説明

航空機搭乗システムにおける搭乗券のセキュリティ管理

【課題】従来の空港でのチェックイン方法は、購入した航空券と身分証明書による本人確認の後、搭乗券との引き換えとなっており、最近では電子チケットといってPCや携帯端末機を用いてインターネットで事前予約を行い、ICカードや二次元コードなどの媒体を用いたチェックインも行われている。この電子チケットに使用される二次元コードには、書き込まれる情報が予約番号などの簡易な搭乗情報しか含まれていないため、容易に偽造されてしまう可能性がある。
【解決手段】チェックインの際、二次元コードへ書き込む情報の中に毎時情報の付加を行う。チェックインから搭乗までの短時間では、偽造される可能性が低減できる。また従来のような複雑な機構の搭乗ゲートは必要なくなり、ゲート装置の通過を簡便にし、利用者の利便性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の搭乗券に関し、特にICカードや二次元コードなどの媒体を利用した航空機搭乗システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、各航空/旅行会社の窓口など所定の券売所にて航空券を購入し、空港のチェックインカウンターで搭乗券と引き換えを行い、航空機へ搭乗していた。最近では、電子チケットといって、PCや携帯端末機(携帯電話、PDAなど)を利用してインターネットで事前予約を行い、チケットレスでのチェックイン方法も普及してきている。
【0003】
この方法は、予約内容に応じた所定の搭乗情報が、ICカード/二次元コード/旅程表などの媒体へ記載され、利用者はこの媒体を用いて空港の自動チェックイン機で手続きを行うことで、搭乗券の入手となるものである。
【0004】
利用者自身が入力する端末を利用した搭乗システムには、特許文献1のように、携帯端末機を利用した手法も開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−54673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のチェックイン方法は、次のような問題点がある。まず、紙を用いた航空券においては、必要となる当日の盗難/紛失/忘れなどといった潜在的問題がある。また、電子チケットでのチェックイン方法においては、空港でのチェックインを行うまでに日時の間が空くこともあり、ICカード/二次元コード/旅程表といった媒体自体の偽造も考えられる。 また、従来の搭乗券には磁気情報も含まれているため、搭乗ゲートの機構(搬送路や切断箇所など)が複雑であることも問題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、搭乗情報と二次元コードで構成される簡易搭乗券を使用する。従来の搭乗券には簡易な搭乗情報しか記載されていないため、二次元コードにはチェックインの際に毎時の情報付加を行う。また搭乗ゲートにおいて上記簡易搭乗券の確認を行う。この方法により、空港でのチェックインから搭乗までの短時間においては、搭乗券が偽造される可能性を低減できる。
【発明の効果】
【0008】
航空機搭乗システムにおいて、チケットレス化が進んできているが、様々な利用者に対応するためにも、紙による搭乗券は今後も残ると想定できる。そこで、本発明で提案する簡易搭乗券を用いることで、次の効果が期待できる。まずひとつめは、チェックインの際に毎時情報を二次元コードとして付加することで、偽造される可能性を低減できる。また、磁気情報をなくすことで搭乗ゲートの機構を簡略化(搬送路や切断箇所など)でき、ゲートの通過を簡便することで、利用者の煩わしさを解消して利便性の向上にもつながると考える。さらに本発明は、比較的低コストにて実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1はホスト、チェックイン機、搭乗ゲート(リーダ)などの構成を示すブロック図である。図2は本発明にて利用される簡易搭乗券の例である。図3は本発明における処理手順の実施形態を示すフローチャートである。
【0011】
図1において、10は搭乗券発行会社としての航空会社ホストであり、予約状況や売上金額など搭乗券に関わる情報を管理する。またこのホストは通信装置11を介して、所定の空港に設置されている自動チェックイン機20及びその空港の航空機への搭乗口に設置されている搭乗ゲート40と接続している。
【0012】
利用者が使用するPC/携帯端末機30を用いて、インターネットなどで搭乗券の予約を行う。利用者は航空機の利用が必要な場合、発着地、出発日時など希望内容をインターネットを介して各航空会社のWebページなどで予約する(STEP101)。予約内容を受け付けた航空会社ホスト10は、付属の記憶装置13などを参照し、希望に該当する航空便の座席を確定して予約を成立させる(STEP102)。該当する航空便または座席などがない場合は、その旨をWebページ上に表示し、予約内容の再入力を促す。予約が成立すると、航空会社ホスト10は予約確定データを利用者に送付(ICカードや二次元コードといった媒体への書き込み、旅程表の郵送など)する(STEP103)。同時に、付属の記憶装置13にこの予約情報を売上完了として記憶する。
【0013】
空港の自動チェックイン機20では、ICカードR/W26や二次元コードリーダ27など所定のリーダに、利用者は予約確定データを読み込ませ、通信装置21を介して予約データ送付や発券依頼などを行う(STEP104)。航空会社ホスト10では、記憶装置13より予約確定データを参照し、利用者の搭乗資格をチェックする(STEP105)。非予約者と判別した場合は、読み込んだ予約確定データの媒体を排出するなどを行い、簡易搭乗券の発券を拒否する(STEP106)。既予約者と判別した場合、該当する予約確定データに関する発券データ(搭乗情報)を、通信装置11を介して送付する(STEP107)。同時に、記憶装置13にある該当データをチェックイン済みに更新する。
【0014】
発券データ(搭乗情報)を受け取った自動チェックイン機20は、図2で表されるような、搭乗情報と二次元コードで構成する簡易搭乗券を発券する(STEP112)。この際、二次元コード作成ツール28にて、STEP109/STEP110/STEP111で表される次の三例のような毎時情報を利用して二次元コード化を行う。一つ目は、チェックインの時刻を二次元コードに変換するものである(STEP109)。これは、STEP104のチェックイン処理において、利用者がチェックインを行った時刻(9:00:00や9:30:15など)をタイマー24で管理して、また、航空会社ホスト10でも記憶装置13に記憶させる。同じ航空機(航空便名)に搭乗する人の中でも、早めに空港に着いている人もいれば、直前の時刻に空港へ来てチェックインを行う人もおり、チェックイン時刻にはある程度バラつきがあるため、判別を行う一つの基準に用いることが可能だと考える。二つ目は、搭乗予定の航空機便名を二次元コードに変換するものである(STEP110)。これは、航空会社ホスト10の記憶装置13から、利用者の搭乗予定である航空機便名(NW2など)を参照するものである。三つ目はSTEP109と同じく、チェックインの時刻を応用して二次元コードに変換するものである(STEP111)。これは、STEP109と異なりチェックイン時刻ごとに記号(例えば、16:00〜17:00はabcd、17:00〜18:00はefgh・・・など)を設定する。航空会社ホスト10にてこの記号の設定/管理を行い、記憶装置13に記憶する。STEP110とSTEP111においては、ある程度まとまった人数が、同じ便名/記号に振り分けられることになるが、搭乗ゲートでの最終確認時のデータマッチングがその分やりやすくなるのではないかと考える。これら三つの例のように毎時情報を二次元コードへ変換したものは、航空会社ホスト10の記憶装置13にも記憶され、また、搭乗ゲートでの簡易搭乗券の真偽判別に用いる。また、STEP110やSTEP111に代えて航空機便名に応じて記号を設定するようにしても良い。また、STEP111のような記号の追加だけでなく、文字を変換する等しても良く、暗号化と総称する。
【0015】
利用者は発券された簡易搭乗券を利用して、空港の搭乗ゲート(リーダ)40で搭乗処理を行う(STEP113)。読み取り部41で読み取った簡易搭乗券については、航空会社ホスト10に接続される記憶装置13から参照して、搭乗情報の記載内容の真偽を判別する(STEP114)。航空会社ホスト10の記憶装置13には、STEP101〜STEP107において作成された発券データ(搭乗情報)が記憶されているため、該当データを参照しデータのマッチングを行って、搭乗情報の真偽を判別する。次に、簡易搭乗券にある二次元コードの記載内容の真偽を判別する。同じように、航空会社ホスト10の記憶装置13には、STEP109/STEP110/STEP111において作成された二次元コードの情報が記憶されているため、該当データを参照して二次元コード情報の真偽を判別する(STEP116)。STEP114とSTEP116の判別結果において、不正に偽造された簡易搭乗券だと判別された場合、読み取った簡易搭乗券の排出を行って搭乗ゲートの通過を拒否する(STEP115)。二次元コードについては、STEP109/STEP110/STEP111にある三つの例をチェックインの際に情報付加を行うことにより、チェックインから搭乗までの短時間では、簡易搭乗券が偽造される可能性を低減できる。従来の搭乗ゲートでは、搭乗券に記載された情報の確認だけであるため、偽造されていた場合の判別に不安があった。上記二次元コードを用いることで、短時間の間に付加された情報も判別に用いることができ、偽造に対するセキュリティ面の向上が期待できる。STEP114とSTEP116の両方において、正しい簡易搭乗券と判別されることで搭乗ゲートの通過が可能となり、航空機への搭乗となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ハードウェアのブロック図である。
【図2】簡易搭乗券の例である。
【図3】本発明の処理手順の実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
10 航空会社ホスト
11 通信装置
12 制御装置
13 記憶装置
15 データテーブル
20 チェックイン機
21 通信装置
22 表示部
23 入力部
24 タイマー
25 制御装置
26 ICカードR/W
27 二次元コードリーダ
28 二次元コード作成ツール
29 チケット発行器
30 PC/携帯端末機
40 搭乗ゲート(リーダ)
41 読取部
42 制御装置
43 通信装置
44 表示部
45 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客情報の入力に応じて搭乗のチェックインを行うチェックイン機であって、
前記顧客情報に対応する搭乗情報に、チェックイン時間又は搭乗予定便に応じた暗号化を施して出力することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−318328(P2006−318328A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142092(P2005−142092)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】