説明

臭気抑制用のタンニンを含有する超吸収性組成物

【解決課題】良好な臭気結合特性を有する吸水性組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又は少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又は加水分解性ガロタンニンが表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物に関する。また、本発明は、吸水性組成物の製造方法、本発明の方法によって得られる吸水性組成物、複合体、複合体の製造方法、本発明の方法によって得られる複合体、衛生用品等の化学製品、吸水性組成物又は複合体の使用及びタンニン画分の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性組成物、吸水性組成物の製造方法、本発明の方法によって得られる吸水性組成物、複合体、複合体の製造方法、本発明の方法によって得られる複合体、衛生用品等の化学製品、吸水性組成物又は複合体の使用及びタンニン画分の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、膨潤してヒドロゲルを形成することにより、大量の水性液体(特に体液、好ましくは尿又は血液)を吸収し、圧力下で保持することができる非水溶性架橋ポリマーである。通常、吸収される液体の量は、超吸収体又は超吸収性組成物の乾燥重量の少なくとも10倍又は少なくとも100倍である。これらのポリマーは上述した特性を有するため、おむつや失禁用品、生理用ナプキン等の衛生用品に主として使用されている。超吸収体、超吸収性組成物及びその用途と製造についての概要は、F.L.Buchholz及びA.T.Graham編「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、ニューヨーク、1998年に記載されている。
【0003】
通常、超吸収体は、架橋剤の存在下で通常は部分的に中和された酸性基含有モノマーをラジカル重合することにより製造される。モノマー組成、架橋剤、重合後に得られるヒドロゲルの重合条件及び加工条件を選択することにより、異なる吸収特性を有するポリマーを製造することができる。例えば、化学的に変性された澱粉、セルロース、ポリビニルアルコールを使用したグラフトポリマーの製造方法(ドイツ特許第26 12 846号)も異なる吸収特性を有するポリマーを製造するために使用することができる。
【0004】
ドイツ特許第40 20 780 C1号は、ポリマー粒子の表面後架橋による超吸収性ポリマーの後処理を開示している。吸水性ポリマー粒子の表面後架橋により、特に圧力下でのポリマー粒子の吸収能力が向上する。
【0005】
ドイツ特許出願公開第199 09 653 A1号及びドイツ特許出願公開第199 09 838 A1号は、水性又は漿液性液体又は血液を吸収する粉体状の表面後架橋されたポリマーであって、酸性基含有モノマーからなり、水溶液内で表面後架橋剤及びカチオンでコーティングされ、後架橋剤されたポリマーを開示している。これらの文献に開示されたポリマーは、従来のポリマーと比較して有利な吸収特性、特に高い透過性を有する。
【0006】
吸収性ポリマーを含む衛生用品を長時間装着する場合、特に尿等の体液が衛生用品に既に部分的に吸収されると、尿の有機成分及び着用者の体温によって不快な臭気が生じる可能性がある。臭気を抑制するために、超吸収体以外の適当な成分を衛生用品に添加することによって臭気発生物質を結合させたり、香水等によって臭気を包み込む様々な試みがなされている。超吸収体以外の成分としてそのような物質を添加すると、装着時の衛生用品の性能が損なわれる場合が多い。すなわち、超吸収体領域から離れて存在していた臭気抑制又は臭気減少物質が体液によって衛生用品の超吸収体含有領域に移動して超吸収体及び衛生用品全体の性能に悪影響を与える場合が多い。また、衛生用品に取り込まれた体液の大部分が超吸収体内に保持されるため、超吸収体の外部に位置する臭気抑制又は臭気減少物質が効果を十分に発揮することができないという欠点もある。
【0007】
ドイツ特許第198 25 486号及びドイツ特許出願公開第199 39 662 A1号は、臭気を減少させるために超吸収体とシクロデキストリンを組み合わせて使用することを開示している。この方法は有望だが、シクロデキストリンは超吸収体から再び分離されない条件下においてのみ超吸収体における臭気抑制効果を示す。シクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン誘導体を共有結合及び/又イオン結合によって結合及び/又は封入することにより、シクロデキストリンを少なくとも超吸収用品の表面に導入することが好ましい。
【0008】
ドイツ特許出願公開第103 34 271号は、多数の臭気結合物質を均一に含有することができる超吸収体凝集体を開示している。ドイツ特許出願公開第103 34 271号は超吸収性微粒子を使用するための優れた解決手段を開示しているが、特に衛生用品における使用に適した臭気結合特性を有する超吸収体を提供するものではない。そのため、臭気結合物質の効率的かつ効果的な使用に加えて、臭気結合物質によって影響を受ける超吸収体特性の改良が求められている。
【0009】
ドイツ特許出願公開10 2005 055 497号は、超吸収性ポリマーをリシノール酸の金属塩及び/又はアミノ酸と接触させることによって超吸収性ポリマーの臭気結合性を向上させることができることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第2612846号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の全体としての目的は、従来技術の欠点を軽減又は克服することにある。
【0012】
本発明の目的は、良好な臭気結合特性を有する吸水性組成物を提供することにある。臭気結合性超吸収体組成物を含む衛生用品の性能は、臭気結合物質を含まない超吸収体を使用した衛生用品の性能と実質的に同程度又はより良好でなければならない。特に、吸水性組成物の性能は、最低量で使用される臭気結合剤の使用によって全く又はほとんど影響を受けてはならない。吸水性組成物の性能は、臭気結合剤の添加によって有利に向上されることが望まれる。
【0013】
また、吸水性組成物は、水性体液、特に尿又は鉄含有液体(血液又は月経血等)と接触した際に、変色しないことが望まれる。
【0014】
また、本発明の目的は、そのような吸水性組成物を得るための方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、良好な臭気結合特性及び良好な性能を有する衛生用品を提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的は、通常は複合体に組み込むことができ、複合体、化学製品又はその成分として使用することもできる吸水性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物であって、前記タンニン画分が、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルであって、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する吸水性組成物によって達成される。例えば、数平均分子量は1250〜1500g/モルである。タンニン画分は、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した多分散性(M/M)(Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有することが有利である。
【0018】
また、上記目的は、少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物であって、前記タンニン画分が、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルであって、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する吸水性組成物によって達成される。例えば、重量平均分子量は1250〜1500g/モルである。この場合も、タンニン画分は、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した多分散性を有することが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るタンニンの使用の中和度が異なる超吸収体に対する臭気結合効果を示す。
【図2】本発明に係るタンニンと錯体形成剤の組み合わせ使用の臭気結合効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に関連して使用する「タンニン」という用語は、通常は天然ポリフェノールを意味する。原則として、濃縮型タンニン又は加水分解性タンニンも本発明において使用することができ、加水分解性タンニンを使用することが特に好ましく、加水分解性ガロタンニン(gallotannin)を使用することが最も好ましい。
【0021】
従って、上記目的は、加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物によって達成される。
【0022】
「濃縮型タンニン」という用語は、C−C結合を介して結合されたフラボノイド単位のオリゴマー又はポリマーであるタンニンを好ましくは意味する。濃縮型タンニンは通常は2〜50個のフラボノイド単位を含むが、50個を超えるフラボノイド単位からなることもできる。使用できるフラボノイド単位としては、特にカテコールとエピカテコールが挙げられる。
【0023】
「加水分解性タンニン」という用語は、ポリオール、例えば糖質をコアとして含み、没食子酸がエステル結合によってコア分子のOH基に結合されたタンニンを好ましくは意味する。そのため、没食子酸を含有する加水分解性タンニンは「ガロタンニン」とも呼ばれる。没食子酸に加えて、加水分解性タンニンはエラグ酸を含有することができる。そのような加水分解性タンニンは「エラジタンニン(ellagitannin)」とも呼ばれる。タンニン、特に加水分解性タンニンとその特性分析の概要は、Ann E.Hagermannによる「Tannin Chemistry」に記載されている。
【0024】
特に好ましいタンニンは、以下の構造Iで表される基本骨格(β−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコース)に由来するタンニンである。
【化1】


構造I
【0025】
(式中、糖質コア(ガロイルエステルとして結合した第1レべルの没食子酸分子)に結合した没食子酸分子の少なくとも1つのOH基の少なくとも1つ、好ましくはメタ又はパラ位のOH基の1つ、好ましくは糖質コアに結合した没食子酸分子の2、3、4又は5個のOH基の少なくとも1つに、エステル結合(ジガロイルエステル)を介して少なくとも1つの没食子酸分子(第2レべルの没食子酸分子)が結合している。) タンニンは、構造Iで表される基本骨格に由来し、少なくとも1個、好ましくは2個、3個、4個又は5個の第2レべルの没食子酸分を含むタンニンであることが特に好ましい。特に、吸水性組成物に含まれるタンニンの少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%が、940g/モル、特に好ましくは1100g/モル、さらに好ましくは1200g/モルを超え、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の分子量を有することが好ましい。所与のタンニンが940g/モルを超える分子量を有するタンニンを上記量で含むか否かを証明するためには、例えば、対応するタンニンに対してHPLC分析を行い、得られたエルグラム(elugram)を純粋なβ−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコースのエルグラムと比較することが適当である場合がある。そのようなガロタンニンの分子量測定方法は本願明細書の方法の説明において記載する。β−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコース以外に、2−6−ジ−O−ガロイル−1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(「aceritannin」とも呼ばれる)、オイゲニイン(eugeniin)、casuricitin、コリラジン(corilagin)、ゲラニイン(geraniin)、ダビジイン(davidiin)、カスアリイン(casuariin)、カスアリニン(casuarinin)、カスタラジン(castalagin)、カストリン(castlin)、stachyurin、ベスカラジン(vescalagin)、ベスカリン(vescalin)、ユーフォルビン(euphorbin)A、エノテイン(oenothein)B、woodfordin C、cuphiin D、イウゲニフロリン(eugeniflorin)Dも好適なタンニンとして挙げられる。
【0026】
また、1以上の遊離水酸基がホスフェート基によって置換されたタンニン、例えば、Floctan(登録商標)4(S.A.Ajinomoto OmniChem n.V.(ベルギー)社製)も使用することができる。
【0027】
本発明では、上述した重量平均分子量又は数平均分子量及び上述した多分散性を有する加水分解性ガロタンニンを使用することが特に好ましい。本発明に係る組成物の一実施形態では、本発明に係る吸水性組成物に含まれる全てのタンニンが上述した重量平均分子量又は数平均分子量を有することが好ましい。
【0028】
原則として、本発明に係る組成物に含まれるタンニン、好ましくは加水分解性ガロタンニンは、様々な植物供給源から単離することができ、商業的な供給者から精製された状態で入手することもできる。植物抽出物からのタンニンの単離、特に加水分解性タンニンの単離は、例えば、上述したAnn E.Hagermannによる「Tannin Chemistry」又はSalminen他,「Distribution of Hydrolysable Tannins in the Foliage of Finnish Birch Species」,Zeitschrift fur Naturforschung,vol.57c,pp.248〜256(2002)に記載されている。本発明において使用することができるタンニン、特に加水分解性タンニンの好適な供給源の例としては、Rhus semialata抽出物、Rhus coriaria抽出物、Quercus infectoria抽出物、Quercus aegilops抽出物、Caesalpina spinosa抽出物、Caesalpina d. gyna抽出物、Quercus Valonea抽出物又はQuercus Macrolepsis抽出物等のValonea抽出物、Castanea Savita抽出物等のセイヨウトチノキ抽出物、Terminalia chebula抽出物、これらの少なくとも2種の混合物からなる群から選択される植物抽出物が挙げられ、Rhus semialata及びQuercus infectoriaからの植物抽出物が好ましく、Rhus semialataからの植物抽出物が特に好ましい。
【0029】
必要に応じて、植物供給源から得られたタンニン、特に加水分解性タンニンは、例えば、クロマトグラフィー分離処理等の適当な分離処理を行って上述した好ましい重量平均分子量又は数平均分子量を有するタンニン画分を得ることができる。
【0030】
本発明において使用することができるタンニン画分は植物供給源から単離することができるが、好適なタンニン画分は商業的な供給者から入手することもできる。例えば、上述したFloctan(登録商標)4以外に、Tanal O2C、Floctan(登録商標)1又はBrewtan(登録商標)(S.A.Ajinomoto OmniChem n.V.(ベルギー)社製)を使用することができる。
【0031】
本発明に係る組成物の特に好適な実施形態によれば、少なくとも1種のタンニン画分は少なくとも部分的に粒子として吸水性ポリマー構造体の表面に存在することが好ましく、少なくとも1種のタンニン画分の粒子の少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%が、10nm〜300μm、特に好ましくは50nm〜50μm、最も好ましくは100nm〜10μmの大きさを有することが好ましい。
【0032】
また、本発明では、吸水性組成物は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは0.2〜2重量%の量でタンニン又はタンニン画分を含むことが好ましい。体液との接触後の吸水性組成物の色安定性の観点から、吸水性組成物は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.75重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.4重量%以下の量でタンニン又はタンニン画分を含むことが好ましい。本発明に係る吸水性組成物の一実施形態によれば、吸水性組成物は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して0.2〜0.4重量%の量でタンニン又はタンニン画分を含む。
【0033】
タンニン画分の粒子は、必要に応じてバインダーによって吸水性ポリマー構造体の表面に固定することができ、有機又は無機バインダーをバインダーとして使用することができる。使用することができるバインダーとしては、熱可塑性ホットメルト接着剤、親水性、好ましくは水溶性のポリマー又は水が挙げられる。使用することができる熱可塑性ホットメルト接着剤としては、特に、熱可塑性接着剤として国際公開第WO2005/011860号に記載された粒子状化合物が挙げられる。使用することができる親水性、好ましくは水溶性のポリマーとしては、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全加水分解によって得られるポリビニルアルコール又は1000〜50,000g/モル、特に好ましくは1500〜25,000g/モル、最も好ましくは2000〜15,000g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール(特にポリエチレングリコール)が挙げられる。
【0034】
また、上述した物性を有する上述したタンニン画分、特に好ましくは加水分解性タンニンだけではなく、1種以上の錯体形成剤が本発明に係る吸水性組成物に含まれる吸水性ポリマー構造体の表面に存在していることが有利であることが分かっている。加水分解性タンニンと錯体形成剤を組合せて使用することにより、臭気結合性がさらに向上するだけではなく、体液と接触した際の吸水性組成物の色安定性が大きく向上する。また、加水分解性タンニンと錯体形成剤を組合せて使用することにより、タンニンの使用量を減らすことができ、色安定性がさらに向上する。
【0035】
従って、上記目的は、1種以上の錯体形成剤と少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物であって、前記タンニン画分が、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルであって、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する吸水性組成物によって達成される。例えば、数平均分子量は1250〜1500g/モルである。タンニン画分は、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した多分散性(M/M)(Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有することが有利である。
【0036】
また、上記目的は、1種以上の錯体形成剤と少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物であって、前記タンニン画分が、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルであって、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する吸水性組成物によって達成される。例えば、重量平均分子量は1250〜1500g/モルである。この場合も、タンニン画分は、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満の、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した多分散性を有することが有利である。
【0037】
また、上記目的は、1種以上の錯体形成剤と加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物によって達成される。
【0038】
また、上記目的は、1種以上の錯体形成剤とタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物であって、前記タンニン画分が好ましくは上述したタンニン画分(少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有するタンニン、少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有するタンニン又は加水分解性タンニンを含むタンニン画分)の1つであり、前記タンニン画分が精製物又は植物抽出物(特に茶抽出物)として本発明の吸収性組成物に含まれることができる吸水性組成物によって達成される。
【0039】
「錯体形成剤」とは、多価金属カチオンに配位することができる2以上の官能基を含む化合物を好ましくは意味する。官能基としては、例えば、有機酸基、アミン基、イミン基、スルホン酸基が挙げられる。本発明では、特に好ましい錯体形成剤は、3以上のカルボキシル基を有するアミノカルボン酸であるアミノポリカルボン酸及びその塩である。これらのアミノポリカルボン酸のうち、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミン六酢酸、N−2−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、エチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、N−アルキル−N’−カルボキシメチルアスパラギン酸、N−アルケニル−N’−カルボキシメチルアスパラギン酸、S,S−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が特に好ましい。これらのうち、ジエチレントリアミン五酢酸、N−2−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、S,S−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸、それらの塩が特に好ましく、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩が最も好ましい。
【0040】
上述した錯体形成剤に関して、吸水性組成物は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.001〜5重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜0.5重量%の量で錯体形成剤を含むことが好ましい。
【0041】
本発明に係る組成物に含まれる吸水性ポリマー構造体は、部分的に中和された架橋ポリアクリレートを好ましくは含む。
【0042】
本発明に係る好ましい吸水性ポリマー構造体は、繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が特に好ましく、粒子が最も好ましい。
【0043】
本発明において好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に織り込むか、織物に直接織り込むことができる寸法を有する。本発明では、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0044】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μm又は150〜600μmの、ERT 420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する。この場合、300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の含有量は、吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも75重量%であることが特に好ましい。本発明に係る吸水性ポリマー構造体の別の実施形態では、150〜850μmの粒径を有するポリマー粒子の量は、吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。
【0045】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、プロトン化又は四級化窒素を含むエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマーを含む混合物、好ましくはアクリル酸が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、成分(α1)と共重合可能な重合性モノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水と、
(α6)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、を含むことが好ましい(但し、成分(α1)〜(α6)の合計重量は100重量%である)。
【0046】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に、好ましくは部分的に中和されていてもよい。好ましくは、モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。本発明に係る組成物の一実施形態では、組成物は、78モル%以下、特に好ましくは少なくとも70モル%以下であって、少なくとも50モル%が中和された吸水性ポリマー構造体を含むことが好ましい。本発明に係る組成物の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体の中和度は65〜80モル%、特に好ましくは70〜78モル%であることができ、別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体の中和度は45〜65モル%、特に好ましくは50〜60モル%であることができる。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーについては、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照するものとする。ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。中和は、重合後に部分的又は完全に行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基も使用することができる。異なる塩基の混合物による中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0047】
また、遊離酸性基がポリマーに多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を含有し、酸性ポリマーと比較して塩基性であるポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。これらのポリマーは「混合床イオン交換吸収性ポリマー(MBIEAポリマー)」として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843 A1号に開示されている。国際公開第99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較して酸性であり、カチオンを交換できるポリマーと、からなる組成物である。塩基性ポリマーは塩基性基を含み、塩基性基又は塩基性基に変換することができる基を有するモノマーを重合することによって通常は得られる。これらのモノマーは、第一アミン、第二アミン、又は第三アミン又は対応するホスフィン又はこれらの官能基の少なくとも2つを含有する。これらのモノマーとしては、特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシシクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第二又は第三アミン誘導体が挙げられる。
【0048】
好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第WO2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第WO2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)はアクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0049】
本発明に係る方法の一実施形態では、成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである未処理の吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0050】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、例えば、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0051】
本発明に係る方法の別の実施形態によれば、成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーである吸水性ポリマー構造体を使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0052】
成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては水分散性モノマーも好ましい。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリレート及び(メタ)アクリレートである。
【0053】
成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0054】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903 A2号において架橋剤(α3)として記載されている化合物を好ましくは使用する。これらの架橋剤のうち、水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0055】
水溶性ポリマー(α4)としては、部分的または完全に加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーを、好ましくは重合前にポリマー構造体に添加することができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体又はポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコール等の合成ポリマーは、重合させるモノマーのグラフト基材としても使用することができる。
【0056】
添加剤(α6)としては、希釈剤、臭気結合剤、界面活性剤、酸化防止剤や、ポリマー構造体の製造に使用される添加剤(重合開始剤等)を好ましくはポリマー構造体に添加することができる。
【0057】
本発明に係るポリマー構造体の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシレート基含有モノマーを含む。本発明では、成分(α1)は少なくとも50重量%が中和されていることが好ましく、本発明に係る方法の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体の中和度は、65〜80モル%、特に好ましくは70〜78モル%であることができ、別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体の中和度は45〜65モル%、特に好ましくは50〜60モル%であることができる。
【0058】
本発明に係る組成物の好適な実施形態では、吸水性ポリマー構造体が、内部領域と、前記内部領域を取り囲む外部領域とを有し、前記外部領域が前記内部領域よりも高い架橋度を有することが好ましい。そのような不均一な架橋度は、吸水性ポリマー構造体の外部領域における官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ含む適当な表面後架橋剤を塗布することによって吸水性ポリマー構造体を後架橋させることによって得ることができる。
【0059】
また、上記目的は、吸水性組成物の製造方法であって、
i)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)前記吸水性ポリマー構造体を後架橋する工程と、
iii)前記吸水性ポリマー構造体を、a)少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はb)少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はc)加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分と接触させる工程と、を含み、
前記工程iii)を、前記工程ii)の実施前、実施中又は実施後、好ましくは前記工程ii)の実施後に行う(すなわち、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を対応するタンニンと接触させる)方法によって達成される。
【0060】
本発明に係る方法の工程i)では、吸水性ポリマー構造体を用意する。
【0061】
工程i)で用意する吸水性ポリマー構造体は、以下の工程によって得られたポリマーであることが好ましい。
a)必要に応じて部分的に中和された酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下でラジカル重合してヒドロゲルを形成する。
b)必要に応じてヒドロゲルを粉砕する。
c)必要に応じて粉砕されたヒドロゲルを少なくとも部分的に乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る。
d)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じて粉砕し、所望の粒径に篩い分ける。
e)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じてさらに表面変性する。
【0062】
工程a)におけるフリーラジカル重合は水溶液中で行うことが好ましく、水溶液は、溶媒としての水に加え、以下の成分を含むことが好ましい。
(α1)エチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩(アクリル酸が酸性基含有モノマーとして最も好ましい)。
(α2)必要に応じて、成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー。
(α3)架橋剤。
(α4)必要に応じて、水溶性ポリマー。
(α6)必要に応じて、1種以上の添加剤。
【0063】
成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー、水溶性ポリマー、添加剤としては、本発明に係る組成物に含まれる吸水性ポリマー構造体に関連して成分(α1)と共重合可能なモノマー、水溶性ポリマー、添加剤として上述した化合物が好ましい。
【0064】
吸水性ポリマー構造体は、上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー及び添加剤を各種重合法により重合することによって製造することができる。重合方法としては、例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0065】
溶液重合は、好ましくは水を溶媒として使用して行う。溶液重合は連続的又は非連続的に行うことができる。開始剤及び反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関しては、従来技術において様々な条件が知られている。典型的な方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。
【0066】
通常、重合は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でフリーラジカルを生成し、従来から超吸収体の製造に使用されている開始剤を使用することができる。また、重合性水性混合物に対する電子線の作用によって重合を開始させることもできる。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下における高エネルギー放射線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させることができる。開始剤としては、フリーラジカルに解離する当業者に公知の化合物が挙げられる。特に、国際公開第WO2004/037903 A2号に開始剤として記載されている開始剤が挙げられる。
【0067】
特に好ましくは、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を吸水性ポリマー構造体を製造するために使用する。
【0068】
ポリマー構造体の製造には、逆懸濁重合及び乳化重合を使用することもできる。これらの方法では、保護コロイド及び/又は乳化剤を使用し、必要に応じて水溶性ポリマー及び添加剤を含むモノマー(α1)及び(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、フリーラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。グラフト基材としての水溶性ポリマー(α4)は、必要に応じてモノマー溶液に添加するか、油相に直接添加する。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0069】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤内での重合及び/又は重合工程時における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって架橋を行うことができる。このプロセスは、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号、国際公開第WO96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。
【0070】
工程a)における溶液重合又は逆懸濁重合及び乳化重合によって得られるヒドロゲルは、工程c)において少なくとも部分的に乾燥させる。
【0071】
特に、溶液重合の場合には、乾燥前に工程b)においてヒドロゲルを粉砕することが好ましい。粉砕は公知の粉砕装置(例えば肉挽機)を使用して行う。
【0072】
ヒドロゲルの乾燥は、適当な乾燥機又はオーブン内で行うことが好ましい。例えば、回転式チューブ炉、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が例として挙げられる。本発明では、工程c)におけるヒドロゲルの乾燥は、水分が0.5〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは2〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常100〜200℃である。
【0073】
工程c)で得られた少なくとも部分的に乾燥した吸水性ポリマー構造体は、特に溶液重合によって得た場合には、工程d)において粉砕し、所望の粒径に篩い分けることができる。乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕は、ボールミル等の適当な機械的粉砕装置内で行うことが好ましい。
【0074】
ヒドロゲルを乾燥し、乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕を必要に応じて粉砕した後、工程e)において表面領域を変性する(以下に詳細に説明する工程ii)における表面後架橋及び工程iii)におけるタンニン処理は工程e)における表面変性には含まれない)。
【0075】
好ましい変性方法としては、工程ii)における表面後架橋の実施前、実施中又は実施後、好ましくは実施後に、ポリマー構造体の外側領域をAl3+イオン含有化合物と接触させることが挙げられる。Al3+イオン含有化合物は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜30重量%、特に好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の量で吸水性ポリマー構造体と接触させることが好ましい。
【0076】
吸水性ポリマー構造体の外部領域とAl3+イオン含有化合物との接触は、ポリマー構造体と化合物を乾燥条件で混合するか、溶媒、好ましくは水、メタノール又はエタノール等の水混和性有機溶媒又はそれらの少なくとも2種の混合物とAl3+イオン含有化合物とを含む流体Fにポリマー構造体を接触させることによって行うことが好ましく、ポリマー粒子を流体Fとともに噴霧し、混合することによって行うことが好ましい。また、ポリマー構造体とAl3+イオン含有化合物を含む流体Fとの接触は、2段階のプロセスによって行うことが好ましい。2段階のプロセスは、多数の吸収性ポリマー構造体を流体Fと混合する第1の混合操作と、流体Fをポリマー構造体の内部で均一化させる第2の混合操作とを含み、第1の混合操作では、各ポリマー構造体の運動エネルギーが平均して各ポリマー構造体間の付着エネルギーよりも大きくなる速度でポリマー構造体を混合し、第2の混合操作では、第1の混合操作よりも低い速度でポリマー構造体を十分に混合する。
【0077】
上述した2段階のプロセスによりポリマー構造体をAl3+イオン含有化合物を含む流体Fによって処理することによって、吸収性が向上したポリマー構造体を得ることができる。
【0078】
流体Fは、結晶水を考慮せずに、流体Fの総重量に対して、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の量でAl3+イオン含有化合物を含むことが好ましい。また、流体Fは、ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜15重量%、特に好ましくは0.05〜6重量%の量でポリマー構造体に接触させることが好ましい。
【0079】
好ましいAl3+イオン含有化合物は、AlCl×6HO、NaAl(SO×12HO、KAl(SO×12HO、Al(SO×14−18HO又は乳酸アルミニウムである。
【0080】
別の表面変性方法としては、吸水性ポリマー構造体を、無機粒子、例えば、好ましくは水性懸濁液で塗布する微粒子状二酸化ケイ素又はシリカゾルと接触させる。
【0081】
工程e)で行われる変性、特にAl3+イオン含有化合物による処理は、原則として工程ii)及びiii)の実施中又は工程ii)及びiii)の実施後、工程ii)を実施した後であって工程iii)を実施する前又は工程iii)を実施した後であって工程ii)を実施する前に行うことができる。
【0082】
工程ii)では、吸水性ポリマー構造体を表面後架橋剤と接触させ、加熱する吸水性ポリマー構造体の表面後架橋を行う。特に、後架橋剤が後架橋条件において液体ではない場合には、後架橋剤と溶媒を含む流体Fとして後架橋剤をポリマー粒子に接触させることが好ましい。溶媒としては、水、水混和性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール)又はそれらの少なくとも2種の混合物を使用することが好ましく、水が溶媒として最も好ましい。流体Fは、流体Fの総重量に対して、5〜75重量%、特に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%の量で後架橋剤を含むことが好ましい。
【0083】
本発明に係る方法では、吸水性ポリマー構造体は、後架橋剤を含む流体Fを吸水性ポリマー構造体と十分に混合することによって流体Fと接触させることが好ましい。
【0084】
流体Fを塗布するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジミキサー、ルベルクミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージミキサー)を挙げることができる。回転容器において少なくとも部分的に流体Fと吸水性ポリマー構造体を混合する混合装置を使用することもできる。そのような混合装置は、例えば、Lindor社(ドルドレヒト、オランダ)からLindor 70、Lindor 200、Lindor 500、Lindor 750、Lindor 1000、Lindor 1500、Lindor 2000、Lindor 2300、Lindor 4000、Lindor 7000、Lindor 8000、Lindor 12000、Lindor 14000、Lindor 25000として入手することができる。
【0085】
本発明に係る方法では、後架橋時に、吸水性ポリマー構造体を、吸水性ポリマー構造体の重量に対して、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%未満の溶媒(好ましくは水)と接触させることが好ましい。
【0086】
本発明では、好ましくは球状粒子である吸水性ポリマー構造体を使用する場合には、粒子状ポリマー構造体の外部領域のみを流体F(後架橋剤)と接触させることが好ましい。
【0087】
本発明に係る方法で使用される後架橋剤は、好ましくは、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマーの官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物又は多価金属カチオンとポリマーの官能基との静電相互作用によってポリマーを架橋させることができる多価金属カチオンである。本発明に係る方法において好ましい後架橋剤は、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤II,IVとして記載されている化合物である。
【0088】
これらの化合物のうち、後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン等の縮合後架橋剤が特に好ましい。
【0089】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体Fと接触させた吸水性ポリマー構造体は、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃に加熱し、ポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも高度に架橋させる(後架橋)。加熱時間は、吸水性ポリマー構造体の所望の特性が熱によって損なわれる時間に応じて制限される。
【0090】
本発明に係る方法の工程iii)では、吸水性ポリマー構造体を、a)少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルの、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はb)少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルの、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はc)加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分と接触させる。
【0091】
なお、好ましいタンニンは、本発明に係る組成物に関連して好ましいタンニンとして上述したタンニンである。特に、加水分解性タンニン、特に加水分解性ガロタンニンが好ましい。上述したように、タンニンとの接触は、工程ii)の実施前、実施中又は実施後に行うことができ、工程ii)の実施後に行うことが特に好ましい。
【0092】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、以下の構造Iで表される基本骨格(β−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコース)に由来するタンニンを使用する。
【化2】


構造I
【0093】
(式中、糖質コア(ガロイルエステルとして結合した第1レべルの没食子酸分子)に結合した没食子酸分子の少なくとも1つのOH基の少なくとも1つ、好ましくはメタ又はパラ位のOH基の1つ、好ましくは糖質コアに結合した没食子酸分子の2、3、4又は5個のOH基の少なくとも1つに、エステル結合(ジガロイルエステル)を介して少なくとも1つの没食子酸分子(第2レべルの没食子酸分子)が結合している。) タンニンは、構造Iで表される基本骨格に由来し、少なくとも1個、好ましくは2個、3個、4個又は5個の第2レべルの没食子酸分を含むタンニンであることが特に好ましい。特に、吸水性組成物に含まれるタンニンの少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%が、940g/モル、特に好ましくは1100g/モル、さらに好ましくは1200g/モルを超え、10,000g/モル以下、特に好ましくは5000g/モル以下の分子量を有することが好ましい。
【0094】
また、少なくとも1種のタンニンは、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは0.2〜2重量%の量で使用することが特に好ましい。ただし、体液との接触後の吸水性組成物の色安定性の観点から、タンニン又はタンニン画分は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.75重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.4重量%以下の量で使用することが好ましい。本発明に係る吸水性組成物の製造方法の一実施形態によれば、タンニン又はタンニン画分は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して0.2〜0.4重量%の量で使用する。
【0095】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態によれば、少なくとも1種のタンニン画分は、工程ii)において粒子、特に粉末状で使用し、少なくとも1種のタンニン画分の粒子の少なくとも少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%が、10nm〜300μm、特に好ましくは50nm〜50μm、最も好ましくは100nm〜10μmの大きさを有することが好ましい。
【0096】
また、少なくとも1種のタンニン画分が粒子状である場合、少なくとも1種のタンニン画分は、以下の特性の少なくとも1つを有することが好ましい。
A)0.2〜0.6g/cm、特に好ましくは0.3〜0.45g/cmの密度。
B)20℃における1重量%水溶液のpHが2〜5、特に好ましくは2.5〜4。
C)遊離没食子酸の含有量が、タンニン画分の総重量に対して、0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満。
D)純度(タンニン含有量)が、タンニン画分の総重量に対して、少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%。
【0097】
本発明に係る方法に好ましく使用することができるタンニン画分の実施形態は上記特徴A〜Dのあらゆる組み合わせを有し、A、B、C、D、AB、AC、AD、BC、BD、CD、ABC、ABD、ACD、BCD、ABCDの組み合わせの実施形態が好ましい。
【0098】
本発明に係る方法において使用することができるタンニン画分は、本発明に係る組成物に関連して上述したように、植物供給源から単離するか、商業的な供給者から入手することができる。
【0099】
必要に応じて表面後架橋した吸水性ポリマー構造体は、単純に混合することによって少なくとも1種のタンニン画分と接触させることが好ましく、少なくとも1種のタンニン画分は粉末状で吸水性ポリマー構造体と混合することが好ましい。ただし、タンニン画分を溶液又は懸濁液(例えば水溶液)として吸水性ポリマー構造体と混合することもできる。ただし、上述したように、少なくとも1種のタンニン画分を粒子状、特に粉末状で吸水性ポリマー構造体と混合することが有利であることが判明している。
【0100】
少なくとも1種のタンニン画分と吸水性ポリマー構造体を混合するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジミキサー、ルベルクミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージミキサー)を挙げることができる。また、表面後架橋に関連して上述したように、回転容器において少なくとも部分的に粉末状タンニン又はタンニン溶液を吸水性ポリマー構造体と混合する混合装置を使用することもできる。
【0101】
本発明に係る方法の好適な実施形態では、本発明に係る方法は、iv)吸水性ポリマー構造体を1種以上の錯体形成剤と接触させる工程を含み、前記工程iv)を、前記工程iii)と同様に、前記工程ii)の実施前、実施中又は実施後、好ましくは前記工程ii)の実施後に行う(すなわち、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を錯体形成剤と接触させる)。タンニン画分の使用方法としては、タンニン画分を吸水性ポリマー構造体と接触させ、次に錯体形成剤を添加するか、錯体形成剤を吸水性ポリマー構造体と接触させ、次に錯体形成剤を添加するか、錯体形成剤をタンニン画分とともに吸水性ポリマー構造体と接触させることができる。
【0102】
錯体形成剤としては、本発明に係る吸水性ポリマー構造体に関連して好ましい錯体形成剤として上述した錯体形成剤が好ましい。本発明では、錯体形成剤は、吸水性ポリマー構造体の総重量に対して、0.001〜5重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜0.5重量%の量で使用することが好ましい。
【0103】
吸水性ポリマー構造体は、様々な方法でタンニン画分及び錯体形成剤と接触させることができる。本発明に係る方法の好適な実施形態では、タンニン画分は粒子として吸水性ポリマー構造体と乾式混合し、錯体形成剤は水溶液として使用する。これにより、乾燥状態で添加したタンニンのために生じる吸収性組成物におけるダスト形成を大きく減少させることができる。ただし、タンニン画分と錯体形成剤を含む水溶液を吸水性ポリマー構造体と接触させることも可能である。この場合、水溶液は、水溶液の総重量に対して、5〜50重量%、特に好ましく7.5〜30重量%、最も好ましくは10〜20重量%の濃度でタンニン画分を含むことが好ましく、タンニン画分を吸水性ポリマー構造体の表面に特に均一に分散させるために、タンニン画分の濃度が20重量%以下となるように濃度を選択することが特に有利である。水溶液における錯体形成剤の濃度は、水溶液の総重量に対して、好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。タンニン画分と錯体形成剤をともに含む水溶液を添加する代わりに、別々の溶液(すなわち、錯体形成剤を含む水溶液とタンニン画分を含む水溶液)を添加することも可能であり、各水溶液におけるタンニンの濃度及び錯体形成剤の濃度がタンニン画分と錯体形成剤をともに含む水溶液に関連して上述した濃度範囲内にあることが好ましい。本願明細書で使用する「水溶液」という用語は、溶媒の総重量に対して、溶媒又は混合溶媒の少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%が水である溶液を意味する。
【0104】
別々に添加される水溶液又はタンニン画分と錯体形成剤をともに含む水溶液又は乾燥したタンニン画分及び錯体形成剤の水溶液は、パターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジミキサー、ルベルクミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージミキサー)等のミキサー内において添加することができる。また、回転容器において少なくとも部分的に吸水性ポリマー構造体を乾燥した成分又は水溶液と混合する混合装置を使用することもできる。
【0105】
錯体形成剤の使用方法に関して、本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の一実施形態では、本発明に係る方法は、
i)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)前記吸水性ポリマー構造体を後架橋する工程と、
iii)前記吸水性ポリマー構造体を、好ましくは上述したタンニン画分(少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有するタンニン画分、少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有するタンニン画分又は加水分解性タンニンを含むタンニン画分)の1つであり、精製物又は植物抽出物(特に茶抽出物)として使用することができる、タンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分と接触させる工程と、
iv)前記吸水性ポリマー構造体を1種以上の錯体形成剤と接触させる工程と、を含み、
前記工程iii)及びiv)を、前記工程ii)の実施前、実施中又は実施後、好ましくは前記工程ii)の実施後に行う(すなわち、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を対応するタンニン及び錯体形成剤と接触させる)。
【0106】
吸水性ポリマー構造体を少なくとも1種のタンニン画分及び必要に応じて少なくとも1種の錯体形成剤と接触させた後、得られた組成物に対してさらなる変性を行うことができる。特に、本発明に係る組成物に関連して上述したバインダーを添加することができる。
【0107】
また、上記目的は、上述した本発明に係る方法によって得られる吸水性組成物によって達成される。
【0108】
本発明に係る組成物及び本発明に係る方法によって得られる組成物は、以下の特性の少なくとも1つを有することが特に好ましい。
(β1)ERT441.2−02に準拠して測定した保持率が少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも25g/g、特に好ましくは25〜50g/g。
(β2)ERT 442.2−02に準拠して0.7psi(50g/cm)の圧力下で測定した吸収率が少なくとも15g/g、特に好ましくは少なくとも20g/g。
(β3)中和度が78モル%以下、特に好ましくは70モル%以下であって、少なくとも50モル%。
【0109】
また、上記目的は、本発明に係る組成物及び本発明に係る方法によって得られる組成物と、基材と、を含む複合体によって達成される。
【0110】
本発明に係る吸水性組成物と基材とは強固に結合されていることが好ましい。好ましい基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミド等のポリマーのフィルム、金属、不織布、綿毛、織物、織布、天然又は合成繊維又は発泡体である。本発明では、複合体は、複合体の総重量に対して、約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の量で本発明に係る吸水性組成物を含む少なくとも1つの領域を含み、該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0111】
本発明に係る複合体の一実施形態では、複合体は「吸収性材料」として国際公開第WO02/056812 A1号に記載されているようなフラットな複合体である。国際公開第WO02/056812 A1号の複合体の構造、構成要素の単位面積当たりの重量及び厚みに関する開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。
【0112】
また、上記目的は、本発明に係る吸水性組成物又は本発明に係る方法によって得られる吸水性組成物と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させる複合体の製造方法によって達成される。基材としては、本発明に係る複合体に関連して上述した基材を使用することが好ましい。
【0113】
また、上記目的は、上記方法によって得られ、上述した本発明に係る複合体と同一の特性を好ましくは有する複合体によって達成される。
【0114】
本発明の別の態様によれば、複合体は、衛生用品コアに対して、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の本発明に係る吸水性組成物と、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の基材と、必要に応じて通常の添加物及び/又は接着剤と、を含む衛生用品コアとして形成する(衛生用品コアに含まれる各成分の重量%の合計は100重量%である)。衛生用品コアに関する基材としては、通常は粒子状である本発明に係る超吸収性組成物を固定する材料が特に好ましい。そのような材料としては、繊維、織物、織布、ネットが挙げられる。また、例えば粉末状(粒子状)の吸水性組成物をにかわ等の接着剤によって基材に接合することもできる。一実施形態では、基材は、吸水性組成物を基材の溝に収容するように構成する。衛生用品コアに添加することができる通常の添加剤としては、例えば、化粧材料、皮膚耐性を強化する物質、殺菌剤、抗菌物質等が挙げられる。
【0115】
別の態様では、本発明は、液体を透過する上層と、液体を透過しない下層と、上層と下層との間に設けられた本発明に係る複合体と、を含む衛生用品に関する。衛生用品としては、婦人用衛生用品、成人用失禁用品、幼児、乳児及び小児用おむつが挙げられる。衛生用品は上述した衛生用品コアを含むことが好ましい。液体を透過する上層としては、当業者に公知かつ適当であると思われる、通常はセルロース又はセルロース誘導体からなり、必要に応じてポリプロピレン又はポリエチレン等のプラスチックによって強化された織布、レイド織物、織物層が挙げられる。また、液体を透過しない下層としては、通常はポリプロピレン又はポリエチレンからなるプラスチック層でシールされ、当業者に公知である、セルロース又はセルロース誘導体からなるレイド織物、織物又は編物である不織布を使用する。
【0116】
また、上記目的は、本発明に係る吸水性組成物又は本発明に係る複合体を含む化学製品によって達成される。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、フィルム、シート、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品(特におむつ及び生理用ナプキン)、植物・菌類生育調節剤・植物保護活性化合物の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0117】
また、上記目的は、本発明に係る吸水性組成物又は本発明に係る複合体の、化学製品、好ましくは上述した化学製品、特におむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品における使用及び超吸収体粒子の植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性化合物の担体における使用によって達成される。植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質の担体としての使用では、植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質は、担体によって制御される時間が経過した後に放出できることが好ましい。
【0118】
また、上記目的は、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルの、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有するタンニン画分、少なくとも1000g/モル、好ましくは少なくとも1100g/モル、最も好ましくは少なくとも1200g/モルの、本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有するタンニン画分又はc)加水分解性ガロタンニンの、吸水性ポリマー構造体の臭気結合性を向上させるための使用によって達成され、タンニン及び吸水性ポリマー構造体としては、本発明に係る吸水性組成物に関連して好ましいタンニン及び好ましい吸水性ポリマー構造体として上述したタンニン及び吸水性ポリマー構造体が特に好ましい。本発明に係る使用の好適な実施形態では、タンニン画分を錯体形成剤と組み合わせて使用し、錯体形成剤としては、吸水性組成物に関連して好ましい錯体形成剤として上述した錯体形成剤が好ましい。本発明に係る使用の別の好適な実施形態では、本発明に係る使用は、タンニンを含むタンニン画分、好ましくは上述した重量平均分子量又は数平均分子量を有するタンニン画分又は加水分解性ガロタンニンを含むタンニン画分及び1種以上の錯体形成剤の、吸水性ポリマー構造体の臭気結合性を向上させるための使用に関する。
【実施例】
【0119】
試験方法及び本発明を限定するものではない図面及び実施例を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
【0120】
試験方法
【0121】
一般事項
【0122】
以下の説明では、試験方法について特に記載がない場合には、当業者に公知であり、従来から使用されていると思われる試験方法を使用し、特に「ERT法」として知られる欧州不織布協会(European Diaper and Nonwoven Association(EDANA))の試験方法を使用する。
【0123】
タンニンの分子量及び多分散性の測定
【0124】
タンニン、特に本発明において好ましく使用される加水分解性タンニンの重量平均分子量、数平均分子量、多分散性は、例えば、C.Mane他,「Assessment of the Molecular Weight Distribution of Tannin Fractions through MALDI−TOF MS Analysis of Protein−Tannin Complexes」,Analytical Chemistry,vol.79(6),pp.2239〜2248(2007)に記載されているようなMALDI−TOF MS分析によって好ましくは測定する。
【0125】
ガロタンニンの分子量の測定
【0126】
ガロタンニンの分子量は、上述した試験方法以外にも順相(straight phase)HPLCによって測定することができる。順相HPLCでは、2種類の移動相(移動相A:n−ヘキサン、移動相B:750mlのメタノール、250mlのTHF、2.5gのクエン酸)を時間の経過とともに異なる相対量で組み合わせる。時間に対する移動相A及びBの組み合わせのシークエンスは以下のように選択した。
【0127】

【0128】
装置及び材料
・KONTRON Instruments社製HPLCポンプシステム325
・DEGASYS DG−1300 UniFlows
・BIO−TEK Systems社製HPLC自動サンプラー465
・KONTRON Instruments社製HPLC検出器430
・KromaSystem 2000ソフトウェア
・LichroCart 250−4、LichroSorb Si60 Merck 1.51351.0001#
・カラム:LiChrosorb SI60 Merck 1.51351.0001 LiChroCART 250−4 OB281194
【0129】
クロマトグラフィーを行う際には、フラスコ(容量:100ml)内において100mgの分析対象のガロタンニンサンプルをメタノールに溶解した。次に、サンプルをHPLC装置に注入した。以下のパラメータを維持した。
流量:2ml/分
波長:280nm
範囲:0.500
カラム温度:35℃
【0130】
市販の純粋なβ−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコースを標準として使用した。
【0131】
L,a,b色値の測定
【0132】
L,a,b色値は、スペクトル比色計「Hunter LabScan Xe」(Hunter Associates Laboratory社製、ヴァージニア州レストン)を使用して以下の設定で測定した。
Mode:0/45
Area View:44.5mm
Port Size:50.8mm
UV−Filter:nominal
【0133】
各測定の前に、LabScan XEを較正した。具体的には、附属品の黒色ガラスプレートをサンプルプレートと測定開口部の間に固定してシャーレ(直径:100mm、深さ:15mm)上に配置し、OKスイッチを押して黒色ガラスプレートにより較正を開始させた。次に、白色基準プレートをシャーレに配置し、OKスイッチを押して較正を行った。
【0134】
較正後、Read Stdスイッチを押して測定装置の機能を確認した。次に、基準プレートのL,a,b値を測定するためにReadスイッチを押した。その後、基準プレートを取り除いた。
【0135】
測定前に、3gの吸水性組成物をシャーレの底面に慎重に広げた。90gのFeCl溶液(0.9%NaCl溶液、FeCl濃度:0.0033%)を徐々に添加し、均質化した。均一な膨潤と着色が生じた時に、あふれたゲルを拭き取り、乾燥後にゲルが熟成(riped)されることを防止するためにサンプルをすぐにHunter比色計で測定した。対照として、白い紙をシャーレの下に置いた。白い紙を使用した場合には、L=96.97と、a=4.02、b=−21.68の対照値が得られた。
【0136】
実施例1a:吸水性ポリマー構造体の製造(工程i))
【0137】
水酸化ナトリウム溶液によって70モル%が中和されたアクリル酸300g、水441g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート0.9g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリレート1.35gを含むモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去した後、モノマー溶液を開始温度である4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(水10gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム0.3g、水10gに溶解した35%過酸化水素水0.07g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を添加した。約100℃の最終温度に達した後、形成されたゲルを細かく刻み、約1〜3mmの大きさを有する粒子を含む顆粒を得た。含水量は約50%だった。粒子を150℃で120分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径が520μmの吸水性ポリマー構造体(粉末A)を得た。ERT430.1−99に準拠して測定した含水量は5%だった。
【0138】
実施例2a:吸水性ポリマー構造体の表面後架橋(工程ii))
【0139】
100gの粉末Aを、1gの1,3−ジオキソラン−2−オンを3gの水に溶解した溶液と激しく撹拌しながら混合した後、混合物を180℃に制御したオーブン内で30分間加熱した。このようにして得た表面後架橋された吸水性ポリマー構造体(粉末B)のERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径は525μmだった。ERT430.1−99に準拠して測定した粉末Bの含水量は4.5%だった。
【0140】
実施例1b:吸水性ポリマー構造体の製造(工程i))
【0141】
水酸化ナトリウム溶液によって55モル%が中和されたアクリル酸300g、水491g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート0.9g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリレート1.35gを含むモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去した後、モノマー溶液を開始温度である4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(水10gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム0.3g、水10gに溶解した35%過酸化水素水0.07g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を添加した。約100℃の最終温度に達した後、形成されたゲルを細かく刻み、約1〜3mmの大きさを有する粒子を含む顆粒を得た。含水量は約50%だった。粒子を150℃で120分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径が520μmの吸水性ポリマー構造体(粉末C)を得た。ERT430.1−99に準拠して測定した含水量は5%だった。
【0142】
実施例2b:吸水性ポリマー構造体の表面後架橋(工程ii))
【0143】
100gの粉末Cを、1gの1,3−ジオキソラン−2−オンを3gの水に溶解して得た溶液と激しく撹拌しながら混合した後、混合物を180℃に制御したオーブン内で30分間加熱した。このようにして得た表面後架橋された吸水性ポリマー構造体(粉末D)のERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径は525μmだった。ERT430.1−99に準拠して測定した粉末Dの含水量は4.5%だった。
【0144】
実施例3:吸水性ポリマー構造体とタンニンとの接触(工程iii))
【0145】
実施例2aで得た表面後架橋された吸水性ポリマー構造体(粉末B)を粒子状加水分解性ガロタンニン(表1及び表2のデータを参照)と混合した。これにより、粉末E〜G及びH〜Jを使用した本発明に係る組成物を得た。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【0148】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、本発明に係る加水分解性タンニンの添加は、吸水性ポリマー構造体の吸収特性にほとんど影響を与えなかった。
【0149】
実施例4:本発明に係る組成物の臭気結合性の測定
【0150】
別の実験として、粉末B及びDを0.5重量%のFloctan(登録商標)1と混合した後、1000ppmのポリエチレングリコール(分子量:10,000g/モル)(4.6重量%溶液)を添加した。このようにして粉末K(粉末Bを使用、70%中和)及び粉末L(粉末Dを使用、55%中和)を得た。
【0151】
粉末B、D、K、Lの臭気結合性を測定した。
【0152】
本発明に係る組成物の臭気結合性は、吸水性組成物によるアンモニア放出を測定することによって測定した。
【0153】
Proteus mirabilis細胞をCASO斜面寒天培地内において37℃で一晩培養した。各管を5mlの合成尿で洗い流した。細菌懸濁液は、合成尿、1g/lの肉抽出物、1g/lのペプトンによって約10CFU/ml(CFU=コロニー形成単位)の細菌含有量に調節した。
【0154】
1g/lの肉抽出物、1g/lのペプトンを含有し、細菌を添加した合成尿33mlを1gの吸水性組成物に添加した。本発明に係る組成物及びタンニンを含有しない吸水性組成物を含まないバッチを対照として使用した。
【0155】
容器をゴムストッパで閉じ、Drager拡散管をゴムストッパの穴に通し、培養キャビネット内において37℃で培養を行った。放出されたアンモニアの量(ppm/h)を測定した。尿の初期細菌数(CFUで測定)は、栄養培地プレート上に適当な希釈液を塗布することによって測定した。放出されたアンモニアの量として、2つのバッチの平均値を計算した。
【0156】
本発明に係る粉末B、D、K、Lの臭気結合性を図1に示す。図1に示すように、55モル%が中和された吸水性ポリマー構造体と加水分解性タンニンを組み合わせることにより、特に有利な臭気結合性が得られた。
【0157】
実施例5:水溶液としてのタンニンの使用
【0158】
粉体状ではなく、約30重量%水溶液としてタンニンを粉末B及びDに塗布した以外は実施例3と同様の操作を行った。このようにして得た粉末M(粉末Bを使用、70%中和)及び粉末N(粉末Dを使用、55%中和)の吸収特性を表3に示す。
【0159】
【表3】

【0160】
表3から明らかなように、タンニンは水溶液としても使用することができる。
【0161】
実施例6:タンニンと錯体形成剤の組合せ使用
【0162】
別の実験として、粉末Bを0.5重量%のFloctan(登録商標)1と混合した後、1000ppmのポリエチレングリコール(分子量:10,000g/モル)(4.6重量%溶液)を添加した。このようにして粉末Oを得た。
【0163】
別の実験として、粉末Bを0.5重量%のFloctan(登録商標)1及び0.1重量%のVersenex(登録商標)(ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩、40重量%水溶液)と混合した。このようにして粉末Pを得た。
【0164】
粉末O及びPの臭気結合性を実施例4と同様にして測定した。結果を図2に示す。図2に示すように、錯体形成剤(Versenex(登録商標))を使用することにより、タンニンで処理した超吸収体の臭気結合性をさらに向上させることができる。
【0165】
実施例7:タンニンと錯体形成剤の組合せ使用
【0166】
別の実験として、粉末Bを0.5重量%のFloctan(登録商標)1と乾式混合した。このようにして粉末Qを得た。
【0167】
別の実験として、粉末Bを0.5重量%のFloctan(登録商標)1及びVersenex(登録商標)(0.1重量%、0.5重量%又は0.75重量%、40重量%水溶液)と混合した。このようにして粉末R、S、Tを得た。
【0168】
粉末Q、R、S、TをFe2+含有溶液で膨潤させた後、試験方法に関連して上述したようにL,a,b表色系に従って色値を決定した。以下の値が得られた。
【0169】
【表4】

【0170】
表4から明らかなように、タンニンと錯体形成剤を組み合わせて使用することにより、吸水性組成物をFe2+含有溶液(生理血等)と接触させた場合に色安定性が大きく向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物。
【請求項2】
少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物。
【請求項3】
加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分が表面に存在する吸水性ポリマー構造体を含む吸水性組成物。
【請求項4】
前記タンニン画分が加水分解性ガロタンニンを含む、請求項1又は2に記載の吸水性組成物。
【請求項5】
前記加水分解性ガロタンニンが、少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量又は少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する、請求項3に記載の吸水性組成物。
【請求項6】
前記タンニン画分が、5未満の本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した多分散性を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項7】
前記タンニンがβ−1,2,3,4,6−ペンタガロイル−O−D−グルコースに由来するタンニンであり、糖質コアに結合した没食子酸分子の少なくとも1つのOH基の少なくとも1つにエステル結合を介して別の没食子酸分子が結合しており、前記吸水性組成物に含まれる前記タンニンの少なくとも30重量%が940g/モルを超える平均分子量を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項8】
前記吸水性ポリマー構造体が、部分的に中和された架橋ポリアクリレートを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項9】
前記吸水性ポリマー構造体が、内部領域と、前記内部領域を取り囲む外部領域とを有し、前記外部領域が前記内部領域よりも高い架橋度を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項10】
前記吸水性組成物の総重量に対して0.001〜10重量%の量で前記タンニンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のタンニン画分が、少なくとも部分的に粒子として前記吸水性ポリマー構造体の表面に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のタンニン画分の粒子の少なくとも50重量%が10nm〜300μmの大きさを有する、請求項9に記載の吸水性組成物。
【請求項13】
前記タンニン画分の粒子が、バインダーを介して前記吸水性ポリマー構造体の表面に固定されている、請求項11又は12に記載の吸水性組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のタンニン画分が、Rhus semialata抽出物、Rhus coriaria抽出物、Quercus infectoria抽出物、Quercus aegilops抽出物、Caesalpina spinosa抽出物、Caesalpina d. gyna抽出物、Valonea抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、Terminalia chebula抽出物、これらの少なくとも2種の混合物からなる群から選択される植物抽出物から精製されたタンニンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項15】
前記タンニン画分に加えて、1種以上の錯体形成剤が前記吸水性ポリマー構造体の表面に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項16】
前記錯体形成剤がアミノポリカルボン酸である、請求項15に記載の吸水性組成物。
【請求項17】
前記吸水性ポリマー構造体の総重量に対して0.001〜5重量%の量で前記錯体形成剤を含む、請求項15又は16に記載の吸水性組成物。
【請求項18】
吸水性組成物の製造方法であって、
i)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)前記吸水性ポリマー構造体を後架橋する工程と、
iii)前記吸水性ポリマー構造体を、a)少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はb)少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有する少なくとも1種のタンニン画分又はc)加水分解性ガロタンニンを含む少なくとも1種のタンニン画分と接触させる工程と、を含み、
前記工程iii)を、前記工程ii)の実施前、実施中又は実施後に行う方法。
【請求項19】
前記工程i)で用意する前記吸水性ポリマー構造体が、部分的に中和された架橋ポリアクリレートを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記吸水性ポリマー構造体の総重量に対して0.001〜10重量%の量で前記少なくとも1種のタンニン画分を使用する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記工程iii)において前記少なくとも1種のタンニン画分を粒子として使用する、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1種のタンニン画分の粒子の少なくとも50重量%が10nm〜300μmの大きさを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記工程iii)において使用する前記少なくとも1種のタンニン画分が以下の特性の少なくとも1つを有する、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
A)0.2〜0.6g/cmの密度。
B)20℃における1重量%水溶液のpHが2〜5。
C)遊離没食子酸の含有量が、前記タンニン画分の総重量に対して0.5重量%未満。
D)純度(タンニン含有量)が、タンニン画分の総重量に対して少なくとも90重量%。
【請求項24】
前記工程iii)において使用する前記少なくとも1種のタンニン画分が、Rhus semialata抽出物、Rhus coriaria抽出物、Quercus infectoria抽出物、Quercus aegilops抽出物、Caesalpina spinosa抽出物、Caesalpina d. gyna抽出物、Valonea抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、Terminalia chebula抽出物、これらの少なくとも2種の混合物からなる群から選択される植物抽出物から精製されたタンニンを含む、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
iv)前記吸水性ポリマー構造体を1種以上の錯体形成剤と接触させる工程をさらに含む、請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記錯体形成剤がアミノポリカルボン酸である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記吸水性ポリマー構造体の総重量に対して0.001〜5重量%の量で前記錯体形成剤を使用する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
請求項18〜26のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸水性組成物。
【請求項29】
以下の特性の少なくとも1つを有する、請求項1〜17及び28のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
(β1)ERT 441.2−02に準拠して測定した保持率が少なくとも20g/g。
(β2)ERT 442.2−02(粒子の場合には全粒径部分)に準拠して0.7psi(50g/cm)の圧力下で測定した吸収率が少なくとも15g/g。
(β3)中和度が78モル%以下。
【請求項30】
請求項1〜17、28、29のいずれか1項に記載の吸水性組成物と、基材と、を含む複合体。
【請求項31】
請求項1〜17、28、29のいずれか1項に記載の吸水性組成物と、基材と、必要に応じて添加剤とを接触させる、複合体の製造方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法により得られる複合体。
【請求項33】
請求項1〜17、28、29のいずれか1項に記載の吸水性組成物又は請求項30又は32に記載の複合体を含む、発泡体、成形品、繊維、ホイル、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項34】
請求項1〜17、28、29のいずれか1項に記載の吸水性組成物又は請求項30又は32に記載の複合体の、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、活性化合物の制御放出のための土壌添加剤又は建設材料における使用。
【請求項35】
少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した数平均分子量を有するタンニン画分、少なくとも1000g/モルの本願明細書に記載する試験方法に準拠して測定した重量平均分子量を有するタンニン画分又は加水分解性ガロタンニンの、吸水性ポリマー構造体の臭気結合性を向上させるための使用。
【請求項36】
前記タンニン画分を1種以上の錯体形成剤と組み合わせて使用する、請求項35に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−540685(P2010−540685A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525271(P2010−525271)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008081
【国際公開番号】WO2009/040106
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】