自動車用ブレーキシステムの作動方法及びブレーキシステム
本発明は、自動車用ブレーキシステム(1)を制御する方法に関し、少なくとも1の電気回生ブレーキ(4)と、摩擦ブレーキ(2)を有しかつ圧力媒体、特に液圧で作動されるブレーキシステムとを備え、各車輪に割り当てられた摩擦ブレーキ(2)は、特にタンデム型マスターブレーキシリンダである第1制動圧発生装置(8)で圧力媒体を供給される少なくとも2つのブレーキ回路(I,II)に配置され、各ブレーキ回路(I,II)は少なくとも1の圧力アキュムレータ(12−I,12−II)と少なくとも2つの電子的に作動可能な液圧弁(14,16,18,20)とを有する。電気回生ブレーキ(4)を用いた制動中、好適なポイントで少なくとも1の液圧弁(16)を好適に作動することにより、圧力媒体が1の所定の圧力アキュムレータにのみ正確に排出される。本発明は更に対応するブレーキシステム(1)にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の方法及び請求項12に記載のブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置及びブレーキシステムが、1又は複数の電気機械(electric machine)を有する自動車がより重要になってきている。この場合、自動車のバッテリが適正量の電気エネルギを蓄えているときに、この電気機械を駆動装置としてしばしば使用することもできる。例えば、電気駆動の範囲に関しては、自動車の1又は複数のバッテリを、自動車が停止しているときだけでなく、自動車の作動中にも充電することが望ましい。電気機械がジェネレータとして作動している場合は、電気駆動装置に接続された車軸又はこの車軸に取付けられた車輪の運動エネルギ又は回転エネルギを変換することにより、自動車の制動中に電気エネルギを発生させ、バッテリに蓄えることができる。
【0003】
回収(recuperation)の結果として形成される制動トルク、すなわちジェネレータによる電気エネルギの生成(回復)は、自動車の速度およびバッテリの充電状態に依存する。あらゆる状況で適正な制動減速を実現するため、例えば、電気駆動装置と燃焼式エンジンとを組合わせたハイブリッド自動車のブレーキシステムは、電気回生ブレーキ(すなわちジェネレータ)に加え、追加の制動手段を有する。この追加の制動手段は、法律で規定されるように、従来、2つのブレーキ回路で実現されており、例えば、電気機械、液圧及び/又は電気液圧摩擦ブレーキを備えている。
【0004】
特に、システムのコストがより低く、システムの複雑さが抑制される点で望ましい液圧摩擦ブレーキとジェネレータとの相互作用は、幾つかの技術的課題を提示しており、効率的な回収のために、それぞれの駆動状況におけるジェネレータの最大可能制動トルクを利用すべきである。更に、ジェネレータの制動減速による自動車の制動と、摩擦制動による自動車の制動との間の移行は、制動減速に急激な変化を生じさせ、又は、好ましくない制動力配分を生じさせることなく、可能にすべきである。更に、ドライバが自身による制動作用と判別するのが困難となるように、ブレーキペダルから、ジェネレータによる電気的回生制動の分離で、ドライバに対して異常なペダル感覚を生じさせる状況を防止すべきである。
【0005】
ドイツ特許公報第DE19604134A1号は、ドライバの制動要求の第1範囲で、制動トルクが回生制動でほぼ独占的に与えられ、液圧作動可能な摩擦制動は実質的に制動トルクを負担しない、電気駆動装置を備えた車両のブレーキシステムを制御するための方法及び装置を提案する。これは、制動要求の上述の範囲において、ドライバがブレーキペダルを作動したときにホイールブレーキ内に流れ込む圧力媒体が、対応する制御を介して、アキュムレータチャンバ内に再循環することで実現される。
【0006】
国際公開公報第WO2004/101308A1号は、ブレーキシステム、および、特に、ジェネレータである電気的回生ブレーキと、制動媒体により少なくとも1の制動圧発生装置で駆動される複数の液圧摩擦ブレーキとを有する自動車のブレーキシステムを制御(regulate)するための方法を開示しており、この自動車の全体的な減速は、摩擦ブレーキ及び電気回生ブレーキからなっている。可能な限り最大の制動快適性および受入可能なブレーキ感覚を得るため、電気的回生制動による制動中、制動媒体は低圧アキュムレータに排出される。ここでは、液圧弁が正確に定められた部分的開放状態に保持される、複雑な制御が行われる。
【0007】
ドイツ特許公報第DE102008054859A1は、自動車の制動のためにジェネレータとして作動可能な電気駆動モータを有する自動車の液圧式車両ブレーキシステムのブレーキ作動を制御するための方法を開示しており、この車両ブレーキシステムは、筋力で作動可能で、ホイールブレーキに接続されるマスターブレーキシリンダを有する。ブレーキ作動中に電気駆動モータがジェネレータとして作動されると、弁の開放により、ある程度の制動流体量が液圧アキュムレータ内に導かれ、これにより、ホイールブレーキ内のホイールブレーキ圧が減少する。制動力ブースタの倍力度(boost factor)は、電気駆動モータのジェネレータ作動による制動中、減少するのが好ましい。
【0008】
上述のブレーキシステムの不都合な点は、2つの圧力アキュムレータ内の摩擦損失の相違(この結果、圧力が異なる場合にピストン移動が発生する)、及び/又は、タンデム型マスターシリンダのスラストロッド回路とフローティング回路内の摩擦損失の相違により、2つのブレーキ回路の一方の圧力アキュムレータにのみ、充填される状況が生じる。これは、実質的に電気回生制動から、ジェネレータ及び摩擦制動の複合制動又は純粋な摩擦制動への不快な移行(混合(blending))を生じさせる可能性がある。
【0009】
ドイツ特許公報第DE102010039816.0は、自動車のブレーキシステムの作動方法について開示しており、このブレーキシステムは、電気ジェネレータと第1,第2液圧ブレーキ回路とを備え、この液圧ブレーキ回路はそれぞれ第1,第2液圧サービスブレーキと、タンデム型マスターシリンダと、制動流体用のリザーバと、ブレーキペダルとを有する。ドライバがブレーキペダルを作動すると、ジェネレータの利用可能な制動力が定まり、これから、これと同じ制動力による自動車の液圧制動に対応する等価な制動流体量が計算され、第2ブレーキ回路からこの等価な制動流体量が第2ブレーキ回路に接続された容積ユニットに導かれる。これは、ドライバに対して快適なペダル感覚を確保するものであるが、しかし、追加部材として形成される容積ユニットがシステムの複雑さを増大するという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許公報第DE19604134A1号
【特許文献2】国際公開公報第WO2004/101308A1号
【特許文献3】ドイツ特許公報第DE102008054859A1号
【特許文献4】ドイツ特許公報第DE102010039816.0号
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、電気的回生ブレーキと、少なくとも2つのブレーキ回路に液圧作動可能な摩擦ブレーキを配置した第1制動圧発生装置を有する液圧ブレーキシステムとを備え、各ブレーキ回路は少なくとも1の圧力アキュムレータと電気的に制御可能な液圧弁とを有する、自動車のブレーキシステムを改善することにある。車両の総合的な減速は、全体的に摩擦ブレーキによる減速成分および電気的回生ブレーキの減速成分からなる。ドライバにとって快適なペダル感覚、および、可能な限りシステム複雑さの少ない効率的な回収(recuperation)の提供が求められている。
【0012】
本発明によると、上記目的は、請求項1に記載の方法、及び、請求項12に記載のブレーキシステムにより、達成される。
【0013】
したがって、自動車用ブレーキシステムを制御及び/又は調整する方法が提供され、この自動車は、少なくとも1の電気的回生ブレーキと、圧力媒体作動の、特に摩擦ブレーキを有する液圧ブレーキシステムとを備え、各車輪に割当てられたホイールブレーキは、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、で圧力媒体を押込み(charge)可能な少なくとも2つのブレーキ回路に配置され、各ブレーキ回路は少なくとも1の圧力アキュムレータと少なくとも2つの電気作動可能な液圧弁を備える。本発明によると、1または複数の電気的回生ブレーキで制動中、少なくとも1の液圧弁の好適な作動により、好適なポイントで(at a point in time)、圧力媒体が正確に所定の1つの圧力アキュムレータ内にのみ排出される。
【0014】
制動媒体を圧力アキュムレータ内に排出することの結果、ドライバがブレーキペダルを軽く作動したときに、実質的に純粋な電気的回生制動が行われ、この結果、効果的な回収、および、(摩擦制動過程の制動媒体に対応する「制動媒体削減(brake medium consumption)」の結果)、ドライバにとって快適なペダル感覚が確保される。制動媒体を正確に(precisely)1の圧力アキュムレータ内にのみ排出することで、この圧力アキュムレータが所定量の制動媒体で充填されることが確保されることで有益である。正確に1の圧力アキュムレータを予め定めておくことで、例えば、連続した制動過程で、2つのブレーキ回路の圧力アキュムレータ間で作動回数(number of actuations)を好適な態様で分散させることも可能で、この結果、ブレーキシステムの長期の使用寿命を得ることができる。
【0015】
特に、ホイールブレーキの入口弁および出口弁である、2つのブレーキ回路の液圧弁は、最初に、1のブレーキ回路の圧力アキュムレータ、続いて他のブレーキ回路の圧力アキュムレータが充填されるように、作動されることが有益である。したがって、弁の開放回数(opening times)を好適に選定することで、弁の複雑なアナログ制御を必要とすることなく、2つの圧力アキュムレータの規定された充填が達成される。この既知の制動媒体量は、「混合」すなわちジェネレータの制動減速による自動車の制動と、摩擦ブレーキによる自動車の制動との間の滑らかな移行のために、後で使用することができる。
【0016】
圧力アキュムレータの充填は、ブレーキ回路の1つのホイールブレーキのみの出口弁を介して行うことが好ましい。これは、出口弁の作動回数を減少し、ブレーキシステムの使用寿命を延長する。圧力アキュムレータの充填、特に、最初に充填される圧力アキュムレータの充填は、対応するブレーキ回路の前輪ホイールブレーキの出口弁を介して行うことが特に好ましい。
【0017】
少なくとも1のブレーキ回路の2つのホイールブレーキの一方に、所定の圧力媒体量を押込み、続いて、このホイールブレーキを、特に、入口弁を閉じることにより、第1制動圧発生装置と、特に、関連する圧力アキュムレータとから液圧的に分離することが有益である。ホイールブレーキが制動圧発生装置から分離されることにより、摩擦ブレーキによる減速が減少し、この結果、ジェネレータで発生する電気エネルギが最大となる。分離前に供給する制動媒体量を好適に選定することで、ホイールブレーキが制動圧発生装置に再度接続されたときの不快なフィードバックが防止される。
【0018】
ホイールブレーキのうちの1の圧力を制限するため、問題となるホイールブレーキの入口弁(無励磁時に開の弁)は、ホイールブレーキ内の制動媒体量が所定量に達した後で、ホイールブレーキに大きな圧力に達する前に、閉じることが有益である。この前充填過程は、ペダル感覚を快適な範囲に維持するために有益であり、これは、このようにすることで、無励磁時に開の弁を開いた後に移動される制動媒体量が制限されるからである。無励磁時に開の弁を閉じる結果、圧力アキュムレータが充填(特に、同じブレーキ回路の他のホイールブレーキの出口弁を介して)されることにより、対応するホイールブレーキ内の(更になる)圧力の形成が防止される。このようにして、車両のホイールブレーキの制動作用が減少し、したがって、エネルギ生産の効率が向上(上記ブレーキにおける摩擦損失の低下)する。
【0019】
ブレーキ作動ペダルの第1の所定の作動基準(measure)に達したときに、ホイールブレーキが液圧的に分離されることが有益である。第1の所定の作動基準は、特に、ペダル角度センサ及び/又は好適に配置されたスイッチで検出される。対応する信号は評価が簡単であり、したがって、ブレーキシステムの簡単な制御(control)が可能となり、有益である。
【0020】
最初に2つのホイールブレーキの一方の出口弁を介して、圧力アキュムレータの充填を開始し、ブレーキ作動の第1の所定の作動基準に達したときに、ブレーキ回路のホイールブレーキを液圧的に分離することが極めて好ましい。したがって、ブレーキライニングが空隙距離(air play)、すなわち、例えば、ディスクブレーキの静止状態でブレーキディスクとブレーキライニングとの間に存在する間隙を移動し、最初の低い(low)制動作用が開始したときにのみ、ホイールブレーキを分離(isolate)することができる。このようにして、分離が行われる前に供給される制動媒体量は、妨げとなる(hindered)制動媒体を圧力アキュムレータに排出することなく、ブレーキペダルに対する不快なフィードバックが防止されるように、選定することができる。
【0021】
ブレーキペダル作動の第2の所定の作動基準に達したときに、1の圧力アキュムレータの充填を終了し、他の圧力アキュムレータの充填を開始することが好適であり、ここに、第2の所定の基準は、特に、ペダル角度センサで検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキによる制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキの最大伝達制動トルク(maximum delivered braking torque)の一部に対応する。このような信号に基づく制動媒体の制御は、実現することが簡単である。これにより、例えばダイアゴナル配置のブレーキ回路の場合のように、ブレーキ回路の接続配置の機能にとして割当てられるように、2つの圧力アキュムレータに好適に充填することができ、双方の圧力アキュムレータが均等に充填される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ作動ペダルの第3の所定の作動基準に達したときに、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていたホイールブレーキが再度第1の制動圧発生装置に接続され、ここに、第3の所定の基準は、特にペダル角度センサで検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキで提供される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキの最大伝達制動トルクの一部に対応する。ドライバが要求する制動減速度が、ジェネレータで提供される最大減速度を超える場合は、これまで分離されていたホイールブレーキが第1の制動圧発生装置に再度接続され、これにより、減速度の不足分が摩擦制動で補償される。本発明の特に好ましい実施形態では、ドライバが要求する制動減速度がジェネレータで与えられる最大減速度を、所定の閾値、特に0.05g超えるときにのみ、これまで分離されていたホイールブレーキと第1の制動圧発生装置との接続が行われる。高い減速要求又は低速時に低下するジェネレータ減速により、分離されたホイールブレーキの入口弁の上記開放が、必要となる可能性がある。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1のブレーキ回路の所定位置で測定された圧力と、第2のブレーキ回路の所定位置で測定された圧力との間の差圧が所定の閾値を超えたときに、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていた保持ブレーキが再度第1の制動圧発生装置に接続される。2つのホイールブレーキ回路における過度に不均等な圧力分配は、制動挙動に不快な反動を生じさせる可能性があり、したがって防止される。
【0024】
特に、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される制動トルクがドライバの要求する制動トルクよりも小さい場合、第1制動圧発生装置は、特に、液圧弁の閉鎖によりホイールブレーキから液圧的に分離され、制動媒体は、第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、により、双方の圧力アキュムレータからホイールブレーキ内に送られる。上記の追加的制動圧の積極的な形成は、高減速度要求又は低速度で低下するジェネレータ減速のため、分離されたホイールブレーキの入口弁の開放に追加し、又は、代えて行うことができる。
【0025】
ブレーキ回路の液圧弁の作動は、特に、1の制動過程で、第1入口弁が閉じかつ第1出口弁が開き、一方、第2入口弁が開いたままでかつ第2出口弁が閉じたままで、その後の制動過程で、第2入口弁が閉じかつ第2出口弁が開き、一方、第1入口弁と出口弁とが作動されていない、交代形式(alternating fashion)で生じることが特に有益である。したがって、液圧弁の作動は、可能な限り均等に分配され、これは、ブレーキシステムの使用寿命を増大する。
【0026】
本発明は、同様に、少なくとも1の電気的回生ブレーキと、摩擦ブレーキを有する圧力媒体作動の特に液圧ブレーキシステムとを備える、自動車のブレーキシステムに関し、各車輪に割当てられたホイールブレーキは、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダにより圧力媒体を押込まれる少なくとも2つのブレーキ回路に配置され、各ブレーキ回路は、少なくとも1の圧力アキュムレータと電子的に駆動可能な液圧弁とを備え、このブレーキシステムは電子制御及び調整ユニット(electronic control and regulating unit)を有し、このユニットにより、1又はそれ以上の電気的回生ブレーキでの制動過程中に、少なくとも1の液圧弁が、好適な時点で、特に所定の圧力アキュムレータである正確な1つに圧力媒体が排出されるように、駆動される。
【0027】
ブレーキシステムは、少なくとも1の第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、有することが好適であり、この制動圧発生装置により、制動媒体を圧力アキュムレータから1又は複数のホイールブレーキに送出すことができる。
【0028】
各ブレーキ回路では、少なくとも1のホイールブレーキに圧力センサを取付けられていることが特に好ましい。
【0029】
電気制御又は調整ユニットが、請求項1から11のいずれか1の請求項に記載の方法を実行することが好ましい。
【0030】
圧力媒体は、例えばブレーキスリップの調整段階で圧力を形成するために使用される1又は複数の圧力アキュムレータ内に排出されることが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、第1ブレーキ回路は自動車の前車軸側に割当てられ、第2ブレーキ回路は後車軸側に割当てられる。
【0032】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1ブレーキ回路は前車軸の一方のホイールブレーキと後車軸の一方のホイールブレーキとに割当てられ、第2ブレーキ回路は前車軸の他方のホイールブレーキと後車軸の他方のホイールブレーキとに割当てられる。これは特に好ましい、ブレーキ回路のダイアゴナル配置であり、すなわち、1の前輪と対角状の反対側の後輪とがブレーキ回路で組み合わされる。
【0033】
圧力アキュムレータ内に排出される制動媒体の量は、ブレーキ回路の配置(distribution)に適応されることが好ましい。ダイアゴナル配置のブレーキ回路については、圧力アキュムレータのそれぞれが同じ量の制動媒体を受取ることが特に好ましい。前車軸側に設けられたブレーキ回路の圧力アキュムレータは、後車軸側に設けられたブレーキ回路の圧力アキュムレータよりも、より多くの制動媒体を蓄えることが特に好ましく、この場合は、特に、80:20の比となる。
【0034】
車両が所定の最小速度よりも遅いときは、制動は摩擦ブレーキによってのみ行うことが好ましい。例えば10km/hよりも遅いときは、ジェネレータによる減速度は極めて低くなる。
【0035】
要求された減速度が所定の閾値を超える場合には、摩擦ブレーキによってのみ制動することが有益である。このようにして、好ましくない制動力配分によるドライブ安定性に対するリスクが排除され、ブレーキスリップ制御装置の介入が容易となる。
【0036】
各ブレーキ回路に1の前輪ブレーキと反対側の後輪ブレーキとが設けられている場合には、1のアキュムレータ、特に最初に充填される圧力アキュムレータの充填が対応するブレーキ回路の前輪ブレーキの出口弁を介して好適に行うことができる。この場合、最初に充填するのではない圧力アキュムレータの属するブレーキ回路で、前輪ブレーキが所定の圧力媒体量を押込まれ、続いて、このホイールブレーキは、関連する入口弁を閉じることで第1制動圧発生装置から液圧的に分離されることが適切である。
【0037】
ブレーキペダルは、例えばペダル移動トランスデューサ又はペダル角度トランスデューサの形態のペダル作動センサを有することが好ましい。これに代え又は追加して、ブレーキシステムは、制動圧発生装置(例えばマスターシリンダ)に延びるブレーキ管路に配置された圧力センサを有することが好ましい。ブレーキペダルの作動及び/又は作動程度(degree)の測定は、ペダル作動センサ及び/又は圧力センサをベースとして行うことができる。ペダル作動センサ及び/又は圧力センサの信号は、ブレーキシステムの制御又は調整のために考慮することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、ペダル作動センサの信号の信頼性チェック(plausibility check)が、第1制動圧発生装置の位置の測定に基づいて行われ、この位置は特に誘導センサにより測定される。本発明の他の好ましい実施形態では、ドライバの要求に対する信頼性のある確認が、好適位置に装着された追加のスイッチで確保され、このスイッチは、ペダル又はタンデム型マスターシリンダのピストンに取付けられ、ブレーキペダルの所定位置で作動される。本発明の更に他の実施形態では、ペダル角度センサのデータの信頼性チェックは、第1制動圧発生装置の圧力及び/又は1の圧力アキュムレータ内の制動媒体の量が対応するペダル位置に対応した値を超えているかどうかによって行われる。
【0039】
1のホイールブレーキ内の圧力制限又は1のホイールブレーキの充填終了は、ペダル作動の測定値が第1の所定の閾値に達したときに行われる。
【0040】
摩擦制動中に生じる制動挙動に正確に対応してシュミレートするため、電気的回生ブレーキで形成される制動トルクが液圧による摩擦制動だけで形成されると仮定したときに、この摩擦制動による制動媒体に対応した圧力媒体量が正確に1又は複数の圧力アキュムレータに排出されることが有益である。
【0041】
液圧弁(無励磁時閉の弁)を介して可能な限り簡単な態様で圧力アキュムレータ内に圧力媒体を排出可能とするため、圧力アキュムレータは、ブレーキシステムの液圧システムとの関係で低圧アキュムレータとして形成することが好ましい。差圧により、圧力媒体を圧力アキュムレータ内に排出するためには、液圧弁を開くことだけが必要である。
【0042】
圧力アキュムレータのそれぞれは、出口側で第2制動圧発生装置(例えばモータ−ポンプ組立体)に接続されることが有益である。電気的回生ブレーキから摩擦ブレーキに制動トルクが再分配された場合に、このために必要な制動媒体の圧体積(pressure volume)が、圧力アキュムレータから第2制動圧発生装置により摩擦ブレーキの対応する液圧管路に送り出される。第1制動圧発生装置への影響は、この第1制動圧発生装置が液圧弁でホイールブレーキから分離されていることにより、好適に防止される。
【0043】
制動圧発生装置に意図する制動圧発生過程を実現可能とするために、第1制動圧発生装置は、補助力で又は補助力なしで作動するマスターブレーキシリンダ、特にタンデム型マスターシリンダであるのが好ましく、第2制動圧発生装置は、電気的に作動可能な液圧ポンプ、特にピストンポンプであるのが好ましい。
【0044】
ブレーキシステムは、例えばペダル作動センサ及び/又は圧力センサ及び/又はジェネレータトルクから入手可能な情報を評価し、それによって液圧弁、及び、好適な場合は第2制動圧発生装置を対応して、駆動する電子制御ユニットを備えることが好ましい。
【0045】
他の好ましい実施形態は、従属形式の請求項、及び、それぞれ図式的な図面に基づく例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、静止状態における本発明によるブレーキシステムを示す。
【図2】図2は、自動車の概略図を示す。
【図3】図3は、例示的な制動過程の時間に沿う概要を示す。
【図4】図4は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図5】図5は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図6】図6は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図7】図7は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図8】図8は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図9】図9は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図10】図10は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図11】図11は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図12】図12は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図13】図13は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、自動車用ブレーキシステム1の図式的な回路図を示し、このブレーキシステムは、本発明の方法を実施するために好適なものである。自動車のドライバは、ブレーキペダル6を介して減速要求を入力する。摩擦ブレーキ2により制動トルクを形成するため、ブレーキシステム1に、第1制動圧発生装置が設けられ、この制動圧発生装置は補助力付のタンデム型マスターブレーキシリンダ8として形成されている。ここでは、タンデム型マスターブレーキシリンダ8で与えられる制動圧は液圧管路10を介する制動媒体Bによりホイールブレーキ2に伝達される。例示的なブレーキシステムは2つのブレーキ回路I,IIを備え、いずれの場合も、自動車の2つのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bおよび2−II−a,2−II−bがブレーキ回路IおよびIIに組み合わされている。この例では、第1ブレーキ回路Iに、前車軸VAのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bが接続され、後車軸HAのホイールブレーキ2−II−a,2−II−bが第2ブレーキ回路IIに接続されている。本発明による方法は、ダイアゴナル形式の制動力配分及び/又は補助力なしのタンデム型マスターブレーキシリンダを有するブレーキシステムでも同じステップを実行することが可能である。
【0048】
図1の例示的な説明では、2つのブレーキ回路I,IIは液圧的にほぼ同じ構成であるため、以下では、第1ブレーキ回路Iの液圧部材についてのみ説明する。マスターブレーキシリンダ8から延びるブレーキ管路は、無励磁時に開の分離弁20−Iの下流で、2つのブレーキ管路に分岐し、これらのブレーキ管路は前車軸VAのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bに延び、それぞれ無励磁時すなわち電気的に起動されてないときに開である1の入口弁14−I−a,14−I−bを設けられている。各入口弁(無励磁時開の弁)14−I−a,14−I−bと対応するホイールブレーキ2−I−a,2−I−bとの間に、それぞれ1の戻り管路がブレーキ管路から延び、これらの戻り管路に無励磁時閉の出口弁16−I−a,16−I−bが配置されている。2つの戻り管路は共通のブレーキ管路部を介して圧力アキュムレータ12−Iに接続されている。ブレーキ管路Iは、電気駆動モータで駆動される高圧発生ポンプ(モータ−ポンプ組立体)22(第2制動圧発生装置)を有する。このポンプは、吸引側で圧力アキュムレータ12−Iに接続されている。出口側では、ポンプ22は分離弁20−Iと入口弁14−Iとの間でブレーキ管路に接続されている。圧力アキュムレータ12−Iとポンプ22との間で、他のブレーキ管路が無励磁時閉である電子切換弁18−Iを介して、マスターブレーキシリンダ8と分離弁20−Iとの間のブレーキ管路に延びる。
【0049】
ブレーキシステム1は、回生ブレーキシステムであり、液圧で駆動される摩擦ブレーキ2に加え、電気エネルギを発生するためのジェネレータとして作動可能な電気機械(electric machine)4を有する。ブレーキペダルの作動の程度は、ブレーキペダル6に配置された移動トランスデューサ24で検出される。しかし、原則的には、ドライバによるブレーキ作動に比例した信号を提供する他のセンサも使用可能である。更に、圧力センサ26が、タンデム型マスターシリンダ8に延びるブレーキ回路Iの液圧管路10に設けられており、この圧力センサは流入圧力を検出する。本発明の好ましい実施形態では、摩擦ブレーキ2の制動媒体圧力は、それぞれホイールブレーキ2−I−a,2−II−aの液圧管路に配置された圧力センサ28−I,28−IIで求めることができる。本発明の他の好ましい実施形態では、ホイールブレーキ内の圧力は、それ自体知られているモデルで推測される。
【0050】
ブレーキシステム1の制御及び/又は調整のため、このブレーキシステムは、電子制御可能な液圧弁14,16,18,20及びポンプ22を駆動する電子制御ユニット(electronic regulating unit)30を備える。ブレーキペダル6を介するドライバのブレーキ感覚を可能な限りの快適さを実現するため、ジェネレータ4の作動中、制動媒体Bを2つの圧力アキュムレータ12(低圧アキュムレータ)に排出することができる。圧力アキュムレータ12内の圧力媒体Bは、ポンプ22によりホイールブレーキ2内に送出すことができ、この結果、ホイールブレーキ内に追加の制動トルクが形成される。
【0051】
図2は、本発明による方法を実行するために好適なブレーキシステム1を有する自動車200を示す。例示による自動車は、内燃エンジン36と、1又は複数の車両バッテリ(図示しない)を充電するためにバッテリ充電用ジェネレータとして作用可能な1又は複数の電気駆動モータ4とを有するハイブリッド車両である。ここでは、電気駆動の制御用に、モータ制御ユニット34が設けられ、このモータ制御ユニットは液圧ブレーキシステムを制御する電子制御ユニット30に接続されている。図示の例では、電気的回生ブレーキ4が車両の後車軸HAに作用する。しかし、本発明による方法のためには、いずれの車輪40−a,40−b,40−c,40−dが摩擦ブレーキ2−a,2−b,2−c,2−dに加えて回生制動されるかは、原則的には関係のないことである。このことから、以下に説明する方法のステップは原則として独立である。
【0052】
ドライバの制動要求は、ブレーキ作動ユニット32により検出され、このブレーキ作動ユニットは、ブレーキペダル6と、特に、タンデム型マスターブレーキシリンダである第1制動圧発生装置8と、ペダル移動又はペダル角度センサ24とを備える。このブレーキ作動ユニットは、制動媒体(実線で示す)を導き、電気信号(点線で示す)を電子制御ユニット30に伝達する。車両は車輪速度センサ38−a,38−b,38−c,38−dを有し、これらの車輪速度センサは同様に電子制御ユニット30にその信号を伝達し、この結果、例えば、各ホイールブレーキ2−a,2−b,2−c,2−d内の制動圧のスリップ調整を実現することができる。
【0053】
電子制御ユニット30及びモータ制御ユニット34は、現在の車両速度、現在利用可能なジェネレータ減速度等の電気回生制動に必要な情報を交換する。ここで、制動中に、制動による減速をジェネレータにより行うべきとの要求も可能である。他の実施形態では、本発明による方法を実行するために好適な自動車は、電動の真空ポンプを有し、この真空ポンプは、補助力付のタンデム型マスターブレーキシリンダ8を作動させるために負圧制動力ブースタに真空圧を供給する。
【0054】
例示的制動過程のコースが図3に示されている。時間を横座標にプロットしてあり、縦座標は自動車の速度及び目下の制動減速度をそれぞれ示す。車両速度はライン310で示し、ジェネレータによる制動減速度はライン330で示し、摩擦制動による制動減速度はライン320で示してある。ライン340は結果である全体の減速度を示す。時間t1で開始し、時間t6で終了する制動過程で、車両は静止するまで制動される。ここで、車両の減速は、最初は電気的回生制動によってのみ行われる。このため、t1とt2との間では、摩擦ブレーキの圧力媒体が圧力アキュムレータに排出される。より詳細なステップを図4から8に基づいて以下に説明する。時間t2で、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていたホイールブレーキがタンデム型マスターシリンダに再度接続される。時間t3まで、ドライバはブレーキペダルをより強く押圧し、その後、ペダル位置を保持する。ここで、追加的に要求された減速が摩擦ブレーキにより行われ、一方、ジェネレータ制動減速は一定に維持される。時間t4で、ジェネレータ減速が減少する程度まで車両速度が低下する。したがって、t4とt5との間で、混合過程が行われ、追加の制動圧が形成され、電気的回生減速は連続的な態様で減少する(逆傾斜(ramp-out))。更に詳細な過程を、図9−13に基づいて以下に説明する。時間t6で、車両は静止に至る。
【0055】
図4−8は、圧力アキュムレータを充填するための例示的方法の実行中における液圧部材の駆動状態を示す。
【0056】
図1は、上述のようにブレーキシステム1の休止状態、すなわちドライバがブレーキペダル6を作動する前、液圧部材が電気的に駆動されてない状態を示す。2つのブレーキ回路I,IIの弁14,16,18,20は無励磁の基本位置にあり、2つのブレーキ回路I,IIの圧力アキュムレータ12は充填されておらず、ホイールブレーキ2は作動されていない。
【0057】
ドライバがブレーキペダル6を作動したときに、回生制動作用が開始し、1のホイールブレーキ2−Ia(のみ)の無励磁時閉の弁16−Iaが、図4に示すように開位置となるように作動される。したがって圧力媒体Bが、無励磁時閉の上記1の弁16−Iaを介して圧力アキュムレータ12−I内に排出され、対応するブレーキ回路Iの圧力アキュムレータ12−Iの充填が開始する。摩擦ブレーキの作動は、制動媒体の排出によってシュミレートされる。ブレーキペダル6は、運転状況に対応した快適なブレーキ感覚を生じさせるように、排出される圧力媒体量に応じて変位する(deflect)。
【0058】
ブレーキ回路Iの他のホイールブレーキ2−Ibは、無励磁時閉の対応する弁16−Ibが閉じたままであるため、充填される。例えば、ブレーキペダル6の所定の前充填移動(センサ24で測定される)又は圧力センサ26における所定の圧力の形態で、ブレーキペダル6の作動が所定の程度に達した場合に、ホイールブレーキ2−Ibの無励磁時開の弁14−Ibが閉じる。この結果、ホイールブレーキ2−Ib内の圧力が低レベルに制限される。したがって、ホイールブレーキ2−Ibが所定の(僅かな)前充填量(pre-filling volume)を充填され、例えば、ホイールブレーキ2−Ibのブレーキライニングがブレーキディスクに丁度又はかろうじて当接する。ブレーキペダル6を無励磁時閉の弁16−Iaを介して更に作動する間、ブレーキ回路Iの圧力アキュムレータ12−Iが再度充填される。ホイールブレーキ2−Iaは圧力アキュムレータ12−I内の圧力にしたがって作動される。この状態を図5に示す。
【0059】
ホイールブレーキ2−Ib内の制限された前充填量は、その車輪の制動作用を低に保持し、したがって、(エネルギ)回収効率を増大するが、しかし、例えばドライバによる更なる制動作用の際、又は、「混合(blending)の際、無励磁時に開の弁14−Ibが(後で)再度開いたときに(ホイールブレーキ2−Ibが全く充填されていないときの状態と対照的に)、ブレーキペダル6に対する抵抗効果(disturbing effect)を損なうことがない。
【0060】
ジェネレータによる制動トルクがジェネレータによる最大トルク(最大の利用可能な回生減速)に等しい場合は、無励磁時閉の弁16−Iaが閉じ、他のブレーキ回路IIの無励磁時に閉の弁の1つが、図6に弁16−II−aとして示すように、開く。この結果、圧力アキュムレータ12−Iの充填が終了し、更に制動作用が行われる場合は、図7に示すように、圧力アキュムレータ12−IIが充填される。後で、4つのホイールブレーキ2の全てで均一な混合(blending)が可能となり、ブレーキ回路IIの制動媒体量を制限する過程で、関連するホイールブレーキ2−IIの過度に強い制動を防止するように、双方の圧力アキュムレータ12−I及び12−IIを圧力媒体Bで適切に充填することが目的である。これは、特に、図示の例のように、前車軸/後車軸制動力配分が行われる場合に重要である。ここでは、後車軸HAの制動媒体量は、後車軸ホイールブレーキの過度の充填の結果、後車軸HAが過制動とならないように、制限される。前車軸及び後車軸の制動媒体量が一致すると、(前車軸及び後車軸ブレーキの通常の構成の相違(different configuration)により)後車軸側ブレーキの圧力上昇が、前車軸側ブレーキよりも大きくなる。
【0061】
ブレーキ回路IIの圧力アキュムレータ12−IIは、ジェネレータによる最大制動トルクがドライバの要求に対応し、又は、ジェネレータで形成可能な制動トルクを超え始めるまで、圧力媒体を充填される。無励磁時に閉の弁16−IIaは、図8に示すように再度閉じられる。ドライバによる「通常」制動作用(通常の液圧ブレーキシステムの意味で)がこれで可能となり、すなわち、更に圧力媒体Bが圧力アキュムレータ12内に排出されることはない。
【0062】
ドライバが要求する制動トルクが、ジェネレータで形成可能な制動トルクを更に超える場合、分離されたホイールブレーキ2−Ibの無励磁時開の弁16−Ibが図9に示すように、上記ホイールブレーキ2−Ibで増大した制動作用が得られるように開く。
【0063】
ジェネレータで形成可能な制動トルクが車両速度の機能として減少し(「逆傾斜(ramp-out)」とも称される)、この結果、ドライバの要求よりも少ない制動トルクが形成される場合、全体の制動作用を摩擦制動で補わなければならないように、実質的に車両の回生制動から回生制動と摩擦制動との組合せ、又は、純粋な摩擦制動への移行(混合)が必要となる。回生制動から摩擦制動への混合又は緩やかな転換(fading over)は、ドライバに混乱を生じさせないように、ブレーキペダルへのフィードバックを最小にしなければならない。
【0064】
原則として、対応するブレーキ回路における混合は、これまで分離されていたホイールブレーキの作動に代わるもの(alternative)として使用することもでき、ここでは、混合過程を実行するために、分離弁20−Iが閉じた後、無励磁時開の弁16−Ibが開かれる。
【0065】
図9−13は、例示的な混合方法の実行中における液圧部材の作動のそれぞれのステップを示す。
【0066】
例えば、弁が励磁されていない図9に示す状態から続いて、ブレーキペダルへのフィードバックを防止するために、図10に示すように分離弁20−I,20−IIが閉じられる。そして、所要の全制動トルクを得るために、圧力媒体Bが圧力アキュムレータ12−I,12−IIからホイールブレーキ2(図11)に送られるように、モータ−ポンプ組立体22が作動される。このように、過度に低下又は落ち込んだジェネレータの制動トルクが、摩擦ブレーキで補われる。
【0067】
ドライバがブレーキペダル6を解放し、要求される制動トルクがそのときの全制動トルクよりも低下すると、混合が終了し、すなわち、ポンプの作動が停止する。更にブレーキ作動が低下すると、図12に示すように分離弁20−I,20−IIが開かれる。
【0068】
この方法の終了時に圧力アキュムレータ12を完全に空にするため、電子切換弁18−I,18−IIが特にそれぞれ短時間、複数回開かれる。
【0069】
ドライバによる制動過程が混合過程を必要とすることなく終了する場合は、出口弁を開くことにより、圧力アキュムレータが空にされる。その後、電子切換弁の複数回にわたる短時間作動により、完全に空であることが確保される。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態では、ブレーキシステムはブレーキペダルの作動を確認するための第2センサ部材を備え、この第2センサ部材はブレーキペダル移動センサ又は角度センサ24から独立している。ブレーキペダルの作動が所定の値に達すると、上記第2センサ部材が作動され、特に、圧力アキュムレータの充填過程(例えば、1又は複数の無励磁時閉の弁16を閉じることにより)を終了することが有益である。このようにして、例えば、センサ24の機械的な損傷により、ブレーキペダル移動センサ24の信号が誤っている場合、ドライバの制動要求の正確な識別が確保される。
【0071】
第2センサ部材の作動閾値は、ジェネレータが全く又はほとんど制動作用に寄与しない制動の程度(ブレーキ作動の程度)に設定すべきである。第2センサ部材は、別個に装着され、自身のエネルギ供給源を有するべきである。センサ部材は、マスターシリンダのスラストロッド回路、または、ブレーキペダルに配置することができる(上述のようにオフセットスイッチングポイントであっても、ブレーキライトスイッチ部材と同様に)。図4から13に示す例示的なブレーキシステムでは、第2センサ部材は0.15g(g:は重力加速度)スイッチング部材として形成され、これはブレーキペダル6に配置される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の方法及び請求項12に記載のブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置及びブレーキシステムが、1又は複数の電気機械(electric machine)を有する自動車がより重要になってきている。この場合、自動車のバッテリが適正量の電気エネルギを蓄えているときに、この電気機械を駆動装置としてしばしば使用することもできる。例えば、電気駆動の範囲に関しては、自動車の1又は複数のバッテリを、自動車が停止しているときだけでなく、自動車の作動中にも充電することが望ましい。電気機械がジェネレータとして作動している場合は、電気駆動装置に接続された車軸又はこの車軸に取付けられた車輪の運動エネルギ又は回転エネルギを変換することにより、自動車の制動中に電気エネルギを発生させ、バッテリに蓄えることができる。
【0003】
回収(recuperation)の結果として形成される制動トルク、すなわちジェネレータによる電気エネルギの生成(回復)は、自動車の速度およびバッテリの充電状態に依存する。あらゆる状況で適正な制動減速を実現するため、例えば、電気駆動装置と燃焼式エンジンとを組合わせたハイブリッド自動車のブレーキシステムは、電気回生ブレーキ(すなわちジェネレータ)に加え、追加の制動手段を有する。この追加の制動手段は、法律で規定されるように、従来、2つのブレーキ回路で実現されており、例えば、電気機械、液圧及び/又は電気液圧摩擦ブレーキを備えている。
【0004】
特に、システムのコストがより低く、システムの複雑さが抑制される点で望ましい液圧摩擦ブレーキとジェネレータとの相互作用は、幾つかの技術的課題を提示しており、効率的な回収のために、それぞれの駆動状況におけるジェネレータの最大可能制動トルクを利用すべきである。更に、ジェネレータの制動減速による自動車の制動と、摩擦制動による自動車の制動との間の移行は、制動減速に急激な変化を生じさせ、又は、好ましくない制動力配分を生じさせることなく、可能にすべきである。更に、ドライバが自身による制動作用と判別するのが困難となるように、ブレーキペダルから、ジェネレータによる電気的回生制動の分離で、ドライバに対して異常なペダル感覚を生じさせる状況を防止すべきである。
【0005】
ドイツ特許公報第DE19604134A1号は、ドライバの制動要求の第1範囲で、制動トルクが回生制動でほぼ独占的に与えられ、液圧作動可能な摩擦制動は実質的に制動トルクを負担しない、電気駆動装置を備えた車両のブレーキシステムを制御するための方法及び装置を提案する。これは、制動要求の上述の範囲において、ドライバがブレーキペダルを作動したときにホイールブレーキ内に流れ込む圧力媒体が、対応する制御を介して、アキュムレータチャンバ内に再循環することで実現される。
【0006】
国際公開公報第WO2004/101308A1号は、ブレーキシステム、および、特に、ジェネレータである電気的回生ブレーキと、制動媒体により少なくとも1の制動圧発生装置で駆動される複数の液圧摩擦ブレーキとを有する自動車のブレーキシステムを制御(regulate)するための方法を開示しており、この自動車の全体的な減速は、摩擦ブレーキ及び電気回生ブレーキからなっている。可能な限り最大の制動快適性および受入可能なブレーキ感覚を得るため、電気的回生制動による制動中、制動媒体は低圧アキュムレータに排出される。ここでは、液圧弁が正確に定められた部分的開放状態に保持される、複雑な制御が行われる。
【0007】
ドイツ特許公報第DE102008054859A1は、自動車の制動のためにジェネレータとして作動可能な電気駆動モータを有する自動車の液圧式車両ブレーキシステムのブレーキ作動を制御するための方法を開示しており、この車両ブレーキシステムは、筋力で作動可能で、ホイールブレーキに接続されるマスターブレーキシリンダを有する。ブレーキ作動中に電気駆動モータがジェネレータとして作動されると、弁の開放により、ある程度の制動流体量が液圧アキュムレータ内に導かれ、これにより、ホイールブレーキ内のホイールブレーキ圧が減少する。制動力ブースタの倍力度(boost factor)は、電気駆動モータのジェネレータ作動による制動中、減少するのが好ましい。
【0008】
上述のブレーキシステムの不都合な点は、2つの圧力アキュムレータ内の摩擦損失の相違(この結果、圧力が異なる場合にピストン移動が発生する)、及び/又は、タンデム型マスターシリンダのスラストロッド回路とフローティング回路内の摩擦損失の相違により、2つのブレーキ回路の一方の圧力アキュムレータにのみ、充填される状況が生じる。これは、実質的に電気回生制動から、ジェネレータ及び摩擦制動の複合制動又は純粋な摩擦制動への不快な移行(混合(blending))を生じさせる可能性がある。
【0009】
ドイツ特許公報第DE102010039816.0は、自動車のブレーキシステムの作動方法について開示しており、このブレーキシステムは、電気ジェネレータと第1,第2液圧ブレーキ回路とを備え、この液圧ブレーキ回路はそれぞれ第1,第2液圧サービスブレーキと、タンデム型マスターシリンダと、制動流体用のリザーバと、ブレーキペダルとを有する。ドライバがブレーキペダルを作動すると、ジェネレータの利用可能な制動力が定まり、これから、これと同じ制動力による自動車の液圧制動に対応する等価な制動流体量が計算され、第2ブレーキ回路からこの等価な制動流体量が第2ブレーキ回路に接続された容積ユニットに導かれる。これは、ドライバに対して快適なペダル感覚を確保するものであるが、しかし、追加部材として形成される容積ユニットがシステムの複雑さを増大するという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許公報第DE19604134A1号
【特許文献2】国際公開公報第WO2004/101308A1号
【特許文献3】ドイツ特許公報第DE102008054859A1号
【特許文献4】ドイツ特許公報第DE102010039816.0号
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、電気的回生ブレーキと、少なくとも2つのブレーキ回路に液圧作動可能な摩擦ブレーキを配置した第1制動圧発生装置を有する液圧ブレーキシステムとを備え、各ブレーキ回路は少なくとも1の圧力アキュムレータと電気的に制御可能な液圧弁とを有する、自動車のブレーキシステムを改善することにある。車両の総合的な減速は、全体的に摩擦ブレーキによる減速成分および電気的回生ブレーキの減速成分からなる。ドライバにとって快適なペダル感覚、および、可能な限りシステム複雑さの少ない効率的な回収(recuperation)の提供が求められている。
【0012】
本発明によると、上記目的は、請求項1に記載の方法、及び、請求項12に記載のブレーキシステムにより、達成される。
【0013】
したがって、自動車用ブレーキシステムを制御及び/又は調整する方法が提供され、この自動車は、少なくとも1の電気的回生ブレーキと、圧力媒体作動の、特に摩擦ブレーキを有する液圧ブレーキシステムとを備え、各車輪に割当てられたホイールブレーキは、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、で圧力媒体を押込み(charge)可能な少なくとも2つのブレーキ回路に配置され、各ブレーキ回路は少なくとも1の圧力アキュムレータと少なくとも2つの電気作動可能な液圧弁を備える。本発明によると、1または複数の電気的回生ブレーキで制動中、少なくとも1の液圧弁の好適な作動により、好適なポイントで(at a point in time)、圧力媒体が正確に所定の1つの圧力アキュムレータ内にのみ排出される。
【0014】
制動媒体を圧力アキュムレータ内に排出することの結果、ドライバがブレーキペダルを軽く作動したときに、実質的に純粋な電気的回生制動が行われ、この結果、効果的な回収、および、(摩擦制動過程の制動媒体に対応する「制動媒体削減(brake medium consumption)」の結果)、ドライバにとって快適なペダル感覚が確保される。制動媒体を正確に(precisely)1の圧力アキュムレータ内にのみ排出することで、この圧力アキュムレータが所定量の制動媒体で充填されることが確保されることで有益である。正確に1の圧力アキュムレータを予め定めておくことで、例えば、連続した制動過程で、2つのブレーキ回路の圧力アキュムレータ間で作動回数(number of actuations)を好適な態様で分散させることも可能で、この結果、ブレーキシステムの長期の使用寿命を得ることができる。
【0015】
特に、ホイールブレーキの入口弁および出口弁である、2つのブレーキ回路の液圧弁は、最初に、1のブレーキ回路の圧力アキュムレータ、続いて他のブレーキ回路の圧力アキュムレータが充填されるように、作動されることが有益である。したがって、弁の開放回数(opening times)を好適に選定することで、弁の複雑なアナログ制御を必要とすることなく、2つの圧力アキュムレータの規定された充填が達成される。この既知の制動媒体量は、「混合」すなわちジェネレータの制動減速による自動車の制動と、摩擦ブレーキによる自動車の制動との間の滑らかな移行のために、後で使用することができる。
【0016】
圧力アキュムレータの充填は、ブレーキ回路の1つのホイールブレーキのみの出口弁を介して行うことが好ましい。これは、出口弁の作動回数を減少し、ブレーキシステムの使用寿命を延長する。圧力アキュムレータの充填、特に、最初に充填される圧力アキュムレータの充填は、対応するブレーキ回路の前輪ホイールブレーキの出口弁を介して行うことが特に好ましい。
【0017】
少なくとも1のブレーキ回路の2つのホイールブレーキの一方に、所定の圧力媒体量を押込み、続いて、このホイールブレーキを、特に、入口弁を閉じることにより、第1制動圧発生装置と、特に、関連する圧力アキュムレータとから液圧的に分離することが有益である。ホイールブレーキが制動圧発生装置から分離されることにより、摩擦ブレーキによる減速が減少し、この結果、ジェネレータで発生する電気エネルギが最大となる。分離前に供給する制動媒体量を好適に選定することで、ホイールブレーキが制動圧発生装置に再度接続されたときの不快なフィードバックが防止される。
【0018】
ホイールブレーキのうちの1の圧力を制限するため、問題となるホイールブレーキの入口弁(無励磁時に開の弁)は、ホイールブレーキ内の制動媒体量が所定量に達した後で、ホイールブレーキに大きな圧力に達する前に、閉じることが有益である。この前充填過程は、ペダル感覚を快適な範囲に維持するために有益であり、これは、このようにすることで、無励磁時に開の弁を開いた後に移動される制動媒体量が制限されるからである。無励磁時に開の弁を閉じる結果、圧力アキュムレータが充填(特に、同じブレーキ回路の他のホイールブレーキの出口弁を介して)されることにより、対応するホイールブレーキ内の(更になる)圧力の形成が防止される。このようにして、車両のホイールブレーキの制動作用が減少し、したがって、エネルギ生産の効率が向上(上記ブレーキにおける摩擦損失の低下)する。
【0019】
ブレーキ作動ペダルの第1の所定の作動基準(measure)に達したときに、ホイールブレーキが液圧的に分離されることが有益である。第1の所定の作動基準は、特に、ペダル角度センサ及び/又は好適に配置されたスイッチで検出される。対応する信号は評価が簡単であり、したがって、ブレーキシステムの簡単な制御(control)が可能となり、有益である。
【0020】
最初に2つのホイールブレーキの一方の出口弁を介して、圧力アキュムレータの充填を開始し、ブレーキ作動の第1の所定の作動基準に達したときに、ブレーキ回路のホイールブレーキを液圧的に分離することが極めて好ましい。したがって、ブレーキライニングが空隙距離(air play)、すなわち、例えば、ディスクブレーキの静止状態でブレーキディスクとブレーキライニングとの間に存在する間隙を移動し、最初の低い(low)制動作用が開始したときにのみ、ホイールブレーキを分離(isolate)することができる。このようにして、分離が行われる前に供給される制動媒体量は、妨げとなる(hindered)制動媒体を圧力アキュムレータに排出することなく、ブレーキペダルに対する不快なフィードバックが防止されるように、選定することができる。
【0021】
ブレーキペダル作動の第2の所定の作動基準に達したときに、1の圧力アキュムレータの充填を終了し、他の圧力アキュムレータの充填を開始することが好適であり、ここに、第2の所定の基準は、特に、ペダル角度センサで検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキによる制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキの最大伝達制動トルク(maximum delivered braking torque)の一部に対応する。このような信号に基づく制動媒体の制御は、実現することが簡単である。これにより、例えばダイアゴナル配置のブレーキ回路の場合のように、ブレーキ回路の接続配置の機能にとして割当てられるように、2つの圧力アキュムレータに好適に充填することができ、双方の圧力アキュムレータが均等に充填される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ作動ペダルの第3の所定の作動基準に達したときに、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていたホイールブレーキが再度第1の制動圧発生装置に接続され、ここに、第3の所定の基準は、特にペダル角度センサで検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキで提供される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキの最大伝達制動トルクの一部に対応する。ドライバが要求する制動減速度が、ジェネレータで提供される最大減速度を超える場合は、これまで分離されていたホイールブレーキが第1の制動圧発生装置に再度接続され、これにより、減速度の不足分が摩擦制動で補償される。本発明の特に好ましい実施形態では、ドライバが要求する制動減速度がジェネレータで与えられる最大減速度を、所定の閾値、特に0.05g超えるときにのみ、これまで分離されていたホイールブレーキと第1の制動圧発生装置との接続が行われる。高い減速要求又は低速時に低下するジェネレータ減速により、分離されたホイールブレーキの入口弁の上記開放が、必要となる可能性がある。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1のブレーキ回路の所定位置で測定された圧力と、第2のブレーキ回路の所定位置で測定された圧力との間の差圧が所定の閾値を超えたときに、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていた保持ブレーキが再度第1の制動圧発生装置に接続される。2つのホイールブレーキ回路における過度に不均等な圧力分配は、制動挙動に不快な反動を生じさせる可能性があり、したがって防止される。
【0024】
特に、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される制動トルクがドライバの要求する制動トルクよりも小さい場合、第1制動圧発生装置は、特に、液圧弁の閉鎖によりホイールブレーキから液圧的に分離され、制動媒体は、第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、により、双方の圧力アキュムレータからホイールブレーキ内に送られる。上記の追加的制動圧の積極的な形成は、高減速度要求又は低速度で低下するジェネレータ減速のため、分離されたホイールブレーキの入口弁の開放に追加し、又は、代えて行うことができる。
【0025】
ブレーキ回路の液圧弁の作動は、特に、1の制動過程で、第1入口弁が閉じかつ第1出口弁が開き、一方、第2入口弁が開いたままでかつ第2出口弁が閉じたままで、その後の制動過程で、第2入口弁が閉じかつ第2出口弁が開き、一方、第1入口弁と出口弁とが作動されていない、交代形式(alternating fashion)で生じることが特に有益である。したがって、液圧弁の作動は、可能な限り均等に分配され、これは、ブレーキシステムの使用寿命を増大する。
【0026】
本発明は、同様に、少なくとも1の電気的回生ブレーキと、摩擦ブレーキを有する圧力媒体作動の特に液圧ブレーキシステムとを備える、自動車のブレーキシステムに関し、各車輪に割当てられたホイールブレーキは、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダにより圧力媒体を押込まれる少なくとも2つのブレーキ回路に配置され、各ブレーキ回路は、少なくとも1の圧力アキュムレータと電子的に駆動可能な液圧弁とを備え、このブレーキシステムは電子制御及び調整ユニット(electronic control and regulating unit)を有し、このユニットにより、1又はそれ以上の電気的回生ブレーキでの制動過程中に、少なくとも1の液圧弁が、好適な時点で、特に所定の圧力アキュムレータである正確な1つに圧力媒体が排出されるように、駆動される。
【0027】
ブレーキシステムは、少なくとも1の第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、有することが好適であり、この制動圧発生装置により、制動媒体を圧力アキュムレータから1又は複数のホイールブレーキに送出すことができる。
【0028】
各ブレーキ回路では、少なくとも1のホイールブレーキに圧力センサを取付けられていることが特に好ましい。
【0029】
電気制御又は調整ユニットが、請求項1から11のいずれか1の請求項に記載の方法を実行することが好ましい。
【0030】
圧力媒体は、例えばブレーキスリップの調整段階で圧力を形成するために使用される1又は複数の圧力アキュムレータ内に排出されることが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、第1ブレーキ回路は自動車の前車軸側に割当てられ、第2ブレーキ回路は後車軸側に割当てられる。
【0032】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1ブレーキ回路は前車軸の一方のホイールブレーキと後車軸の一方のホイールブレーキとに割当てられ、第2ブレーキ回路は前車軸の他方のホイールブレーキと後車軸の他方のホイールブレーキとに割当てられる。これは特に好ましい、ブレーキ回路のダイアゴナル配置であり、すなわち、1の前輪と対角状の反対側の後輪とがブレーキ回路で組み合わされる。
【0033】
圧力アキュムレータ内に排出される制動媒体の量は、ブレーキ回路の配置(distribution)に適応されることが好ましい。ダイアゴナル配置のブレーキ回路については、圧力アキュムレータのそれぞれが同じ量の制動媒体を受取ることが特に好ましい。前車軸側に設けられたブレーキ回路の圧力アキュムレータは、後車軸側に設けられたブレーキ回路の圧力アキュムレータよりも、より多くの制動媒体を蓄えることが特に好ましく、この場合は、特に、80:20の比となる。
【0034】
車両が所定の最小速度よりも遅いときは、制動は摩擦ブレーキによってのみ行うことが好ましい。例えば10km/hよりも遅いときは、ジェネレータによる減速度は極めて低くなる。
【0035】
要求された減速度が所定の閾値を超える場合には、摩擦ブレーキによってのみ制動することが有益である。このようにして、好ましくない制動力配分によるドライブ安定性に対するリスクが排除され、ブレーキスリップ制御装置の介入が容易となる。
【0036】
各ブレーキ回路に1の前輪ブレーキと反対側の後輪ブレーキとが設けられている場合には、1のアキュムレータ、特に最初に充填される圧力アキュムレータの充填が対応するブレーキ回路の前輪ブレーキの出口弁を介して好適に行うことができる。この場合、最初に充填するのではない圧力アキュムレータの属するブレーキ回路で、前輪ブレーキが所定の圧力媒体量を押込まれ、続いて、このホイールブレーキは、関連する入口弁を閉じることで第1制動圧発生装置から液圧的に分離されることが適切である。
【0037】
ブレーキペダルは、例えばペダル移動トランスデューサ又はペダル角度トランスデューサの形態のペダル作動センサを有することが好ましい。これに代え又は追加して、ブレーキシステムは、制動圧発生装置(例えばマスターシリンダ)に延びるブレーキ管路に配置された圧力センサを有することが好ましい。ブレーキペダルの作動及び/又は作動程度(degree)の測定は、ペダル作動センサ及び/又は圧力センサをベースとして行うことができる。ペダル作動センサ及び/又は圧力センサの信号は、ブレーキシステムの制御又は調整のために考慮することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、ペダル作動センサの信号の信頼性チェック(plausibility check)が、第1制動圧発生装置の位置の測定に基づいて行われ、この位置は特に誘導センサにより測定される。本発明の他の好ましい実施形態では、ドライバの要求に対する信頼性のある確認が、好適位置に装着された追加のスイッチで確保され、このスイッチは、ペダル又はタンデム型マスターシリンダのピストンに取付けられ、ブレーキペダルの所定位置で作動される。本発明の更に他の実施形態では、ペダル角度センサのデータの信頼性チェックは、第1制動圧発生装置の圧力及び/又は1の圧力アキュムレータ内の制動媒体の量が対応するペダル位置に対応した値を超えているかどうかによって行われる。
【0039】
1のホイールブレーキ内の圧力制限又は1のホイールブレーキの充填終了は、ペダル作動の測定値が第1の所定の閾値に達したときに行われる。
【0040】
摩擦制動中に生じる制動挙動に正確に対応してシュミレートするため、電気的回生ブレーキで形成される制動トルクが液圧による摩擦制動だけで形成されると仮定したときに、この摩擦制動による制動媒体に対応した圧力媒体量が正確に1又は複数の圧力アキュムレータに排出されることが有益である。
【0041】
液圧弁(無励磁時閉の弁)を介して可能な限り簡単な態様で圧力アキュムレータ内に圧力媒体を排出可能とするため、圧力アキュムレータは、ブレーキシステムの液圧システムとの関係で低圧アキュムレータとして形成することが好ましい。差圧により、圧力媒体を圧力アキュムレータ内に排出するためには、液圧弁を開くことだけが必要である。
【0042】
圧力アキュムレータのそれぞれは、出口側で第2制動圧発生装置(例えばモータ−ポンプ組立体)に接続されることが有益である。電気的回生ブレーキから摩擦ブレーキに制動トルクが再分配された場合に、このために必要な制動媒体の圧体積(pressure volume)が、圧力アキュムレータから第2制動圧発生装置により摩擦ブレーキの対応する液圧管路に送り出される。第1制動圧発生装置への影響は、この第1制動圧発生装置が液圧弁でホイールブレーキから分離されていることにより、好適に防止される。
【0043】
制動圧発生装置に意図する制動圧発生過程を実現可能とするために、第1制動圧発生装置は、補助力で又は補助力なしで作動するマスターブレーキシリンダ、特にタンデム型マスターシリンダであるのが好ましく、第2制動圧発生装置は、電気的に作動可能な液圧ポンプ、特にピストンポンプであるのが好ましい。
【0044】
ブレーキシステムは、例えばペダル作動センサ及び/又は圧力センサ及び/又はジェネレータトルクから入手可能な情報を評価し、それによって液圧弁、及び、好適な場合は第2制動圧発生装置を対応して、駆動する電子制御ユニットを備えることが好ましい。
【0045】
他の好ましい実施形態は、従属形式の請求項、及び、それぞれ図式的な図面に基づく例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、静止状態における本発明によるブレーキシステムを示す。
【図2】図2は、自動車の概略図を示す。
【図3】図3は、例示的な制動過程の時間に沿う概要を示す。
【図4】図4は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図5】図5は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図6】図6は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図7】図7は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図8】図8は、例示的な方法の方法ステップを示す。
【図9】図9は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図10】図10は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図11】図11は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図12】図12は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【図13】図13は、例示的な方法の他の方法ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、自動車用ブレーキシステム1の図式的な回路図を示し、このブレーキシステムは、本発明の方法を実施するために好適なものである。自動車のドライバは、ブレーキペダル6を介して減速要求を入力する。摩擦ブレーキ2により制動トルクを形成するため、ブレーキシステム1に、第1制動圧発生装置が設けられ、この制動圧発生装置は補助力付のタンデム型マスターブレーキシリンダ8として形成されている。ここでは、タンデム型マスターブレーキシリンダ8で与えられる制動圧は液圧管路10を介する制動媒体Bによりホイールブレーキ2に伝達される。例示的なブレーキシステムは2つのブレーキ回路I,IIを備え、いずれの場合も、自動車の2つのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bおよび2−II−a,2−II−bがブレーキ回路IおよびIIに組み合わされている。この例では、第1ブレーキ回路Iに、前車軸VAのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bが接続され、後車軸HAのホイールブレーキ2−II−a,2−II−bが第2ブレーキ回路IIに接続されている。本発明による方法は、ダイアゴナル形式の制動力配分及び/又は補助力なしのタンデム型マスターブレーキシリンダを有するブレーキシステムでも同じステップを実行することが可能である。
【0048】
図1の例示的な説明では、2つのブレーキ回路I,IIは液圧的にほぼ同じ構成であるため、以下では、第1ブレーキ回路Iの液圧部材についてのみ説明する。マスターブレーキシリンダ8から延びるブレーキ管路は、無励磁時に開の分離弁20−Iの下流で、2つのブレーキ管路に分岐し、これらのブレーキ管路は前車軸VAのホイールブレーキ2−I−a,2−I−bに延び、それぞれ無励磁時すなわち電気的に起動されてないときに開である1の入口弁14−I−a,14−I−bを設けられている。各入口弁(無励磁時開の弁)14−I−a,14−I−bと対応するホイールブレーキ2−I−a,2−I−bとの間に、それぞれ1の戻り管路がブレーキ管路から延び、これらの戻り管路に無励磁時閉の出口弁16−I−a,16−I−bが配置されている。2つの戻り管路は共通のブレーキ管路部を介して圧力アキュムレータ12−Iに接続されている。ブレーキ管路Iは、電気駆動モータで駆動される高圧発生ポンプ(モータ−ポンプ組立体)22(第2制動圧発生装置)を有する。このポンプは、吸引側で圧力アキュムレータ12−Iに接続されている。出口側では、ポンプ22は分離弁20−Iと入口弁14−Iとの間でブレーキ管路に接続されている。圧力アキュムレータ12−Iとポンプ22との間で、他のブレーキ管路が無励磁時閉である電子切換弁18−Iを介して、マスターブレーキシリンダ8と分離弁20−Iとの間のブレーキ管路に延びる。
【0049】
ブレーキシステム1は、回生ブレーキシステムであり、液圧で駆動される摩擦ブレーキ2に加え、電気エネルギを発生するためのジェネレータとして作動可能な電気機械(electric machine)4を有する。ブレーキペダルの作動の程度は、ブレーキペダル6に配置された移動トランスデューサ24で検出される。しかし、原則的には、ドライバによるブレーキ作動に比例した信号を提供する他のセンサも使用可能である。更に、圧力センサ26が、タンデム型マスターシリンダ8に延びるブレーキ回路Iの液圧管路10に設けられており、この圧力センサは流入圧力を検出する。本発明の好ましい実施形態では、摩擦ブレーキ2の制動媒体圧力は、それぞれホイールブレーキ2−I−a,2−II−aの液圧管路に配置された圧力センサ28−I,28−IIで求めることができる。本発明の他の好ましい実施形態では、ホイールブレーキ内の圧力は、それ自体知られているモデルで推測される。
【0050】
ブレーキシステム1の制御及び/又は調整のため、このブレーキシステムは、電子制御可能な液圧弁14,16,18,20及びポンプ22を駆動する電子制御ユニット(electronic regulating unit)30を備える。ブレーキペダル6を介するドライバのブレーキ感覚を可能な限りの快適さを実現するため、ジェネレータ4の作動中、制動媒体Bを2つの圧力アキュムレータ12(低圧アキュムレータ)に排出することができる。圧力アキュムレータ12内の圧力媒体Bは、ポンプ22によりホイールブレーキ2内に送出すことができ、この結果、ホイールブレーキ内に追加の制動トルクが形成される。
【0051】
図2は、本発明による方法を実行するために好適なブレーキシステム1を有する自動車200を示す。例示による自動車は、内燃エンジン36と、1又は複数の車両バッテリ(図示しない)を充電するためにバッテリ充電用ジェネレータとして作用可能な1又は複数の電気駆動モータ4とを有するハイブリッド車両である。ここでは、電気駆動の制御用に、モータ制御ユニット34が設けられ、このモータ制御ユニットは液圧ブレーキシステムを制御する電子制御ユニット30に接続されている。図示の例では、電気的回生ブレーキ4が車両の後車軸HAに作用する。しかし、本発明による方法のためには、いずれの車輪40−a,40−b,40−c,40−dが摩擦ブレーキ2−a,2−b,2−c,2−dに加えて回生制動されるかは、原則的には関係のないことである。このことから、以下に説明する方法のステップは原則として独立である。
【0052】
ドライバの制動要求は、ブレーキ作動ユニット32により検出され、このブレーキ作動ユニットは、ブレーキペダル6と、特に、タンデム型マスターブレーキシリンダである第1制動圧発生装置8と、ペダル移動又はペダル角度センサ24とを備える。このブレーキ作動ユニットは、制動媒体(実線で示す)を導き、電気信号(点線で示す)を電子制御ユニット30に伝達する。車両は車輪速度センサ38−a,38−b,38−c,38−dを有し、これらの車輪速度センサは同様に電子制御ユニット30にその信号を伝達し、この結果、例えば、各ホイールブレーキ2−a,2−b,2−c,2−d内の制動圧のスリップ調整を実現することができる。
【0053】
電子制御ユニット30及びモータ制御ユニット34は、現在の車両速度、現在利用可能なジェネレータ減速度等の電気回生制動に必要な情報を交換する。ここで、制動中に、制動による減速をジェネレータにより行うべきとの要求も可能である。他の実施形態では、本発明による方法を実行するために好適な自動車は、電動の真空ポンプを有し、この真空ポンプは、補助力付のタンデム型マスターブレーキシリンダ8を作動させるために負圧制動力ブースタに真空圧を供給する。
【0054】
例示的制動過程のコースが図3に示されている。時間を横座標にプロットしてあり、縦座標は自動車の速度及び目下の制動減速度をそれぞれ示す。車両速度はライン310で示し、ジェネレータによる制動減速度はライン330で示し、摩擦制動による制動減速度はライン320で示してある。ライン340は結果である全体の減速度を示す。時間t1で開始し、時間t6で終了する制動過程で、車両は静止するまで制動される。ここで、車両の減速は、最初は電気的回生制動によってのみ行われる。このため、t1とt2との間では、摩擦ブレーキの圧力媒体が圧力アキュムレータに排出される。より詳細なステップを図4から8に基づいて以下に説明する。時間t2で、圧力アキュムレータの充填が終了し、これまで分離されていたホイールブレーキがタンデム型マスターシリンダに再度接続される。時間t3まで、ドライバはブレーキペダルをより強く押圧し、その後、ペダル位置を保持する。ここで、追加的に要求された減速が摩擦ブレーキにより行われ、一方、ジェネレータ制動減速は一定に維持される。時間t4で、ジェネレータ減速が減少する程度まで車両速度が低下する。したがって、t4とt5との間で、混合過程が行われ、追加の制動圧が形成され、電気的回生減速は連続的な態様で減少する(逆傾斜(ramp-out))。更に詳細な過程を、図9−13に基づいて以下に説明する。時間t6で、車両は静止に至る。
【0055】
図4−8は、圧力アキュムレータを充填するための例示的方法の実行中における液圧部材の駆動状態を示す。
【0056】
図1は、上述のようにブレーキシステム1の休止状態、すなわちドライバがブレーキペダル6を作動する前、液圧部材が電気的に駆動されてない状態を示す。2つのブレーキ回路I,IIの弁14,16,18,20は無励磁の基本位置にあり、2つのブレーキ回路I,IIの圧力アキュムレータ12は充填されておらず、ホイールブレーキ2は作動されていない。
【0057】
ドライバがブレーキペダル6を作動したときに、回生制動作用が開始し、1のホイールブレーキ2−Ia(のみ)の無励磁時閉の弁16−Iaが、図4に示すように開位置となるように作動される。したがって圧力媒体Bが、無励磁時閉の上記1の弁16−Iaを介して圧力アキュムレータ12−I内に排出され、対応するブレーキ回路Iの圧力アキュムレータ12−Iの充填が開始する。摩擦ブレーキの作動は、制動媒体の排出によってシュミレートされる。ブレーキペダル6は、運転状況に対応した快適なブレーキ感覚を生じさせるように、排出される圧力媒体量に応じて変位する(deflect)。
【0058】
ブレーキ回路Iの他のホイールブレーキ2−Ibは、無励磁時閉の対応する弁16−Ibが閉じたままであるため、充填される。例えば、ブレーキペダル6の所定の前充填移動(センサ24で測定される)又は圧力センサ26における所定の圧力の形態で、ブレーキペダル6の作動が所定の程度に達した場合に、ホイールブレーキ2−Ibの無励磁時開の弁14−Ibが閉じる。この結果、ホイールブレーキ2−Ib内の圧力が低レベルに制限される。したがって、ホイールブレーキ2−Ibが所定の(僅かな)前充填量(pre-filling volume)を充填され、例えば、ホイールブレーキ2−Ibのブレーキライニングがブレーキディスクに丁度又はかろうじて当接する。ブレーキペダル6を無励磁時閉の弁16−Iaを介して更に作動する間、ブレーキ回路Iの圧力アキュムレータ12−Iが再度充填される。ホイールブレーキ2−Iaは圧力アキュムレータ12−I内の圧力にしたがって作動される。この状態を図5に示す。
【0059】
ホイールブレーキ2−Ib内の制限された前充填量は、その車輪の制動作用を低に保持し、したがって、(エネルギ)回収効率を増大するが、しかし、例えばドライバによる更なる制動作用の際、又は、「混合(blending)の際、無励磁時に開の弁14−Ibが(後で)再度開いたときに(ホイールブレーキ2−Ibが全く充填されていないときの状態と対照的に)、ブレーキペダル6に対する抵抗効果(disturbing effect)を損なうことがない。
【0060】
ジェネレータによる制動トルクがジェネレータによる最大トルク(最大の利用可能な回生減速)に等しい場合は、無励磁時閉の弁16−Iaが閉じ、他のブレーキ回路IIの無励磁時に閉の弁の1つが、図6に弁16−II−aとして示すように、開く。この結果、圧力アキュムレータ12−Iの充填が終了し、更に制動作用が行われる場合は、図7に示すように、圧力アキュムレータ12−IIが充填される。後で、4つのホイールブレーキ2の全てで均一な混合(blending)が可能となり、ブレーキ回路IIの制動媒体量を制限する過程で、関連するホイールブレーキ2−IIの過度に強い制動を防止するように、双方の圧力アキュムレータ12−I及び12−IIを圧力媒体Bで適切に充填することが目的である。これは、特に、図示の例のように、前車軸/後車軸制動力配分が行われる場合に重要である。ここでは、後車軸HAの制動媒体量は、後車軸ホイールブレーキの過度の充填の結果、後車軸HAが過制動とならないように、制限される。前車軸及び後車軸の制動媒体量が一致すると、(前車軸及び後車軸ブレーキの通常の構成の相違(different configuration)により)後車軸側ブレーキの圧力上昇が、前車軸側ブレーキよりも大きくなる。
【0061】
ブレーキ回路IIの圧力アキュムレータ12−IIは、ジェネレータによる最大制動トルクがドライバの要求に対応し、又は、ジェネレータで形成可能な制動トルクを超え始めるまで、圧力媒体を充填される。無励磁時に閉の弁16−IIaは、図8に示すように再度閉じられる。ドライバによる「通常」制動作用(通常の液圧ブレーキシステムの意味で)がこれで可能となり、すなわち、更に圧力媒体Bが圧力アキュムレータ12内に排出されることはない。
【0062】
ドライバが要求する制動トルクが、ジェネレータで形成可能な制動トルクを更に超える場合、分離されたホイールブレーキ2−Ibの無励磁時開の弁16−Ibが図9に示すように、上記ホイールブレーキ2−Ibで増大した制動作用が得られるように開く。
【0063】
ジェネレータで形成可能な制動トルクが車両速度の機能として減少し(「逆傾斜(ramp-out)」とも称される)、この結果、ドライバの要求よりも少ない制動トルクが形成される場合、全体の制動作用を摩擦制動で補わなければならないように、実質的に車両の回生制動から回生制動と摩擦制動との組合せ、又は、純粋な摩擦制動への移行(混合)が必要となる。回生制動から摩擦制動への混合又は緩やかな転換(fading over)は、ドライバに混乱を生じさせないように、ブレーキペダルへのフィードバックを最小にしなければならない。
【0064】
原則として、対応するブレーキ回路における混合は、これまで分離されていたホイールブレーキの作動に代わるもの(alternative)として使用することもでき、ここでは、混合過程を実行するために、分離弁20−Iが閉じた後、無励磁時開の弁16−Ibが開かれる。
【0065】
図9−13は、例示的な混合方法の実行中における液圧部材の作動のそれぞれのステップを示す。
【0066】
例えば、弁が励磁されていない図9に示す状態から続いて、ブレーキペダルへのフィードバックを防止するために、図10に示すように分離弁20−I,20−IIが閉じられる。そして、所要の全制動トルクを得るために、圧力媒体Bが圧力アキュムレータ12−I,12−IIからホイールブレーキ2(図11)に送られるように、モータ−ポンプ組立体22が作動される。このように、過度に低下又は落ち込んだジェネレータの制動トルクが、摩擦ブレーキで補われる。
【0067】
ドライバがブレーキペダル6を解放し、要求される制動トルクがそのときの全制動トルクよりも低下すると、混合が終了し、すなわち、ポンプの作動が停止する。更にブレーキ作動が低下すると、図12に示すように分離弁20−I,20−IIが開かれる。
【0068】
この方法の終了時に圧力アキュムレータ12を完全に空にするため、電子切換弁18−I,18−IIが特にそれぞれ短時間、複数回開かれる。
【0069】
ドライバによる制動過程が混合過程を必要とすることなく終了する場合は、出口弁を開くことにより、圧力アキュムレータが空にされる。その後、電子切換弁の複数回にわたる短時間作動により、完全に空であることが確保される。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態では、ブレーキシステムはブレーキペダルの作動を確認するための第2センサ部材を備え、この第2センサ部材はブレーキペダル移動センサ又は角度センサ24から独立している。ブレーキペダルの作動が所定の値に達すると、上記第2センサ部材が作動され、特に、圧力アキュムレータの充填過程(例えば、1又は複数の無励磁時閉の弁16を閉じることにより)を終了することが有益である。このようにして、例えば、センサ24の機械的な損傷により、ブレーキペダル移動センサ24の信号が誤っている場合、ドライバの制動要求の正確な識別が確保される。
【0071】
第2センサ部材の作動閾値は、ジェネレータが全く又はほとんど制動作用に寄与しない制動の程度(ブレーキ作動の程度)に設定すべきである。第2センサ部材は、別個に装着され、自身のエネルギ供給源を有するべきである。センサ部材は、マスターシリンダのスラストロッド回路、または、ブレーキペダルに配置することができる(上述のようにオフセットスイッチングポイントであっても、ブレーキライトスイッチ部材と同様に)。図4から13に示す例示的なブレーキシステムでは、第2センサ部材は0.15g(g:は重力加速度)スイッチング部材として形成され、これはブレーキペダル6に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が少なくとも1の電気的回生ブレーキ(4)と、摩擦ブレーキ(2)有する圧力媒体作動の、特に液圧、ブレーキシステムとを備え、各車輪に割り当てられたホイールブレーキ(2)は、少なくとも2つのブレーキ回路(I,II)に配置され、これらのブレーキ回路は第1制動圧発生装置(8)、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、で圧力媒体を押込み可能で、各ブレーキ回路(I,II)は少なくとも1の圧力アキュムレータ(12)と少なくとも2つの電気的に作動可能な液圧弁(14、16、18、20)とを有する、自動車用ブレーキシステムの制御及び/又は調整方法であって、
1又は複数の回生ブレーキで制動する際、好適なポイントで少なくとも1の液圧弁(14,16,18,20)を適切に作動することにより、圧力媒体を1の所定の圧力アキュムレータ(12−I,12−II)にのみ正確に排出することを特徴とする方法。
【請求項2】
2つのブレーキ回路(I,II)におけるホイールブレーキの液圧弁、特に入口及び出口弁(14,16)、は最初に1のブレーキ回路(I)の圧力アキュムレータ(12−I)、続いて他のブレーキ回路(II)の圧力アキュムレータ(12−II)が充填されるように作動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧力アキュムレータ(12−I)の充填は、ブレーキ回路(I)の1のホイールブレーキのみの出口弁(16−I−a)を介して行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1のブレーキ回路の2つのホイールブレーキ(2−I−b)の一方は、所定の圧力媒体量を押込まれ、このホイールブレーキ(2−I−b)は、続いて、特に、関連する入口弁(14−I−b)を閉じて、第1制動圧発生装置(8)及び特に関連する圧力アキュムレータ(12−I)から液圧的に分離されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ホイールブレーキ(12−I−b)は、ブレーキ作動ペダル(6)の作動が第1所定量に達したときに、液圧的に分離され、この第1所定量は、特に、ペダル角度センサ(24)及び/又は好適に配置されたスイッチにより検出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最初に圧力アキュムレータ(12−I)の充填は、2つのホイールブレーキの一方(2−I−a)の出口弁(16−I−a)を介して開始され、ブレーキ回路(I)のホイールブレーキ(2−I−b)はブレーキ作動の第1所定量に達したときに、液圧的に分離されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ブレーキ作動ペダル(6)の作動が第2所定量に達したときに、1の圧力アキュムレータ(12−I)の充填は終了し、他の圧力アキュムレータ(12−II)の充填が開始し、この第2所定量は、特に、ペダル角度センサ(24)で検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)で形成される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)の最大伝達制動トルクの所定の割合に対応することを特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ブレーキ作動ペダル(6)の第3所定量に達したときに、圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の充填は終了し、これまで分離されていたホイールブレーキ(2−I−b)が第1制動圧発生装置(8)に再度接続され、この第3所定量は、特に、ペダル角センサ(24)で検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される最大伝達制動トルクの所定の割合に対応することを特徴とする請求項4から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
第1ブレーキ回路の所定位置で測定された圧力と、第2ブレーキ回路の所定位置で測定された圧力との差の大きさが、所定の閾値を超えたときに、圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の充填は終了し、これまで分離されていたホイールブレーキ(2−I−b)が再度第1制動圧発生装置に接続されることを特徴とする請求項4から7のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
特に、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)で形成される制動トルクがドライバの要求する制動トルクよりも少ないときに、第1制動圧発生装置(8)は、特に、液圧弁(20)を閉じることでホイールブレーキ(2)から分離され、制動媒体は双方の圧力アキュムレータ(12)から、第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ(22)、によりホイールブレーキ(2)内に送られることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載の方法。
【請求項11】
ブレーキ回路の液圧弁(14,16)の作動は、特に、1の制動過程で第1入口弁(14−I−a,14−II−a)が閉じかつ第1出口弁(16−I−a,16−II−a)が開き、一方、第2入口弁(14−I−b,14−II−b)が開に維持されかつ第2出口弁(16−Ib,16−IIb)が閉に維持され、その後の制動過程で、第2入口弁(14−I−b,14−II−b)が閉じかつ第2出口弁(16−I−b,16−II−b)が開き、一方、第1入口弁(14−I−a,14−II−a)及び出口弁(16−Ib,16−IIb)は作動されない、交代形式で行われることを特徴とする請求項1から10のいずれか1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1の電気的回生ブレーキ(4)と、摩擦ブレーキ(2)を有する圧力媒体作動の、特に液圧ブレーキシステムとを備え、各車輪に割当てられたホイールブレーキ(2)は、少なくとも2つのブレーキ回路(I,II)に配置され、これらのブレーキ回路は、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、により圧力媒体を押込み可能で、各ブレーキ回路(I,II)は少なくもと1の圧力アキュムレータ(12)と電子的に作動可能な液圧弁(14,16,18,20)とを有する、自動車のブレーキシステム(1)であって、
このブレーキシステムは、電子制御及び調整ユニット(30)を有し、この電子制御及び調整ユニットにより、1又は複数の電気的回生ブレーキでの制動過程中に、好適なポイントで、特に所定の圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の正確な1つに圧力媒体を排出するように、少なくとも1の液圧弁(14,16,18,20)が作動されることを特徴とするブレーキシステム。
【請求項13】
前記ブレーキシステムは、少なくとも1の制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、を有し、この制動圧発生装置により、制動媒体を圧力アキュムレータ(12)から1又は複数のホイールブレーキ(2)に送出し可能であることを特徴とする請求項12に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項14】
各ブレーキ回路(I,II)には、圧力センサ(28−I,28−II)が少なくとも1のホイールブレーキ(2)に取付けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項15】
前記電子制御又は調整ユニット(30)は、請求項1から11のいずれか1に記載の方法を実行することを特徴とする請求項12から14のいずれか1に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項1】
自動車が少なくとも1の電気的回生ブレーキ(4)と、摩擦ブレーキ(2)有する圧力媒体作動の、特に液圧、ブレーキシステムとを備え、各車輪に割り当てられたホイールブレーキ(2)は、少なくとも2つのブレーキ回路(I,II)に配置され、これらのブレーキ回路は第1制動圧発生装置(8)、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、で圧力媒体を押込み可能で、各ブレーキ回路(I,II)は少なくとも1の圧力アキュムレータ(12)と少なくとも2つの電気的に作動可能な液圧弁(14、16、18、20)とを有する、自動車用ブレーキシステムの制御及び/又は調整方法であって、
1又は複数の回生ブレーキで制動する際、好適なポイントで少なくとも1の液圧弁(14,16,18,20)を適切に作動することにより、圧力媒体を1の所定の圧力アキュムレータ(12−I,12−II)にのみ正確に排出することを特徴とする方法。
【請求項2】
2つのブレーキ回路(I,II)におけるホイールブレーキの液圧弁、特に入口及び出口弁(14,16)、は最初に1のブレーキ回路(I)の圧力アキュムレータ(12−I)、続いて他のブレーキ回路(II)の圧力アキュムレータ(12−II)が充填されるように作動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧力アキュムレータ(12−I)の充填は、ブレーキ回路(I)の1のホイールブレーキのみの出口弁(16−I−a)を介して行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1のブレーキ回路の2つのホイールブレーキ(2−I−b)の一方は、所定の圧力媒体量を押込まれ、このホイールブレーキ(2−I−b)は、続いて、特に、関連する入口弁(14−I−b)を閉じて、第1制動圧発生装置(8)及び特に関連する圧力アキュムレータ(12−I)から液圧的に分離されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ホイールブレーキ(12−I−b)は、ブレーキ作動ペダル(6)の作動が第1所定量に達したときに、液圧的に分離され、この第1所定量は、特に、ペダル角度センサ(24)及び/又は好適に配置されたスイッチにより検出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最初に圧力アキュムレータ(12−I)の充填は、2つのホイールブレーキの一方(2−I−a)の出口弁(16−I−a)を介して開始され、ブレーキ回路(I)のホイールブレーキ(2−I−b)はブレーキ作動の第1所定量に達したときに、液圧的に分離されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ブレーキ作動ペダル(6)の作動が第2所定量に達したときに、1の圧力アキュムレータ(12−I)の充填は終了し、他の圧力アキュムレータ(12−II)の充填が開始し、この第2所定量は、特に、ペダル角度センサ(24)で検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)で形成される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)の最大伝達制動トルクの所定の割合に対応することを特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ブレーキ作動ペダル(6)の第3所定量に達したときに、圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の充填は終了し、これまで分離されていたホイールブレーキ(2−I−b)が第1制動圧発生装置(8)に再度接続され、この第3所定量は、特に、ペダル角センサ(24)で検出され、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される制動トルクの所定の値、特に、1又は複数の電気的回生ブレーキで形成される最大伝達制動トルクの所定の割合に対応することを特徴とする請求項4から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
第1ブレーキ回路の所定位置で測定された圧力と、第2ブレーキ回路の所定位置で測定された圧力との差の大きさが、所定の閾値を超えたときに、圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の充填は終了し、これまで分離されていたホイールブレーキ(2−I−b)が再度第1制動圧発生装置に接続されることを特徴とする請求項4から7のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
特に、1又は複数の電気的回生ブレーキ(4)で形成される制動トルクがドライバの要求する制動トルクよりも少ないときに、第1制動圧発生装置(8)は、特に、液圧弁(20)を閉じることでホイールブレーキ(2)から分離され、制動媒体は双方の圧力アキュムレータ(12)から、第2制動圧発生装置、特に液圧ポンプ(22)、によりホイールブレーキ(2)内に送られることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載の方法。
【請求項11】
ブレーキ回路の液圧弁(14,16)の作動は、特に、1の制動過程で第1入口弁(14−I−a,14−II−a)が閉じかつ第1出口弁(16−I−a,16−II−a)が開き、一方、第2入口弁(14−I−b,14−II−b)が開に維持されかつ第2出口弁(16−Ib,16−IIb)が閉に維持され、その後の制動過程で、第2入口弁(14−I−b,14−II−b)が閉じかつ第2出口弁(16−I−b,16−II−b)が開き、一方、第1入口弁(14−I−a,14−II−a)及び出口弁(16−Ib,16−IIb)は作動されない、交代形式で行われることを特徴とする請求項1から10のいずれか1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1の電気的回生ブレーキ(4)と、摩擦ブレーキ(2)を有する圧力媒体作動の、特に液圧ブレーキシステムとを備え、各車輪に割当てられたホイールブレーキ(2)は、少なくとも2つのブレーキ回路(I,II)に配置され、これらのブレーキ回路は、第1制動圧発生装置、特にタンデム型マスターブレーキシリンダ、により圧力媒体を押込み可能で、各ブレーキ回路(I,II)は少なくもと1の圧力アキュムレータ(12)と電子的に作動可能な液圧弁(14,16,18,20)とを有する、自動車のブレーキシステム(1)であって、
このブレーキシステムは、電子制御及び調整ユニット(30)を有し、この電子制御及び調整ユニットにより、1又は複数の電気的回生ブレーキでの制動過程中に、好適なポイントで、特に所定の圧力アキュムレータ(12−I,12−II)の正確な1つに圧力媒体を排出するように、少なくとも1の液圧弁(14,16,18,20)が作動されることを特徴とするブレーキシステム。
【請求項13】
前記ブレーキシステムは、少なくとも1の制動圧発生装置、特に液圧ポンプ、を有し、この制動圧発生装置により、制動媒体を圧力アキュムレータ(12)から1又は複数のホイールブレーキ(2)に送出し可能であることを特徴とする請求項12に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項14】
各ブレーキ回路(I,II)には、圧力センサ(28−I,28−II)が少なくとも1のホイールブレーキ(2)に取付けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項15】
前記電子制御又は調整ユニット(30)は、請求項1から11のいずれか1に記載の方法を実行することを特徴とする請求項12から14のいずれか1に記載のブレーキシステム(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−517987(P2013−517987A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550468(P2012−550468)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051257
【国際公開番号】WO2011/092308
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051257
【国際公開番号】WO2011/092308
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】
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