説明

臭いが改良された洗濯処理組成物

例えば相特性に関して及び/又は過度の着香のない高い臭気受入れの達成に関して、消費者の受入れが改良された洗濯処理組成物。液体洗濯洗剤組成物であって、短鎖アミン不純物を有することが可能な非酵素含窒素成分を含み、前記含窒素成分の溶解を促進すると同時に溶媒系がアミン不純物の異臭を発生する傾向を最小限に抑えることが可能な溶媒系を含み:前記組成物が;前記成分が10ppm未満の短鎖アミン不純物を含む非酵素含窒素成分と;溶媒系とを含み;前記組成物がさらに、以下の条件の少なくとも1つを含み:(i)前記組成物が、実質的に酵素を含まない;
(ii)前記組成物が、相容する酵素製剤を含む;
(iii)前記組成物が、臭気甘み剤を含む;
(iv)前記組成物が、前記洗剤組成物中で前記非酵素含窒素化合物を分解して短鎖アミン不純物を生成することが可能な凝縮相を実質的に含まない;及び/又は
(v)前記非酵素含窒素成分が、前記液体洗濯洗剤組成物への組み込みの前に精製される;
液体洗濯洗剤組成物を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非酵素含窒素化合物、例えば長鎖アルキルトリメチルアンモニウム化合物又はその脂肪酸イオン対のような含窒素布地有益剤と溶媒とを包含する安定な液体洗濯洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
改良された安定性、洗浄能力、布地効果(例えば柔軟化)を有する、及び審美的に快い(臭いと外観の両方で)、液体洗濯洗剤組成物への必要性が存在する。液体洗剤組成物処方の安定性に影響する要因は、臭いに悪影響を及ぼし得ること、添加順序のような製造における微妙な系の変化の下で異なる化合物が沈殿し得ること、及び含窒素成分は不純な形態で供給されるか又は製品中で分解することがあることから、この技術的問題は、驚くほど困難なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき技術的問題としては、酵素が存在するときに、非酵素含窒素成分からの改良と酵素製剤の選択の改良からとの両方に由来する許容可能な臭いを有することも挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
好ましい実施形態において、上記の技術的問題に対する産業的に有用な解決策としては、以下のすべてが挙げられる:非酵素含窒素化合物の精製又は臭気甘み剤処理;好適な溶媒系;相容する酵素類(特に本明細書で相容する市販の酵素製剤の選択による);保管中に分解によって追加の揮発性アミン不純物が放出されないような液体洗剤の相制御;安定な製品の製造を促進するための特殊な混合順序。より一般的には、本発明はこれらの個別の解決策の少なくとも1つが存在する実施形態を包含する。
【0005】
したがって、本発明は、液体洗濯洗剤組成物であって、短鎖アミン不純物を有することが可能な非酵素含窒素成分を含み、前記含窒素成分の溶解を促進すると同時に溶媒系がアミン不純物の異臭を発生する傾向を最小限に抑えることが可能な溶媒系を含み、前記組成物が;
(a)前記成分が短鎖アミン不純物を有することが可能であり、前記成分が10ppm未満、好ましくは1ppm未満、より好ましくは500ppb未満の短鎖アミン不純物を含む非酵素含窒素成分と;
(b)溶媒系とを含み;
(c)前記組成物がさらに、以下の条件の少なくとも1つを含み:
(i)前記組成物が、実質的に酵素を含まない;
(ii)前記組成物が、相容する酵素製剤を含む;
(iii)前記組成物が、臭気甘み剤を含む;
(iv)前記組成物が、前記洗剤組成物中で前記非酵素含窒素化合物を分解して短鎖アミン不純物を生成することが可能な凝縮相を実質的に含まない;及び/又は
(v)前記非酵素含窒素成分が、前記液体洗濯洗剤組成物への組み込みの前に精製される;
液体洗濯洗剤組成物を包含する。
【0006】
本発明は、前記成分が500ppb未満の前記短鎖アミン不純物を含み、さらに:(i)香料類;(ii)脂肪酸又はその塩;(iii)抗菌剤、悪臭中和剤、シクロデキストリン類、防臭剤香料成分、乾燥布地臭気増強技術、その他の非シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、付着助剤、増粘剤及びこれらの混合物から選択される洗濯補助剤;並びに(iv)これらの混合物から選択される追加の洗濯洗剤成分を含む、液体洗濯洗剤組成物にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の洗濯処理組成物の必須及び任意成分、並びに組成物の形態、調製及び使用法は、以下により詳細に記載されている。
【0008】
この記載において、すべての濃度及び比は、特に指定のない限り、洗濯処理組成物の重量に基づく。窒素百分率(%N)のような元素組成は、重量%による百分率である。
【0009】
ポリマー類の分子量は、特に明記しない限り、数平均分子量である。
【0010】
用語「実質的に含まない」又は「実質的にない」が本明細書で使用されることがある。これは、指示された材料が、非常に少なく、組成物にその一部を形成するために故意に添加されたものでないこと、又は、好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それによって、指示された材料が故意に包含される他の材料の1つの中に不純物としてのみ存在する組成物を包含することが意図される。
【0011】
粒径範囲は、中央粒径の範囲である。例えば、0.1μm〜200μmの粒径範囲は、下限が0.1μmであり上限が200μmである中央粒径を指す。
【0012】
粒径は、コールター社(Coulter Corporation)(フロリダ州マイアミ(Miami, Florida, 33196, USA))からのコールター(Coulter)LS230レーザー回折粒径分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyzer)を使用する、レーザー散乱技術のような既知技術によって測定されてもよい。
【0013】
本明細書で引用される全ての文献は、関連部分が参考として本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを承認するものとして考慮されるべきではない。
【0014】
本明細書で参照されるすべての測定値は、指示がない限り、室温(21.1℃)及び大気圧でのものである。
【0015】
本発明の組成物は、本発明の成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を包含することができ、それらから本質的に成ることができ、又はそれらから成ることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」とは、組成物又は成分が追加成分を包含してよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限ることを意味する。
【0016】
すべての百分率、割合及び比率は特に指定しない限り、本発明の液体洗濯処理組成物の全体の重量に基づく。このような重量はすべて、列挙された成分に関して、特に指示しない限り、市販形態の材料に存在する可能性のあるキャリア、希釈剤等を除外する。
【0017】
全ての引用された文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれる;任意の文書の引用は、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈されるべきではない。
【0018】
改良された臭い
本明細書に開示されている液体洗濯洗剤のような洗濯処理組成物は、改良された臭いを有する。本明細書で使用するとき、「改良された臭い」は、本発明の必須の制限の各々を有さない参照組成物を比較として、無香料形態の組成物を使用して専門の調香師によって判断された、組成物のヘッドスペースにおける揮発性アミン異臭の存在の低減を指す。
【0019】
一般に、ヘッドスペースにおける異臭の存在は、当該技術分野における通常技術の調香師によって容易に確認され、及び揮発性アミンからだけでなく、例えばオレフィン類などの他の不純物によっても生じることができる。
【0020】
ヘッドスペースにおける(用語はその従来技術で既知の意味で使用されており、即ち、組成物又は原料の上のいかなる好適な限定容量の空間における)異臭は、調香師によってのみ確認できるのでなく、代わりに調香師又は熟練した「鼻」を持つ香料判定員団を必要としない技術によっても測定できる。
【0021】
このような技術には、従来のGC/MS、又はいかなる他の好適な感度の分析方法、例えばいわゆるウエットケミカル法の使用も挙げられる。GCによる香料ヘッドスペース分析は、例えばUS20030166497A1(ユニリーバ(Unilever))において広範に使用されている。一般的技術となっているGCヘッドスペース分析は、インターネットで数千件の参照において言及されている。
【0022】
本明細書で使用するとき、改良された臭いは、特に、本発明に記載の組成物と本明細書に識別された組成及びプロセスの臨界を尊重しない組成物とを比較したときの、揮発性アミン不純物、特にジメチルアミン、トリメチルアミン又はこれらの混合物に関連するアミン異臭の低減を指す。
【0023】
1.非酵素含窒素成分
一般的に、「非酵素含窒素成分」は、本明細書で使用するとき、短鎖アミン不純物を有することが可能な、その構造に窒素結合を有するいかなる非酵素成分も包含する。この成分は、定義上、本発明が関係する問題をいかなる重大さでも示さないキレート剤又はポリエトキシレート化テトラエチレンペンタミン類(後に任意材料として列挙されている「キレート剤」及び「ポリエトキシレート化テトラエチレンペンタミン類」参照)を包含しない。1つの実施形態において、非酵素含窒素成分は、その実質的に純粋な形態で不揮発性である。好ましくは、非酵素含窒素成分は、四級窒素を含有し、例えば布地柔軟化であるがこれに限定されない布地ケア特性を有する。非酵素含窒素成分は、脂っぽい汚れの洗浄にもまた役立ってよく、同じ材料が陽イオン性界面活性剤として並びに柔軟化剤として作用することができてもよい。本明細書で使用するとき、非酵素含窒素成分は、1〜8個の炭素原子を含む揮発性アミン不純物の含有量が最小限でなければならないものとして定義されるが、換言すれば、アミン不純物は短鎖のみを含む。さらに、揮発性の、又は短鎖のアミン不純物は、(i)成分の製造中に形成されたか又は(ii)洗濯洗剤の保管中に成分の分解によって形成可能であるかのいずれかでなければならない。
【0024】
原則として、広義の非酵素含窒素成分は、例えば陽イオン性界面活性剤、陽イオン性柔軟剤、含窒素増粘剤又は含窒素布地ケア性能増強ポリマー類等を包含することができる。
【0025】
好ましい非酵素含窒素化合物は、陽イオン性布地柔軟仕上げ剤又はコンディショナーだけでなく、例えば形状保持、弾性維持、触感、静電特性等のためのいかなる他の布地有益剤も、それが「非酵素含窒素成分」の定義の要件を満足するという条件で、包含する。
【0026】
非酵素含窒素成分に包含されないのは、アルカノールアミン溶媒及びカオトロピック剤であり、これらは溶媒系の一部として別に考慮される。
【0027】
好ましい「非酵素含窒素成分」は、陽イオン性である。例としては、陽イオン性柔軟剤又は陽イオン性グリース除去界面活性剤、特にココトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。このような化合物のイオン対の形態も使用することができ、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリドが脂肪酸陰イオン、例えばラウレートと組み合わさって、ココトリメチルアンモニウムラウレートを形成するとき;さらに、理論に束縛されるものではないが、本発明は、アルキルトリメチルアンモニウム塩類に類似の化合物において、例えば1つ以上のヒドロキシエチル基がメチルに置き換わった場合、又は前記化合物が1つ以上のポリ(アルキレンオキシド)部分(エトキシ−第四級アンモニウム化合物)も組み込む場合においても有用であると考えられる。
【0028】
他方、本発明の一部として、アルキルトリメチルアンモニウム及び水酸化物イオン類を含む特定の凝縮相が、急速な低温分解のために、典型的には、本発明の洗剤に望ましくないことが明らかになっている。
【0029】
2.好ましい非酵素含窒素成分
アルキルトリメチルアンモニウム布地柔軟仕上げ剤化合物及びヒドロキシエチル又は
ポリエトキシレート化類似体
非酵素含窒素成分の好ましい部類としては、当該技術分野においてグリース除去及び/又は布地柔軟化で知られるアルキルトリメチルアンモニウム陽イオン性化合物が挙げられる。例としては、水溶性アルキルトリメチルアンモニウム塩類又はヒドロキシアルキル又はポリエトキシレート置換されたその類似体類、好ましくは、式Rを有する化合物が挙げられ、式中、RはC〜C16アルキルであり、R、R及びRは、それぞれ独立にC〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、ベンジル、又は−(CO)H、式中、xは好適には2〜5であり、Xは陰イオンである。好ましくは、R、RまたはRの多くても1つはベンジルであるべきである。Rに好ましいアルキル鎖長は、C12〜C15である。R、R及びRに好ましい基は、メチル及びヒドロキシエチルである。
【0030】
陰イオンXは、好適には塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物;又はメトサルフェート、エトサルフェート、アセテート、トシラート、ニトレートもしくはホスフェートである。カーボネートのようなその他の陰イオンも有用であることができる。陰イオンは、以下の開示で明らかになるように、非常に好ましくは水酸化物でない。
【0031】
好ましいものとしては、上記陰イオン類のC8〜16アルキルトリメチルアンモニウム陽イオン塩類、又は対応するC8〜16アルキルジ(ヒドロキシエチル)−メチルアンモニウム塩類が挙げられる。好ましいのは、アルキルトリメチルアンモニウムメトサルフェートもしくはクロリド、又はアルキルエトキシルアルキルアンモニウムメトサルフェートもしくはクロリドであってもよい。例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ココペンタエトキシメチルアンモニウムメトサルフェート、及び窒素原子に結合する2つ以上のメチル基が(ポリ)アルコキシル化基によって置換されているその他の誘導体類が挙げられる。
【0032】
その他の好適な材料としては、米国特許第4,851,138号(アクゾ(Akzo))に水溶性第四級アンモニウム化合物として列挙されているものが挙げられるが、これを本明細書に参照として組み込む。
【0033】
市販形態のこの成分としては、ウイトコ(Witco)より市販されているラウリルトリメチルアンモニウムクロリドのアドゲン(ADOGEN)412(商標);エトクァッド(Ethoquad)0/12及びエトクァッド(Ethoquad)HT/25のようなエトクァッド(Ethoquad)類(アクゾ(Akzo));脂肪族ジメチルヒドロキシエチル又は脂肪族トリメチルアンモニウム塩類、市販形態としてはクラリアント(Clariant)のプレパゲン(Praepagen)HY(商標)(脂肪族アルキルジメチルヒドロキシ−エチルアンモニウムクロリド);及びサソール/コンデア(Sasol/Condea)のサーバミン(Servamine)KAC(商標)(ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド)が挙げられる。
【0034】
非酵素含窒素成分は、好ましくは液体洗濯洗剤組成物の1〜10重量%、より好ましくは1〜5%の量で存在する。1つの実施形態において、非酵素含窒素成分は、組成物の1重量%〜3重量%の量で存在する。より低濃度、例えば1%未満、例えば0.5%を、特に、ポリジメチルシロキサンのようないかなるシリコーン型の布地柔軟仕上げ剤とも組み合わせて使用できる。さらに任意に、アミノシリコーン類を任意のシリコーン型柔軟剤として、単独で又はポリジメチルシロキサン類及び/もしくは付着助剤と共に、例えば5%までの濃度で、前記組成物に添加することができるが、これらのシリコーン材料は典型的に分子量が高く、用語「非酵素含窒素成分」の範囲内として定義されない。
【0035】
イオン対複合体
上で参照した陰イオン、即ち、塩化物、臭化物、メトサルフェート等は、一般に市販原料の形態の非酵素含窒素成分に使用されているものであることは明白なはずであるが、本明細書の組成物において、このような陰イオンは、本明細書の他の場所に記載されている陰イオン性界面活性剤のいずれかから誘導される陰イオン類によって、又は石鹸類又は脂肪酸陰イオン類によって、部分的に又は完全に置換されることができ、この場合、カタニオン(catanion)又はイオン対複合体の形態の非酵素含窒素成分が存在してもよい。
【0036】
混合物
2つ以上の非酵素含窒素成分のいかなる比率のいかなる混合物も使用されてもよい。
【0037】
3.短鎖アミン不純物
非酵素含窒素成分の説明において参照されたように、この成分は短鎖アミン不純物、即ち換言すれば、溶媒系の考察で定義されるアルカノールアミンでない揮発性アミン不純物を含有することが可能である。短鎖アミン不純物は、いかなる既知の手段によっても分析的に決定できる。一般的な分析は、不純物が例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン(timethylamine)の混合物の場合でも、「トリメチルアミンとして」又は「トリメチルアミン当量ベースで」の分析である。以後の実施例に記載されているスパイク実験からわかるように、不純物は、低濃度でかなりの悪臭を放出することが可能である。非酵素含窒素成分中のこの不純物はゼロであるか、又は最悪の場合でも、わずかppm(100万分の1)領域の濃度、好ましくはわずかppb(10億分の1)の濃度であることが好ましい。短鎖アミン不純物の濃度としては、非酵素含窒素成分中に10ppm未満、好ましくは1ppm未満、より好ましくは500ppb未満、より一層好ましくは非酵素含窒素成分の100ppb未満が挙げられる。(完成した液体洗濯洗剤における濃度は、当然、本明細書の他の場所に記載されている非酵素含窒素成分の濃度の知識から単純に計算できるように、それよりも低い)。また、この不純物に関連して注意すべきは、不純物は液体洗剤の形成に使用される原料のいずれにおいても発生すること、又は液体洗濯洗剤中の非酵素含窒素成分の分解により、液体洗濯洗剤中でその場で発生することができることである。本発明の一部として、悪臭につながる及びそのようなその場での分解に由来する製品内分解は、非酵素含窒素成分を六方晶の、水酸化物含有相以外の相に保つことによって低減できることが明らかにされている。本明細書で用語「相」は、相化学において使用されるように、その通常の意味で使用される。界面活性剤の六方晶相は周知である。
【0038】
4.非酵素含窒素成分の前処理
短鎖又は揮発性アミン不純物の量を制限するため、いかなる既知手段も使用できる。これには、分留、水蒸気ストリッピング、及び分留又は水蒸気ストリッピング以外のいかなる他の前処理、例えば吸着材への吸着等が挙げられる。これらの技術は、一般に当該技術分野において既知である。このような前処理は、非酵素含窒素成分の商業的供給業者によって実施され得る。
【0039】
5.溶媒系
本発明の洗濯処理組成物は、溶媒系を含有する。一般に、前記洗濯処理組成物は、洗濯処理組成物が液体又はゲルの形態であるのに十分な溶媒系を含有する。溶媒系の濃度は、洗濯処理組成物の0.1重量%〜80重量%の範囲であることができる。溶媒系は、水部分(換言すれば、本明細書の洗剤組成物は一般に無水ではない)と非水部分とを有する。
【0040】
水部分
好適な水の濃度は、液体洗濯洗剤組成物の1%を超え50%以上まで、より典型的には少なくとも20%の水である。水部分は非水部分よりも大きいことが望ましく、特に水部分は非水部分の揮発性溶媒成分よりも大きいことが望ましい。
【0041】
非水部分
溶媒系の非水部分は、好ましくは液体洗濯洗剤の1%〜多くても30%、好ましくは1%〜多くても20%の濃度であり、イオン化可能なヒドロトロープ類及びアルコール類を含み、好ましい実施形態においてはいくつかのアルカノールアミン類も含む。カオトロープ類及びその他の種類のヒドロトロープが任意に包含されてもよい。
【0042】
本明細書で使用するのに適したイオン化可能なヒドロトロープ類としては、クメンスルホネート類、トルエンスルホネート類、キシレンスルホネート類又はナフタレンスルホネート類のナトリウム、カリウム及びアルカノールアンモニウム塩である。用語「イオン化可能なヒドロトロープ」は、好ましいヒドロトロープとシクロヘキサンジメタノールのようなイオン化可能でないヒドロトロープ類とを区別するために使用され、前記イオン化可能でないヒドロトロープ類は陰イオン形態を持たず、使用可能であるかもしれないが好ましくはない。理論に束縛されるものではないが、イオン化可能なヒドロトロープの選択の意図は、溶媒系における揮発性ヒドロトロープ材料の添加を最小限に抑えることであり、イオン化可能なヒドロトロープは揮発性でない。
【0043】
より一般的には、本発明の溶媒系は、好ましくはヒドロトロープを含有する。1つの実施形態において、布地処理組成物は、組成物の0.1重量%〜20重量%、より典型的には0.1重量%〜5重量%、例えば0.1重量%〜3重量%のヒドロトロープを含む。ヒドロトロープによって、最も一般的には、主にその「カップリング効果」で、界面活性剤及び/又は布地有益剤の布地処理組成物への安定な組み込みを補助するために配合されている、上に定義した溶媒以外のいかなる水溶性イオン又は非荷電有機剤も意味する。
【0044】
ヒドロトロープは1つ以上のメカニズムで作用することができ、一般に直接的な溶解力に排他的に関与するわけではない。例えば、ヒドロトロープは界面活性剤分子の最密構造を阻害するが、それによって分子が組成物から相分離するのを防止することができる。イオン性又はイオン化可能なヒドロトロープは、記載されたように当該組成物に特に好ましい。理論に束縛されるものではないが、これらは溶媒系の揮発性に寄与しないと考えられる。
【0045】
メタノールの沸点を超える、好ましくはエタノールの沸点を超える沸点を有するアルコール:
本明細書での使用に好適なアルコール類としては、エタノールとプロパンジオール、又はプロパンジオールとグリセロールの混合物が挙げられる。少量のメタノールは存在してもよいが、溶媒臭に寄与する可能性があるため、好ましさに劣る。意図は、特にメタノールを制限することであるが、できるだけエタノールも制限し、それをプロパンジオール及び/又はグリセロールで置換することである。あるいは、他のエーテル部分を含まないアルコール類、グリコールエーテル類等をメタノール成分の沸点を超える沸点を有するアルコールとして使用することができる。液体洗剤の引火点は、標準的な日本のクローズドカップ、米国及び西欧の標準に好適に準拠し、例えば日本ではクローズドカップにて40℃を超える。アルコールの典型的な濃度は、組成物の1重量%〜20重量%、より典型的には2重量%〜20重量%、さらにより典型的には10%まで又は15%までである。
【0046】
アルカノールアミン:この要求に適合する好適なアルカノールアミンはモノエタノールアミンであるが、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンのような他のアルカノールアミン類も使用できる。非常に良好な凍結溶解安定性を有するために設計された組成物に好ましい濃度としては、該液体洗剤組成物の2.5重量%〜7重量%が挙げられるが、別の実施形態ではアルカノールアミンを使用しないか又は限られた濃度、例えば0.1%から1%まででのみ使用することが可能であり、例えば、より温暖な気候又はアルカノールアミンの塩素化水の塩素捕獲効果のみが望ましい場合である。本発明の好適な実施形態において、アルカノールアミンは塩の形態であり、例えば酸の形態の界面活性剤を中和するために使用される。
【0047】
カオトロピック剤:好適なカオトロピック剤は尿素である。この構成要素は、一般的に任意である。使用される場合、その濃度は一般には5%を超えず、例えば0.1%〜5%が使用される。
【0048】
6.相容する酵素製剤
本発明は、酵素を含まない、液体洗剤組成物の0重量%を包含する、実施形態を包含する。本発明は、0.1%未満の活性酵素タンパク質、又は液体洗剤組成物の少なくとも0.0001重量%の相容する酵素製剤を有する酵素含有の実施形態も包含する。液体洗濯洗剤組成物が酵素を含むとき、それは望ましいが、例えば衣服の自動洗濯機での洗浄に使用する特定の液体洗濯洗剤において、酵素は相容する酵素製剤の形態である。マックスターゼ(Maxatase)(登録商標)又はアルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)のような、液体洗濯洗剤への使用のために販売されている特定の、相容しない、酵素製剤は、「相容する」ものと呼ばれる他のものよりもはるかに許容できないことが発見された。相容性は、これらの製剤が消費者の液体洗濯洗剤の臭い許容に及ぼす影響に関する。理論に束縛されるものではないが、これは、望ましい酵素でない市販の酵素製剤の部分と関係すると考えられるが、それよりも、発酵培地の望ましくない成分に由来する市販の酵素製剤の成分と関係すると考えられる。それ故に、液体洗濯洗剤への使用のために設計された市販の酵素製剤を本明細書に使用するとき、及び特にこの製剤がプロテアーゼを含むとき、相容する酵素製剤、即ち布地又は衣服が洗浄された後の乾燥布地臭への悪影響がないものを用いることが望ましいことが明らかとなっている。
【0049】
好ましい酵素はプロテアーゼであるが、次の洗浄性酵素の1つ以上も好適である:プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ及びアミラーゼ。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載されている。本明細書で特に好ましい組成物は、0.05重量%〜2重量%の洗浄性酵素を含有する。
【0050】
使用される場合、酵素は、典型的には、0.0001重量%〜2.0重量%、好ましくは0.0001重量%〜0.5重量%、更に好ましくは0.001重量%〜0.1重量%の純粋酵素の濃度(組成物の重量%)で存在する。
【0051】
別の言葉では、純粋酵素ベースでなく市販の酵素製剤をベースとした酵素含有量を表すと、本明細書の洗剤組成物における好適な濃度は、0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%の市販酵素製剤である。
【0052】
プロテアーゼの場合、酵素製剤は相容する酵素製剤であり、この製剤における活性酵素の好適な濃度は、少なくとも3.5重量%、好ましくは少なくとも4.0重量%である。
【0053】
これらの実施形態のみに限定されるものではなく、本発明は、酵素を有する次の好ましい実施形態を包含する:前記相容する酵素製剤が、プロテアーゼAとも呼ばれるバチルス・アミロリケファシエンスBPN’由来のセリンプロテアーゼ以外のプロテアーゼを含む液体洗濯洗剤組成物(参照として組み込む米国特許第5,030,378号参照);相容する酵素製剤が、乾燥布地臭が少なく、プロテアーゼBを含む液体洗濯洗剤組成物。(参照として組み込む米国特許第4,760,025号参照);相容する酵素製剤が、液体であり、少なくとも3.5重量%、好ましくは少なくとも4.0重量%の活性酵素タンパク質を含む液体洗濯洗剤組成物;及び前記相容する酵素製剤が、プロテアーゼAのY217L変異体を含む液体洗濯洗剤組成物。
【0054】
酵素安定剤
本明細書に用いる酵素は、当該技術分野において既知のように安定化できる。例えば、米国特許第4,537,706号又は界面活性剤科学シリーズ(Surfactant Science Series)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、第67巻(1997年)参照。特に、第8章及び包含される参照を参照のこと。
【0055】
本明細書で有用な酵素安定化の有用性を有する化合物としては、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物、例えばボレート類、ホウ酸類、ホウ酸エステル類、ペプチド類及びペプチド誘導体、ポリオール類、低分子量カルボキシレート類、比較的疎水性の有機化合物、例えば特定のエステル類、ジアルキル(diakyl)グリコールエーテル類、アルコール類又はアルコールアルコキシレート類、カルシウムイオン源と組み合わさったアルキルエーテルカルボキシレート類、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール類及びカルボン酸類、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩類;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー類、及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー類、グリコール酸又はその塩類;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノプロピルドデシルアミンもしくは塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
典型的な洗剤、特に液体は、完成組成物1L当たり1〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは5〜15、及び最も好ましくは8〜12mmolのカルシウムイオンを含むであろう。塩酸カルシウム、硫酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、及び対応するマグネシウム塩類が挙げられるが、これらに限定されないいかなる水溶性のカルシウム又はマグネシウム塩も、カルシウム又はマグネシウムイオン源として使用することができる。あるいは、天然水の硬度で十分な場合もある。
【0057】
より高いカルシウム及び/又はマグネシウム濃度はグリース洗浄を補佐することがあり、組成物は従って0.05重量%〜2重量%の水溶性のカルシウムもしくはマグネシウム源、又はその両方を含むことができる。
【0058】
液体組成物中で、第二の酵素のタンパク質分解酵素による分解は、プロテアーゼ可逆阻害物質、例えば、ペプチド又はタンパク質型、特にVI族及びプラスミノストレピン(plasminostrepin)の変性サブチリシン阻害物質;ロイペプチン、ペプチドトリフルオロメチルケトン、ペプチドアルデヒドによって避けることができる。
【0059】
7.臭気甘み剤:
本明細書での使用に有用な好適な臭気甘み剤としては、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタンのようなアルキルハライドが挙げられる。臭気甘み剤は、異なる実施形態において、使用されてもよいし、又は使用されなくてもよい。臭気甘み剤は、(i)甘い香気を有する化合物、(ii)アミン類と反応してそれらを四級化することができる化合物、及び(iii)甘い香気を有し、アミン類と反応してそれらを四級化する化合物を包含すると定義される。香料濃度(Perfumery levels)が使用されてもよいし、又は該濃度は組成物中に存在するアルカノールアミン類以外のいかなる遊離アミン類に関して化学量論的であってもよい。本発明の特定の実施形態において、臭気甘み剤は、これらが(ii)又は(iii)の種類であり、液体洗剤組成物中のいかなるアミン不純物とも実質的に完全に反応するとき、液体洗剤の上の蒸気ヘッドスペースで分析的に検出不可能であってもよい。
【0060】
8.非酵素含窒素化合物を分解することが可能な凝縮相
産業的に有用な洗濯組成物に今まで適用されたことがない最近の科学的発見は、重合可能な陽イオン性界面活性剤に関する論文の文献中に隠れている。開示に包含され、本明細書に参考として組み込まれ、ヒメネス(Jimenez)ら、ラングミュア(Langmuir)、2002年、第18刷、3767〜3772頁に見出されるのは、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウムが六方晶相にあるときにホフマン(Hoffmann)脱離反応において劇的な速度増大を受けるという発見である。機構的説明が与えられている。
【0061】
それ故、本発明に関して、非酵素含窒素材料は、好ましくは非酵素含窒素化合物を分解することが可能であり、洗剤中で悪臭のアミン不純物を形成すると考えられているこの加速されたホフマン(Hoffman)脱離を生じることが可能な凝縮相以外の液体洗剤中で配合される。
【0062】
本明細書で避けるべきこのような凝縮相としては、水酸化物を含む凝縮相、六方晶でありアルキルトリメチルアンモニウムを含む凝縮相、又はその他のホフマン(Hoffman)脱離促進効果を有する類似の凝縮相が挙げられる。
【0063】
理論に束縛されるものではないが、これらの望ましくない相を避けるための好適な方法としては、(i)水酸化物塩の形態の非酵素含窒素材料を避けること、及び(ii)以後に記載する有効例に例示されるように、成分の混合順序(特に、好ましいpH規定を包含する)を尊重すること、及び(iii)可能な場合には、非酵素含窒素材料がイオン対又は陽イオンの形態であることを確実とすること(単に脂肪酸を、例えば、好ましくは非酵素含窒素材料と比較して少なくとも等モル量で存在させることによるものを包含する)が挙げられる。
【0064】
9.追加の洗濯洗剤成分
香料
本発明の洗濯洗剤組成物は、特に該組成物が強い臭いの過度に着香された洗剤を嫌う傾向のある日本の消費者に魅力あるものとなるよう設計されたときに、0%〜多くても0.7%の香料、好ましくは多くても0.5%の香料、より好ましくは多くても0.3%の香料を含有してもよい。特定の実施形態は、着香されている。その他は、着香されておらず、「無香料」として販売できる。本明細書で有用な任意の香料としては、背景参照に参照されるように、アミン界面活性剤と共に使用するために特に開発されたか又は悪臭中和剤として使用される香料が挙げられる。当該技術分野において開示されているような香料が使用できるが、例えばUS20040077520A1参照のこと。着香マイクロビーズ(例えばUS20040106536A1参照)、又はその他の遅延放出又は直接性増強効果(例えばUS20040116320A1又はUS20040106528A1参照)は、US20040072720A1、US20040072719A1、又はUS20040071746A1の封入芳香剤材料と同様、本組成物にさらに任意に組み込むことができる。
【0065】
脂肪酸類又は塩類(石類鹸)
本明細書の組成物は、8〜20個の炭素原子を含有する1つ以上の脂肪酸類を組成物の0.01重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜7重量%、より好ましくは3重量%〜5重量%含有してもよい。脂肪酸は、1〜10個のエチレンオキシド単位を炭化水素鎖中に含有することもできる。この種の脂肪酸類は、四級アンモニウム材料とのイオン対又はカタニオン類(catanions)を形成してもよく、これらのイオン対又はカタニオン類(catanions)は、洗浄布地柔軟化効果を通じて提供できる。
【0066】
好適な脂肪酸類は、飽和及び/又は不飽和であり、不飽和は(オレイン酸陰イオンの場合のように)本組成物の相安定性及び等方性形態への有効な組み込みにとって特に好ましいが、これらは植物性又は動物性エステル類(例えば、パーム核油、パーム油、ココヤシ油、ババス油、ベニバナ油、トール油、ヒマシ油、タロー及び魚油類、グリース、並びにこれらの混合物)のような天然源から得ること、又は合成的に調製することができる(例えば、石油の酸化によって又はフィッシャー・トロプシュ(Fisher Tropsch)法による一酸化炭素の水素添加によって)。本発明の組成物への使用に好適な飽和脂肪酸類の例としては、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸が挙げられる。好適な不飽和脂肪酸種としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びリシノール酸が挙げられる。好ましい脂肪酸類の例は、飽和C12脂肪酸、飽和C12〜C14脂肪酸類、飽和又は不飽和C12〜C18脂肪酸類、及びこれらの混合物である。その他の好適な脂肪酸類は、本明細書に参考として組み込むUS20040097392A1、US20040092419A1、US20040092418A1、及びUS20040087461A1に開示されているように、分枝鎖を有する。
【0067】
洗濯補助剤
キレート剤及びビルダー
本明細書で有用なキレート剤は、好ましくは布地処理組成物の0.1%〜3%の濃度で組み込まれ、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート類)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート類、ニトリロトリメチレンホスホネート類のような有機ホスホネート類、多官能置換芳香族キレート化剤、及びこれらの混合物の群を包含する。
【0068】
好ましくは、キレート剤は、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ヒドロキシエチレン1,1ジホスホネート、1,1ヒドロキシエタンジホスホン酸及び1,1ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸から選択される。
【0069】
その他の好適なキレート化剤としては、エチレンジアミンジスクシネート類、ヒドロキシエチルイミノジアセテート類(HEIDA)、及び時としてキレート化界面活性剤として知られる1つ以上の長鎖部分を有するキレート化剤が挙げられる。
【0070】
シトレート又はオキシジスクシネートのようなビルダー、及び脂肪酸類又は石鹸類以外のビルダーも使用することができるが、特に好ましいのは水溶性の種類であり、使用される場合、これらは典型的に比較的低濃度、例えば組成物の5重量%までである。
【0071】
ビルダー又はキレート化剤以外の電解質、例えば硫酸ナトリウムのような単純な無機塩類は、好ましくは本組成物で最小限に抑えられ、5%未満、好ましくは1%未満の好ましい濃度である。
【0072】
ポリエトキシレート化テトラエチレンペンタミン類
ポリエトキシレート化テトラエチレンペンタミン類及びその他の類似の洗浄増強ポリマー類を、当該技術分野で既知の、典型的には低い濃度、例えば組成物の3重量%までで本明細書に使用することができる。
【0073】
ホウ素化合物
ボレート類のようなホウ素化合物を、有用な緩衝及び/又は酵素安定効果により、本明細書で使用することができる。好適な濃度は、低い、例えば組成物の5%未満の濃度であり、当該技術分野において既知である。
【0074】
任意に、本発明はシクロデキストリン類、悪臭中和剤、特定の香料材料のような既知の技術及びその他のいかなる既知の布地増強技術、例えばシリコーン類とも、共に使用してもよい。
【0075】
10.視覚的に透明/沈殿がない
本発明の好ましい洗濯処理組成物は、非酵素含窒素成分又は塩析された電解質のいずれかから誘導される沈殿を実質的に含まないものを包含する。本明細書で使用するとき、「沈殿を実質的に含まない」は、組成物の0.01重量%未満の沈殿を含有する組成物を指す。
【0076】
沈殿の決定において、その質量は、消費者の受入れに悪影響を及ぼし得る組成物への視覚的影響ほど問題ではない。従って、沈殿のより適切な指標としては、組成物を黒色の布を通して濾過することが挙げられるが、沈殿の不在は、黒色の布地上の残留物がないか又は非常に少量しかないことと関連する。
【0077】
さらに別の沈殿の指標は、組成物を目視検査することである。視覚的に透明な組成物は、沈殿のない組成物である。当然、望ましい補助剤が存在すること、それが視覚的影響を有すること、並びにそれを本組成物に任意に添加できることは、理解及び評価されるべきである。このような補助剤としては、不透明化剤が挙げられる。
【0078】
本組成物の沈殿の不在の決定において、組成物はそのような補助剤なしで試験の目的で作製される。好ましくは、本明細書の洗濯処理組成物は、不透明化剤型の補助剤の不在下で調査されたとき、目視検出可能な濃度の沈殿を含有しない。
【0079】
用語「沈殿」は、本明細書で使用するとき、予め形成された固体(コロイド状固体、ナノ粒子、ビーズ、粘土等)の本組成物への添加から誘導され得る任意の懸濁又は沈下した固体を指すのではなく、むしろ、それがなければ透明な組成物であるはずの、保管中に組成物中に固体として生成した任意の固体を特に指す。
【0080】
本明細書で特に重要な2つの沈殿発生源は、(a)保管中の組成物中の電解質の「塩析」もしくは結晶化、及び/又は(b)例えば非酵素含窒素成分の脂肪酸陰イオン類との複合体類、もしくは複合化に関係なく、保管中に組成物から分離した非酵素含窒素成分のその他の凝縮(固体)相のために生じることがある。特に最も不利なのは、水酸化物イオンと非酵素含窒素成分との局部的相互作用を促進する最密充填配列がその中に存在する凝縮相の形成である。理論に束縛されるものではないが、これは、視覚的悪影響と異臭促進効果の両方がある。
【0081】
11.透明性又は不透明性に影響する補助剤
本発明は、液体洗剤の透明性又は不透明性に影響する補助剤の組み込みを、特にそのような補助剤が列挙されている組成物の成分から形成される沈殿以外のものであるときに考慮に入れる。このような補助剤としては、例えば、不透明化剤、懸濁ビーズ、シリケート類等が挙げられる。本明細書の液体洗剤は、従って、視覚的に透明から、濁りを帯びたものを経て、完全に不透明までのすべての範囲の透明性であること、又は透明部分並びに非常に不透明な領域を有することができる。
【0082】
12.界面活性剤(非石鹸型)
本明細書の布地処理組成物、特に洗濯物の洗浄及び同時の柔軟化のために使用されるものは、界面活性剤、特に洗濯物の洗浄に有用な種類のものを含有する。界面活性剤は非石鹸型であっても石鹸型であってもよい。
【0083】
本発明の組成物は、陰イオン性非石鹸界面活性剤、脂肪酸類及びその水溶性石鹸類から選択される石鹸界面活性剤;非イオン性界面活性剤及びその混合物から選択される界面活性剤を、脂肪酸類又はその水溶性石鹸が唯一の界面活性剤でないこと、並びに前記陰イオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホネートであるときに前記アルキルベンゼンスルホネートが10%以下、好ましくは7%以下の濃度で存在することを条件として、1%〜60%、好ましくは少なくとも5%含む。いわゆるアミン界面活性剤、例えばアルキルアミドプロピルアミン類が使用できるが、本発明はこのような界面活性剤が不在の実施形態を包含する。その他の実施形態は、使用される任意の陰イオン性界面活性剤の少なくとも一部としてアルキルポリ(エトキシ)サルフェート類を包含する。
【0084】
13.陰イオン性界面活性剤(石鹸又は非石鹸)
本明細書の布地処理組成物は、好ましくは前記洗剤組成物の少なくとも1重量%の陰イオン性界面活性剤を包含するが、非イオン性界面活性剤のみを含む組成物も包含される。
【0085】
陰イオン性界面活性剤が存在するとき、本明細書の布地処理組成物は追加の界面活性剤も包含してよい。
【0086】
1つの実施形態において、本明細書の洗剤組成物は、洗剤組成物の5重量%〜40重量%、あるいは10重量%〜20重量%の陰イオン性界面活性剤を含有する。
【0087】
1つの実施形態において、陰イオン性界面活性剤成分はアルキルポリエトキシレートサルフェート類を、例えば1%〜60%、より典型的には5%〜20%の濃度で含有し、好ましくはその他の陰イオン性界面活性剤、特に脂肪酸類又は石鹸類を含有する。
【0088】
脂肪酸類又は石鹸類の好適な濃度としては、1%〜30%、好ましくは5%〜25%の濃度を包含する。混合物としての脂肪酸類又は石鹸類の使用が好ましい。
【0089】
陰イオン性界面活性剤成分は、好ましくは組成物の6重量%以下のアルキルベンゼンスルホネート類を含有する。
【0090】
陰イオン性界面活性剤としてアルキルポリエトキシサルフェート類を組み込むことは、特定の好ましい実施形態において重要である。好適な濃度は、1%〜30%、より典型的には2%〜15%である。
【0091】
一般的に言えば、本明細書に有用な陰イオン性界面活性剤は、米国特許第4,285,841号(バラット(Barrat)ら、1981年8月25日発行)、及び米国特許第3,919,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に開示されている。
【0092】
有用な陰イオン性界面活性剤としては、水溶性塩類、特に10〜20の炭素原子を含有するアルキル基及びスルホン酸又はスルホン酸エステル基を分子構造の中に有する有機イオウ反応生成物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアルキロールアンモニウム(例えば、モノエタノールアンモニウム又はトリエタノールアンモニウム)塩が挙げられる。(用語「アルキル」に包含されるのは、アリール基のアルキル部分である)。合成界面活性剤のこの種類の例は、アルキルサルフェート類、特に例えばタロー又はココナツ油のグリセリドの還元により製造される高級アルコール類(C8〜18の炭素原子)の硫酸化により得られるものである。
【0093】
本明細書のその他の陰イオン性界面活性剤は、次の水溶性塩類である:8〜24(好ましくは12〜18)個の炭素原子を含有するパラフィンスルホネート類;アルキルグリセリルエーテルスルホネート類、特にC8〜18アルコール類(例えば、タロー及びココヤシ油から誘導されるもの)のエーテル類;1分子当たり1〜4単位のエチレンオキシドを含有し、アルキル基に8〜12個の炭素原子を含有するアルキルフェノールエチレンオキシドエーテルサルフェート類;並びに1分子当たり1〜4単位のエチレンオキシドを含有し、アルキル基に10〜20個の炭素原子を含有するアルキルエチレンオキシドエーテルサルフェート類。
【0094】
本明細書の他の有用な陰イオン性界面活性剤には、脂肪酸基の中に6〜20個の炭素原子を、及びエステル基の中に1〜10個の炭素原子を含有する、α−スルホネート脂肪酸類のエステル類の水溶性塩類;アシル基の中に2〜9個の炭素原子を、及びアルカン部分に9〜23個の炭素原子を含有する、2−アシルオキシ−アルカン−1−スルホン酸類の水溶性塩類;12〜24個の炭素原子を含有するオレフィンスルホネート類の水溶性塩類;並びにアルキル基の中に1〜3個の炭素原子を、及びアルカン部分に8〜20個の炭素原子を含有する、β−アルキルオキシアルカンスルホネート類が挙げられる。
【0095】
本明細書で特に好ましい陰イオン性界面活性剤は、次式のアルキルポリエトキシレートサルフェート類である:RO(CO)SOであり、式中Rは10〜22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のアルキル鎖であり、アルキル鎖の最長直鎖部分は平均で炭素原子15個以下であり、Mは前記化合物を水溶性にする陽イオン、特にアルカリ金属、アンモニウム、又は置換アンモニウム陽イオンであり、xは1〜15、好ましくは1〜7である。
【0096】
その他の好ましい陰イオン性界面活性剤は、非エトキシル化C12〜15一級及び二級アルキルサルフェート類である。冷水洗浄条件下、すなわち18.3℃(65°F)未満では、このようなエトキシル化及び非エトキシル化アルキルサルフェート類の混合物が存在するのが好ましい。
【0097】
アルキルサルフェート類と上記のパラフィンスルホネート類との混合物、アルキルグリセリルエーテルスルホネート類及びα−スルホン化脂肪酸類のエステル類も好ましい。
【0098】
本明細書の布地処理組成物は、アルキルベンゼンスルホネート類を含んでもよいが、好ましくは、多くても6%、好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満のアルキルベンゼンスルホネート類を含まなければならない。本明細書で特定の好ましい洗剤組成物の実施形態は、アルキルベンゼンスルホネート類を含有しない。アルキルベンゼンスルホネート類は、使用されるとき、その中のアルキル基が9〜15個の炭素原子を、直鎖又は分子鎖の配置で含有するもの、例えば米国特許第2,220,099号及び第2,477,383号に開示されているものを包含する。
【0099】
アルキルベンゼンスルホネート類を本組成物に組み込む際、ベンゼン環のアルキル鎖への結合に関して、ベンゼン環上のスルホン化の位置に関して、及びその他のアルキル分枝の存在に関しての位置異性体を多数含むアルキルベンゼンスルホネート混合物を用いることが好ましい。これは、特に非酵素含窒素成分を有するカタニオン(catanion)形態で生じたときに、アルキルベンゼンスルホネートの充填及び結晶化度の完成を妨害すると考えられる。その他の有用なアルキルベンゼンスルホネート類としては、US20040053805A1に教示されているようなアルカノールアミン中和されたLASから誘導されるものが挙げられる。
【0100】
他方、アルキル基の平均炭素原子数が11〜14である高級直鎖アルキルベンゼンスルホネート類は、特に比較的少数の異性体と共に存在するものは、良好な柔軟性を提供することができるが、同時に組成物中でより強力に相分離する傾向がある。
【0101】
14.組成物の形態及びレオロジー
本明細書で使用する時、「液体又はジェル形態の洗濯処理組成物」は、固体、即ち錠剤もしくは顆粒、又は気体の形態ではないいかなる洗濯処理組成物をも指す。液体又はジェル形態の洗濯処理組成物の例としては、自動洗濯機の洗浄サイクルで使用するための重質液体洗濯洗剤、デリケートな衣類(例えば絹又は羊毛で出来ているもの)であって、手洗いによるか又は自動洗濯機の洗浄サイクルのいずれかによる洗浄に適するもののような液体おしゃれ着洗剤(finewash)及び液体色柄もの用洗剤(color care detergent)が挙げられる。ジェルとして知られる、流動可能であるがまだ固い稠度を有する対応する組成物が、同様に包含される。本明細書に包含されるその他の液体又はジェル形態の洗濯処理組成物としては、上記の組成物の希釈可能な濃縮物、1回用量、スプレー、前処理(固いジェルスティックを包含する)及びすすぎ洗濯処理組成物、又はその他の包装形態のそのような組成物、例えば1又は2区画の瓶、チューブ(tubs)、又はポリビニルアルコール袋等に入れて販売されているものが挙げられる。本明細書の組成物は、好適には、消費者によって、又は家庭もしくは商業用の洗濯装置によって制御される自動投与システムによって投与されてもよい十分な流体レオロジーを有する。固いジェル形態は、前処理又は効果促進剤として使用されてもよく(例えばUS20040102346A1参照)、又は、例えば水流の存在下でその場での溶解を通じて、自動分与システムで分与されてもよい。
【0102】
一般に、本明細書の布地処理組成物は、等方性又は非等方性であってもよいが、一般に当該技術分野において記載されている相分離洗剤のような別々の層に分離しない。好ましい洗濯処理組成物は、非等方性であり、保管中に前記組成物は(i)2層に分離しないか、又は(ii)前記組成物が複数の層に分離する場合、単一の主要層が存在し、前記主要層が組成物の少なくとも90重量%、好ましくは95重量%を超え、より好ましくは99%を超えて含まれる。その他の好ましい組成物は、完全に等方性である。
【0103】
「ジェル」は、本明細書で使用するとき、1,000〜5,000mPas(ミリパスカル秒)、より好ましくは3,000mPas未満、最も好ましくは1,500mPas未満の範囲の注入粘度を有するずり減粘ジェルを包含する。ジェルは、濃厚な液体を包含する。より一般的には、濃厚な液体はニュートン流体であってもよく、これは蜂蜜又はシロップ剤のように、流動条件の変化に伴ってその粘度は変化しない。この種類の濃厚な液体は、分与が非常に困難及び厄介である。別の種類の液体ジェルは、ずり減粘であり、即ち、低剪断力下(例えば、静止時)で濃厚であり、高流量では希薄である。ずり減粘ジェルのレオロジーは、文献により詳細に記載されており、例えばWO04027010A1(ユニリーバ(Unilever))を参照のこと。
【0104】
本発明によるその他の組成物は、好ましくは少なくとも1,500mPa.sであるが多くても6,000mPa.s、より好ましくは多くても4,000mPa.s、より一層好ましくは多くても3,000mPa.s、特に多くても2,000mPa.sの粘度を有する注入可能なジェルである。
【0105】
本発明によるさらにその他の組成物は、好ましくは少なくとも6,000mPa.sであるが多くても12,000mPa.s、より好ましくは多くても10,000mPa.s、より一層好ましくは多くても8,000mPa.s、特に多くても7,000mPa.sの粘度を有する注入不可能なジェルである。
【0106】
好ましい液体又はジェル形態の本明細書の洗濯処理組成物としては、自動洗濯機の洗浄サイクルで使用するための重質液体洗濯洗剤及び液体おしゃれ着洗剤(finewash)及び/又は液体色柄もの用洗剤(color care detergent)が挙げられ;これらは好適には以下のレオロジー特性を有する:多くても1,500mPa.s、より好ましくは多くても1,000mPa.s、より一層好ましくは多くても5000mPa.sの粘度。非常に好適な組成物は、30〜400mPasの粘度を有し、ニュートン又はずり減粘のいずれかである。これらの定義において及び特にそうでないと指示されない限り、示された粘度は剪断速度21s−1及び温度25℃にて測定されたものである。
【0107】
本明細書における粘度は、いかなる好適な計器でも、例えばカリムド(Carrimed)CSL2レオメータで剪断速度21sec−1で、測定できる。
【0108】
15.pH
本発明の洗濯処理組成物は、一般に、広範なpHを有することができるが、pH7未満ではアミン異臭の技術的問題が減少され、そのため本発明はやや有用でなくなり、pH9を超えると、組成物が衣服に苛酷となる場合がある。好ましい組成物は、アミン異臭の技術的問題を最も受けやすく、従って本発明からの利益が最大のものであり、中程度のアルカリ性のpHを有するものである。アルカリ性のpHにおいては、アミン不純物のより大きな割合がプロトン化されておらず、従って揮発性である。さらに、アルカリ性のpHは特に重質液体洗濯洗剤において、洗浄の改良に有用となることができる。本明細書で使用する時、「アルカリ性のpH」は7〜10のpHを指す。好ましくは、本発明の洗濯処理組成物は7.5〜9、最も好ましくは7.5〜8.5のpHを有する。本明細書の完全に配合された製品のpHは、一般に希釈せずにpH計を使用して測定される(時として、「ニートのpH」と呼ばれる)。製品の洗浄水への実質的な希釈後に得られる洗浄浴のpHは、異なってもよく、実際には好ましくは異なる。
【0109】
16.使用
水性洗濯溶液を形成するため水に添加された本明細書の液体洗剤組成物の有効量には、水性洗浄溶液中で500〜7,000ppmの組成物を形成するのに十分な量が含まれてよい。より好ましくは、本明細書において1,000〜3,000ppmの洗剤組成物が水性洗浄溶液中に与えられるであろう。
【0110】
前述のように調製された本発明の組成物は、布地の洗濯に使用される水性洗浄溶液を形成するために使用できる。一般に、そのような水性洗濯溶液を形成するため、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機の水にそのような組成物の有効量が添加される。そのように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、それにより洗濯される布地と接触する。
【0111】
水性洗濯溶液を形成するため水に添加された本明細書の液体洗剤組成物の有効量には、水性洗浄溶液中で500〜7,000ppmの組成物を形成するのに十分な量が含まれてよい。より好ましくは、本明細書において1,000〜3,000ppmの洗剤組成物が水性洗浄溶液中に提供されるであろう。
【0112】
本明細書に用いるのに好適な補助剤に関する追加情報については、読者は、液体洗濯組成物、特に布地柔軟仕上げ剤もしくは増強剤及び/又は香料添加剤を含むものに関するプロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)からの同時係属及び公開特許出願を参照のこと。
【実施例】
【0113】
以下の実施例は本発明の組成物を説明するが、本明細書の発明の範囲を限定すること、又は別の方法で定義することを必ずしも意味しない。
【0114】
本発明に記載の表Iの実施例A、B、C、D及びEにおいて、与えられた布地処理組成物は液体洗濯洗剤であり、非酵素含窒素成分は含窒素布地有益剤であり、具体的には良い臭いを有するココトリメチルアンモニウムクロリドであり、アクゾ(Akzo)、デグサ(Degussa)又はその他の好適な供給元から入手可能である。具体的な好適な材料としては、アクゾ(Akzo)からのアーモソフト(Armosoft)12W又は、デグサ(Degussa)から、典型的に水中37%活性物質として提供される同等の材料が挙げられる。揮発性アミン不純物の濃度が疑わしい場合、供給元に問い合わせるか又は受け取った材料を従来の方法を使用してジメチルアミン/トリメチルアミンについて分析する。組成物は、成分を混合することによって製造される。
【0115】
混合順序:成分は、混合の間中pHが6〜8の範囲に維持され、ココトリメチルアンモニウムクロリドが脂肪酸の後に7.5を超えるpHで添加されることを条件として、いかなる順序でも混合される。
【0116】
この結果、無香料の形態の組成物が得られる。無香料形態は、指示された濃度の香料が添加される前に、アミン異臭について評価される。工業用途では、香料は代わりに混合のいかなる段階でも添加できることに注意する。
【表1】

***プロテアーゼは、ジェネンコア(Genencor)からの高活性(40.6mg/g)の市販プロテアーゼBである。
【0117】
試験:
(1)スパイク実験によるDMA/TMA濃度及び臭気等級の較正:含窒素布地ケア剤又は香料を含有しない参照組成物を、「スパイク」実験において、組成物の成分を一緒に混合することによって調製する。得られる組成物を3等分し、これらに、脱イオン水中0.004重量%のTMAを含有する原液を用いてそれぞれ(1)TMAなし、(2)重量ベースで200ppbのTMA及び(3)重量ベースで500ppbのTMAを添加する。得られる3つの「TMAスパイク」参照組成物を、2名の経験を積んだ調香師の判定員団によって評価し、次の製品臭気評価結果を得た:製品1(TMAなし)−調香師は「溶媒っぽい」と評価;製品2(100ppbのTMA)−調香師は「微量のアミン+溶媒っぽい性格」と判定;製品3(500ppbのTMA)−調香師は「強い魚のようなアミン臭+溶媒っぽい性格」と評価。
【0118】
(2)臭気等級−TMAをスパイクした一連の参照組成物を、A〜Eの各々について類似の方法にて調製する(各々の場合において、含窒素布地ケア剤及び香料を省略する)。スパイクした参照組成物からの結果を指針として用いて、調香師は、本発明の製品A〜E(各々の場合において、非酵素含窒素成分を含有するが香料は含有しない)を評価し、それらが臭気等級において許容可能である、即ち、過度に魚のようなアミン又は溶媒っぽい性格を持たないことを見出す。換言すれば、各発明処方A〜Eの結果は、100ppbのTMAを有する参照製品と一致している。
【0119】
(3)安定性試験の結果
(a)12週間、20℃及び別に5回の凍結融解サイクルを包含する、日本の条件に合致するための従来の保管試験
比較例F(本発明によらない)
塩化物イオンを含まない実質的に純粋な水酸化ドデシルトリメチルアンモニウムを、既知文献の方法によって調製し、純物質を既知の相挙動を用いて六方晶相に置く。これを、ココトリメチルアンモニウムクロリドを水酸化ドデシルトリメチルアンモニウムに置換し、最後に添加することを除いて、A〜Eと類似の組成物に添加する。20℃での保管中、洗剤は明瞭及び不快なアミン臭を獲得する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯洗剤組成物であって、短鎖アミン不純物を有することが可能な非酵素含窒素成分を含み、前記含窒素成分の溶解を促進すると同時に溶媒系がアミン不純物の異臭を発生する傾向を最小限に抑えることが可能な溶媒系を含み:前記組成物が;
(a)好ましくは前記液体洗濯洗剤組成物の少なくとも1.0重量%の非酵素含窒素成分であって、前記成分が短鎖アミン不純物を有することが可能であり、前記成分が10ppm未満の短鎖アミン不純物を含む非酵素含窒素成分と;
(b)溶媒系とを含み;
(c)前記組成物がさらに、以下の条件の少なくとも1つを含み:
(i)前記組成物が、実質的に酵素を含まない;
(ii)前記組成物が、相容する酵素製剤を含む;
(iii)前記組成物が、臭気甘み剤を含む;
(iv)前記組成物が、前記洗剤組成物中で前記非酵素含窒素化合物を分解して短鎖アミン不純物を生成することが可能な凝縮相を実質的に含まない;及び/又は
(v)前記非酵素含窒素成分が、前記液体洗濯洗剤組成物への組み込みの前に精製される;並びに
(d)好ましくは、前記液体洗濯洗剤の0.1重量%未満の活性酵素タンパク質を含む、液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記成分が500ppb未満の前記短鎖アミン不純物を含み、さらに:
(i)香料類;
(ii)脂肪酸又はその塩;
(iii)抗菌剤、悪臭中和剤、シクロデキストリン類、防臭剤香料成分、乾燥布地臭気増強技術、その他の非シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、付着助剤、増粘剤及びこれらの混合物から選択される洗濯補助剤;及び
(iv)これらの混合物
から選択される追加の洗濯洗剤成分を含む、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記非酵素含窒素成分と複合化した脂肪酸又はその塩を含む、
請求項2に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
1%で水に希釈したときに少なくとも7のニートのpHを有し、前記組成物が、追加の短鎖アミン不純物を生成するように前記非酵素含窒素化合物を分解することが可能な凝縮相を実質的に含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記非酵素含窒素成分の少なくとも1つの凝縮相が、アルキルトリメチルアンモニウムを含む水酸化物含有六方晶相である、請求項4に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記液体洗濯洗剤組成物の0.7重量%以下の濃度の香料を含み、臭気甘み剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記溶媒系が、排他的に水でなく、また排他的にアルカノールアミンでもなく、前記溶媒系が水部分と非水部分とを有し、前記溶媒系の非水部分の濃度は前記液体洗濯洗剤組成物の少なくとも1重量%〜多くても30重量%であり、好ましくは前記溶媒系は、非水部分に、イオン化可能なヒドロトロープと沸点がメタノールのそれよりも高いアルコールとの両方を含み、より好ましくは前記アルコールがプロピレングリコール、グリセロール、エタノール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記溶媒系が、非水部分において、前記液体洗濯洗剤組成物の2.5重量%〜7重量%のアルカノールアミンを含み、前記アルカノールアミンが好ましくは塩の形態である、請求項7に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記溶媒系がクローズドカップにて40℃を超える引火点を有し:
前記液体洗濯洗剤組成物の20重量%〜50重量%の水と;
前記溶媒系の前記非水部分として、
前記液体洗濯洗剤組成物の0.1重量%〜7重量%のモノエタノールアミンと;
前記液体洗濯洗剤組成物の0.1重量%〜3重量%のクメンスルホン酸ナトリウムから選択されるイオン化可能なヒドロトロープと;
エタノールが唯一のアルコールでないという条件で、前記液体洗濯洗剤組成物の2重量%〜20重量の、エタノール、プロパンジオール、グリセリン及びこれらの混合物から選択されるアルコールと
を含む、請求項7に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
液体洗濯洗剤組成物であって:
(a)前記液体洗濯洗剤組成物の少なくとも1.0重量%の、
前記非酵素含窒素成分と;
(b)前記液体洗濯洗剤組成物の少なくとも0.0001重量%の
前記相容する酵素製剤と
を含み、好ましくは前記相容する酵素製剤が乾燥布地臭が少なく、プロテアーゼBを含む、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
前記相容する酵素製剤が液体であり、少なくとも3.5重量%の活性酵素タンパク質を含む、請求項10に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記含窒素成分が、前記液体洗剤組成物への組み込みの前にアミン不純物含有量を低減するために前処理される、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
前記非酵素含窒素成分(a)が、(i)アルキルトリメチルアンモニウム布地柔軟仕上げ剤化合物、(ii)ヒドロキシエチル又はそのポリエトキシレート化類似体、(iii)これらのイオン対複合体及び(iv)これらの混合物から成る群から選択され、前記液体洗濯洗剤組成物の1重量%〜5重量%の濃度である、請求項2に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
視覚的に透明である、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項15】
20℃にて12週間の保管後に沈殿がなく、5回の凍結融解サイクル後に沈殿がなく、前記組成物が、トリメタノールアミンとして分析された前記短鎖アミン不純物を総量で1ppm未満有し、前記成分がココトリメチルアンモニウムクロリド又はドデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記組成物がメチルアミン、ジメチルアミンもしくはトリメチルアミンを含むその他の成分、又は分解してメチルアミン、ジメチルアミンもしくはトリメチルアミンを遊離することが可能なその他の成分を含まない、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項16】
前記洗剤組成物の透明性又は不透明性に影響するいかなる補助剤も、前記組成物の列挙されている成分から形成される沈殿以外のものであるという条件で、視覚的に透明でない、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項17】
アルキルトリメチルアンモニウム対脂肪酸陰イオンの重量比が1.5:1〜1:6であり、ニートのpHが7〜8.5であり、前記組成物が好ましくはアミド界面活性剤及びリパーゼを実質的に含まない、請求項5に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項18】
アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルポリ(エトキシ)サルフェート類及びこれらの混合物から選択される陰イオン性界面活性剤を少なくとも5%追加的に含む、請求項17に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項19】
抗菌剤、悪臭中和剤、シクロデキストリン類、防臭剤香料成分、乾燥布地臭気増強技術、その他の非シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、シリコーン布地柔軟仕上げ剤又は増強剤、及びこれらの混合物から選択される1つ以上の追加補助剤を追加的に含む、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。

【公表番号】特表2008−512522(P2008−512522A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530481(P2007−530481)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/031815
【国際公開番号】WO2006/029188
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】