説明

自立型袋

【課題】 袋が2室に区切られていても、自立性が良く、調理中に用いる際に内容物がこぼれることを防ぐ自立型袋を提供する。
【解決手段】 袋の下部がガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部をサイドシール部でヒートシールして形成される自立型袋において、袋の一部がヒートシール部によって2室に区分けされており、前記ヒートシール部は、前記サイドシール部と平行ないしは30°以内の角度で設けられた柱シール部と、前記柱シール部の下部から斜め下方向へ前記サイドシール部に向かって設けられた区分けシール部と、からなり、前記区分けシール部と前記サイドシール部の交わる位置が、前記区分けシール部と前記サイドシール部が直角に交わる位置よりも下方向にあり、底面フィルム折り返し部と前記サイドシール部が交わる位置よりも上方向にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋つゆ等の液体状の調味料や、スープ等の液体物、更には、具材入りスープや、おかゆのような固体物を含む食品等を収納する袋であり、液体や固体の食品等を使用するのに適した形状の自立型袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鍋つゆ等の液体状の調味料を収納したレトルトパウチが売られている(特許文献1)。しかし、調味料を混合して自分の好みの味に調整したい場合には、別途調味料を買って、味を調節しなければならないといった手間がかかっていた。
【0003】
そこで現在では、食品をはじめとする主内容物に対して、試供品や調味料等を小袋に充填して主内容物の包装袋(以下本体)に粘着テープやホットメルト等により添付して販売する形態が散見される。しかし、そのような形態の場合、本体と小袋の充填工程がそれぞれ別になるため2工程になり、また後に殺菌などの工程がある場合にもそれぞれ別途行わなくてはならない等、工程数が増え煩雑になるという問題点があった。
【0004】
また、小袋を本体に添付する必要があり、その際にも、ごみや髪の毛等の異物が付着したり、添付し忘れたりするという問題点があった。
【0005】
そこで上記欠点を解決するために、包装袋が2室に分かれており、一つのレトルトパウチを購入することによって、2種の調味料が手に入るレトルトパウチが開発されており、容易に自分の好みの味に調整することができる。
【特許文献1】特開2002−128094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、レトルトパウチが2室に区切られているため、自立性が悪く、調理に使う際には、調理中に内容物がこぼれるといったような問題があった。また、商品として陳列する際にも自立性が悪いため、袋の上部が折れ曲がったり、傾いたりすることがあり、商品の表示が見えづらく、商品の陳列もしづらいとの問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、袋が2室に区切られていても自立性が良く、調理中に内容物がこぼれることを防ぎ、さらに、商品として陳列する際には表示が良く見え、商品としての陳列が良好である自立型袋を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の1つの観点では、袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部をサイドシール部でヒートシールして形成される自立型袋において、袋の一部がヒートシール部によって2室に区分けされており、前記ヒートシール部は、前記サイドシール部と平行ないしは30°以内の角度で設けられた柱シール部と、前記柱シール部の下部から斜め下方向へ前記サイドシール部に向かって設けられた区分けシール部と、からなり、前記区分けシール部と前記サイドシール部の交わる位置が、前記区分けシール部と前記サイドシール部が直角に交わる位置よりも下方向にあり、底面フィルム折り返し部と前記サイドシール部が交わる位置よりも上方向にあることを特徴とする。
【0009】
上記自立型袋において、前記柱シール部の長さは、内容物を充填する際に、前記内容物が前記柱シール部にかかる位置に設定されていてもよい。
【0010】
上記自立型袋において、前記自立型袋がレトルトパウチであってもよい。
【0011】
上記自立型袋において、前記自立型袋が液状食品用レトルトパウチであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、袋が2室に区切られていても、袋の上部が折れ曲がったり、傾いたりすることを防ぐため、自立性が良く、調理に使う際に内容物がこぼれることを防ぎ、商品として陳列する際には表示が良く見え、商品としての陳列が良好である。
【0013】
また、充填やその後の殺菌などの工程がある場合でも、2室ではあるが、同一の袋により同時に行うことが可能であり、本体に小袋を添付する工程を省くことができ、生産力の向上を図ることができる。
【0014】
また、当該袋は一体のものであるため、添付し忘れたり、剥がれたりといった事故を防止することができる。
【0015】
さらに、2室に区切られている本体部分と他の一方の部分を切り離すことによって、本体部分の底部の幅よりも本体部分の上部の幅が狭くなることにより、内容物を注ぐ際に持ちやすく、注ぎやすい形態となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の自立型袋について、図面を用いて具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の自立型袋の概略断面図である。
【0018】
図1に示した自立型袋100は、その下部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の下部の間に、底面フィルムを内側に向けて折り返し、その両側端縁部の下端近傍に底面フィルム切り欠き部4、4を設けて、底面フィルム折り返し部3まで挿入してなるガセット部5を有する形式で形成され、前記ガセット部5が、内側が両側から中央部に向けて湾曲線状に窪んだ形状となる船底形のシールパターン、即ち、底部シール部2でヒートシールされて形成され、胴部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の両側の端縁部を設け、上部まで垂直のサイドシール部6、6でヒートシールされている。
【0019】
このような構成を採ることにより、自立型袋100は、袋全体が積層フィルムで形成されているので、軽量で嵩張らず、内容物の保存性もよく、また、使用後の廃棄処理も容易である。そして、内容物の充填は、上部の開口部(図示しない)、即ち、未シールの上部シール部から容易に充填し、ヒートシールして密封することができる。
【0020】
内容物が充填された自立型袋100は、下部のガセット部5が内側が湾曲線で形成された船底形の底部シール部2でヒートシールされているので、底部が前後に丸形に大きく広がり、底面の外周には、底面フィルム切り欠き部4、4で両側が接合されたヒートシール部によるリング状の脚部が形成されるため、優れた自立性が付与され取り扱いやすい。
【0021】
このような構造により形成されている本発明の自立型袋100は、小袋部分Aと本体部分Bで構成されている。
【0022】
本体部分Bには、主内容物、例えば、ストレートタイプの液状調味料、スープ、更には、カレーやシチュー等の具入りの液状食品等が含まれており、小袋部分Aは、主内容物と共に使用する物、例えば、本体部分Bに含まれている主内容物の味を自分好みに調整するための調味料(ペースト状の辛子、みそ、粉末状の胡椒、唐辛子、ソース等)やトッピング類(飾り用のソース、クルトン、乾燥野菜等)等が含まれている。具体的には、本体部分Bにストレートタイプの鍋つゆ等を入れ、小袋部分Aに濃縮タイプの鍋つゆ、または各種調味料を入れることにより、鍋つゆの味を適宜調節できるような商品としたり、本体部分Bにスープを入れ、小袋部分Aにトッピング用のソースや乾燥野菜、香辛料等を入れて、より完成度の高い商品とすることができる。このように内容物は、液体、固体を問わず含ませることができる。その他、小袋部分Aには、景品としてのカード・バッチ等のような食品以外のものを含ませてもよい。
【0023】
このような小袋部分Aと本体部分Bを2室に区分けするために、ヒートシール部(図示しない)が用いられているが、このヒートシール部は、柱シール部7と区分けシール部8とから構成されている。
【0024】
まず、柱シール部7について具体的に説明する。
【0025】
柱シール部7とは、袋を小袋部分Aと本体部分Bの2室に分けるために用いられているものである。
【0026】
柱シール部とサイドシール部の間の距離xは、小袋部分A、本体部分Bの内容物の性状や充填量、充填を行う充填機のノズル径等の諸条件により適宜選択することが可能であるので、特に限定されるものではない。
【0027】
柱シール部7は、サイドシール部6と平行乃至は30°以内の角度で設けられている。
【0028】
図2は、本発明の柱シール部と区分けシール部の取りうる範囲を示す図である。
【0029】
図2に示すように、柱シール部の取りうる範囲Xは、サイドシール部6と平行乃至は30°以内の範囲であり、斜線で示したXの部分である。
【0030】
柱シール部7は、袋が折れることを防止するための柱として機能する部分であって、このようなXの範囲を取ることによって、袋の上部が折れ曲がったり、傾いたりすることを防ぐことができ、自立性を確保することができるために用いられるものである。
【0031】
よって、その効果を有するために、サイドシール部6と平行乃至は30°以内の角度で設けられることが必要である。
【0032】
図1に示すように、柱シール部の長さyは、小袋部分A、本体部分Bの内容物の性状や充填量、充填を行う充填機のノズル径等の諸条件により適宜選択することが可能であるが、本体部分Bの内容物を充填する際、その内容物(液体であれば液面)が柱シール部にかかる様に設定することが望ましい。内容物が柱シール部にかかるまで充填することによって、より柱としての強度を確保することが可能となり、袋の上部が折れ曲がったり、傾いたりすることを防ぐことができる。
【0033】
ここで、柱シール部の上部10は丸みを帯びている(Rをとっている)。これは、実際に本発明の自立型袋を調理等で使用する際に、小袋部分Aと本体部分Bの2室を切り離す際に指を当てやすく、さらに、ミシン目に沿って切りやすくするためにこのように形成されている。また、切り離した後のそれぞれの袋の端部が、鋭利な形状になって使用者が怪我をしないようにするための安全性確保としても有効である。
【0034】
次に、区分けシール部8について具体的に説明する。
【0035】
区分けシール部8とは、柱シール部7とともに、袋を小袋部分Aと本体部分Bの2室に分けるために用いられており、柱シール部7の下部から斜め下方向へサイドシール部6に向かって区分けシール部8が設けられている。
【0036】
ここで、区分けシール部8とサイドシール部6の交わる位置について説明する。
【0037】
区分けシール部8とサイドシール部6の交わる位置としては、小袋部分A、本体部分Bの内容物の性状や充填量、充填を行う充填機のノズル径等の諸条件により適宜選択することが可能であるが、具体的に、図2において、本発明のサイドシール部の取りうる範囲Yについて説明する。
【0038】
図2に示すように、区分けシール部の取りうる範囲Yは、区分けシール部8とサイドシール部6が直角に交わる位置よりも下方向、底面フィルム折り返し部3とサイドシール部6が交わる位置よりも上方向である斜線部分で示したYの部分である。
【0039】
具体的に説明すると、区分けシール部8は、サイドシール部6と直角に交わると、袋の上部が折れ曲がりやすく、倒れやすくなってしまうので、サイドシール部を斜めに設置することによって、バランスを保持し、袋の上部が折れ曲がったり、倒れることを防止し、自立性を保つことができる。
【0040】
ここで、斜めに設置することのできる最大の範囲は、底面フィルム折り返し部3とサイドシール部6が交わる位置までである。
【0041】
更に、柱シール部と区分けシール部のなす角度aについては、小袋部分A、本体部分Bの内容物の性状や充填量、充填を行う充填機のノズル径等の諸条件により適宜選択することが可能である。
【0042】
さらに、区分けシール部8とサイドシール部6の交わる角度bは、20°〜80°であってもよい。このように、区分けシール部8とサイドシール部6の交わる角度bが鋭角をなすことによって、調理の際に本体部分Bから小袋部分Aを切り離した後、その小袋部分Aの中身を出す場合には、その鋭角の部分を切ることによって、注ぎ口とし、内容物を出しやすくすることができる(後に後述する)。
【0043】
よって、小袋部分の開口部の形成のためにも、この角度は鋭角でなければならない。
【0044】
調理する際に小袋部分Aと本体部分Bの2室を切り離す時に切りやすいように、柱シール部の上部10から区分けシール部の終点までミシン目が設けてある。
【0045】
このミシン目は、使用者が2室に切り離しやすいために設けられているためのものであるので、点線であってもよいし、他の異形のものであってもよい。
【0046】
また、区分けシール部7とサイドシール部6が交わる部分である、シールの終点は、ミシン目を途中で止めてある。これは、破れ防止のためであり、自立性の補強性も兼ね備えている。
【0047】
また、柱シール部7と区分けシール部8の間は必要に応じて曲線で結ぶ(Rをとる)ことができる。
【0048】
さらに、柱シール部7と区分けシール部8のシール幅はサイドシール部6のシール幅よりも幅広い。これは、補強性を向上するために幅が広くなっているものであり、例えばサイドシール部6のシール幅が8mmであるならば、区分けシール部8のシール幅は、8mmよりも広いことが望ましい。
【0049】
次に、本発明において、本発明にかかる自立型袋を構成する壁面フィルムの材料について説明する。
【0050】
まず、本発明にかかる耐熱性基材フィルムとしては、本発明にかかる自立型袋を構成する基本素材となり、かつレトルト加工処理に耐えられることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、耐熱性を有し、強度、剛性等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、約9μmないし50μm位、好ましくは、約12μmないし25μm位が最も望ましい。
【0051】
次に、本発明において、気体遮断性フィルムについて説明すると、かかるフィルムとしては、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは水蒸気、水、ガス等を透過しない性質等を有する材料を使用することができ、これは、単体の基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。具体的には、例えば、遮光性とバリア−性を有するアルミニウム箔またはその蒸着膜を有する樹脂のフィルム、バリア−性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、水蒸気、水等のバリア−性を有する高密度ポリエチレン等の樹脂のフィルムないしシ−ト、ガスバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。更に、上記において、アルミニウム箔としては、5μmないし30μm位の厚さのもの、また、アルミニウムまたは無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、その他等を使用することができる。
【0052】
次に、本発明において、ヒ−トシ−ル性フィルムについて説明すると、かかるフィルムとしては、レトルト加工処理に耐え、更に熱によって溶融し相互に、具体的には、例えば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。そのフィルムの厚さとしては、30μmないし300μm位、好ましくは、40μmないし100μm位が望ましい。
【0053】
次に、上記のようなヒートシール性フィルムのなかでも、本発明においては、特に、ヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが好ましい。更に、本発明においては、上記のヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムのなかでも、具体的には、エチレン−プロピレンコポリマーを主成分とし、これにオレフィン系ゴム成分を添加し、更に所望の添加剤を任意に添加し、充分に混練してなる組成物を、例えば、押し出し成形等によりフィルム化してなるヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが望ましい。上記において、エチレン−プロピレンコポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等を使用することができ、而して、エチレンとプロピレンとの共重合比率としては、プロピレンを約80〜97モル%位含むものを使用することができる。また、上記において、オレフィン系ゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム、インブチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のC2 〜C4 からなるオレフィン系ゴム成分の一種ないしそれ以上を使用することができ、而して、本発明において、かかるオレフィン系ゴム成分を使用するのは、主に、製品の耐寒衝撃性を向上させるために使用するものである。
【0054】
また、上記において、上記のエチレン−プロピレンコポリマーを主成分とし、これにオレフィン系ゴム成分を添加してなる組成物には、更にその他の添加剤、例えば、線状低密度ポリエチレン等のその他の樹脂、充填剤、分散剤、着色剤、その他等を任意に添加することもできる。次に、本発明において、エチレン−プロピレンコポリマーとオレフィン系ゴム成分との配合割合としては、該エチレン−プロピレンコポリマー100重量部に対しオレフィン系ゴム成分を5〜30重量部、好ましくは、10〜20重量部の割合で配合することが好ましい。上記において、5重量部以下であると、耐寒衝撃性が低下することから好ましくなく、また、30重量部以上であると、外周端部のシール強度が低く、また耐熱性が低くレトルト時に内部内部融着等を発生して好ましくないものである。本発明において、上記の無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚さとしては、30μmないし150μm位、好ましくは、40μmないし150μm位が望ましい。
【0055】
ところで、通常、レトルトパウチは、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、該レトルトパウチを構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0056】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して、外側から内側に向かって、少なくとも、耐熱性基材フィルムおよびヒートシール性フィルム、または耐熱性基材フィルム、気体遮断性フィルムおよびヒートシール性フィルムを順に積層した積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、上記のような材料からその方法目的、その他等を考慮して任意の素材を選択し、それらを通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、その他等で行うことができる。而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
【0057】
本発明の自立型袋の製造方法について図面を用いて説明する。
【0058】
本発明は下記の製造方法に限定されるものではなく、従来公知のいかなる方法であってもよいものとする。
【0059】
図3は、本発明の自立型袋を示す概略断面図である。
【0060】
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに印刷を施し、印刷面に接着剤を塗布して2軸延伸ナイロンフィルムと貼合する。さらに、2軸延伸ナイロンフィルムのもう一方の面に接着剤を塗布してアルミニウム箔と貼合を行い、さらにアルミニウム箔のもう一方の面に接着剤を塗布して末延伸ポリプロピレンフィルムと貼合を行い、積層体を得る。
【0061】
図3に示すように、該積層体を袋形状に製袋を行うと同時に、柱シール部7と区分けシール部8を設けて2室を有する袋を得る。さらに柱シール部7と区分けシール部8の中央に破線状の刃を用いて切り取り線部9を設ける。
【0062】
2室のうち、本体部分Bには鍋つゆ等を、小袋部分Aには、本体部分Bに含まれている鍋つゆ等の味を調整するための調味料を充填し、レトルト処理を行う。袋として一体のものであるため、充填及びレトルト処理がそれぞれ1工程で終了することができ、本体に小袋を貼付する工程を省略することが可能となる。
【0063】
本発明の使用形態について図面を用いて説明する。
【0064】
使用形態としては、下記の使用形態に限定されるものではないが、例えば、以下のような使用形態が考えられる。
【0065】
図4は、本発明の2室を切り離した際の図であり、図5は、本発明の2室を切り離した際の本体部分を示す図であり、図6は、本発明の2室を切り離した際の小袋部分を示す図である。
【0066】
調理等で自立型袋を使用する際には、図4に示すように、小袋部分Aと本体部分Bを切り取る。その後、まず、図5に示すように、本体の鍋つゆ等を注ぐ際、本体部分Bを切り取り部11で開封することで、本体部分Bの開口部分が本体底部の幅より狭くなり、注ぎ口を設けることができるため、鍋つゆを注ぐ際に持ちやすく、注ぎやすい形態となる。
【0067】
本体の鍋つゆを注いだ後、小袋部分Aの調味料によって味を調理する。その際、図6に示すように、小袋部分Aは、区分けシール部8とサイドシール部6の交わる角度bが鋭角なことによって、調理の際に本体部分Bから小袋部分Aを切り離した後、その小袋の中身を出す場合には、その鋭角の部分の切り取り部12を切ることによって、注ぎ口とすることができ、内容物を出しやすくすることができる。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、自立型袋が2室に区切られていても、袋の上部が折れ曲がったり、傾いたりすることを防ぐため、自立性が良く、調理中に用いる際に内容物がこぼれること等を防ぎ、商品として陳列する際には表示が良く見え、商品としての陳列が良好である。また、充填やその後の殺菌などの工程がある場合でも、2室ではあるが、同一の袋により同時に行うことが可能であり、本体に小袋を添付する工程を省くことができ、生産力の向上を図ることができる。また、当該袋は一体のものであるため、添付し忘れたり、剥がれたりといった事故を防止することができる。さらに、2室に区切られている本体部分と小袋部分を切り離すことによって、本体部分の底部の幅よりも本体部分の上部の幅が狭くなることにより、内容物を注ぐ際に持ちやすく、注ぎやすい形態となる。
【0069】
なお、本発明の自立型袋は、上記実施の形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の自立型袋の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の自立型袋を示す概略断面図である。
【図2】本発明の柱シール部と区分けシール部の取りうる範囲を示す図である。
【図3】本発明の自立型袋を示す概略断面図である。
【図4】本発明の2室を切り離した際の図である。
【図5】本発明の2室を切り離した際の本体部分を示す図である。
【図6】本発明の2室を切り離した際の小袋部分を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1、1′・・・壁面フィルム
2・・・底部シール部
3・・・底面フィルム折り返し部
4・・・底面フィルム切り欠き部
5・・・ガセット部
6・・・サイドシール部
7・・・柱シール部
8・・・区分けシール部
9・・・切り取り線
10・・・柱シール部の上部
x・・・柱シール部とサイドシール部の間の距離
y・・・柱シール部の長さ
11・・・切り取り部
12・・・切り取り部
A・・・小袋部分
B・・・本体部分
a・・・柱シール部と区分けシール部とのなす角度
b・・・区分けシール部とサイドシール部とのなす角度
X・・・柱シール部の取りうる範囲
Y・・・区分けシール部の取りうる範囲
100・・・自立型袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部をサイドシール部でヒートシールして形成される自立型袋において、
袋の一部がヒートシール部によって2室に区分けされており、
前記ヒートシール部は、
前記サイドシール部と平行ないしは30°以内の角度で設けられた柱シール部と、
前記柱シール部の下部から斜め下方向へ前記サイドシール部に向かって設けられた区分けシール部と、からなり、
前記区分けシール部と前記サイドシール部の交わる位置が、前記区分けシール部と前記サイドシール部が直角に交わる位置よりも下方向にあり、底面フィルム折り返し部と前記サイドシール部が交わる位置よりも上方向にあることを特徴とする自立型袋。
【請求項2】
前記柱シール部の長さは、内容物を充填する際に、前記内容物が前記柱シール部にかかる位置に設定することを特徴とする請求項1に記載の自立型袋。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自立型袋において、
前記自立型袋がレトルトパウチであることを特徴とする自立型袋。
【請求項4】
請求項3に記載の自立型袋において、
前記自立型袋が液状食品用レトルトパウチであることを特徴とする自立型袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−44791(P2006−44791A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20299(P2005−20299)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】