説明

自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法

【課題】自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴をピンによる押し出しで作成することとし、その場合のピンへの偏荷重の解消、押し出しで流動する材料による変形及び引けの問題を解消すること。
【解決手段】二次加工体の先端面板部3cの背面の周端に沿った円環状の領域を平坦に成形した上で、二次加工体を下型11fの上に載せ、かつ上型10f、10gで抑えた上で、下型11fにクッション圧を加えつつ、バネ座止まり穴加工ピン13を二次加工体の先端面板部3cの背面側からこれに対して押し出し加工動作させ、押し出された材料を上型10fの逃げ穴10f1に流動させて、バネ座止まり穴を作成し、その後、正面側に流動突出した突出部3cpを旋盤で旋削除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間鍛造技術により自動車変速機用ピストンの先端面板部の背面に複数のバネ座止まり穴を、効率よく、かつバネ座止まり穴加工ピンの耐久性を保持しながら、精度高く加工する自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍛造技術による自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法は現時点では提案されていない模様である。
例えば、特許文献1の多板クラッチ装置には、ピストンの先端面板部の内面にバネ座止まり穴(この文献では単に凹部と称している)が配されている例が示されているが、その成形方法に関しては全く触れていない。
【0003】
特許文献2の油圧機器部品の製造方法では、自動車変速機用ピストンのダイキャスト鋳造と塑性加工とを組み合わせた製法が示されているが、その先端面板部にバネ座止まり穴を備えた例はなく、当然、バネ座止まり穴に関しては何も示されていない。
【0004】
他の分野の止まり穴加工に関しては、特許文献3、4、5等の若干の提案例があるが、いずれも本件のバネ座止まり穴とは、その加工対象の材質やサイズ等が全く異なり、しかもその方法も鍛造技術ではなく、全く関連がない。
【0005】
本件出願人が知るところによれば、自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴は、現時点ではドリル加工によって成形されるのが一般的のようである。しかしバネ座止まり穴をドリル加工によって作成した場合は、作成された穴の底部がドリル先端形状に対応するテーパ状、即ち、中央に向かって徐々に深くなる態様の底部形状となる。このような底部形状ではバネ端を安定して保持することはできないので、引き続いてエンドミルによる再加工が必要となり、これによって底部を平坦面に加工せざるを得ない。ドリル加工によってバネ座止まり穴を作成する場合は、当然、バネ座止まり穴の数だけその加工を繰り返さざるを得ないため、非常に非能率的であるが、更に同数のエンドミル加工も必要であり、一層非能率的である。
【0006】
そこで特許文献6のような取付座の提案がある。この取付座は、下面が円錐状又は円錐台状で上面が平坦に成形された部材であり、ドリルで加工された穴の底部にこの取付座を挿入配置して該底部を平坦にし、バネ座等として良好に使用可能にしようとする趣旨のものである。これは、バネ座止まり穴として用いる穴の場合は、ドリル加工によるだけで作成するのでは無理があることを示し、かつエンドミル加工を用いることなくその問題点を解決する手段を示したものであるが、余分な部品を使用すること及び必要なバネ座止まり穴の数だけドリル加工を繰り返す必要があるという非能率性は解決できていない。
【0007】
また本件の場合は、自動車変速機用ピストンの先端面板部の背面側にバネ座止まり穴を作成するものであり、該バネ座止まり穴の底部の厚みは薄くならざるを得ない。ドリル加工によって穴をあけようとすると、云うまでもなく、ドリル先端で穴あけ剪断応力が働くことになり、前記のような自動車変速機用ピストンの先端面板部に開口するバネ座止まり穴の場合は、その底部が薄いため、該底部に容易に歪み穴又は割れが発生する虞がある。
【0008】
【特許文献1】特開2001−107981号公報
【特許文献2】特開平11−47869号公報
【特許文献3】特公平03−51513号公報
【特許文献4】特開2002−361507号公報
【特許文献5】特開2003−1548号公報
【特許文献6】実開昭62−49015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消し、自動車変速機用ピストンの先端面板部に、それ自体を成形する鍛造技術を利用して能率的にバネ座止まり穴を加工することとし、更にこのような自動車変速機用ピストンの先端面板部のバネ座止まり穴加工に鍛造技術を採用することにより生じる新たな問題点、即ち、バネ座止まり穴加工面の平坦性の確保の問題、バネ座止まり穴加工ピンによる押し出し加工動作の際の流動する材料の逃げ方向による問題、及びその流動抵抗による問題等のない自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1は、ピストン本体の先端面板部の背面にその周端に沿って複数のバネ座止まり穴を作成する自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法であって、
前記複数のバネ座止まり穴を作成する、前記ピストン本体の先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域を平坦に成形した上で、
前記バネ座止まり穴と同数でその配列と同一の配列で配したバネ座止まり穴加工ピンを、前記ピストン本体の先端面板部の背面側から、その先端面板部周端に沿った円環状の領域に対して、前方押し出し加工動作をさせることにより、該領域に対応する数及び配列のバネ座止まり穴を作成すると共に、それらのバネ座止まり穴加工ピンの押し出し加工動作により押し出される材料を各々該先端面板部の正面側に流動突出させることとした自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法である。
【0011】
前記「ピストン本体の先端面板部」は、文字通りの「ピストン本体の先端面板部」ばかりでなく、ピストン本体の成形途上ではあるが、その先端面板部の部位の成形が既に完了しており、該先端面板部の変形を生じさせることなく、ピストン本体の完成のためのそれ以外の部位の成形をすることが可能になっている先端面板部をも含むものとする。従ってまたそのような先端面板部を有するピストン本体の成形途上のものは、これもピストン本体と称することがある。特許請求の範囲中及び本明細書中では、明細書の発明を実施するための最良の形態中の実施例の記述を除いて、そのように称することとする。
【0012】
本発明の2は、本発明の1の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、板状の金属材料を、その中央部に中央穴を打ち抜くと共に、周囲を斜め外方に立ち上がる周側部とすべく絞り加工し、次いで該周側部を直立させ、更に該周側部の内側に位置する先端面板部を平打ち加工することにより該先端面板部の背面の周端を増肉させ、その後、該周側部の外周をしごくことにより該先端面板部の背面の周端部付近の増肉及び該面と周側部外面との直角性を確保することにより、前記複数のバネ座止まり穴を作成する、前記ピストン本体の先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域を平坦に成形するものである。
【0013】
本発明の3は、本発明1又は2の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記バネ座止まり穴加工ピンの先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域に対する前方押し出し加工動作を、前記ピストン本体の上下面を上型及び下型で抑えながら、該下型に開口したバネ座止まり穴加工ピンと同一配列のガイド穴を通じて行い、他方、このバネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し加工動作で流動する材料を該上型に該バネ座止まり穴加工ピンと同一配列で構成した逃げ穴によりこの中に流動突出させるべく誘導することとしたものである。
【0014】
本発明の4は、本発明の3の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記下型に、少なくとも、前記バネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し加工動作中に、上昇方向のクッション圧を加えることとしたものである。
【0015】
本発明の5は、本発明の1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記上型に構成する逃げ穴の断面積を、バネ座止まり穴加工ピンによって作成されるバネ座止まり穴の底部がその前方を逃げる流動材料の引張りに起因する引けを生じない程度に設定するものである。
【0016】
本発明の6は、本発明の1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記上型に構成する逃げ穴の断面積を、バネ座止まり穴加工ピンによって作成されるバネ座止まり穴の断面積の45〜55%に設定するものである。
【0017】
本発明の7は、本発明の1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記上型に構成する各逃げ穴の断面の一部をピストン本体の前記先端面板部から立ち上がる周側部と重畳するように位置決めすることとし、重畳する一部の断面積の逃げ穴断面積に対する割合(重畳部断面積/逃げ穴の断面積×100)=10〜20(%)に設定するものである。
【0018】
本発明の8は、本発明の1、2、3、4、5、6又は7の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法に於いて、前記ピストン本体の先端面板部の正面側に流動突出した突出部を削除することとしたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の1の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、バネ座止まり穴の作成面を平坦にしたピストン本体を成形した後は、バネ座止まり穴加工ピンによる1ストロークの前方押し出し加工動作によって極めてスピーディに複数のバネ座止まり穴が加工できる。このバネ座止まり穴の加工は、以上のように、ピストン本体の円環状のバネ座止まり穴の作成領域を平坦にした上で行うものであるから、バネ座止まり穴加工ピンに無用の負担を掛けることがなく、それ故、十分に長いその耐久性を確保することができる。なお、該複数のバネ座止まり穴は、それらを定角度間隔に配列する場合、一部のみを定角度間隔で配列する場合、或いは全てをランダムに配列する場合のいずれの場合でも適用できるのは云うまでもない。
【0020】
またこのバネ座止まり穴の加工は、バネ座止まり穴加工ピンを用いた前方押し出し加工によって行うものであり、それ故、当然、何らかの形で型により、バネ座止まり穴を開口する部位の前方の材料が逃げる部位以外に材料が流動するのを防止して、バネ座止まり穴を加工するピストン本体に無用の変形を生じさせることもない。
【0021】
本発明の2の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、ピストン本体の先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域を、自動車変速機用ピストンのピストン本体を成形する過程で平坦に成形することが可能であり、そのための特別の工程を必要としない。また該ピストン本体を成形する工程は、特別複雑でもなく、簡明に行い得る工程である点も好都合である。前記領域を平坦にするためには、これ以外にも種々の方法を採用することが可能であるが、上記のように、この方法によれば、ピストン本体を成形する簡明な工程を実施する過程でその平坦化の工程も完了するものであり、極めて能率的である。
【0022】
本発明の3の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、バネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し加工を、ピストン本体の上下面を上型及び下側で抑えながら、下型のガイド穴を通じて行い、かつ上型の対応する位置に開口した逃げ穴を通じて流動する材料を逃がすこととすることにより、ピストン本体の他の部位への材料の流動による無用の変形を防止しながら、余分の材料の前記逃げ穴への流動突出を許容して、バネ座止まり穴の作成を良好に行い得るようにしたものである。
【0023】
本発明の4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、上型と下型で、ピストン本体の上下面を抑えながら、バネ座止まり穴加工ピンによる下方からの前方押し出し加工によりバネ座止まり穴を作成する際に、下型に該押し出しと同方向である上昇方向のクッション圧を加えることにより、バネ座止まり穴加工ピンによる押し出し動作で流動する材料が下型側に流動して膨出するのを確実に防止できるようにしたものである。
【0024】
本発明の5の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、前記上型に成形する逃げ穴の断面積を適切に設定することにより、バネ座止まり穴加工ピンの前方押し出し動作の際の材料の流動を適切に抑制し、作成されるバネ座止まり穴の底部が引けるのを防止することができる。即ち、作成されるバネ座止まり穴の底部形状が平坦でなくなる問題を解消することができる。或いは、底部の引けた部分が、例えば、バネ座止まり穴の開口側と反対側に突出した材料による突出部を削除した場合に開口となってしまうような問題を回避することができる。
【0025】
本発明の6の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、前記上型に成形する逃げ穴の断面積を作成されるバネ座止まり穴の断面積の45〜55%に設定することにより、バネ座止まり穴加工ピンの前方押し出し動作の際に生じる可能性のあるバネ座止まり穴底部の前記引けの問題を解消することができる。なお、該逃げ穴の断面積を作成されるバネ座止まり穴の断面積の48〜52%に設定するならば上記引けの問題の解決の観点からより好ましい。
【0026】
本発明の7の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、前記上型に構成する各逃げ穴の断面の一部をピストン本体の前記先端面板部から立ち上がる周側部と適切な割合で重畳させてあるため、該周側部がバネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し動作によって流動する材料の流動に対する適切な抵抗となり、成形されるバネ座止まり穴の底部にその前方を流動して逃げる流動材料の引張りに起因する引けが生じる虞を解消することができる。
【0027】
本発明の8の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、バネ座止まり穴と反対側の面に流動突出した突出部を削除してしまうので、それが邪魔になるような問題は生じない。突出部は、特に問題にならなければ、残しておいても良いが、削除してしまえば、如何なる場合にも不都合はない。またこの突出部の削除は、旋盤等による旋削の一工程で極めて簡単に行うことが可能である。
【0028】
また本発明の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法は、所定材質の金属板材を加工し、押し出し加工によりバネ座止まり穴を成形するものであり、ドリル加工等と比較して圧倒的にスピーディに加工できるものではあるが、一般的に云って、板材のような周囲に材料の余裕が少ない部材にこのようなバネ座止まり穴を加工するのは、割れや変形その他の不都合な問題が生じ易く極めて困難であり、以上の本発明の1〜8を駆使し、手順を尽くして初めてそれらの問題を解決し得、精度の高いバネ座止まり穴を成形することが可能になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を実施する最良の形態を図面を参照しながら実施例に基づいて説明する。
【0030】
この実施例では、図1(a)に示すように、板厚9.0mmのS25Cの鋼板を外径105mmに切断して円盤状のブランク1を作成し、ショットブラストでスケールを除去した上で、固形潤滑剤であるボンデ処理を施した。なお、この実施例では、円盤状のブランク1を作成するのに、以上のように、S25Cの鋼板を採用したが、これに代えて、SAE1020、SAE1018、或いはその他の同等品を自由に採用することもできる。
【0031】
この後、図1(b)及び図2(a)に示すように、抜き用のパンチ12aにより、該円盤状のブランク1の中央部を円形に打ち抜き中央穴2aを開口すると共に、上型10a及び下型11aによる絞り加工で、該中央穴2aの周囲を斜めに立ち上がる周側部2bに成形し、これによって一次加工体2を作成する。このように、周側部2bを斜めに立ち上げる絞り加工をするのは、次の曲げ及びサイジング鍛造工程で後述する材料の所望の流れを確保し、後述するように、このブランク1で成形する二次加工体3の先端面板部3cの背面側周端部近傍の平坦性を確保するためである。
【0032】
このときの、一次加工体2の周側部2bの角度、即ち、該一次加工体2を平面上に置いた場合に、その平面と該一次加工体2の周側部2bとの作る角度αは、図1(b)に示すように、この実施例では、40度としたが、30度〜60度の範囲内であれば、次の鍛造工程に於ける二次加工体3の先端面板部3cの背面側周端部近傍の平坦性を確保するために有効である。
なお、敢えて述べると、前記ブランク1を直ちにその周側部が直角に立ち上がるように絞り加工したのでは、その後に、二次加工体3の先端面板部3cに該当する部位の背面側周端付近の平坦化を図るために、そのR部を増肉しようとしても適切な材料の流動性を得ることができず、増肉不可となる。
【0033】
次いで、図1(c)及び図2(b)に示すように、該一次加工体2の周側部2bを、その内周端と外周端の途中の部位で曲げ加工してその外周側を立ち上げ、これを周側部3aとし、その上端を直角に曲げ加工して外方に張り出させ、これを張出部3bとし、周側部3aの下端から内側に張り出す張出部は、先端面板部3cとする。なお、同時に、該張出部3bの外周端側下面は若干下方に膨出させておく。更に同時に、図2(b)に示すように、これらを上型10b、10c及び下型11b、11cで加圧するサイジングを行う。こうして作成された加工品が二次加工体3である。これは、一次加工体2を以上のように鍛造加工して、図1(c)に示す形状の二次加工体3に加工するものであるため、前記先端面板部3cの背面側周端3c1への材料の流れが良好に行われ、該二次加工体3の背面側の周端付近の平坦性が確保できることになる。
【0034】
なお、前記先端面板部3cは、この段階で、成形完了段階のピストン本体の先端面板部と同一形状、即ち、先端面板部の成形としては既に完了状態となっている。前記二次加工体3は、該先端面板部3c以外の部位がまだ成形完了状態のピストン本体になっていない部材である。
【0035】
以上の如く構成されたこの実施例の二次加工体3は、外径:133mm、高さ:26mm、中央穴の内径:57mm、先端面板部3cの周端の径、即ち、周側部3aの最下部の外径:105mm、ドーナツ状の先端面板部3cの背後側の面の幅:48mmである。
【0036】
こうして、この実施例では、適切に二次加工体3を作成した後、図3(a)、(b)に示すように、該二次加工体3の先端面板部3cの背面側周端近傍に、この実施例では、26個のバネ座止まり穴5、5…を作成する。これらのバネ座止まり穴5、5…は、この実施例では、穴径:9.4mm、深さ:6.9mmとし、26個のバネ座止まり穴5、5…は、各バネ座止まり穴5、5…の中心間を結ぶ円の径が91.4mmになるように、定角度間隔で、円環状に配列するものとする。
【0037】
なおこの実施例では、二次加工体3の段階で、以上のように、バネ座止まり穴5、5…の加工をすることとしたが、ピストン本体の成形の完了後に、バネ座止まり穴5、5…の加工を行うこととしても良いのは云うまでもない。
【0038】
以上の二次加工体3の先端面板部3cの背面に以上のバネ座止まり穴5、5…を作成する工程も鍛造加工で行う。この工程を行う加工装置は以下の通りである。
図4に示すように、下型11fは、前記二次加工体3をその正面を上向きにして載置すべく構成する。該下型11fの上面形状は、基本的に該二次加工体3の背面側の形状に対応する形状となっている。上型10f、10gは、その下面が、基本的に該二次加工体3の正面側の形状に対応する形状となっている。
【0039】
前記下型11fは、その上に載置された二次加工体3の先端面板部3cの背面側に作成すべきバネ座止まり穴5、5…に対応する位置関係で、26本のバネ座止まり穴加工ピン13、13…の通過用の26箇所のガイド穴11f1、11f1…が構成してあり、更に一つのノックアウトピン通過用の通過穴11f2も開口してある。該ガイド穴11f1、11f1…は、平面又は底面から見れば、当然、バネ座止まり穴5、5…の配列と同様な円環状の定角度間隔の配列となっている。
【0040】
更に該下型11fの下部は、油圧クッション装置によって支持されている。図中14は油圧クッション装置から上方に立ち上がるクッション支柱である。該クッション支柱14、14…は、油圧クッション装置の上部から4本のそれが立ち上がり、前記下型11fをバランス良く支持するようになっている。該油圧クッション装置は、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工中に該下型11fを上昇方向に加圧し、該バネ座止まり穴加工ピン13、13…の押し出し加工動作によって流動する材料が二次加工体3の背面側に膨出することがないようにするためのものである。
【0041】
図5は、矢印a1に示すように、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工を行った場合の材料の流動の仕方を説明する図であり、このように押し出し加工をすると、型で全外面が抑えられていれば、材料はそれ以外の逃げ易い方向、即ち、同図中、矢印a2、a3に示すように、先端面板部3c側及び周側部3a側にそれぞれ流動しようとする。従って、型の抑えが不十分であれば、当然、それらの部位の外面に膨出が生じ、二次加工体3の形状は崩れてしまうことになる。前記下型11fに下方から加えるクッション圧は、前記のように、これを防止すべく二次加工体3を下方から抑えるものであるが、図4に示すように、該下型11fは同時にその周側部3aの側方をも抑えるようになっている。前記上型10f、10gは、前記のように、二次加工体3を上方から抑え、かつ同時にその周側部3aを内側から抑えてもいる。
【0042】
図5中、3c2は、下型11fへのクッション圧が不足している場合に、二次加工体3の先端面板部3cの背面側に材料が流動して膨出する膨出部を示しており、3c3は、同様の場合に、上型10fの抑え圧力が不足し、後述するその逃げ穴10f1、10f1…に流動すべき材料が先端面板部3cの正面側に流動膨出した膨出部を示している。同図中、矢印a4は、クッション圧を表示しているが、これが適切であり、上型10f、10gも同様の抑え圧で上方から抑えていれば、以上の両膨出部3c2、3c3が生じることはない。その分の材料は、詳細には後述する上型10fの逃げ穴10f1、10f1…に流動することになる。こうして二次加工体3は、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工を経ても、正確な形状を保持することができる。
【0043】
前記上型10f、10gの内、中央側の上型10fには、前記下型11fのガイド穴11f1、11f1…に上下対応させた位置関係で同数の逃げ穴10f1、10f1…が開口してある。これらは、前記バネ座止まり穴加工ピン13、13…の押し出し加工動作によって流動する材料をその中に逃がす趣旨の開口部である。これらの逃げ穴10f1、10f1…の断面積daは、この実施例では、バネ座止まり穴5、5…の断面積DAの約49.3%に設定した。即ち、この実施例では、逃げ穴10f1の内径は、6.6mmに設定したものであり、前記のように、バネ座止まり穴5の穴径は9.4mmであるから、比率da/DA=π(6.6/2)2/π(9.4/2)2 となり、その値は、約0.493であり、前記のように、百分率で云うと、約49.3%である。このような比率da/DAにするのは、前記バネ座止まり穴加工ピン13、13…の押し出し加工動作の際の材料の流動を適切な抵抗を有するものに設定する趣旨である。
【0044】
図6は、上型10fに開口した逃げ穴10f1の断面積daを、バネ座止まり穴加工ピン13の押し出し加工によって作成されるバネ座止まり穴5の断面積DAに比して所要比率以上に大きく成形した場合のバネ座止まり穴5に於ける引けの状態を示した説明図である。この場合は、バネ座止まり穴5の底部に引けが生じ、中央上部に向かって徐々に細くなりながら延びる概ねテーパ状の空間kが生じている。図7に示すように、この実施例では、バネ座止まり穴5の底部の厚みt、即ち、バネ座止まり穴5の底面5aと二次加工体3の先端面板部3cの正面側の面3csとの間隔は1mmに設定されているため、図6のように、バネ座止まり穴5の底部に、引けが生じていると、先端面板部3cの正面側に突出した突出部3cpを削除した場合に該バネ座止まり穴5の底部に穴が開いた状態になる不都合が生じる。
【0045】
それ故、前記上型10fに構成する逃げ穴10f1、10f1…の断面積daのバネ座止まり穴5の断面積DAに対する比率da/DAは、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって作成されるバネ座止まり穴5、5…の底部に引けが生じない程度の材料の流動となるように、流動に対する適切な抵抗が生じ得るように設定する。流動に対する適切な抵抗を生じさせることにより、前記引けを生じさせないようにする趣旨である。この比率da/DA×100は、使用されるブランク1の素材の展延性等の性質によって同一ではないが、概ね45〜55%程度が適当である。48〜52%であればより好ましい。
【0046】
なお、この実施例では、図4に示すように、更に前記逃げ穴10f1の断面の一部を二次加工体3の先端面板部3cから立ち上がる周側部3aと重畳させてあり、これが前記逃げ穴10f1の断面積daのバネ座止まり穴5の断面積DAに対する比率da/DAを、前記のように、約0.493、即ち、百分率で約49.3%に設定したことと相まって、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって生じる材料の流動に一層適切な抵抗を生じさせ、作成されるバネ座止まり穴5、5…の底部5aに引けを生じさせないようになっているものである。
【0047】
以上のように、前記逃げ穴10f1の断面の一部を前記周側部3aと重畳させてあるため、図8(a)、(b)に示すように、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって二次加工体3の先端面板部3cの正面側に突出する突出部3cpは、当然、その一部が該周側部3aと重畳する。その重畳部wの断面積waの突出部3cpの断面積(=逃げ穴10f1の断面積da)paに対する割合wa/paは、この実施例では、突出部3cpの断面積paが、前記のように、その直径が6.6mmであるから、34.2119mm2であり、重畳部wの断面積waが4.9mm2であるから、4.9/34.2、即ち、0.143となり、この場合の割合wa/pa×100は、14.3%となることが分かる。そしてこの重畳状態で、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって生じる材料の流動に対する抵抗が適切なものとなった。
【0048】
これに関しては、以上の外、逃げ穴10f1の径を6.5mmにした場合及び7mmにした場合、その他多数の例を試験してみたが、重畳部wの断面積waの突出部3cpの断面積(逃げ穴10f1の断面積da)paに対する割合wa/paは、0.1〜0.2、即ち、その百分率wa/pa×100=10〜20%に設定すると、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって生じる材料の流動に対する抵抗が適切なものとなり、成形されるバネ座止まり穴5、5…の底面5aに引けが生じることがないことが分かった。
【0049】
因みに、前記逃げ穴10f1の径、即ち、突出部3cpの径を6.5mmにした場合のその断面積paは33.1831mm2であり、この場合の重畳部wの断面積waは4.59mm2であるから、逃げ穴10f1の断面積(突出部3cpの断面積pa)daに対する割合wa/paは、0.138、即ち、その百分率wa/pa×100=13.8%となる。また前記逃げ穴10f1の径、即ち、突出部3cpの径を7.0mmにした場合のその断面積paは38.48451mm2であり、この場合の重畳部wの断面積waは6.22mm2であるから、逃げ穴10f1の断面積(突出部3cpの断面積pa)daに対する割合wa/paは、0.162、即ち、その百分率wa/pa×100=16.2%となる。
いずれも適切な範囲内にあり、バネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作によって生じる材料の流動に対する抵抗が適切なものとなる。
【0050】
更に、当然、前記下型11fのガイド穴11f1、11f1…にはバネ座止まり穴加工ピン13、13…が昇降進退自在に配してあり、前記ノックアウトピン通過用の通過穴11f2には、ノックアウトピン15が昇降自在に挿入してある。
【0051】
なお、前記下型11f及び前記上型10f、10gは、SKD61の鋼材で作成し、ラジカル窒化処理を施したものである。また前記バネ座止まり穴加工ピン13、13…は超硬合金で作成したものである。
【0052】
以上の加工装置を用いて前記二次加工体3の先端面板部3cの背後側の面の周端に沿った領域にバネ座止まり穴5、5…を作成する。
図4に示すように、二次加工体3をその背面側を下に向けて下型11f上に載置し、上型10f、10gを下降させて、その下面を該二次加工体3の正面側に当接させる。この後、前記油圧クッション装置を動作させ、そのクッション支柱14、14…で下型11fに上向きクッション圧を加え、同時に上型10f、10gにも下向きの加圧力を加える。
【0053】
この状態で、前記バネ座止まり穴加工ピン13、13…を上昇させて、前方押し出し加工動作をさせ、二次加工体3の先端面板部3cの背後側の面にバネ座止まり穴5、5…を加工する。これによってバネ座止まり穴5、5…が作成される部位から押し出され流動する材料は、その前方の上型10fに開口された逃げ穴10f1、10f1…中に流動移動し、該バネ座止まり穴5、5…が適切に作成されることになる。逃げ穴10f1、10f1…の断面積daは、前記のように、適切に設定され、また逃げ穴10f1、10f1…の断面の一部を二次加工体3の先端面板部3cから立ち上がる周側部3aと適切な割合で重畳させてあるため、作成されるバネ座止まり穴5、5…の底部5aに引けの発生することもない。
【0054】
また下型11fに、前記のように、適切なクッション圧が加えられ、上型10f、10gにもこれに対応する加圧力が加えられているため、流動する材料が、前記逃げ穴10f1、10f1…以外の部位に流動して、二次加工体3の先端面板部3cの背面側等の無用の部位に膨出し、その本来の形状を変形させてしまうような問題も生じない。それ故、二次加工体3は正常な形状を維持することができる。
【0055】
また以上のバネ座止まり穴加工ピン13、13…による押し出し加工動作は、前記のように、予め平坦化が行われた二次加工体3の先端面板部3cの背面側の周端に沿った領域に対して加えられるものであるため、該バネ座止まり穴加工ピン13、13…に偏った荷重がかかる虞が無い。それ故、該バネ座止まり穴加工ピン13、13…はその高い耐久性を得、長寿命を確保することができる。またこれにより該バネ座止まり穴加工ピン13、13…が直線往復動作を正確に維持することができるため、精度の高いバネ座止まり穴5、5…の加工ができることにもなる。
【0056】
次いでこの実施例では、旋盤による旋削加工で、図3に示すように、二次加工体3の正面側に突出した突出部3cp、3cp…を削除する。
なお、以上の二次加工体3は、この後、既存の公知の方法により、張出部3bを加工して、シリンダに摺動接触する摺動周側部を作成し、ピストン本体に仕上げる。
【0057】
従ってこの実施例の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法によれば、ドリル加工によるより遥かにスピーディに、かつ精度の高いバネ座止まり穴5、5…を加工することができる。
またこの実施例では、所定素材の金属板材を加工し、押し出し加工によりバネ座止まり穴を成形するものであり、以上のように、スピーディに加工できるものではあるが、周囲に材料の余裕が少なく、割れや、変形その他の問題を生じさせることなく、正確なそれを成形することは極めて困難である。それにもかかわらず、この実施例では、以上の説明によって理解されるように、手順を尽くすことにより、精度の高いバネ座止まり穴を確実に成形することに成功しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a)は実施例の二次加工体を作成するための円盤状のブランクの断面図、(b)は一次加工体の断面図、(c)は二次加工体の断面図。
【図2】(a)は鍛造装置で一次加工体を加工している状態を示す断面図、(b)は鍛造装置で二次加工体を加工している状態を示す断面図。
【図3】(a)は二次加工体にバネ座止まり穴を開口したその断面図、(b)はバネ座止まり穴を開口した二次加工体の背面図。
【図4】鍛造装置で二次加工体にバネ座止まり穴を加工している状態を示す断面図。
【図5】バネ座止まり穴加工ピンで押し出し加工動作をした場合の二次加工体内の材料の流動とクッション圧を説明する二次加工体の断面部分説明図。
【図6】バネ座止まり穴加工ピンで押し出し加工動作をした場合に上型の逃げ穴中に流動する材料による引張と作成されるバネ座止まり穴の底部に生じる「引け」を説明するための二次加工体の断面部分説明図。
【図7】適切な上型に構成する逃げ穴の断面積とバネ座止まり穴の断面積との関係を説明するための断面説明図。
【図8】(a)は突出部が突出した状態の二次加工体の概略正面図、(b)は(a)の一部を拡大した突出部断面と周側部の重畳割合を説明する正面説明図。
【符号の説明】
【0059】
1 ブランク
2 一次加工体
2a 中央穴
2b 周側部
3 二次加工体
3a 周側部
3b 張出部
3c 先端面板部
3c1 先端面板部の背面側周端
3c2 先端面板部の背面側に膨出する膨出部
3c3 先端面板部の正面側に流動膨出した膨出部
3cp 突出部
3cs 先端面板部の正面側の面
5 バネ座止まり穴
5a バネ座止まり穴の底面
10a 鍛造装置の一次加工体加工用の上型
10b 鍛造装置の二次加工体用の中央側の上型
10c 鍛造装置の二次加工体用の外周側の上型
10f 鍛造装置のバネ座止まり穴加工用の中央側の上型
10f1 逃げ穴
10g 鍛造装置のバネ座止まり穴加工用の外周側の上型
11a 鍛造装置の一次加工体加工用の下型
11b 鍛造装置の二次加工体用の中央側の下型
11c 鍛造装置の二次加工体用の外周側の下型
11f 鍛造装置のバネ座止まり穴加工用の中央側の下型
11f1 ガイド穴
11f2 通過穴
12a パンチ
13 バネ座止まり穴加工ピン
14 クッション支柱
15 ノックアウトピン
α 一次加工体の周側部との作る角度
a1 バネ座止まり穴加工ピンの押し出し方向を示す矢印
a2 先端面板部方向に向かう材料の流動方向を示す矢印
a3 周側部方向に向かう材料の流動方向を示す矢印
a4 クッション圧の方向を示す矢印
da 逃げ穴の断面積
DA バネ座止まり穴の断面積
da/DA 比率
k テーパ状の空間
pa 突出部の断面積
t バネ座止まり穴の底部の厚み
w 重畳部
wa 重畳部の断面積
wa/pa 重畳部の断面積の突出部の断面積に対する割合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン本体の先端面板部の背面にその周端に沿って複数のバネ座止まり穴を作成する自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法であって、
前記複数のバネ座止まり穴を作成する、前記ピストン本体の先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域を平坦に成形した上で、
前記バネ座止まり穴と同数でその配列と同一の配列で配したバネ座止まり穴加工ピンを、前記ピストン本体の先端面板部の背面側から、その先端面板部周端に沿った円環状の領域に対して、前方押し出し加工動作をさせることにより、該領域に対応する数及び配列のバネ座止まり穴を作成すると共に、それらのバネ座止まり穴加工ピンの押し出し加工動作により押し出される材料を各々該先端面板部の正面側に流動突出させることとした自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項2】
板状の金属材料を、その中央部に中央穴を打ち抜くと共に、周囲を斜め外方に立ち上がる周側部とすべく絞り加工し、次いで該周側部を直立させ、更に該周側部の内側に位置する先端面板部を平打ち加工することにより該先端面板部の背面の周端を増肉させ、その後、該周側部の外周をしごくことにより該先端面板部の背面側の周端部付近の増肉及び該面と周側部外面との直角性を確保することにより、前記複数のバネ座止まり穴を作成する、前記ピストン本体の先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域を平坦に成形する請求項1の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項3】
前記バネ座止まり穴加工ピンの先端面板部の背面の周端に沿った円環状の領域に対する前方押し出し加工動作を、前記ピストン本体の上下面を上型及び下型で抑えながら、該下型に開口したバネ座止まり穴加工ピンと同一配列のガイド穴を通じて行い、他方、このバネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し加工動作で流動する材料を該上型に該バネ座止まり穴加工ピンと同一配列で構成した逃げ穴によりこの中に流動突出させるべく誘導することとした請求項1又は2の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項4】
前記下型に、少なくとも、前記バネ座止まり穴加工ピンによる前方押し出し加工動作中に、上昇方向のクッション圧を加えることとした請求項3の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項5】
前記上型に成形する逃げ穴の断面積を、バネ座止まり穴加工ピンによって成形されるバネ座止まり穴の底部がその前方を逃げる流動材料の引張りに起因する引けを生じない程度に設定する請求項1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項6】
前記上型に構成する逃げ穴の断面積を、バネ座止まり穴加工ピンによって作成されるバネ座止まり穴の断面積の45〜55%に設定する請求項1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項7】
前記上型に構成する各逃げ穴の断面の一部をピストン本体の前記先端面板部から立ち上がる周側部と重畳するように位置決めすることとし、重畳する一部の断面積の逃げ穴断面積に対する割合(重畳部断面積/逃げ穴の断面積×100)=10〜20(%)に設定する請求項1、2、3又は4の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。
【請求項8】
前記ピストン本体の先端面板部の正面側に流動突出した突出部を削除することとした請求項1、2、3、4、5、6又は7の自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−274124(P2009−274124A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129853(P2008−129853)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(301049593)茨城スチールセンター株式会社 (3)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】