説明

自発光タイル装置

【課題】 長時間にわたって十分な明るさでもって発光させることができ、日没時や照明灯の明るさに関係なく確実に視認できるようにした自発光タイル装置を提供する。
【解決手段】 光透過性材料を用いて形成され底面に凹所が形成されたタイル本体(11A)、該タイル本体の底面凹所(11B)に形成され蓄光材料を含む材料からなる自発光層(11C)、及び該自発光層の背後に配置され上記自発光層に向けて光を照射するバックライト光源(11F)から構成される自発光タイル(11)と、光を受けて起電力を発生するソーラパネル(12A)、及び該ソーラパネルの起電力を蓄電し上記バックライト光源に与える電源回路から構成され、上記自発光タイルと別体にかつ交換可能に設置される電源ユニット(12)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自発光タイル装置に関し、特に長時間にわたって十分な明るさでもって発光させることができ、しかも日没時や照明灯の明るさに関係なく確実に視認できるようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の玄関フロアや壁面、遊歩道などの路面には装飾や歩行者の誘導などを目的として、太陽光などの光エネルギーを蓄光し、暗くなったときに発光させるようにした自発光タイルが用いられることがある。
【0003】
従来の自発光タイルにはタイル外表面に発光層を形成し、ガラス材料や樹脂材料によって保護する構造のものがあったが、かかる構造では発光層の磨耗によって発光性能が劣化することがあった(特許文献1)。
【0004】
また、一対のガラス板の間に蓄光材料とガラスフリットなどの混合物を挟持して加熱することによってガラス板を相互に固着し、発光層の磨耗による発光性能の劣化を防止するようにした構造の自発光タイルも提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、特許文献1、2記載の自発光タイルは発光が蓄光材料に蓄積した光エネルギーに依存するので、発光を開始してから2時間も経過すると、明るさが半減するばかりでなく、日没時や近くに照明灯があるときには発光を視認し難い。
【0006】
これに対し、ポリプロピレンやポリカーボネート等の合成樹脂材料と蓄光顔料とを混練してペレット化し、ペレットを原料として実質的に均一な厚みの球面状の自発光体を形成し、自発光体内にLEDを配置し、自発光体の背後からLEDの光を照射することによって自発光体を明るく発光させ、日没時や照明灯の近くでも確実に視認できるようにしたバックライト式の自発光タイルが提案されている(特許文献3)。
【0007】
なお、LED内蔵の透明ケースの周囲に蓄光材料製のリングを外嵌し、LEDの発光とリングからの発光とによって発光を目立たせるようにした発光技術が知られている(特許文献4)。
【0008】
また、表示板の表面に蓄光層を形成し、広角LEDの光を斜め方向から蓄光層に照射して明るく発光させ、日没間際に表示板を確実に認識できるようにした表示技術も知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−307717号公報
【特許文献2】特開2010−80089号公報
【特許文献3】特開2007−310268号公報
【特許文献4】特開平10−321916号公報
【特許文献5】特開2006−283534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3記載の自発光タイルはタイル外表面に発光層があるので、発光層の磨耗によって発光性能が劣化するおそれがあった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑み、長時間にわたって十分な明るさでもって発光させることができ、しかも日没時や照明灯の明るさに関係なく確実に視認できるようにした自発光タイル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係る自発光タイル装置は、光透過性材料を用いて形成され底面に凹所が形成されたタイル本体、該タイル本体の底面凹所に形成され蓄光材料を含む材料からなる自発光層、及び該自発光層の背後に配置され上記自発光層に向けて光を照射するバックライト光源から構成される自発光タイルと、光を受けて起電力を発生するソーラパネル、及び該ソーラパネルの起電力を蓄電して上記バックライト光源に与える電源回路から構成され、上記自発光タイルとは別体にかつ交換可能に設置される電源ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴の1つはタイル本体の底面凹所に、蓄光材料を含む材料からなる自発光層を形成するようにした点にある。これにより、自発光層が直接擦られて磨耗することがなくなり、磨耗に起因する発光性能の劣化を確実に防止できる。
【0014】
また、凹所の形状を任意に選択できるので、例えば下記の実施形態に示されるような犬の足あとのようなデザインを採用することによって自発光タイルの商品性を大幅に向上できる。
【0015】
本発明の第2の特徴は自発光層の背後にバックライト光源を設け、バックライト光源を発光させて自発光層を照射するようにした点にある。これにより、自発光層が蓄光エネルギーのみによる自発光の場合に比較して明るく発光し、日没時であっても、又近くに照明灯があってもタイルの自発光を確実に視認できる。
【0016】
本発明の第3の特徴は自発光層の背後にバックライト光源を設け、ソーラパネルの起電力を電源ユニットに蓄電してバックライト光源に与え、自発光層をバックライト照明するようにした点にある。これにより、電源ユニットの蓄電能力によって決まる時間の間自発光層をバックライト照明することができるので、自発光層の蓄光エネルギーの減少を抑制することができ、タイルの自発光を長時間にわたって維持できる。
【0017】
ところで、タイル本体、バックライト光源、ソーラパネル及び電源回路を一体に設けた場合、装置内の結露などによって電気系に短絡などの故障が発生すると、装置全体を交換する必要が生じ、コスト高となる。
【0018】
本発明の第4の特徴はソーラパネルを含む電源ユニットを自発光タイルとは別体に構成し、しかも交換可能に設置するようにした点にある。これにより、電源ユニットに故障が発生したときには、電源ユニットのみを交換すればよく、故障の発生しにくい自発光タイルを交換する必要がないので、電源ユニットを簡単に交換することができ、しかもコスト高を招来することもない。
【0019】
蓄光材料は例えば硫化カルシウム・ビスマス系、硫化亜鉛・銅系、硫化カルシウム・ストロンチウム・ビスマス系などの公知の蛍光体を採用できるが、発光時間が長く、高輝度で発光するアルミン酸塩蛍光体を用いるのがよい。
【0020】
タイル本体は光透過性材料で製造されていればよいが、使用環境や製造コストを考慮すると、ガラス材料や合成樹脂材料を採用するのがよい。ガラス材料には路面での使用を考慮すると、耐磨耗性に優れた強化ガラスを用いるのが好ましい。合成樹脂材料は光透過性を有するものであれば特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどを用いることができる。
【0021】
バックライト光源は通常の発光バルブを用いることができるが、低消費電力を考慮するとLED、特に紫外光を発するLEDを用いるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る自発光タイル装置の好ましい実施形態の使用例を示す概略斜視図である。
【図2】上記実施形態における自発光タイルの構造を示す断面図である。
【図3】上記実施形態におけるタイル本体を示す平面図である。
【図4】上記実施形態における電源ユニットの構造を示す断面図である。
【図5】上記電源ユニットの回路構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係る自発光タイル装置の好ましい実施形態を示す。図において、玄関フロア20には本例の自発光タイル装置10が取付けられ、自発光タイル装置10は自発光タイル11と電源ユニット12とから構成されている。
【0024】
玄関フロア20には2つの円形凹所21、22が形成され、一方の凹所21には自発光タイル11が嵌め込まれ、化粧カバー11Kが被せられて抜け止めされ、化粧カバー11Kはねじ11Hによって玄関フロア20に固定されている。
【0025】
他方の凹所22には電源ユニット12が嵌め込まれて化粧カバー12Eが被せられ、化粧カバー12Eはねじ12Gによって玄関フロア20に脱着可能に固定され、化粧カバー12Eの中央には円形の穴があけられて強化ガラス12Fが嵌め込まれている。
【0026】
自発光タイル11のタイル本体11Aは光透過性を有する透明な強化ガラスを用いて例えば平面円形状に製造され、タイル本体11Aの表面には滑止め用の複数の突起が形成されている。
【0027】
タイル本体11Aの底面には円形の凹所11Bが形成され、凹所11Bの上内面には蓄光材料を含む材料を用いて自発光層11Cが形成されている。この凹所11Bの上内面には図3に示す犬の足うらの形状に凹設されて自発光層11Cが設けられることによってデザイン性に優れ注意を惹起し得る自発光タイル10となっている。
【0028】
タイル本体11Aの自発光層11Cの背後には紫外光を発するLED(バックライト光源)11Fと反射鏡11Gとが設けられ、反射鏡11Gの背後には取付けボックス11Dが配置されてタイル本体11Aに嵌め合わされ、取付けボックス11Dと反射鏡11Gの間には防水シリコン11Jが充填されてLED11Fが水密的にシールされ、LED11Fの給電線は取付けボックス11Dから外部に引き出されている。
【0029】
他方、電源ユニット12では取付けボックス12Hが凹所22に嵌め込まれ、取付けボックス12H内にはケース12Cが内蔵され、ケース12C内には基板12Bが内蔵され、基板12Bにはキャパシタ12D、制御IC12C、抵抗12J、スイッチング素子12M及び印刷配線12Nから構成される電源回路が搭載され、基板12Bとケース12Cとの間には絶縁材料12Lが充填され、又基板12B上にはソーラパネル12Aが搭載されている。
【0030】
ここで、電源回路は例えば図4に示される構成が採用されている。ソーラパネル12Aの2つの出力端の間にはキャパシタ12Dが直列に接続され、キャパシタ12DにはLED11Fが抵抗12Jを介して相互に並列に接続され、キャパシタ12とLED11Fとの間から信号線が取り出されて制御IC12Cの入出力端に接続されている。
【0031】
制御IC12はソーラパネル12Aが太陽光を受光しているときにはソーラパネル12Aの起電力の大きさから発電中であることを検知してスイッチング素子12MをOFFとすることによってキャパシタ12DとLED11Fとの間を切断し、夜間になってソーラパネル12Aの起電力が設定値未満になったときに、夜間であることを検知してスイッチング素子12MをONとすることによってキャパシタ12DとLED11Fの間を接続し、LED11Fを発光させるようになっている。
【0032】
以上のように本例の自発光タイル装置ではタイル本体11Aの底面凹所11Bに、蓄光材料を含む材料を用いて自発光層11Cを形成するようにしたので、自発光層11Cが例えば靴によって擦られて磨耗するということがなく、磨耗に起因する発光性能の劣化を確実に防止できる。
【0033】
また、自発光層11Cの背後にLED11Fを設け、自発光層11Cの背後からバックライト照明するようにしたので、自発光層11Cが蓄光エネルギーだけによる自発光の場合に比較して明るく発光し、日没時であっても、又近くに照明灯があっても自発光タイル10の発光を確実に視認できる。
【0034】
さらに、自発光層11Cの背後にLED11Fを設け、ソーラパネル12Aの起電力をキャパシタ12Dに蓄電し、夜間になるとキャパシタ12DからLED11Fに通電して自発光層11Cをバックライト照明するようにしたので、キャパシタ12Dの蓄電容量によって決まる時間の間、自発光層11Cをバックライト照明することができ、自発光層11Cの蓄光エネルギーの減少を抑制することができ、自発光タイル11の発光を長時間にわたって維持させることができる。
【0035】
さらに、ソーラパネル12Bを含む電源ユニット12を自発光タイル11と別体に構成し、しかも交換可能に設置するようにしたので、電源ユニット12に雨水の侵入に起因する短絡などの故障が発生したときには、電源ユニット12のみを交換すればよく、故障の発生しにくい自発光タイル11を交換する必要がないので、交換作業が煩雑になることはなく、しかもコスト高を招来することもない。
【0036】
なお、上記の例では凹所を犬の足うらの形状としたが、単純な円形状や多角形状に形成してもよい。また、自発光タイルは平面円形ではなく、他の平面形状、例えば四角形状や六角形状としてもよい。
【0037】
さらに、バックライト光源にLEDを用いたが、通常の発光バルブであってもよい。また、LEDは1つではなく、2つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 自発光タイル装置
11 自発光タイル
11A タイル本体
11B 凹所
11C 自発光層
11F LED(バックライト光源)
12 電源ユニット
12A ソーラパネル
12B 基板
12C 制御IC
12D キャパシタ
12M スイッチング素子
12N 印刷配線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性材料を用いて形成され底面に凹所が形成されたタイル本体(11A)、該タイル本体(11A)の底面凹所(11B)に形成され蓄光材料を含む材料からなる自発光層(11C)、及び該自発光層(11C)の背後に配置され上記自発光層(11C)に向けて光を照射するバックライト光源(11F)から構成される自発光タイル(11)と、
光を受けて起電力を発生するソーラパネル(12A)、及び該ソーラパネル(12A)の起電力を蓄電し上記バックライト光源(11F)に与える電源回路から構成され、上記自発光タイル(11)と別体にかつ交換可能に設置される電源ユニット(12)と、
を備えたことを特徴とする自発光タイル装置。
【請求項2】
上記光透過性材料が、ガラス材料又は合成樹脂材料である請求項1記載の自発光タイル装置。
【請求項3】
上記バックライト光源が紫外光を発するLED(11F)で構成されている請求項1記載の自発光タイル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26121(P2013−26121A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161886(P2011−161886)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(508115299)有限会社パラダイスグラス (1)
【Fターム(参考)】