説明

舗道用シートの絵付け方法

【課題】施工が簡単で、図柄の剥離・変形が無く、透水性を有した舗道用シートの絵付け方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも絵柄層、熱可塑性樹脂層からなる舗道用シートを、前記熱可塑性樹脂層側を舗道に接するようにして舗道上に載置し、前記熱可塑性樹脂層を加熱溶融して前記絵柄層を舗道表面に定着させてなること、前記絵柄層を舗道表面に定着させた後に透明樹脂層を絵柄層上に塗工すること、前記舗道用シートを載置する舗道の面に予めプライマー層を設けてなること、前記舗道用シートの加熱溶融方法が、水蒸気の吹き付け、炎の吹き付け、アスファルト施工時の熱、の少なくとも1つからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗道、詳しくはアスファルト、コンクリートで舗装した道路である歩道、車道、自転車道等やインターロッキングブロックにおける道路表面に絵付けするための舗道用シート及び化粧方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、舗装した道路に交通表示やセンターライン、サイドラインを引いたりする場合は、熱で溶融させた塗料にて表示内容を描いていた。
【0003】
しかし、歩道と道路の間の段差等を知らせるマークを表示する場合は、機械が大きすぎて小回りが利かない為手間がかかるという問題点があった。
【0004】
また、図柄を印刷したシートを舗道表面に貼着する方式もあったが、夏場の路面温度の上昇と外圧で、剥離、変形するといった問題があった(図4:撮影日2004年7月27日)。また、シート部分に関しては透水性に欠ける為、水捌けが悪くスリップの原因となるといった問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、施工が簡単で、図柄の剥離・変形が無く、透水性を有した舗道用シートの絵付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、少なくとも絵柄層、熱可塑性樹脂層からなる舗道用シートを、前記熱可塑性樹脂層側を舗道に接するようにして舗道上に載置し、前記熱可塑性樹脂層を加熱溶融して前記絵柄層を舗道表面に定着させてなることを特徴とする舗道用シートの絵付け方法である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は前記絵柄層を舗道表面に定着させた後に透明樹脂層を絵柄層上に塗工することを特徴とする請求項1記載の舗道用シートの絵付け方法である。
【0008】
また、請求項3記載の発明は前記舗道用シートを載置する舗道の面に予めプライマー層を設けてなることを特徴とする、請求項1または請求項2の舗道用シートの絵付け方法である。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記舗道用シートの加熱溶融方法が、水蒸気の吹き付け、炎の吹き付け、アスファルト施工時の熱、の少なくとも1つからなること特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の舗道用シートの絵付け方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明はその請求項1記載の発明により、必要な部分に必要な面積で、熱源があれば施工可能で大掛かりな装置が不要となった。また、絵柄層以外の熱可塑性樹脂は溶融して、元来シートで覆われていたアスファルト部分も、シート溶融後はその全面を被覆されている状態ではなくなるので透水性も保たれる。更に、加熱溶融して路面の凹凸に部分的に浸透して投錨効果による密着効果も発生する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明により、耐傷性、耐摩耗性、耐候性、密着性が向上し、気温の上昇とそれに伴う舗道路面温度上昇、外圧による変形・剥離の防止効果が、より高めることが可能となる。透明樹脂層は舗道表面の絵柄の上部のみ保護できていれば十分であるので絵柄の上部にのみ塗工すれば、舗道の隙間の内部には十分な透水性が保持可能で水捌け不良によるスリップ防止も可能となる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明により、より強固に舗道路面と絵柄層の密着を保持させることが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明により、炎により加熱溶融することにより、素早く舗道用シートを溶融させ、更に、加熱終了後は素早く固まるので直ちに舗道を使用することが可能となった。更に、水蒸気による加熱の場合は、炎を使わないため安全に作業が行なえ、特にガソリンスタンド等火気厳禁の場所においても施工が可能となった。また、アスファルト施工時の予熱を利用する方法においては、特別に熱源を準備しなくても施工を行なえるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の舗道用シートの絵付け方法を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明に用いる舗道用シートの一実施例の断面の構造を示す。図2、図3に前記舗道用シートを舗道に絵付けする際の断面の状態を示す。熱可塑性樹脂層1、絵柄層2、舗道用シート3、透明樹脂層11、プライマー層21、舗道22である。
【0015】
本発明における熱可塑性樹脂層1としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール)樹脂、ポリオレフィン樹脂等熱で溶融する樹脂であれば特に規定するものではないが、溶融時にガス等有毒物を発生しないものを選定することは重要である。
【0016】
本発明における絵柄層2のインキバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等耐候性に優れた樹脂であることが望ましいが、耐熱性があり加熱時に変色しない種類のものであれば特に規定するものではない。
【0017】
本発明における透明樹脂層11の樹脂としては、イソシアネートを添加して硬化する2液硬化タイプ、紫外線硬化タイプ等硬化形態は問わないが、アクリルポリオール樹脂、イミドアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等、耐候性に優れ、表面硬度の高い樹脂系であることが望ましい。
【0018】
前記樹脂には、耐候性の処方を行うため、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)の耐候性処方剤を適宜添加してもよい。添加量は所望の耐候性に応じて添加すれば良いが、樹脂固形分に対して0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%である。
【0019】
本発明におけるプライマー層21の樹脂としては、絵柄層2のインキ樹脂や、溶け残った熱可塑性樹脂1との相性に応じて適宜選択すればよい。
【実施例1】
【0020】
熱可塑性樹脂層1として厚み50μmのEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)フィルム「X−1430」(クラボウ株式会社製)を用い、これに転写紙を介して絵柄層2を付与した。
【0021】
次に、アスファルト(配合:6号砕石35%/7号砕石18.8%/砕砂15%/スクリーニングス15%/細砂7.5%/石粉2.8%/アスファルト5.9%)に舗道用シート3を熱可塑性樹脂1側をアスファルト側に、絵柄層2を上にして粘着テープで仮貼りし、ガストーチ ソードガス206オート、ガスカートリッジCT−200(コマーシャルジャパン株式会社製)を使用して、舗道用シートから300mmの距離から炎を当てた。熱可塑性樹脂がアスファルトの隙間に溶融して流れ込んできた状態で炎を止め、静置した。
【0022】
次に、透明樹脂層11としてアクリルポリオール2液硬化タイプの樹脂を絵柄層の上からスプレー塗工にて、乾固形分約5μの厚みとなるよう噴霧した。乾燥後、更に前記透明樹脂をスポンジローラーにて乾固形分で約500μの厚みとなるよう塗工した。
<性能評価>
前記実施例1のサンプルを屋外に6ヶ月曝露し、人の行き来も経験させたが、図柄の剥離・変形等の不具合は発生せず、水捌けに関しての問題も発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明により、舗道、詳しくはアスファルト、コンクリートで舗装した道路である歩道、車道、自転車道等やインターロッキングブロックにおける道路表面に絵付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の舗道用シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図2】本発明の舗道用シートを舗道に絵付けする状態を示す説明図である。
【図3】本発明の舗道用シートを舗道に絵付けする状態を示す説明図である。
【図4】従来の図柄を印刷したシートを舗道表面に貼着した後に変形した写真である。
【符号の説明】
【0025】
1…熱可塑性樹脂層
2…絵柄層
3…舗道用シート
11…透明樹脂層
21…プライマー層
22…舗道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも絵柄層、熱可塑性樹脂層からなる舗道用シートを、前記熱可塑性樹脂層側を舗道に接するようにして舗道上に載置し、前記熱可塑性樹脂層を加熱溶融して前記絵柄層を舗道表面に定着させてなることを特徴とする舗道用シートの絵付け方法。
【請求項2】
前記絵柄層を舗道表面に定着させた後に透明樹脂層を絵柄層上に設けることを特徴とする請求項1記載の舗道用シートの絵付け方法。
【請求項3】
前記舗道用シートを載置する舗道の面に予めプライマー層を設けてなることを特徴とする、請求項1または請求項2の舗道用シートの絵付け方法。
【請求項4】
前記舗道用シートの加熱溶融方法が、水蒸気の吹き付け、炎の吹き付け、アスファルト施工時の熱、の少なくとも1つからなること特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の舗道用シートの絵付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−63553(P2006−63553A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244788(P2004−244788)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】