説明

自動車用コーナーポール装置

【課題】 小型化して車両2の意匠性を向上すると共に、ガーニッシュ13が障害物などに接触した場合であっても、バンパ3を損傷することのない自動車用コーナーポール装置1を提供する。
【解決手段】 自動車用コーナーポール装置1は伸縮自在のポール組立体10と、前記ポール組立体10を伸縮させる駆動手段11とからなるコーナーポール装置本体12と、バンパ3の傾斜面に形成した通孔15に突設した前記ポール組立体10を覆うガーニッシュ13とからなる。ガーニッシュ13は、前記ポール組立体10を支承する上部に設けられる開孔24と、バンパ3と接続する下部に設けられる接続部25とを備える。接続部25は、バンパ3より低強度とする。開孔24と接続部25とは略中央に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用コーナーポール装置に関し、特に、バンパの傾斜面に取り付けられる自動車用コーナーポール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車用コーナーポール装置として、図5に示すように、伸縮自在のポール組立体51と、前記ポール組立体51を伸縮させる駆動手段52とからなるコーナーポール装置本体53と、バンパ54の傾斜面に形成した通孔55に突設した前記ポール組立体51を覆うガーニッシュ56とからなり、前記ガーニッシュ56は、前記ポール組立体51を支承する開孔57と、バンパ54にボルトで固定する2個の支持部58とを上方に設け、バンパ54と接続する接続部59を下部に備えるものが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−321568号公報(第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献おいて、ガーニッシュ56が上部における2個の支持部58と、下部における接続部59との合計3点でバンパ54に固設することとしているため、図6に示すようにガーニッシュ56が幅方向に大型化し、車両の意匠性を損なうという問題があった。また、ガーニッシュ56はバンパ54に強固に固定されていることにより、ガーニッシュ56が障害物などに接触した場合、ガーニッシュ56が破損するだけでなく、バンパ54までもが損傷してしまうという懸念があった。
【0004】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、ガーニッシュを小型化して車両の意匠性を向上すると共に、ガーニッシュが障害物などに接触した場合であっても、バンパを損傷することのない自動車用コーナーポール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、伸縮自在のポール組立体と、前記ポール組立体を伸縮させる駆動手段とからなるコーナーポール装置本体と、バンパの傾斜面に形成した通孔に突設した前記ポール組立体を覆うガーニッシュとからなり、バンパに取り付けられる自動車用コーナーポール装置において、前記ガーニッシュは、前記ポール組立体に支承され上部に設けられる開孔と、バンパと接続する下部に設けられる接続部とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、前記接続部は、バンパより低強度とすることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、前記開孔と前記接続部とはガーニッシュの略中央に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の自動車用コーナーポール装置によれば、ガーニッシュは上部において、コーナーポール装置本体に1点支持されるので、ガーニッシュを小型化することができ、車両の意匠性を向上することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の自動車用コーナーポール装置によれば、ガーニッシュが障害物などに接触した場合であっても、バンパより先にガーニッシュが変形して障害物を回避するのでバンパの損傷を防いで、影響を最小限に抑えることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の自動車用コーナーポール装置によれば、ガーニッシュが障害物などに接触してガーニッシュに水平方向の負荷が加わった場合、左右いずれの方向からの負荷に対しても同様に接続部がバンパより先に変形してバンパの損傷を防ぐことができ、しかも、ガーニッシュは開孔を中心として揺動するので、ガーニッシュが落下するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
図1に示す自動車用コーナーポール装置1は、車両2の前方側部のバンパ3に設置され、ハーネス4を介して電源であるバッテリや運転席に配置されたスイッチ6へ接続されている。前記バンパ3は、合成樹脂などの弾性材からなり、車両2の本体と一体形状とした前後長が短い特殊なものである。
【0013】
図2に示すように、自動車用コーナーポール装置1は、伸縮自在のポール組立体10と、前記ポール組立体10を伸縮させる駆動手段11とからなるコーナーポール装置本体12と、前記ポール組立体10を覆うガーニッシュ13とからなる。
【0014】
前記ポール組立体10は、コーナーポール装置本体12の上面から上方へ鉛直に突設されたほぼ円筒状のパイプ14内に収納されているものであり、このパイプ14がバンパ3に形成された通孔15を通って上外方へ突出している。なお、ポール組立体10の先端には発光体を設けてもよい。
【0015】
また、前記駆動手段11は、コーナーポール装置本体12の外郭部を構成するケース16と、該ケース16に搭載されたモータ17と、図示しないがこのモータ17の回転をポール組立体10の伸縮に変換する歯車などの動力伝達手段とを備え、巻取り式のドライブコードの移動によりポール組立体10を伸縮させるものである。この駆動手段11には、バンパ3の内面に当接する第1ブラケット18が設けられている。また、ポール組立体10には、円筒状の第2ブラケット19が外嵌され、前記第2ブラケット19の外周にはL形部材20が設けられている。
【0016】
前記ガーニッシュ13は、合成樹脂などの弾性材からなり、前記通孔15から突出したポール組立体10の側部を覆う外周面22と、ポール組立体10の上部を覆う前記外周面22に連続して形成された天井面23とにより構成される。前記天井面23には、前記ポール組立体10に支承される開孔24が形成され、前記外周面22の下部には、バンパ3と接続する接続部25が設けられる。前記開孔24は、鉛直方向に開口する貫通穴である。また、接続部25は、外周面22の内側から略垂直方向に形成された雌ネジで構成される。前記接続部25は、前記バンパ3に比べ低強度となるように形成される。例えば、接続部25は、バンパ3を構成する材料より小さい機械的強度を有する材料で構成してもよいし、また、薄肉構造としてもよい。
【0017】
このように構成されたコーナーポール装置本体12は、図3(A)に示すように、バンパ3の内側からポール組立体10を通孔15に通し、第1ブラケット18によりバンパ3内面に固定される。また、前記第2ブラケット19に設けられたL形部材20がバンパ3外面にボルトで固定される。
【0018】
また、図3(B)に示すようにガーニッシュ13は、前記開孔24にバンパ3から突出したポール組立体10の先端を通し、前記ポール組立体10の外側に設置され、前記開孔24にはトップナット26が嵌合される。これにより、前記ガーニッシュ13は上部において、前記第2ブラケット19に1点支持される。
【0019】
図2及び図4に示すように、前記第2ブラケット19に設けられたL形部材20がバンパ3外面にボルト27で固定されている。このトップナット26でガーニッシュ13を固定することにより、2点で支持する必要がなくなり、ガーニッシュ13を幅方向及び前後方向に小型化でき、車両2の意匠性を向上することができる。また、開孔24と第2ブラケット19とをトップナット26により同軸上に支持するので、容易に位置合せできる。さらに、第2ブラケット19を介してポール組立体10を収納するパイプ14を支持することができるため、ポール組立体10の揺れを効果的に抑制することができる。また、接続部25には、バンパ3の内側からボルトが螺合され、これによりガーニッシュ13が下部においてバンパ3の外面に固定される。
【0020】
上記のように構成された自動車用コーナーポール装置1の作用について説明する。前記ポール組立体10は、上記の通り運転席に設置したスイッチ6を操作することにより伸縮される。このポール組立体10は、ガーニッシュ13の上部に嵌合されたトップナット26に支持されていることにより、アイドリング時又は走行時にポールが振れたり、外側へ倒れたりするのを防ぐことができる。また、上部においてトップナット26により第2ブラケット19へガーニッシュ13を1点支持することとしたことにより、ガーニッシュ13を小型化することができ、車両2の意匠性を向上することができる。
【0021】
さらに、走行時においてガーニッシュ13が塀などの障害物に接触した場合、ガーニッシュ13には水平方向の負荷が加わる。ガーニッシュ13に水平方向の負荷が加わると、接続部25に水平方向の応力が生じる。このとき、接続部25はバンパ3に比べ低強度に形成されているので、バンパ3が損傷する前に接続部25が変形し、降伏点を越えると破壊に至る。接続部25が破壊すると、ガーニッシュ13が天井面23を中心として揺動し、障害物を回避することができる。このように本実施例における自動車用コーナーポール装置1によれば、ガーニッシュ13が障害物に接触してもバンパ3を損傷することなく、障害物を回避することができるので、影響を最小限に抑えることができる。また、接続部25が破壊しても、ガーニッシュ13はトップナット26により第2ブラケット19に支持されるので、ガーニッシュ13が落下するのを防ぐことができる。
【0022】
上記のように本実施形態では、伸縮自在のポール組立体10と、前記ポール組立体10を伸縮させる駆動手段11とからなるコーナーポール装置本体12と、バンパ3の傾斜面に形成した通孔15に突設した前記ポール組立体10を覆うガーニッシュ13とからなり、バンパ3に取り付けられる自動車用コーナーポール装置1において、前記ガーニッシュ13は、前記ポール組立体10に支承され上部に設けられる開孔24と、バンパ3と接続する下部に設けられる接続部25とを備えるから、ガーニッシュ13は上部において、コーナーポール装置本体12に1点支持されるので、ガーニッシュ13を小型化することができ、車両2の意匠性を向上することができる。
【0023】
また、前記接続部25は、バンパ3より低強度とすることとしたから、ガーニッシュ13が障害物などに接触した場合であっても、バンパ3より先にガーニッシュ13が変形して障害物を回避するのでバンパ3の損傷を防いで、影響を最小限に抑えることができる。
【0024】
また、前記開孔24と前記接続部25とはガーニッシュ13の略中央に設けられることとしたから、ガーニッシュ13が障害物などに接触してガーニッシュ13に水平方向の負荷が加わった場合、左右いずれの方向からの負荷に対しても同様に接続部25がバンパ3より先に変形してバンパ3の損傷を防ぐことができ、しかも、ガーニッシュ13は開孔24を中心として揺動するので、ガーニッシュ13が落下するのを防ぐことができる。
【0025】
次に上記実施例の変形例について図5を参照して説明する。尚、上記した実施例と同様の構成については同様の符号を付し、簡単のため説明を省略する。
【0026】
前記第2ブラケット19には、U形部材30が設けられている。この第2ブラケット19に設けられたU形部材30がバンパ3外面にボルト27で固定されている。これにより、第2ブラケットにL形部材を設けた場合(図5中の符号13)に比べ、ガーニッシュ31を幅方向に更に小型化でき、車両2の意匠性をより向上することができる。また、第2ブラケット19をU形部材30で両側から支持することにより、強固に取り付けることができる。
【0027】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、トップナット26は開孔24に嵌合する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、螺合することとしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、接続部25をバンパ3より低強度とした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ガーニッシュ13を接続部25においてバンパ3に固定するボルトをバンパ3より低強度としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係る自動車用コーナーポール装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】同上、自動車用コーナーポール装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】同上、自動車用コーナーポール装置をバンパに取付ける様子を示す斜視図である。
【図4】同上、自動車用コーナーポール装置をバンパに取付けた様子を示す横断面図である。
【図5】本実施形態の変形例に係る自動車用コーナーポール装置をバンパに取付けた様子を示す横断面図である。
【図6】本発明に係る従来例を示す斜視図である。
【図7】同上、自動車用コーナーポール装置をバンパに取付けた様子を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 自動車用コーナーポール装置
10 ポール組立体
11 駆動手段
12 コーナーポール装置本体
13 ガーニッシュ
15 通孔
24 開孔
25 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在のポール組立体と、前記ポール組立体を伸縮させる駆動手段とからなるコーナーポール装置本体と、バンパの傾斜面に形成した通孔に突設した前記ポール組立体を覆うガーニッシュとからなり、バンパに取り付けられる自動車用コーナーポール装置において、前記ガーニッシュは、前記ポール組立体に支承され上部に設けられる開孔と、バンパと接続する下部に設けられる接続部とを備えることを特徴とする自動車用コーナーポール装置。
【請求項2】
前記接続部は、バンパより低強度とすることを特徴とする請求項1に記載の自動車用コーナーポール装置。
【請求項3】
前記開孔と前記接続部とはガーニッシュの略中央に設けられることを特徴とする請求項2記載の自動車用コーナーポール装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−306186(P2006−306186A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128935(P2005−128935)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】