説明

自動車の操舵検出装置

装置は、2つの超音波トランスデューサ(142,144)を含み、これらは、自動車の操舵輪(47)に対して搭載可能であり、それぞれ、操舵輪(47)上のターゲット位置に超音波信号を送信し、当該ターゲット位置は、操舵輪(47)の同一側面上にあり、且つ、略水平の直径ライン(154)に沿って操舵輪(47)の中心(152)から反対方向に等距離離間している。各トランスデューサ(142,144)は、トランスデューサとそのターゲット位置との間の距離を表す出力電気信号を供給する。出力電気信号は、操舵輪(47)の操舵移動の大きさを表す信号を生成するため、結合可能である(160)。操舵移動を表す信号は、模擬運転用装置において、運転者の操舵操作に同期して自動車の旋回を模擬すべくコンピューター駆動の仮想的な風景画像を反映させるために、用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の模擬運転用装置で用いられ、操舵輪を有する自動車の運転者の操舵操作を測定する操舵検出装置に関する。自動車の模擬運転用装置は、本願と同時に出願された本出願人による係属中の国際出願番号No.PCT/AU2005/076242、タイトル“Apparatus for Simulated Driving of a Motor Vehicle”に開示されるような、運転者訓練若しくは模擬レーシング用であってよい。
【背景技術】
【0002】
本出願人による上述の同日出願に係る係属中の国際出願は、少なくとも1つの駆動輪を有する自動車の模擬運転用装置にであって、運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、自動車が静止状態となるように、自動車の駆動輪を回転可能に支持する支持体と、自動車の運転者に対して仮想的な風景画像を生成する模擬ソフトウェアを含むコンピューターと、ビューイングスクリーン構成を有する可視ディスプレイシステムとを含む装置を開示する。
【0003】
前記支持体、コンピューター及び可視ディスプレイシステムは、動作可能に相互接続されて、前記擬似ソフトウェアが、運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、可視ディスプレイシステムのビューイングスクリーン構成上に、駆動輪の回転速度に応じた進展を有する風景画像であって、運転者に見せるための仮想的な風景画像を生成できるようにする。可視ディスプレイシステムのビューイングスクリーン構成は、当該装置と共に自動車を使用したときに、前記自動車の前方側を横切る部位及び前記自動車の各側方側に沿ってそれぞれある距離だけ延在する部位を有し、前記模擬ソフトウェア及び可視ディスプレイシステムは、ビューイングスクリーン構成上に、運転者に対して仮想的な前方及び側方の風景画像を生成するように構成されている。
【0004】
模擬運転セッションの現実性を増すために、装置は、組み合わせとして、操舵輪に関連して動作可能な操舵検出構成を含み、当該操舵検出構成は、コンピューターに入力される運転者による操舵操作の信号を供給し、コンピューターは、操舵操作信号が模擬ソフトウェアに影響を与えて、前記ビューイングスクリーン上の仮想的な風景画像が運転者の操舵操作と同期して反映されるように、プログラムされる。
【0005】
本発明は、自動車の模擬運転用装置に組み込まれるために独立して供給されることができるような操舵検出装置であるが、自動車の模擬運転用装置は、本出願人による上述の同日出願に係る係属中の国際出願に開示されるようなものである必要はない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動車の模擬運転用装置で用いられ、操舵輪を有する自動車の運転者の操舵操作を測定する操舵検出装置であって、
2つのトランスデューサであって、それぞれ、ターゲットに信号を送信し、該ターゲットから反射した信号を受信して、該ターゲットとトランスデューサとの間の距離を表す出力電気信号を供給する2つのトランスデューサと、
前記トランスデューサを搭載する支持体とを含み、
前記トランスデューサは、前記支持体に互いに離間して搭載され、且つ、使用時、各トランスデューサが、自動車の操舵輪の中心から反対方向に離間し自動車の操舵輪の同一側にある自動車の操舵輪上のターゲット位置に、信号を送信するように、方向付けられ、これにより、2つのトランスデューサの出力電気信号が、自動車の運転者の操舵操作の測定値を供給すべく、操舵輪を通る略鉛直中心軸まわりの操舵輪の回転移動の大きさを表す信号を導出するために結合可能となる、装置を提供する。
【0007】
好ましくは、トランスデューサは、前記ターゲット位置が略水平の直径ラインに沿って操舵輪の中心から略等間隔となるように、前記支持体に配設される。
【0008】
異なるサイズの操舵輪を有する異なるサイズの車両に対応するため、2つのトランスデューサは、好ましくは、それらの間の間隔が可変されるように調整可能に支持体上に搭載され、及び/又は、自動車の操舵輪に対する2つのトランスデューサの鉛直方向の位置が可変されてもよい。
【0009】
トランスデューサは、好ましくは、超音波トランスデューサである。
【0010】
本発明は、更に、少なくとも1つの駆動輪と少なくとも1つの操舵輪を有する自動車の模擬運転用装置であって、
運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、自動車が静止状態となるように、自動車の駆動輪を回転可能に支持する支持体と、
自動車の運転者に対して仮想的な風景画像を生成する模擬ソフトウェアを含むコンピューターと、
ビューイングスクリーンを有する可視ディスプレイシステムとを含み、
前記支持体、コンピューター及び可視ディスプレイシステムは、動作可能に相互接続されて、前記擬似ソフトウェアが、運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、可視ディスプレイシステムのビューイングスクリーン上に、駆動輪の回転速度に応じた進展を有する風景画像であって、運転者に見せるための仮想的な風景画像を生成できるようにし、
更に、前記支持体上に自動車の少なくとも1つの操舵輪があるとき操舵輪に対して動作可能なように配置された上述の操舵検出装置を含み、
前記コンピューターは、操舵操作信号も前記模擬ソフトウェアに影響を与えて、前記ビューイングスクリーン上の仮想的な風景画像が運転者の操舵操作と同期して反映されるように、プログラムされる、装置を提供する。
【0011】
模擬運転用装置は、運転者訓練用にセットアップされて良く、その場合、模擬ソフトウェアは、運転者訓練用である。運転者訓練用である場合、装置は、自動車の駆動輪が回転している間該自動車の静止状態を確保するための前記支持体上の所定位置に固定される自動車を含んでよい。
【0012】
好ましくは、前記自動車の駆動輪を回転可能に支持する支持体は、シャシーダイナモメータの対のローラである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
これより、本発明の理解を深めるため、及び、本発明の具現化方法を示すため、本発明の好ましい実施例が、添付図面を参照して、非限定的な例示により説明される。
【0014】
図1は、自動車12が停止したままでの自動車12の模擬運転用の装置10を示し、シャシーダイナモメータ14を含み、その上に、自動車12がダイナモメータ14の入口ランプ(傾斜板)16を介して駆動されることができる。シャシーダイナモメータ14は、関連したフレーム18を備え、フレーム18は、装置10の他の構成要素を担持する。これらの他の構成要素は、可視ディスプレイシステムのビューイングスクリーン構成20、及び、プロジェクタ22,24,26のある部分を含む。ビューイングスクリーン構成20は、自動車12の前部を横切って延在するフロントスクリーン部28、及び、自動車12の各側部に沿って、それぞれ、ある距離だけ延在するサイドスクリーン部30,31(サイドスクリーン部30は、図1では明瞭化のための図示を省略)を含む。各サイドスクリーン部30,32は、フロントスクリーン部28から120度傾斜される。可視ディスプレイシステムの3つのプロジェクタ22,24,26がフレーム18上に搭載され、それぞれ、それぞれのスクリーン部上に仮想的な風景画像を投影する。即ち、プロジェクタ22は、反対側のフロントスクリーン部28上に画像を投影し、プロジェクタ24は、反対側のサイドスクリーン部32上に投影し、プロジェクタ26(図2では隠れている)は、反対側のサイドスクリーン部30上に投影する。プロジェクタ22,24,26は、パナソニック(登録商標)DLP(TM)ベースのプロジェクタNo.PT−DS500Eであってよく、これらは、それぞれのスクリーン部28,30,32上に投映する高品質の広角レンズを備える。
【0015】
フロントスクリーン部28は、アクチュエータ36(例えば、油圧若しくは空気圧式のピストン及びシリンダラム)を介して2つの側方構造ポール34に対して搭載され、アクチュエータ36は、フロントスクリーン部28を、サイドスクリーン部30,32に対して上昇させ(図4参照)、自動車12及びその運転者が、模擬運転セッションに参加し終わった後に、シャシーダイナモメータ14の出口ランプ38を介して装置10から出ることができるように動作する。フロントスクリーン部28及びアクチュエータ36は、構造ポール34に関連付けられ、フロントスクリーン部28が、上昇位置にあるときに、先ずサイドスクリーン部30,32の隣接するエッジから僅かに(例えば、数mmだけ)離れる方向に移動され、アクチュエータ36により上昇される際に、サイドスクリーン部30,32の隣接するエッジとの間に隙間があるようにする。
【0016】
模擬レーシング用の装置10に対しては、フレーム18には、観衆が模擬レースを見れるように、その他の、より大きな可視ディスプレイスクリーン40が搭載されてもよい。
【0017】
シャシーダイナモメータ14は、プラットフォーム42を有し、シャシーダイナモメータに関して知られているような、自動車12の後輪46及び前輪47を回転可能に係合及び支持する対のローラ44の形態で支持体を含む。自動車12の後輪46は、駆動輪であり、前輪47が操舵輪である。従って、ローラ44は、自動車12の運転者が、ある速度で自動車12の駆動輪46を回転させるために、自動車の制御、例えば変速(自動でない場合)及びアクセルを操作している間、自動車12が静止状態を維持できるようにする(装置10は、車両の駆動輪が前輪若しくは後輪又は車輪の前輪及び後輪の対の双方であるいずれにもセットアップされることができうる)。駆動輪46の回転は、それに対応して、関連したローラ44の対を回転させ、それを介して、自動車12の種々の性能パラメータ、例えば加速度、速度(RPM)、馬力、トルク、設定距離での移動時間が、測定されることができる。かかる性能パラメータの測定は、シャシーダイナモメータに対して知られているように、自動車12の車輪46に対のローラ44を介して付与される荷重を変化させることを含んでよい。異なるホイールベースを有する異なる車両に対応するために調整可能である(調整能力は図示されず)、適切なシャシーダイナモメータは、オーストラリア、ビクトリア3140、リリデール、インダストリーコートにあるDYNO DYNAMICSから取得可能である。
【0018】
シャシーダイナモメータ14は、また、対のローラ44上に自動車12が配置されるとシャシーダイナモメータ12に自動車12を固定する固定機構48(図1には、概略的に図示され、後方側の対のローラ44の各ローラ間に配置される。)を含む。固定機構48は、広い観点では、遠隔操作可能な制御システム(図1において参照符号50により概略的に指示)に関連し、種々の異なるタイプ及びサイズの車両をローラ44上の所定位置に固定することができるように調整可能である。それは、車両を所定位置に保持するため、自動車12のような車両を係合する部材を含む。固定機構48は、ローラ44上で速度を持って車輪46が駆動されている間に自動車12が静止状態を保つことを保証するという安全機能である。
【0019】
シャシーダイナモメータ14は、更に、装置10の直近から離れる方向に自動車12からの排気ガスを搬送する構成を含む。この構成は、自動車12からの排気ガスを抽出ダクト54内に向けて偏向させる偏向プレート52を含む。ダクト54は、排気ガスをダクト54内に引くための抽出ファン若しくは他の手段(図1に図示せず)を含んでよい。偏向プレート54は、ダイナモメータ14のプラットフォーム42に56にてヒンジ結合され、装置10の不使用時にダクト54に対するカバーを提供する。偏向プレート52は、そのヒンジ56まわりにアクチュエータ58(油圧又は空気圧式であってよい。)を介して回動可能であり、アクチュエータ58は、偏向プレート52とダイナモメータ14の間に回動可能に取り付けられる。
【0020】
運転指示若しくは模擬ドラッグ若しくはサーキットレースに参加するために使用される自動車12は、バーコード60及び/又は、例えば“スマートカード” のような電子装置62、又はその他の電子タグのような装置のような、遠隔読み取り可能な装置を含んでよく、その目的及び機能は、以下で詳説される。リーダ/送信機64は、バーコード60及び/又は電子装置62との協働/動作のため、フレーム18(プロジェクタ22の近傍)上に搭載される。
【0021】
図3を参照するに、模擬運転用装置10は、装置10の種々の構成要素を制御し、運転模擬ソフトウェアを含むコンピューター66を含む。バーコード60及び/又は自動車12上又はその中に含まれてよい電子装置62を遠隔的に読み取るためのリーダ64(送信機と一体でもよい)は、コンピューター66にデータリンク68を介して接続される。自動車12に関する関連データは、バーコード装置60又は電子装置62からリーダ64により取得され、コンピューター66にデータリンク68を介して入力される。送信機は、好ましくは、コンピューター66からのデータを装置62に送信して電子装置62により記憶される自動車62に関する情報を更新するために、リーダ64に結合される。かかる送信された情報は、例えば、模擬レースにおける自動車の性能のデータであってよい。
【0022】
シャシーダイナモメータ14の各対のローラ44は、ブレーキユニット70(“リターダ”としても知られており、図3には1つだけ概略的に図示されている)に関連付けられ、ブレーキユニット70は、コンピューター66にデータリンク72により示すように動作可能に接続される(知られているように、アナログからデジタルへのインターフェースが各ブレーキユニット70に関連付けられるだろう)。シャシーダイナモメータにおいて知られているように、対のローラ44を介して自動車12の駆動輪46にかかる荷重を変化させるための、コンピューター66からブレーキユニット70へのデータフロー、及び、ブレーキユニット70からコンピューター66へのデータフィードバックであって、それから自動車12の関連する性能パラメータが導出可能なデータフィードバックが存在する。
【0023】
コンピューター66は、また、フロントスクリーン部28を上昇させるアクチュエータ36、及び、偏向プレート52に対するアクチュエータ58の動作を制御する。従って、コンピューター66からの信号ライン74は、それぞれ、フロントスクリーン部28を上昇させるラム38、及び、偏向プレート52に対するアクチュエータ58を動作させるため、それぞれのコンバータ/ドライバ46,48に接続される。少なくとも1つのアクチュエータ18を含む固定機構48は、遠隔操作可能な制御システム50により動作される。図3における参照符号118は、固定機構48に対するアクチュエータ要求を概略的にのみ示すものであり、固定機構48に対して、例えば3つの直交する軸に沿った、移動範囲を提供するために多数のアクチュエータが用いられてもよい。機構48,46からのライン79上での安全連動信号は、コンピューター66に接続されて良く(例えば信号ライン74を介して)、シャシーダイナモメータ14上に自動車12が固定されるまでシャシーダイナモメータ14の動作を防止する。更に、コンピューター66は、信号ライン84を介して、ダクト54における排出ガス抽出ファン82及びブロアファン80のオン/オフ動作を制御する。ブロアファン80(他の図には図示されず)は、自動車12の前部に、サイドスクリーン部30,32(例えば、図1、図2参照)における穴86を介して冷却エアを供給するために設けられる。
【0024】
コンピューター66は、また、データリンク88により指示されるように、ビューイングスクリーン構成20に対する可視ディスプレイシステムの3つのプロジェクタ22,24,26、及び、設定される場合にスクリーン40を動作させる。コンピューター66は、また、典型的には、キーボードやタッチスクリーン90のようなデータ入力設備及びプリンタ92のような出力装置を含むことになる。
【0025】
装置10は、また、本発明による操舵検出装置140装置を含む。この装置は、対のトランスデューサ142,144を含み、運転模擬装置10上の自動車の運転者の操舵操作を測定する。操舵検出装置140は、好ましくは、シャシーダイナモメータ14上に、自動車12の操舵輪47の近傍に配置され、例えば図2では、自動車12の左前輪47の近傍に示されている(尚、操舵検出装置140は、図2及び図3に示されているが、図1では明瞭化のために図示が省略されている)。
【0026】
図4及び図5を参照するに、操舵検出構成140は、2つの超音波トランスデューサ142,144、及びそのサポート146を含む。サポート146は、搭載する2つの離間したトランスデューサ142,144が、それぞれ、操舵輪47上のターゲット位置150に超音波信号148を送信するように、シャシーダイナモメータ14のプラットフォーム42上に配置される。ターゲット位置150は、操舵輪47の同一側にあり、車輪47の中心152から反対方向に離反され、好ましくは、略水平な直径ライン154に沿って中心152から略均等に離反される。ターゲット位置150からの反射した超音波信号156は、トランスデューサ142,144により受信され、トランスデューサはそれぞれ、操舵輪47上のトランスデューサ142又は144とそのターゲット位置150との間の距離を表す出力電気信号158を供給する。2つのトランスデューサ142,144の出力電気信号158は、適切な電子回路160を介して、適切に増幅され、組み合わせられ、例えば差分され、信号ライン162上の矢印の頭により指示されるように、車輪47の中心軸152を通る略鉛直なライン164まわりの操舵輪47の回転移動(及びそれに伴い運転者の操舵移動量)の大きさを表す電気信号が導出され、当該電気信号は、コンピューター66に入力される。図5から分かるように、上述及び図示した操舵輪47に対する2つの超音波トランスデューサ142,144の配置は、2つの電気出力信号158の差分時に、鉛直軸164まわりの車輪47の回転の変化の大きさのみを表す出力信号162を供給する。トランスデューサ142,144を車輪47のタイヤ壁から適切な距離で設定することによって、ターゲット位置150は、タイヤの軸方向の部位の平均が、タイヤの表面上のタイヤランアウト、ごみ、隆起されたロゴ等からの最小の影響で測定されるように、設定されることができる。自動車12は、ローラ44上に支持されたときに駆動されている間、ある横方向の動きが許容され、2つのトランスデューサ142,144を用いることによって、かかる横方向の移動も、出力電気信号162において補償されることができる。如何なる残存するジッタないし他のノイズを除去するための信号162の最終のフィルタリングが、コンピューター66内のソフトウェアにおいて実行される。トランスデューサ142,144は、‘BANNER’バンドモデルUGUAGEトランスデューサであってよい。例えばレーザーや高周波(例えばマイクロ波)ベースのトランスデューサのような、他の種類のトランスデューサが代替的に用いられてもよい。
【0027】
図3は、コンピューター66へのトランスデューサ142,144及び電子処理回路160の接続を示す。ライン162上の操舵移動の信号は、ビューイングスクリーン構成20上の仮想的な風景画像(即ち、全てのスクリーン部28,30,32上の画像)を運転者の操舵移動に同期して反映させるために、模擬ソフトウェアにより利用され、これにより、“取り囲む”仮想的な現実環境の現実感が高められる。
【0028】
トランスデューサ142,144のマウンチングは、好ましくは、調整可能とされ、トランスデューサ142,144間の間隔が、幾つかの自動車に対して要求されるように、異なるサイズの操舵輪47に適するように変化できるようにし、また、トランスデューサ142,144の高さは、同一の理由から、シャシーダイナモメータ14のプラットフォーム42に対して調整可能とされる。また、操舵検出構成140を含む装置10に対しては、好ましくは、操舵輪47は、ローラ44上で支持されない、というのは、これは、操舵の“自然なフィーリング”を損なうからである。従って、プラットフォーム又はスイベルプレート(図示せず)が、操舵輪47に対して平らな表面を提供するために、プラットフォーム等がない場合に操舵輪47が上に載置されることになるロール44上に配置されて良い。或いは、前輪操舵自動車の駆動される後輪46に対してのみローラ44を提供するシャシーダイナモメータ14が、用いられてもよい。
【0029】
上述のような操舵検出構成140は、遠隔的に操舵操作を検出し、従って、それを特定の車両に対して準備状態に設定するために、最小の人の操作の介入しか必要とせず又は一切の人の操作の介入を必要とせず、装置10の動作の効率を高め、各車両の交換時間が最小化される。
【0030】
固定機構48(車体係合部材及びアクチュエータを含み、図3では参照符号118により表される。)は、制御システム50(図1及び図3では参照符号50により概略的に示されるが、他の図では示されていない)により遠隔的に操作可能である。制御システム50は、アクチュエータの動作を制御するため例えばシャシーダイナモメータ14の脇に配置される操作者のコンソールないしブース126における操作スイッチを含む。制御スイッチは、アクチュエータに動力を付与する空気圧システムを動作させるための“ジョイスティック”タイプのスイッチであってよく、それぞれの“ジョイスティック”タイプのスイッチは、固定機構48のそれぞれのアクチュエータをそれぞれに動作させるために設けられてよい。シャシーダイナモメータ14は、また、車体固定機構48の操作を撮像し、操作者のコンソールないしブース126内に配置されたビデオスクリーン130上で少なくとも車体係合部材の動作及び可能な場合にはアクチュエータの動きをも表示するために配置されたビデオカメラ128を含むビデオ監視システム(図1においてのみ概略図示)を含み、操作者が、車体係合部材を望みどおり移動させるため制御システム50のスイッチを操作者が操作する際に、かかる動きを見れるようにする。当業者であれば、固定機構48は、それらにかかる荷重及び力に対応するために適切な構造的な保全性を有しなければならないことを理解するだろう。
【0031】
これより、模擬運転用装置10の動作が説明される。
【0032】
シャシーダイナモメータ14上で自動車12が運転される前に、レーシング模擬器10は、フロントスクリーン部28が下降位置になり、固定機構48が作動不能な位置になり、偏向プレート52が閉じられるように、セットアップされる。また、対のローラ44は、効果的にロックされるよう制動され、自動車12がその上で駆動できるようにされる。操作者により上下動可能なプレート(図示せず)は、各対のローラ44の間に配置されてもよい。かかるプレートが上昇位置にあるとき、自動車12は、ローラ44の‘隆起’を乗り越えなくて良く、シャシーダイナモメータ14上の所定位置まで容易に駆動されることができる。自動車12が正確に位置決めされるとき、プレートは、下降され、車輪46,47が、自動車12が支持されるべきローラ44に接触する位置へと至らしめられる。自動車12がシャシーダイナモメータ14に近づいた際に、自動車12のバーコード装置60又はドラッグタグ62は、リーダ64により読み取られ、コンピューター66が、自動車12のホイールベースに適するように対のローラ44に間隔を与えるべく、シャシーダイナモメータ14の調整を開始できるようにする。自動車12が対のローラ44上へと駆動されると、自動車12がレーシング模擬器10においてレースに対する認証が取れた場合、コンソール126内の操作者は、機構48が自動車12を所定位置に固定するように制御システム50を操作する。固定機構48に対する選択肢は、自動車12の運転者が、固定機構48のアクチュエータ118により負荷されることになる拘束圧を事前に選択できるように、入口ランプ16近くに設備(図示せず)を設置することである。拘束圧は、約2〜8バール間であってよい。これは、運転者に、利用可能な馬力の犠牲下で、より良好な牽引を付与するより大きな圧力を選択する選択肢を付与し、より大きな利用可能な馬力のためのより少ない圧力であるがローラ44上のホイールスピンの可能性が高くなるのとは対照的となる。コンピューター66は、次いで、自動車12に対してレーシング模擬器10をセットアップするのを開始する。これは、リーダ/送信機64を介して“ドラッグタグ”62から取得された自動車12に関するデータに従ったものであってよい。従って、コンピューター66は、アクチュエータ58が偏向プレート52を上昇させるように適切な信号を信号ライン74で送信する。ブレーキユニット70(複数も可)は、自動車12をレース模擬に適合させるためにローラ対44を介してある一定の荷重を課すために、ライン72上での信号を介して調整されてもよい。例えば、ある一定の“回転抵抗”が必要とされてもよい。ここで、レーシング模擬器10は、模擬ドラッグレースを開始のためのセットアップされた状態ないし条件が整った状態となる。
【0033】
コンピューター66は、例えば1/4マイルのドラッグレースに対する模擬ソフトウェアを含み、模擬ソフトウェアは、レーシング模擬器10が模擬ドラッグレースを開始のためにセットアップされると同時に自動的に開始される。このソフトウェアは、可視ディスプレイシステムを介して、実際の1/4マイルのドラッグレースに対して知られているように、運転者がスタートできるように光のシーケンスをフロントスクリーン部28上に表示する。最終の開始ライトを受信すると同時に、運転者は、実際のレースを開始したかのように、自動車12のアクセルを踏み、スクリーン構成20上の仮想的な風景表示は、対のローラ44からのフィードバックを介して車輪46の速度に応じて進展する。模擬ソフトウェアは、コンピューターの画像生成器及びそれに伴いプロジェクタ22,24,26を駆動して、あたかも、運転者が自動車12を競争させているかのように、ビューイングスクリーン構成20上に、前方に広がる及び通過する現実的な3次元の仮想的な前方(フロントスクリーン部28上に)及び側方(サイドスクリーン部30,32上に)の風景画像を表示するようにし、当該仮想的な風景画像は、対のローラ46か介して測定される自動車12の駆動輪46の速度に同期した進展を有する。従って、アクセルを介した全ての速度変化、変速、及び制動が、検出され、コンピューター66に供給されて、仮想的な風景画像の進展が制御される。自動車12の運転者は、ビューイングスクリーン構成20(非常に大きくてよく、より大きな現実性を描画するため、例えば各スクリーン部は4.5m×3.375mであってよい。)のフロントスクリーン部28上に目の焦点を合わせると、自己の自動車12内で実際のドラックレースの参加の感覚を受ける一方、自動車12は、止まったままであり、固定機構48によりシャシーダイナモメータ14上の所定位置に固定されている。
【0034】
模擬レースの開始と同時に、コンピューター66は、ブロアファン80の動作を開始し、それに対する出口86は、自動車12の前部へとエアが吹き付けられるように配置され、模擬レース中、エンジンを冷却する。排気ガス抽出ダクト54内の抽出ファン83(図4参照)も、コンピューター66により、ブロアファン80と同時にオンにされる。
【0035】
模擬1/4マイルドラッグレースの終了時、運転者/自動車12の組み合わせに対してレースを完了するのに要した時間が、フロントスクリーン部28に表示され、“ドラッグタグ”62により記憶されるべく、“ドラッグタグ”62にリーダ/送信機64により送信される。従って、“ドラッグタグ”62は、当該レースに対するレース番号及び時間のデータを記憶でき、運転者が、模擬ドラッグレースの開始及び終了時にフロントスクリーン部28上に、一連の模擬レースでの自己の時間の履歴を表示させることができる。
【0036】
フロントスクリーン部28上で運転者/自動車12のレース時間の短い表示後、操作者は、制御システム50を操作して、固定機構48を解放し、コンピューター66は、偏向プレート52の閉成、フロントスクリーン部28の上昇、対のローラ44のロックを開始し、その際、運転者は、自動車12を運転してシャシーダイナモメータ14を前方に離れてその出口ランプ38上へ至らしめることができる。レース模擬器10は、従って、入口ランプ16を介してその他の自動車を受け入れる準備ができた状態になる。
【0037】
装置10は、また、模擬サーキットレース用に使用されてもよい。これは、模擬ドラッグレーシングに関する上述の説明とは、追加的に、模擬サーキットレース中の運転者の操舵操作をコンピューター66に入力するために操舵検出構成140が動作されて、模擬ソフトウェアが、画像生成器及びそれに伴いプロジェクタ22,24,26を駆動して、運転者の操舵操作に同期させてビューイングスクリーン構成20上での仮想的な風景画像を横方向に反映させることができるようにする点が、異なる。即ち、仮想的な風景画像は、運転者により駆動輪46に負荷される出力、及び、操舵輪47の1つの動きから装置140により測定される運転者の操舵操作の双方に同期して実時間で進展(遷移)する。かかる進展は、自動車の前方速度を模擬するため、仮想的な前方の道路がシームレスに自動車に向かって自動車の下に移動することを伴い、また、自動車の旋回を模擬するため、仮想的な道路若しくは他の画像が横方向に反映されることを伴う。スクリーン構成20は、効果的に、“周囲”のトリプルスクリーンディスプレイ包囲を提供し、運転者に水平に200度を超過した視野を提示し、マルチパースペクティブ(multi-perspective)との組み合わせで、高解像度の走行画像(模擬ソフトウェア及び可視ディスプレイシステムにより生成される)は、自動車12の運転者に対して、自己の個人的な仮想的な現実環境の妄想を付与し、これは、自動車12への運転者自己の動力の付加操作及び操舵により生成されるパースペクティブを変化させることを介して、連続して流れる。
【0038】
サーキットレーシング用に使用される装置10に対しては、自動車12の操舵輪47は、好ましくは、ローラ44により支持されず、その代わり、(上述の如く)ローラ44上又はそれらの間の支持プレート上に支持されてもよい。或いは、シャシーダイナモメータ14は、自動車12の操舵輪47を支持せず自動車12の駆動輪46のみを支持するローラを含むタイプであってよい。
【0039】
装置10は、サーキットレーシングに代えて、運転者訓練用に使用されてもよい(この場合、模擬ソフトウェアは、上述のドラッグないしサーキットレーシングに対するスタート手順を供給する必要がない)。シャシーダイナモメータ14上の所定位置に自動車12を既に固定させた運転者訓練用の装置10が設けられてもよく、この場合、学習者たる運転者は、自己の車両を所有する必要がなく、バーコード装置60若しくは“ドラッグタグ”62の使用が不必要となる。一般的に、運転者訓練用の装置10は、前輪操舵の後輪駆動車両を収容するようにセットアップされることになる。
【0040】
装置10は、好ましくは、追加的に、模擬運転セッション中に自動車12の音響及びライティング効果を生成する音響及びライティング装置(図示せず)を含み、模擬運転セッションの現実感を高める。かかる音響及びライティング効果は、好ましくは、スクリーン構成20上の仮想的な風景画像における効果と協調され、即ち、例えば、夜間運転に対しては、道路のライティング効果が提供されることができ、又は、模擬の横滑りに入る自動車12に対しては、キーッというタイヤの音が生成されることができる。かかる音響及びライティング装置を、仮想的な風景画像の進展に同期させて駆動させる模擬ソフトウェアを提供することは、プログラマの技量の範囲内である。
【0041】
装置10は、また、適切な広告サイン等を、模擬運転セッションの前、模擬運転セッション中又は模擬運転セッション後に、ビューイングスクリーン構成20上に表示するプログラムを含む模擬ソフトウェアにより、スポンサーを広告することも可能である。例えば、模擬レース中、広告が、運転者が通る道路側方のサインとして現れうる。
【0042】
本発明の範囲内での種々の変形は、既に説明したもの以外にも、上述の装置10に関してなされうる。例えば、模擬レースは、1/4マイルドラッグレースやサーキットレース以外でありえ、例えば、模擬ラリー運転でありうる。また、模擬ソフトウェアは、好ましくは、コンピューター66へのデータ入力設備90を介した操作者入力が、予期せぬ運転状況を運転者に与えるようにすることも可能であり、例えば、運転者がそこから回復させることが期待される模擬の横滑り状態へと車両を至らせることは可能である。
【0043】
ダイナモメータ14は、4対よりも少ないローラ44を含んでよく、例えば、車両の駆動輪を回転可能に支持する2対だけのローラを含んでよく、それらが、前後いずれの対の車輪であってもよい。また、自動二輪車のような二輪車に対するレース模擬器を提供することも本発明の範囲内であり、この場合、ダイナモメータの構成要素は、自動二輪車の前後何れかの輪若しくは両輪に対してローラを含む支持プラットフォームや、両輪に対する稼動支持体のタイプの回転可能なプラットフォームを含んでよい。
【0044】
操舵検出装置140は、上述のような装置10と異なる模擬運転装置で用いられてもよい。例えば、トリプルビューイングスクリーン構成20に代えて、単一のフロントスクリーン及びそれに対する1つのプロジェクタを有する可視ディスプレイシステムが、用いられてもよい。かかる可視ディスプレイシステムは、運転者が模擬運転装置の使用の潜在的な顧客に引き付けられるほどの十分な仮想的現実性を提供することができる。
【0045】
上述の本発明は、上述した以外の変形、改良及び/又は追加を受けやすく、理解すべきこととして、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての変形、改良及び/又は追加を含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】自動車の模擬運転用装置の概略的な側面図である。
【図2】本発明の一実施例による操舵検出装置を含む図1の装置の概略的な等角図である。
【図3】図1及び図2に示すような装置の制御及びディスプレイ要素の動作可能な関連性のブロック図である。
【図4】図1及び図2に示すような装置用の、本発明の一実施例による、自動車の運転者の操舵操作を測定する操舵検出装置の概略的な側面図である。
【図5】図4の操舵検出装置の概略的な平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の模擬運転用装置で用いられ、操舵輪を有する自動車の運転者の操舵操作を測定する操舵検出装置であって、
2つのトランスデューサであって、それぞれ、ターゲットに信号を送信し、該ターゲットから反射した信号を受信して、該ターゲットとトランスデューサとの間の距離を表す出力電気信号を供給する2つのトランスデューサと、
前記トランスデューサを搭載する支持体とを含み、
前記トランスデューサは、前記支持体に互いに離間して搭載され、且つ、使用時、各トランスデューサが、自動車の操舵輪の中心から反対方向に離間し自動車の操舵輪の同一側にある自動車の操舵輪上のターゲット位置に、信号を送信するように、方向付けられ、これにより、2つのトランスデューサの出力電気信号が、自動車の運転者の操舵操作の測定値を供給すべく、操舵輪を通る略鉛直中心軸まわりの操舵輪の回転移動の大きさを表す信号を導出するために結合可能となる、装置。
【請求項2】
前記トランスデューサは、前記ターゲット位置が略水平の直径ラインに沿って操舵輪の中心から略等間隔となるように、前記支持体に配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トランスデューサは、超音波トランスデューサである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記トランスデューサは、前記支持体に調整可能に搭載され、これにより、それらの間の間隔が、異なる直径の操舵輪に応じて可変となる、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記トランスデューサは、更に、当該装置の使用時に、異なる大きさの操舵輪に対して鉛直方向に調整可能となるように、前記支持体に搭載される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの駆動輪と少なくとも1つの操舵輪を有する自動車の模擬運転用装置であって、
運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、自動車が静止状態となるように、自動車の駆動輪を回転可能に支持する支持体と、
自動車の運転者に対して仮想的な風景画像を生成する模擬ソフトウェアを含むコンピューターと、
ビューイングスクリーンを有する可視ディスプレイシステムとを含み、
前記支持体、コンピューター及び可視ディスプレイシステムは、動作可能に相互接続されて、前記擬似ソフトウェアが、運転者が駆動輪の回転速度を制御する間、可視ディスプレイシステムのビューイングスクリーン上に、駆動輪の回転速度に応じた進展を有する風景画像であって、運転者に見せるための仮想的な風景画像を生成できるようにし、
更に、前記支持体上に自動車の少なくとも1つの操舵輪があるとき操舵輪に対して動作可能なように配置された請求項1から5のいずれかに記載の操舵検出装置を含み、
前記コンピューターは、操舵操作信号も前記模擬ソフトウェアに影響を与えて、前記ビューイングスクリーン上の仮想的な風景画像が運転者の操舵操作と同期して反映されるように、プログラムされる、装置。
【請求項7】
前記模擬ソフトウェアは、運転訓練用であり、当該装置は、自動車の駆動輪が回転している間該自動車の静止状態を確保するための前記支持体上の所定位置に固定される自動車を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記自動車の駆動輪を回転可能に支持する支持体は、シャシーダイナモメータの対のローラである、請求項6又は7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−519937(P2007−519937A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551678(P2006−551678)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000133
【国際公開番号】WO2005/075937
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506263893)ドラッグ タグ ピーティーワイ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】