説明

自転車用油圧ブレーキホース・アセンブリー

【課題】 強固にホースと接続し得る接続金具を有し、且つ容易に補修可能な自転車用油圧ブレーキホース・アセンブリーを提供する。
【解決手段】
弗素樹脂ホース23をステンレス繊維筒体21で被覆した強化ホース20と、その両端に装着される取り付け用金具24、28と、これらを含めて覆う熱収縮性プラスチックチューブ32とからなり、強化ホース20の両端に装着される取り付け用金具が、弗素樹脂ホース20を嵌挿できる内径を有する筒状のオリーブ41とオリーブの外表面にあるステンレス繊維筒体を含めてオリーブを圧接し得るキャップ40と、キャップに螺合しブレーキ部品に接続するための装着部を備えたアダプター44とからなる油圧ブレーキホース・アセンブリー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車、モーターバイク等に使用される油圧ブレーキホース・アッセンブリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マウンテン・バイクは世界中の自転車愛好家の間でますます盛んになってきている。これらのバイクは頑健に設計され、オフロードで最高のスピードとa安定性能を発揮できるようになっている。マウンテン・バイクのレースもアマ、プロを問わず、人気が増大している。そのため、自転車産業は、ライダー(RIDER )の厳しいスピードと耐久性の要求に応えられるような高性能で信頼性のあるブレーキ部品の供給を強く求められている。このような要求は、モーター・バイクの分野でも同様である。
【0003】
マウンテン・バイクやモーター・バイクでは、ブレーキシステムは車体に沿って露出した状態で設けられる。そのようなブレーキシステムは、高スピードに伴う摩擦と熱や頻繁に起こる衝撃、転倒さらに荒れたマウンテン・バイクの走路につきものの水浸しのコンディションに耐えられるものでなければならない。
従来知られている一般自転車用の油圧ブレーキシステムは、例えば、米国特許第5,678,665 号明細書(特許文献1)に見られるように、ひだで締付けるタイプの先端取り付け部品をもったプラスチックのブレーキ・ホースが使用されており、この先端取り付け部品はブレーキホースに押しつぶして固着させるか“締金で締付け(cramped )”られている。
【0004】
上記とは別に、自転車用の油圧ブレーキシステムとしてはブレーキローターをブレーキパットで挟持する形式のものが使用されている。その構成の概略を図5に示す。図5において、1はマスターシリンダー、3はブレーキレバー、5はブレーキキャリパーを示す。52はブレーキホース(チューブ)でマスターシリンダー1とブレーキキャリパ−5とを連結し、ブレーキレバー3の操作によってマスターシリンダー1のブレーキオイルによる圧力をブレーキキャリパー5に伝えてブレーキパッド6をブレーキローター53に圧接させる(図6)。なお、51は接続金具(通称 フィッテング:fitting)で、ブレーキホース52自体を接続するために必要な特殊形状のボルトやナットからなる。図6において、53はブレーキローター、6はブレーキパッド、61はブレーキパッド6を加圧するためのピストン、7はタイヤ(車輪)、71はリム、8は自転車の車体(フロントフォーク)、81はブレーキキャリパー5を車体に固定するためのボルト、9はマスターシリンダー1をハンドルへ固定するためのブラケットを示す。
通常、油圧式ディスクブレーキのマスターシリンダーとは内蔵するシリンダーピストンとブレーキレバーから構成され、そしてマスターシリンダー内に密封注入されたブレーキ専用の液体がブレーキレバーを握ることで加圧されることになる。更には、その加圧されたブレーキ液がキャリパー内のピストンを押し出すことでパッドはローターを圧接することとなりブレーキ効果が生まれる構造と仕組みである。
【0005】
上記従来のブレーキホース・アッセンブリーでは、プラスチック製のブレーキホース2を予め自転車製造工程で取り付け部品4によって固着しているため、その後の交換が容易でないこと、またホースを再使用できないこと、更にプラスチックホースのみでは強度が低く、クロスカントリーやダウンヒルライディングのように激しい運転による衝撃や転倒による切り傷、切断などが起きやすいなどの問題点を有する。
本発明者らは上記問題点を解決する目的で、ブレーキホースの表面に金属繊維等によるファイバーメッシュ層を設け、該ファイバーメッシュ層で被覆したブレーキホースの両端に取り付けた取り付け金具(部品)を含めてプラスチックチューブで被覆したブレーキホース・アッセンブリーを提案した(特許文献2)。
しかしながら、その後の研究でブレーキホースの構成及び車体への装着方法等において更に改良すべき点を見出した。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5678665号明細書
【特許文献2】特開2001−241570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マウンテン・バイクやモーターバイクのように激しいハンドル操作にも耐えられる屈曲性、可撓性を有し、かつ走行中に受ける土砂や泥水などに耐え得る耐摩擦性、耐候性を有し、部品の交換と再使用が可能で堅実なブレーキ性能が得られる油圧ブレーキホース・アッセンブリーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の油圧ブレーキホース・アッセンブリーは、
ブレーキオイル用弗素樹脂ホースと;
該ホースを補強し保護するためのステンレススチール繊維の網からなるステンレス繊維筒体と;
ステンレス繊維筒体で被覆された弗素樹脂ホース(以下、強化ホースという)の両端に装着される取り付け用金具と;
強化ホースと該強化ホースの両端の取り付け用金具を含めて覆う熱収縮性プラスチックチューブとからなる。
強化ホースの両端に装着される取り付け用金具は、
弗素樹脂ホースを嵌挿できる内径を有し、ホースの口端側からホース本体側に向けて肉厚が減少する形の筒状のオリーブ(olive)と、
強化ホースを嵌挿できオリーブの外表面にあるステンレス繊維筒体を含めてオリーブを圧接し得る内面を有し、オリーブ挿入側の内周面に雌ネジを設けたキャップと、
先端に弗素樹脂ホース内に圧入できる外径を有する挿入部とキャップ内周面の雌ネジに螺合する雄ネジ部を備え、後端にブレーキ部品に接続するための装着部を備え、弗素樹脂ホースからの圧媒液(ブレーキオイル)を通す導通孔を有するアダプター
とからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
プラスチックホースを金属繊維の網(メッシュ)で被覆した金属繊維強化ホースは既に知られている。これら従来の金属繊維強化ホースは配管の容易さから鉄管などの金属製パイプの代わりに使用されるもので、本発明のように激しいハンドル操作によって繰り返し屈曲させられたり、走行中の振動で激しく振幅されるような用途を目的とするものではない。
本発明において、ブレーキオイルを通すホースは、耐油性、耐溶剤性、耐磨耗性、耐熱性、耐候性に優れていることから弗素樹脂ホースを使用する。弗素樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えばテフロン(R)(TEFLON:登録商標)が好ましいが、可撓性、屈曲性、耐磨耗性等を考慮して変性弗素樹脂を使用してもよい。変性弗素樹脂としては、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
【0010】
マウンテン・バイクのように激しく左右にハンドルを回転させるものの場合には、適度の屈曲性、柔軟性が要求される。また、ブレーキオイルに強く、圧が掛かったときにホースが膨れて破裂することがないようにすることが必要であり、またブレーキの摩擦熱よって加熱されたブレーキオイルに耐えられることが求められる。
ホースのサイズは車種によって異なるが、マウンテン・バイクやモーターバイクの場合、通常外径4〜5.5mmの範囲のものが好ましい。上記のことを考慮してホースの肉厚は選択されるが、厚すぎると柔軟性に欠けるため1.5〜2mm程度とすることが好ましい。
【0011】
ステンレススチール繊維を編成してなるステンレス繊維筒体は、ステンレススチールの繊維を網状に編んで筒体としたものを使用する。ステンレス繊維筒体は、通常、弗素樹脂ホースの外周面に直接繊維を編んで筒体を形成するが、ステンレス繊維筒体を別に作り、この筒体にホースを挿通させて強化ホースとしてもよい。
筒体の太さはホースの太さによって異なるが、筒体の内径はホースの外径と同じでもよいが、外径よりも0.1〜0.6mm、好ましくは0.3〜0.5mm程度大きくするとよい。修理時に筒体とホースの分離が容易になるほか、ブレーキホースの屈曲性、耐振幅性がよくなる。
ステンレス繊維筒体は、弗素樹脂ホースを保護するために被覆されるが、ホースに比べて筒体の外径や肉厚が大きいと屈曲性に欠けることと、筒体を構成するステンレス繊維が太くなるので止め金具の装着性がわるくなることから、ステンレス繊維は0.15〜0.2mm程度のものを使用するとよい。
【0012】
筒体の繊維による網の編成は細網目織り(メッシュ)が好ましく、目開きの小さいものが好ましいが、あまり隙間のない緻密な織り目とすると屈曲性、耐振動性が低下するので、織り目を選択する。織り目の選択は、ステンレス繊維筒体に熱収縮性プラスチックチューブを被覆したブレーキホースを輪状(リング状)に曲げたとき、ブレーキホースの太さによって異なるが、直径25mmから150mmの輪が形成される程度の可撓性とするとよい。ステンレス繊維筒体の網目の選択によって、筒体表面に被覆する熱収縮性プラスチックチューブの固着を強固にすることができる。
【0013】
ステンレス繊維筒体の表面に施される熱収縮性プラスチックチューブは、強化ホースの両端に装着される取り付け用金具を含めて強化ホース全体を保護する目的で設けられる。これらのことから熱収縮性プラスチックチューブは、バイクの整備等に使用される機械油に対する耐油性や耐溶剤性のほか、走行中に受ける土砂や風雨に耐えられるものが好ましいが、このチューブはブレーキホースの再使用時等に随時新しいもので被覆し直せるので、ある程度耐え得るものでもよい。チューブとしては、ポリオレフィン材料、例えばポリエチレン変性の電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂(スミチューブ:商品名)など、又は他の適する材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデンなどのチューブを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン又はその他の適した材料によっても作ることができる。チューブの厚さは特に限定されないが、加熱収縮によってステンレス繊維筒体に密着できるものが好ましい。電子線架橋ポリオレフィン樹脂チューブが好ましい。
【0014】
弗素樹脂ホース及びステンレス繊維筒体は耐熱温度が高いため、容易に熱収縮性チューブを被覆することができ、ステンレス繊維は表面に不要な油分を有せず、その筒体の表面の凹凸度とあいまって熱収縮性チューブを強固に密着させることができる。
熱収縮性チューブによる被覆は通常ブレーキホース製造時に行うが、ブレーキホースの損傷やチューブのみが破損した場合などは、随時新しいチューブを被せ、ドライヤーなどで熱風を当てるとか、熱湯をかけるなどによって被覆することができる。チューブの径(太さ)は熱収縮率に依存するため特に限定されないが、収縮後のチューブの肉厚が0.5mm以上となるものが好ましい。
チューブによる被覆方法は特に限定されないが、端部のチューブを折り返して取り付け用金具とホースの端部が二重に被覆されるようにしてもよい。熱収縮性チューブは、無色透明のものが好ましいが、着色されたものであってもよい。
【0015】
本発明の特徴の一つは、ブレーキホース・アッセンブリーが再使用、再利用できることであり、ホースの両端に取り付けられる取り付け具、すなわち第一及び第二取り付け具はブレーキシステムからブレーキホース・アッセンブリーが取り外しでき、再び取り付けることができるように構成され組み付けられている。更に、第一及び第二取り付け具はブレーキホースから取り外しでき、再び取り付けることができるように構成されブレーキホースに組み付けられている。
繊維強化ホースの両端に装着される取り付け用金具は、前記したように、弗素樹脂ホースに装着する金属製オリーブ(olive)と、ステンレス繊維強化ホースを挿通できオリーブを含むことができる大きさのキャップと、先端に弗素樹脂ホース内に圧入させる挿入部を有し前記キャップと螺合するネジ部を備え、ホースからのブレーキオイルを通す導通孔を有するアダプターとからなる。
【0016】
強化ホースとアダプターとの結合は、例えば、先に提案した特許文献2に記載の方法では図7に示すように、強化ホース20のファイバーメッシュ22面上にオリーブ42を装着し、このオリーブ42にキャップ40を被せてアダプター44とネジ止めすることによってオリーブ42を締めつける方法によって行っていた。この方法では、オリーブ42とステンレススチールのファイバーメッシュ層22との接触が互いに金属面であり、かつファイバーメッシュ層22は凹凸金属面であるため滑りやすく強固に圧締しにくく、また更に、凹凸面を有するファイバーメッシュ層22を弗素樹脂ホースに強く押圧すると、弗素樹脂ホースの端部が破損し液漏れするという問題点を有していた。本発明はこれらの問題をも解決するものである。
【0017】
本発明のブレーキホースへの取り付け金具の装着は次のようにして行う。
予め筒体強化ホースにキャップを装着しておき、次にオリーブを弗素樹脂ホースの端部に嵌着させる。弗素樹脂ホースを覆うステンレス繊維筒体の端部の径を拡げるか又は一部を解きほぐしてホースを露出させて、弗素樹脂ホースとステンレス繊維筒体の間となるように、弗素樹脂ホースにオリーブを嵌着させる。
次に、ステンレス繊維を表面に被せた状態のオリーブに予め筒体強化ホースに装着しておいたキャップを被せ、キャップの先端内周面に設けた雌ネジとアダプターの雄ネジとを螺合させてキャップとアダプターを結合させる。このとき、オリーブの表面に被せたステンレス繊維はオリーブに強く圧着させられ、オリーブは弗素樹脂ホースに圧着し、ステンレス繊維筒体はオリーブとキャップで固定される。
【0018】
アダプターは、先端に弗素樹脂ホース内に圧入できる外径を有する挿入部を有し、挿入部の後方にキャップ内周面の雌ネジに螺合する雄ネジ部を備え、後端にブレーキ部品に接続するための装着部を備え、弗素樹脂ホースからのブレーキオイルを通す導通孔が挿入部から装着部に達するように設けられている。
第一取り付け具のアダプターは、例えば、ブレーキキャリパーに接続できる形状のものとし、第二取り付け具のアダプターはマスターシリンダー用のアダプターとする。
【0019】
オリーブは、表面にステンレス繊維を被せた状態でキャップで圧締するため、キャップの方向に向けて下降する斜面または曲面を有する円筒体とする。オリーブは使い捨て部品とするときは、ステンレス繊維が強固に圧着できるように真鍮やアルミなどのステンレス繊維よりやや軟質のものとしてもよく、またステンレス等の金属素材で作製するとよい。
キャップはアダプターにネジ止めするため、外周は六角ボルト形状とするとよい。また、キャップは熱収縮性チューブを加熱収縮せしめて強化ホース表面に被着させるとき、該チューブの長さ方向への収縮によりキャップから外れるのを押さえるために、表面に適当な凹凸または溝を設けるとよい。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1は本発明の油圧ブレーキホース・アッセンブリーの一実施例を示す側面図である。アッセンブリー10は、ブレーキオイル用の弗素樹脂ホース(図示せず)の表面をステンレス繊維の網からなるステンレス繊維筒体21で覆われた強化ホース20と、強化ホース20の両端に装着された取り付け具24、28と、両端の取り付け具24、28を含めて強化ホース20を覆う熱収縮性チューブ32とからなる。
本例の場合、強化ホース20は、弗素樹脂ホースとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の外径4mm、内径2mmのチューブを使用し、スチール繊維(0.2mm)で外径5mm前後の強化ホースとなるように被覆した。
この強化ホースの表面に熱収縮性チューブとして、電子線架橋ポリオレフィン樹脂(スミチューブA:商品名)を被せて温度120℃のオーブンで熱収縮させて厚さ約0.5mmのポリオレフィン・フィルム層32を形成した。強化ホースにポリオレフィン・フィルム層32を被覆したブレーキホースは、直径約25mmの輪を形成できるほどの柔軟性と可撓度を示した。
【0021】
強化ホース20には、油圧ブレーキシステムのマスターシリンダーと接続するための第一取り付け具24を一方の先端26に装着し、ブレーキキャリパーと接続するための第二取り付け具28を他方の先端30に装着する。取り付け具は、図示したものに限らず、ディスクブレーキや他の知られているブレーキシステムに適用することができるものとする。取り付け具24と28はステンレス・スチール製とすることが望ましいが他の適した材料で作ることもできる。
【0022】
取り付け具及びその装着方法を図2及び図3に示す。図2は、強化ホース20の一方の先端に組み付けられ、ホース20をブレーキキャリパー(図示せず)に接続するための第一取り付け具である。取り付け具28は複数の部品:キャップ40、オリーブ41、そしてブレーキキャリパー用のアダプター44を有する。アダプター44は先端に、強化ホース20内に挿入される挿入部44aを有し、その後方にキャップ40に設けられた雌ネジに螺合させるための雄ネジ44bが設けられ、その後方にブレーキキャリパーに組み込まれる中央に丸穴のある平板状の装着部44cを有する。アダプター44は、先端の挿入部44aから装着部44cに達する導通孔44dが設けられていて、強化ホース20からのブレーキオイルをブレーキキャリパーに導通させる。
【0023】
取り付け具の装着は、強化ホース20にキャップ40を装着し、次に強化ホース20の先端部分のステンレス繊維筒体21の径を広げるか又は解きほぐして弗素樹脂ホース23の先端部を約2〜3mm露出させ、この弗素樹脂ホースの先端部にオリーブ41を嵌着させる。嵌着させたオリーブ41の表面にステンレス繊維筒体21のステンレス繊維21aを被せ、このようにしたオリーブ41にキャップ40を冠着し、アダプター44の先端の挿入部44aを弗素樹脂ホース内に挿入して、キャップ40をアダプター44にネジ止めして取り付け具28を装着する。
図3は、強化ホース20の他方の端に装着される取り付け具24を示す。取り付け具24はホース20をマスターシリンダー(図示しない)に接続するものである。取り付け具24は、キャップ40、オリーブ41、そしてマスターシリンダー用のアダプター54からなり、上記第一取り付け具28と同様にして装着される。アダプター54は装着部54cが異なるだけで、54a〜54dは装着部44と同じ意味を表す。
【0024】
両端に取り付け具を装着した強化ホース20に熱収縮性チューブ32を適用して、表面に保護フィルム層を形成するが、このとき熱収縮性チューブが長さ方向に収縮するのを押さえるために、この例の場合はキャップ40の外周にやや開いた形のV字形の溝40aをリング状に設けた。図4は、熱収縮後のチューブ32の端部に切れ目が生ずるのを避けるために、チューブ32の端部を折り返して端部のみ2重に被覆した例を示す。図中、23は弗素樹脂ホース、21はステンレス繊維層、32は熱収縮チューブ層を示す。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のブレーキホース・アッセンブリーは、インナーチューブを特定の内径、外径を有する弗素樹脂ホースとし、その外周に特定の繊度のステンレス繊維からなる網状筒体を特定の径で設けて強化ホースとし、この強化ホース表面を熱収縮性フイルムで被覆したので、所要の柔軟性、可撓性並びに耐磨耗性、耐摩擦性、耐熱性等を有し、そのためマウンテンバイクやモーターバイクに使用して良好な結果が得られた。
また、本発明では取り付け具の装着にあたり、オリーブを特定の形状及び特定の材質で形成し、強化ホース先端に弗素樹脂ホースとステンレス繊維筒体の間に挿入し、キャップで圧締する方法によっているためホースを傷めることがなく、結合部からの液漏れがなく長時間使用でき、又、取り付け取り外しが容易であることからホースも繰り返し使用することができるなど種々の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例の側面図である。
【図2】図1の第一取り付け具の側面図である。
【図3】図1の第二取り付け具の側面図である。
【図4】熱収縮性チューブを適用したブレーキホースの一部破断側面図である。
【図5】従来の油圧ブレーキシステムの一例を示す説明図である。
【図6】油圧ブレーキシステムのブレーキローターとブレーキパットの関係を示す側面図である。
【図7】従来の取り付け具の取り付け方法を示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 マスターシリンダー部
2 ブレーキホース
3 ブレーキレバー
5 ブレーキキャリパー部
6 ブレーキパッド
7 車輪(タイヤ)
71 リム
20 強化ホース
21 ステンレス繊維筒体
22 ファイバーメッシュ層
23 弗素樹脂ホース
24 第一取り付け具
28 第二取り付け具
32 熱収縮性チューブ層
53 ブレーキローター
55 ハンドルバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキオイル用弗素樹脂ホースと;
該ホースを補強し保護するためのステンレススチール繊維の網からなるステンレス繊維筒体と;
ステンレス繊維筒体で被覆された弗素樹脂ホース(以下、強化ホースという)の両端に装着される取り付け用金具と;
強化ホースと該強化ホースの両端の取り付け用金具を含めて覆う熱収縮性プラスチックチューブとからなり、
強化ホースの両端に装着される取り付け用金具は、
弗素樹脂ホースを嵌挿できる内径を有し、該ホースの口端側からホース本体側に向けて肉厚が減少する形の筒状のオリーブ(olive)と、
強化ホースを嵌挿できオリーブの外表面にあるステンレス繊維筒体を含めてオリーブを圧接し得る内面を有し、オリーブ挿入側の内周面に雌ネジを設けたキャップと、
先端に弗素樹脂ホース内に圧入できる外径を有する挿入部とキャップ内周面の雌ネジに螺合する雄ネジ部を備え、後端にブレーキ部品に接続するための装着部を備え、弗素樹脂ホースからのブレーキオイルを通す導通孔を有するアダプター
とからなる油圧ブレーキホース・アセンブリー。
【請求項2】
弗素樹脂ホースが、外径4〜5.5mm、内径2〜4mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のホースである請求項1記載のブレーキホース・アセンブリー。
【請求項3】
ステンレス繊維筒体の内径が、弗素樹脂ホースの外径よりも0.1〜0.3mm大きいことからなる請求項1記載のブレーキホース・アセンブリー。
【請求項4】
取り付け具のキャップの外周に熱収縮性チューブの長さ方向の収縮を止めるための断面V字溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のブレーキホース・アセンブリー。
【請求項5】
熱収縮性プラスチックチューブが、電子線架橋ポリオレフィン樹脂よりなるチューブである請求項1記載のブレーキホース・アセンブリー。
【請求項6】
請求項1に記載のブレーキホース・アセンブリーにおいて、強化ホースの端部のステンレス繊維筒体を拡径又は筒体の一部を解きほぐし、それによって露出した弗素樹脂ホースとステンレス繊維筒体の間にオリーブを嵌着し、スチール繊維が被さった状態のオリーブにキャップを冠着し、キャップとアダプターをネジ止めすることからなる強化ホースへの取り付け具の装着方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−183831(P2006−183831A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380440(P2004−380440)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(501013880)神奈川トヨタ自動車株式会社 (4)
【Fターム(参考)】