説明

自動車用制振シート

【課題】 本発明は、軽量性に優れ、且つ、常温にて1000Hz以下の低周波数帯において優れた制振性を有する自動車用制振シートを提供する。
【解決手段】 本発明の自動車用制振シートは、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体を含有し且つ発泡倍率が2〜30倍で厚みが1〜6mmである発泡シートの一面に、ガラス繊維又は炭素繊維を含有する繊維シートを積層一体化してなり、目付が1000g/m2以下であることを特徴とするので、軽量性に優れ、且つ、常温にて1000Hz以下の低周波数帯において優れた制振性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量性に優れ、且つ、常温にて1000Hz以下の低周波数帯において優れた制振性を有する自動車用制振シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電、建築物、自動車などの分野において、快適性の観点から制振性や防音性に多くの注意が払われるようになっている。このような分野の振動や騒音としては、例えば、家電分野ではモーターなどの駆動装置の振動、建築分野では折板屋根における雨音、自動車分野では走行中の振動により屋根や扉が微振動して発生する振動音やエンジンなどの駆動系の振動などが挙げられ、このような振動及び騒音を低減させる目的で制振材が使用されている。
【0003】
吸音材や高分子材料からなる制振材は、振動波の周波数が高くなるほど振動減衰効果が高くなる特性を有するため、高周波数領域においては、容易に振動及び騒音の低減ができるものの、低周波数領域においては防音効果が不充分であった。
【0004】
又、自動車走行時の振動が主に1000Hz以下の周波数帯(以下、「低周波数帯という」)の振動波によるものであることから、低周波数帯における制振性に優れたものが求められている。そのため、従来の高分子材料からなる制振防音材を自動車用制振材として用いた場合、自動車走行時における振動を十分に抑えることができず、又、振動によって騒音が発生するので、自動車走行時の快適性が損なわれるという問題が生じた。
【0005】
そこで、低周波数帯において優れた制振性を有する制振防音材として、特許文献1に、熱可塑性樹脂、ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれた一種又は二種以上の樹脂成分並びに無機充填材からなり且つ一面が振動部材に貼着される貼着面に形成された基材シートと、この基材シートの他面に積層一体化された金属シートとからなることを特徴とする制振材が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記制振材は、無機充填材や金属シートを含有してなるため、軽量性に欠けるという問題点があった。又、金属シートを積層した制振材においては、リサイクル時における分別が困難であるという問題も抱えていた。
【0007】
【特許文献1】特開2005−3019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量性に優れ、且つ、常温にて1000Hz以下の低周波数帯において優れた制振性を有する自動車用制振シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の耐熱性発泡シートは、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体を含有し且つ発泡倍率が2〜30倍で厚みが0.1〜6mmである発泡シートの一面に、ガラス繊維又は炭素繊維を含有する繊維シートを積層一体化してなり、目付が1000g/m2以下であることを特徴とする。
【0010】
発泡シートを構成している共役ジエン系重合体としては、共役ジエンモノマーの単独重合体、共役ジエンモノマー同士の共重合体、共役ジエンモノマーとこの共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体の何れであってもよい。共役ジエン系重合体は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0011】
共役ジエンモノマーとしては、特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどの炭素数が4〜12の共役ジエンが挙げられる。
【0012】
共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されず、例えば、芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレンなどが挙げられる。
【0013】
共役ジエンモノマーとこの共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体としては、共役ジエンモノマーを重合したブロックを含有する共重合体が好ましく、共役ジエンモノマーを重合したブロックと芳香族ビニルモノマーを重合したブロックとを有するブロック共重合体がより好ましく、スチレンブロックと化1に示したビニルイソプレンブロックとを有するブロック共重合体が特に好ましい。なお、化1に示したビニルイソプレンブロック中、nは、ビニルイソプレンブロックの重合度を示す。
【0014】
【化1】

【0015】
共役ジエンモノマーとこの共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)及びその水素添加物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)などの水素添加ジエン系ブロック共重合体又はランダム共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体などが挙げられ、得られる耐熱性発泡シートの緩衝性や衝撃吸収性に優れていることから、スチレンブロックとビニルイソプレンブロックとからなるトリブロック共重合体が好ましい。
【0016】
そして、共役ジエン系重合体における動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度は、−30〜40℃に限定され、0〜35℃が好ましい。これは、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃の範囲外にあると、自動車用制振シートの制振性能が低下するからである。
【0017】
なお、共役ジエン系重合体における動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、共役ジエン系重合体からなる試験シート(幅5mm×長さ24mm×厚み0.3mm)を作製し、この試験シートの動的粘弾性を、歪み量0.1%及び周波数10Hzの条件下において、昇温速度3℃/分で動的粘弾性の温度分散測定することにより得られた損失正接の最大値を示す温度をいう。なお、共役ジエン系重合体における動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度は、レオメトリックス社から商品名「RSA」で市販されている測定装置を用いて測定することができる。
【0018】
又、共役ジエン系重合体における動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度は、共役ジエン系重合体に可塑剤を添加する方法や、共重合成分の比率を調整する方法、モノマーを選定する方法、モノマー成分の比を調整する方法などによって調整することができる。
【0019】
又、発泡シートには共役ジエン系重合体の他にポリオレフィン系樹脂を含有していてもよい。結晶性樹脂としては、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど挙げられるが、得られる耐熱性発泡シートが耐熱性及び加工性に優れていることから、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸が好ましい。なお、結晶性樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0020】
発泡シート中における結晶性樹脂の含有量は、少ないと、発泡シートの耐熱性が低下することがあり、多いと、自動車用制振シートの制振性能が低下することがあるので、共役ジエン系重合体100重量部に対して10〜70重量部が好ましい。
【0021】
発泡シートの発泡倍率は、低いと、発泡シートの軽量性が低下し、或いは、発泡シートの弾性率がたかくなると共に軽量性を維持するために発泡シートの厚みを薄くする必要があり、自動車用制振シートの低周波数帯における制振性能が低下することがあり、高いと、自動車用制振シートの低周波数帯における制振性能が低下するので、2〜30倍に限定され、4〜15倍が好ましい。なお、発泡シートの発泡倍率は、JIS K7222に準拠して測定されたものをいう。
【0022】
発泡シートの厚みは、薄いと、損失を担う樹脂量が低下してしまうと共に低周波数振動の損失層への分配が低下してしまうことにより、得られる自動車用制振シートの低周波数帯における制振性能が低下し、厚いと、自動車用制振シートの軽量性が低下し、或いは、自動車用制振シートの設置スペースが大きくなってしまうので、0.1〜6mmに限定される。なお、発泡シートの厚みはノギスを用いて測定すればよい。
【0023】
なお、発泡シートには、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、酸化防止剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤などの従来公知の添加剤が添加されていてもよい。
【0024】
上記発泡シートの一面には、ガラス繊維又は炭素繊維の何れか一方或いは双方を含有する繊維シートが積層一体化されている。なお、繊維シートの形態としては、不織布、織布、織布、編布などが挙げられる。繊維シートは、振動吸収を担う発泡シートを拘束することによって外部から与えられた振動を効率良く発泡シートに伝達させる役割を果たしており、繊維シートが発泡シートに積層されていない場合、低周波数領域における振動が発泡シートに伝達されにくく、自動車用制振シートの制振性能が低下する虞れがある。
【0025】
そして、繊維シートは、引張弾性率などにて表現される剛性が高いほど、振動を発泡シートに効率良く伝達させるので、繊維シートを構成している繊維を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂で結着していることが好ましい。
【0026】
更に、繊維シートを構成しているガラス繊維又は炭素繊維を結着させる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、発泡シートへの熱融着性が向上することから、発泡シートを構成している共役ジエン系重合体と相溶性を有していることが好ましい。
【0027】
なお、繊維シートを構成している繊維同士を結着させる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0028】
又、自動車用制振シートの目付は、大きいと、自動車用制振シートの軽量性が低下するので、1000g/m2以下に限定され、500g/m2以下が好ましい。
【0029】
次に、自動車用制振シートの製造方法について説明する。発泡シートの製造方法としては、例えば、共役ジエン系重合体、発泡剤及び必要に応じて添加される架橋剤を含有する樹脂組成物を押出機、コンベアベルトキャスティング、プラストミルなどを用いて連続的に混練した後、混練された樹脂組成物をシート状又はロッド状に成形して発泡性成形品とし、この発泡性成形品に架橋剤が含有されている場合には加熱し、又は、発泡性成形品に架橋剤が含有されていない場合には、発泡性成形品に電離性放射線を照射して架橋させる。そして、得られた発泡性成形品を発泡炉に供給して加熱、発泡させて発泡シートを作製し、必要に応じて発泡シートを裁断加工する方法が挙げられる。なお、発泡性成形品に架橋剤が含有されている場合、発泡性成形品に更に電離性放射線を照射して架橋させてもよい。
【0030】
又、上記発泡シートの別の製造方法としては、上記樹脂組成物をミキシングロールなどで混練した後、混練された樹脂組成物を型内に供給し、型内で架橋、発泡させるバッチ式の方法も挙げられる。
【0031】
そして、上記樹脂組成物に含有される発泡剤としては、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0032】
又、上記樹脂組成物中における発泡剤の含有量は、少ないと、発泡シートが十分に発泡しないことがある一方、多いと、発泡により形成される気泡が安定せず、発泡体の気泡構造が不均一になることがあるので、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
【0033】
更に、上記架橋剤としては、特に限定されないが、化学架橋を施して発泡シートを製造する場合には、ジクミルパーオキサイドなどの公知の有機過酸化物などが用いられ、硫黄架橋を施して発泡シートを製造する場合には、硫黄や硫黄化合物類などが用いられる。
【0034】
そして、上記樹脂組成物中における架橋剤の含有量は、少ないと、樹脂組成物を十分に架橋できないことがあり、多いと、樹脂組成物の架橋が進行しすぎて伸長粘度が上昇し、発泡しにくくなることがあるので、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体100重量部に対して0.1〜3.0重量部が好ましい。
【0035】
なお、上記樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、発泡助剤、架橋助剤、酸化防止剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤などの従来公知の添加剤が添加されていてもよい。
【0036】
発泡シートの一面に繊維シートを積層一体化させる方法としては、例えば、発泡シートの一面に接着剤や粘着剤を介して繊維シートを積層一体化させる方法、繊維シートを構成している繊維同士が熱可塑性樹脂によって結着されている場合には、この熱可塑性樹脂を溶融させることによって繊維シートを発泡シートの一面に熱融着一体化する方法、発泡シートの一面に両面粘着テープを介して繊維シートを積層一体化する方法などが挙げられる。
【0037】
上述のようにして得られた自動車用制振シートは、その発泡シートの他面に粘着剤層を汎用の要領で積層一体化させて用いることができ、この自動車用制振シートは優れた制振性能を発揮する。なお、粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましい。
【0038】
自動車用制振シートは、その粘着剤層によって振動体の表面に貼着することによって優れた制振性能を発揮し、振動体の振動を抑制し振動音の低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の自動車用制振シートは、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体を含有し且つ発泡倍率が2〜30倍で厚みが0.1〜6mmである発泡シートの一面に、ガラス繊維又は炭素繊維を含有する繊維シートを積層一体化してなり、目付が1000g/m2以下であることを特徴とするので、軽量性に優れ、且つ、常温にて1000Hz以下の低周波数帯において優れた制振性を有する。
【0040】
又、本発明の自動車用制振シートは、所定の発泡シートの一面に、ガラス繊維又は炭素繊維を含有する繊維シートを積層一体化してなるものであるから、使用後に、自動車用制振シートを裁断することによって押出機に供給して溶融混練が可能となるので、リサイクル性に優れている。
【0041】
更に、本発明の自動車用制振シートは、繊維が残渣として残るものの略焼却が可能であるのでサーマルリサイクルも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(実施例1)
スチレンブロックとビニルイソプレンブロックとを有するスチレン−ビニルイソプレン−スチレントリブロック共重合体(クラレ社製 商品名「ハイブラー5127」、動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度:28℃)100重量部、フタル酸−2−エチルヘキシル(Wako Chemical社製)12.5重量部、フェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」)2.0重量部及びアゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−20」)4.5重量部からなる樹脂組成物を、プラストミルにて120℃で溶融混練した後、120℃で5分間プレス処理することによって厚みが1.4mmの発泡性樹脂シートを得た。
【0043】
得られた発泡性樹脂シートに加速電圧500KeVにて照射線量3.0Mradの電子線を照射し、発泡性樹脂シートに架橋処理を施した。続いて、発泡性樹脂シートを発泡炉中に供給して、230℃で加熱することにより、厚みが3.0mm、発泡倍率が10.1倍の発泡シートを得た。
【0044】
そして、得られた発泡シートの一面に両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「セキスイテープ#5761」)を介して炭素繊維を含有する不織布を積層一体化して目付が386g/m2である自動車用制振シートを得た。
【0045】
炭素繊維を含有する不織布は、不織布を作製するときに使用する通常のカード機を用いて作製した。即ち、長さが64mmで且つ太さが7μmである炭素繊維と、長さが70mmのポリプロピレン繊維とをカード機に供給して混紗不織布を得た。なお、混紗不織布中、炭素繊維及びポリプロピレン繊維の目付がそれぞれ、21g/m2となるように調整した。
【0046】
得られた混紗不織布を厚みが40μmのポリプロピレンフィルム上に重ね合わせてニードルパンチを施して混紗不織布とポリプロピレンフィルムとを一体化させて積層シートを作製した。
【0047】
しかる後、積層シートを両面からポリテトラフルオロエチレンベルトで挟み込んだ上で200℃に加熱し常温プレス加工を行なうことによって、ポリプロピレンフィルム及びポリプロピレン繊維を溶融し、この溶融したポリプロピレンによって炭素繊維同士を結着し、厚みが120μmで且つ目付が78g/m2の炭素繊維を含有する繊維シートを得た。
【0048】
(実施例2)
炭素繊維の代わりに、太さが13μmで且つ長さが64mmのガラス繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で目付が375g/m2である自動車用軽量制振材を得た。
【0049】
(比較例1)
実施例1で得られた発泡シートのみを自動車用制振シートとして用いた。
【0050】
(比較例2)
実施例1記載の炭素繊維を含有するシートの代わりに、厚みが50μmの硬質アルミニウム板を用いたこと以外は実施例1と同様にして目付が435g/m2である自動車用制振シートを得た。なお、得られた自動車用制振シートは、硬質アルミニウム板を含んでいるので、使用後に押出機への供給は不可能であり、更に、硬質アルミニウム板が不燃性であるので、サーマルリサイクルを含むリサイクル性に欠ける。
【0051】
得られた自動車用制振シートの損失係数を下記の要領で測定してその結果を図1に示した。
【0052】
(損失係数)
厚さ1.0mm、幅15.0mm、長さ250mmのSPCC鋼板上に両面テープを用いて自動車用制振材をその発泡シートがSPCC鋼板側となるように貼着した。しかる後、リオン社から商品名「SA−01」にて市販されている測定装置を用いて、自動車用制振シートの損失係数を25℃にて中央加振法により測定した。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例及び比較例で得られた自動車用制振シートの損失係数の測定結果を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的粘弾性測定によって得られる損失正接の最大値を示す温度が−30〜40℃である共役ジエン系重合体を含有し且つ発泡倍率が2〜30倍で厚みが0.1〜6mmである発泡シートの一面に、ガラス繊維又は炭素繊維を含有する繊維シートを積層一体化してなり、目付が1000g/m2以下であることを特徴とする自動車用制振シート。
【請求項2】
共役ジエン系重合体は、共役ジエンモノマーを重合したブロックを含有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振シート。
【請求項3】
共役ジエン系重合体は、スチレンブロックとビニルイソプレンブロックとを有するブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振シート。
【請求項4】
繊維シートは、繊維同士が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂によって結着されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振シート。
【請求項5】
発泡シートがポリオレフィン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振シート。
【請求項6】
発泡シートの他面に粘着剤層を積層一体化していることを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振シート。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−251661(P2012−251661A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153532(P2012−153532)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2008−92531(P2008−92531)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】