説明

自己調節式羽根を持つ可逆ファン

【課題】自己調節式羽根を持つ可逆遠心ファンを提供する。
【解決手段】可逆遠心ファン(10)は、そこから延在する枢軸ピン(50)を持つ駆動円板(20)と、前記枢軸ピン(50)に旋回可能に取り付けられた羽根(30)であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口(100)を含んでいる当該羽根(30)と、前記羽根(30)の前記開口(100)に受け入れるための案内アーム(70)を含んでいる従動円板(40)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書で開示する内容は、一般的に云えば、可逆ファン(bidirectional fan) 装置に関するものである。より具体的には、本書で開示する内容は、少なくとも1つの自己調節式羽根を持つ可逆遠心ファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
可逆モータにおける既存のファン(例えば、遠心ファン)は複数の半径方向羽根(又はブレード)を持ち、これらの半径方向羽根は当該ファンの回転方向に基づいて一方向に空気の流れを与える。(可逆ファンが時計回り又は反時計回り方向のいずれかで回転しているときのように)異なる回転方向にも拘わらず同じ方向に空気の流れを与えるためには、羽根は半径方向外向きの配向で傾斜せずに固定するか、或いは傾斜した配向で固定して、手動で調節するか又は取り付け直す必要がある。非傾斜の配向では、ファンを効率よく動作させることができず、また雑音が生じることがある。傾斜した配向では、特定の回転方向で効率よく動作させるために手動の調節を必要とし、これにより無駄な時間及び人手がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6699013号
【発明の概要】
【0004】
自己調節式羽根を持つ可逆遠心ファンを開示する。一実施形態では、可逆遠心ファンは、そこから延在する枢軸ピンを持つ駆動円板と、前記枢軸ピンに旋回可能に取り付けられた羽根であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口を含んでいる当該羽根と、前記羽根の前記開口に受け入れるための案内アームを含んでいる従動円板と、を有する。
【0005】
本発明の第1の面では、そこから延在する枢軸ピンを持つ駆動円板と、前記枢軸ピンに旋回可能に取り付けられた羽根であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口を含んでいる当該羽根と、前記羽根の前記開口に受け入れるための案内アームを含んでいる従動円板とを含む可逆遠心ファンを提供する。
【0006】
本発明の第2の面では、モータと、該モータに動作可能に接続された可逆ファンとを有する装置を提供し、前記可逆ファンは、そこから延在する枢軸ピンを持つ駆動円板と、前記枢軸ピンに旋回可能に取り付けられた羽根であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口を含んでいる当該羽根と、前記羽根の前記開口に受け入れるための案内アームを含んでいる従動円板であって、前記案内アームが前記開口の長さに沿って動くように構成されている、当該従動円板と、を含んでいる。
【0007】
本発明の第3の面では、そこから延在する複数の枢軸ピンを持つ駆動円板と、前記複数の枢軸ピンにそれぞれ1つずつ旋回可能に取り付けられた複数の羽根であって、当該複数の羽根の各々が該羽根の一次軸に沿って延在し且つ該羽根の二次軸に沿って該羽根を少なくとも部分的に貫通するスロットを含んでいる、当該複数の羽根と、前記羽根の前記スロットに受け入れるための案内アームを含んでいる従動円板であって、該案内アームが前記羽根の一次軸に沿って前記スロット内を動くように構成されている、当該従動円板と、を有する可逆遠心ファンを提供する。
【0008】
本発明のこれらの及び他の特徴は、本発明の様々な実施形態を示す添付図面を参照した、本発明の様々な面についての以下の詳しい説明からより良く理解されよう。
【0009】
ここで、本発明の図面が正確な縮尺ではないことに留意されたい。図面は本発明の典型的な面のみを表しており、従って本発明の範囲を制限するものと見なすべきではない。図面では、全図を通じて同様な部品を同様な参照数字で表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態に従った可逆ファンの概略斜視図である。
【図2】図2は、一実施形態に従った可逆ファンの構成部品の概略斜視図である。
【図3】図3は、一実施形態に従った可逆ファンの別の構成部品の概略斜視図である。
【図4】図4は、一実施形態に従った可逆ファンの更に別の構成部品の概略斜視図である。
【図5】図5は、一実施形態に従った一つの羽根の平面図である。
【図6】図6は、一実施形態に従った可逆ファンの構成部品の概略斜視図である。
【図7】図7は、一実施形態に従った可逆ファンの概略斜視図である。
【図8】図8は、一実施形態に従った可逆ファンの概略斜視図である。
【図9】図9は、一実施形態に従った可逆ファンの概略斜視図である。
【図10】図10は、一実施形態に従った可逆ファンを含むモータ組立体の一部破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前に述べたように、本発明の様々な面では、自己調節式羽根を持つ可逆遠心ファンを提供する。羽根は、ファンの運動方向が時計回りから反時計回りへ、またその逆に変更されたときに、自己調節するように構成されている。すなわち、ファンの運動方向の変更に応答して羽根の位置を調節するために、オペレータ、例えば、人間オペレータ及び/又は機械的又はロボット・ツールの介在を必要としない。本書で用いる用語「ファン」には、流体を加速するために使用される装置が含まれる。例えば、そのような装置として、流体(例えば、水)を加速するために使用される羽根車を挙げることができる。主に本書ではファンの例について記述するが、本開示の教示内容は、羽根車、ポンプ、又は他の流れ生成装置にも適用できることは勿論である。
【0012】
図1に注目すると、一実施形態に従った可逆ファン10の斜視図が示されている。この場合、可逆ファン10は遠心ファンに含まれる。当該技術分野で知られているように、遠心ファンはガスを加速するために使用することができ、またモータ又は他の回転装置(例えば、図10のモータ200)に作動可能に取り付けることができる。遠心ファンは該ファンの中央領域を介してガスを吸入して、該ガスを加速し、その後、ガスは(ファンの羽根の回転による遠心力に起因して)吸入角に対して垂直な角度で放出される。また当該技術分野で知られているように、可逆ファンは、時計回り及び反時計回りの両方向に回転する能力を持つファンである。この場合、可逆ファン10は実質的に中立位置である(中立位置では、羽根は前方にも後方にも傾斜していない)。図示のように、可逆ファン10は、駆動円板20(説明のために部分的に透明であるように図示されている)と、少なくとも1つの羽根30と、従動円板40とを含むことができる。これらの構成部品の相互作用については後で説明する。
【0013】
図2について簡単に説明すると、一実施形態に従った駆動円板20の斜視図が示されている。図2には、図1の駆動円板20が(部分的に透明なものとして)示されており、駆動円板20からは1つ以上の枢軸ピン50が延在する。これらの枢軸ピン50は駆動円板20から実質的に垂直に延在することができ、また可逆ファンに用いられる任意の通常の材料、例えば、鋼、アルミニウム、複合材などで形成することができる。枢軸ピン50は1つ以上の羽根(図1の30)の旋回可能な取付けを可能にし、従って、枢軸ピン50を中心に羽根30を旋回させることのできる任意の形状(例えば、棒状、引き延ばした球など)にすることができる。1つ以上の枢軸ピン50の端部はストッパ(例えば、ナット、ピン、締め具など)を受けるように構成することができ、このストッパは駆動円板20の回転軸に沿った羽根30の動きを制限する。一実施形態では、枢軸ピン50の端部は、それがストッパを受けることができるように機械加工することができ、例えば、ナット、ピン、締め具などを受けるためにネジ山を付け、或いは截頭又は穿孔することができる。駆動円板20はまた図示のように複数の開口60を含み、該開口60は、例えば、ネジ、ナット、ボルト、締め具などをにより、モータ(図示せず)の駆動部材(例えば、シャフト)に接続するために使用することができる。
【0014】
図3について説明すると、一実施形態に従った従動円板40の斜視図が示されている。本書で更に説明するように、従動円板40は駆動円板20よりも大きい重量を持つことができ、これにより、可逆ファン10の動作時に駆動円板20に対して従動円板40の回転に僅かな遅れを生じさせることができる。従動円板40は図示のように更に複数の案内アーム70を含み、各々の案内アーム70は羽根30(図1)の開口(図示せず)に受け入れられる。案内アーム70及び従動円板40は、可逆ファンに用いられる任意の通常の材料で形成することができる。ここで、案内アーム70は従動円板40に任意の通常の態様で取り付けることができ、また連続した単一の材料(例えば、金属)の鋳造により形成するか、或いは(例えば、溶接又は締結により)従動円板40に固定することができることが理解されよう。案内アーム70は従動円板40の表面から実質的に垂直に延在することができる。また図3には複数のストッパ80が示されており、これらのストッパ80は、従動円板40と共に鋳造され、或いは従動円板40の表面に固定され又は他の方法で取り付けられていて、案内アーム70に隣接して配置される。一実施形態では、図示のように、一対のストッパ80を、従動円板40の円周に沿って各々の案内アーム70の両側に1つずつ、従動円板40に固定することができる。一実施形態では、これらのストッパ80は、従動円板40の中心(回転)軸(A)に対して案内アーム70よりも半径方向内側に配置することができる。一実施形態では、これらのストッパ80は案内アーム70の両側に該案内アーム70から等間隔で設けられ。
【0015】
また図3には複数の支持アーム90が示されており、これらの支持アーム90は、可逆ファン10の動作時に従動円板40と駆動円板20(図1)との間の半径方向支持を行うために用いることができる。これらの支持アーム90は従動円板40に(例えば、溶接、鋳造等により)固定又はその他の方法で取り付けることができ、また可逆ファンに用いられる任意の通常の材料(例えば、一種類以上の複合材、或いは鋼又はアルミニウムのような金属)で形成することができる。本書で更に説明するように、複数の支持アーム90は、これらの支持アーム90の外面と駆動円板20(図1)の内径との間に間隔が生じるように従動円板40上に位置決めすることができる。一実施形態では、複数の支持アーム90は、駆動円板20の内径(半径方向内側の面)と1つを除いた全ての支持アーム90の外面との間に半径方向の間隔を生じるように構成することができる。この場合、唯一つの支持アーム90が、可逆ファン10の動作時に常に駆動円板20の内面に接触することができる。これにより駆動円板20と従動円板40との間に充分な半径方向支持を与えながら、駆動円板20と従動円板40との間の摩擦力を低減することができる。代替の実施形態では、転がり軸受又は減摩ブッシングを支持アーム90の代わりに又は支持アーム90と共に用いて、駆動円板20と従動円板40との間に半径方向支持を与えながら、駆動円板20と従動円板40との間の摩擦力を低減することができる。
【0016】
図4、図5及び図6について説明すると、羽根30の斜視図、羽根30の平面図及び羽根30の別の斜視図がそれぞれ示されている。図示の羽根30は、それを少なくとも部分的に貫通する開口100を含む。一実施形態では、開口100は羽根30の(y軸に沿った)長さ全体にわたって延在することができ、また案内アーム70(図1及び図3)を受け入れるように構成することができる。開口100は更に、羽根30の(x軸に沿った)長さの少なくとも一部分にわたって延在することができ、またその中に配置された案内アーム70に対して羽根30が動くのを可能にする(図1)。一実施形態では、羽根30は、羽根30の一次軸(一次軸はx軸で示されている)に沿って案内アーム70(図1及び図3)に対して動くように構成される。一実施形態では、開口100は、一方向(軸方向A)にのみ羽根30を完全に貫通するほぼ長円形のスロットとすることができる。羽根30はまた、羽根30を枢軸ピン50(図1、図2及び図6)に旋回可能に取り付けるように構成された第2の開口110を含むことができる。開口100と同様に、第2の開口110は一方向(A軸)に沿って羽根30をほぼ貫通して延在することができる。しかしながら、代替の実施形態では、第2の開口110及び第1の開口100は羽根30(図示せず)を部分的に貫通するように構成することができる。いずれの場合も、第2の開口110は羽根30を枢軸ピン50に旋回可能に取り付けできるようにし、このため羽根30は枢軸ピン50の一次軸を中心に回転することができるようになる(枢軸ピン50の一次軸は、図4におけるA軸と平行である)。この結果、羽根30を可逆ファン10内で時計回り方向の傾斜から反時計回り方向の傾斜位置へ、またその逆に動かすことが可能になる。一実施形態では、第2の開口110は、例えば、ナット、ピン又は他の締め具52により、枢軸ピン50を羽根30にしっかりと取り付けできるようにする肩部120(或いは、棚状部、又は他の輪郭)に隣接して配置することができる。棚状部120は、羽根30と駆動円板20との間の隙間を乱すことなく羽根を枢軸ピン50へ確実に取り付けできるようにする。
【0017】
羽根30は更に、そこから延在する1つ以上の突出部130を含むことができ、各々の突出部130は、従動円板40に取り付けられた複数のストッパ80(図1及び図3)の1つに係合するように構成されている。一実施形態では、突出部130は、ストッパ80を少なくとも部分的に囲むことによってストッパ80に係合するように構成された案内面を含むことができる。この場合、突出部130は、2つ以上の周面位置でストッパ80に接触することのできるフック又は他の多面延長体の形態を取ることができる。しかしながら、本書で更に説明するように、突出部130は、駆動円板20に対する従動円板40の回転の遅れに応答してストッパ80に係合するような任意の形状に構成することができる。
【0018】
次に、以下の図を参照して可逆ファン10の動作を説明する。図7について説明すると、中立位置にある(すなわち、羽根30に時計回り方向の傾斜も反時計回り方向の傾斜も無い)可逆ファン10の斜視図が示されている。この位置では、羽根30は前方にも後方にも傾斜していない。すなわち、羽根30の半径方向端部が、可逆ファン10の中心(回転)軸からほぼ最大の半径方向距離の所にある。この位置では、突出部130(例えば、案内面)とストッパ80との間に空間が存在し、このため、突出部130はストッパ80に係合していない。この位置では、駆動円板20は未だ軸(A)を中心とした回転運動を開始していず、また開口100の一部分は従動円板40の外周よりも半径方向外側にある(外側へ突き出している)。
【0019】
次に図8について説明すると、時計回り方向(矢印で示す)に駆動円板20を回転させた後の可逆ファン10の斜視図が示されている。本書で述べたように、駆動円板20は従動円板40よりも重量を軽くして、駆動円板20を(図10に示されているように、開口60を介して取り付けた駆動シャフト230によって)最初に中立位置又は任意の他の傾斜した羽根位置から回転させたときに、従動円板40が直ちに追従しないようにすることができる。羽根30が駆動円板20の枢軸ピン50に旋回可能に取り付けられているので、羽根30の半径方向内側部分が駆動円板20と共に回転する。羽根30の半径方向内側部分は、羽根30の半径方向外側部分(例えば、開口100の付近)よりも先に回転し、これによって「傾斜した」羽根30が生じる。羽根30のこの傾斜位置は、例えば、ストッパ80と突出部130とによって固定することができる。すなわち、駆動円板20の回転中に、従動円板40の実質的な回転より前に、羽根30の突出部130がストッパ80に係合(接触及び/又は嵌合)する。一実施形態では、各羽根30の1つの突出部130が、駆動円板20の回転方向に位置するストッパ80に係合することができる。すなわち、一実施形態では、羽根30の前縁上の突出部130が該前縁の側に位置するストッパ80と係合する。突出部130がストッパ80と係合した後、羽根30は駆動円板20と従動円板40との間の接続機構として作用することができる。より具体的に述べると、突出部130がストッパ80と係合した後、従動円板40が駆動円板20と歩調を合わせて(従動円板40がもはや遅れないように)時計回りに回転運動することができる。この結果、羽根30を反時計回りの傾斜方向に固定保持しながら、可逆ファン10はその中心軸(A)を中心として時計回り方向に回転することができる。
【0020】
本書における教示から理解されるように、1つ以上の羽根30の傾斜角度は、羽根30の一次軸(x)に沿った突出部130の位置、半径方向及び/又は円周方向におけるストッパ80の位置、(例えば、一次軸(x)に沿った又は円周方向に沿った)開口100の寸法、或いは従動円板40の軸方向又は円周方向にのいずれかに沿った)案内アーム70の位置を変更することによって、変えることができる。更に、1つ以上の羽根30の傾斜角度は、ストッパ80の位置を動的に変更することによって変えることができることが理解されよう。すなわち、ストッパ80を挿入するための多数の開口を持つように従動円板40を構成することができる。ストッパ80は(例えば、ファンの組み立て/製造中にオペレータによって)1つの開口から別の開口へ動かすことにより、可逆ファン10の動作時の羽根30の傾斜角度を変えることができる。
【0021】
次に図9について説明すると、反時計回り方向に回転させた場合の図7及び図8の可逆ファン10が示されている。この場合、図8について説明したのと同様なプロセスが行われる。但し、この場合、駆動円板20はその回転を中立位置(図7)から反時計回り方向に開始することができる。前に述べたように、駆動円板20は従動円板40よりも重量を軽くして、駆動円板20を(図10に示されているように、開口60を介して取り付けた駆動シャフト230によって)最初に中立位置又は任意の他の傾斜した羽根位置から回転させたときに、従動円板40が直ちに追従しないようにすることができる。この事は中立位置からの駆動円板20の時計回り及び反時計回りの両方の回転に当てはまる。図8に示されている場合では、突出部130がストッパ80に係合した後、従動円板40は駆動円板20に歩調を合わせて追従することができる。しかしながら、駆動円板20と従動円板40との間の回転の遅れにより、羽根30は枢軸ピン50の周りを旋回してその配向を変更する(すなわち、傾斜する)ことができる。図8について述べた場合と同様に、羽根30の前縁上の突出部130が羽根30の同じ側にあるストッパ80に係合する。
【0022】
ここで、羽根30の前縁上の突出部130がストッパ80に係合するものとして示されているが、羽根30の後縁上の突出部130が羽根30の同じ側にあるストッパ80に係合するように構成し得ることも可能であることを理解されたい。例えば、一実施形態では、ストッパ80を図示の位置よりも半径方向に軸Aにより近い位置に配置することができる。この場合、羽根30の後縁上の突出部130が羽根30の同じ側にあるストッパに係合することができる。
【0023】
代替の実施形態では、ストッパ80及び突出部130は、羽根30に特定の配向(時計回り方向の傾斜又は反時計回り方向の傾斜)で係合することを必要とされない。この場合、駆動円板20を従動円板40に対して回転させた(前に述べた遅れを生じさせた)ときに羽根30が傾斜できる度合いを制御するように、羽根30の一次軸(x)に沿った開口100(図4及び図5)の長さを変更することができる。この場合、一次軸(x)に沿った開口100の長さは、開口100の半径方向外側部分の内面が、従動円板40に対する駆動円板20の回転後に案内アーム70に係合するような長さにすることができる。この結果、開口100の内面は、案内アーム70との接触により従動円板40を引っ張ることができる。この場合、可逆ファン10内の羽根30を自己調節するために突出部130及びストッパ80を使用することは必要でない。
【0024】
ここで、可逆ファン10は、羽根30の手動調節を必要とせずに、係合した時計回りの回転位置から、中立位置へ、更に係合した反時計回りの回転位置へ回転させることができることが理解されよう。すなわち、羽根30は、単純に開口60に接続された駆動シャフト(図示せず)を回転させることによって、時計回り方向の傾斜から、中立位置へ、更に反時計回り方向の傾斜へと調節することができる。
【0025】
次に図10について説明すると、一実施形態に従った、可逆ファン10を含むモータ組立体200が示されている。図示のように、可逆ファン10はシャフト230を介してモータ本体220に結合することができる。モータ組立体200の動作については説明を省略するが、モータ組立体200(モータ本体220を含む)は、流れ生成装置(例えば、ファン又は羽根車又はポンプ)を駆動するように構成された任意の通常のモータ組立体と同様に機能することができる。
【0026】
本書において用いられる技術用語は特定の実施形態のみを説明するためであって、本書の開示内容を制限することを意図していない。本書において用いられる単数形の表現は、特に明記していない限り、複数の存在を含むことを意図している。更に、本書で用いられる用語「有する」及び/又は「含む」は、記述した特徴、整数、段階、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1つ以上の他の特徴、整数、段階、動作、要素、構成部品、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0027】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し、任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施することができるようにするために、様々な例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0028】
10 可逆ファン
20 駆動円板
30 羽根
40 従動円板
50 枢軸ピン
52 締め具
60 開口
70 案内アーム
80 ストッパ
90 支持アーム
100 開口
110 第2の開口
120 肩部
130 突出部
200 モータ組立体
220 モータ本体
230 駆動シャフト
240 フード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そこから延在する枢軸ピン(50)を持つ駆動円板(20)と、
前記枢軸ピン(50)に旋回可能に取り付けられた羽根(30)であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口(100)を含んでいる当該羽根(30)と、
前記羽根(30)の前記開口(100)に受け入れるための案内アーム(70)を含んでいる従動円板(40)と、
を有する可逆遠心ファン(10)。
【請求項2】
前記枢軸ピン(50)は前記駆動円板(20)から実質的に垂直に延在している、請求項1記載のファン(10)。
【請求項3】
前記枢軸ピン(50)が前記駆動円板(20)に固定され、且つ前記案内アーム(70)が前記従動円板(40)に固定されている、請求項1記載のファン(10)。
【請求項4】
更に、前記従動円板(40)と前記駆動円板(20)との間の半径方向支持を行うために前記従動円板(40)から延在している支持アーム(90)を含んでいる請求項1記載のファン(10)。
【請求項5】
前記従動円板(40)は更に、前記案内アーム(70)に隣接した第1のストッパ(80)と、前記第1のストッパ(80)の側とは異なる前記羽根(30)の側で前記案内アーム(70)に隣接した第2のストッパ(80)とを有している、請求項1記載のファン(10)。
【請求項6】
前記第1のストッパ(80)及び前記第2のストッパ(80)は、前記案内アーム(70)の対向する両側で前記案内アーム(70)から等しく隔たっている、請求項5記載のファン(10)。
【請求項7】
前記羽根(30)はそこから延在する突出部(130)を含み、該突出部(130)は前記第1のストッパ(80)又は前記第2のストッパ(80)の一方に係合するように構成されている、請求項6記載のファン(10)。
【請求項8】
前記突出部(130)は、前記第1のストッパ(80)又は前記第2のストッパ(80)の前記一方を少なくとも部分的に取り囲むことによって、前記第1のストッパ(80)又は前記第2のストッパ(80)の前記一方に係合するように構成された案内面を含んでいる、請求項7記載のファン(10)。
【請求項9】
モータ(220)と、該モータ(220)に動作可能に接続された可逆ファン(10)とを有する装置(200)であって、前記可逆ファン(10)が、
そこから延在する枢軸ピン(50)を持つ駆動円板(20)と、
前記枢軸ピン(50)に旋回可能に取り付けられた羽根(30)であって、それを少なくとも部分的に貫通する開口(100)を含んでいる当該羽根(30)と、
前記羽根(30)の前記開口(100)に受け入れるための案内アーム(70)を含んでいる従動円板(40)であって、前記案内アーム(70)が前記開口(100)の長さに沿って動くように構成されている、当該従動円板(40)と、
を含んでいることを特徴とする装置(200)。
【請求項10】
そこから延在する複数の枢軸ピン(50)を持つ駆動円板(20)と、
前記複数の枢軸ピン(50)にそれぞれ1つずつ旋回可能に取り付けられた複数の羽根(30)であって、当該複数の羽根(30)の各々が該羽根(30)の一次軸に沿って延在し且つ該羽根(30)の二次軸に沿って該羽根を少なくとも部分的に貫通するスロット(100)を含んでいる、当該複数の羽根(30)と、
前記羽根(30)の前記スロット(100)に受け入れるための案内アーム(70)を含んでいる従動円板(40)であって、該案内アーム(70)が前記羽根(30)の一次軸に沿って前記スロット(100)内を動くように構成されている、当該従動円板(40)と、
を有する可逆遠心ファン(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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