしに、この支持部10のほぼ中央に、トンネル部26を形成することができ、これにより、支持部10の後方に位置する区域内で屋根6の点溶接を実行するための溶接手段に容易に接近することができる。
この支持部10の固定部分12上に2つの局部変形部28が形成される。これらの局部変形部28の各々はボス部を形成し、このボス部は、固定部分12を形成するパネルの第1の外面14の中央がくぼむような方向を有しており、このとき、このパネルの反対側の面は、グラブハンドル2を支持する隆起を有する。この目的のために、これらの隆起は概ね平坦な接触表面29を有してこの表面の上にグラブハンドルの一端が支持され、各ボス部の内部に設置される図示しない第1の固定手段が、グラブハンドル2に接続される図示しない第2の相補的固定手段と協働できるように、これらの接触表面29の各々は穴30を有する。支持部10へのハンドル2の接合及び固定を可能にするために、2つの局部変形部28は、グラブハンドル2の両端を隔てる距離に相当する所定の距離だけ長手方向に隔てられる。ここで、グラブハンドル2の形状に応じて、固定部分12の上に形成される局部変形部28の数を変えることができ、且つ本発明によるハンドル2の固定を可能にするのに少なくとも1つの局部変形部28が必要であることを理解されたい。
【0009】
グラブハンドル2を受け、これを固定する局部変形部28を含む、本発明による補強部10の使用により、自動車の側方の構造要素4の厚さに変化を生じさせないことが可能になり、これらの部材の設計の均一性が向上することにより、自動車の衝突耐久性が向上する。したがって、フロントガラス柱材内部パネル及び側方レールのプレス作業が単純化され、強度の高い鋼を用いることが可能になる。こうして、種々の部材の厚さの選択が最適化される。
ほぼ水平な中間部分22とたわみ部分24とが、自動車の衝突後にエアバッグ8の膨張をガイドするたわみ手段21を形成する。中間部分22の水平方向の寸法は、エアバッグが休止位置にあるとき、このエアバッグを支持部10と構造要素4の間に設置することを可能にするものである。中間部分22とたわみ部分24の間の所定の角度αは、所望の方向に膨張をガイドする。角度αを90〜135度とすることにより、衝突後にエアバッグ8が膨張するときにバッグからグラブハンドル2が駆出されることが防止され、且つ膨張したバッグ8が乗員とドア又はウィンドウの間に確実におさまる。
【0010】
図3に示す本発明の特定の一実施形態によれば、たわみ手段21をほぼ水平な中間部分22のみによって形成することが可能である。この場合、この中間部分22は自由端23を有し、たわみ手段21の役割は、エアバッグ8の膨張時にグラブハンドル2の放出を防止することであり、バッグ8の膨張の方向は、エアバッグ8に特有の手段によって得られる。この場合も、中間部分22の水平方向の寸法は、図2の実施例に示した上述の構成と同様の構成でエアバッグ8の設置を可能にするものである。
【0011】
本発明は、単なる一実施例として説明及び図解したこれらの実施形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による固定装置の概略図である。
【図2】図1に示す装置、保護エアバッグ及び連関する構造要素の断面図である。
【図3】本発明の特定の実施形態による固定装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラブハンドル(2)が自動車の構造要素(4)に少なくとも1つの取付け点によって固定される、自動車のグラブハンドル(2)の固定装置(1)であって、構造要素(4)に固定される支持部(10)を備え、この支持部の上に、グラブハンドル(2)の固定を可能にする少なくとも1つの局部的変形部(28)が形成されること、並びにこの支持部(10)の一端がたわみ手段(21)を形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
支持部(10)がほぼ垂直な固定部分(12)を備えており、固定部分(12)の上に2つの局部的変形部(28)が形成され、たわみ手段(21)が固定部分(12)の下端(20)に連続していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
たわみ手段(21)が、固定部分(12)の下端(20)からほぼ垂直に連続するほぼ水平な中間部分(22)から形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
たわみ手段(21)が更に、固定部分(12)の反対側に中間部分(22)から連続するたわみ部分(24)から形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
たわみ部分(24)が中間部分(22)と90〜135度の角度(α)をなすことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
たわみ手段(21)が、構造要素(4)の上に搭載される保護エアバッグの設置を可能にする大きさを有することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のグラブハンドル(2)固定装置(1)を有する自動車であって、固定装置(1)が取り付けられる構造要素(4)が、概ね自動車の前部座席の上方に配置されるフロントガラス柱材内部パネルであることを特徴とする自動車。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のグラブハンドル(2)固定装置(1)を有する自動車であって、固定装置(1)が取り付けられる構造要素(4)が、概ね自動車の後部座席の上方に配置される側方レールであることを特徴とする自動車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−546579(P2008−546579A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516382(P2008−516382)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050477
【国際公開番号】WO2007/003821
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】