説明

自己架橋性ポリ(カプロラクトン−フマレート)

in situでの架橋に用いられ得る不飽和炭素−炭素二重結合を含有するフマル酸またはフマリルハライド(例えば、フマル酸クロライド)などのその塩が、得られる共重合体が架橋剤なしで自己架橋できるように、柔軟な骨格を有する生分解性ポリ(カプロラクトン)マクロマーと共重合化される。生体適合性かつ生体吸収性のポリ(カプロラクトン−フマレート)生体材料は、骨格再構築用途用の、注射可能なin situで硬化するスカフォードの組み立てに有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2003年7月1日付けで出願された米国仮特許出願第60/484,620号より優先権を主張する。
【連邦政府により援助を受けた研究に関する記述】
【0002】
本研究は、助成金番号R01−AR45871−02で国立衛生研究所により支援を受けた。
【発明の背景】
【0003】
1.発明の分野
本発明は、生体適合性、生体吸収性、注射可能、かつin situで硬化するスカフォード(scaffold)として組織工学用途に有用なポリ(カプロラクトン−フマレート)重合体の合成に関する。
【0004】
2.関連技術の説明
骨再生に対する臨床的要求は多様であり、融合を達成するために骨移植片手術を必要とする骨格異常の患者は、米国では毎年おおよそ1,000,000人いる。これらには、原発腫瘍および転移性腫瘍の切除、骨格外傷による骨損失、骨欠損を有する関節の一次および修正総合関節形成術、脊髄関節固定術、ならびに骨粗鬆による強度不足からくる骨折を導く骨梁空隙(trabecular voids)から生じる適用が挙げられる。骨移植片材料の選択、調製、および適用においてなされる最新の臨床判断には、しばしば多くの要因が関係している。構造的側面から、手術管理計画を決定する前に、複数の決定がなされる必要がある。
【0005】
第一に、失われた骨の型を決定しなければならない。欠損は、海綿骨、皮質骨、または骨の両方の構造的型の組み合わせであってもよい。第二に、欠損の性質が、包まれており骨性または軟部組織殻を有するのか、または包まれずに骨連続性の断片的損失として現れているのかを定義しなければならない。第三に、欠損の大きさ(骨梁空隙の大きさまたは断片的欠損の長さ)を決定しなければならない。移植選択決定に加わる機械的課題点として、再構築されるべき欠損の骨格上の位置およびその場所で予想される負荷が挙げら得る。また、ホストの併発疾病(co-morbidities)(例えば、糖尿病)などの生物学的課題点も全て骨移植片組み込み過程に影響を及ぼす可能性がある。最後に、移植材料の選択の一因となる手術課題点として、欠損の大きさに対する手術接触入り口(surgical access portal)の大きさに関する考慮が挙げられる。
【0006】
骨格異常を治療する最新の臨床方法として、骨の移植、または連続性を再生させるための他の材料の使用が挙げられる。自家骨移植片は、骨置換の最高基準(gold standard)であった。なぜなら、それは、治癒のための、骨原性細胞、骨誘導(osteoinductive)因子、および骨伝導(osteoconductive)マトリクッスといった必須の要素を提供するからである。しかしながら、自家移植骨の供給の制約、およびドナー部位の病的状態の両方のため、自家骨移植片が単独で用いられ得る場合の範囲が制限されている。同種移植骨は、大量供給で利用可能であるものの、自家移植骨と比較して移植片組み込みの割合が低いこと、およびドナーからホストへの病原移送の可能性があることを含む欠点を有する。
【0007】
金属は欠損部位ですぐに機械的支持となるが、ホストの組織との理想的な全体統合には遠く及ばず、金属疲労で破損する前に骨が治癒しないと、結局、疲労負荷のために失敗する恐れがある。β−リン酸三カルシウム(β−TCP)およびヒドロキシアパタイトなどのセラミックスは、両方とも骨伝導性であり、かつ金属補綴が骨へ結合するのを促進させるためのそれら金属補綴の表面コーティングとしての臨床使用が見いだされている。粒子の形で、それらは主として圧縮状態で重合体複合材料の機械強度を増加させるが、ねじれや曲げの力への耐性を向上させるのにはそれほど効果的ではない。ポリ(メタクリル酸メチル)骨セメントは、注入または成形することができ、ときには空洞欠損および区域欠損(それぞれ、巨大細胞腫瘍の掻爬から、または脊柱転移性疾患での椎骨体の摘除からもたらされるものなど)の両方を充填するのに用いられる。しかしながら、発熱重合化反応の間、温度は100℃まで上昇する恐れがあり、放出された熱による局所的組織損傷の危険性がある。さらに、ポリ(メタクリル酸メチル)は、非生分解性であり、したがって時とともに疲労によるダメージが蓄積して、結局機械的に破損してしまう。
【0008】
合成生分解性重合体は、治療の選択肢を提供するかもしれないが、現在は利用できない。これらの材料は、事実上無制限な供給で製造することができ、それらの設計における柔軟性は、様々な機械特性、生物学的特性、分解特性、およびレオロジー特性をもつ広範囲の重合体の合成を可能にする。例えば、それらの機械特性および分解特性を、合成の際に重合体分子量を変化させることにより操作することができ、したがって特定の用途に適するように調整することができる。骨格再生生体材料の注射可能な性質は、接触の限られた、または変則的な形の欠損を充填するのには理想的であるだろう。例えば、現在臨床で使用されている低侵襲性の内視鏡技法は、後外側横突間突起脊椎固定(posterolateral intertransverse process spinal fusion)用の注射可能な形態の生体材料を挿入することを可能にするだろう。これは、移植片材料を配置するために現在は避けられない過剰な露出および筋肉剥離による手術外傷を減少させるだろう。注射可能な材料は、周囲の皮質骨に大きな接触穴を開けることなく、関節周囲の骨折、骨粗鬆症の脊髄骨折、または骨嚢胞(bone cysts)から海綿状空隙に入れることができる。これらの臨床状況は、骨組織工学用の注射可能な生分解性重合体複合材料の開発の動機となっている。
【0009】
このように、注射されてin situで架橋することにより欠損を充填することができる生分解性スカフォードは、既存の方法に魅力的な補強を提案する(Yaszemski et al.,「骨組織工学技術の臨床的要求(Clinical needs for bone tissue engineering technology)」,in Bone Engineering,J.E.Davis,Ed.Toronto,Em Squared,2000,pp.541-547を参照)。合成代用骨または合成骨セメントとして用いられる、以前の材料として、上記に記載されるポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ラクチド−グリコリド)、およびポリ(プロピレンフマレート)が挙げられる。ポリ(メタクリル酸メチル)は、通常は生体吸収性ではない。ポリ(ラクチド−グリコリド)は、150℃を超える高い軟化温度を有し、しかも架橋性ではない。ポリ(プロピレンフマレート)は、ヒトの生物学的温度である37℃まで冷却した際に固化せず、したがってその分解を制御することが難しい。
【0010】
低侵襲性用途に向けて、研究者らは、化学的酸化還元開始によりin situで架橋させることができ、組織成長を促進することができ、かつ治療される特定の臨床的筋書きに適した機械特性を有する、注射可能な系を追求している。注射でき、かつin situで架橋させることができる生体適合性重合体が、骨組織工学用に開発されているものの、マクロマーの20重量%よりも多い量の架橋剤(N−ビニルピロリドン(NVP)または無水メタクリル酸など)が、架橋させるのに必要である(例えば、Peter et al.,「注射可能なポリ(プロピレンフマレート)/β−リン酸三カルシウムペーストの架橋特徴および生分解性骨セメントとして使用される架橋した複合体の機械特性(Crosslinking characteristics of an injectable poly(propylene fumarate)/beta-tricalcium phosphate paste and mechanical properties of the crosslinked composite for use as a biodegradable bone cement)」,J.Biomed.Mater.Res.,Vol.44,pp.314-321を参照)。架橋剤は、潜在的に毒性化合物である。
【0011】
したがって、注射されてin situで架橋することにより骨欠損を充填することができる、改善された生分解性スカフォードが引き続き要求されている。詳細には、骨組織工学用の、改善された生体適合性、生体吸収性、かつ注射可能な重合体が要求されており、ここで重合体は架橋剤なしで自己架橋することができる。
【発明の概要】
【0012】
本発明に従って、得られる共重合体が架橋剤なしで自己架橋し得るように、in situでの架橋に用いられ得る不飽和炭素−炭素二重結合を含有するフマリルハライド(例えば、フマル酸クロライド)またはフマル酸が、柔軟な骨格を有する生分解性マクロマーと共重合化される。ポリ(ε−カプロラクトン)は、米国食品医薬品局によって承認された、吸収性縫合に使用するための分解性重合体であり、優れた生体適合性を有する。ポリ(ε−カプロラクトン)に基づく構築物は、誘導骨再生に使用されてきており(Elfick,「一時的な関節スペーサーに有力な材料としてのポリ(ε−カプロラクトン)(Poly(ε-caprolactone) as a potential material for a temporary joint spacer)」,Biomaterials,Vol.23,pp.4463-4467,2002を参照)、したがってこれは柔軟性マクロマーとしてフマル酸クロライドとの共重合化に適している。本発明は、組織工学用の、生体適合性、生体吸収性、注射可能、かつ自己架橋性重合体としてのポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)の合成を提供する。
【0013】
本発明の1つの実施の態様において、生体材料は、縮重合法を用いてフマル酸クロライドまたはフマル酸を500〜10,000ダルトンの範囲の低分子量のポリ(ε−カプロラクトン)と反応させてポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)を生成させることにより、合成される。低分子量ポリ(ε−カプロラクトン)は、溶融または溶媒鋳造によりスカフォードに組み立てられ得るが、これは硬組織の再生用スカフォードとして適した機械特性を有さない。
【0014】
本発明の対象であるポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)は、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)の分子量に依存して50〜70℃の間の融点を有する、吸収性かつ半結晶性の重合体である。その融点より上では、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)は、不定形または封入された形で、細孔形成剤(porogen)、開始剤、架橋剤、促進剤、希釈剤、発泡剤(forming,agent)、緩衝剤、阻害剤触媒、成長因子、粒子状および繊維状補強材料、ならびに安定剤などの他の配合成分と物理的に混合可能な自由な流動体であり、そしてポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)はシリンジを介して注射されて、生体組織の再生に用いられるスカフォードを組み立てることができる。融点より下は、例えば、ヒトの生物学的温度である37℃(98.6°F)では、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)は、化学的架橋だけでなく物理的に固化して硬くなる。
【0015】
物理的架橋は、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)鎖のポリ(ε−カプロラクトン)セグメントの部分的結晶化により起こる。化学的架橋は適した開始剤、促進剤、または架橋剤の存在下、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)鎖のフマレート基の二重結合の架橋により生じる。しかしながら、架橋剤は、通常は必要ない。物理的架橋および化学的架橋の程度は、ポリ(ε−カプロラクトン)の分子量、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)マクロマーの分子量、およびポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)マクロマー中のフマレート対ポリ(ε−カプロラクトン)の比により、独立して制御され得る。ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)マクロマーの分解挙動もまた、ポリ(ε−カプロラクトン)の分子量、ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)マクロマーの分子量、およびポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)マクロマー中のフマレート対ポリ(ε−カプロラクトン)の比により、制御され得る。
【0016】
本発明による生体適合性かつ生体吸収性ポリ(カプロラクトン−フマレート)生体材料は、50〜70℃の間の融点、および30〜40℃の間の硬化点を有する。この独特の特性は、この生体材料を、骨格再構築に適用するための注射可能かつin−situで硬化するスカフォードの組み立てに対して有用にしている。本発明の適用は、分解挙動が制御された、注射可能な生体吸収性合成代用骨として、または注射可能な生体吸収性骨セメントとしてであり得る。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および添付の請求項を考慮することでより良く理解されるだろう。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明は、以下:
【化1】

のカプロラクトン単位、ならびに以下:
【化2】

および/または
【化3】

のフマレート単位を含む、生体適合性、生体吸収性、注射可能、かつ自己架橋性共重合体であるポリ(カプロラクトン−フマレート)を提供する。
【0019】
1つの態様において、共重合体は、3,000〜4,000の範囲の数平均分子量、および2〜4の範囲の多分散性指数を有する。共重合体は、50℃〜70℃の範囲の融点を有し、そして融点より高い温度で注射可能である。
【0020】
共重合体を調製する1つの方法において、得られる共重合体が架橋剤なしで自己架橋し得るように、in situでの架橋に用いられ得る不飽和炭素−炭素二重結合を含有する、フマリルハライド(例えば、フマル酸クロライド)などのフマル酸塩またはフマル酸が、柔軟な骨格を有するポリ(カプロラクトン)マクロマー(例えば、500〜10,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリ(ε−カプロラクトン))と共重合化される。
【0021】
別の態様において、本発明は、カプロラクトン単位およびフマレート単位を有する本発明による共重合体、およびフリーラジカル開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル)を含む自己架橋性生分解性材料を提供する。自己架橋性生分解性材料は、注射可能な代用骨または注射可能な骨セメントとして用いられ得る。1つの態様において、自己架橋性生分解性材料は、塩化ナトリウム結晶などの細孔形成剤を含む。自己架橋性生分解性材料はまた、ジメチルトルイジンなどの促進剤も含んでも良い。生分解性材料は自己架橋性であるため、架橋剤を含む必要がない。別の態様において、自己架橋性生分解性材料は、粒子状または繊維状補強材料を含む。好ましくは、粒子状または繊維状補強材料は、ヒドロキシアパタイトなどの生体活性セラミックスを含む。
【0022】
自己架橋性生分解性材料は、組織再生用のスカフォードを調製するのに用いられ得る。スカフォードは、カプロラクトン単位およびフマレート単位を含む本発明による共重合体から形成された生分解性マトリクッスを含む。マトリクッスは、ヒドロキシアパタイトなどの粒子状または繊維状補強材料を含んでもよい。スカフォードは、細孔形成剤が重合性スカフォードに封入され、かつ材料の固体化の際溶解して多孔質のスカフォードを形成する塩化ナトリウム塩の結晶などの細孔形成剤とともに形成されてもよい。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「生体適合性」材料は、重篤または増大する応答と対照的に、穏やかで、しばしば一時的な、移植応答のみを刺激するものである。本明細書中で使用される場合、「生分解性」材料は、通常のin vivo生理学的条件下で、代謝または排泄可能な成分に分解されるものである。本明細書中で使用される場合、「生体吸収性」材料は、身体の化学的/生物学的作用のため、限られた範囲の時間で崩壊するものである。「注射可能」により、共重合体が医療用シリンジによりある部位に送達され得ることを意味する。「自己架橋性」により、本発明による重合体の官能基と、同一の重合体または本発明による別の重合体の官能基との間の架橋を形成する架橋剤なしに、本発明による重合体の官能基が同一の重合体または本発明による別の重合体の官能基と架橋し得ることを意味する。
【0024】
本明細書中の「分子量」という用語は、「重量平均分子量」(Mw=Σiii2/Σiii)を示す。用いられた方法に応じて結果が異なる場合があるが、重量平均分子量(Mw)は様々な方法で決定可能であるものの、ゲル浸透クロマトグラフィーをもちいることが簡便である。本明細書中で使用される場合、「数平均分子量」(Mn)という用語は、重合体試料中の全分子の合計重量を、そこに含まれるモル数の合計で割ったものを示す(Mn=Σiii/Σii)。用いられた方法に応じて結果が異なる場合があるが、数平均分子量は様々な方法で決定可能であるものの、ゲル浸透クロマトグラフィーをもちいることが簡便である。本明細書中で使用される場合、「多分散性」という用語は、材料の「重量平均分子量」をその「数平均分子量」で割ったもの(Mw/Mn)を示す。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために示され、いかなる方法でも本発明を制限することを意図しない。
【0026】
A.ポリ(カプロラクトン−フマレート)マクロマーの合成
塩化メチレン中、触媒としてトリエチルアミンを用いて、ポリ(ε−カプロラクトン)とフマル酸クロライドとの縮重合によりポリ(カプロラクトン−フマレート)マクロマーを合成した。全ての化学薬品は、Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から購入した。塩化メチレンおよびトリエチルアミンは、反応前に水素化カルシウムで乾燥および蒸留した。フマル酸クロライドは、161℃で蒸留して精製した。340ダルトン、760ダルトン、1200ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する3種のポリ(ε−カプロラクトン)の試料を用いた。3種のポリ(ε−カプロラクトン)の試料の多分散性指数は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めたところ、それぞれ、1.7、1.8、および1.8であった。ポリ(ε−カプロラクトン)の試料は、反応前に、5mmHg未満の減圧下、60℃で、少なくとも12時間乾燥させた。フマル酸クロライド対ポリ(ε−カプロラクトン)のモル比は0.9であった。760のMnを有するポリ(ε−カプロラクトン)の代表的な反応は以下のとおりであった。
【0027】
三つ口反応フラスコ中、窒素雰囲気下、40mmolのポリ(ε−カプロラクトン)を300mlの塩化メチレンに溶解した。36mmolのフマル酸クロライドおよび72mmolのトリエチルアミンを25mlの塩化メチレンに溶解させて、反応系に撹拌しながら滴下した。反応容器を氷浴に入れて、発熱反応による温度上昇を抑えた。フマル酸クロライドおよびトリエチルアミンを加えた後、周辺条件下で反応を24時間続けさせた。
【0028】
反応の完了後、溶媒を周辺温度および減圧下でロータリエバポレーション(rotovaporation)により除去し、残渣を500mlの無水酢酸エチルに溶解して、副生成物のトリエチルアミン塩酸塩をろ過して除去し、30℃で減圧蒸留して酢酸エチルを除去した。重合体を塩化メチレンに再溶解して、氷冷したエチルエーテルで2回沈殿させた。重合体を、減圧下(5mmHg未満)、周辺温度で少なくとも12時間乾燥させ、用いるまで−20℃で貯蔵した。
【0029】
B.ゲル浸透クロマトグラフィー
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリ(カプロラクトン−フマレート)マクロマーの分子量および多分散性を求めた。515型HPLCポンプおよび2410型屈折率検出器と接続したWaters 717プラスオートサンプラーGPCシステム(Waters,Milford,MA,USA)でGPCを行った。カラムは、スタイラジェルHR4Eカラム(7.8×300MM、Waters)と直列に並んだスタイラジェルHTガードカラム(7.8×300mm、Waters)からなった。重合体試料(20μl)を、テトラヒドロフラン中20mg/mlの濃度で、1ml/分の流速で溶出させた。0.474kD、6.69kD、18.6kD、および38kDのMnおよび1.1未満の多分散性を有する単分散ポリスチレン標準(Polysciences,Warrington,PA)を用いて較正曲線を構築した。
【0030】
C.1H NMRおよび13C NMR
核磁気共鳴(NMR)を用いて、マクロマー中のフマレート基の存在を確認した。Bruker Advance 500MHzシステム(Bruker Analytic GmbH,Rheinstetten,Germany)を用いて周辺温度で1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルを記録した。1H−NMRについては、パルス角、パルス持続期間、遅延時間、収集時間、分解能、および走査回数は、それぞれ、90°、6μ秒、7秒、3秒、0.17Hz、および32であった。13C−NMRについては、それぞれ90°、4μ秒、5秒、200m秒、2.4Hz、および2048であった。NMR用の重合体溶液は、内部標準として1%v/vトリメチルシラン(TMS)を含有する重水素化クロロホルム(99.8原子%重水素化,Aldrich)で、50mg/mlの濃度で調製した。
【0031】
D.フーリエ変換赤外分光法
FTS−40フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(Bio-Rad,Hercules,CA,USA)を用いて、1,000〜4,000cm-1のIR領域で、ポリ(カプロラクトン−フマレート)の吸収を測定した。重合体の薄膜を大きさ3mm×32mmのCaF2ディスク(Wilmad Glass,Buena,NJ,USA)に載せ、そして乾燥窒素雰囲気下、16回の平均走査および4cm-1の分解能でスペクトルを収集した。ポリ(カプロラクトン−フマレート)のアセトン溶液(1mlのアセトン中50mgのポリ(カプロラクトン−フマレート))の滴をCaF2ディスクに落として周辺条件で30秒間乾燥させた。次いで、これを減圧下周辺温度で30秒間乾燥させ、そして最後に60℃に加熱してフィルムに残存する全ての溶媒を除去した。
【0032】
E.スカフォード組み立て
細孔形成剤として塩化ナトリウム塩粒子を用いて、フリーラジカル重合を介してフマレート炭素−炭素二重結合の自己架橋によりスカフォードを調製した。過酸化ベンゾイルおよびジメチルトルイジンを、それぞれフリーラジカル開始剤および促進剤として用いた。架橋反応に用いた全ての化学薬品は、Aldrichから入手して、そのまま用いた。ふるい分けにより得られた塩粒子の大きさの分布は、平均400μmで、100〜700μmの範囲であった。スカフォードの組み立ての代表的な手順は以下のとおりであった。
【0033】
シンチレーションバイアル中、1グラムのポリ(カプロラクトン−フマレート)を75体積%の空隙率に相当する5.0gの細孔形成剤と混合した。50μlの開始剤溶液(250μlのN−ビニルピロリドン中50mgの過酸化ベンゾイル)および40μlの促進剤溶液(940μlの塩化メチレン中60μlのジメチルトルイジン)を加えて、十分に混合した。N−ビニルピロリドンを、ポリ(カプロラクトン−フマレート)の2重量%に満たない量で用いて、開始剤を溶解させたが、架橋剤としては使用されなかった。重合性スカフォードを5mm×18mmのTeflon製の型に移し、そして手で押して最大限に詰めた。型を対流式オーブンに1時間入れて、架橋を促進した。架橋後、型を周辺温度に冷却し、スカフォードを型から取り出し、そして直径および長さが5mm×8mmの円筒型標本を、Isomet低速のこぎり(Buehler,Lake Bluff,IL,USA)で切り取った。スカフォードを蒸留水(DW)中に3日間置くことで塩を浸出させ、この間、水は12時間ごとに交換した。スカフォードを、制御雰囲気下、周辺温度で1日、そして5mmHg未満の減圧下で少なくとも12時間乾燥させた。
【0034】
F.走査型電子顕微鏡
冷陰極電界放射型走査型電子顕微鏡(S−4700,Hitachi Instruments inc.,Tokyo,Japan)を用いてスカフォードの細孔形態を検査した。各スカフォードを液体窒素温度で割り、スカフォードの平坦な内部断面を露出させた。試料を、Hanid−Takパテ(Super Glue Corp.,Rancho Cucamonga,CA,USA)を用いてSEMスタブ(Ted Pella,Redding,CA,USA)にマウントし、そしてこれにコロイド銀を塗って装置に電気的に接地した。これを、減圧デシケーター中で一晩乾燥させた。装置を、Bio−Rad/Polaron E5400高分解能スパッタコーター(Bio-Rad/Polaron,Cambridge,MA)を用いて90mAで30秒間、金−パラジウムでスパッタコーティングした。試料を、5kVの加速電圧でSEMで視察した。
【0035】
G.マイクロコンピュータ断層診断
マイクロCTスキャナを、Mayo Clinic(Rochester,MN,USA)の生理学画像研究(Physiological Imaging Research)の研究室で、市販されている部品から自作した。スキャナは、上限10億個の立方体のボクセルからなる三次元画像を作り出す。標本を結晶の近くに配置して、各X線照射源とそれに付随する電荷連動記録デバイス(device recording)との間で、等角度で数百回、360°方向で回転させた。総合三次元画像表示分析プログラム(Analyze(登録商標),Mayo Foundation,Mayo Clinic,Rochester,MN,USA)を用いて、重合体スカフォードの微小構造を定量的に評価した。異なる密度の領域を表すボクセルを分割するために、オペレータの選択した強度閾値で画像を分断した。画像はそれから診断されて、各材料の体積画分が求められ、内部結合性(interconnectivity)が測定され、そして孤立した細孔の大きさ分布が求められた。
【0036】
H.細胞毒性評価
雑種犬の足から線維芽細胞を単離した。簡単には、無菌条件下、腱を摘出して、0.2%コラーゲン分解酵素III型(Worthington Biochemical Corp.,Lakewood,NJ,USA)溶液を用いて、オービタルシェーカー上、ダルベッコ変法イーグル培地(Gibco,Life Technologies,Gaithersburg,MD,USA)中37℃で24時間消化した。細胞懸濁液を、ポリスチレンフラスコの、900mlの蒸留脱イオン水中13.4gのDMEMおよび3.7gの重炭酸ナトリウム、10%v/vのウシ胎児血清(FBS)、5%v/vのペニシリン−ストレプトマイシン溶液(1mlあたり10,000単位のペニシリンおよび10mgのストレプトマイシン)を含有する一次培地に蒔いた。蒔いた後、懸濁液を、5%のCO2、95%の相対湿度のインキュベーター中37℃で12時間、インキュベートした。細胞をPBXで2回洗浄し、そして2mlの0.05%トリプシン/0.53mM EDTAに5分間曝露することにより、酵素的にリフトした(lifted)。懸濁液を遠心分離し、そして細胞毒性評価のため一次培地に再懸濁させた。
【0037】
細胞を、滅菌した5mm×0.5mmのポリ(カプロラクトン−フマレート)ディスクの存在下、12ウェルプレートに、300μl/cm2の一次培地中2×104個/cm2の密度で蒔いて、細胞毒性評価を行った。細胞の付着および増殖のため、プレートを48時間インキュベートした。細胞を、Axiovert 25 Zeiss 光学顕微鏡(Carl Zeiss,Germany)で視察した。ポリ(カプロラクトン−フマレート)フィルムを、スカフォード組み立ての段落で記載されるとおりに、過酸化ベンゾイルおよびジメチルトルイジンをそれぞれ開始剤および促進剤として用いて、細孔形成剤としての塩を用いずにポリ(カプロラクトン−フマレート)の自己架橋により調製した。フィルムを作るため、混合物を、40℃で275Ib/in2の圧力で圧縮した。穿孔器を用いて直径5mmのディスクをフィルムから切り取った。ディスクを過剰な70%エタノールに移して一晩震盪させて滅菌し、次いでPBSで少なくとも3回洗浄してから12ウェルプレートに加えた。
【0038】
I.細胞適合性評価
ASTMF813−01をポリ(カプロラクトン−フマレート)(PCLF)スカフォードの細胞直接接触の評価に用いた。ヒト骨芽細胞を用いた。細胞の単離および特性決定は、S.A.Harris,et al.,「条件的に不死化したヒト胎児骨芽細胞株の発達および特性決定(Development and characterization of a conditionally immortalized human fetal osteoblast cell line)」,J.Bone.Miner.Res.,10-2(1995)p.178-186に記載される。冷凍保存した細胞を解凍して、ポリスチレンフラスコの、DMEM/F12および重炭酸ナトリウム、10%v/vのウシ胎児血清(FBS)、ならびに150mgのジェネテシンを含有する培地に蒔いた。蒔いた後、懸濁液を、5%のCO2、95%の相対湿度のインキュベーター中34℃で12時間インキュベートした。細胞を、300μlの培地中6.5×104個/cm2の密度で、24ウェルプレートに播種し、48時間インキュベートした。次いで、ディスクを取り出し、細胞をPBSで洗浄し、新しい培地を各ウェルに添加し、そしてさらに24時間インキュベートした。細胞を、トリパンブルー染色を用いて、血球計数器で計数した。PCLFディスクに48時間曝露した後の生存細胞の画分を図5に示す。対照、PCLのMnが760(L10)、および1200(L20)である直鎖PCLF、ならびにPCLのMnが340(X5)、760(X10)、および1200g/mol(X20)である架橋PCLFについて、生存細胞の画分は、それぞれ、0.85±0.04、0.86±0.04、0.83±0.03、0.84±0.07、0.84±0.06、および0.86±0.02であった。PCLFスカフォードの存在下、ヒト骨芽細胞にたいする副作用は観測されなかった。
【0039】
結果および考察
nが3,680ダルトンでありポリ(カプロラクトン)数平均分子量が760ダルトンであるポリ(カプロラクトン−フマレート)のFTIRスペクトルを再検討した。図1を参照。2,944cm-1および2,865cm-1のピーク位置の吸収帯が観測されたが、これらはポリ(カプロラクトン)のメチレン基の非対称伸縮(vasCH2)および対称伸縮(vsCH2)によるものである。1,724cm-1のピーク位置の吸収帯が観測されたが、これはポリ(カプロラクトン)およびフマレート基のカルボニル(C=O)振動によるものである。1,419cm-1のピーク位置の弱い吸収帯が観測されたが、これはcis−二置換フマレート基のC−Hゆれ振動によるものであり、ポリ(カプロラクトン)のスペクトルには存在しない。
【0040】
nが3,680ダルトンでありポリ(カプロラクトン)数平均分子量が760ダルトンであるポリ(カプロラクトン−フマレート)の1H−NMRスペクトルを再検討した。図2を参照。1.38ppmおよび1.65ppmのピーク位置の化学シフトが観測されたが、これらはそれぞれ、ポリ(カプロラクトン)の、1つのメチレン基および1つの(−CH2O)基の2つのメチレン(−CH2)基に付着したメチレン水素、によるものである。2.3ppmのピーク位置の化学シフトが観測されたが、これはポリ(カプロラクトン)の、メチレン(−CH2)基とカルボキシル(−COOR)基に付着したメチレン水素によるものである。中心が3.6ppmの化学シフトが観測されたが、これはポリ(カプロラクトン)の、−CH2とヒドロキシル基(−OH)に付着した末端のメチレン水素によるものである。中心が4.1ppmの化学シフトが観測されたが、これは−CH2と−OCORに付着した、末端ではないメチレン水素によるものである。中心が4.1ppmのピーク対3.6ppmのものの比は、Mnが3,680ダルトンのポリ(カプロラクトン−フマレート)では3.9に等しく、これはポリ(カプロラクトン)のフマル酸クロライドとの共重合の度合いに関連している。この比はゲル浸透クロマトグラフィーで得られたポリ(カプロラクトン−フマレート)の分子量と一致する。
【0041】
中心が3.1ppmおよび4.35ppmの比較的小さいピークが観測されたが、これらはポリ(カプロラクトン)の、残余のエトキシ基のメチレン水素によるものである。6.8ppmのピーク位置の化学シフトが観測されたが、これはポリ(カプロラクトン−フマレート)のフマレート基の水素によるものであり、ポリ(カプロラクトン)のスペクトルには存在しない。フマレート水素の化学シフトが7.0ppm未満であることから、共重合体中のフマレート基はcis配座にある。6.8ppmの化学シフトの存在は、フマレート基がポリ(カプロラクトン)に組み込まれていることをはっきりと示した。
【0042】
ポリ(カプロラクトン)(PCL)分子量の関数としてのポリ(カプロラクトン−フマレート)(PCLF)の分子量を表1に示す。フマル酸クロライド−ポリ(カプロラクトン)(FC/PCL)比は全ての配合で0.9であった。数平均分子量が340ダルトン、760ダルトン、および1,200ダルトンであるポリ(カプロラクトン)は、それぞれ、分子量が3,150、3,680、および3,870ダルトンであるポリ(カプロラクトン−フマレート)共重合体を生成した。全ての分子量について、ポリ(カプロラクトン−フマレート)の多分散性指数はポリ(カプロラクトン)のものよりも明らかに高かった。
【0043】
【表1】

【0044】
スカフォードを、ポリ(カプロラクトン−フマレート)共重合体から、細孔形成剤としての塩、化学開始剤としての過酸化ベンゾイル、促進剤としてのジメチルトルイジンを使用して、組み立てた。Mnが3,680ダルトン、多分散性指数が2.3、そして75体積%の塩含量のポリ(カプロラクトン−フマレート)スカフォードの断面のSEM写真を作成した。図3を参照。SEM画像は、非常に多孔質で結合し合った固体スカフォードを示した。
【0045】
同一のスカフォードの縦断面もまた、マイクロ−CTで得て作成した。図4を参照。マイクロコンピュータ断層診断画像は、架橋剤なしで、三次元の多孔質で結合し合ったポリ(カプロラクトン−フマレート)スカフォードが形成されたことを確認した。
【0046】
化学的に開始させて自己架橋したポリ(カプロラクトン−フマレート)のディスクを、培養した線維芽細胞に上限48時間曝露させた。細胞は、ポリ(カプロラクトン−フマレート)ディスクの存在下、増殖した。ポリ(カプロラクトン−フマレート)スカフォードの存在下、細胞への副作用は観測されなかった。
【0047】
したがって、自己架橋性かつ生分解性のマクロマーが、誘導骨再生用に開発された。1つの実施態様において、マクロマーは、in−situでの架橋用の二重結合を含むフマル酸クロライドと、自己架橋性を促進するための柔軟な鎖を有するポリ(ε−カプロラクトン)との共重合体である。ポリ(カプロラクトン−フマレート)は、フーリエ変換赤外線分光法、核磁気共鳴分光法、およびゲル浸透クロマトグラフィーで特性決定された。多孔質スカフォードは、細孔形成剤としての塩化ナトリウム粒子および化学開始系を使用して組み立てられた。ポリ(カプロラクトン−フマレート)スカフォードは、走査型電子顕微鏡およびマイクロコンピュータ断層診断で特性決定された。ポリ(カプロラクトン−フマレート)共重合体は、架橋剤を用いることなく、首尾よく自己架橋した。この共重合体は、骨格異常を治療するための注射可能な自己架橋性材料として有用である。
【産業上の利用の可能性】
【0048】
本発明は、注射されてin situで硬化してスカフォードを形成することができる、組織および/または骨格再構築用の、架橋性生分解性の重合体材料に関する。
【0049】
本発明は、特定の実施態様を参照してかなり詳細に記載されたものの、当業者は、本発明が、制限としてではなく例示の目的で記載された実施態様と異なって実施され得ることを理解するだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書中に含まれる実施態様の記載に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ポリ(ε−カプロラクトン)の数平均分子量が760ダルトンであるポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)のFTIRスペクトルである。
【図2】ポリ(ε−カプロラクトン)の数平均分子量が760ダルトンであるポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)の1H−NMRスペクトルである。
【図3】ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)のMnが3,680ダルトンおよび多分散性指数が2.3であるポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)スカフォードの断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】ポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)のMnが3,680ダルトンおよび多分散性指数が2.3であるポリ(ε−カプロラクトン−フマレート)スカフォードの縦断面のマイクロコンピュータ断層診断写真である。
【図5】ポリ(カプロラクトン−フマレート)(PCLF)ディスクに48時間曝露した後の生存細胞の画分を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(カプロラクトン−フマレート)。
【請求項2】
カプロラクトン単位と、
フマレート単位と
を含む共重合体。
【請求項3】
前記共重合体は、3,000〜4,000の範囲の数平均分子量を有する、請求項2に記載の共重合体。
【請求項4】
前記共重合体は、2〜4の範囲の多分散性指数を有する、請求項2に記載の共重合体。
【請求項5】
前記共重合体は、50℃〜70℃の範囲の融点を有する、請求項2に記載の共重合体。
【請求項6】
前記共重合体は、前記融点より高い温度で注射可能である、請求項5に記載の共重合体。
【請求項7】
前記共重合体は、30℃〜40℃の範囲の硬化点を有する、請求項2に記載の共重合体。
【請求項8】
(i)カプロラクトンと、(ii)フマル酸またはその塩とを反応させることにより調製される共重合体。
【請求項9】
前記共重合体は、ポリ(ε−カプロラクトン)とフマル酸クロライドとを反応させることにより調製される、請求項8に記載の共重合体。
【請求項10】
前記ポリ(カプロラクトン)は、500ダルトン〜10,000ダルトンの範囲の分子量を有する、請求項9に記載の共重合体。
【請求項11】
前記共重合体は、50℃〜70℃の間の融点を有する、請求項8に記載の共重合体。
【請求項12】
前記共重合体は、前記融点より高い温度で注射可能である、請求項11に記載の共重合体。
【請求項13】
前記共重合体は、30℃〜40℃の範囲の硬化点を有する、請求項11に記載の共重合体。
【請求項14】
カプロラクトン単位とフマレート単位とを含む共重合体と、
フリーラジカル開始剤と
を含む、架橋性生分解性材料。
【請求項15】
前記材料は注射可能な代用骨である、請求項14に記載の材料。
【請求項16】
前記材料は注射可能な骨セメントである、請求項11に記載の材料。
【請求項17】
細孔形成剤をさらに含む、請求項14に記載の材料。
【請求項18】
促進剤をさらに含む、請求項14に記載の材料。
【請求項19】
前記材料は架橋剤を含まない、請求項14に記載の材料。
【請求項20】
粒子状または繊維状補強材料をさらに含む、請求項14に記載の材料。
【請求項21】
前記補強材料はヒドロキシアパタイトを含む、請求項14に記載の材料。
【請求項22】
前記共重合体は、(i)ポリ(ε−カプロラクトン)と(ii)フマル酸またはその塩とを反応させることにより調製される、請求項14に記載の材料。
【請求項23】
組織再生用スカフォードであって、該スカフォードは、カプロラクトン単位とフマレート単位とを含む共重合体を含む生分解性マトリクッスを含む、組織再生用スカフォード。
【請求項24】
前記共重合体は、(i)ポリ(ε−カプロラクトン)と(ii)フマル酸またはその塩とを反応させることにより調製される、請求項23に記載のスカフォード。
【請求項25】
前記マトリクッスは、粒子状または繊維状補強材料を含む、請求項23に記載のスカフォード。
【請求項26】
前記補強材料はヒドロキシアパタイトを含む、請求項25に記載のスカフォード。
【請求項27】
前記スカフォードは多孔質である、請求項23に記載のスカフォード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528909(P2007−528909A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517803(P2006−517803)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/021040
【国際公開番号】WO2005/004811
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(500480919)メイヨ フオンデーシヨン フオー メデイカル エジユケーシヨン アンド リサーチ (18)
【Fターム(参考)】