説明

自然石の封止法

本発明は封止された自然石に関する。自然石の孔は水蒸気透過性であるが、水性液体を透過しない。本発明は更に前記種類の自然石の製造方法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は自然石の封止、特に材料として使用される自然石、いわゆる天然石材の封止および封止された天然石材である。
【0002】
建築材料の中で自然石は重要な位置を占める。従って自然石からなる部品はそれぞれ1つしかない。自然石のようなこれほど多くの色および構造を示す建築材料はほとんど存在しない。自然石の色および構造は例えば研削および研磨のような多くの異なる表面処理により補助される。
【0003】
天然の石材、すなわち自然石は、建築材料として、例えばファサード、床、上張り、階段、台所の被覆、浴室の枠、窓の台等に使用され、一様の工業製品でなく、固有の発生史を示す。例えば花崗岩中の黒い封入物はなお液状のマグマに岩石を溶融することを示唆する。砂岩中の層は海、川の三角州および大きい水槽中の沈殿物の堆積物から製造される。石灰岩中の化石ははるか以前の死滅した時代、変成作用の強い動力によるかなりの片麻岩のひだの重なりおよび山脈の形成の際の強い圧力による粘板岩の剥離性を報告する。
【0004】
自然石の機械的特性も確認される。自然石は他の建築材料との比較を避ける必要はない。自然石はしばしばコンクリートを上回る強度を有する。文化史の建造物、例えばギリシアまたはローマの神殿、エジプトのピラミッドまたはヨーロッパの大聖堂および城は何百年または何千年後の現在でもなおこれを物語る。自然石は多くの程度で独自性を有する建造物を建設したまたは建設されていない状況に導入するかまたは多くの色および構造を使用して新たに強調することが可能である。自然石は歴史的建築の存続の伝統を継続するので、街の中心を新たに形成する場合は有利な材料である。
【0005】
しかし内部領域に自然の石材を常に多く使用する。花崗岩からなる台所の作業板は摩擦に強く、摩耗に強く、化学薬品に安定であり、十分に丈夫である。この丈夫さは巨視的にのみである。微視的には花崗岩中に他の石と同様に、気孔、例えばミクロポアーおよび/またはメソポアーが存在する。この気孔により液体中に活発化した染料または香料または汚れ部分(例えば牛乳のような栄養物質残部)が浸入し、定着することがある。表面を分解せずにこれらの染料または香料または栄養物質残部を再び除去する可能性はほとんどない。これは自然石表面が時間とともに見栄えのしない変色を有し、分解する栄養物質残部により衛生的に問題であることを生じる。
【0006】
洗面台の枠に花崗岩より大理石が使用される。大理石は花崗岩より明らかに軟らかく、多孔質であり、一般に明るい。大理石は酸性媒体、例えばクエン酸または酢に対して特に弱い。大理石は同様にからし、ケチャップまたは他の有機媒体に対して弱い。大理石表面でのこれらの物質の長い作用は汚れを生じ、再び除去することができない。
【0007】
天然の石材の使用に関する他の問題分野は床の分野である。床の分野には例えば台所作業板または洗面台のように完全な封止が好ましくなく、無機物の床の敷物の一定の通気性が維持されるべきである、これは特に以前は一般的であったように、なお乾燥して内部の敷物を備えていない新たな建造物の場合である。床の部分に年月が経過して湿り気の差が生じ、通気性がきわめて重要である。それにもかかわらずこのような土台は汚れおよび損傷から保護することができ、例えば砂岩のような粗い孔の材料中で例えば汚れが浸入せず、これにより除去できずに定着しない。
【0008】
この明細書から、浴室、または台所および床のそれぞれの使用分野で、花崗岩、斑レイ岩、片麻岩のような酸に安定な岩石および酸に安定な石、例えば大理石または石灰岩に関してそれぞれ生じる、天然石材の封止系に関する種々の要求特性が生じる。
【0009】
天然石材の表面を含浸または塗装できることは知られている。含浸は気孔を閉鎖しないかまたは少なくとも完全に閉鎖せず、これにより液体中で活発化した汚れ部分または染料が更に気孔または石の内部領域に侵入することが可能になる、例えば赤ワインが、例えばProtectosil(登録商標)Antigraffitiを含浸した石の表面に十分に長い滞在時間で孔に侵入する。従って含浸した明るい石の表面上の赤ワイン液滴の全部の液体の蒸発により、表面を損傷しないかまたは強い酸化剤の使用により除去できない赤または褐色に見える斑点が生じる。
【0010】
表面の塗装は孔の閉鎖を可能にするが、台所作業板の手触りおよび機械的および化学的特性を変動する。例えば鍋またはフライパンのような熱い物品は例えば醜い変色または塗料表面の傷を生じることがある。
【0011】
建築技術的情報誌、Naturwerkstein3.2des Deutschen Naturwerkstein Verbandes eVにより、天然石材用の種々の洗剤および手入れ剤が存在する。特に興味深いのは含浸剤であり、以下に引用する。
含浸;含浸は岩石表面に層を形成しない。多くのシリコンまたはシロキサンを含有する物質は表面の変動を生ぜず、光沢を残さない。この物質は機械的摩耗にさらされないので、一般に良好な保持能力を有する。この岩石は連続気泡を維持しなければならず、水蒸気透過性が著しく減少してはならない。含浸は内部および外部で使用できる。水および場合により油をはじく作用により処理平面の手入れが容易になる。
【0012】
同じパンフレットに封止に関して記載されているので、引用する。
封止は常に層を形成する被覆物である。これにより色が濃くなり、光沢効果が生じる。封止は負荷により切除されるので、床の分野で中程度から短いまでの保持能力を有する。封止は岩石の気孔を閉鎖するので、水蒸気の拡散を阻止する。これは天然石の損傷を生じることがある。封止は大部分内部に使用する。前記物質により形成される層は石を保護し、手入れを容易にする。封止は床敷物の滑り阻止を強く減少することがある。
【0013】
自然石を処理する公知系の欠点は、この系が孔を完全に閉鎖し、これにより通気性、すなわち水蒸気の通過が阻止される(塗料または封止剤系)かまたは孔が完全に開放して維持され、液体の浸入を完全に阻止できない(含浸剤系)ことにある。
【0014】
従って、本発明の課題は、液体、特に水含有液体の浸入をできるだけ完全に阻止し、水蒸気の前記石材の通過が更に可能になるように天然石材の孔を備える天然石の封止系を提供することである。
【0015】
意想外にも、ゾル−ゲル法により得られる組成物で処理される天然石材の孔が、水蒸気が天然石材を通過することができ、水ベース液体が天然石材の孔に浸入できないように閉鎖できることが見出された。
【0016】
従って本発明の対象は孔を有する天然石材をベースとする封止された天然石材であり、前記石材は、少なくとも、天然石材の表面から到達可能である天然石材の孔がマトリックス材料で充填され、前記材料は少なくとも部分的に珪素−酸素結合により形成されるネットワークを有し、その際ネットワーク中に存在する珪素原子が少なくとも部分的に炭素原子を介して珪素に結合した有機基を有することを特徴とする。
【0017】
同様に本発明の対象は天然石材を封止する方法であり、前記方法は、天然石材を封止するために、流動性流体組成物を製造し、前記組成物を表面から到達可能な孔に搬送し、そこで硬化し、その際まず式(ZSi(OR)(ZはORまたはGly(=3−グリシジルオキシプロピル)であり、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)のシラン、水性酸または塩基から選択されるアルコールおよび水を有する開始剤からなる混合物を製造し、この混合物を式(ZSi(OR)4−z(Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、ZはHであり、aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であるか、またはZがGlyである場合は、ZはAm(=3−アミノプロピル)であり、zは1または2であり、ZがAmである場合は、zは1である)の第2シランと混合することによりこの組成物を製造することを特徴とする。
【0018】
更に本発明の対象は、建造物、外壁、屋根、床、衛生設備、台所、または通路を作成する際の本発明による天然石材の使用および本発明による自然石もしくは天然石材の封止、自然石の封止であり、前記封止は、封止剤がマトリックス材料を有し、マトリックス材料が珪素−酸素結合により形成されるネットワークを有し、前記ネットに存在する珪素原子が部分的に炭素原子を介して珪素に結合した有機基を有することを特徴とする。他の構成は本発明による天然石材封止が備えられた本発明により封止される天然石材の以下に行われる説明から理解できる。
【0019】
本発明の封止の利点はこの封止が公知の封止に比べて、層を形成して行わなくてもよく、従って主に孔が封止マトリックスを備えているが、天然石材の表面の孔の間に存在する部分が封止マトリックスを備えないことにある。この方法で特に天然石材の表面特性、例えば酸安定性または色がほとんど変化せずに維持されることが達成される。それにもかかわらず孔を、水を含有する液体の浸入を十分に阻止するまで閉鎖することができる。封止を層を形成して行う場合は、付加的な特性、例えば炭酸塩無機物、特に大理石または石灰岩の場合の酸安定性の増加を達成できる。
【0020】
本発明による天然石材の封止は主に無機ゾルーゲル系の種々の局面に利用される。特に天然石材の機械的負荷能力は本発明による封止により変動しないかまたはわずかにのみ変動する。これは顕著な層を形成できるのでなく、主に孔に侵入し、そこで封止する特殊性に由来する。
【0021】
孔の間の表面上での封止マトリックスの層の形成を希望する場合は、こうしてこのことは同様に達成できる。この系の高い封止密度により、−O−Si−O−ネットワークの形成により、例えば家庭用掃除機または家庭で一般的な物質、例えば酢またはからしによるこの層を備えた表面の化学的攻撃はほぼ完全に排除される。
【0022】
封止マトリックスとしての技術水準に使用される有機塗料層に比べて、本発明による封止はこのような表面に置いた熱い物体により汚い変色を生じない利点を有する。
【0023】
以下に本発明の方法を例示するが、本発明を、請求の範囲および明細書から得られるその保護範囲に限定しない。請求の範囲はそれ自体本発明の開示内容に属する。以下の説明で範囲もしくは有利な範囲が表示される場合は、この範囲に存在するすべての理論的に可能な部分範囲は本発明の開示内容に属し、これはよりよい展望の理由から明確に記載されない。
【0024】
本発明による孔を有する天然石材をベースとする封止された天然石材は、天然石材の表面から到達可能な少なくとも天然石材の孔がマトリックス材料で充填され、マトリックス材料は少なくとも部分的に珪素−酸素結合により形成されるネットワークを有し、その際ネットワークに存在する珪素原子が少なくとも部分的に炭素原子を介して珪素に結合した有機基を有することにより特徴付けられる。有機基はそれぞれ1〜20個の炭素原子数を有するアルキル基および/またはフルオロアルキル基であってもよい。特に有利に存在する有機基はメチル基、オクチル基、ヘキサデシル基および/またはテトラヒドロトリデシルフルオロオクチル基であってもよい。有機基として、本発明による封止された天然石材のマトリックス材料中に、1〜20の炭素原子数を有する前記アルキル基および/またはフルオロアルキル基の代わりにまたは付加的に、珪素−ヘテロ有機基−珪素結合を形成するヘテロ有機基が存在してもよい。ヘテロ有機基は有利にヘテロ原子として少なくとも1個の珪素原子を有する。有利にネットワークはヘテロ有機基としてアミノ基とグリシジルオキシ基、特に有利に3−アミノプロピル基と3−グリシジルオキシプロピル基との縮合により得られる基を有する。
【0025】
有利に天然石の孔のマトリックス材料の充填度、有利に平均充填度は25〜100%、有利に50〜98%、特に60〜80%であり、その際充填度は天然石の体積が酸化物粒子により充填される、天然石の孔の割合である。個々の孔の充填度は表面から到達可能な孔の切断面の像を作成し、マトリックス材料により占有される孔の横断面を測定することにより近似的に最適に決定することができる。多くの孔の充填度により平均充填度を一般に評価できる。
【0026】
孔は表面から到達可能なすべての開口、間隙等であると理解される。表面は天然石材の全部の表面または天然石材の1つ以上の側面の表面であってもよい。
【0027】
マトリックス材料は専ら天然石材の孔に存在してもよく、孔の間の表面上に存在してもよい。マトリックス材料が天然石材の表面上に、孔の間に存在する場合は、有利に0.01〜8μm、より有利に0.05〜5μm、特に0.1〜2μm、特に有利に0.2〜1μmの厚さを有する。従って封止された表面は湿っているかのように見える。これは構造物が同時に暗く見える表面で際立つことを意味する。表面の残体の外観は活気がある。所定の最低厚さ0.01μm、有利に0.1μmを下回る場合は、封止マトリックスの保護作用および安定性が明らかに低下する。
【0028】
マトリックス材料中に酸化物粒子、特にTi、Si、Zr、Al、Y、SnまたはCeの少なくとも1種の酸化物粒子が存在してもよい。特にマトリックス材料中に酸化物粒子、特に平均粒度10〜1000nm、有利に20〜500nm、有利に30〜250nmを有する疎水性酸化物粒子および/または平均粒度0.05〜30μm、有利に1〜20μm、特に5〜10μmを有する親水性酸化物粒子が存在してもよい。親水性粒子は有利に孔中に、マトリックス材料中に存在する。疎水性材料は孔中におよび孔の外部にマトリックス材料中に存在することができ、その際有利にマトリックス材料中に孔の外部に存在する疎水性粒子は平均粒度10〜250nmを有し、これにより封止材料が透明であり、広い範囲で無色であることが達成され、従って天然石材表面の色は封止マトリックスにより変化しないかまたはきわめて少ない程度で変化する。平均粒度は一次粒子の大きさまたは酸化物が凝集物として存在する場合は凝集物の大きさに関する、粒度は光散乱法により、例えばHoribaLB550(登録商標)、Retsch Technologyのタイプの粒度分析装置を使用して決定する。
【0029】
マトリックス材料中に酸化物粒子が存在する場合は、酸化物粒子は重なり合って、天然石および/またはマトリックス材料と酸素橋および/または酸素−珪素−酸素橋もしくはマトリックス材料に存在するネットワークにより結合する。
【0030】
マトリックス材料に存在する酸化物粒子、特に疎水性粒子はその表面に有機基、有利に式X1+2n−(nは1〜20であり、Xは水素またはフッ素である)の基から選択される珪素原子に結合した有機基を有し、その際前記式による基中のXはフッ素のみを表すか、水素のみを表すか、またはフッ素および水素を表すことができる。有利に疎水性酸化物粒子はアルキル基、例えばヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基またはドデシル基またはハロゲンアルキル基、特にフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基またはテトラヒドロトリデカフルオロオクチル基またはトリメチルシリル基を有する。有利に疎水性粒子は例えば熱分解珪酸または沈降珪酸である。
【0031】
場合によりマトリックス材料に存在する疎水性粒子は有利に酸化アルミニウム、二酸化チタン、または酸化珪素の粒子であり、例えばDegussa社の商標名Aerosil(登録商標)またはSipernat(登録商標)が該当する。
【0032】
酸化物粒子、特に疎水性酸化物粒子の存在は、マトリックス材料が有機基として珪素−ヘテロ有機珪素結合を形成するヘテロ有機基を有しない場合に特に有利であり、それは特にこの場合に酸化物粒子の存在によりマトリックス材料の収縮およびそれとともに天然石材の減少した保護が広い範囲で回避されるからである。収縮を回避もしくは最小にするために、マトリックス材料中のヘテロ有機基が存在する場合に酸化物粒子の存在が有利である。
【0033】
本発明による天然石材は、花崗岩、斑レイ岩、花崗閃緑岩、閃長岩、ラルビカイト、閃緑岩、流紋岩、石英斑岩、安山岩、粗面岩、キュセライト、斑岩、玄武岩、溶岩、黒紛岩、輝緑岩、硬蛇紋岩、大理石、片麻岩、蛇紋岩、石灰岩、ジュラ石灰、貝殻石灰、トラバーチン、ドロマイト、オニキス、雪花石膏、砂岩、海緑岩砂岩、硬砂岩、粘板岩、および珪岩から選択される天然石材であってもよい。特に有利に天然石材は花崗岩、斑レイ岩、大理石または砂岩である。使用分野に応じて天然石材もしくはその表面は機械的に処理することができる。有利に天然石材は研磨された表面または少なくとも1、2,3,4,5またはそれ以上の面に研磨された表面を有する天然石を有する。このような天然石は特に有利に衛生分野および台所分野におよびファサード形成にまたは墓石の製造に使用できる。
【0034】
本発明による封止された天然石材は有利に以下に記載する本発明の方法により得られる。この天然石材を封止する方法は、天然石材を封止するために、流動性流体組成物を製造することにより特徴付けられ、前記組成物を表面から到達可能な孔に搬送し、そこで硬化し、その際この組成物は、まず式(ZSi(OR)(ZはORまたはGly(=3−グリシジルオキシプロピル)であり、Rは同じかまたは異なり、有利に同じであり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)のシラン、水性酸または塩基から選択されるアルコールおよび水を有する開始剤からなる混合物を製造し、この混合物を、式(ZSi(OR)4−z(Rは1〜6個の炭素を有するアルキル基であり、ZはHであり、aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であり、またはZがGlyである場合は、ZはAm(=3−アミノプロピル)であり、ZがAmである場合はzは1である)の第2シランと混合することにより製造する。
【0035】
天然石として本発明の方法に前記の天然石材を使用できる。特に有利に天然石材は花崗岩、斑レイ岩、大理石または砂岩である。天然石材は予め機械的に処理されて、例えば研磨されていてもよい。同様に天然石材は自然のままであってもよく、もしくは鉱床から採掘された際に得られた形で存在してもよい。有利に1つ以上の面上で表面が研磨された天然石材を使用し、その際有利に天然石材の研磨された面またはすべての面を本発明の方法を使用して処理する。
【0036】
式GlySi(OR)の化合物と式AmSi(OR)の化合物の混合により組成物を製造する場合に、混合物中の式GlySi(OR)の化合物と式AmSi(OR)の化合物のモル比は広い範囲で変動できる。有利にモル比は5:1〜1:5、有利に1.5:1〜1:1.5、特に1:1である。この組成物を製造するために、有利に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)および3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GLYEO)または3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)および3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)を使用する。
【0037】
組成物の製造は、式GlySi(OR)の化合物を式AmSi(OR)の化合物と混合することにより製造する代わりにまたは付加的に、式(ZSi(OR)(ZはORである)の化合物を式(ZSi(OR)4−z(Rは同じかまたは異なり、有利に同じであり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、Z2はHaFbCnであり、aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16である)の化合物と混合することにより行うことができる。混合物中の式(ZSi(OR)の化合物と式(ZSi(OR)4−zの化合物のモル比は広い範囲で変動することができる。有利にモル比は5:1〜1:5、有利に1.5:1〜1:1.5であり、特に1:1である。このような化合物を製造するために、有利にテトラエトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、および/または3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8、8、8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランまたはその混合物を使用する。
【0038】
混合物に添加するアルコールの量は組成物の所望の粘度に依存し、広い範囲で変動できる。有利に組成物のアルコールの割合は30〜75質量%である。長い作用時間のために、有利に高い沸点を有する他の不活性成分、例えばエチレングリコールジエチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルを20質量%まで、有利に10質量%までの濃度で添加することができる。
【0039】
組成物の硬化は室温または高温での乾燥により行うことができる。有利に高温での乾燥により硬化を行い、それというのもこれにより硬化時間を明らかに減少できるからである。特に有利に組成物を備えた天然石材を50〜250℃、有利に75〜220℃、特に100〜150℃に加温することにより硬化を行う。加温の時間は使用される硬化温度に依存し、5分から10時間までであってよい。有利に組成物の硬化を、75〜220℃の温度で5分〜60分、有利に100〜150℃の温度で、有利に110〜139℃の温度で5〜20分、有利に10〜15分行う。
【0040】
本発明の方法はゾル−ゲル技術にもとづく。粒子の成長およびネットワークの形成はpHおよび温度に依存し、ネットワークの密度に影響する。7未満のpH値の場合は主にネットワーク状構造を形成する。この条件は例えば酸触媒活性系に耐える岩石の使用により十分に適している。7以上のpH値の場合は時間およびpH値に依存して低い架橋を有する粒子状構造が成長する。この条件は例えば酸に影響されやすい天然石材、例えば大理石により適している。粒子形成に対するpH値の影響に関するより詳しい説明は、例えばB.R.IIer、The chemistry of Silica、Wiley、New York1979に見出すことができる。水性酸または塩基の使用による開始剤の変動によりネットワークの形成または粒子の形成を促進できる。付加的に塩は7〜10のpH値で粒子の凝結を促進する。
【0041】
ネット状に形成されるより大きい粒子の中間形成はpH値の変動により、粘度の調節により、および水濃度の変動により、更に表面上でネットワーク形成に触媒活性する粒子の混合により達成できる。
【0042】
開始剤として、すでに記載したように、酸、有利に無機酸または塩基、有利に無機塩基を使用できる。開始剤として酸を使用する場合は、有利に得られるゾルが2〜6の計算上のpH値を有するほど多く酸を使用する。開始剤として塩基を使用する場合は、有利に得られるゾルが8〜11の計算上のpH値を有するほど多く塩基を使用する。水性酸または塩基の添加は有利に水と式(ZSi(OR)、特にGlySi(OR)による化合物のモル比が第1混合物を製造する場合に100000:1〜10:1、有利に1000:1〜100:1になるように行う。
【0043】
天然石の表面に被覆される組成物は有利に50質量%より多い、液体成分、特にエタノールまたはイソプロパノールの含量を有する。液体成分含量により、組成物が天然石の孔を充填し、孔に存在する空気を排除できるように、粘度を調節できる。明らかに低い割合の液体成分を有する組成物を使用する場合は、組成物に存在するゾルの硬化後に、孔が完全に充填されない。アルコールの蒸発による急激な粘度の増加は孔の充填度に不利に作用することがある。高沸点不活性成分、例えばエチレングリコールエーテルまたはジエチレングリコールエーテルの20質量%まで、有利に10質量%までの添加により充填度に有利に作用できる。
【0044】
アルコールのほかに組成物を製造する場合に、他の成分を混合できる。従って組成物を製造する場合に、特に式GlySi(OR)の化合物を式AmSi(OR)3の化合物と混合することにより製造する場合に、特にテトラエトキシシランおよび/または式(HSi(OR)4−z(aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜15、有利に2〜8であり、Rは同じかまたは異なり、有利に同じであり、1〜6個の炭素原子、有利に1または2、有利に2個の炭素原子を有する非置換のアルキル基である)のシランを混合することができる。
【0045】
第1混合物を製造する場合にこの第1混合物中に、Ti、Si、Zr、Al、Y、SnまたはCeの酸化物から選択される酸化物粒子が懸濁する場合が有利である。有利に平均粒度10〜1000nm、有利に20〜500nm、有利に30〜250nmを有する酸化物粒子、有利に疎水性酸化物粒子が懸濁する。組成物から製造される封止マトリックスが透明および/または無色であるべき場合は、有利に平均粒度10〜250nmを有する酸化物粒子のみを懸濁する。平均粒度は一次粒子の大きさまたは酸化物が凝集物として存在する場合は、凝集物の大きさに関する。粒度は光散乱法により、例えばHoribaLB550(登録商標) Retsch Technologyのタイプの装置により決定する。疎水性酸化物粒子を懸濁する場合は、酸化物粒子はその表面に、式X1+2n−(nは1〜20であり、Xは水素またはフッ素である)の基から選択される珪素原子に結合した有機基を有し、その際前記式による基中のXはフッ素のみを表すか、水素のみを表すか、またはフッ素および水素を表すことができる。有利な基はトリフルオロメチル基またはテトラヒドロトリデカフルオロオクタン基である。
【0046】
本発明の組成物の被覆は種々の一般的に知られた方法により行うことができる。従って組成物を、例えばドクター塗布、塗布、ロール塗布、噴霧するかまたは組成物に天然材料を浸漬することにより被覆することができる。封止マトリックスが専ら天然石材の孔の内部に存在するかまたは表面上に、孔の間に、有利に所定の厚さで存在すべきであるかに応じて、組成物を孔の間の表面から少なくとも部分的に再び除去しなければならない。
【0047】
組成物により形成され、天然石の表面特性を機械的に/化学的に最適に変動できる天然石の表面上に層を避けるために、組成物を被覆後におよび孔中で組成物を硬化する前に、天然石の孔に存在しないまたは天然石の孔に侵入した組成物を天然石の表面から除去する処理工程を行う場合が有利である。従って有利に組成物を被覆した後におよび組成物を孔中で硬化する前に、天然石材の孔に存在しない組成物の部分を天然石材の表面から少なくとも部分的に除去する処理工程を行う。過剰の組成物の除去は例えば圧縮空気により、例えば量気計を使用して行うことができる。研磨された天然石材表面から過剰のゾルを、簡単に、例えばゴムワイパーを使用してぬぐい取ることができる。
【0048】
孔の間の表面上のゾルが保護層として封止材料の1つの層である場合は、孔の間に天然石材の表面に組成物を硬化後に、厚さ0.01〜8μm、有利に0.05〜5μm、特に0.1〜2μm、特に有利に0.5〜1μmを有する封止層が存在するように、組成物の被覆を行うことができる。層の厚さは例えば1平方メートル当たりの被覆される組成物の量の調節により制御できるかまたは被覆厚さを限定するドクターを使用することにより制御できる。同様に被覆された組成物を部分的に除去することにより孔の間の表面上の封止マトリックスの厚さに影響を与えることが可能である。従って使用される圧縮空気の圧力の変動によりまたは適当な間隔保持手段を備えたワイパーの使用により、被覆された組成物の一部のみを天然石材の表面から再び除去することを保証することができる。
【0049】
25℃で水に4時間保存した場合に1質量%より大きい吸水率(重量分析により決定した)を有する連続気泡の天然石の場合は、まず天然石材の孔にプライマーを導入し、そこで乾燥するかまたは硬化する場合が有利である。プライマーを製造するために、有利に平均粒度0.5〜30μm、有利に1〜20μm、特に5〜10μmを有する親水性酸化物粒子の懸濁液を液体中で製造する。懸濁すべき粒子として、有利に親水性酸化物粒子、例えば酸化アルミニウム、エーロシル、または沈降珪酸を使用する。特に有利に使用される粒子は1〜100、有利に2〜60のBET表面積(BET吸収(DIN66131)により決定した)を有する。懸濁液に懸濁された酸化物粒子の割合は有利に1〜50質量%、特に2〜25質量%である。
【0050】
最も簡単な場合は懸濁液の製造に使用される液体は水であってもよい。有利に懸濁液を製造するための液体として市販のゾルであってもよくまたは加水分解可能な化合物を水性酸で加水分解することにより製造できるゾルを使用する。
【0051】
このゾルは有利にアルコラート、ニトレート、カーボネート、アセチルアセトネートまたはハロゲン化物から選択される元素Ti,Si、Zr、Al、Y、SnまたはCeの少なくとも1種の化合物を水性酸で加水分解することにより製造する。適当なゾルの製造は、例えばWO99/15262号に見出すことができる。特に有利に0.01n〜15n酸、有利に0.1n〜2n酸、特に硝酸0.001〜10質量%でのテトラエトキシシランの加水分解によりゾルの製造を行う。プライマーの粘度を調節するために、プライマーにアルコール、特にエタノールを添加できる。有利に被覆されるプライマー中の添加するアルコールの含量は1〜50質量%である。ゾル中の酸化物粒子の懸濁は激しい混合により行うことができる。超音波での付加的処理が特に有利であることが示され、それはこれにより懸濁した粒子の大きさの均一性を妨げることがある凝集物を粉砕できるからである。
【0052】
孔へのプライマーの導入は従来の方法、例えば噴霧、ドクター塗布、または浸漬を使用して被覆することにより行うことができ、その際有利に孔の間の天然石材の表面からなお硬化していないプライマーを再び除去できる、引き続く後処理を行うことができる。後処理は例えばゴムワイパーを使用するぬぐい取り、例えば量気計を使用する洗い落としまたは吹き飛ばしであってもよい。この後処理により、使用される粒度にもとづいて完全に透明および/または無色でないプライマーが天然石材の本来の表面の色に影響せず、専ら孔の色/透明度を変化することが保証される。
【0053】
プライマーの硬化は組成物の硬化に相当して行うことができ、その際熱処理時間を明らかに例えば2倍から10倍まで延長することが有利である。
【0054】
前記組成物は、硬化後に本発明の天然石の封止を生じ、前記封止は封止物がマトリックス材料を有し、マトリックス材料が珪素−酸素結合によりおよび珪素−ヘテロ有機基−珪素結合により形成されるネットワークを有し、ネットワークに任意の酸化物粒子が結合しているかまたは存在してもよいことにより特徴付けられる。本発明の天然石の封止の詳しい説明は封止マトリックスまたはマトリックス材料の説明に見出すことができる。
【0055】
組成物の硬化後に少なくとも1回、有利に1〜3回、他の同じかまたは異なる組成の組成物、有利に第1処理の際と同じ組成物を被覆し、硬化するように本発明の方法を実施する場合が有利である。組成物のこの2回またはそれ以上、有利に3回〜4回の被覆および硬化により、孔の明らかに良好な充填を達成することができ、それはゾルの硬化の際に収縮により生じる、充填された孔中の充填されない部分領域を引き続く処理の際に充填できるからである。この方法で被覆の高い密度およびそれとともに例えば酸による攻撃からの天然石材の良好な保護が達成される。
【0056】
本発明の天然石材もしくは本発明により製造される天然石材は、例えば、建造物、外壁、屋根、床、衛生設備、台所、または通路を建設または製造するために使用できる。有利に天然石材は、屋根板、特殊れんが、ファサード石材、床板、舗石、道板、作業板、洗面台、配膳台、泥よけ部品または浴室の枠として使用する。
【0057】
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、請求の範囲および明細書から得られる保護範囲は実施例により限定されない。
【0058】
例1:本発明による天然石材の製造
Degussa社により商標名DYNASYLAN(登録商標)GLYEOとして得られる、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GLYEO)336質量部をガラスビーカーに入れ、1質量%水性硝酸30部と混合した。最初の2相から透明な均一な相になるまで攪拌した。引き続きエタノール中のAerosilR821S(Degussa社の珪酸)15質量%の分散液488部を添加した。この混合物に攪拌下で少量ずつ、Degussa社から、商標名DYNASYLAN(登録商標)AMEOとして得られる、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)285部を添加し、その際温度を氷で外部冷却することにより40℃未満に維持した。
【0059】
こうして得られた組成物をピンセルを使用して研磨した花崗岩の板に被覆した。上澄み組成物を20分後にゴムワイパーでぬぐい取った。こうして処理された花崗岩の板を組成物の硬化のために乾燥棚中で120℃で10分間処理した。
【0060】
例2:被覆試験
試験1
1質量%水性HNO30gをGLYEO336gに攪拌して入れた。これにAerosil(登録商標)R8200、Degussa社の熱分解珪酸の24質量%エタノール分散液114gを混合した。絶えず攪拌しながらAMEO285gを滴下し、その際これを、混合物の温度が40℃を上まわらないように行った。混合物を仕上げた後に得られたゾル−ゲルを冷却棚中で保存した。
【0061】
試験2
トリエトキシシラン(TEOS)9.5gを予め入れ、DYNASYLAN(登録商標)9116(ヘキサデシルトリメトキシシラン)Degussa社0.5gを攪拌しながら添加した。引き続きジエチレングリコールジエチルエーテル1gおよびエタノール中のAerosilR8200の24質量%分散液4.54gを混合した。最後の成分として1質量%エタノール硝酸(濃縮硝酸およびエタノールから製造した)0.15gを混合した。
【0062】
試験3
この試験は試験2に類似して実施した。DYNASYLAN(登録商標)9116の代わりに、DYNASYLAN(登録商標)F8261(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)Degussa社を使用した。
【0063】
試験4
この試験は試験2に類似して実施した。DYNASYLAN(登録商標)9116の代わりに、DYNASYLAN(登録商標)OCTEO(オクチルトリエトキシシラン)Degussa社を使用した。
【0064】
被覆
試験1〜4からの被覆材料をそれぞれ封止すべき天然石表面にピンセルで塗った。天然石は予めけばのない乾いた布でこすった。岩石温度は室温であった。なお岩石に侵入しない被覆材を3分後にぬぐい取ることにより除去した。これにより被覆をきわめて薄く維持することができ、後で被覆の等級を分析により区別できる。岩石の種々の孔構造にもとづき被覆量を求めなかった。
【0065】
硬化
硬化は熱により行う。試験1からの混合物を120℃で30分硬化し、他の試験からの混合物を250℃で30分硬化した。
【0066】
分析
DINISO10545−14による斑点形成剤に対する安定性を試験した。この評価尺度で後での洗浄可能性がよいほど、評価数が高い。化学的安定性は10質量%水性クエン酸に対して測定した。このために封止された表面に液滴を被覆し、反応が開始する(気泡発生)までの時間(秒)を測定した。砂岩での試験の結果を表1に、大理石での試験の結果を表2に記載する。
【0067】
試験ペーストとして、トリカプリリン中のCrO40質量%からなる緑の斑点形成剤を使用した。
【0068】
洗浄剤として、1.熱水、2.水中のPril(Henkel社)の1質量%溶液、3.研磨剤乳液ATA(登録商標)(Henkel社)および4.3質量%水性HCl溶液を使用した。研磨剤乳液で2分間処理する際に、張設したブラシヘッドを有し、500rpmの回転速度を有する小さい穿孔機を使用した。
【0069】
【表1】

【0070】
例3:被覆試験および比較試験
試験5
テトラエトキシシラン(TEOS)9.5gを予め入れ、DYNASYLAN(登録商標)OCTEO(オクチルトリエトキシシラン)Degussa社、0.5gを攪拌しながら添加した。引き続きジエチレングリコールジエチルエーテル1gおよびエタノール中のAerosil(登録商標)R8200の24質量%分散液4.54gを混合した。最後の成分として1質量%エタノール硝酸(濃縮した硝酸およびエタノールから製造した)0.15gを混合した。
【0071】
試験5からの被覆材料を封止すべき天然石表面(大理石BiancoCarrara)にピンセルで塗った。天然石を予めけばのない乾いた布でこすった。岩石温度は室温であった。10分後に被覆を乾燥棚中で120℃で30分乾燥した。冷却した第1封止に新たに試験5からの被覆材料をピンセルで塗った。10分後、こうして処理した天然石材を250℃で30分乾燥した。
【0072】
比較試験のために、試験6および7において市販された天然石材封止物を使用した。試験6においてGraffinet(登録商標)Hydrosecur+EAG Efinger and Albani社、D−30457、Hannoverのプライマーおよび試験7において花崗岩からなる作業板用の所定の含浸剤、SchwanekampGranit(登録商標)、D−48712Gescherを製造者の使用説明書により使用した。分析は例2に示された分析に相当した。
【0073】
【表2】

【0074】
表3に記載される結果から本発明の封止が化学的安定性および大理石の洗浄可能性に関して市販された含浸剤もしくは封止剤より明らかに良好な特性を示すことが理解できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有する天然石材をベースとする封止された天然石材において、少なくとも天然石材の表面から到達可能である天然石材の孔がマトリックス材料で充填され、マトリックス材料が少なくとも部分的に珪素−酸素結合により形成されるネットワークを有し、その際ネットワークに存在する珪素原子が少なくとも部分的に炭素原子を介して珪素に結合した有機基を有することを特徴とする封止された天然石材。
【請求項2】
有機基が1〜20個の炭素原子の数を有するアルキル基および/またはフルオロアルキル基を有する請求項1記載の天然石材。
【請求項3】
有機基が、珪素−ヘテロ有機基−珪素−結合を形成するヘテロ有機基である請求項1または2記載の天然石材。
【請求項4】
マトリックス材料が天然石材の表面に、孔の間に0.01〜8μmの厚さで存在する請求項1から3までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項5】
マトリックス材料中にTi、Si、Zr、Al、Y、SnまたはCeの少なくとも1種の元素の酸化物粒子が存在する請求項1から4までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項6】
マトリックス材料中に平均粒度10〜1000nmを有する疎水性酸化物粒子および/または平均粒度0.05〜30μmを有する親水性酸化物粒子が存在する請求項5記載の天然石材。
【請求項7】
酸化物粒子が重なり合っておよび天然石材と一緒にマトリックス材料により結合している請求項5または6記載の天然石材。
【請求項8】
酸化物粒子がその表面に、式X1+2n−(nは1〜20であり、Xは水素またはフッ素である)の基から選択される珪素原子に結合した有機基を有し、その際前記式の基中のXはフッ素だけ、水素だけ、またはフッ素および水素を表わすことができる請求項5から7までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項9】
天然石材が花崗岩、斑レイ岩、花崗閃緑岩、閃長岩、ラルビカイト、閃緑岩、流紋岩、石英斑岩、安山岩、粗面岩、キュセライト、斑岩、玄武岩、溶岩、黒ヒン岩、輝緑岩、硬蛇紋岩、大理石、片麻岩、蛇紋岩、石灰岩、ジュラ石灰、貝殻石灰岩、トラバーチン、ドロマイト、オニキス、雪花石膏、砂岩、海緑石砂岩、硬砂岩、粘板岩および珪岩から選択される請求項1から8までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項10】
天然石材が研磨された表面を有する請求項1から9までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項11】
天然石材が請求項12から22までのいずれか1項記載の方法により得られる請求項1から10までのいずれか1項記載の天然石材。
【請求項12】
天然石材を封止する方法において、天然石材を封止するために、流動性流体組成物を製造し、前記組成物を表面から到達可能な孔に搬送し、そこで硬化し、その際まず式(ZSi(OR)(ZはORまたはGly(=3−グリシジルオキシプロピル)であり、Rは同じかまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)のシラン、水性酸または塩基から選択されるアルコールおよび水を有する開始剤からなる混合物を製造し、この混合物を式(ZSi(OR)4−z(Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、ZはHであり、aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であるか、またはZがGlyである場合は、ZはAm(=3−アミノプロピル)であり、zは1または2であり、ZがAmである場合は、zは1である)の第2シランと混合することによりこの組成物を製造することを特徴とする、天然石材の封止法。
【請求項13】
室温または高温で乾燥することにより硬化する請求項12記載の方法。
【請求項14】
天然石材を50〜250℃に加熱することにより硬化する請求項13記載の方法。
【請求項15】
組成物を製造するために3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、または3−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを使用する請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
第1混合物を製造する際にテトラエトキシシランおよび/または式(H)zSi(OR)4−z(aおよびbは整数であり、a+bは1+2nであり、zは1または2であり、nは1〜16であり、Rは同じかまたは異なり、有利に同じであり、1〜6個の炭素原子を有する置換されていないアルキル基である)のシランを混合する請求項15記載の方法。
【請求項17】
組成物を製造するために、テトラエトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、および/または3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを使用する請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
組成物を製造する際にこの組成物に、Ti、Si、Zr、Al、Y、SnまたはCeの酸化物から選択される酸化物粒子を懸濁させる請求項12から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
表面に、式X1+2n−(nは1〜20であり、Xは水素またはフッ素である)の基から選択される珪素原子に結合した有機基を有し、その際前記式(I)の基中のXはフッ素だけ、水素だけ、またはフッ素および水素を表わすことができる疎水性酸化物粒子を懸濁させる請求項18記載の方法。
【請求項20】
組成物を被覆した後に、および混合物を孔中で硬化する前に、天然石材の孔に存在しない組成物の部分を天然石材の表面から除去する処理工程を行う請求項12から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
過剰の組成物を量気計により除去する請求項20記載の方法。
【請求項22】
天然石材の表面に、孔の間に組成物を硬化した後に0.01〜8μmの厚さを有する封止層が存在する請求項12から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
建造物、外壁、屋根、床、衛生設備、台所、または通路を作成する際の請求項1から11までのいずれか1項記載の天然石材の使用。
【請求項24】
天然石材を屋根板、特殊れんが、ファサード石材、床板、舗石、道板、作業板、洗面台、配膳台、または泥よけ部品として使用する請求項23記載の使用。
【請求項25】
天然石材封止がマトリックス材料を有し、マトリックス材料が珪素−酸素結合により形成されるネットワークを有し、ネットワークに存在する珪素原子が部分的に炭素原子を介して珪素に結合した有機基を有することを特徴とする天然石材封止。

【公表番号】特表2008−507470(P2008−507470A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523047(P2007−523047)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052507
【国際公開番号】WO2006/010663
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】