自動車駆動用共用バッテリー管理システム
【課題】電気自動車の普及のためにバッテリーの充電時間を不要とするバッテリー交換の仕組みを円滑・確実に実現する。
【解決手段】複数の電気自動車2で共同使用されるバッテリー3には、それぞれ固有のICカード10を添付し、このICカード10には、車2の走行中およびバッテリー交換ステーション1での作業中に情報が書き込まれる。ステーション1は、充電設備5とステーション管理装置6を備え、充電設備5は充電装置8と前記ICカード10の読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部9を備える。ステーション管理装置6は通信可能に接続されているコントローラ部9およびシステム管理装置11とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行う。システム管理装置11はバッテリー管理データベース12にアクセス可能に接続し、バッテリー3に関する情報を一括管理する。
【解決手段】複数の電気自動車2で共同使用されるバッテリー3には、それぞれ固有のICカード10を添付し、このICカード10には、車2の走行中およびバッテリー交換ステーション1での作業中に情報が書き込まれる。ステーション1は、充電設備5とステーション管理装置6を備え、充電設備5は充電装置8と前記ICカード10の読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部9を備える。ステーション管理装置6は通信可能に接続されているコントローラ部9およびシステム管理装置11とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行う。システム管理装置11はバッテリー管理データベース12にアクセス可能に接続し、バッテリー3に関する情報を一括管理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車の普及のためにバッテリーの共同使用を円滑・確実に行うための共用バッテリー管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の環境やエネルギー資源についての問題に対する関心の高まりとともに、排出ガスの低減と省エネルギー化の実現の観点から電気自動車が注目されている。電気自動車は、一般に、内部に備えたバッテリーから供給される電気エネルギーによって走行するので、ガソリンあるいは軽油、即ち石油を駆動源とすることなく、排出ガスが出ず、CO2削減という地球規模の重要課題に応えるものである。
しかしながら、電気自動車は、一方で、バッテリーの充電に手間と時間がかかるという問題がある。走行途中での充電は、時間を要することから困難であり、長距離・長時間の運行の妨げとなっている。こういった不便さが電気自動車の普及の壁となっているのは事実である。
【0003】
このような問題点を克服し、電気自動車の普及を促進することを意図した発明が複数提案され、特許文献1〜4に記載の発明もその例である。
特開2009−80834号公報(特許文献1)には、電気自動車のユーザーがバッテリーのリース契約を結び、各地のバッテリーステーションなどにてフル充電のバッテリーと交換することによって、電気自動車の長時間運行を可能にするシステムが提案されている。
特開2007−182310号公報(特許文献2)には、蓄電池の交換を行う複数のステーション間での充電済み蓄電池の流通を管理し、ユーザーを充電作業にかかる手間から解放させ得る「蓄電池流通管理システム」が開示されている。
特開2004−215468号公報(特許文献3)には、電気自動車の駆動用バッテリーなどを提供する施設(「電気ステーション」)での充電及びその提供や自然エネルギーによる発電電力の販売、並びに電気ステーションに関する情報提供などを行う「二次電池電源供給方法及びその通信システム並びにプログラム」が開示されている。
特開平9−119839号公報(特許文献4)には、電気自動車のバッテリーの残容量に応じて走行可能距離や走行可能範囲にある充電可能な場所などの情報を表示する「電気自動車用ナビシステム」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−80834号公報
【特許文献2】特開2007−182310号公報
【特許文献3】特開2004−215468号公報
【特許文献4】特開平9−119839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、電気自動車などの長時間運行を可能にするためのアイデアが複数提案されているとはいえ、それを具体化する手段については記載されていないに等しく、
アイデア段階で終わっていると言える。
【0006】
特許文献2に開示されている蓄電池流通管理システムによれば、蓄電池を交換する複数の施設(ステーション)間において蓄電池の在庫管理を行うとともに充電済み蓄電池の配送を適切に行うことができる。このように、各ステーションに充電済みのバッテリーを在庫切れさせないことで顧客サービスを行うものである。しかしながら、電気自動車の運転者にとってバッテリーの残量や残りの走行距離などは最大の関心事であるにもかかわらず、この点に関して格別な配慮はなされていない。なお、特許文献2の〔0042〕ではバッテリーにRFIDをとりつけてバッテリーの状態を管理することに若干言及されているが、具体的な管理の仕組みはまったく開示されていない。
【0007】
特許文献3に開示されている二次電池電源供給方法によれば、双方向通信ネットワークを通じて個々のバッテリーに関する種々の情報、および各バッテリーの現在の配置場所の集中管理をすることで、充電済みの二次電池の仕様及び個数などを容易に把握できるようにし、二次電池の交換及び供給、回収などの利用の利便性を向上させようとする。ところで、バッテリーを交換するシステムでは、バッテリーが共用されることが前提であって、この共用の仕組みを円滑に行うには履歴管理が極めて重要である。しかしながら、特許文献3にはバッテリーの履歴情報の管理について明確な記載が欠けている。また、バッテリー交換を円滑に行うためには情報の取得と書き込みのタイミングが重要であるが、このタイミングが曖昧である。また、集中管理されている情報と、バッテリーを搭載している車側の情報との連携が明記されておらず、走行距離などの情報の蓄積ができるようになっていない。
【0008】
特許文献4に開示されている電気自動車用ナビシステムによれば、運転者はカーナビの画面上に表示されるバッテリーに関する情報を把握しながら走行することができる。
しかしながら、バッテリーの残容量が少なくなっても迅速に走行距離を延長する、という視点は見られない。搭載しているバッテリーを使用し続けることが前提となり、残量が乏しくなったなら時間をかけて充電しなくてはならず、電気自動車の行動範囲を拡げ普及を促進するという性格の発明ではない。
【0009】
本出願人は、ガソリンやアルコールのような燃料と同様に車の動力源となるバッテリーを容易に交換するためには、バッテリーの共同使用を電気自動車の所有者間で可能にする仕組みが必要であるとの問題意識にもとづき本発明を考案した。なぜなら、電気自動車にとっての燃料補給に相当するバッテリー交換は、物理的に異なる場所であっても、いつでも簡単に交換されなければガソリンあるいはアルコール車のフレキシビリティに勝つことは出来ず、電気自動車の普及は困難だからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
バッテリー(鉛電池、ニッケル・水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池)をモーターの駆動源とする自動車(電気自動車が代表的であるが、ハイブリッド車も含まれる。)のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカード(下記の実施の形態のRFIDは、ICカードの一種)が添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部およびシステム管理装置とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行い、
前記システム管理装置はバッテリーに関する情報を一括管理するバッテリー管理データベースにアクセス可能に接続されていることを特徴とする。
これにより、個々のバッテリーに関する情報が一括管理されているので齟齬のない情報をバッテリーステーション間で共有でき、バッテリー交換を円滑に行うことができる。
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明において、前記バッテリー管理データベースには、バッテリー毎に所有者が記録され、自動車毎にバッテリーの基本使用料支払形態が記録されているとよい。この基本使用料支払形態には、自動車購入時の一括払いと、購入時以降の分割払いとが含まれ、分割払いの場合は、当該自動車に使用されるバッテリーの平均的な使用可能期間を日割りしたものを基本使用料算出の根拠とするとよい。
本システムの利用者は、上記の「基本使用料」と、「充電・交換時の従量制の料金」とを負担する。「基本使用料」とは、本発明のシステム(以下、「本システム」)を使用してバッテリーを共用することの対価である。「充電・交換時の従量制の料金」は従来の概念で捉えてよい。
これにより、本システムは、電気自動車とバッテリーとではそれぞれ所有者が異なる場合も容易に管理ができ、また、基本使用料支払形態も複数あるのでユーザーへの利便性が高まる。支払形態に分割払いを含ませたことにより、バッテリーの代金を充電時に平準化することになる。
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行うことを特徴とする。
請求項1では、バッテリーステーションを統括する立場にあるシステム管理装置が、バッテリーに関する情報をデータベースによって一括集中管理している。これに対し請求項4は、情報は各ステーションで管理されるのみで、一括集中管理という形態はとらない。
つまり、バッテリーに添付されているICカードに必要な情報を記録しておきさえすれば、各バッテリーステーション内で円滑にバッテリーの交換ができ、請求項1のようなデータベースは必須ではない。つまり請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明に比べ利便性を一部欠くことになるが、安価なシステムを供給したり、あるいは特定の状況下でサービスを提供したりすることを狙いとしている。
【0013】
請求項1〜4のいずれか1においても、
前記ICカードには、添付されている共用バッテリーを装着している自動車の走行時に走行情報が自動車に搭載されているマイコンによって随時書き込まれるとともに、当該バッテリーが前記充電装置における作業対象となっている時に履歴情報の書き込みが前記コントローラ部によって所定のタイミングで行われることが望ましい。
このように走行情報がICカードに記録されるので、バッテリーの残量や残りの走行可能距離などが正確に算出できる。また、充電装置における作業と連動して情報が記録されるので、正確な情報が簡便かつ効率よく記録できる。
【発明の効果】
【0014】
共用バッテリーの履歴管理が的確に行われるので、バッテリーステーションに立ち寄って充電済みのバッテリーと交換することにより、電気自動車であってもバッテリー切れを心配することなく長距離走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態において、コントローラ部、ステーション管理装置及びシステム管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態のバッテリー管理データベースの全体の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態のRFIDに記録されるデータの項目例を示す図である。
【図5】第1の実施形態のバッテリー管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】第1の実施形態のステーション管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第1の実施形態のバッテリー交換の処理シーケンスを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【図9】第2の実施形態のバッテリー管理データベースの全体の構成を示す図である。
【図10】第2の実施形態のバッテリー管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図11】第2の実施形態の電気自動車管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】第2の実施形態のバッテリー所有者管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図13】第2の実施形態のRFIDに記録されるデータの項目例を示す図である。
【図14】第3の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《はじめに》
本発明のシステムを実現するためには、次の条件が充たされていなくてはならない。
(1)バッテリー規格の標準化が推進されること。ガソリンに規格がある様に、バッテリーも規格 (形状、コネクターの位置、ICカードの位置等) を規定しないと電気自動車の普及に問題が発生することになるからである。
(2)電気自動車メーカーによるバッテリー搭載方法の構造上の再設計が行われ、誰でもが簡単にバッテリーの交換が出来る構造になること。
(3)バッテリー側の履歴管理用として、ICカード(RFIDもその一種)を活用すること。
(4)安価な自動化充電設備が製造されるようになること。充電設備としては、複数のバッテリーを同時に充電出来る装置が望まれ、バッテリーを自動で挿入したり取り出したりするロボット機能を内蔵できれば更に利便性が高まる。
これらの条件が整備されていることを前提として、以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
《第1の実施の形態》
以下、本発明に係る共用バッテリー管理システムの第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。この実施の形態のシステム(以下、「本システム」)は請求項1に係る発明の適用例である。
【0018】
図1は、本システムの適用例を示す概念図である。
図1において、バッテリーステーション(以下「ステーション」)1は、電気自動車2に搭載されているバッテリー3を交換する設備である。従来のガソリンステーションの電気自動車版と考えればよい。ガソリンを給油する代りに、バッテリー3を交換するわけである。
なお、図1にはステーション1が1箇所のみ表示されているが、任意個数の地点に設置され得る。
【0019】
各ステーション1は、管理施設4と充電設備5とを備えている。
管理施設4には、ステーション管理装置6が設置され、客待ちのスタッフが待機したり、客が充電量に対応する料金を支払ったりするカウンターなどがある。なお、管理施設4と充電設備5とが一体の設備であってもかまわない。
【0020】
充電設備5は、搬送装置7と、充電装置8と、コントローラ部9を含んで構成される。
搬送装置7は、電気自動車2からバッテリー3を取り外して充電装置8に挿入したり、充電装置8からバッテリー3を取り出して、電気自動車2に装着したりする機能を有する装置である。バッテリー3をピックアップする自動ビックアップ装置(ロボット)や、充電済みバッテリー3を車に装着するための自動ローディング機能なども適宜備わっているが、詳しい説明は省略する。
【0021】
充電装置8は、電気自動車2から取り外されたバッテリー3を充電する装置であり、1個だけでなく、同時に複数のバッテリー3を充電することもできる。なお、充電装置8の形状は例えば蜂の巣状やロッカー状などが好ましい。バッテリー3のサイズはできる限り共通化するものの全車種で共通とすることはできないので、サイズ調整カバーや大き目の収納形状により自由に対応可能とするためである。
【0022】
コントローラ部9は、バッテリー3に添付されているRFID10を読み取ったり、充電装置8による充電の状況を監視し制御したり、RFID10に必要な情報を書き込んだりする。
【0023】
システム管理装置11は、通信ネットワークNを介して、各地のステーション1のステーション管理装置6と接続し、ステーション管理装置6から送信されてくる情報をバッテリー管理データベース12に登録したり、バッテリー管理データベース12に登録されている情報をステーション管理装置6に送信したりする。このバッテリー管理データベース12には、バッテリー交換のために必要な情報が網羅して記録されている。また、各バッテリー3に添付されているRFID10に記憶されている情報の殆んどすべてがこのバッテリー管理データベース12にも登録されている。この点、後で詳しく説明する。
【0024】
システム管理装置11は、本システムに加わっている複数のステーション1を統括する主体の管理コンピュータといった性質をもつ。充電料金のクレジット決済や、複数のステーション間の充電済みバッテリーの在庫問合せのような業務は、各ステーションのステーション管理装置6には適さず、システム管理装置11に適している。
【0025】
電気自動車2には、RFID10が添付されているバッテリー3と、走行状態を検知して、検知した走行情報をRFID10に書き込むマイコン13が搭載されている。走行情報がRFID10に随時書き込まれるので、残りの走行可能距離などが正確に算出できる。マイコン13に走行情報に基づいて走行可能距離などを算出できる機能を持たせ、算出したデータをカーナビ(図示せず)に入力し、走行可能な範囲などをカーナビの画面上に表示させてもよい。
【0026】
図2は、ステーション管理装置6と、コントローラ部9と、システム管理装置11の内部構成を示すブロック図である。
【0027】
コントローラ部9は、検知部9a、RFID読取・書込部9b、処理部9c、表示部9d、通信部9e、記憶部9fを備える。
検知部9aは充電装置8が備える1以上の充電器(図示せず)と電気的に接続し、その現在の動作状態を検出する。
RFID読取・書込部9bは、充電装置8に格納されているバッテリー3に添付のRFID10からバッテリー3及び電気自動車2に関する必要情報を読み取ったり、書き込んだりする。
処理部9cは、検知部9a、RFID読取・書込部9bから取得した情報に基づいて充電装置8の動作を監視し制御する。例えば、格納されたバッテリー3が再充電可能か否かを判定したりする。
表示部9dは、充電の進捗度を表示したり、再充電が不可の場合に警告のメッセージを表示したりするモニター画面などである。なお、画面表示の代わりに、音声で提示してもよい。
通信部9eはステーション管理装置6とデータの送受信を行う通信インターフェースである。また、システム管理装置11から送信されてきた情報をステーション管理装置6を介して受信することもある。
記憶部9fは、充電器による動作状態やRFID10から読み取った情報などを一時的に記憶し、所定のタイミングでステーション管理装置6に送信されたり、RFID10に書込まれたりするまで情報を保存する。
【0028】
ステーション管理装置6は、通信部6a、処理部6b、記憶部6c、表示部6dなどを備える。
通信部6aは、コントローラ部9およびシステム管理装置11のそれぞれと情報の送受信を行うための通信インターフェースである。ステーション管理装置6は、コントローラ部9と無線ないし有線ケーブルで接続されており、システム管理装置11とインターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能となっている。
処理部6bは、コントローラ部9から送信されてきた情報を、システム管理装置11に送信する。これによりシステム管理装置11の管理下にあるバッテリー管理データベース12の情報とステーション1側で取得・更新した情報との整合がとれることになる。また、処理部6bはシステム管理装置11から送信されてきた情報をコントローラ部9に送信することもある。さらに、処理部6bは、充電済みバッテリー代の精算や顧客管理などの処理も適宜実行する。
記憶部6cは、ステーション1に固有のデータを記憶したり、処理部6bによる処理過程におけるワーク的なデータを一時的に記憶したりする。
表示部6dは、処理部6bによる制御のもと各種のデータを画面表示する。
なお、コントロール部9、ステーション管理装置6は他にも図示しない入力手段(マウス、キーボードなど)や印刷手段、さらに、ステーション管理装置6側からでも充電設備5をコントロールできる機能を備えてもよい。
【0029】
システム管理装置11は、通信部11a、処理部11b、記憶部11cなどを備える。
通信部11aは、ステーション管理装置6と情報の送受信を行うための通信インターフェースである。
処理部11bは、ステーション管理装置6から送信された情報を基にバッテリー履歴管理のための情報を記憶部11cに記憶させる。また、ステーション管理装置6から問合せのあった情報を記憶部11cから取得して、返送する。
【0030】
記憶部11cは、本実施形態のシステムの運用に必要なデータを記憶するバッテリー管理データベース12を格納する。バッテリー管理データベース12は、図3に示すように、バッテリー毎の情報を記憶するバッテリー管理テーブル14と、ステーション毎の情報を記憶するステーション管理テーブル15に大別される。システム管理装置11は、このシステムに参加している全ステーションおよび共同使用に供されている全バッテリーに関する情報をバッテリー管理データベース12で一元管理する。このようにバッテリー3に関して必要な情報の一元管理がなされているので、電気自動車2の運転者は、どのステーション1においても所望のバッテリー3の交換ができることになる。
記憶部11cには、このシステムを利用するために会員登録が必要であれば、その会員の電気自動車2に関する情報を記憶する会員・自動車テーブルなども適宜備えてもよい。
他に記憶部11cは、各種処理プログラムを格納したり、処理部11bによる処理過程におけるワーク的なデータを一時的に記憶したりする。
システム管理装置11は、図示しない入力手段(マウス、キーボードなど)、表示手段、印刷手段なども適宜備える。
【0031】
次に、本システムで使用されるRFID10に記憶されるデータの構造、及びバッテリー管理データベース12の構造について説明する。
まずRFID10に記憶されるデータ項目について図4を参照しながら説明する。
【0032】
本システムでは電気自動車は、専用のバッテリーを使用し続けるのではなく、システムが準備しているバッテリーの中から車種などに適合するバッテリーを使用する。つまり、システムの利用者の間でバッテリーを共同使用するわけである。この共同使用を可能とするのは、各バッテリー3にそれぞれ添付されているRFID10が履歴情報を記録していることによる。
【0033】
このRFID10に記録される情報には、4つの分類に大別される。
第一の分類「共通部」に属するデータ項目は、RFIDの識別情報、バッテリーの形状、充電容量などのRFID10や添付されるバッテリー3に固有な情報であって、これらは新品のバッテリー3が出荷されるときに記録される。
「共通部」には当該バッテリー3が破棄される日付も含まれ、これは出荷時には空欄であって、破棄時にコントローラ部9によって記録される。この項目が空欄でないならば、当該バッテリー3はもはや使用不可であると判定できる。
【0034】
第二の分類「延べ情報部」に属するデータ項目には、充放電回数、充電時間、放電時間、放電エネルギー量、走行距離が含まれ、充電装置8に挿入されている所定のタイミングでコントローラ部9によって記録される。充電時間を例にとると、出荷時は0時間、最初に充電装置8で充電されたときに2時間を要したならば、その充電装置8から取り出されるときに2時間が記録され、2回目に3時間かけて充電されたときは、その充電装置8から取り出されるときに5時間という累計値が記録される。
【0035】
第三の分類「取付情報部」に属するデータ項目には、取付け日時、取り付けられる車種、取り付けられたときの充電電気量が含まれる。取付け日時と車種は充電装置8から電気自動車2に装着されたときに車側のマイコン13で記録すればよい。充電電気量はフルに充電された、50%充電されたといった割合であり、充電装置8から取り外されるときにコントローラ部9によって記録される。
【0036】
第四の分類「走行情報部」に属するデータ項目は、放電時間、放電エネルギー量、走行距離、バッテリー状態などが含まれる。これらの情報は走行時に随時マイコン13によって記憶される。このマイコン13はバッテリー3自体に組み込んでもよいが、この実施形態では電気自動車2の本体ないしは電気自動車2とバッテリー3との接続部分にマイコン13を組み込むものとする。このように電気自動車にマイコン13が組み込まれているならばカーナビなどと連動することにより残り走行距離などの管理が容易となるというメリットがある。
なお、バッテリー状態は走行時だけでなく充電時にも記録されることが望ましい。このバッテリー状態は、予定よりバッテリー3の消耗が早い場合の監視用データとして有用である。
【0037】
図4には記載がないが、バッテリー3を破棄した理由、電気自動車2の重量、電気自動車2を特定する情報なども含めてもよい。
以上の説明のように、RFID10には当該バッテリー3に関する必要な情報が網羅して記録され、これらの情報の一部は、次に説明するバッテリー管理データベース12にも同一内容が登録される。
【0038】
次に、バッテリー管理データベース12に記録されるデータについて説明する。
図5はバッテリー管理テーブル14,図6はステーション管理テーブル15のデータ構造を示す。
【0039】
バッテリー管理テーブル14は、1個のバッテリー3につきバッテリーテーブル14a、RFIDテーブル14b及び位置情報テーブル14cが各1レコードからなり、他に履歴データごとに1レコードの履歴情報テーブル14dを持つ。
【0040】
バッテリーテーブル14aの多くの情報はRFID10の「共通部」に記録されている情報と共通である。
RFIDテーブル14bは、バッテリー3と添付されているRFID10との対応を示すテーブルであり、出荷時に記録される。
履歴情報テーブル14dは、ステーション1側での作業時、つまり電気自動車2から取り外されて充電装置8に挿入されたとき、或いは充電を終えて電気自動車2に装着されるときに1レコードが記録される。RFID10の「共通部」以外のデータ項目も、このテーブルに記録される。このように、バッテリーテーブル14aと履歴情報テーブル14dのいずれかに、RFID10に記録されているデータが記録される。
位置情報テーブル14cには、現在のバッテリー3の所在を記録する。もし電気自動車2に装着されて走行中であれば、カーNoが記録されステーションIDは空欄であり、充電中あるいは充電が完了し車への装着待ちであれば、カーNoは空欄であってステーションIDが記録される。
【0041】
ステーション管理テーブル15は、1箇所のステーションにつき1レコードのステーションテーブル15aと、1ステーションが保管しているバッテリー毎に1レコードの保管バッテリーテーブル15bから構成される。
【0042】
ステーションテーブル15aには、住所のほかに経営者名や電話番号などを適宜記録してもよい。充電できるバッテリーの種類も記録しておくのは、ステーションの備える充電装置8によっては特定種類のバッテリーしか処理できないこともあるからである。
保管バッテリーテーブル15bには、バッテリーIDとそのバッテリーの状態を記録する。バッテリーの状態とはフル充電、充電中、破棄予定などである。充電時間と充電電気量は、充電装置に挿入されて充電中に刻々と変化する時間と電気量であり、コントローラ部9によって記録される。
これらのバッテリー管理テーブル14とステーション管理テーブル15は、ステーション管理装置6から送信されてくる情報に基づいてシステム管理装置11によって生成される。
【0043】
このように、複数のステーション1を統括する側のシステム管理装置11がバッテリー3に関する必要な情報を網羅的にバッテリー管理データベース12に格納して管理する。したがって、本システムは共同使用に供されるバッテリー3のそれぞれが現在どのような状態でどこに所在するかを捕捉できる。これにより、運転者はシステム管理装置11に問合せることにより、どのステーション1に行けば所望のバッテリー3と交換可能であるか等がわかり、電気自動車ユーザーへの利便性が高まる。
一方、何らかの原因でRFID10が破損したり内部の情報が読み取りできなくなったりしたときもシステム管理装置11に問合せれば情報の復元ができる。
【0044】
次に、本システムの運用例を、図7を参照しながら説明する。
電気自動車2の所有者は、本システムを利用するために予め会員登録をしておくことが好ましい。会員登録(或いは車両登録でもよい)をしておくならば、電気自動車の種別なども登録し、バッテリー交換サービスを利用する度に車種などを申告しなくても会員番号を言うだけでよい。しかし、この点の詳細な説明は省略する。
【0045】
バッテリー3の交換の必要があるときは、電気自動車2の運転者は、ステーション1に立ち寄る。ステーション1のスタッフは、電気自動車2から装着されているバッテリー3を取り外す(ステップS1)。
取り外したバッテリー3上に取り付けられているRFID10からバッテリー型番、製造メーカー、充放電回数、充電・放電時間、走行距離等をスタッフがRFID読取・書込部9bを介して読み取り、その情報はステーション管理装置6に自動的に送信される(ステップS2)。このようにRFID10の情報が読み取られたり、更新されたりしたときは、その情報がステーション管理装置6に送信される。ステップS4以降の処理においても同様である。
【0046】
ステーション管理装置6の処理部6b、あるいは充電装置8のコントローラ部9は、読み取った情報に基づいて、バッテリー3が再充電可能か否かの判断をし、可能でなければ(ステップS3でNo)、モニター画面9dに表示したりしてバッテリー3を破棄するようスタッフに通知する。あわせて、コントローラ部9がRFID10に破棄日付などを記録し、ステーション管理装置6に破棄情報を送信する(ステップS4)。再充電不可と判定されたバッテリーは適宜廃棄処分の対象になる。なお、再充電の可否は、製造年月日、バッテリーの能力を規定するバッテリー型番、充放電回数などによって判断される。
【0047】
取り出したバッテリー3がまだ使用可能であれば(ステップS3でYes)、充電装置8に挿入されて充電が行われる(ステップS5)。
その際、RFID10から読み取ったバッテリー型番、製造メーカー等の情報をステーション管理装置6に送信することで、充電装置8のどの場所に挿入すべきかを問い合せ、特定された場所に当該バッテリーを挿入して充電を開始する。充電を終えたなら適当なタイミングでコントローラ部9は充電時間や回数などをRFID10に書き込み、その情報をステーション管理装置6に送信する。充電済みのバッテリーは充電設備において、次に装着される電気自動車を待つことになる。
【0048】
一方、電気自動車2の所有者は、取り出されたバッテリー3の代わりに充電済みのバッテリー3を充電設備5において装着してもらう(ステップS6)。このステップS6の処理は、ステップS3以降の処理とは別に並行して行われる。以下にステップS6の内容を詳しく述べる。
電気自動車2の所有者は、車種名とカーNo.をステーションのスタッフに伝える。スタッフがステーション管理装置6を操作し、ステップS2においてRFID10から読み込んだデータと電気自動車2の所有者から入手した情報をベースにして、システム管理装置11に問い合わせをする。システム管理装置1から、その車種に適合するバッテリー3が保管されている充電装置8の充電場所(充電器)を特定する情報が送信されてくるので、その情報がステーション管理装置6の表示部6d上に表示される。
ここで、ステーション管理装置6は、上記のように該当するバッテリーの所在をシステム管理装置11に問合せてもよいが、保管しているバッテリー3に関する情報を記憶部6cに記憶しておき、処理部6bがバッテリーの保管場所を記憶部6cから取り出してもよい。
ステーション1のスタッフは特定された場所から充電済みのバッテリー3を取り出す。この時、現時点の充電電気量とそれを取り付けた日時がRFID10に自動書き込みされるとともにステーション管理装置6に送信される。
電気自動車2の所有者は、バッテリー充電量分の代金を支払い、ステーション1を後にする。
もし、支払いがクレジットカードによる場合は、システム管理装置11にカーNOと対応づけて支払い額を送信する仕組みとすればよい。
【0049】
電気自動車2の走行中は、放電時間、放電エネルギー量、走行距離などの情報がマイコン13からRFID10に逐次書き込まれる(ステップS7)。走行距離は、電気自動車2の距離メータと連動する車載のマイコンから情報をもらえばよい。これらの情報は、ステーション1にて再充電のために充電設備5に挿入されるときに読み出され、ステーション管理装置6に送信される。
【0050】
ステーション管理装置6は、これらのバッテリーに関する情報を適当なタイミングでシステム管理装置11に送信し、バッテリー管理データベース12が更新されることになる(ステップS8)。ここで、システム管理装置11へのバッテリー3に関する情報の送信はリアルタイムである必要はなく、一定時間ごとの定期的通信でもよい。
【0051】
上記のように、本実施の形態のシステム内で共用される全バッテリーはシステム管理装置11によってアクセスされるバッテリー管理データベース12上で一括してライフサイクル管理がなされている。
バッテリーの使用可能期限を例えば3年とすると、バッテリーの管理は電気自動車間で共同使用管理とされている為にそのトラッキング情報、すなわち、今どの地域においてどの電気自動車で使用されているのか、あと何年使用可能か等の情報の管理が可能であって、それらの情報をベースにして廃棄処理手続きをし、その情報を共有データベース上で管理することができる。しかも、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって、このデータベースへの登録は殆んど人手を介することなくRFIDの読み込みによって更新できるような仕組みとすることができる。そのため、ステーションのスタッフにとっても電気自動車のユーザーにとっても手続き・作業が簡便であって、本システムの普及が期待できる。
【0052】
《第2の実施の形態》
この第2の実施の形態は、バッテリー管理データベースに項目を追加した点において第1の実施の形態と相違し、それ以外は第1の実施の形態と変わるものではない。したがって、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明し、同一の機能には同一の符号を付す。
【0053】
図8は、本実施形態のシステムの概念図である。
図1との相違は、バッテリー管理主体100を明示した点にある。バッテリー管理主体100は、システム管理装置11およびバッテリー所有主体101をその管理下に置く。
バッテリー所有主体101とは、本システムにおいて共同使用されるバッテリーの所有者である。バッテリー所有主体101は、所有しているバッテリー3を電気自動車2に貸し出す。バッテリー所有主体101は、バッテリーの所有と貸し出しを扱う会社等である。
バッテリー管理主体100は、バッテリーという有形物を扱うバッテリー所有主体101(以下、「バッテリー所有会社101」)とバッテリーに関する情報という無形物を扱うシステム管理装置11の両者を管理し、本システムが円滑に運営されるようにする。
【0054】
本実施形態の趣旨は、バッテリー3自体の所有者を電気自動車2の所有者と分離することにより、バッテリー3の共同使用を効率よく円滑に行おうとするものである。
バッテリー3自体は、バッテリー管理を業として行うバッテリー所有会社101がその所有物として管理し、バッテリー3の使用者(=電気自動車2の所有者)は契約によりバッテリー所有会社101のバッテリー3を使用することができ、そのバッテリー3を電気自動車2の使用目的にのみ使用できる。
電気自動車2の購入時に付属品として付いてくるバッテリー3は、バッテリー所有会社101によって購入されたものであり、電気自動車2の購入者に貸与される。
バッテリー所有会社101には、バッテリー3の所有、システム管理装置11との連携によるバッテリー管理データベースの管理、決済の代行など複数の機能があり、これらの機能を複数の会社で分担して実施することも可能である。バッテリーメーカーや電気自動車メーカーがバッテリー所有会社101を兼ねることもある。タクシーや宅配用車両を大量に所有する運送会社は、その運送会社自体がバッテリー所有会社101であることもありうる。要は、本実施形態において、バッテリー3を所有し、本システムのバッテリー管理データベースを利用してバッテリー3を管理する会社が存在する、という点が重要なのである。そのバッテリー所有会社101がバッテリーメーカーや電気自動車メーカーとどういった関係があるのかは本発明にとって問題とならない。
【0055】
この実施の形態で使用されるバッテリー管理データベース102について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
バッテリー管理データベース102は、図9に示すように、バッテリー3毎の情報を記憶するバッテリー管理テーブル103と、ステーション毎の情報を記憶するステーション管理テーブル15と、本システムのバッテリー3を利用する電気自動車2毎の情報を記憶する電気自動車管理テーブル104と、本システムで利用されるバッテリー3を所有しているバッテリー所有者毎の情報を記憶するバッテリー所有者管理テーブル105に大別される。システム管理装置11は、このシステムに参加している全ステーション1、全電気自動車2、共同使用に供されている全バッテリー3およびその所有者101に関する情報をバッテリー管理データベース102で一元管理する。
【0056】
次に、図10を参照しながら、バッテリー管理テーブル103のデータ構造を示す。バッテリー管理テーブル14との相違は、バッテリーテーブル103aに「所有者ID(d1)」、「充放電回数(d2)」、「充電電気量(d3)」および「バッテリー状態(d4)」が追加された点であり、他に相違はない。
「所有者ID(d1)」には、バッテリー3の所有者のIDが記録される。所有者は、たいていバッテリー所有会社101である。
「充放電回数(d2)」および「充電電気量(d3)」は、ステーション1などでの充電時あるいは電気自動車への装着時に書き込まれる情報であって、電気自動車2の所有者に対する充電料および基本使用料の算出のために参照される。また、特殊車両の場合は充電が頻繁に行われるので、バッテリーの廃棄のタイミングを「充放電回数(d2)」に基づいて決めることがある。
「バッテリー状態(d4)」は、主としてバッテリー所有会社101がバッテリー3の廃棄のタイミングを計るために参照する。具体的には、フル充電状態で製造時の80%しか充電が出来なくなったなどの情報が書き込まれる。
【0057】
次に、図11を参照しながら、電気自動車管理テーブル104のデータ構造を示す。
本システムではバッテリー3が共同使用されるので、バッテリー3が搭載される電気自動車2は毎回異なるのが通常である。バッテリー管理主体100としては、現在どのバッテリー3がどの電気自動車2に搭載されているかを把握することは必要である。そのため、各電気自動車2の情報をデータベース化したわけである。
「車両ID(d5)」、所有者名や購入日などとともに、「特殊運用モード(d6)」、「基本使用料支払方法(d7)」が当該電気自動車2の購入時に電気自動車管理テーブル104に書き込まれる。この購入時のデータベースへの登録処理はバッテリー管理主体100あるいはバッテリー所有会社101がオフラインあるいはオンラインの手段によってシステム管理装置11にアクセスすることで行われる。
「特殊運用モード(d6)」とは、タクシーや宅配用車両などの主として運送業で用いられる場合にセットされる情報である。この運用は、自社が運営する専用のステーション1のみで充電・交換されたり、本システムを利用する一般ユーザーの車両と異なる扱いが要求されることも考えられるのでデータベースに記録しておく。
「基本使用料支払方法(d7)」とは、バッテリー3を利用するための対価の支払方法であり、電気自動車2の購入時に一括払いをするか、バッテリー3の使用可能期間にわたって分割払いをするかの別である。
【0058】
ここで、バッテリー3の使用に伴う料金について説明する。
この実施形態では、料金は、基本使用料と従量制の充電料の二つを払うことになる。
電気自動車2を購入した時に、バッテリー3についても費用が発生するが、これは本システムを使用してバッテリーを共用することの対価である。これが基本使用料である。電気自動車2の購入時に一括払いされることもあるが、電気自動車2に占めるバッテリー3の代金はかなり大きなものがあるので、本実施形態では電気自動車2の購入時の負担を軽減するために分割払いも可とする。分割払いでは、毎月あるいはステーション1での交換時に支払うので負担が電気自動車2の使用期間にわたって平準化される。このように費用面からも負担感を軽減することで、本発明は電気自動車の普及に一役買うことも意図している。
ただし、タクシー、宅配用車両、長距離トラック等の特殊車両に関しては、通常の電気自動車とは異なり、車両の購入時に付属品であるバッテリーの基本使用料全額が支払われる。特殊車両を用いて運送業などを営む会社にとって、車両の購入と同時にバッテリーも購入した方が資産の管理が容易になる等の理由による。
【0059】
なお、基本使用料の金額設定について2点付言しておく。
第1に、基本使用料は、電気自動車2の事故によるバッテリー3の破損等も考慮して金額設定を行う。すなわち、電気自動車2を購入したが殆ど走行しないでバッテリー3が劣化してしまうケースも発生しうるし、交通事故や災害の影響により、バッテリー3が途中で使用不可となってしまうケースもある。こういった損害発生も想定した基本使用料の料金体系にすることが望ましい。あるいは、災害・交通事故の場合には、バッテリー所有会社101と保険会社との間でそれを保証する仕組みを作っておくのもよい。なぜなら、一般的に自動車車両保険の対象が、所有物である自動車に対するものであるため、非所有物であるバッテリーの取り扱いが曖昧になりやすいからである。本発明の料金体系に保険でのバッテリーの取扱いをあらかじめ組み入れることは、関係者全体に有意義である。
第2に、一般的にバッテリー3は使用を繰り返すほど性能が劣化することを考慮に入れた金額設定が必要である。劣化が急激になる時点は容易に認識できる。たとえば、製造時フル充電の80%しか充電ができなくなる時点を閾値ときめ、その平均的な期間(例えば3年間)を日割りしたものが基本使用料算出の根拠となる。ただし、バッテリー充電時に支払う基本使用料を低くする為に、バッテリー使用の契約時(電気自動車2の購入時)にバッテリー価格の例えば30%を徴収するといった仕組みをとってもよい。
【0060】
充電料は、基本使用料とは別に充電時あるいは交換時に発生する費用である。電話や電気などの公共料金では、一定額の基本料金に使用量に応じた使用料金が加算されるが、この充電料は使用料金に相当する。なお、基本使用料を電気自動車購入時に一括払いしている人は、電気自動車購入後は充電料のみを支払うことは言うまでもない。
これらのバッテリーに関する費用は、ステーション1に支払ってもよく、カード払いや月締めでの決済でもよいが、決済に関する事項は当事者間の契約の問題なので、詳細は省略する。
【0061】
電気自動車管理テーブル104の「基本使用料更新日(d8)」欄のデータは、電気自動車2の購入時あるいは必要なときに書き込まれる。
通常バッテリー3は電気自動車2よりも耐用年数が短く、1台の電気自動車2が使用可能な間に複数のバッテリー3の使用をする権利が入手されることになる。そのため、あらかじめ基本使用料の更新タイミングを例えば車検の都度といったように定めておく。これが基本使用料更新日である。「基本使用料支払方法(d7)」が一括払いであれば、この基本使用料更新日が到来するとバッテリーを使用する権利を更新するために一括払いをする。また、分割払いであれば、この基本使用料更新日が到来するとバッテリー基本使用料の分割払い期間が新たに開始する。
「使用中バッテリーID(d9)」は、現在電気自動車2に搭載しているバッテリー3のIDである。使用中のバッテリーについては、その位置情報テーブル14cの「位置(車/ステーション)」の欄に、当該電気自動車2の「車両ID(d5)」が記録される。これにより、どのバッテリー3がどの電気自動車2に搭載されているかがデータベース上で捕捉できる。
【0062】
次に、図12を参照しながら、バッテリー所有者管理テーブル105のデータ構造を示す。
このバッテリー所有者管理テーブル105には、所有者IDと対応づけて所有者名や連絡先が記録される。連絡先としては、担当者名、担当者の電話番号や電子メールアドレスなどがある。
バッテリーに不具合が生じた場合や、ステーション1での交換に伴う充電料が発生した場合などに主としてシステム管理装置11から所有者101側へ連絡するために設けたテーブルである。この所有者IDは、図10に示したようにバッテリーテーブル103aに記録されるとともに、図13に示すようにRFID106の共通部の「所有者ID(d10)」欄にも記録される。
【0063】
このように、バッテリー管理主体100と連携あるいはその配下にあるシステム管理装置11がバッテリー3に関する必要な情報を網羅的にバッテリー管理データベース102に格納して管理する。したがって、本システムは共同使用に供されるバッテリー3のそれぞれが現在どのような状態でどこに所在するかを捕捉できる。
これにより、運転者はシステム管理装置11に問合せると、どのステーション1に行けば所望のバッテリー3と交換可能であるか等がわかり、電気自動車ユーザーへの利便性が高まる。
バッテリー3を所有する主体101は、所有物であるバッテリー3に関する履歴管理が容易となり、料金徴収、バッテリーの新規購入、リサイクルなどが適切に行える。基本使用料・充電料の徴収のためには、別途ユーザー毎に課金・決済情報テーブルを持ち、バッテリー管理データベース102の情報との組合せで処理されることになる。この点については、当事者間で種々の取り決めが可能なため、詳細は省略する。また、どこが請求書を発行し、どこに入金されるのか、入金額をどのように配分するのか等も当事者間の契約次第であるため、説明は省略する。
また、電気自動車メーカーやバッテリーメーカーにもこのデータベース102へのアクセスを許可するならば、これらのメーカーにとって技術開発、生産調整、リサイクルなどの参考資料となる。
【0064】
本実施形態は、電気自動車2を購入した時点で、付属品として付いてくるバッテリー3は購入した人の所有物ではなくなり、そのバッテリー3は共有物としての位置づけで管理されるところに特徴がある。この特徴を備えている変形例にはさまざまなものが考えられる。
図8のバッテリー管理主体100の運営形態は種々考えられる。バッテリーメーカーや電気自動車メーカーなどのジョイントでも良い。あるいは、例えばタクシー会社や宅配業者のような運送会社がバッテリー管理主体100となり、そのバッテリー管理部署がバッテリー所有主体101となり、自社専用の車両基地などにバッテリーステーションを併設した、1社内だけで閉じたシステムとして本実施形態が運用されてもよい。運送会社は多数のバッテリーを所有し、しかも一般ユーザーに比較してはるかに充電回数が多いので、本システムを利用して全バッテリーの履歴管理が行えるならば、新規バッテリーの購入計画などが立てやすくなる。
要は、電気自動車普及のためのインフラを提供することが重要なのである。
【0065】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は請求項4に係る発明の適用例である。
本発明は、従来のガソリンステーションと同じようにバッテリーステーションに行けばいつでも、どこでもバッテリーの交換が出来る仕組みを作ることが課題である。そのために管理しなくてはならないものがバッテリーであり、その履歴管理をRFIDに代表されるICカードを活用して行おうとするのが本発明である。したがって、複数のステーションを統括するシステム管理者の存在は必須の要件ではない。
この第3の実施の形態は、システム管理者が存在せず、したがって一括して情報を管理するデータベースが無くても円滑なバッテリー交換を実現する点で第1の実施の形態と異なる。
【0066】
図14は、この実施の形態のシステム構成を示す図である。
図1と比較すると、システム管理装置11が無く、したがって、ステーション管理装置6とシステム管理装置11とのデータの送受信がないが、他は同様である。
RFID10にはバッテリーの履歴管理に必要な情報がすべて記録されている。そのために、ステーションにおけるバッテリーの充電、および充電済みのバッテリーの車への装着作業はバッテリー管理データベース12を参照しなくてもRFID10から必要な情報を取得して進めることができる。RFID10に記録されるデータは、第1の実施の形態と同様であり、図4に示すとおりである。
【0067】
この実施の形態は、第1の実施の形態と比べると、
(1)RFID10が何らかの原因によって内部のデータの読み込みができなくなった場合に対応ができない、
(2)ステーション間での在庫の問い合わせが円滑にできない、
(3)クレジットによる決済に適さない、
といった不便さがある。
【0068】
しかし、バッテリー情報の一元管理がなされなくても、RFIDの利用だけで十分にバッテリー交換が実現できるという状況が考えられる。
例えば、次のような状況である。
国立公園などでガソリン車の規制を行っている場所、あるいは離島などの自家用車での到着が困難な地域において、観光客に電気自動車をレンタルする。電気自動車の利用者のために、その地域の各所にバッテリーステーションを設置して充電を行う。この場合、各ステーションにバッテリーが十分に保有されていることを前提に交換予約は行わない。決済は現金ないしプリペイドカードに限る。
このような状況であれば、第3の実施の形態は十分に実現可能である。
【0069】
以上、第1〜第3の実施の形態をもとに本発明の説明をしてきたが、これらの実施の形態は例示にすぎない。RFIDに記憶させるデータ項目、データベースのテーブル構造、処理の流れ等につき種々の変形例が考えられ、それらの変形例も本発明の範囲である。
そうした変形例のいくつかを下記に記す。
【0070】
第1の実施の形態では特に言及しなかったが、バッテリーの交換予約機能も容易に追加できる。バッテリーステーションに立ち寄っても、所望の充電済みバッテリーが保管されているとは限らない。そのため、走行中の車内からインターネットと接続可能な携帯電話、あるいは搭載しているカーナビからバッテリーの予約を入れることが好ましい。その場合、バッテリーとカーナビから得られる情報によって、残り走行距離と目的地との間で交換できるステーションを検索して、対象となるバッテリーの在庫確認あるいは配送予約をする。
この場合、個別のステーションに予約の連絡をするよりも、システム管理装置11にアクセスするのが適当である。システム管理装置11は、バッテリー管理データベース12のステーション管理テーブル12を参照することで、どのステーションにどのバッテリーの在庫があるかを把握できる。電気自動車の運転者が希望するステーションに在庫があれば、システム管理装置11はそのステーション6に予約の連絡をいれればよい。もし、在庫が無ければ、システム管理装置11は在庫のある別のステーションから当該ステーションへのバッテリーの配送を指示すればよい。
このように第1の実施の形態のバッテリー交換システムに予約システムも連動させるならば、予約時に、当該ステーションに該当するバッテリーが存在しなくても、到着時までに配送可能であれば予約可能にすることができる。予約の際に、充電量を指定可能であれば、さらに利便性が高まる。走行距離によっては、必ずしもフル充電でなくてもよいからである。
ただし、予約機能を持たせる場合は、各ステーション管理装置6からのシステム管理装置11への情報の送信(図7のステップS8参照)はリアルタイムで行われることが望まれる。
【0071】
上記の実施の形態では、各ステーションは電気自動車にバッテリーの交換サービスを提供しているが、充電サービスを提供してもよいことは言うまでもない。たとえば、観光地のホテルの駐車場にステーション1が設置されているならば、バッテリーを充電済みのものに交換するのではなく、夜間にこのステーション1にて充電することもありうる。
また、バッテリーの交換はステーション1のスタッフが行うのが通常であるが、セルフ式ガソリンステーションのように電気自動車の運転者が自分で行ってもよい。そのためには、車からのバッテリーの取外し、装着が容易なように車の設計がされていることが前提である。
さらに、上記の実施の形態では、電気自動車がステーションに立ち寄るが、ステーションは電話等の注文を受けてバッテリーを指定場所へ届けるサービスを提供することも可能である。充電設備から取り出し車にバッテリーを装着する際にRFIDに書き込むのと同様の情報をRFIDに書き込んでから、客先に配送すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
バッテリーの充電に長時間を要するという問題を解決し、電気自動車の普及、さらにはCO2の削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0073】
1:バッテリーステーション、2:電気自動車、3:バッテリー、5:充電設備、
6:ステーション管理装置、8:充電装置、9:コントローラ部、10:RFID、
11:システム管理装置、12:バッテリー管理データベース、13:マイコン、
100:バッテリー管理主体、101:バッテリー所有主体、
102:バッテリー管理データベース、106:RFID、
N 通信ネットワーク
【技術分野】
【0001】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車の普及のためにバッテリーの共同使用を円滑・確実に行うための共用バッテリー管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の環境やエネルギー資源についての問題に対する関心の高まりとともに、排出ガスの低減と省エネルギー化の実現の観点から電気自動車が注目されている。電気自動車は、一般に、内部に備えたバッテリーから供給される電気エネルギーによって走行するので、ガソリンあるいは軽油、即ち石油を駆動源とすることなく、排出ガスが出ず、CO2削減という地球規模の重要課題に応えるものである。
しかしながら、電気自動車は、一方で、バッテリーの充電に手間と時間がかかるという問題がある。走行途中での充電は、時間を要することから困難であり、長距離・長時間の運行の妨げとなっている。こういった不便さが電気自動車の普及の壁となっているのは事実である。
【0003】
このような問題点を克服し、電気自動車の普及を促進することを意図した発明が複数提案され、特許文献1〜4に記載の発明もその例である。
特開2009−80834号公報(特許文献1)には、電気自動車のユーザーがバッテリーのリース契約を結び、各地のバッテリーステーションなどにてフル充電のバッテリーと交換することによって、電気自動車の長時間運行を可能にするシステムが提案されている。
特開2007−182310号公報(特許文献2)には、蓄電池の交換を行う複数のステーション間での充電済み蓄電池の流通を管理し、ユーザーを充電作業にかかる手間から解放させ得る「蓄電池流通管理システム」が開示されている。
特開2004−215468号公報(特許文献3)には、電気自動車の駆動用バッテリーなどを提供する施設(「電気ステーション」)での充電及びその提供や自然エネルギーによる発電電力の販売、並びに電気ステーションに関する情報提供などを行う「二次電池電源供給方法及びその通信システム並びにプログラム」が開示されている。
特開平9−119839号公報(特許文献4)には、電気自動車のバッテリーの残容量に応じて走行可能距離や走行可能範囲にある充電可能な場所などの情報を表示する「電気自動車用ナビシステム」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−80834号公報
【特許文献2】特開2007−182310号公報
【特許文献3】特開2004−215468号公報
【特許文献4】特開平9−119839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、電気自動車などの長時間運行を可能にするためのアイデアが複数提案されているとはいえ、それを具体化する手段については記載されていないに等しく、
アイデア段階で終わっていると言える。
【0006】
特許文献2に開示されている蓄電池流通管理システムによれば、蓄電池を交換する複数の施設(ステーション)間において蓄電池の在庫管理を行うとともに充電済み蓄電池の配送を適切に行うことができる。このように、各ステーションに充電済みのバッテリーを在庫切れさせないことで顧客サービスを行うものである。しかしながら、電気自動車の運転者にとってバッテリーの残量や残りの走行距離などは最大の関心事であるにもかかわらず、この点に関して格別な配慮はなされていない。なお、特許文献2の〔0042〕ではバッテリーにRFIDをとりつけてバッテリーの状態を管理することに若干言及されているが、具体的な管理の仕組みはまったく開示されていない。
【0007】
特許文献3に開示されている二次電池電源供給方法によれば、双方向通信ネットワークを通じて個々のバッテリーに関する種々の情報、および各バッテリーの現在の配置場所の集中管理をすることで、充電済みの二次電池の仕様及び個数などを容易に把握できるようにし、二次電池の交換及び供給、回収などの利用の利便性を向上させようとする。ところで、バッテリーを交換するシステムでは、バッテリーが共用されることが前提であって、この共用の仕組みを円滑に行うには履歴管理が極めて重要である。しかしながら、特許文献3にはバッテリーの履歴情報の管理について明確な記載が欠けている。また、バッテリー交換を円滑に行うためには情報の取得と書き込みのタイミングが重要であるが、このタイミングが曖昧である。また、集中管理されている情報と、バッテリーを搭載している車側の情報との連携が明記されておらず、走行距離などの情報の蓄積ができるようになっていない。
【0008】
特許文献4に開示されている電気自動車用ナビシステムによれば、運転者はカーナビの画面上に表示されるバッテリーに関する情報を把握しながら走行することができる。
しかしながら、バッテリーの残容量が少なくなっても迅速に走行距離を延長する、という視点は見られない。搭載しているバッテリーを使用し続けることが前提となり、残量が乏しくなったなら時間をかけて充電しなくてはならず、電気自動車の行動範囲を拡げ普及を促進するという性格の発明ではない。
【0009】
本出願人は、ガソリンやアルコールのような燃料と同様に車の動力源となるバッテリーを容易に交換するためには、バッテリーの共同使用を電気自動車の所有者間で可能にする仕組みが必要であるとの問題意識にもとづき本発明を考案した。なぜなら、電気自動車にとっての燃料補給に相当するバッテリー交換は、物理的に異なる場所であっても、いつでも簡単に交換されなければガソリンあるいはアルコール車のフレキシビリティに勝つことは出来ず、電気自動車の普及は困難だからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
バッテリー(鉛電池、ニッケル・水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池)をモーターの駆動源とする自動車(電気自動車が代表的であるが、ハイブリッド車も含まれる。)のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカード(下記の実施の形態のRFIDは、ICカードの一種)が添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部およびシステム管理装置とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行い、
前記システム管理装置はバッテリーに関する情報を一括管理するバッテリー管理データベースにアクセス可能に接続されていることを特徴とする。
これにより、個々のバッテリーに関する情報が一括管理されているので齟齬のない情報をバッテリーステーション間で共有でき、バッテリー交換を円滑に行うことができる。
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明において、前記バッテリー管理データベースには、バッテリー毎に所有者が記録され、自動車毎にバッテリーの基本使用料支払形態が記録されているとよい。この基本使用料支払形態には、自動車購入時の一括払いと、購入時以降の分割払いとが含まれ、分割払いの場合は、当該自動車に使用されるバッテリーの平均的な使用可能期間を日割りしたものを基本使用料算出の根拠とするとよい。
本システムの利用者は、上記の「基本使用料」と、「充電・交換時の従量制の料金」とを負担する。「基本使用料」とは、本発明のシステム(以下、「本システム」)を使用してバッテリーを共用することの対価である。「充電・交換時の従量制の料金」は従来の概念で捉えてよい。
これにより、本システムは、電気自動車とバッテリーとではそれぞれ所有者が異なる場合も容易に管理ができ、また、基本使用料支払形態も複数あるのでユーザーへの利便性が高まる。支払形態に分割払いを含ませたことにより、バッテリーの代金を充電時に平準化することになる。
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行うことを特徴とする。
請求項1では、バッテリーステーションを統括する立場にあるシステム管理装置が、バッテリーに関する情報をデータベースによって一括集中管理している。これに対し請求項4は、情報は各ステーションで管理されるのみで、一括集中管理という形態はとらない。
つまり、バッテリーに添付されているICカードに必要な情報を記録しておきさえすれば、各バッテリーステーション内で円滑にバッテリーの交換ができ、請求項1のようなデータベースは必須ではない。つまり請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明に比べ利便性を一部欠くことになるが、安価なシステムを供給したり、あるいは特定の状況下でサービスを提供したりすることを狙いとしている。
【0013】
請求項1〜4のいずれか1においても、
前記ICカードには、添付されている共用バッテリーを装着している自動車の走行時に走行情報が自動車に搭載されているマイコンによって随時書き込まれるとともに、当該バッテリーが前記充電装置における作業対象となっている時に履歴情報の書き込みが前記コントローラ部によって所定のタイミングで行われることが望ましい。
このように走行情報がICカードに記録されるので、バッテリーの残量や残りの走行可能距離などが正確に算出できる。また、充電装置における作業と連動して情報が記録されるので、正確な情報が簡便かつ効率よく記録できる。
【発明の効果】
【0014】
共用バッテリーの履歴管理が的確に行われるので、バッテリーステーションに立ち寄って充電済みのバッテリーと交換することにより、電気自動車であってもバッテリー切れを心配することなく長距離走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態において、コントローラ部、ステーション管理装置及びシステム管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態のバッテリー管理データベースの全体の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態のRFIDに記録されるデータの項目例を示す図である。
【図5】第1の実施形態のバッテリー管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】第1の実施形態のステーション管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第1の実施形態のバッテリー交換の処理シーケンスを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【図9】第2の実施形態のバッテリー管理データベースの全体の構成を示す図である。
【図10】第2の実施形態のバッテリー管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図11】第2の実施形態の電気自動車管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】第2の実施形態のバッテリー所有者管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図13】第2の実施形態のRFIDに記録されるデータの項目例を示す図である。
【図14】第3の実施形態に係るシステムの適用例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《はじめに》
本発明のシステムを実現するためには、次の条件が充たされていなくてはならない。
(1)バッテリー規格の標準化が推進されること。ガソリンに規格がある様に、バッテリーも規格 (形状、コネクターの位置、ICカードの位置等) を規定しないと電気自動車の普及に問題が発生することになるからである。
(2)電気自動車メーカーによるバッテリー搭載方法の構造上の再設計が行われ、誰でもが簡単にバッテリーの交換が出来る構造になること。
(3)バッテリー側の履歴管理用として、ICカード(RFIDもその一種)を活用すること。
(4)安価な自動化充電設備が製造されるようになること。充電設備としては、複数のバッテリーを同時に充電出来る装置が望まれ、バッテリーを自動で挿入したり取り出したりするロボット機能を内蔵できれば更に利便性が高まる。
これらの条件が整備されていることを前提として、以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
《第1の実施の形態》
以下、本発明に係る共用バッテリー管理システムの第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。この実施の形態のシステム(以下、「本システム」)は請求項1に係る発明の適用例である。
【0018】
図1は、本システムの適用例を示す概念図である。
図1において、バッテリーステーション(以下「ステーション」)1は、電気自動車2に搭載されているバッテリー3を交換する設備である。従来のガソリンステーションの電気自動車版と考えればよい。ガソリンを給油する代りに、バッテリー3を交換するわけである。
なお、図1にはステーション1が1箇所のみ表示されているが、任意個数の地点に設置され得る。
【0019】
各ステーション1は、管理施設4と充電設備5とを備えている。
管理施設4には、ステーション管理装置6が設置され、客待ちのスタッフが待機したり、客が充電量に対応する料金を支払ったりするカウンターなどがある。なお、管理施設4と充電設備5とが一体の設備であってもかまわない。
【0020】
充電設備5は、搬送装置7と、充電装置8と、コントローラ部9を含んで構成される。
搬送装置7は、電気自動車2からバッテリー3を取り外して充電装置8に挿入したり、充電装置8からバッテリー3を取り出して、電気自動車2に装着したりする機能を有する装置である。バッテリー3をピックアップする自動ビックアップ装置(ロボット)や、充電済みバッテリー3を車に装着するための自動ローディング機能なども適宜備わっているが、詳しい説明は省略する。
【0021】
充電装置8は、電気自動車2から取り外されたバッテリー3を充電する装置であり、1個だけでなく、同時に複数のバッテリー3を充電することもできる。なお、充電装置8の形状は例えば蜂の巣状やロッカー状などが好ましい。バッテリー3のサイズはできる限り共通化するものの全車種で共通とすることはできないので、サイズ調整カバーや大き目の収納形状により自由に対応可能とするためである。
【0022】
コントローラ部9は、バッテリー3に添付されているRFID10を読み取ったり、充電装置8による充電の状況を監視し制御したり、RFID10に必要な情報を書き込んだりする。
【0023】
システム管理装置11は、通信ネットワークNを介して、各地のステーション1のステーション管理装置6と接続し、ステーション管理装置6から送信されてくる情報をバッテリー管理データベース12に登録したり、バッテリー管理データベース12に登録されている情報をステーション管理装置6に送信したりする。このバッテリー管理データベース12には、バッテリー交換のために必要な情報が網羅して記録されている。また、各バッテリー3に添付されているRFID10に記憶されている情報の殆んどすべてがこのバッテリー管理データベース12にも登録されている。この点、後で詳しく説明する。
【0024】
システム管理装置11は、本システムに加わっている複数のステーション1を統括する主体の管理コンピュータといった性質をもつ。充電料金のクレジット決済や、複数のステーション間の充電済みバッテリーの在庫問合せのような業務は、各ステーションのステーション管理装置6には適さず、システム管理装置11に適している。
【0025】
電気自動車2には、RFID10が添付されているバッテリー3と、走行状態を検知して、検知した走行情報をRFID10に書き込むマイコン13が搭載されている。走行情報がRFID10に随時書き込まれるので、残りの走行可能距離などが正確に算出できる。マイコン13に走行情報に基づいて走行可能距離などを算出できる機能を持たせ、算出したデータをカーナビ(図示せず)に入力し、走行可能な範囲などをカーナビの画面上に表示させてもよい。
【0026】
図2は、ステーション管理装置6と、コントローラ部9と、システム管理装置11の内部構成を示すブロック図である。
【0027】
コントローラ部9は、検知部9a、RFID読取・書込部9b、処理部9c、表示部9d、通信部9e、記憶部9fを備える。
検知部9aは充電装置8が備える1以上の充電器(図示せず)と電気的に接続し、その現在の動作状態を検出する。
RFID読取・書込部9bは、充電装置8に格納されているバッテリー3に添付のRFID10からバッテリー3及び電気自動車2に関する必要情報を読み取ったり、書き込んだりする。
処理部9cは、検知部9a、RFID読取・書込部9bから取得した情報に基づいて充電装置8の動作を監視し制御する。例えば、格納されたバッテリー3が再充電可能か否かを判定したりする。
表示部9dは、充電の進捗度を表示したり、再充電が不可の場合に警告のメッセージを表示したりするモニター画面などである。なお、画面表示の代わりに、音声で提示してもよい。
通信部9eはステーション管理装置6とデータの送受信を行う通信インターフェースである。また、システム管理装置11から送信されてきた情報をステーション管理装置6を介して受信することもある。
記憶部9fは、充電器による動作状態やRFID10から読み取った情報などを一時的に記憶し、所定のタイミングでステーション管理装置6に送信されたり、RFID10に書込まれたりするまで情報を保存する。
【0028】
ステーション管理装置6は、通信部6a、処理部6b、記憶部6c、表示部6dなどを備える。
通信部6aは、コントローラ部9およびシステム管理装置11のそれぞれと情報の送受信を行うための通信インターフェースである。ステーション管理装置6は、コントローラ部9と無線ないし有線ケーブルで接続されており、システム管理装置11とインターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能となっている。
処理部6bは、コントローラ部9から送信されてきた情報を、システム管理装置11に送信する。これによりシステム管理装置11の管理下にあるバッテリー管理データベース12の情報とステーション1側で取得・更新した情報との整合がとれることになる。また、処理部6bはシステム管理装置11から送信されてきた情報をコントローラ部9に送信することもある。さらに、処理部6bは、充電済みバッテリー代の精算や顧客管理などの処理も適宜実行する。
記憶部6cは、ステーション1に固有のデータを記憶したり、処理部6bによる処理過程におけるワーク的なデータを一時的に記憶したりする。
表示部6dは、処理部6bによる制御のもと各種のデータを画面表示する。
なお、コントロール部9、ステーション管理装置6は他にも図示しない入力手段(マウス、キーボードなど)や印刷手段、さらに、ステーション管理装置6側からでも充電設備5をコントロールできる機能を備えてもよい。
【0029】
システム管理装置11は、通信部11a、処理部11b、記憶部11cなどを備える。
通信部11aは、ステーション管理装置6と情報の送受信を行うための通信インターフェースである。
処理部11bは、ステーション管理装置6から送信された情報を基にバッテリー履歴管理のための情報を記憶部11cに記憶させる。また、ステーション管理装置6から問合せのあった情報を記憶部11cから取得して、返送する。
【0030】
記憶部11cは、本実施形態のシステムの運用に必要なデータを記憶するバッテリー管理データベース12を格納する。バッテリー管理データベース12は、図3に示すように、バッテリー毎の情報を記憶するバッテリー管理テーブル14と、ステーション毎の情報を記憶するステーション管理テーブル15に大別される。システム管理装置11は、このシステムに参加している全ステーションおよび共同使用に供されている全バッテリーに関する情報をバッテリー管理データベース12で一元管理する。このようにバッテリー3に関して必要な情報の一元管理がなされているので、電気自動車2の運転者は、どのステーション1においても所望のバッテリー3の交換ができることになる。
記憶部11cには、このシステムを利用するために会員登録が必要であれば、その会員の電気自動車2に関する情報を記憶する会員・自動車テーブルなども適宜備えてもよい。
他に記憶部11cは、各種処理プログラムを格納したり、処理部11bによる処理過程におけるワーク的なデータを一時的に記憶したりする。
システム管理装置11は、図示しない入力手段(マウス、キーボードなど)、表示手段、印刷手段なども適宜備える。
【0031】
次に、本システムで使用されるRFID10に記憶されるデータの構造、及びバッテリー管理データベース12の構造について説明する。
まずRFID10に記憶されるデータ項目について図4を参照しながら説明する。
【0032】
本システムでは電気自動車は、専用のバッテリーを使用し続けるのではなく、システムが準備しているバッテリーの中から車種などに適合するバッテリーを使用する。つまり、システムの利用者の間でバッテリーを共同使用するわけである。この共同使用を可能とするのは、各バッテリー3にそれぞれ添付されているRFID10が履歴情報を記録していることによる。
【0033】
このRFID10に記録される情報には、4つの分類に大別される。
第一の分類「共通部」に属するデータ項目は、RFIDの識別情報、バッテリーの形状、充電容量などのRFID10や添付されるバッテリー3に固有な情報であって、これらは新品のバッテリー3が出荷されるときに記録される。
「共通部」には当該バッテリー3が破棄される日付も含まれ、これは出荷時には空欄であって、破棄時にコントローラ部9によって記録される。この項目が空欄でないならば、当該バッテリー3はもはや使用不可であると判定できる。
【0034】
第二の分類「延べ情報部」に属するデータ項目には、充放電回数、充電時間、放電時間、放電エネルギー量、走行距離が含まれ、充電装置8に挿入されている所定のタイミングでコントローラ部9によって記録される。充電時間を例にとると、出荷時は0時間、最初に充電装置8で充電されたときに2時間を要したならば、その充電装置8から取り出されるときに2時間が記録され、2回目に3時間かけて充電されたときは、その充電装置8から取り出されるときに5時間という累計値が記録される。
【0035】
第三の分類「取付情報部」に属するデータ項目には、取付け日時、取り付けられる車種、取り付けられたときの充電電気量が含まれる。取付け日時と車種は充電装置8から電気自動車2に装着されたときに車側のマイコン13で記録すればよい。充電電気量はフルに充電された、50%充電されたといった割合であり、充電装置8から取り外されるときにコントローラ部9によって記録される。
【0036】
第四の分類「走行情報部」に属するデータ項目は、放電時間、放電エネルギー量、走行距離、バッテリー状態などが含まれる。これらの情報は走行時に随時マイコン13によって記憶される。このマイコン13はバッテリー3自体に組み込んでもよいが、この実施形態では電気自動車2の本体ないしは電気自動車2とバッテリー3との接続部分にマイコン13を組み込むものとする。このように電気自動車にマイコン13が組み込まれているならばカーナビなどと連動することにより残り走行距離などの管理が容易となるというメリットがある。
なお、バッテリー状態は走行時だけでなく充電時にも記録されることが望ましい。このバッテリー状態は、予定よりバッテリー3の消耗が早い場合の監視用データとして有用である。
【0037】
図4には記載がないが、バッテリー3を破棄した理由、電気自動車2の重量、電気自動車2を特定する情報なども含めてもよい。
以上の説明のように、RFID10には当該バッテリー3に関する必要な情報が網羅して記録され、これらの情報の一部は、次に説明するバッテリー管理データベース12にも同一内容が登録される。
【0038】
次に、バッテリー管理データベース12に記録されるデータについて説明する。
図5はバッテリー管理テーブル14,図6はステーション管理テーブル15のデータ構造を示す。
【0039】
バッテリー管理テーブル14は、1個のバッテリー3につきバッテリーテーブル14a、RFIDテーブル14b及び位置情報テーブル14cが各1レコードからなり、他に履歴データごとに1レコードの履歴情報テーブル14dを持つ。
【0040】
バッテリーテーブル14aの多くの情報はRFID10の「共通部」に記録されている情報と共通である。
RFIDテーブル14bは、バッテリー3と添付されているRFID10との対応を示すテーブルであり、出荷時に記録される。
履歴情報テーブル14dは、ステーション1側での作業時、つまり電気自動車2から取り外されて充電装置8に挿入されたとき、或いは充電を終えて電気自動車2に装着されるときに1レコードが記録される。RFID10の「共通部」以外のデータ項目も、このテーブルに記録される。このように、バッテリーテーブル14aと履歴情報テーブル14dのいずれかに、RFID10に記録されているデータが記録される。
位置情報テーブル14cには、現在のバッテリー3の所在を記録する。もし電気自動車2に装着されて走行中であれば、カーNoが記録されステーションIDは空欄であり、充電中あるいは充電が完了し車への装着待ちであれば、カーNoは空欄であってステーションIDが記録される。
【0041】
ステーション管理テーブル15は、1箇所のステーションにつき1レコードのステーションテーブル15aと、1ステーションが保管しているバッテリー毎に1レコードの保管バッテリーテーブル15bから構成される。
【0042】
ステーションテーブル15aには、住所のほかに経営者名や電話番号などを適宜記録してもよい。充電できるバッテリーの種類も記録しておくのは、ステーションの備える充電装置8によっては特定種類のバッテリーしか処理できないこともあるからである。
保管バッテリーテーブル15bには、バッテリーIDとそのバッテリーの状態を記録する。バッテリーの状態とはフル充電、充電中、破棄予定などである。充電時間と充電電気量は、充電装置に挿入されて充電中に刻々と変化する時間と電気量であり、コントローラ部9によって記録される。
これらのバッテリー管理テーブル14とステーション管理テーブル15は、ステーション管理装置6から送信されてくる情報に基づいてシステム管理装置11によって生成される。
【0043】
このように、複数のステーション1を統括する側のシステム管理装置11がバッテリー3に関する必要な情報を網羅的にバッテリー管理データベース12に格納して管理する。したがって、本システムは共同使用に供されるバッテリー3のそれぞれが現在どのような状態でどこに所在するかを捕捉できる。これにより、運転者はシステム管理装置11に問合せることにより、どのステーション1に行けば所望のバッテリー3と交換可能であるか等がわかり、電気自動車ユーザーへの利便性が高まる。
一方、何らかの原因でRFID10が破損したり内部の情報が読み取りできなくなったりしたときもシステム管理装置11に問合せれば情報の復元ができる。
【0044】
次に、本システムの運用例を、図7を参照しながら説明する。
電気自動車2の所有者は、本システムを利用するために予め会員登録をしておくことが好ましい。会員登録(或いは車両登録でもよい)をしておくならば、電気自動車の種別なども登録し、バッテリー交換サービスを利用する度に車種などを申告しなくても会員番号を言うだけでよい。しかし、この点の詳細な説明は省略する。
【0045】
バッテリー3の交換の必要があるときは、電気自動車2の運転者は、ステーション1に立ち寄る。ステーション1のスタッフは、電気自動車2から装着されているバッテリー3を取り外す(ステップS1)。
取り外したバッテリー3上に取り付けられているRFID10からバッテリー型番、製造メーカー、充放電回数、充電・放電時間、走行距離等をスタッフがRFID読取・書込部9bを介して読み取り、その情報はステーション管理装置6に自動的に送信される(ステップS2)。このようにRFID10の情報が読み取られたり、更新されたりしたときは、その情報がステーション管理装置6に送信される。ステップS4以降の処理においても同様である。
【0046】
ステーション管理装置6の処理部6b、あるいは充電装置8のコントローラ部9は、読み取った情報に基づいて、バッテリー3が再充電可能か否かの判断をし、可能でなければ(ステップS3でNo)、モニター画面9dに表示したりしてバッテリー3を破棄するようスタッフに通知する。あわせて、コントローラ部9がRFID10に破棄日付などを記録し、ステーション管理装置6に破棄情報を送信する(ステップS4)。再充電不可と判定されたバッテリーは適宜廃棄処分の対象になる。なお、再充電の可否は、製造年月日、バッテリーの能力を規定するバッテリー型番、充放電回数などによって判断される。
【0047】
取り出したバッテリー3がまだ使用可能であれば(ステップS3でYes)、充電装置8に挿入されて充電が行われる(ステップS5)。
その際、RFID10から読み取ったバッテリー型番、製造メーカー等の情報をステーション管理装置6に送信することで、充電装置8のどの場所に挿入すべきかを問い合せ、特定された場所に当該バッテリーを挿入して充電を開始する。充電を終えたなら適当なタイミングでコントローラ部9は充電時間や回数などをRFID10に書き込み、その情報をステーション管理装置6に送信する。充電済みのバッテリーは充電設備において、次に装着される電気自動車を待つことになる。
【0048】
一方、電気自動車2の所有者は、取り出されたバッテリー3の代わりに充電済みのバッテリー3を充電設備5において装着してもらう(ステップS6)。このステップS6の処理は、ステップS3以降の処理とは別に並行して行われる。以下にステップS6の内容を詳しく述べる。
電気自動車2の所有者は、車種名とカーNo.をステーションのスタッフに伝える。スタッフがステーション管理装置6を操作し、ステップS2においてRFID10から読み込んだデータと電気自動車2の所有者から入手した情報をベースにして、システム管理装置11に問い合わせをする。システム管理装置1から、その車種に適合するバッテリー3が保管されている充電装置8の充電場所(充電器)を特定する情報が送信されてくるので、その情報がステーション管理装置6の表示部6d上に表示される。
ここで、ステーション管理装置6は、上記のように該当するバッテリーの所在をシステム管理装置11に問合せてもよいが、保管しているバッテリー3に関する情報を記憶部6cに記憶しておき、処理部6bがバッテリーの保管場所を記憶部6cから取り出してもよい。
ステーション1のスタッフは特定された場所から充電済みのバッテリー3を取り出す。この時、現時点の充電電気量とそれを取り付けた日時がRFID10に自動書き込みされるとともにステーション管理装置6に送信される。
電気自動車2の所有者は、バッテリー充電量分の代金を支払い、ステーション1を後にする。
もし、支払いがクレジットカードによる場合は、システム管理装置11にカーNOと対応づけて支払い額を送信する仕組みとすればよい。
【0049】
電気自動車2の走行中は、放電時間、放電エネルギー量、走行距離などの情報がマイコン13からRFID10に逐次書き込まれる(ステップS7)。走行距離は、電気自動車2の距離メータと連動する車載のマイコンから情報をもらえばよい。これらの情報は、ステーション1にて再充電のために充電設備5に挿入されるときに読み出され、ステーション管理装置6に送信される。
【0050】
ステーション管理装置6は、これらのバッテリーに関する情報を適当なタイミングでシステム管理装置11に送信し、バッテリー管理データベース12が更新されることになる(ステップS8)。ここで、システム管理装置11へのバッテリー3に関する情報の送信はリアルタイムである必要はなく、一定時間ごとの定期的通信でもよい。
【0051】
上記のように、本実施の形態のシステム内で共用される全バッテリーはシステム管理装置11によってアクセスされるバッテリー管理データベース12上で一括してライフサイクル管理がなされている。
バッテリーの使用可能期限を例えば3年とすると、バッテリーの管理は電気自動車間で共同使用管理とされている為にそのトラッキング情報、すなわち、今どの地域においてどの電気自動車で使用されているのか、あと何年使用可能か等の情報の管理が可能であって、それらの情報をベースにして廃棄処理手続きをし、その情報を共有データベース上で管理することができる。しかも、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって、このデータベースへの登録は殆んど人手を介することなくRFIDの読み込みによって更新できるような仕組みとすることができる。そのため、ステーションのスタッフにとっても電気自動車のユーザーにとっても手続き・作業が簡便であって、本システムの普及が期待できる。
【0052】
《第2の実施の形態》
この第2の実施の形態は、バッテリー管理データベースに項目を追加した点において第1の実施の形態と相違し、それ以外は第1の実施の形態と変わるものではない。したがって、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明し、同一の機能には同一の符号を付す。
【0053】
図8は、本実施形態のシステムの概念図である。
図1との相違は、バッテリー管理主体100を明示した点にある。バッテリー管理主体100は、システム管理装置11およびバッテリー所有主体101をその管理下に置く。
バッテリー所有主体101とは、本システムにおいて共同使用されるバッテリーの所有者である。バッテリー所有主体101は、所有しているバッテリー3を電気自動車2に貸し出す。バッテリー所有主体101は、バッテリーの所有と貸し出しを扱う会社等である。
バッテリー管理主体100は、バッテリーという有形物を扱うバッテリー所有主体101(以下、「バッテリー所有会社101」)とバッテリーに関する情報という無形物を扱うシステム管理装置11の両者を管理し、本システムが円滑に運営されるようにする。
【0054】
本実施形態の趣旨は、バッテリー3自体の所有者を電気自動車2の所有者と分離することにより、バッテリー3の共同使用を効率よく円滑に行おうとするものである。
バッテリー3自体は、バッテリー管理を業として行うバッテリー所有会社101がその所有物として管理し、バッテリー3の使用者(=電気自動車2の所有者)は契約によりバッテリー所有会社101のバッテリー3を使用することができ、そのバッテリー3を電気自動車2の使用目的にのみ使用できる。
電気自動車2の購入時に付属品として付いてくるバッテリー3は、バッテリー所有会社101によって購入されたものであり、電気自動車2の購入者に貸与される。
バッテリー所有会社101には、バッテリー3の所有、システム管理装置11との連携によるバッテリー管理データベースの管理、決済の代行など複数の機能があり、これらの機能を複数の会社で分担して実施することも可能である。バッテリーメーカーや電気自動車メーカーがバッテリー所有会社101を兼ねることもある。タクシーや宅配用車両を大量に所有する運送会社は、その運送会社自体がバッテリー所有会社101であることもありうる。要は、本実施形態において、バッテリー3を所有し、本システムのバッテリー管理データベースを利用してバッテリー3を管理する会社が存在する、という点が重要なのである。そのバッテリー所有会社101がバッテリーメーカーや電気自動車メーカーとどういった関係があるのかは本発明にとって問題とならない。
【0055】
この実施の形態で使用されるバッテリー管理データベース102について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
バッテリー管理データベース102は、図9に示すように、バッテリー3毎の情報を記憶するバッテリー管理テーブル103と、ステーション毎の情報を記憶するステーション管理テーブル15と、本システムのバッテリー3を利用する電気自動車2毎の情報を記憶する電気自動車管理テーブル104と、本システムで利用されるバッテリー3を所有しているバッテリー所有者毎の情報を記憶するバッテリー所有者管理テーブル105に大別される。システム管理装置11は、このシステムに参加している全ステーション1、全電気自動車2、共同使用に供されている全バッテリー3およびその所有者101に関する情報をバッテリー管理データベース102で一元管理する。
【0056】
次に、図10を参照しながら、バッテリー管理テーブル103のデータ構造を示す。バッテリー管理テーブル14との相違は、バッテリーテーブル103aに「所有者ID(d1)」、「充放電回数(d2)」、「充電電気量(d3)」および「バッテリー状態(d4)」が追加された点であり、他に相違はない。
「所有者ID(d1)」には、バッテリー3の所有者のIDが記録される。所有者は、たいていバッテリー所有会社101である。
「充放電回数(d2)」および「充電電気量(d3)」は、ステーション1などでの充電時あるいは電気自動車への装着時に書き込まれる情報であって、電気自動車2の所有者に対する充電料および基本使用料の算出のために参照される。また、特殊車両の場合は充電が頻繁に行われるので、バッテリーの廃棄のタイミングを「充放電回数(d2)」に基づいて決めることがある。
「バッテリー状態(d4)」は、主としてバッテリー所有会社101がバッテリー3の廃棄のタイミングを計るために参照する。具体的には、フル充電状態で製造時の80%しか充電が出来なくなったなどの情報が書き込まれる。
【0057】
次に、図11を参照しながら、電気自動車管理テーブル104のデータ構造を示す。
本システムではバッテリー3が共同使用されるので、バッテリー3が搭載される電気自動車2は毎回異なるのが通常である。バッテリー管理主体100としては、現在どのバッテリー3がどの電気自動車2に搭載されているかを把握することは必要である。そのため、各電気自動車2の情報をデータベース化したわけである。
「車両ID(d5)」、所有者名や購入日などとともに、「特殊運用モード(d6)」、「基本使用料支払方法(d7)」が当該電気自動車2の購入時に電気自動車管理テーブル104に書き込まれる。この購入時のデータベースへの登録処理はバッテリー管理主体100あるいはバッテリー所有会社101がオフラインあるいはオンラインの手段によってシステム管理装置11にアクセスすることで行われる。
「特殊運用モード(d6)」とは、タクシーや宅配用車両などの主として運送業で用いられる場合にセットされる情報である。この運用は、自社が運営する専用のステーション1のみで充電・交換されたり、本システムを利用する一般ユーザーの車両と異なる扱いが要求されることも考えられるのでデータベースに記録しておく。
「基本使用料支払方法(d7)」とは、バッテリー3を利用するための対価の支払方法であり、電気自動車2の購入時に一括払いをするか、バッテリー3の使用可能期間にわたって分割払いをするかの別である。
【0058】
ここで、バッテリー3の使用に伴う料金について説明する。
この実施形態では、料金は、基本使用料と従量制の充電料の二つを払うことになる。
電気自動車2を購入した時に、バッテリー3についても費用が発生するが、これは本システムを使用してバッテリーを共用することの対価である。これが基本使用料である。電気自動車2の購入時に一括払いされることもあるが、電気自動車2に占めるバッテリー3の代金はかなり大きなものがあるので、本実施形態では電気自動車2の購入時の負担を軽減するために分割払いも可とする。分割払いでは、毎月あるいはステーション1での交換時に支払うので負担が電気自動車2の使用期間にわたって平準化される。このように費用面からも負担感を軽減することで、本発明は電気自動車の普及に一役買うことも意図している。
ただし、タクシー、宅配用車両、長距離トラック等の特殊車両に関しては、通常の電気自動車とは異なり、車両の購入時に付属品であるバッテリーの基本使用料全額が支払われる。特殊車両を用いて運送業などを営む会社にとって、車両の購入と同時にバッテリーも購入した方が資産の管理が容易になる等の理由による。
【0059】
なお、基本使用料の金額設定について2点付言しておく。
第1に、基本使用料は、電気自動車2の事故によるバッテリー3の破損等も考慮して金額設定を行う。すなわち、電気自動車2を購入したが殆ど走行しないでバッテリー3が劣化してしまうケースも発生しうるし、交通事故や災害の影響により、バッテリー3が途中で使用不可となってしまうケースもある。こういった損害発生も想定した基本使用料の料金体系にすることが望ましい。あるいは、災害・交通事故の場合には、バッテリー所有会社101と保険会社との間でそれを保証する仕組みを作っておくのもよい。なぜなら、一般的に自動車車両保険の対象が、所有物である自動車に対するものであるため、非所有物であるバッテリーの取り扱いが曖昧になりやすいからである。本発明の料金体系に保険でのバッテリーの取扱いをあらかじめ組み入れることは、関係者全体に有意義である。
第2に、一般的にバッテリー3は使用を繰り返すほど性能が劣化することを考慮に入れた金額設定が必要である。劣化が急激になる時点は容易に認識できる。たとえば、製造時フル充電の80%しか充電ができなくなる時点を閾値ときめ、その平均的な期間(例えば3年間)を日割りしたものが基本使用料算出の根拠となる。ただし、バッテリー充電時に支払う基本使用料を低くする為に、バッテリー使用の契約時(電気自動車2の購入時)にバッテリー価格の例えば30%を徴収するといった仕組みをとってもよい。
【0060】
充電料は、基本使用料とは別に充電時あるいは交換時に発生する費用である。電話や電気などの公共料金では、一定額の基本料金に使用量に応じた使用料金が加算されるが、この充電料は使用料金に相当する。なお、基本使用料を電気自動車購入時に一括払いしている人は、電気自動車購入後は充電料のみを支払うことは言うまでもない。
これらのバッテリーに関する費用は、ステーション1に支払ってもよく、カード払いや月締めでの決済でもよいが、決済に関する事項は当事者間の契約の問題なので、詳細は省略する。
【0061】
電気自動車管理テーブル104の「基本使用料更新日(d8)」欄のデータは、電気自動車2の購入時あるいは必要なときに書き込まれる。
通常バッテリー3は電気自動車2よりも耐用年数が短く、1台の電気自動車2が使用可能な間に複数のバッテリー3の使用をする権利が入手されることになる。そのため、あらかじめ基本使用料の更新タイミングを例えば車検の都度といったように定めておく。これが基本使用料更新日である。「基本使用料支払方法(d7)」が一括払いであれば、この基本使用料更新日が到来するとバッテリーを使用する権利を更新するために一括払いをする。また、分割払いであれば、この基本使用料更新日が到来するとバッテリー基本使用料の分割払い期間が新たに開始する。
「使用中バッテリーID(d9)」は、現在電気自動車2に搭載しているバッテリー3のIDである。使用中のバッテリーについては、その位置情報テーブル14cの「位置(車/ステーション)」の欄に、当該電気自動車2の「車両ID(d5)」が記録される。これにより、どのバッテリー3がどの電気自動車2に搭載されているかがデータベース上で捕捉できる。
【0062】
次に、図12を参照しながら、バッテリー所有者管理テーブル105のデータ構造を示す。
このバッテリー所有者管理テーブル105には、所有者IDと対応づけて所有者名や連絡先が記録される。連絡先としては、担当者名、担当者の電話番号や電子メールアドレスなどがある。
バッテリーに不具合が生じた場合や、ステーション1での交換に伴う充電料が発生した場合などに主としてシステム管理装置11から所有者101側へ連絡するために設けたテーブルである。この所有者IDは、図10に示したようにバッテリーテーブル103aに記録されるとともに、図13に示すようにRFID106の共通部の「所有者ID(d10)」欄にも記録される。
【0063】
このように、バッテリー管理主体100と連携あるいはその配下にあるシステム管理装置11がバッテリー3に関する必要な情報を網羅的にバッテリー管理データベース102に格納して管理する。したがって、本システムは共同使用に供されるバッテリー3のそれぞれが現在どのような状態でどこに所在するかを捕捉できる。
これにより、運転者はシステム管理装置11に問合せると、どのステーション1に行けば所望のバッテリー3と交換可能であるか等がわかり、電気自動車ユーザーへの利便性が高まる。
バッテリー3を所有する主体101は、所有物であるバッテリー3に関する履歴管理が容易となり、料金徴収、バッテリーの新規購入、リサイクルなどが適切に行える。基本使用料・充電料の徴収のためには、別途ユーザー毎に課金・決済情報テーブルを持ち、バッテリー管理データベース102の情報との組合せで処理されることになる。この点については、当事者間で種々の取り決めが可能なため、詳細は省略する。また、どこが請求書を発行し、どこに入金されるのか、入金額をどのように配分するのか等も当事者間の契約次第であるため、説明は省略する。
また、電気自動車メーカーやバッテリーメーカーにもこのデータベース102へのアクセスを許可するならば、これらのメーカーにとって技術開発、生産調整、リサイクルなどの参考資料となる。
【0064】
本実施形態は、電気自動車2を購入した時点で、付属品として付いてくるバッテリー3は購入した人の所有物ではなくなり、そのバッテリー3は共有物としての位置づけで管理されるところに特徴がある。この特徴を備えている変形例にはさまざまなものが考えられる。
図8のバッテリー管理主体100の運営形態は種々考えられる。バッテリーメーカーや電気自動車メーカーなどのジョイントでも良い。あるいは、例えばタクシー会社や宅配業者のような運送会社がバッテリー管理主体100となり、そのバッテリー管理部署がバッテリー所有主体101となり、自社専用の車両基地などにバッテリーステーションを併設した、1社内だけで閉じたシステムとして本実施形態が運用されてもよい。運送会社は多数のバッテリーを所有し、しかも一般ユーザーに比較してはるかに充電回数が多いので、本システムを利用して全バッテリーの履歴管理が行えるならば、新規バッテリーの購入計画などが立てやすくなる。
要は、電気自動車普及のためのインフラを提供することが重要なのである。
【0065】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は請求項4に係る発明の適用例である。
本発明は、従来のガソリンステーションと同じようにバッテリーステーションに行けばいつでも、どこでもバッテリーの交換が出来る仕組みを作ることが課題である。そのために管理しなくてはならないものがバッテリーであり、その履歴管理をRFIDに代表されるICカードを活用して行おうとするのが本発明である。したがって、複数のステーションを統括するシステム管理者の存在は必須の要件ではない。
この第3の実施の形態は、システム管理者が存在せず、したがって一括して情報を管理するデータベースが無くても円滑なバッテリー交換を実現する点で第1の実施の形態と異なる。
【0066】
図14は、この実施の形態のシステム構成を示す図である。
図1と比較すると、システム管理装置11が無く、したがって、ステーション管理装置6とシステム管理装置11とのデータの送受信がないが、他は同様である。
RFID10にはバッテリーの履歴管理に必要な情報がすべて記録されている。そのために、ステーションにおけるバッテリーの充電、および充電済みのバッテリーの車への装着作業はバッテリー管理データベース12を参照しなくてもRFID10から必要な情報を取得して進めることができる。RFID10に記録されるデータは、第1の実施の形態と同様であり、図4に示すとおりである。
【0067】
この実施の形態は、第1の実施の形態と比べると、
(1)RFID10が何らかの原因によって内部のデータの読み込みができなくなった場合に対応ができない、
(2)ステーション間での在庫の問い合わせが円滑にできない、
(3)クレジットによる決済に適さない、
といった不便さがある。
【0068】
しかし、バッテリー情報の一元管理がなされなくても、RFIDの利用だけで十分にバッテリー交換が実現できるという状況が考えられる。
例えば、次のような状況である。
国立公園などでガソリン車の規制を行っている場所、あるいは離島などの自家用車での到着が困難な地域において、観光客に電気自動車をレンタルする。電気自動車の利用者のために、その地域の各所にバッテリーステーションを設置して充電を行う。この場合、各ステーションにバッテリーが十分に保有されていることを前提に交換予約は行わない。決済は現金ないしプリペイドカードに限る。
このような状況であれば、第3の実施の形態は十分に実現可能である。
【0069】
以上、第1〜第3の実施の形態をもとに本発明の説明をしてきたが、これらの実施の形態は例示にすぎない。RFIDに記憶させるデータ項目、データベースのテーブル構造、処理の流れ等につき種々の変形例が考えられ、それらの変形例も本発明の範囲である。
そうした変形例のいくつかを下記に記す。
【0070】
第1の実施の形態では特に言及しなかったが、バッテリーの交換予約機能も容易に追加できる。バッテリーステーションに立ち寄っても、所望の充電済みバッテリーが保管されているとは限らない。そのため、走行中の車内からインターネットと接続可能な携帯電話、あるいは搭載しているカーナビからバッテリーの予約を入れることが好ましい。その場合、バッテリーとカーナビから得られる情報によって、残り走行距離と目的地との間で交換できるステーションを検索して、対象となるバッテリーの在庫確認あるいは配送予約をする。
この場合、個別のステーションに予約の連絡をするよりも、システム管理装置11にアクセスするのが適当である。システム管理装置11は、バッテリー管理データベース12のステーション管理テーブル12を参照することで、どのステーションにどのバッテリーの在庫があるかを把握できる。電気自動車の運転者が希望するステーションに在庫があれば、システム管理装置11はそのステーション6に予約の連絡をいれればよい。もし、在庫が無ければ、システム管理装置11は在庫のある別のステーションから当該ステーションへのバッテリーの配送を指示すればよい。
このように第1の実施の形態のバッテリー交換システムに予約システムも連動させるならば、予約時に、当該ステーションに該当するバッテリーが存在しなくても、到着時までに配送可能であれば予約可能にすることができる。予約の際に、充電量を指定可能であれば、さらに利便性が高まる。走行距離によっては、必ずしもフル充電でなくてもよいからである。
ただし、予約機能を持たせる場合は、各ステーション管理装置6からのシステム管理装置11への情報の送信(図7のステップS8参照)はリアルタイムで行われることが望まれる。
【0071】
上記の実施の形態では、各ステーションは電気自動車にバッテリーの交換サービスを提供しているが、充電サービスを提供してもよいことは言うまでもない。たとえば、観光地のホテルの駐車場にステーション1が設置されているならば、バッテリーを充電済みのものに交換するのではなく、夜間にこのステーション1にて充電することもありうる。
また、バッテリーの交換はステーション1のスタッフが行うのが通常であるが、セルフ式ガソリンステーションのように電気自動車の運転者が自分で行ってもよい。そのためには、車からのバッテリーの取外し、装着が容易なように車の設計がされていることが前提である。
さらに、上記の実施の形態では、電気自動車がステーションに立ち寄るが、ステーションは電話等の注文を受けてバッテリーを指定場所へ届けるサービスを提供することも可能である。充電設備から取り出し車にバッテリーを装着する際にRFIDに書き込むのと同様の情報をRFIDに書き込んでから、客先に配送すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
バッテリーの充電に長時間を要するという問題を解決し、電気自動車の普及、さらにはCO2の削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0073】
1:バッテリーステーション、2:電気自動車、3:バッテリー、5:充電設備、
6:ステーション管理装置、8:充電装置、9:コントローラ部、10:RFID、
11:システム管理装置、12:バッテリー管理データベース、13:マイコン、
100:バッテリー管理主体、101:バッテリー所有主体、
102:バッテリー管理データベース、106:RFID、
N 通信ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部およびシステム管理装置とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行い、
前記システム管理装置はバッテリーに関する情報を一括管理するバッテリー管理データベースにアクセス可能に接続されていることを特徴とする共用バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記バッテリー管理データベースには、バッテリー毎に所有者が記録され、自動車毎にバッテリーの基本使用料支払形態が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の共用バッテリー管理システム。
【請求項3】
前記基本使用料支払形態には、自動車購入時の一括払いと、購入時以降の分割払いとが含まれ、
分割払いの場合は、当該自動車に使用されるバッテリーの平均的な使用可能期間を日割りしたものが基本使用料算出の根拠となることを特徴とする請求項2に記載の共用バッテリー管理システム。
【請求項4】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行うことを特徴とする共用バッテリー管理システム。
【請求項5】
前記ICカードには、添付されている共用バッテリーを装着している自動車の走行時に走行情報が自動車に搭載されているマイコンによって随時書き込まれるとともに、当該バッテリーが前記充電装置における作業対象となっている時に履歴情報の書き込みが前記コントローラ部によって所定のタイミングで行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の共用バッテリー管理システム。
【請求項1】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部およびシステム管理装置とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行い、
前記システム管理装置はバッテリーに関する情報を一括管理するバッテリー管理データベースにアクセス可能に接続されていることを特徴とする共用バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記バッテリー管理データベースには、バッテリー毎に所有者が記録され、自動車毎にバッテリーの基本使用料支払形態が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の共用バッテリー管理システム。
【請求項3】
前記基本使用料支払形態には、自動車購入時の一括払いと、購入時以降の分割払いとが含まれ、
分割払いの場合は、当該自動車に使用されるバッテリーの平均的な使用可能期間を日割りしたものが基本使用料算出の根拠となることを特徴とする請求項2に記載の共用バッテリー管理システム。
【請求項4】
バッテリーをモーターの駆動源とする自動車のために、複数のバッテリーステーション間での共用バッテリーの交換とバッテリーの履歴管理を行うシステムであって、
前記共用バッテリーには、それぞれ固有のICカードが添付され、
前記バッテリーステーションは、充電設備とステーション管理装置を備え、
前記充電設備は充電装置と前記ICカードの読取・書込機能及び充電状況監視機能を有するコントローラ部とを備え、
前記ステーション管理装置は通信可能に接続されている前記コントローラ部とバッテリーに関する情報の送受信を所定のタイミングで行うことを特徴とする共用バッテリー管理システム。
【請求項5】
前記ICカードには、添付されている共用バッテリーを装着している自動車の走行時に走行情報が自動車に搭載されているマイコンによって随時書き込まれるとともに、当該バッテリーが前記充電装置における作業対象となっている時に履歴情報の書き込みが前記コントローラ部によって所定のタイミングで行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の共用バッテリー管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−96233(P2011−96233A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181321(P2010−181321)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(509274371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(509274371)
【Fターム(参考)】
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