説明

自動車の側壁構造

【課題】この発明は、レール部の前部とシートベルト装置とをコンパクトに配設し、レール部のスライドドア引き込み幅増大によって、リヤフェンダパネルに厚みのあるデザインを施したり、車室の幅を広く確保したりすることを可能にする自動車の側壁構造を提供することを目的とする。
【解決手段】車室R1において乗降口8近傍に配された2列目シート4と、該シート4後方のサイドトリム19に配されたシートベルト装置20のリトラクタ20bと、該リトラクタ20bから上方に引き出されるウェビング20aとを備えた自動車の側壁構造であって、スライドドア9を支持するレール部15がリトラクタ20b下端よりも上方において乗降口8から後方に延設され、レール部15の前部が、車内側に湾曲してウェビング20bよりも車内側まで延設されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室側壁に設けられた乗降口を開閉自在に覆うスライドドアと、前記乗降口近傍のシート後方の側壁に配されたシートベルト装置とを備えた自動車の側壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バンやワゴンタイプの車両において、車室側壁の乗降口を開閉自在に覆うべく、前後方向にスライド移動可能なスライドドアを備えたものが知られている。このような構成においては、車体側部の車体パネルにレール部が取付けられており、前記スライドドアは、このレール部により前後方向に移動可能に支持される(特許文献1参照)。
【0003】
また、このスライドドアは、乗降口の開放時において、後方にスライド移動されるものが多く採用されている。このような構成においては、スライドドアの開放時に、これが乗降口後方の車体パネルに干渉することがないように、乗降口を覆う位置から車外側へ変位させる必要がある一方で、スライドドアの閉時においては、これを車内側に引き込みながら乗降口を閉じる必要があるため、レール部は、その前部が車内側に湾曲するような形状をなしている。
【特許文献1】特開2004−82976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車体のリヤフェンダ(アウタ)パネル等に凹凸を形成することによって車体外表面の意匠性の向上を図っているものがある。この場合、上述したようなスライドドアを設けるためには、その開放時に、前記パネルにおいて厚みを有する凸部と干渉することがないように、スライドドアを大きく車外側に変位させる必要があり、併せてスライドドア閉時における車内側への引き込み幅を大きく確保する必要がある。このため、必然的に前記レール部の前部はより車内側に配置されることになる。
【0005】
また、近年、車体パネルに使用される鋼板の品質向上によってそれ自身の強度が向上していることに伴い、車体側壁を車幅方向に薄く形成して、その分車室の広さを確保することが行われている。
【0006】
この場合、車体側壁のトリムのラインがより車外側にシフトするため、上述したようなスライドドアを設けると、相対的にレール部の前部が車室内側に入り込んだ位置に配置されることになる。
【0007】
ところで、従来から、車両の荷室前方に位置するシート用のシートベルト装置について、これをシートバック後方近傍の車室側壁やシート内に配設したものが知られている。
【0008】
しかしながら、シートベルトを前記シート内に設けると、シートベルト装置の取付部をシート内に設けなければならなくなり、その分シートの大型化、重量化を招くことになってしまう。さらに、取付部を設けることにより、その周辺の剛性を高める必要性が生じてしまい、重量化により、走行性能や燃費性能を損ねてしまう虞がある。このような理由から、シートベルト装置を車室側壁に配設する構造が多く採用されている。
【0009】
しかしながら、シートベルト装置を車室側壁に配設すると、上述したようにレール部の前部がより車内側に配置される場合、これがシートベルト装置と干渉する虞がある。このため、リヤフェンダパネルに厚みのあるデザインを施したり、車室の広さを確保したりすることが困難となっていた。
【0010】
この発明は、レール部の前部とシートベルト装置とをコンパクトに配設し、レール部のスライドドア引き込み幅増大によって、リヤフェンダパネルに厚みのあるデザインを施したり、車室の幅を広く確保したりすることを可能にする自動車の側壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の自動車の側壁構造は、車室と、該車室側壁に設けられた乗降口と、該乗降口を開閉自在に覆うスライドドアと、前記車室において前記乗降口近傍に配されたシートと、該シート後方の側壁に配されたシートベルト装置のリトラクタと、該リトラクタから上方に引き出されるウェビングとを備えた自動車の側壁構造であって、前記スライドドアを支持するレール部が前記リトラクタ下端よりも上方において前記乗降口から後方に延設され、前記レール部の前部が、車内側に湾曲して前記ウェビングよりも車内側まで延設されるものである。
【0012】
この構成によれば、レール部の前部がウェビングよりも車内側まで延設されることにより、レール部の前部とシートベルト装置とをコンパクトに配設し、レール部におけるスライドドアの引き込み幅を大きく確保することができる。
【0013】
そして、このようにレール部の引き込み幅を大きく確保できるようにすることで、車体側壁を車幅方向に薄く形成して、車室の広さを確保することができる。
また、レール部の引き込み幅を大きく確保できるようにすることで、スライドドアとリヤフェンダパネルとの干渉を防止し、該フェンダパネルにおいて厚みのあるデザインを施すことができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記シートベルト装置が、前記リトラクタ上方に、前記ウェビングの先端側部位を車内側下方に転向させるショルダアンカを備え、前記レール部の前部は、少なくとも前記ウェビングの前記ショルダアンカに対する前記リトラクタ側部位よりも前方かつ車内側まで延設されるものである。
【0015】
この構成によれば、車幅方向に転向されるウェビングの少なくともリトラクタ側の部位とレール部の前部とを車幅方向に重ねてコンパクトに配設することができる。
なお、ここに言うウェビングの先端側部位とは、ウェビングの、ショルダアンカよりも車内側の部位を意味し、ウェビングのリトラクタ側部位とは、ショルダアンカよりも車外(リトラクタ)側の部位を意味する。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記レール部の前部が、前記ウェビングの先端側部位の車外側に車両前後方向で重なるように配設されるものである。
【0017】
この構成によれば、ウェビングの先端側部位と前記前部とを前後方向でさらにコンパクトに配設することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記レール部の前部が、前記ウェビングの先端側部位と前記リトラクタ側部位との間に配設されるものである。
【0019】
この構成によれば、ウェビングのリトラクタ側部位及び先端側部位の周りを大きく迂回させなくても、レール部の前部を車内側へ配置することができ、シートベルト装置及びレール部をコンパクトに配置できる。
さらに、ウェビングが車内側に引き出される時には、その先端側部位がレール部の前端部から前方へ離間することになるため、両者の干渉を確実に防止できる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記車室において、前記ウェビングよりも後方に、前記スライドドアを開閉駆動する駆動部が設けられるとともに、該駆動部及び前記スライドドアに連結され、前記レール部に沿って配されるケーブルが設けられ、該ケーブルは、前記レール部の前部から車外側後方に前記ウェビングを迂回して延設されるものである。
【0021】
この構成によれば、スライドドアを開閉駆動する駆動部を設け、乗降時の利便性を高めながら、シートベルト装置及びレール部を車幅方向でコンパクトに配設することができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記シートの車外側に、アームレストが設けられ、該アームレストは、前記ウェビングの先端側部位よりも車外側に突設されるとともに、前記アームレストと前記シートのシートバックとの間を塞いで、前記ウェビングの侵入を防ぐカバー部材が設けられるものである。
【0023】
この構成によれば、アームレストにウェビングが掛かる位置までシートを車外側に拡幅することを可能にしつつも、ウェビングがシートバックとアームレストとの間に挟まれることを確実に防止できる。
【0024】
この発明の一実施態様においては、前記シート後方に後部シートが設けられ、前記シートは、前記乗降口後部から前記後部シートに乗降できるように前進できるシート移動手段を備えるものである。
【0025】
この構成によれば、シートベルト装置とレール部とをコンパクトに配置するとともに、シート移動手段により構成されるウォークイン機構を備える場合において、ウェビングが後部シートへの乗降の邪魔にならないようにこれをカバー部材によってガイドすることができる。
【0026】
この発明の一実施態様においては、前記シートのシートバック上部後方近傍に配設された巻取部、及び該巻取部から後方に引き出されて前記シートバック後方の荷室を覆うカバー体を有する巻取り式のトノカバーを備えるとともに、前記後部シートは格納機構を有しており、前記車室の側壁には、前記トノカバーの巻取部を固定する固定部が設けられ、該固定部は、前記ウェビングと車両前後方向で重なるようにその車内側に配設されるものである。
【0027】
この構成によれば、ウェビングの車内側でこれと前後方向に重なるようにトノカバーの固定部を配設したため、トノカバーの巻取部を前方のシートバックの上部近傍に配置することが可能になり、その分荷室における前後方向の幅を広く確保することができる。このため、トノカバーを取外すことなく、長尺の荷物を荷室に積み込むことが可能になる。
さらに、トノカバーの使用時においては、巻取部とシートバックとの隙間を減らすことができ、見映えの向上を図ることができる。
【0028】
この発明の一実施態様においては、前記シートの後方かつ前記リトラクタの下方近傍にホイールハウスが設けられるものである。
【0029】
この構成によれば、ホイールハウスの存在により、シートベルト装置及びレール部の配設スペースに制限があるものの、リトラクタの下端よりも上方でかつウェビングよりも前方にレール部の前部を配設することで、ホイールハウスの上方に、シートベルト装置及び大きな引き込み幅を有するレール部をコンパクトに配設することが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、レール部の前部がウェビングよりも車内側まで延設されることにより、レール部の前部とシートベルト装置とをコンパクトに配設し、レール部におけるスライドドアの引き込み幅を大きく確保することができる。
【0031】
そして、このようにレール部の引き込み幅を大きく確保できるようにすることで、車体側壁を車幅方向に薄く形成して、その分車室の広さを確保することができる。
また、レール部の引き込み幅を大きく確保できるようにすることで、スライドドアとリヤフェンダパネルとの干渉を防止し、該フェンダパネルにおいて厚みのあるデザインを施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る側壁構造を備える自動車1を示す側面図であり、図2は、図1に示す自動車1を車室R1側から見た側面図である。本実施形態は、前後方向に3列のシートを備えたワゴンタイプの自動車に、本発明の側壁構造を適用した場合の一例である。なお、図中において矢印(F)は車両前方、矢印(R)は車両後方を示し、矢印(IN)は車両内方、矢印(OUT)は車両外方を示す。
【0033】
図1、図2に示すように、自動車1の車体2には、車室R1及び荷室R2が形成されており、車室R1には、運転席を含む左右一対の1列目シート3と、1列目シート3の後側に配置された2列目シート4とが装備され、2列目シート4の後方の荷室R2には、2列目シート4の後側に配置された3列目シート5が装備されている。
【0034】
また、車体2の側部近傍には1列目シート3の略左右両側方に乗降口6が形成され、これら乗降口6を開閉自在に覆う左右一対のフロントドア7が設けられている。各フロントドア7は、前端部が車体2の本体に鉛直軸心回りに回動自在に連結されたヒンジドアである。
【0035】
また、車体2の側部には2列目シート4近傍の略左右両側に乗降口8が形成され、これら乗降口8を前後方向にスライドして開閉自在に覆う左右一対のスライドドア9が設けられている。この乗降口8により2列目シート4または3列目シート5への乗降が行われる。
【0036】
また、3列目シート5の前後方向の位置に対応する車体2の側部には、上部にウインドウ10が配設されるとともに、カバー部材11を挟んでアウタ(リヤフェンダ)パネル12が配設されている。
【0037】
ここで、スライドドア9の下側後端部とアウタパネル12の下側前端部には、後輪Wに沿ってホイールアーチ部が形成されるとともに、その外周部は、他よりも車外側へ膨出して厚みを有する膨出部9a、12aが形成されている。
【0038】
また、カバー部材11の下縁は、前後方向に直線状とされて、アウタパネル12との間に上下方向に若干の隙間13を形成するようになっている。この隙間13は、乗降口8の縁部からテールランプ14の位置まで後述するレール部15に沿って前後方向に延びている。
【0039】
レール部15は、アウタパネル12に沿って前後に延設されており、スライドドア9を前後方向に移動可能に支持している。また、レール部15は、フロントドア7、スライドドア9にかけて形成された意匠ライン、所謂ベルトラインBLに合うような高さ位置に配置され、乗降口8の後方に延設されている。
【0040】
ところで、自動車1のシート装置について、2列目シート4は、図2に示すように、シートクッション4aと、シートバック4bと、ヘッドレスト4cとを備えている。さらに、シートバック4bの車外側には、図中二点鎖線で示すようにシートバック4bに対して前後方向に延びる使用位置と、起立状態のシートバック4bと略平行となる位置に退避する退避位置とに回動可能なアームレスト4dを備えている。
【0041】
さらに、2列目シート4に対応して、その基部には、スライドレール16が設けられており、2列目シート4を前方にスライド移動可能に支持している。図3は、2列目シート4を前方にスライド移動させた状態を車室R1側から見た側面図である。
【0042】
そして、2列目シート4には、起立状態にあるシートバック4bをシートクッション4aに向けて回動させることにより折り畳み可能とするリクライニング機構17が設けられている。リクライニング機構17は、図3に示すように、シートバック4bの回動中心と同軸上に配されるギア17aと、該ギア17aと歯合して回動を規制するストッパ17bと、乗員の操作によりストッパ17bをギア17aに対して進退させるレバー17cと、シートバック4bを折り畳み方向に付勢する付勢手段17dとから構成されている。
【0043】
これらスライドレール16及びリクライニング機構17により、スライドドア9(乗降口8)の開放時においては、図3に示すように、第2シート4を前方へスライド移動させつつ、シートバック4bを若干前方に回動させた退避状態とすることにより、乗降口8において3列目シート5への乗降が許容される。つまり、スライドレール16及びリクライニング機構17により3列目シート5用のウォークイン機構を構成している。
【0044】
3列目シート5は、図2、図3に示すように、シートクッション5aと、シートバック5bと、ヘッドレスト5cとを備えるとともに、格納機構18を備えている。図4は、この格納機構18の構成を示す側面図である。
【0045】
具体的には、図4に示すように、第3列シート5は、フロアパネルFP上に設置された左右一対の支持プレート18aに、上下方向に延びる前側及び後側リンク18b、18cを介して支持されている。
【0046】
このうち、前側リンク18bは、その上端部が上記シートクッション5aの前方部側面に支軸18dを介して枢支されるとともに、上記前側リンク18bの下端部は支持プレート18aの前方部に支軸18eを介して枢支されている。一方、後側リンク18cは、その上端部がシートバック5bの下端部側面に図略の締結部材等を介して固定されるとともに、上記後側リンク18cの下端部は支持プレート18aの後方部に支軸18fを介して枢支されている。
【0047】
また、シートクッション5aの後方部側面には、締結部材18gを介して連結リンク18hが固定されている。この連結リンク18hは、その先端部が、上記後側リンク18cの上端部に支軸18iを介して枢支されている。
【0048】
支持プレート18cには、後側リンク18cの下端部を保持してこの後側リンク18cが支軸18fを支点に回動するのを規制するロック装置18jが設けられている。そして、通常時には、このロック装置18jによって後側リンク18cの回動変位が規制されることにより、図4中実線で示すように、シートバック5bがシートクッション5aに対し上方に起立した状態に保持されるとともに、シートクッション5aが支持プレート18aに対し所定距離上方に離間した位置に保持されるようになっている。
【0049】
シートクッション5aまたはシートバック5bの所定部位には、ロック装置18jの内部のギア機構等と連係された図略の操作レバー(不図示)が設けられており、この操作レバーが乗員によって操作されるのに応じ、ロック装置18jによる後側リンク18cのロックが解除されるようになっている。
【0050】
そして、このように後側リンク18cのロックが解除された状態で、乗員が上記シートバック5bに対しこれを前方に押し倒す方向の力を加えると、図4中二点鎖線で示すように、シートバック5bと一体に上記後側リンク18cが前方に回動変位するとともに、連結リンク18hが前方かつ下方に揺動変位し、さらに上記前側リンク18bが前方に回動変位する。
【0051】
さらに、これに対応して、シートクッション5aが前方かつ下方に沈み込むとともに、シートバック5bがこのシートクッション5aに向けて倒伏した折り畳み状態に変位することになる。
【0052】
この格納機構18により、3列目シート5は格納シートとして機能し、3列目シート5の格納時には、図2及び図4において実線で示す状態から、二点鎖線で示すように変位して、シートバック5bの上面が荷室R2のフロア面R2aと連続したフラットな面を構成する。このため、図2に示すように、スーツケースのような長尺の荷物Xを積み込むことが可能になる。
【0053】
また、図2、図3に示すように、第2シート4のシートバック4b後方近傍の車体2のサイドトリム19には、第2シート4用のシートベルト装置20が配設されている。シートベルト装置20は、主にウェビング20aと、2列目シート4のシートバック4bの上部より後方かつ下方に位置して、ウェビング20aを上方に引き出し可能に巻取るリトラクタ20bと、ウェビング20aに設けられて、2列目シート4側のバックルBaに係合可能とされるタング20cと、ショルダアンカ20dと、アンカ20eとにより構成されている。
【0054】
リトラクタ20bは、後輪Wを覆うホイールハウス21の上方近傍に位置しており、ウェビング20aは、リトラクタ20bから前方かつ上方に延びて、途中でリトラクタ20b上方のピラートリム22に取付けられたショルダアンカ20dに挿通されている。そして、ウェビング20aは、ショルダアンカ20dにて車外側に転向され、前方かつ下方に延びて先端側がフロアパネルFPのアンカ20eに固定されている。
【0055】
また、シートバック4bの上部後方近傍には、巻取部25aから後方に引き出されて荷室R2を覆うカバー本体25bを有する巻取り式のトノカバー25が備えられている。
【0056】
そして、サイドトリム19の、シートバック4bの上部後方近傍には、凹形状の固定部19aが形成され、該固定部19aにより、トノカバー25の巻取部25aが固定されている。
【0057】
なお、サイドトリム19には、前後方向に延びる段差部19bが形成されており、3列目シート5のシートバック5bの近傍の前方位置に、凹形状をなすカップホルダ19cが形成されている。
【0058】
図5、図6は、それぞれ図2におけるA−A線矢視断面図、B−B線矢視断面図である。図5、図6に示すように、カバー部材11は、インナパネル11aと、アウタパネル11bとによって閉断面状に形成されている。また、車体2の側部は、アウタパネル12と、その車内側のインナパネル26とによって閉断面状に形成されている。
【0059】
また、アウタパネル12は、レール部15の高さ位置で一旦車幅方向内方側に凹みつつ、上方へと伸びており、この車幅方向内方側への凹みにより形成される段部上にレール部15が配設されている。
【0060】
レール部15は、カバー部材11によって車幅方向外方側から覆われている。このカバー部材11によってレール部15を覆った状態では、その下方に位置するアウタパネル12と略連続した面を形成するように滑らかに連なっている。
【0061】
また、アウタパネル12のうち、前記段差よりも上方の上パネル部には、上述したウインドウ10を構成するリヤクォータガラス10aが取付けられるが、カバー部材11の上縁は、リヤクォータガラス10aの下縁に滑らかに連なっている。さらに、カバー部材11の外表面のうちその前縁は、閉状態にあるスライドドア9の外表面のうちその後縁に近接かつ滑らかに連なっている。
【0062】
シートベルト装置20のリトラクタ20bは、サイドトリム19より車外側のインナパネル26に取付けられており、ウェビング20aは、図5に示すように、途中でサイドトリム19とピラートリム22との隙間を通って車室R1内に進出している。
【0063】
また、インナパネル26には、車外側に湾曲する湾曲部26aが形成されており、該湾曲部26aとこれに接合されたホイールハウスインナ21aとによりホイールハウス21が構成され、これがリトラクタ20bの下方近傍に配設されている。
【0064】
図5、図6においては、スライドドア9の開放時における位置を二点鎖線で示しており、スライドドア9は、アウタパネル12の膨出部12aと干渉することがないように、その開放時において膨出部12aに対して大きく車外側へ変位させられるようになっている。
【0065】
また、この他、図5、図6においては、ドア支持部材27を示しており、その車外側端部はスライドドア9に取付けられている。さらに、このドア支持部材27は、レール部15によって支持されており、これによりスライドドア9がレール部15で支持された状態となっている。なお、ドア支持部材27については、後で詳述する。
【0066】
図7は、図2におけるC−C線矢視断面図であり、シートベルト装置20と固定部19a(トノカバー25)との位置関係について、本実施形態では、サイドトリム19の固定部19aが、図2、図3、図6、及び図7に示すように、リトラクタ20bの上方においてウェビング20aと車両前後方向で重なるように該ウェビング20aの車内側に配設されている。
【0067】
トノカバー25の巻取部25aの両端部には、図6、図7に示すように、長手方向に進退可能な差込部25cが取付けられており、スプリング25dによって常時長手方向外側へ付勢されている。トノカバー25の取付時には、差込部25cをスプリング25dの付勢力に抗して長手方向内側に収縮させながら固定部19aに差し込むとことにより、巻取部25aを所定位置へセットすることができ、トノカバー25を使用可能状態とすることができる。
【0068】
また、固定部19aには、その後部車外側部位においてインナパネル26側に突出する脚部19dが設けられている。そして、この脚部19dは、インナパネル26に接合されたブラケット28にボルト29B、ナット29Nで締結されており、これによって固定部19aが車体2に支持され、補強されている。
【0069】
また、脚部19dの直ぐ前方には、図7に示すように、ウェビング20aのショルダアンカ20dよりもリトラクタ20b側の部位が配されており、これにより巻取部25aとウェビング20aの前記部位とが前後方向において重なるような配置となっている。なお、以降の説明では、ウェビング20aの、ショルダアンカ20dよりも車外(リトラクタ20b)側の部位を、ウェビング20aのリトラクタ20b側の部位と言い、ショルダアンカ20dよりも車内側の部位をウェビング20aの先端側部位と言う。
【0070】
本実施形態では、上述したように、シートベルト装置20のリトラクタ20bの上方において、ウェビング20aの車内側でこれと前後方向に重なるようにトノカバー25の固定部19aを配設したため、トノカバー25の巻取部25aを前方のシートバック4bの上部近傍に配置することが可能になり、その分荷室R2における前後方向の幅を広く確保することができる。
【0071】
このため、トノカバー25を取外すことなく、長尺の荷物Xを荷室R2に積み込むことが可能になる。さらに、トノカバー25の使用時においては、巻取部25aとシートバック4bとの隙間を減らすことができ、見映えの向上を図ることができる。
【0072】
また、固定部19aの後部に脚部19dを設け、これが車体2のインナパネル26に支持されるようにしたため、巻取部25aを後退させることなく、ウェビング20aの後方でこれを回避するようにして固定部19aをインナパネル26(ブラケット28)に支持させることができる。このため、トノカバー25取付時の剛性を向上させ、質感を高めることができる。
【0073】
また、ウェビング20aが、リトラクタ20bから上方のショルダアンカ20dに向けて延びるとともに、ショルダアンカ20dで車内側かつ前方に転向されるようにすることで、乗員の肩部に合うような適切な高さにウェビング20aを引き出すことを可能にしつつ、ウェビング20a同士の干渉や、ウェビング20aと巻取部25aとの干渉を回避することが可能になり、巻取部25aをより前方に配置することが可能になる。
【0074】
なお、この場合、ウェビング20aのリトラクタ20b側の部位が、上方かつ前方に斜めに延びているため、サイドトリム19の固定部19aの脚部19dを、図8に示す脚部19d′のようにより後方に配置することで、さらに固定部19a(巻取部25a)を前方に配置することが可能になり、ウェビング20aと巻取部25aとのラップ量を増やすことができる。また、同図の脚部19d″のようにより上方に配置することで、前記ラップ量をさらに増やすことができる。
【0075】
ところで、本実施形態では、上述したスライドドア9用のレール部15に関し、これが上述したベルトラインBL(図1参照)に合うような高さ位置に配置されることで、図2、図3、図5、及び図6に示すように、固定部19aの上端よりも下方かつリトラクタ20b下端よりも上方に配置されている。
【0076】
図9は図2におけるD−D線矢視断面図であり、図10は、図9の要部拡大図である。レール部15は図9、図10に示すように、レール本体15aの前端部15a1が車内側に湾曲している。
【0077】
また、スライドドア9については、これがアウタパネル9bとインナパネル9cとによって閉断面状に形成されており、上述した膨出部9aがアウタパネル9b側に形成されている。
【0078】
また、インナパネル9cには、後部内端部にドア支持部材27が取付けられ、このドア支持部材27がレール部15に対してスライド可能に係合されている。このドア支持部材27は、隙間13(図1、図5、図6参照)を通過するように配設されている。
【0079】
ドア支持部材27は、一対のブラケット部27a、27bとを有して、一方のブラケット部27aがスライドドア9に溶接、ボルト固定等によって固定されている。そして、ブラケット部27aの先端部に対して、他方のブラケット部27bの基端部が、ピン27cによって上下方向軸線を中心にして回動自在に連結されている。
【0080】
また、ブラケット部27bの先端部には、ガイドローラ27d、27e、27fが回転自在に保持されている。ガイドローラ27dは、略水平方向に伸びる軸線回りに回転自在とされて、レール本体15aの底壁部上を移動されるようになっている。即ち、ガイドローラ27dは、主としてスライドドア9の下方への変位を規制するものとなっている。
【0081】
また、ガイドローラ27e、27fは、上下方向に延びる軸線回りに回転自在とされて、レール本体15aのうち車幅方向において隔置された一対の側壁部間に位置されて、車幅方向に位置ずれしないようにされている。即ち、ガイドローラ27e、27fは、スライドドア9の車幅方向への変位を規制するものとなっている。
【0082】
ここで、スライドドア9が乗降口8を閉じている閉位置にあるときは、ドア支持部材27はレール部15の前端部に位置されている。この状態から、スライドドア9を後方に向けてスライド移動させると、スライドドア9は、一旦車幅方向外方側に向けて変位された後、後方へ移動されることになる。
【0083】
スライドドア9は、駆動機構によって開閉駆動されるようになっている。駆動機構は、駆動用モータ等内蔵した駆動部15bと、該駆動部15b及びドア支持部材27に連結された無端環状(エンドレス)のケーブル15cと、ケーブル15cをガイドする前後一対のガイドプーリ15d、15eとを有する。
【0084】
ケーブル15cは、レール本体15aに沿うように配設されるとともに、駆動部15bとガイドプーリ15d、15eとを通るように配設される。駆動部15b内のモータを例えば正転させることによってスライドドア9が前方に向けて駆動され、モータを例えば逆転させることによってスライドドア9が後方に向けて駆動される。
【0085】
ここで、本実施形態では、レール部15の前端部(ガイドプーリ15d)が、図6、図9、及び図10に示すように、リトラクタ20bの前方でサイドトリム19の固定部19aの車外側端部よりも車内側まで延設されている。そして、ウェビング20aとの位置関係については、そのリトラクタ20b側の部位が、リトラクタ20bから上方に向かって、レール部15の前端部と固定部19aとの間を斜めに通るように配設されている。
【0086】
このため、本実施形態のように、乗降口8やレール部15が設けられる自動車1であっても、レール部15におけるスライドドア9の引き込み幅L1(図10参照)を十分に確保しながら、リトラクタ20bを乗降口8の後方にコンパクトに配置することができる。さらに、ウェビング20aが、レール部15の前部と固定部19aとの間を斜めに通るので、各部20a、15、19aの間の前後方向の隙間を小さくできることから、トノカバー25の巻取部25aをより前方に配置することが可能になる。
【0087】
また、シートベルト装置20の設置による安全性や、トノカバー25の前方配置による荷物Xの収納性を犠牲にしなくとも、シートベルト装置20やトノカバー25をコンパクトに配置することで、乗降口8を後方に拡大することができる。このため、上述したように、スライドレール16やリクライニング機構17からなるウォークイン機構を設けた場合においては、特に3列目シート5への乗降を容易に行うことができる。
【0088】
また、レール部15とシートベルト装置20との関係においては、レール本体15aの前端部15a1が車内側に湾曲することで、レール部15の前端部がウェビング20aのリトラクタ20b側の部位よりも前方かつ車内側まで延設されている。これにより、レール部15の前端部とシートベルト装置20とをコンパクトに配設し、レール部15のスライドドア9の引き込み幅L1を大きく確保することができる。そして、車幅方向に転向されるウェビング20aのリトラクタ20b側の部位とレール部15の前端部とを車幅方向に重ねてコンパクトに配設することができる。
【0089】
このように、レール部15の引き込み幅を大きく確保する構成は、例えば、近年、車体パネルに使用されるアウタパネル12やインナパネル26に使用される鋼板自身の強度が向上していることに伴い、車体側壁を車幅方向に薄く形成して、車室R1の広さを確保する場合、好適である。
【0090】
この場合、車体側壁のサイドトリム19のラインがより車外側にシフトすることになるため、上述したスライドドア9を設けると、相対的にレール部15の前端部を車室R1側の入り込んだ位置に配置しなければならなくなるが、本実施形態では、レール部15の前端部がウェビング20aよりも車内側まで延びるように配設されるため、車室R1の広さを容易に確保することができる。
【0091】
また、レール部15の引き込み幅を大きく確保する構成は、本実施形態のように、車体外表面の意匠性向上を図るべく、車体のアウタパネル12に厚みを有する膨出部12aが形成されている場合、好適である。
【0092】
図11は、アウタパネル12に膨出部12aを形成した場合とそうでない場合とにおける、レール部15、115の引き込み幅の違いを説明するための対比図である。本実施形態では、図11(a)に示すように、スライドドア9の開放時にこれと凸部12aとが干渉しないように、図11(b)の場合に比べてスライドドア9をより車外側に変位させる必要がある。
【0093】
そして、このようにスライドドア9をより車外側へ変位させるためには、併せてスライドドア9の閉時におけるレール部15の車内側への引き込み幅L1を図11(b)のレール部115の引き込み幅L2に比べて大きく確保する必要がある。この場合、必然的にレール本体15aの前端部15a1がレール本体115の前端部115a1より車内側に位置し、ガイドプーリ15dが、115のガイドプーリ115dよりも車内側に配置されることになる。
【0094】
本実施形態では、レール部15の前端部15がウェビング20aよりも車内側まで延びるように配設されることで、スライドドア9とアウタパネル12との干渉を防止し、自動車1のアウタパネル12において厚みのあるデザインを施すことを可能にしている。
【0095】
また、図2、図3に示すように、本実施形態では、2列目シート4の下方でかつリトラクタ20bの下方近傍にホイールハウス21が設けられている。この場合、ホイールハウス21の存在により、シートベルト装置20及びレール部15の配設スペースに制限があるものの、リトラクタ20bの下端よりも上方でかつウェビング20aよりも前方にレール部15の前端部を配設することで、ホイールハウス21の上方に、シートベルト装置20及び大きな引き込み幅L1を有するレール部15をコンパクトに配設することが可能になる。
【0096】
また、シートベルト装置20、トノカバー25の固定部19a、及びレール部15を前後方向にコンパクトに配設することで、これらを3列目シート5よりさらに前方に集約させることができる。このため、サイドトリム19の3列目シート5の近傍に、上述した段差部19bの上へ肘を置くスペースを確保しながら、その前方に上述したカップホルダ19c(図2、図3等参照)を形成することができ、3列目シート5に着座した乗員の手の届き易い位置に飲食物を保持させることができる。
【0097】
また、レール部15に関し、その前端部は、図9、図10に示すように、ウェビング20aの先端側部位の車外側に前後方向で重なるように配設されている。これにより、ウェビング20aの先端側部位と前記前端部とを前後方向でさらにコンパクトに配設することができる。
【0098】
また、レール部15の駆動部15bについて、これをウェビング20aよりも後方に設けるとともに、ケーブル15cをガイドプーリ15dから車外側後方に向けてウェビング20aを迂回するように配設している。これにより、スライドドア9を開閉駆動する駆動部15bを設け、乗降時の利便性を高めながら、シートベルト装置20及びレール部15を車幅方向でコンパクトに配設することもできる。
【0099】
図12は、2列目シート4を車外側から見た斜視図である。図9、図10にも示すように、2列目シート4のシートバック4bにおいては、シートバック4bの車外側後部と、退避位置にあるアームレスト4dとにより形成される凹部を塞ぐカバー部材30が取付けられている。
【0100】
カバー部材30は、例えばラバー素材等でできた弾性を有する略長方形状の部材であり、その長手方向が退避位置にあるアームレスト4dの長手方向に沿うように配設されている。そして、その長手方向の長さは、アームレスト4dの長手方向の長さと略同様とされている。
【0101】
また、このカバー部材30は、アームレスト4dが非使用状態で退避位置にある時には、アームレスト4dの後面に当接して車外側先端が車外側かつ後方へ押圧される一方、アームレスト4dの使用時には、図10、図12にて二点鎖線で示すように前方に変位し、シートバック4bの車外側側面に略沿うような状態となる。
【0102】
本実施形態では、車室R1の居住性を確保すべく、図7、図9、図10に示すように、アームレスト4dにウェビング20aの先端側部位が掛かる位置まで2列目シート4のシート幅が車外側に拡幅されている。
【0103】
このような構成により、ウェビング20aを前方に引き出す時には、これがシートバック4bとサイドトリム19との間、及びアームレスト4dとサイドトリム19との間を通される。この時、アームレスト4dが退避位置にあったとしても、カバー部材30が前記凹部塞ぐことで、ウェビング20aが前記凹部に侵入して、これがシートバック4bとアームレスト4dとの間に挟まれることを確実に防止できる。
【0104】
なお、ウェビング20aのこのような侵入を防止するために、例えば、アームレストをスライドドア9側に設けることも考えられる。しかしながら、そのようにした場合、スライドドア9の開放時における車外側への変位幅を大きく確保する必要があり、併せて閉時におけるレール部15の前記引き込み幅を大きく設定しなければならなくなる。
【0105】
ところで、ウェビング20aを前方に引き出す際にこれをガイドする部材としては、例えば、特表平9−512224号公報に開示されたものがある。該文献では、アームレストに、その長手方向に沿ってウェビングをガイドするガイド部が設けられており、アームレストを使用位置に移動させると、同時にガイド部に沿ってウェビングが前方に引き出されるようになっている。
【0106】
しかしながら、この従来構造では、本実施形態のように、乗員が乗降口8で3列目シート5に乗降できるようにしている場合、アームレストが使用位置にあると、ウェビングが前方に引き出されて、これが3列目シートに乗降するための通路(乗降口)を横切ることとなるため、このウェビングが前記乗降の際邪魔になるという問題がある。
【0107】
これに対し、本実施形態のカバー部材30は、あくまでも前記凹部を塞ぐ役割を有しているに過ぎず、ウェビング20aの引き出し方向に積極的に移動させるものとはなっていない。つまり、上述のようなウォークイン機構を備える場合において、ウェビング20aが3列目シート5への乗降の邪魔にならないようにこれをカバー部材30によってガイドすることができる。
【0108】
なお、図1〜図12に示す実施形態では、レール部15の前端部をウェビング20aの先端側部位と前後方向で重なる位置に配設するようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図13に示すように、2列目シート4の位置が図1〜図12に示す最初の実施形態よりも前方に設定される場合、ウェビング20aの先端側部位を前方に位置させるとともに、レール部15′のように、その前端部(ガイドプーリ15d′)を、前後方向においてウェビング20aのリトラクタ20b側の部位と先端側部位との間に配設するようにしてもよい。
【0109】
これにより、ウェビング20aのリトラクタ20b側の部位及び先端側部位の周りを大きく迂回させなくても、図示のように、レール本体15a′の前端部15a1′をより車内側へ配置し、ガイドプーリ15d′をウェビング20aのリトラクタ20b側の部位及び先端側部位よりもさらに車内側に配設することができる。これにより、レール部15′の引き込み幅をさらに大きく確保することができる。
【0110】
さらに、この場合、ガイドプーリ15d′を、ウェビング20aのリトラクタ20b側の部位及び先端側部位と車幅方向において重なるように配設することで、シートベルト装置20及びレール部15をコンパクトに配置できる。
【0111】
さらに、ウェビング20aが車内側に引き出される時には、その先端側部位がレール部15′の前端部から前方へ離間することになるため、両者の干渉を確実に防止できる。
【0112】
なお、図13に示す他の実施形態において、図1〜図12を参照して説明した最初の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0113】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の車室側壁は、サイドトリム19に対応し、
以下同様に、
後部シートは、3列目シート5に対応し、
シート移動手段は、スライドレール16に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】この発明の実施形態に係る側壁構造を備える自動車を示す側面図。
【図2】図1に示す自動車を車室側から見た側面図。
【図3】2列目シートを前方にスライド移動させた状態を車室側から見た側面図。
【図4】格納機構の構成を示す側面図。
【図5】図2におけるA−A線矢視断面図。
【図6】図2におけるB−B線矢視断面図。
【図7】図2におけるC−C線矢視断面図。
【図8】固定部の位置を変位させた時の、ウェビングとトノカバーとの前後方向のラップ量の違いを説明するための説明図。
【図9】図2におけるD−D線矢視断面図。
【図10】図9の要部拡大図。
【図11】アウタパネルに膨出部を形成した場合とそうでない場合とにおける、レール部の引き込み幅の違いを説明するための対比図であり、(a)膨出部を形成した場合の図、(b)膨出部を形成しない場合の図。
【図12】2列目シートを車外側から見た斜視図
【図13】この発明の他の実施形態に係る側壁構造を示す要部拡大図。
【符号の説明】
【0115】
4…2列目シート
4a…シートクッション
4b…シートバック
4d…アームレスト
5…3列目シート
8…乗降口
9…スライドドア
15、15′…レール部
15b…駆動部
15c…ケーブル
16…スライドレール
17…リクライニング機構
18…格納機構
19…サイドトリム
19a…固定部
19d…脚部
20…シートベルト装置
20a…ウェビング
20b…リトラクタ
20d…ショルダアンカ
25…トノカバー
25a…巻取部
25b…カバー本体
30…カバー部材
R1…車室
R2…荷室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室と、
該車室側壁に設けられた乗降口と、
該乗降口を開閉自在に覆うスライドドアと、
前記車室において前記乗降口近傍に配されたシートと、
該シート後方の側壁に配されたシートベルト装置のリトラクタと、
該リトラクタから上方に引き出されるウェビングとを備えた自動車の側壁構造であって、
前記スライドドアを支持するレール部が前記リトラクタ下端よりも上方において前記乗降口から後方に延設され、
前記レール部の前部が、車内側に湾曲して前記ウェビングよりも車内側まで延設される
自動車の側壁構造。
【請求項2】
前記シートベルト装置は、前記リトラクタ上方に、前記ウェビングの先端側部位を車内側下方に転向させるショルダアンカを備え、
前記レール部の前部は、少なくとも前記ウェビングの前記ショルダアンカに対する前記リトラクタ側部位よりも前方かつ車内側まで延設される
請求項1記載の自動車の側壁構造。
【請求項3】
前記レール部の前部は、前記ウェビングの先端側部位の車外側に車両前後方向で重なるように配設される
請求項2記載の自動車の側壁構造。
【請求項4】
前記レール部の前部は、前記ウェビングの先端側部位と前記リトラクタ側部位との間に配設される
請求項2記載の自動車の側壁構造。
【請求項5】
前記車室において、前記ウェビングよりも後方に、前記スライドドアを開閉駆動する駆動部が設けられるとともに、
該駆動部及び前記スライドドアに連結され、前記レール部に沿って配されるケーブルが設けられ、
該ケーブルは、前記レール部の前部から車外側後方に前記ウェビングを迂回して延設される
請求項2〜4のいずれか一項に記載の自動車の側壁構造。
【請求項6】
前記シートの車外側にはアームレストが設けられ、
該アームレストは、前記ウェビングの先端側部位よりも車外側に突設されるとともに、
前記アームレストと前記シートのシートバックとの間を塞いで、前記ウェビングの侵入を防ぐカバー部材が設けられる
請求項2〜5のいずれか一項に記載の自動車の側壁構造。
【請求項7】
前記シート後方には後部シートが設けられ、
前記シートは、前記乗降口後部から前記後部シートに乗降できるように前進できるシート移動手段を備える
請求項6記載の自動車の側壁構造。
【請求項8】
前記シートのシートバック上部後方近傍に配設された巻取部、及び該巻取部から後方に引き出されて前記シートバック後方の荷室を覆うカバー体を有する巻取り式のトノカバーを備えるとともに、
前記後部シートは格納機構を有しており、
前記車室の側壁には、前記トノカバーの巻取部を固定する固定部が設けられ、
該固定部は、前記ウェビングと車両前後方向で重なるようにその車内側に配設される
請求項7記載の自動車の側壁構造。
【請求項9】
前記シートの後方かつ前記リトラクタの下方近傍にホイールハウスが設けられる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動車の側壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−227192(P2009−227192A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77253(P2008−77253)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】