説明

自動車用アライメントテスター

【課題】本発明は、過去に車体損傷を受けた車輌及び修復及び製造過程で左右差がある車輌、また懸架装置に劣化がある車輌等、問題を抱えた車輌に対して、適切なアライメントジオメトリを算出し調整を可能にする。
【解決手段】本発明は、タイヤの片流れ時に発生するタイヤの発熱を利用して、その発熱量を測定することにより、各輪の個別なアライメントジオメトリの誤差を知り、各輪のホイールアライメント調整を容易にする。
このことにより、それまで修復歴のある車輌や懸架装置が劣化した車輌、また修復及び製造過程で左右差が生じてしまった車輌など、調整が不可能とされていた車輌のアライメント調整が可能になり、工場及び個人に広く寄与でき役立つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車整備に関わる整備用のアライメントテスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のホイールアライメントテスターでは、停車時のアライメント測定及び調整のみを目的としており、走行状態でのホイールアライメントの確認が出来ず、測定結果から実走行状態を把握することが困難で、正確な調整をすることが出来ませんでした。
又、車体に損傷を受けた車輌や懸架装置に劣化が著しい車輌では、左右の値をあわせることしか出来ず、個体差及び左右差に合わせた正確な調整を施すことが出来ませんでした。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車輌の停止状態と実際の走行状態では、必要になるアライメント量が異なり従来の停止時のアライメントだけでは調整の際どうしても勘に頼る部分が多くなっており、適切な調整が出来ないといった問題があります。
特に車体に過去に損傷がある車輌や、懸架装置に著しい劣化がある場合など、実際の走行状態とは異なる為、正確な調整が出来ませんでした。
その為、調整したにも関わらず、結果として調整不良の問題が解決できませんでした。
本測定機では、実際に近い走行状態を作り出し、その状態でのアライメントを計測することによって、正確なアライメントを測定・調整を容易にしようとするものです。
それまでの左右のジオメトリを合わせるというような簡易的な方法でなく、前後左右を別々に必要で適切なアライメントジオメトリを分析し、個別に実際の調整を可能にしました。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、タイヤの発熱量を利用し、その発熱量を計測することによって適正なアライメントのジオメトリを引き出すと言う、全く新しいアライメントテスターであります。
車輌には片流れといった現象が存在しますが、各輪の片流れ量は微妙に違うため、今まで四輪各輪の個別な片流れ量を定量的に的確に判断することが出来ませんでした。
タイヤは片流れをすることにより、タイヤに捩れを生じ、その際摩擦熱を発するため、その発熱を利用し測定することによって、実走行時の必要なアライメントの微量なジオメトリを、計測及び調整を可能にしたものであります。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本測定機は、試験台・走行試験用ローラー・車体リフト・車体留め具・レーザーポインター付き非接点式温度センサー及びコンピューターから成り立ちます。
【実施例】
【0006】
以下、添付書類に従って一実施例を説明します。
センサー及びローラーがセットされた測定機本体であるgに、被検車輌fを乗せ、ローラーa−1及びa−2の間にfの前輪であるi−1及びi−3、a−3及びa−4の間にfの後輪であるi−2及びi−4が乗るように、fを停止させます。
この際、連動したローラー(a−1・a−2・a−3・a−4)に対してfが垂直の角度になるようにセットします。
次に昇降機dを昇降させ、車体を持ち上げないように車体の高さを維持できるように、留め具b−1〜b−4をfにセットします。
次にc−1・c−2・c−3・c−4を各i−1・i−2・i−3・i−4にセットします。
この時、測定個所を個所を決定する為、レーザーのポインターj−1・j−2・j−3・j−4をそれぞれi−1・i−2・i−3・i−4に対して同じ距離及び同じ角度でセットします。
この状態で、fの各i−1・i−2・i−3・i−4のうち2輪又は4輪を回転させることにより、a−1・a−2・a−3・a−4が回転を始めます。
fの回転が、指定回転数に達したところで、c−1・c−2・c−3・c−を作動させ、i−1・i−2・i−3・i−4それぞれの計測ポイントの温度を測定していきます。
測定した温度はケーブルe−1及びe−2を介してパソコンhに伝えられています。
測定結果をhで解析及び判断をし、各i−1・i−2・i−3・i−4のアライメントジオメトリを調整していきます。
【実施例】
【0007】
hに転送されたi−1・i−2・i−3・i−4の各部の温度から、次のように判断します。
温度が高い部分は、タイヤの捩れ量が大きく摩擦熱の発熱が大きいことを示し、逆に温度の低い部分は摩擦熱が小さく発熱が小さいことを示します。
直進状態では左右のタイヤ温度は同じでなければならず、左右の温度の違いが片流れ量の違いと判断できます。
各輪iの状態については、内側の温度が高い場合、トー及びキャンバーはそれぞれマイナストー方向及びマイナスキャンバー方向が強いことを示しており、外側の温度が高い場合にはプラストー方向及びプラスキャンバー方向が強い事を示します。
又内側と外側の温度差が大きいほど、アライメントジオメトリは調整量が多くなり、内側と外側の温度差が小さいほどアライメントジオメトリは調整量が小さくなります。
又、平行なi−1とi−3に全体的な温度差がある場合には、キャスター角及びトレール量に左右差があることを示します。
このことから、平行なi−1とi−3及びi−2とi−4の左右差の温度差を均一にすべく、調整を行います。
【発明の効果】
【0008】
この計測方法により、車輌の個体差や劣化による左右不均等の場合においても、正確なジオメトリ調整が可能になりました。
個体差や左右不均等を一律にあわせるものと違い、一輪づつの状況に合わせた適正なアライメント調整を可能にしました。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のアライメントテスターのシステム図です。
【図2】本発明のアライメントテスターの一実施例を示す、車輌とテスターの側面図です。
【図3】本発明のアライメントテスターの実施例を示す、車輌とテスターの前面及び背面図です。
【符号の説明】
【0010】
a−1 試験用ローラー
a−2 試験用ローラー
a−3 試験用ローラー
a−4 試験用ローラー
b−1 車輌留め具(左前輪)
b−2 車輌留め具(左後輪)
b−3 車輌留め具(右前輪)
b−4 車輌留め具(右後輪)
c−1 非接点式温度センサー(左前輪)
c−2 非接点式温度センサー(左後輪)
c−3 非接点式温度センサー(右前輪)
c−4 非接点式温度センサー(右後輪)
d 昇降リフト
e−1 接続ケーブル
e−2 接続ケーブル
f 被検車輌
g 試験台
h パソコン
i−1 タイヤ(左前輪)
i−2 タイヤ(左後輪)
i−3 タイヤ(右前輪)
i−4 タイヤ(右後輪)
j−1 レーザーポインター(左前輪)
j−2 レーザーポインター(左後輪)
j−3 レーザーポインター(右前輪)
j−4 レーザーポインター(右後輪)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの温度からアライメントを測定する自動車用アライメントテスター

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−215008(P2006−215008A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56556(P2005−56556)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(501124625)
【Fターム(参考)】