自動車用ウエザーストリップの取付構造
【課題】フード閉時にそのフードを受容するフロントフェンダー側の一部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造を前提とし、取付プレートに対するウエザーストリップの取付作業性を良好なものとし、併せて取付プレートからウエザーストリップが外れにくくした構造を提供する。
【解決手段】取付プレート3側の複数のクリップ7,7‥および7Aとウエザーストリップ4側の複数の丸穴状の取付穴6,6‥とを嵌合・係止させる構造として、クリップ7,7‥および7Aを断面略L字状のものとする一方、両端のクリップ7とクリップ7Aとの頭部突出方向を逆向きとし、且つそれぞれの頭部突出方向が該当する端末4aまたは4bを指向するようにした。
【解決手段】取付プレート3側の複数のクリップ7,7‥および7Aとウエザーストリップ4側の複数の丸穴状の取付穴6,6‥とを嵌合・係止させる構造として、クリップ7,7‥および7Aを断面略L字状のものとする一方、両端のクリップ7とクリップ7Aとの頭部突出方向を逆向きとし、且つそれぞれの頭部突出方向が該当する端末4aまたは4bを指向するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用ウエザーストリップの取付構造に関し、特に自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉するフード等の開閉体の周縁部に取付プレートを介してシール用のウエザーストリップを取り付けるようにした構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体におけるフードの両サイド部とフロントフェンダーとの合わせ部をシールするべく、特許文献1に記載のように、フードインナパネルの両サイド部に添設したシール部材をフード閉時にエンジンルーム内のフードリッジパネルに当接させるようにした技術以外に、例えば図1,2に示すように、自動車の車体のエンジンルーム内においてフードリッジパネルあるいはフロントフェンダー2の端末部内側面に前後方向に沿って樹脂製の取付プレート3を配設し、この取付プレート3の上面にシール部材として長尺な例えば中空状のウエザーストリップ4を配設することが一部で行われている。なお、この構造は、取付プレート3の設定によって、フード1開時におけるエンジンルーム内のフードリッジパネルあるいはフロントフェンダー2等のパネル色を覆い隠して見栄えの向上を図るとともに、フードインナパネル1aをウエザーストリップ4に弾接させることで走行時の風切り音の抑制を主眼としている。
【0003】
ここで、取付プレート3に対するウエザーストリップ4の取付方法としては従来公知のクリップ方式が採用されている。例えば図3,4に示すように取付プレート3の上面である取付面3aに略T字状の複数のクリップ5,5‥を一列に一体成形しておき、ウエザーストリップ4側に所定のピッチで形成した取付穴6を各クリップ5,5‥に嵌合・係止させることで、ウエザーストリップ4が取付プレート3に固定保持されることになる。なお、類似のクリップによる固定構造が特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開平8−11647号公報
【特許文献2】実開平6−61662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3,4に示したような従来の取付構造では、特許文献2に示したものと異なり、クリップ5,5‥が予め取付プレート3と一体化されているために部品点数の削減が可能である反面、逆に各クリップ5,5‥が予め取付プレート3と一体化されているが故に、手作業をもって各クリップ5,5‥と取付穴6とを嵌合・係止させることになるウエザーストリップ4の取付作業が厄介で、その取付作業性が極端に悪いものとなっている。特に予め取付プレート3と一体化されている略T字状のクリップ5,5‥に対してウエザーストリップ4側の取付穴6を嵌合・係止させることは、両者を十分に目視認識できない状態で嵌合・係止作業を行わなければならないことを意味し、場合によっては取付穴6の裂開を招くおそれがあり、なおも改善の余地を残している。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉するフード等の開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造を前提として、とりわけ取付プレートに対するウエザーストリップの取付作業性を良好なものとし、併せて取付プレートからウエザーストリップが外れにくくした構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉する開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造であることを前提としている。
【0007】
その上で、上記車体側開口部の開口縁または開閉体の周縁部に固定される取付プレート側の取付面にウエザーストリップを固定保持する抜け止め用の突起部をそのウエザーストリップの長手方向に沿って複数個並設する一方、ウエザーストリップ側の取付基部には上記突起部に対し引っ掛かりの関係をもって嵌合・係止される複数の取付穴を形成してなり、上記突起部は、取付プレート側の取付面から直立する脚部の先端にウエザーストリップの長手方向を指向する頭部を突出成形した断面略L字状のものとして形成するとともに、上記複数の突起部のうち少なくともいずれか一つの突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにしたことを特徴とする。
【0008】
なお、本発明にいう突起部は先に例示した従来の技術のクリップに相当している。 より具体的には、例えば請求項2に記載のように、上記複数の突起部の並設個数を少なくとも四つとするとともに、それらの突起部並設方向一端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその一端部側の端末を指向し、且つ同じく突起部並設方向他端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその他端部側の端末を指向するように設定する。
【0009】
または、請求項3に記載のように、上記突起部並設方向両端のうちいずれか一方の端に位置する最端突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにするとともにその一方の端末を指向するように設定するか、あるいは請求項4に記載のように、上記突起部並設方向において各突起部の頭部突出方向が交互に逆向きとなるようにするとともに両端に位置する最端突起部の頭部突出方向がそれぞれの端末を指向するように設定する。
【0010】
なお、上記各取付穴は、例えば請求項5に記載のように、突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものとする。
【0011】
したがって、これら請求項1〜5に記載の発明によれば、取付プレートに対するウエザーストリップの取付保持に必要な複数の突起部をそれぞれ断面略L字状のものとしてそれらの方向を揃えることで、その突起部と取付穴との嵌合・係止に基づく取付性が良好なものとなる一方、それらの複数の突起部のうち少なくともいずれか一つを逆向きとすることで、例えば外れ方向の外力が作用した場合でもウエザーストリップが取付プレートから外れにくいものとなる。
【0012】
言い換えるならば、断面略L字状の突起部の総数のうち向きが揃っている個数が多いほど取付性が良好な反面、逆にわずかな外力で外れやすい傾向となることから、ウエザーストリップの長さや取付穴の並設個数等に応じて、向きを逆とする突起部の個数と位置を設定することが望ましい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造を前提として、上記最端突起部と嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、その最端突起部の平面投影形状よりも小径で且つ最端突起部の脚部を受容し得る大きさのものとして形成してある一方、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあり、且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあることを特徴とする。
【0014】
したがって、この請求項6に記載の発明では、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、それらの他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあることで、両者のはめ合わせが一段と容易に行え、しかも且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に両者を相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となり、本来の外れ止めまたは抜け止めの機能を発揮するようになる。
【0015】
ここで、上記各請求項に記載の発明においては、請求項7に記載のように、各突起部の頭部に、ウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けてあるとより望ましいものとなる。
【0016】
また、ウエザーストリップのより具体的な形状としては例えば中空状のものや舌片状のものが想定されるが、シール性向上効果の上では中空状のものが望ましい。この場合、請求項8に記載のように、ウエザーストリップの中空部を形成している周壁の一部として機能する取付基部に取付穴を形成してあるものとする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、ウエザーストリップを固定保持するための複数の突起部の形状を断面略L字状のものとする一方、それらのうち少なくともいずれか一つの向きを逆向きとしたことにより、取付プレートへのウエザーストリップの取り付け易さと外れにくさを両立できるようになり、特にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性を大幅に改善できるようになる。
【0018】
特に請求項2に記載の発明によれば、ウエザーストリップの長手方向両端部においてそれぞれの突起部の向きが長手方向の外側を指向するようにしたため、隣り合う複数の突起部が同じ方向を向くことよりウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性が一段と良好なものとなるとともに、ウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れを防止できる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、最端突起部の向きのみを逆にしたことにより、全体として同じ向きの突起部の数が多いために上記と同様にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性がさらに一段と良好なものとなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、突起部の向きを交互に逆向きとしたことにより、ウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れをより確実に防止でき、ウエザーストリップの取付保持性が一段と向上する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ウエザーストリップ側の取付穴を突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものとしたため、上記と同様にウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れをより確実に防止でき、ウエザーストリップの取付保持性が一段と向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴を、それに対応する突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成する一方で、各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあるため、取付プレートへのウエザーストリップの取り付け易さと外れにくさを両立できることはもちろんのこと、特に各取付穴が対応する突起部を平面投影形状のまま受容し得る故にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、各突起部の頭部にウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けたため、位置ずれによるウエザーストリップの外れ防止効果が一段と顕著となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図5,6は本発明に係る取付構造のより具体的な第1の実施の形態を示す図で、先に述べた図3,4と共通する部分には同一符号を付してある。
【0025】
図5に示すように、熱可塑性エラストマーにて所定形状に形成された取付プレート3の取付面3aには図3,4と同様に突起部としての複数のクリップ7,7‥が一列に並設されているものであるが、そのクリップ7,7‥として図4のような従来の略T字状のものに代えて断面略L字状のものを採用している。このクリップ7,7‥は取付プレート3そのものと一体に形成されていて、取付プレート3の取付面3aから直立している円柱状の脚部7aの先端に、クリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向を指向する頭部7bを突出形成することで全体として断面略L字状のものとして形成してある。なお、ウエザーストリップ4は周知のように例えばEPDM系のスポンジゴムにて形成されている。
【0026】
ここで、図6の(A)はウエザーストリップ4単体の状態を、同図(B)はそのウエザーストリップ4を取付プレート3に固定保持させた状態の断面図をそれぞれ示しており、中空状のシールリップ14を有するウエザーストリップ4はシールリップ14を形成している周壁の一部が厚肉且つ平坦な取付基部8となっていて、その取付基部8には丸穴である複数の取付穴6,6‥を等ピッチで形成してある。
【0027】
その一方、取付プレート3側には図5に示したクリップ7,7‥を取付穴6,6‥と同数だけその取付穴6,6‥のピッチと同じピッチで並設してある。これらのクリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、例えば図6の最も右端に位置するクリップ7Aを除きそれ以外のクリップ7,7‥の頭部7bの突出方向がクリップ7Aのそれとは反対向きで且つ全て同じ向きとなるように揃えてある。すなわち、この実施の形態では、クリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、一方の端に位置するクリップ7Aの頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4の一方の端部側の端末4aを指向するように設定してある一方、クリップ7A以外の各クリップ7,7‥の頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4の他方の端部側の端末4bを指向するように設定してある。
【0028】
そして、ウエザーストリップ4自体のの自己弾性力を利用して各取付穴6,6‥をそれらに個別に対応するクリップ7,7‥または7Aに嵌合・係止させ、特に各取付穴6,6‥に対し各クリップ7,7‥の頭部7bを抜け止めのための引っ掛かりの関係とすることで、ウエザーストリップ4側の平坦な取付基部8を取付プレート3側の取付面3aに着座させるようにして堅固に固定保持させてある。
【0029】
なお、取付プレート3側の取付面3aとクリップ7,7‥の頭部7bとのなす距離は、ウエザーストリップ4側の取付基部8の厚みを受容し得る大きさに設定してあるとともに、各取付穴6,6‥の大きさはクリップ7,7‥または7Aの脚部7aを受容し得る大きさに設定してある。
【0030】
したがって、このようなウエザーストリップ4の取付構造によれば、複数のクリップ7,7‥および7Aとそれに対応する同じく複数の取付穴6,6‥との嵌合・係止をもってウエザーストリップ4を取付プレート3に固定保持させる際に、クリップ7Aを除く大部分のクリップ7,7‥の向きが同じであることから、その取付作業性に優れたものとなる。また、一方端に位置する単一のクリップ7Aの向きがそれ以外のものと逆向きであることから、例えばウエザーストリップ4の長手方向において位置ずれを起こすような外力が作用したとしても、その長手方向でのいずれの方向の外力に対しても十分に対向でき、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止状態が容易に外れてしまうことはない。
【0031】
このように本実施の形態によれば、、取付プレート3へのウエザーストリップ4の取り付け易さと外れにくさを両立できるようになり、特にウエザーストリップ4側の取付穴6,6‥と各クリップ7,7‥および7Aとを嵌合・係止させる際の取付作業性が良好なものとなる。
【0032】
ここで、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止による取付容易性を重視したい場合には、例えば図7に示すように各クリップ7,7‥および7Aにおける頭部7bの先端部側が上向きとなるようにわずかに屈曲させると取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0033】
その一方、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止状態を安定的に維持するべく、ウエザーストリップ4の位置ずれを阻止しつつその取付状態での保持性を重視する場合には、図8の(A)に示すように各クリップ7,7‥および7Aにおける頭部7bの先端下面にずれ止め手段として単一の爪9あるいは同図(B)のように鋸歯状の爪10を設けると取付保持性が一段と良好なものとなる。
【0034】
図9,10は本発明の第2,第3の実施の形態を示し、先の第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0035】
図9の第2の実施の形態では、クリップ7,7‥および7A,7A‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、一方の端部側の複数のクリップ7A,7A‥の頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4のその一方の端部側の端末4aの方向を指向するように向きを揃える一方、同じく他方の端部側の複数のクリップ7,7‥の頭部7bの突出方向が先のクリップ7A,7A‥に対して逆向きとなるようにウエザーストリップ4の他方の端部側での端末4bの方向を指向するように向きを揃えものである。
【0036】
また、図10の第3の実施の形態では、クリップ7,7‥および7A,7A‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、各クリップ7,7‥および7A,7A‥の頭部7bの突出方向を交互に逆向きとするとともに、クリップ並設方向両端に位置する最端突起部としての最端クリップ17における頭部7bの突出方向を互いに逆向きで、且つそれぞれにウエザーストリップ4側の対応する端末4aまたは4bの方向を指向するように設定してある。
【0037】
図9に示した第2の実施の形態では、クリップ7,7‥と7A,7A‥とが互いに逆向きでありながらも、クリップ7,7‥および7A,7A‥ともに互いに隣接しつつ同じ方向を向いているクリップの数が多くなることによって、取付作業性が改善される。
【0038】
また、図10に示した第3の実施の形態では、各クリップ7,7Aの向きを交互に逆向きとしたことで、特にウエザーストリップ4の長手方向での位置ずれを阻止しつつその取付状態での保持性が良好なものとなる。
【0039】
図11は本発明の第4の実施の形態を示す図で、第1の実施の形態として先に図6に示したものと共通する部分には同一符号を付してある。
【0040】
この第4の実施の形態では、複数のクリップ7,7‥および7Aのうち右端の単一のクリップ7Aにおける頭部7bの突出方向を他のクリップ7,7‥と逆向きとしてあるとともに、上記単一のクリップ7Aに対応する取付穴6を除き他の各取付穴16,16‥を長穴状のものとしてある。長穴状の取付穴16,16‥の短径は図6に示した取付穴6と同じであるものの、取付穴16,16‥の長径D1は各クリップ7,7‥の平面投影形状、すなわち各クリップ7,7‥の平面投影長さHをそのまま受容し得る大きさに設定してある。
【0041】
したがって、この第4の実施の形態では、図12に示したように長穴状の各取付穴16,16‥を対応するクリップ7,7‥にその上からはめ合わせた上で、長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7,7‥側の脚部7aとの間に残されたストロークSだけウエザーストリップ4全体をクリップ7A側にスライドさせる。このスライド動作をもって少なくとも長穴状の各取付穴16,16‥が対応するクリップ7,7‥に対していわゆる引っ掛かりの関係となって嵌合・係止状態となることから、ウエザーストリップ4のスライド限界位置にて丸穴状の単一の取付穴6を対応する逆向きのクリップ7Aに嵌合・係止させて同様に抜け止めのための引っ掛かりの関係とすることでウエザーストリップ4の取り付けが完了する。
【0042】
この場合、図11の(B)に示すように、長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7,7‥との間には所定のストロークS1が残されているものの、単一の丸穴状の取付穴6がクリップ7Aと嵌合・係止しているために、ウエザーストリップ4の長手方向における位置ずれ等に対しては十分に対向することができる。
【0043】
このように第4の実施の形態では、ウエザーストリップ4のスライド変位に基づいて長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7Aを除く各クリップ7,7‥との嵌合・係止が行われることから、その取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0044】
ここで、上記長穴状の取付穴16,16‥に代えて、図11の(A)の長径D1を直径とする図13のような比較的穴あけ加工が容易な丸穴状の取付穴26とすることもできる。ただし、図11の(A)の長径D1を直径とする丸穴状の取付穴26と図5に示すクリップ7との組み合わせとした場合、両者の大きさの違いに基づくがたつきが発生しやすいので、クリップ27の形状を図13のように設定するものとする。
【0045】
すなわち、上記のようなウエザーストリップ4の長手方向でのスライド動作に基づく取付穴26のスライド量を考慮し、クリップ27における脚部27aの形状として、図13の(A)に示すように取付穴26のスライド前とスライド後の双方の円が重なる部分の平面形状に合致した形状とする。その一方、脚部27aと一体に形成される頭部27bの形状については、同図(B)に示すようにスライド前の丸穴状の取付穴26が受容し得る大きさの長径を有する長円形のものとする。このように脚部27aと頭部27bとからなるクリップ27においても、その断面形状は図5のクリップ7と同様に断面略L字状のものとなる。
【0046】
したがって、図11の長穴状の取付穴16,16‥に代わる図13の丸穴状の取付穴26,26‥と同じく図13のようなクリップ27との組み合わせとすることで、図11に示したものと同様の手順でウエザーストリップ4の取り付け作業を行うことができる。
【0047】
ここで、上記各実施の形態においては、図1に示したように自動車のフード1とフロントフェンダー2との合わせ目をシールするべく、フード1閉時にそのフード1を受容することになる車体側開口部側の開口縁たるフロントフェンダーの端末部にウエザーストリップを取り付ける場合について例示しているが、上記のようにウエザーストリップ4の取り付けに何らかの取付プレート3の使用を前提としてさえいれば、フード1等の開閉体側にも同様に本発明を適用できることはもちろんのこと、例えばカウルトップ部のシールやフード前端でのシールにも本発明を同様に適用できることは言うまでもない。さらに、ウエザーストリップとして中空状のもの以外のものを使用することももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】自動車のフード開時の概略説明図。
【図2】本発明が前提としているウエザーストリップ取付構造の基本構造を示す図で、図1のA−A線に沿う拡大断面図。
【図3】図2の要部分解斜視図。
【図4】図3のa部の拡大説明図。
【図5】本発明で使用される突起部たるクリップの構造を示す取付プレートの要部斜視図。
【図6】本発明の第1の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す図で、(A)はウエザーストリップ単体の説明図、(B)はそのウエザーストリップの取付プレートに対する取付状態での断面説明図。
【図7】図5に示したクリップの変形例を示す断面説明図。
【図8】(A),(B)共に図5に示したクリップのさらなる別の変形例を示す断面説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す断面説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す断面説明図。
【図11】本発明の第4の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す図で、(A)はウエザーストリップ単体の説明図、(B)はそのウエザーストリップの取付プレートに対する取付状態での断面説明図。
【図12】図11に示した取付構造での取付手順を示す断面説明図。
【図13】図11に示した取付構造の変形例を示す図で、(A)は丸穴状の取付穴とクリップ側の脚部との関係を示す説明図、(B)は同じく丸穴状の取付穴とクリップ側の頭部との関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
1…フード(開閉体)
2…フロントフェンダー
3…取付プレート
3a…取付面
4…ウエザーストリップ
4a,4b…端末
6…取付穴
7,7A…クリップ(突起部)
7a…脚部
7b…頭部
8…取付基部
14…シールリップ
16…取付穴
17…最端クリップ(最端クリップ)
26…取付穴
27…クリップ
27a…脚部
27b…頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用ウエザーストリップの取付構造に関し、特に自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉するフード等の開閉体の周縁部に取付プレートを介してシール用のウエザーストリップを取り付けるようにした構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体におけるフードの両サイド部とフロントフェンダーとの合わせ部をシールするべく、特許文献1に記載のように、フードインナパネルの両サイド部に添設したシール部材をフード閉時にエンジンルーム内のフードリッジパネルに当接させるようにした技術以外に、例えば図1,2に示すように、自動車の車体のエンジンルーム内においてフードリッジパネルあるいはフロントフェンダー2の端末部内側面に前後方向に沿って樹脂製の取付プレート3を配設し、この取付プレート3の上面にシール部材として長尺な例えば中空状のウエザーストリップ4を配設することが一部で行われている。なお、この構造は、取付プレート3の設定によって、フード1開時におけるエンジンルーム内のフードリッジパネルあるいはフロントフェンダー2等のパネル色を覆い隠して見栄えの向上を図るとともに、フードインナパネル1aをウエザーストリップ4に弾接させることで走行時の風切り音の抑制を主眼としている。
【0003】
ここで、取付プレート3に対するウエザーストリップ4の取付方法としては従来公知のクリップ方式が採用されている。例えば図3,4に示すように取付プレート3の上面である取付面3aに略T字状の複数のクリップ5,5‥を一列に一体成形しておき、ウエザーストリップ4側に所定のピッチで形成した取付穴6を各クリップ5,5‥に嵌合・係止させることで、ウエザーストリップ4が取付プレート3に固定保持されることになる。なお、類似のクリップによる固定構造が特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開平8−11647号公報
【特許文献2】実開平6−61662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3,4に示したような従来の取付構造では、特許文献2に示したものと異なり、クリップ5,5‥が予め取付プレート3と一体化されているために部品点数の削減が可能である反面、逆に各クリップ5,5‥が予め取付プレート3と一体化されているが故に、手作業をもって各クリップ5,5‥と取付穴6とを嵌合・係止させることになるウエザーストリップ4の取付作業が厄介で、その取付作業性が極端に悪いものとなっている。特に予め取付プレート3と一体化されている略T字状のクリップ5,5‥に対してウエザーストリップ4側の取付穴6を嵌合・係止させることは、両者を十分に目視認識できない状態で嵌合・係止作業を行わなければならないことを意味し、場合によっては取付穴6の裂開を招くおそれがあり、なおも改善の余地を残している。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉するフード等の開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造を前提として、とりわけ取付プレートに対するウエザーストリップの取付作業性を良好なものとし、併せて取付プレートからウエザーストリップが外れにくくした構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉する開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造であることを前提としている。
【0007】
その上で、上記車体側開口部の開口縁または開閉体の周縁部に固定される取付プレート側の取付面にウエザーストリップを固定保持する抜け止め用の突起部をそのウエザーストリップの長手方向に沿って複数個並設する一方、ウエザーストリップ側の取付基部には上記突起部に対し引っ掛かりの関係をもって嵌合・係止される複数の取付穴を形成してなり、上記突起部は、取付プレート側の取付面から直立する脚部の先端にウエザーストリップの長手方向を指向する頭部を突出成形した断面略L字状のものとして形成するとともに、上記複数の突起部のうち少なくともいずれか一つの突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにしたことを特徴とする。
【0008】
なお、本発明にいう突起部は先に例示した従来の技術のクリップに相当している。 より具体的には、例えば請求項2に記載のように、上記複数の突起部の並設個数を少なくとも四つとするとともに、それらの突起部並設方向一端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその一端部側の端末を指向し、且つ同じく突起部並設方向他端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその他端部側の端末を指向するように設定する。
【0009】
または、請求項3に記載のように、上記突起部並設方向両端のうちいずれか一方の端に位置する最端突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにするとともにその一方の端末を指向するように設定するか、あるいは請求項4に記載のように、上記突起部並設方向において各突起部の頭部突出方向が交互に逆向きとなるようにするとともに両端に位置する最端突起部の頭部突出方向がそれぞれの端末を指向するように設定する。
【0010】
なお、上記各取付穴は、例えば請求項5に記載のように、突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものとする。
【0011】
したがって、これら請求項1〜5に記載の発明によれば、取付プレートに対するウエザーストリップの取付保持に必要な複数の突起部をそれぞれ断面略L字状のものとしてそれらの方向を揃えることで、その突起部と取付穴との嵌合・係止に基づく取付性が良好なものとなる一方、それらの複数の突起部のうち少なくともいずれか一つを逆向きとすることで、例えば外れ方向の外力が作用した場合でもウエザーストリップが取付プレートから外れにくいものとなる。
【0012】
言い換えるならば、断面略L字状の突起部の総数のうち向きが揃っている個数が多いほど取付性が良好な反面、逆にわずかな外力で外れやすい傾向となることから、ウエザーストリップの長さや取付穴の並設個数等に応じて、向きを逆とする突起部の個数と位置を設定することが望ましい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造を前提として、上記最端突起部と嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、その最端突起部の平面投影形状よりも小径で且つ最端突起部の脚部を受容し得る大きさのものとして形成してある一方、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあり、且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあることを特徴とする。
【0014】
したがって、この請求項6に記載の発明では、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、それらの他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあることで、両者のはめ合わせが一段と容易に行え、しかも且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に両者を相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となり、本来の外れ止めまたは抜け止めの機能を発揮するようになる。
【0015】
ここで、上記各請求項に記載の発明においては、請求項7に記載のように、各突起部の頭部に、ウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けてあるとより望ましいものとなる。
【0016】
また、ウエザーストリップのより具体的な形状としては例えば中空状のものや舌片状のものが想定されるが、シール性向上効果の上では中空状のものが望ましい。この場合、請求項8に記載のように、ウエザーストリップの中空部を形成している周壁の一部として機能する取付基部に取付穴を形成してあるものとする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、ウエザーストリップを固定保持するための複数の突起部の形状を断面略L字状のものとする一方、それらのうち少なくともいずれか一つの向きを逆向きとしたことにより、取付プレートへのウエザーストリップの取り付け易さと外れにくさを両立できるようになり、特にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性を大幅に改善できるようになる。
【0018】
特に請求項2に記載の発明によれば、ウエザーストリップの長手方向両端部においてそれぞれの突起部の向きが長手方向の外側を指向するようにしたため、隣り合う複数の突起部が同じ方向を向くことよりウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性が一段と良好なものとなるとともに、ウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れを防止できる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、最端突起部の向きのみを逆にしたことにより、全体として同じ向きの突起部の数が多いために上記と同様にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性がさらに一段と良好なものとなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、突起部の向きを交互に逆向きとしたことにより、ウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れをより確実に防止でき、ウエザーストリップの取付保持性が一段と向上する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ウエザーストリップ側の取付穴を突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものとしたため、上記と同様にウエザーストリップの長手方向でのずれによる外れをより確実に防止でき、ウエザーストリップの取付保持性が一段と向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴を、それに対応する突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成する一方で、各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあるため、取付プレートへのウエザーストリップの取り付け易さと外れにくさを両立できることはもちろんのこと、特に各取付穴が対応する突起部を平面投影形状のまま受容し得る故にウエザーストリップ側の取付穴と突起部とを嵌合・係止させる際の取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、各突起部の頭部にウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けたため、位置ずれによるウエザーストリップの外れ防止効果が一段と顕著となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図5,6は本発明に係る取付構造のより具体的な第1の実施の形態を示す図で、先に述べた図3,4と共通する部分には同一符号を付してある。
【0025】
図5に示すように、熱可塑性エラストマーにて所定形状に形成された取付プレート3の取付面3aには図3,4と同様に突起部としての複数のクリップ7,7‥が一列に並設されているものであるが、そのクリップ7,7‥として図4のような従来の略T字状のものに代えて断面略L字状のものを採用している。このクリップ7,7‥は取付プレート3そのものと一体に形成されていて、取付プレート3の取付面3aから直立している円柱状の脚部7aの先端に、クリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向を指向する頭部7bを突出形成することで全体として断面略L字状のものとして形成してある。なお、ウエザーストリップ4は周知のように例えばEPDM系のスポンジゴムにて形成されている。
【0026】
ここで、図6の(A)はウエザーストリップ4単体の状態を、同図(B)はそのウエザーストリップ4を取付プレート3に固定保持させた状態の断面図をそれぞれ示しており、中空状のシールリップ14を有するウエザーストリップ4はシールリップ14を形成している周壁の一部が厚肉且つ平坦な取付基部8となっていて、その取付基部8には丸穴である複数の取付穴6,6‥を等ピッチで形成してある。
【0027】
その一方、取付プレート3側には図5に示したクリップ7,7‥を取付穴6,6‥と同数だけその取付穴6,6‥のピッチと同じピッチで並設してある。これらのクリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、例えば図6の最も右端に位置するクリップ7Aを除きそれ以外のクリップ7,7‥の頭部7bの突出方向がクリップ7Aのそれとは反対向きで且つ全て同じ向きとなるように揃えてある。すなわち、この実施の形態では、クリップ7,7‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、一方の端に位置するクリップ7Aの頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4の一方の端部側の端末4aを指向するように設定してある一方、クリップ7A以外の各クリップ7,7‥の頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4の他方の端部側の端末4bを指向するように設定してある。
【0028】
そして、ウエザーストリップ4自体のの自己弾性力を利用して各取付穴6,6‥をそれらに個別に対応するクリップ7,7‥または7Aに嵌合・係止させ、特に各取付穴6,6‥に対し各クリップ7,7‥の頭部7bを抜け止めのための引っ掛かりの関係とすることで、ウエザーストリップ4側の平坦な取付基部8を取付プレート3側の取付面3aに着座させるようにして堅固に固定保持させてある。
【0029】
なお、取付プレート3側の取付面3aとクリップ7,7‥の頭部7bとのなす距離は、ウエザーストリップ4側の取付基部8の厚みを受容し得る大きさに設定してあるとともに、各取付穴6,6‥の大きさはクリップ7,7‥または7Aの脚部7aを受容し得る大きさに設定してある。
【0030】
したがって、このようなウエザーストリップ4の取付構造によれば、複数のクリップ7,7‥および7Aとそれに対応する同じく複数の取付穴6,6‥との嵌合・係止をもってウエザーストリップ4を取付プレート3に固定保持させる際に、クリップ7Aを除く大部分のクリップ7,7‥の向きが同じであることから、その取付作業性に優れたものとなる。また、一方端に位置する単一のクリップ7Aの向きがそれ以外のものと逆向きであることから、例えばウエザーストリップ4の長手方向において位置ずれを起こすような外力が作用したとしても、その長手方向でのいずれの方向の外力に対しても十分に対向でき、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止状態が容易に外れてしまうことはない。
【0031】
このように本実施の形態によれば、、取付プレート3へのウエザーストリップ4の取り付け易さと外れにくさを両立できるようになり、特にウエザーストリップ4側の取付穴6,6‥と各クリップ7,7‥および7Aとを嵌合・係止させる際の取付作業性が良好なものとなる。
【0032】
ここで、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止による取付容易性を重視したい場合には、例えば図7に示すように各クリップ7,7‥および7Aにおける頭部7bの先端部側が上向きとなるようにわずかに屈曲させると取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0033】
その一方、各クリップ7,7‥および7Aと取付穴6,6‥との嵌合・係止状態を安定的に維持するべく、ウエザーストリップ4の位置ずれを阻止しつつその取付状態での保持性を重視する場合には、図8の(A)に示すように各クリップ7,7‥および7Aにおける頭部7bの先端下面にずれ止め手段として単一の爪9あるいは同図(B)のように鋸歯状の爪10を設けると取付保持性が一段と良好なものとなる。
【0034】
図9,10は本発明の第2,第3の実施の形態を示し、先の第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0035】
図9の第2の実施の形態では、クリップ7,7‥および7A,7A‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、一方の端部側の複数のクリップ7A,7A‥の頭部7bの突出方向がウエザーストリップ4のその一方の端部側の端末4aの方向を指向するように向きを揃える一方、同じく他方の端部側の複数のクリップ7,7‥の頭部7bの突出方向が先のクリップ7A,7A‥に対して逆向きとなるようにウエザーストリップ4の他方の端部側での端末4bの方向を指向するように向きを揃えものである。
【0036】
また、図10の第3の実施の形態では、クリップ7,7‥および7A,7A‥の並設方向またはウエザーストリップ4の長手方向において、各クリップ7,7‥および7A,7A‥の頭部7bの突出方向を交互に逆向きとするとともに、クリップ並設方向両端に位置する最端突起部としての最端クリップ17における頭部7bの突出方向を互いに逆向きで、且つそれぞれにウエザーストリップ4側の対応する端末4aまたは4bの方向を指向するように設定してある。
【0037】
図9に示した第2の実施の形態では、クリップ7,7‥と7A,7A‥とが互いに逆向きでありながらも、クリップ7,7‥および7A,7A‥ともに互いに隣接しつつ同じ方向を向いているクリップの数が多くなることによって、取付作業性が改善される。
【0038】
また、図10に示した第3の実施の形態では、各クリップ7,7Aの向きを交互に逆向きとしたことで、特にウエザーストリップ4の長手方向での位置ずれを阻止しつつその取付状態での保持性が良好なものとなる。
【0039】
図11は本発明の第4の実施の形態を示す図で、第1の実施の形態として先に図6に示したものと共通する部分には同一符号を付してある。
【0040】
この第4の実施の形態では、複数のクリップ7,7‥および7Aのうち右端の単一のクリップ7Aにおける頭部7bの突出方向を他のクリップ7,7‥と逆向きとしてあるとともに、上記単一のクリップ7Aに対応する取付穴6を除き他の各取付穴16,16‥を長穴状のものとしてある。長穴状の取付穴16,16‥の短径は図6に示した取付穴6と同じであるものの、取付穴16,16‥の長径D1は各クリップ7,7‥の平面投影形状、すなわち各クリップ7,7‥の平面投影長さHをそのまま受容し得る大きさに設定してある。
【0041】
したがって、この第4の実施の形態では、図12に示したように長穴状の各取付穴16,16‥を対応するクリップ7,7‥にその上からはめ合わせた上で、長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7,7‥側の脚部7aとの間に残されたストロークSだけウエザーストリップ4全体をクリップ7A側にスライドさせる。このスライド動作をもって少なくとも長穴状の各取付穴16,16‥が対応するクリップ7,7‥に対していわゆる引っ掛かりの関係となって嵌合・係止状態となることから、ウエザーストリップ4のスライド限界位置にて丸穴状の単一の取付穴6を対応する逆向きのクリップ7Aに嵌合・係止させて同様に抜け止めのための引っ掛かりの関係とすることでウエザーストリップ4の取り付けが完了する。
【0042】
この場合、図11の(B)に示すように、長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7,7‥との間には所定のストロークS1が残されているものの、単一の丸穴状の取付穴6がクリップ7Aと嵌合・係止しているために、ウエザーストリップ4の長手方向における位置ずれ等に対しては十分に対向することができる。
【0043】
このように第4の実施の形態では、ウエザーストリップ4のスライド変位に基づいて長穴状の取付穴16,16‥とクリップ7Aを除く各クリップ7,7‥との嵌合・係止が行われることから、その取付作業性が一段と良好なものとなる。
【0044】
ここで、上記長穴状の取付穴16,16‥に代えて、図11の(A)の長径D1を直径とする図13のような比較的穴あけ加工が容易な丸穴状の取付穴26とすることもできる。ただし、図11の(A)の長径D1を直径とする丸穴状の取付穴26と図5に示すクリップ7との組み合わせとした場合、両者の大きさの違いに基づくがたつきが発生しやすいので、クリップ27の形状を図13のように設定するものとする。
【0045】
すなわち、上記のようなウエザーストリップ4の長手方向でのスライド動作に基づく取付穴26のスライド量を考慮し、クリップ27における脚部27aの形状として、図13の(A)に示すように取付穴26のスライド前とスライド後の双方の円が重なる部分の平面形状に合致した形状とする。その一方、脚部27aと一体に形成される頭部27bの形状については、同図(B)に示すようにスライド前の丸穴状の取付穴26が受容し得る大きさの長径を有する長円形のものとする。このように脚部27aと頭部27bとからなるクリップ27においても、その断面形状は図5のクリップ7と同様に断面略L字状のものとなる。
【0046】
したがって、図11の長穴状の取付穴16,16‥に代わる図13の丸穴状の取付穴26,26‥と同じく図13のようなクリップ27との組み合わせとすることで、図11に示したものと同様の手順でウエザーストリップ4の取り付け作業を行うことができる。
【0047】
ここで、上記各実施の形態においては、図1に示したように自動車のフード1とフロントフェンダー2との合わせ目をシールするべく、フード1閉時にそのフード1を受容することになる車体側開口部側の開口縁たるフロントフェンダーの端末部にウエザーストリップを取り付ける場合について例示しているが、上記のようにウエザーストリップ4の取り付けに何らかの取付プレート3の使用を前提としてさえいれば、フード1等の開閉体側にも同様に本発明を適用できることはもちろんのこと、例えばカウルトップ部のシールやフード前端でのシールにも本発明を同様に適用できることは言うまでもない。さらに、ウエザーストリップとして中空状のもの以外のものを使用することももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】自動車のフード開時の概略説明図。
【図2】本発明が前提としているウエザーストリップ取付構造の基本構造を示す図で、図1のA−A線に沿う拡大断面図。
【図3】図2の要部分解斜視図。
【図4】図3のa部の拡大説明図。
【図5】本発明で使用される突起部たるクリップの構造を示す取付プレートの要部斜視図。
【図6】本発明の第1の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す図で、(A)はウエザーストリップ単体の説明図、(B)はそのウエザーストリップの取付プレートに対する取付状態での断面説明図。
【図7】図5に示したクリップの変形例を示す断面説明図。
【図8】(A),(B)共に図5に示したクリップのさらなる別の変形例を示す断面説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す断面説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す断面説明図。
【図11】本発明の第4の実施の形態として図5のクリップを使用したウエザーストリップの取付構造を示す図で、(A)はウエザーストリップ単体の説明図、(B)はそのウエザーストリップの取付プレートに対する取付状態での断面説明図。
【図12】図11に示した取付構造での取付手順を示す断面説明図。
【図13】図11に示した取付構造の変形例を示す図で、(A)は丸穴状の取付穴とクリップ側の脚部との関係を示す説明図、(B)は同じく丸穴状の取付穴とクリップ側の頭部との関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
1…フード(開閉体)
2…フロントフェンダー
3…取付プレート
3a…取付面
4…ウエザーストリップ
4a,4b…端末
6…取付穴
7,7A…クリップ(突起部)
7a…脚部
7b…頭部
8…取付基部
14…シールリップ
16…取付穴
17…最端クリップ(最端クリップ)
26…取付穴
27…クリップ
27a…脚部
27b…頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉する開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造であって、
上記車体側開口部の開口縁または開閉体の周縁部に固定される取付プレート側の取付面にウエザーストリップを固定保持する抜け止め用の突起部をそのウエザーストリップの長手方向に沿って複数個並設する一方、
ウエザーストリップ側の取付基部には上記突起部に対し引っ掛かりの関係をもって嵌合・係止される複数の取付穴を形成してなり、
上記突起部は、取付プレート側の取付面から直立する脚部の先端にウエザーストリップの長手方向を指向する頭部を突出成形した断面略L字状のものとして形成するとともに、
上記複数の突起部のうち少なくともいずれか一つの突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにしたことを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項2】
上記複数の突起部の並設個数を少なくとも四つとするとともに、
それらの突起部並設方向一端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその一端部側の端末を指向し、且つ同じく突起部並設方向他端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその他端部側の端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項3】
上記突起部並設方向両端のうちいずれか一方の端に位置する最端突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにするとともにその一方の端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項4】
上記突起部並設方向において各突起部の頭部突出方向が交互に逆向きとなるようにするとともに両端に位置する最端突起部の頭部突出方向がそれぞれの端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項5】
上記各取付穴は、突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項6】
請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造において、
上記最端突起部と嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、その最端突起部の平面投影形状よりも小径で且つ最端突起部の脚部を受容し得る大きさのものとして形成してある一方、
最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあり、且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあることを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項7】
各突起部の頭部に、ウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項8】
上記ウエザーストリップは中空状のものであって、その中空部を形成している周壁の一部として機能する取付基部に取付穴を形成してあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項1】
自動車の車体側開口部の開口縁またはその車体側開口部を開閉する開閉体の周縁部に取付プレートを介してウエザーストリップを取り付ける構造であって、
上記車体側開口部の開口縁または開閉体の周縁部に固定される取付プレート側の取付面にウエザーストリップを固定保持する抜け止め用の突起部をそのウエザーストリップの長手方向に沿って複数個並設する一方、
ウエザーストリップ側の取付基部には上記突起部に対し引っ掛かりの関係をもって嵌合・係止される複数の取付穴を形成してなり、
上記突起部は、取付プレート側の取付面から直立する脚部の先端にウエザーストリップの長手方向を指向する頭部を突出成形した断面略L字状のものとして形成するとともに、
上記複数の突起部のうち少なくともいずれか一つの突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにしたことを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項2】
上記複数の突起部の並設個数を少なくとも四つとするとともに、
それらの突起部並設方向一端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその一端部側の端末を指向し、且つ同じく突起部並設方向他端部側に位置する少なくとも二つの突起部の頭部突出方向が共にその他端部側の端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項3】
上記突起部並設方向両端のうちいずれか一方の端に位置する最端突起部の頭部突出方向を他の突起部の頭部突出方向に対して逆向きにするとともにその一方の端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項4】
上記突起部並設方向において各突起部の頭部突出方向が交互に逆向きとなるようにするとともに両端に位置する最端突起部の頭部突出方向がそれぞれの端末を指向するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項5】
上記各取付穴は、突起部の平面投影形状よりも小径で且つ突起部の脚部を受容し得る大きさのものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項6】
請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造において、
上記最端突起部と嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、その最端突起部の平面投影形状よりも小径で且つ最端突起部の脚部を受容し得る大きさのものとして形成してある一方、
最端突起部以外の他の各突起部に嵌合・係止することになるウエザーストリップ側の取付穴は、他の各突起部を平面投影形状のまま受容し得る大きさのものとして形成してあり、且つ各取付穴が対応する他の突起部を受容した状態で突起部並設方向に相対移動させることで初めて両者が抜け止めのための引っ掛かりの関係となるように設定してあることを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項7】
各突起部の頭部に、ウエザーストリップ側の取付基部との位置ずれを防止するずれ止め手段を設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項8】
上記ウエザーストリップは中空状のものであって、その中空部を形成している周壁の一部として機能する取付基部に取付穴を形成してあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−30503(P2008−30503A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202799(P2006−202799)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
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