説明

色彩および効果を付与する多層コーティングの製造方法

(A)第一の色彩および/または効果を付与するコーティング、(B)第二の色彩および/または効果を付与するコーティングおよび(C)透明コーティングを有する多層コーティングを、水性被覆材料(A)および(B)および被覆材料(C)を、(i)下塗りされてない支持体または(ii)硬化していない下塗塗料(G)により、または(iii)硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体上に適用し、湿潤層(A)、(B)および(C)ならびに場合により硬化していない下塗塗料(G)を一緒に硬化させ、その際、被覆材料(A)が、(a.1)(共)重合可能なオレフィン系不飽和基を有するモノマー(a.1.1)または少なくとも2のコモノマー(a.1.1)を、共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタンおよび側位の、および/または共重合可能なオレフィン系不飽和基を有するポリウレタンからなる群から選択されるポリウレタン(a.1.2)の存在下で(共)重合し、ならびに場合により部分的にまたは完全に中和することにより製造することができる(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー、(a.2)色彩および/または効果を付与する顔料、(a.3)UV線吸収性顔料および(a.4)タルクを含有する、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを支持体上に製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は色彩および効果を付与する多層コーティングを製造するための新規の方法に関する。さらに本発明はこの新規の方法を使用して製造される色彩および/または効果を与える多層コーティングおよびその使用に関する。
【0002】
従来技術
現代の乗用車、特に上級の乗用車は、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを有する。周知のとおり、これらは電着コーティング、サーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層、色彩および/または効果を付与するベースコーティングおよびクリアコーティングを有する。多層コーティングはいわゆるウェット・オン・ウェット法により製造され、この場合、乾燥しているが、硬化していないベースコート層にクリアコート層を適用し、その後、少なくともベースコート層およびクリアコート層を一緒に熱により硬化させる。この方法では電着コーティングおよびサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層の製造もまた取り入れることができる。
【0003】
色彩および/または効果を付与する多層コーティングは周知のとおり、いわゆる自動車品質を有する。欧州特許EP0352298B1、第15頁、第42行目〜第17頁、第14行目によればこのことは、該当する多層コーティングが
(1)高い光沢、
(2)高い鮮映性(DOI、distinctiveness of the reflected image)、
(3)高く、かつ均一な隠蔽力、
(4)均一な乾燥膜厚、
(5)高いベンジン安定性、
(6)高い溶剤安定性、
(7)高い酸安定性、
(8)高い硬度、
(9)高い耐摩耗性、
(10)高い耐引掻性、
(11)高い耐衝撃性、
(12)高い中間層付着性及び支持体上での付着
および
(13)高い耐候性およびUV安定性
を有することを意味する。この場合、サーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層は本質的な技術的特性、たとえば耐衝撃性および光沢および全コーティングのレベリングにとって決定的である。従ってサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層の品質に対しては特に高い要求が課される。
【0004】
あるいはまた、サーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層を製造する被覆材料の技術的特性に対しても特別な要求が課される。何よりも該材料は要求される品質のサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層を問題なく、および優れて再現することができなくてはならない。該材料はまた、容易かつ優れて再現可能な方法で製造することができなくてはならない。
【0005】
特に該材料はさらに、自動車製造業者の製造ラインにおいても現代の適用法を用いて、35μmおよびそれ以上の乾燥膜厚を得るために、比較的高い湿潤膜厚で、塗膜の欠陥無く適用することができなくてはならない。しかしサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層の問題の無い技術的な機能のために必要とされているこれらの高い乾燥膜厚は、重大な欠点を有している。というのも、これは比較的高い原料コストおよびエネルギーコストを伴うからである。
【0006】
従って自動車産業は、サーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層の乾燥膜厚を低減して原料コストおよびエネルギーコストを低減し、その際、多層コーティングの適用技術的特性プロフィールが低下することがない、特にUV安定性が低下することがないことを目指している。
【0007】
この問題を解決するために、ドイツ国特許出願DE4438504A1から公知の方法は重要な貢献をしている。この方法の場合、支持体を電着塗料によって被覆する。得られる電着塗膜は焼き付けられる。得られる電着コーティングは第一の、物理的に、または熱により硬化可能な水性ベースコートにより被覆される。得られる第一のベースコート層は、該層をあらかじめ完全に硬化させずに、第二の熱により硬化可能な水性ベースコートにより被覆される。得られる第二のベースコート層は、該層を完全に硬化させずに、クリアコートにより被覆され、このことによりクリアコート層が得られる。引き続き第一および第二のベースコート層およびクリアコート層を一緒に焼き付ける。
【0008】
第一の、物理的に、または熱により硬化することができる水性ベースコートはバインダーとして、
− 400〜5000の数平均分子量を有するポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1のポリオール、
− 少なくとも1のポリイソシアネートならびに場合により
− 分子中に少なくとも1のイソシアネート反応性の官能基および少なくとも1の(潜在的な)アニオン基を有する少なくとも1の化合物、
− 分子中に少なくとも1のイソシアネート反応性の官能基および少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)基を有する少なくとも1の化合物および
− 分子中にヒドロキシル基および/またはアミノ基を有する、60〜600ダルトンの数平均分子量の少なくとも1の化合物
の反応、および得られる反応生成物の中和により製造可能な、10〜60mgKOH/gの酸価および4000〜25000ダルトンの数平均分子量を有する少なくとも1の水で希釈可能なポリウレタン樹脂を含有している。第一のベースコートは特に顔料として二酸化チタンおよび体質顔料としてタルクを含有していてもよい。第一のベースコートは第一のベースコーティングまたは機能層となり、これは<35μm、有利には<15μmの乾燥膜厚で、多層コーティングの実質的な技術的特性を失うことなく、従来のサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層と置換することができる。
【0009】
しかし公知の方法は、該方法で使用される第一のベースコートが方法の特に経済的な実施のために望ましい貯蔵安定性をなお有してないという欠点を有する。従って、極めて良好な適用技術的特性を有する多層コーティングを得るためには、第一のベースコートをその適用の直前に製造する必要がある。それ以外にも第一のベースコートはいわゆる特別な調製(Sonderanfertigung)であり、従って第二のベースコートに基づいて容易に製造することができない。さらにいくつかの場合には、該当する多層コーティングのUV安定性はもはや完全な範囲で保証されないことが判明した。というのも、公知の第一のベースコーティングは電着コーティングに対して比較的多くのUV線を透過し、このことは場合により付着の問題につながる。確かにこの問題はいくつかの場合には太陽光により長く暴露することにより現れるが、しかしこの問題を完全に回避することが望ましい。
【0010】
少なくとも1の(共)重合可能なオレフィン系不飽和基を有するモノマーまたは少なくとも2のコモノマーを、共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタンおよび少なくとも1の側位の、および/または少なくとも1の末端の共重合可能なオレフィン系不飽和基を有するポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1のポリウレタンの存在下に(共)重合し、ならびに場合により部分的に、または完全に中和することにより製造することができる(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマーは、ドイツ国特許出願DE4437535A1、DE19948044A1またはDE10039262A1、欧州特許出願EP0522419A1またはEP0522420A2または国際特許出願WO98/54266A1から公知である。これらのグラフトコポリマーは特に水性ベースコート中でのバインダーとして使用され、該ベースコートは多層コーティングの色彩および/または効果を付与するベースコーティングまたはソリッドカラーコーティングの製造に使用される。
【0011】
この場合、水性ベースコートをウェット・オン・ウェット法の範囲内で加工する。これは次の方法工程を含む:
(I)支持体上にサーフェイサーを適用することによりサーフェイサーコート層を製造、
(II)該サーフェイサーコート層の乾燥、
(III)サーフェイサーコート層上への水性ベースコートの適用によるベースコート層の製造、
(IV)ベースコート層の乾燥、
(V)ベースコート層上へのクリアコートの適用によるクリアコート層の製造、
(VI)サーフェイサーコート層、ベースコート層およびクリアコート層を一緒に硬化、このことによりサーフェイサー、ベースコーティングおよびクリアコーティングが得られる(たとえばドイツ国特許出願DE1948004A1、第17頁第59〜69行目を参照のこと)。
【0012】
使用されるサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層に関するより具体的な記載は存在しない。たとえばドイツ国特許出願DE19948004A1の第22頁、第18〜20行目またはドイツ国特許出願DE10039262A1の第20頁第17〜20行目には単に、サーフェイサーとしてBASF Coatings AG社の市販の水性サーフェイサーEcoprime(登録商標)が使用されているのみである。
【0013】
しかし一般に公知の水性ベースコートは良好な貯蔵安定性を有する。多層コーティング中で通例かつ公知のサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層と置換することができるベースコートを製造するためのその使用は、前記の特許出願明細書からは明らかではない。
【0014】
本発明の課題
本発明の課題は、少なくとも1の物理的に、または熱により硬化可能な水性被覆材料(A)、少なくとも1の熱により硬化可能な水性被覆材料(B)および少なくとも1の被覆材料(C)を
(i)下塗りされてない支持体、
(ii)少なくとも1の硬化していない、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体または
(iii)少なくとも1の完全に硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体
上に連続的に適用し、かつ
(1)得られた湿潤層(A)、(B)および(C)または
(2)(A)、(B)および(C)および1もしくは複数の硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)
を一緒に硬化することによって、
(A)少なくとも1の第一の色彩および/または効果を付与するコーティング、
(B)少なくとも1の第二の色彩および/または効果を付与するコーティング
および
(C)少なくとも1の透明コーティング
がこの順序で重なったものを有する、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを支持体上に製造するための新規の方法を提供することであり、該方法は従来技術の欠点をもはや有しておらず、使用される第一の物理的に、または熱により硬化可能な、水性ベースコート(A)は高い貯蔵安定性を有するのみでなく、剪断応力下での改善された安定性、特に高い閉鎖循環安定性(Ringleitungsstabilitaet)を有する。新規の方法で使用される第一の物理的に、または熱により硬化可能な水性ベースコート(A)は、容易な方法で市販の水性ベースコートをベースとして製造することができ、かつ第一の色彩および/または効果を付与するベースコーティング(A)が得られ、該コーティングは<15μmの膜厚であっても従来のサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層と全ての範囲で置換することができ、多層コーティングの適用技術的な特性、特に耐チッピング性およびUV安定性は長時間の暴露の後でも否定的な影響を受けることがない。その際、この新規の方法は、静電噴霧塗装およびエア霧化塗装によるベースコートの塗布のためにすでに存在する装置で実施することができ、このために設計変更は必要とされない。さらに新規の方法に基づいて、新たに設置される塗装装置では完全にサーフェイサーを適用するための装置を省略することができる。
【0015】
本発明による解決方法
従って、
少なくとも1の物理的に、または熱により硬化可能な水性被覆材料(A)、
少なくとも1の熱により硬化可能な水性被覆材料(B)および
少なくとも1の被覆材料(C)を、
(i)下塗りされてない支持体、
(ii)少なくとも1の硬化していない、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体または
(iii)少なくとも1の完全に硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体
上に連続的に適用し、かつ
(1)得られた湿潤層(A)、(B)および(C)または
(2)(A)、(B)および(C)および1もしくは複数の硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)
を一緒に硬化することによって、
(A)少なくとも1の第一の色彩および/または効果を付与するコーティング、
(B)少なくとも1の第二の色彩および/または効果を付与するコーティング
および
(C)少なくとも1の透明コーティング
がこの順序で重なったものを有する、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを支持体上に製造する新規の方法が判明し、該方法では、被覆材料(A)が、
(a.1)少なくとも1の(共)重合可能なオレフィン系不飽和基を有するモノマー(a.1.1)または少なくとも2のコモノマー(a.1.1)を、共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタンおよび少なくとも1の側位の、および/または少なくとも1の末端の共重合可能なオレフィン系不飽和基を有するポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1のポリウレタン(a.1.2)の存在下で(共)重合し、ならびに場合により部分的にまたは完全に中和することにより製造することができる少なくとも1の(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー、
(a.2)少なくとも1の色彩および/または効果を付与する顔料、
(a.3)少なくとも1のUV線吸収性顔料および
(a.4)タルク
を含有する。
【0016】
以下では支持体上に色彩および/または効果を付与する多層コーティングを製造するための新規の方法を「本発明による方法」とよぶ。
【0017】
本発明による方法の利点
従来技術を鑑みると、本発明の根底にある課題を本発明による方法によって解決することができたことは意想外であり、かつ当業者が予測できるものではなかった。特に、本発明により使用される第一の物理的に、または熱により硬化可能な水性ベースコート(A)は、高い貯蔵安定性を有しているのみでなく、剪断応力下でも改善された安定性も、特に高い閉鎖循環安定性を有していることは意外であった。本発明により使用される第一の物理的に、または熱により硬化可能な水性ベースコート(A)は市販の水性ベースコートをベースとして容易な方法で製造することができ、かつ第一の色彩および/または効果を付与するベースコーティング(A)は、<15μmの膜厚であっても従来のサーフェイサーコーティング、耐チッピングプライマーまたは機能層と全ての範囲で置換することができ、多層コーティングの適用技術的な特性、特に耐チッピング性およびUV安定性は、長時間の暴露の後でも否定的な影響を受けなかった。この場合、本発明による方法は静電噴霧塗装およびエア霧化塗装によりベースコートを塗布するためにすでに存在する装置中で実施することができ、このために設計変更は必要とされない。さらに本発明による方法によれば新たに設置される塗装装置ではサーフェイサーを塗布するための装置を完全に省略することができる。
【0018】
本発明による方法の詳細な記載
本発明による方法を種々の支持体上で色彩および/または効果を付与する多層コーティングを製造するために使用する。
【0019】
周知のとおり、この多層コーティングは、
(A)少なくとも1の第一の色彩および/または効果を付与するコーティング、
(B)少なくとも1の第二の色彩および/または効果を付与するコーティング
および
(C)少なくとも1の透明コーティング
がこの順序で重なったものを有する。
【0020】
周知のとおり、該コーティングは、少なくとも1の物理的に、または熱により硬化可能な水性被覆材料(A)、少なくとも1の熱により硬化可能な水性被覆材料(B)および少なくとも1の被覆材料(C)を、
(i)下塗りされてない支持体、
(ii)少なくとも1の硬化していない、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体または
(iii)少なくとも1の完全に硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体
上に連続的に適用し、かつ
(1)得られた湿潤層(A)、(B)および(C)または
(2)(A)、(B)および(C)および1もしくは複数の硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)
を一緒に硬化することによって製造される。このような方法はたとえばドイツ国特許出願DE4438504A1、第4頁第62行目〜第5頁第20行目および第5頁第59行目〜第6頁第9行目ならびにドイツ国特許出願DE19948004A1、第17頁第59行目〜第19頁第22行目および第22頁第13行目〜31行目から第21頁の第1表との関連において公知である。
【0021】
本発明による方法にとって、使用される物理的に、または熱により硬化可能な水性ベースコート(A)が本質的な成分として1、特に1の(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー(a.1)を含有していることが重要である。
【0022】
本発明の範囲で特に(コ)ポリマー(a.1)は、少なくとも1のモノマー(a.1.1)から、ポリウレタン(a.1.2)の存在下に、有利には熱により開始されるラジカル(共)重合により製造されているが、しかしそのポリマー鎖またはコポリマー鎖は主としてポリウレタン(a.1.2)のポリマー主鎖と共有結合により結合していないホモポリマーまたはコポリマーであると理解すべきである。「主として」とはここでは、存在するポリマー鎖またはコポリマー鎖の50%より多く、かつ100%までがポリウレタン(a.1.2)のポリマー主鎖と結合してないことを意味する。
【0023】
これに対して本発明の範囲では、グラフトコポリマー(a.1)とは、少なくとも1のモノマー(a.1.1)からポリウレタン(a.1.2)の存在下に有利には熱により開始されるラジカル(共)重合によって製造されており、そのポリマー鎖またはコポリマー鎖が主としてポリウレタン(a.1.2)のポリマー主鎖と共有結合により結合しているホモポリマーまたはコポリマーであると理解すべきである。「主として」とはここでは、存在するポリマー鎖またはコポリマー鎖の50%より多く、かつ100%までがポリウレタン(a.1.2)のポリマー主鎖と結合していることを意味する。
【0024】
(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマーは、少なくとも1の(共)重合可能なオレフィン系不飽和基を有するモノマー(a.1.1)または少なくとも2のコモノマー(a.1.1)を、共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタンおよび少なくとも1の側位の、および/または少なくとも1の末端の共重合性のオレフィン系不飽和基を有するポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1のポリウレタン(a.1.2)の存在下に(共)重合し、ならびに場合により部分的に、または完全に中和することにより製造することができる。
【0025】
有利には共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタン(a.1.2)を(コ)ポリマー(a.1)の製造のために使用する。
【0026】
有利には少なくとも1の側位の、および/または少なくとも1の末端の共重合性のオレフィン系不飽和基を有するポリウレタン(a.1.2)をグラフトコポリマー(a.1)の製造のために使用する。
【0027】
有利には本発明による方法の場合、グラフトコポリマー(a.1)を使用する。
【0028】
有利には(共)重合またはグラフト共重合を有機溶液または水性分散液中で、特に水性分散液中で実施する。この場合、有利には酸基を有していない(コ)モノマー(a.1.1)を使用する。有利には(コ)モノマー(a.1.1)の(共)重合性のオレフィン系不飽和基は、(メタ)アクリレート−、エタクリレート−、クロトネート−、シンナメート−、ビニル−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエステル基からなる群から選択される。これは特に(メタ)アクリレート基である。適切な(コ)モノマー(a.1.1)はたとえばドイツ国特許出願DE19948004A1、第11頁第30行目から第12頁第60行目から公知である。
【0029】
有利にはポリウレタン(a.1.2)の共重合性のオレフィン系不飽和基は、(メタ)アクリレート−、エタクリレート−、クロトネート−、シンナメート−、ビニル−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエステル基からなる群から選択される。これは有利にはビニル基である。特にエテニルアリーレン基にはビニル基が含まれている。
【0030】
(コ)ポリマー(a.1)の製造は自体公知であり、たとえばドイツ国特許出願DE4437535A1、第2頁第27行目〜第6頁第22行目に具体的に記載されている。
【0031】
グラフトコポリマー(a.1)の製造は同様に自体公知であり、かつたとえば特許出願:
− WO98/54266A1、第3頁第28行目から第4頁第21行目、第5頁第14行目、第6頁第6行目、第6頁第8行目から第7頁第3行目、第7頁第25行目から第22頁第13行目、第22頁第19行目〜第29頁、第32頁第10行目から第33頁第9行目、「例1:バインダー成分a)の水性分散液」および第33頁第12行目から第34頁第10行目、「例2:バインダー成分b)の水性分散液」;
− EP0522419A1、第1欄第27行目〜第48行目、第1欄第49行目から第2欄第13行目、第2欄第14行目〜第41行目、第2欄第42行目〜56行目、第2欄第57行目〜第8欄第57行目、第8欄第58行目〜第9欄第55行目、第10欄第5行目〜第12欄第53行目ならびに第14欄第42行目〜第17欄第11行目;
− EP0522420A2、第1欄第19行目から第8欄第7行目、第8欄第15行目から第9欄第38行目ならびに第11欄第28行目、第14欄第10行目;
− DE10039262A1、第4頁、段落[0027]から第9欄、段落[0101]、第9頁、段落[0107]から第12頁、段落[0129]、第17頁、段落[0193]および第18頁、段落[0194];および
− DE19948004A1、第4頁第19行目から第10頁第38行目、第10頁第42行目から第13頁第48行目、第19頁第44行目〜54行目、「製造例1−本発明により使用される付加物(B2)の製造」、第19頁第56行目から第20頁、第7行目、「例1−本発明によるポリウレタン(B)の製造」および第20頁であれば、第9〜21行目、「例2−本発明によるグラフトコポリマー1の一次分散液の製造」
に詳細に記載されている。特にドイツ国特許出願DE19948004A1に詳細に記載されている、少なくとも1の共重合されたオレフィン系不飽和モノマーからなる疎水性コアと、少なくとも1の親水性ポリウレタンからなる親水性シェルとを有するグラフトコポリマー1および2、特にグラフトコポリマー1を、グラフトコポリマー(a.1)として使用する(DE19948004A1、第10頁、第42行目〜57行目を第4頁第12〜18行目との関連において参照のこと)。
【0032】
従って本発明による方法において使用すべきポリウレタンは有利には、
(1)少なくとも1の遊離イソシアネート基を有する少なくとも1のポリウレタンプレポリマー(a.1.2.1)と、
(2)少なくとも1のエテニルアリーレンモノイソシアネートと、少なくとも2のイソシアネート反応性の官能基を有する少なくとも1の化合物とを、付加物(a.1.2.2)中に少なくとも1のイソシアネート反応性の官能基が残留するように相互に反応させることにより得られる少なくとも1の付加物(a.1.2.2)
を反応させることにより製造される。
【0033】
有利にはイソシアネート反応性の官能基は、ヒドロキシル基、チオール基および第一級および第二級アミノ基からなる群から選択される。
【0034】
有利にはエテニルアリーレンモノイソシアネートは、一般式Iを有する:
CH=C(R)−A−X−NCO (I)
[式中、変項は次の意味を有する:
A=置換された、または置換されていないC〜C20−アリーレン基、
R=水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換された、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、および
X=二価の有機基]。
【0035】
有利にはアリーレン基Aは1,2−、1,3−および/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンである。
【0036】
有利にはRは水素原子またはメチル基、特にメチル基である。
【0037】
有利には二価の有機基Xは分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC〜C−アルカンジイル基である。
【0038】
有利には二価の有機基Xは−C(CH−である。
【0039】
特にエテニルアリーレンモノイソシアネートIまたは少なくとも1のエテニルアリーレンモノイソシアネートIは1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)−ベンゼンである。
【0040】
特にポリウレタン(a.1.2)は親水性の官能基、特にカルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する。
【0041】
(詳細はDE19948004A1:第6頁第34行目から第7頁第48行目、第8頁第5行目から第9頁第40行目を参照のこと)。
【0042】
有利には、DE19948004A1、第12頁第62行目から第13頁第48行目に記載されているようなグラフト共重合を実施する。
【0043】
本発明により使用される水性ベースコート(A)において使用するために、(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー(a.1)、特にグラフトコポリマー(a.1)を部分的に、または完全に中和し、このことにより潜在的なアニオン基、つまり酸基の一部または全てをアニオン基に変換することができる。適切な中和剤はDE4437535A1、第6頁第7行目〜16行目、またはDE19948004A1、第DE19948004A1、第7頁第4行目〜8行目から公知である。
【0044】
本発明により使用すべき水性ベースコート(A)の(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー(a.1)の含有率は、極めて広い範囲で変更することができ、かつ個々の事例の要求に適合させる。有利には(A)の(a.1)の含有率は、(A)の固体に対して5〜50質量%、特に10〜40質量%である。
【0045】
本発明により使用すべき水性ベースコート(A)は、少なくとも1の色彩および/または効果を付与する顔料(a.2)を含有する。有利には顔料(a.2)は、有機および無機、着色、光学的効果を付与する、色彩および光学的効果を付与する、磁気遮閉性、導電性、防食性、蛍光および燐光顔料からなる群から、特に有機および無機、色彩を付与する、光学的効果を付与する、色彩および光学的効果を付与する顔料からなる群から選択されている。
【0046】
色彩も付与することができる適切な効果顔料の例は金属フレーク顔料、たとえば市販のアルミニウムブロンズ、DE3636183A1によるクロム酸塩処理したアルミニウムブロンズ、および市販の特殊鋼ブロンズ、ならびに非金属の効果顔料、たとえば真珠光沢顔料もしくは干渉顔料、ピンク色から赤褐色までの色調を有する酸化鉄をベースとするフレーク状の効果顔料または液晶質効果顔料である。補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、第176頁、「効果顔料(Effektpigmente)」および第380頁および第381頁、「金属酸化物−雲母−顔料(Metalloxid−Glimmer−Pigmente)」から「金属顔料(Metallpigmente)」、および特許出願および特許DE3636156A1、DE3718446A1、DE3719804A1、DE3930601A1、EP0068311A1、EP0264843A1、EP0265820A1、EP0283852A1、EP0293746A1、EP0417567A1、US4,828,826AまたはUS5,244,649Aを参照のこと。
【0047】
適切な無機着色顔料のための例は、白色顔料、たとえば亜鉛白、硫化亜鉛またはリトポン;黒色顔料、たとえばカーボンブラック、鉄−マンガン−黒またはスピネル黒;有色顔料、たとえば酸化クロム、酸化クロム水和物緑、コバルトグリーンまたはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーまたはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットまたはコバルト−およびマンガンバイオレット、酸化鉄赤、カドミウムスルホセレニド、モリブデンレッドまたはウルトラマリンレッド;酸化鉄茶、ミックスブラウン、スピネル−およびコランダム相またはクロムオレンジ;または酸化鉄イエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエローまたはバナジン酸ビスマスである。
【0048】
適切な有機着色顔料のための例は、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料またはアニリン黒である。
【0049】
補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、第180頁および第181頁、「紺青−顔料(Eisenblau−Pigmente)」から「酸化鉄黒(Eisenoxidschwarz)」、第451頁〜第453頁、「顔料(Pigmente)」から「顔料体積濃度(Pigmentvolumenkonzentration)」、第563頁、「チオインジゴ−顔料(Thioindigo−Pigmente)」、第567頁、「二酸化チタン−顔料(Titandioxid−Pigmente)」、第400頁および第467頁、「天然由来の顔料(Natuerlich vorkommende−Pigmente)」、第459頁、「多環式顔料(Polycyclische Pigmente)」、第52頁、「アゾメチン−顔料(Azomethin−Pigmente)」、「アゾ顔料(Azopigmente)」および第379頁、「金属錯体−顔料(Metallkomplex−Pigmente)」を参照のこと。
【0050】
蛍光および燐光顔料(昼光顔料)のための例はビス(アゾメチン)顔料である。
【0051】
適切な導電性顔料のための例は二酸化チタン/酸化スズ顔料である。
【0052】
磁気遮閉性顔料のための例は酸化鉄または二酸化クロムをベースとする顔料である。
【0053】
適切な防食性顔料の例はケイ酸鉛、リン酸亜鉛またはホウ酸亜鉛である。
【0054】
水性ベースコート(A)の顔料(a.2)の含有率は極めて広い範囲で変更することができ、かつ第一に効果、特に光学的効果の強度、および/または調整すべき色調に応じて適合させるべきである。
【0055】
本発明によれば水性ベースコート(A)は、少なくとも1のUV線吸収性顔料(a.3)、特に2種類の紫外線吸収性顔料(a.3)を含有する。
【0056】
有利には紫外線を吸収する顔料(a.3)は、二酸化チタン顔料およびカーボンブラック顔料からなる群から選択される。有利には少なくとも1種の二酸化チタン顔料(a.3)および少なくとも1種のカーボンブラック顔料(a.3)を使用する。
【0057】
(A)の二酸化チタン顔料および/またはカーボンブラック顔料(a.3)の含有率は極めて広い範囲で変更することができ、かつ個別の事例の要求に応じて、特に顔料(a.2)によりベースコーティング(A)および(B)中で惹起される紫外線の透過率に適合させる。
【0058】
有利には(A)の二酸化チタン顔料(a.3)の含有率は、(A)の固体に対して0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%である。
【0059】
有利には(A)のカーボンブラック顔料(a.3)の含有率は、(A)の固体に対して0.001〜2質量%、特に0.01〜1質量%である。
【0060】
本発明によれば、水性ベースコート(A)は、少なくとも1、特に1のタルク顔料(a.4)を含有している。(A)のタルク(a.4)の含有率は極めて広い範囲で変更することができ、かつ個別の事例の要求に適合させる。有利には(A)の(a.4)の含有率は、(A)の固体に対して、0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%である。
【0061】
さらに、本発明により使用される水性ベースコート(A)は、少なくとも1の通例かつ公知の添加剤(a.5)を有効量で含有していてよい。有利には1もしくは複数の添加剤(a.5)は、架橋剤;以下に水性ベースコート(B)との関連において記載される文献に記載されているポリウレタンを含む(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー(a.1)とは異なった、オリゴマーおよびポリマーのバインダー;顔料(a.2)〜(a.4)とは異なった、有機および無機の、有色および無色、透明、不透明、有機および無機顔料、充填剤およびナノ粒子;有機溶剤;乾燥剤:沈殿防止剤;UV吸収剤;光保護剤;ラジカル捕捉剤;脱気剤;スリップ助剤;重合防止剤;消泡剤;乳化剤;湿潤剤;定着剤;レベリング剤;塗膜形成助剤;レオロジー調節剤および難燃剤からなる群から選択される。
【0062】
適切な添加剤(a.5)の例はドイツ国特許出願DE19948004A1、第14頁第32行目〜第17頁第5行目に記載されている。
【0063】
本発明により使用される水性ベースコート(A)の製造は方法的に特別なところはなく、有利には前記の成分を通例かつ公知の混合法および装置、たとえば攪拌容器、攪拌ミル、押出機、混練機、ウルトラツラックス、インライン溶解機、スタチックミキサー、歯車式分散装置、放圧ノズルおよび/またはマイクロ流動化装置により混合し、かつ得られる混合物を均質化することにより行う。
【0064】
確かに水性ベースコート(A)は、液状の被覆材料を適用するための全ての通例かつ公知の方法を用いて適用することができるが、しかし本発明による方法のためには、静電噴霧塗装(ESTA)を用いて、有利には高速回転ベルを用いて適用すると有利である。有利には得られるベースコート層(A)の硬化後に、6〜30μm、特に8〜25μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で適用する。
【0065】
本発明による方法の場合、水性ベースコート層(A)を直ちに熱により硬化することができる水性被覆材料(B)により被覆する。あるいは該ベースコート層をまずフラッシュオフするか、または乾燥させるが、その際、硬化させないか、または部分的に硬化させるのみで、引き続き熱により硬化可能な水性被覆材料(B)により被覆する。
【0066】
有利には熱により硬化可能な水性被覆材料(B)は通例かつ公知の水性ベースコート、たとえば米国特許US5,114,789A、第7欄、第41行目から第8欄、第33行目、第11欄、第24行目〜50行目、および第13欄第30行目〜40行目、欧州特許EP0352298B1、第9頁第19行目から第12頁第38行目、または特許出願EP0089497A1、EP0256540A1、EP0260447A1、EP0297576A1、WO96/12747、EP0523610A1、EP0228003A1、EP0397806A1、EP0574417A1、EP0531510A1、EP0581211A1、EP0708788A1、EP0593454A1、DE4328092A1、EP0299148A1、EP0394737A1、EP0590484A1、EP0234362A1、EP0234361A1、EP0543817A1、WO95/14721、EP0521928A1、EP0649865A1、EP0536712A1、EP0596460A1、EP0596461A1、EP0584818A1、EP0669356A1、EP0634431A1、EP0678536A1、EP0354261A1、EP0424705A1、WO97/49745、WO97/49747、EP0401565A1、EP0496205A1、EP0358979A1、EP469389A1、DE2446442A1、DE3409080A1、DE19547944A1、DE19741554A1またはEP0817684、第5欄第31行目〜第45行目から公知のものである。
【0067】
特に、本発明により使用される水性ベースコート(A)と二酸化チタンおよびタルクの含有率までほぼまたは完全に同一である水性ベースコート(B)を使用する。これは本発明による方法の特別な利点である、というのは、この場合、水性ベースコート(A)を二酸化チタンおよびタルクを水性ベースコート(B)に添加することにより容易な方法で製造することができるからである。
【0068】
確かに水性ベースコート(B)は液状の被覆材料を適用するための通例かつ公知の方法を用いて適用することができるが、しかし本発明による方法のためには、エア霧化塗装により適用する場合に有利である。有利には、得られるベースコート層(A)の硬化の後で、4〜25μm、特に6〜20μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で適用する。
【0069】
本発明による方法の場合、水性ベースコート層(B)は直ちに被覆材料(C)により被覆される。あるいは該ベースコート層はまずフラッシュオフされるか、または乾燥され、ただしその際、硬化させないか、または部分的に硬化するのみであり、かつ引き続き被覆材料(C)により被覆される。
【0070】
有利には水性ベースコート(A)および(B)は、硬化の後に合計で10〜40μm、特に12〜35μmの乾燥膜厚(A+B)が得られるような湿潤膜厚で適用する。
【0071】
被覆材料(C)は透明な、特に光学的に清澄な、熱により、および/または化学線により硬化可能な被覆材料、特にクリアコートである。
【0072】
化学線とは、電磁線、たとえば近赤外線(NIR)、可視光、UV線、X線、およびγ線、特にUV線、および粒子線、たとえば電子線、β線、プロトン線、中性子線およびα線、特に電子線であると理解する。
【0073】
クリアコート(C)として、全ての通例かつ公知の一成分(1K)、二成分(2K)もしくは多成分(3K、4K)のクリアコート、粉体クリアコート、粉体スラリークリアコートまたはUV硬化性のクリアコートが考えられる。
【0074】
熱により硬化可能な一成分(1K)、二成分(2K)または多成分(3K、4K)のクリアコート(C)は特許出願DE4204518A1、EP0594068A1、EP0594071A1、EP0594142A1、EP0604992A1またはEP0596460A1、国際特許出願WO94/10211、WO94/10212、WO94/10213、WO94/22969またはWO92/22615または米国特許文献US5,474,811A、US5,356,669AまたはUS5,605,965Aから公知である。
【0075】
一成分(1K)クリアコート(C)は、周知のとおり、ヒドロキシル基を有するバインダーと、架橋剤、たとえばブロックトポリイソシアネート、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンおよび/またはアミノプラスト樹脂を含有している。別の変法では該クリアコートはバインダーとして側位のカルバメート基および/またはアロファネート基を有するポリマーを含有し、かつ架橋剤としてカルバメートおよび/またはアロファネート変性されたアミノプラスト樹脂を含有している(米国特許文献US5,474,811A、US5,356,669AまたはUS5,605,965A1、国際特許出願WO94/10211、WO94/10212またはWO94/10213または欧州特許出願EP0594068A1、EP0594071A1またはEP0594142A1を参照のこと)。
【0076】
二成分(2K)または多成分(3K、4K)クリアコート(B.2)は本質的な成分として周知のとおりヒドロキシル基を有するバインダーおよびポリイソシアネートを架橋剤として含有しており、これはその使用まで別々に貯蔵される。
【0077】
熱により硬化可能な粉体クリアコート(C)はたとえばドイツ国特許出願DE4222194A1、BASF Lacke+Farben AG社の製品情報誌、「粉体塗料(Pulverlacke)」、1990またはBASF Coatings AGの企業出版物である「粉体塗料、工業用の適用のための粉体塗料(Pulverlacke,Pulverlacke fuer industrielle Anwendungen)」2000年1月から公知である。
【0078】
粉体クリアコート(C)は本質的な成分として周知のとおり、エポキシ基を有するバインダーおよび架橋剤としてのポルカルボン酸を含有する。
【0079】
適切な粉体スラリーのクリアコート(C)の例はUS特許文献US4,268,542A1および特許出願DE19540977A1、DE19518392A1、DE19617086A1、DE19613547A1、EP0652264A1、DE19618657A1、DE19652813A1、DE19617086A1またはDE19814471A1から公知である。
【0080】
粉体スラリーのクリアコート(C)は周知のとおり、水性媒体中に分散した粉体クリアコート(B.2)を含有している。
【0081】
化学線により硬化可能なクリアコート、粉体クリアコートおよび粉体スラリーのクリアコート(C)は、たとえば欧州特許出願EP0928800A1、EP0636669A1、EP0410242A1、EP0783534A1、EP0650978A1、EP0650979A1、EP0650985A1、EP0540884A1、EP0568967A1、EP0054505A1またはEP0002866A1、欧州特許出願DE19917965A1、DE19835206A1、DE19709467A1、DE4203278A1、DE3316593A1、DE3836370A1、DE2436186A1、またはDE2003579B1、国際特許出願WO97/46549またはWO99/14254または米国特許文献US5,824,373A、US4,675,234A、US4,634,602A、US4,424,252A、US4,208,313A、US4,163,810A、US4,129,488A、US4,064,161AまたはUS3,974,303Aから明らかである。
【0082】
熱により、および化学線により硬化可能なクリアコート、粉体クリアコートおよび粉体スラリー−クリアコート(C)はたとえば特許出願DE19818735A1、WO98/40170、DE19908013A1、DE19908018A1、EP0844286A1またはEP0928800A1から明らかである。
【0083】
有利には熱により硬化可能な、または熱および化学線により硬化可能なクリアコート(C)を使用する。
【0084】
本発明による方法のために選択されるクリアコート(C)は、クリアコート(C)の凝集状態(液状または粉末状)に適合した通例かつ公知の適用方法により適用される。
【0085】
被覆材料(A)、(B)および(C)は、
(i)下塗りされていない支持体、
(ii)少なくとも1、特に1の、硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体または
(iii)少なくとも1、特に1の、完全に硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体
上に塗布することができる。
【0086】
支持体は種々の材料および材料の組み合わせから構成されていてよい。有利には支持体は金属、プラスチック、ガラス、木材、皮革、テキスタイル、セラミックまたは天然石から、有利には金属、プラスチックおよびガラスから、特に金属およびプラスチックからなる。
【0087】
支持体は種々の使用目的を有していてよい。有利には支持体は、船舶、列車、航空機、筋力により運転される車両および自動車を含む移動手段、特に乗用車、オートバイ、トラックおよびバスの車体、およびこれらの部材;建築物およびこれらの部材;ドア、窓;家具;工業用の小部品;機械、光学および電子部材;コイル、コンテナ;包装、ガラス中空体および日用品である。
【0088】
特に支持体は乗用車の車体およびその部材である。
【0089】
有利には車体は下塗塗料(G)を備えている。
【0090】
車体が鋼からなる場合、通例かつ公知の電着コーティングが下塗塗料(G)として使用される。電着コーティング(G)は通例かつ公知の方法で電気泳動により、特に陰極析出可能な電着塗料から製造される。得られる電着塗膜(G)は水性ベースコート(A)を適用する前に熱により硬化させることができる。あるいはまた該塗膜は単に乾燥させ、その際、硬化させないか、または部分的にのみ硬化させてもよく、その後、該塗膜を残りの層(A)、(B)および(C)と一緒に硬化させる。
【0091】
車体がアルミニウムからなる場合、アノード酸化により得られる酸化アルミニウム層を下塗塗料(G)として使用し、これはそのままではもはやそれ以上硬化する必要はない。
【0092】
車体の部材、つまりいわゆる取り付け部材がプラスチックからなる場合、これらは有利には通例かつ公知の水性下塗塗料(G)を有しているか、またはその表面の付着特性が化学的および/または物理的な方法により改善される。これらの場合にも下塗塗料(G)は一般に硬化させる必要がない。
【0093】
本発明による方法の場合、適用される層(A)、(B)および(C)を一緒に熱により硬化させる。クリアコート(C)がなお化学線により硬化可能である場合、化学線による照射によってさらに後硬化を行う。場合により使用される下塗塗料(G)がまだ硬化していなければ、該プライマーをこの方法工程で一緒に硬化させる。
【0094】
硬化は一定の静止時間の後で行うことができる。これは30秒〜2時間、有利には1分〜1時間および特に1〜45分の時間であってよい。静止時間はたとえば塗膜のレベリングおよび脱気または揮発性成分の蒸発のために役立つ。静止時間は90℃まで高めた温度を適用することにより、および/または<10g/水/kg空気、特に<5g/kg空気の低減された空気湿度により促進および/または短縮することができるが、ただしその際、塗膜の損傷または変質、たとえば早すぎる完全な硬化が生じないことが条件である。
【0095】
熱による硬化は方法的に特別なところはなく、通例かつ公知の方法、たとえば換気炉中での加熱またはIRランプによる照射によって行う。この場合、熱による硬化は段階的に行うこともできる。もう1つの有利な硬化法は、近赤外線(NIR線)により硬化である。特に有利には、成分の水を湿潤層から迅速に除去する場合に適用される。この種の適切な方法はたとえばRoger Talbertの、工業用塗料および粉末(Industial Paint & Powder)、04/01、第30〜33頁、「NIRによる数秒での硬化(Curing in Seconds with NIR)」またはめっき技術(Galvanotechnik)、第90巻(11)、第3098〜3100頁、「塗装技術、液体塗料および粉体塗料の秒単位でのNIR乾燥(Lackiertechnik、NIR−Trocknung im Sekundentakt von Fluessig−und Pulverlacken)」に記載されている。
【0096】
有利には熱による硬化は50〜170℃、特に有利には60〜165℃および特に80〜150℃の温度で1分〜2時間、特に有利には2分〜1時間およびとりわけ3〜30分の時間で行う。
【0097】
熱による硬化は化学線による、特にUV線による硬化によって補助することができる。この場合、たとえばドイツ国特許出願DE19920799A1、第11頁第5〜21行目に記載されているような通例かつ公知の方法および装置を適用することができる。
【0098】
得られる色彩および/または効果を付与する多層コーティングは優れた自動車品質であるので、上級の乗用車の塗装のためにも考慮される。該コーティングは優れた耐チッピング性を有し、これは太陽光に長期間暴露した後でも低下しない。
【0099】
実施例および比較試験
製造例1
エテニルアリーレン基を有する付加物(a.1.2.2)の製造
攪拌機、内部温度計、還流冷却器および電気加熱装置を備えた反応容器中に、メチルエチルケトン429質量部、N−メチルピロリドン182質量部およびジエタノールアミン210質量部を20℃で装入した。この混合物に、反応温度が40℃を超えないよう、1時間半にわたり1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)−ベンゼン(CYTEC社のTMI(登録商標))402質量部を滴加した。得られる反応混合物を、遊離イソシアネート基がもはや検出されなくなるまで攪拌した。その後、該混合物をヒドロキノン200ppmで安定化した。反応混合物の固体含有率は50質量%であった。
【0100】
製造例2
親水性ポリウレタン(a.1.2)の製造
攪拌機、内部温度計、還流冷却器および電気加熱装置を備えた反応容器中で、ヒドロキシル価80および数平均分子量1400ダルトンを有する線状ポリエステルポリオール(三量化された脂肪酸(Pripol(登録商標)1013)、イソフタル酸およびヘキサン−1,6−ジオールから製造)664.4質量部およびジメチロールプロピオン酸89.4質量部をメチルエチルケトン342質量部およびN−メチルピロリドン52質量部中に溶解した。得られる溶液に45℃でイソホロンジイソシアネート296.2質量部を添加した。発熱反応が弱くなった後に反応混合物を撹拌下に徐々に80℃に加熱した。この温度でさらに、イソシアネート含有率が1.2質量%になり、かつ一定するまで攪拌した。その後、反応混合物を70℃に冷却し、かつ製造例1による付加物(a.1.2.2)248質量部を添加した。得られる反応混合物を、遊離イソシアネート基がもはや検出できなくなるまで70℃で攪拌した。得られる溶解したポリウレタン(a.1.2)に、メトキシプロパノール142質量部およびトリエチルアミン57質量部を添加した。アミン添加の30分後に溶液の温度は60℃に低下し、その後、30分にわたって脱イオン水1791質量部を撹拌下に添加した。得られた分散液からメチルエチルケトンを60℃で真空下に留去した。その後、場合により存在する溶剤および水の損失を補った。こうして得られたポリウレタン(a.1.2)の分散液は35.1質量%の固体含有率(130℃で1時間)および7.3のpH値を有していた。
【0101】
製造例3
グラフトコポリマー(a.1)の一次分散液の製造
製造例2によるポリウレタン分散液(a.1.2)1495.7質量部を脱イオン水851.6質量部で希釈し、かつ85℃に加熱した。この温度で該分散液に撹拌下でスチレン150.2質量部、メチルメタクリレート150.2質量部、n−ブチルアクリレート112.4質量部およびヒドロキシエチルメタクリレート112.4質量部からなる混合物を3.5時間かけて均一に添加した。モノマー混合物の添加の開始と共に、メトキシプロパノール115.5質量部中のt−ブチルペルオキシエチルヘキサノエート7.9質量部の溶液を4時間以内に添加した。得られる反応混合物を、全てのモノマーが反応し終わるまで85℃でさらに攪拌した。グラフトコポリマー(a.1)の得られる一次分散液は、極めて良好な貯蔵安定性を有していた。その固体含有率は34.9質量%(130℃で1時間)であり、かつそのpH値は7.2であった。
【0102】
製造例4
水性ベースコート(B)の製造
水性ベースコート(B)を製造例3に記載のグラフトコポリマー(a.1)の一次分散液の使用下にドイツ国特許出願DE19948004A1、第20頁第51行目〜第21頁第18行目を、第1表、第21頁、「例3および比較試験V2およびV3」に記載された規定との関連において製造した。
【0103】
製造例5
水性ベースコート(A)の製造
水性ベースコート(A)を製造するためにまず、
− ペーストに対してタルク30質量%および製造例3によるグラフトコポリマー(a.1)の一次分散液70質量%からなるタルクペースト、
− ペーストに対して二酸化チタン50質量%および製造例3によるグラフトコポリマー(a.1)の一次分散液50質量%からなる二酸化チタンペースト、ならびに
− ペーストに対してカーボンブラックMonarch(登録商標)1400 10質量%および製造例3によるグラフトコポリマー(a.1)の一次分散液90質量%からなるカーボンブラックペースト
を製造した。
【0104】
製造例4による水性ベースコート(B)に、タルクペースト6質量部、二酸化チタンペースト6質量部およびカーボンブラックペースト0.075質量部を撹拌下に添加し、これにより水性ベースコート(A)が得られた。
【0105】
例1および比較試験V1およびV2
効果を付与する多層コーティングの製造
例1に関して製造例5の水性ベースコート(A)、製造例4の水性ベースコート(B)およびBASF Coatings AG社の市販の一成分クリアコート(C)を使用した。
【0106】
比較試験V1に関して効果を付与する層(A)および(B)を製造するために、製造例4の水性ベースコート(B)およびBASF Coatings AG社の市販の一成分クリアコート(C)のみを使用した。
【0107】
比較試験V2に関してBASF Coatings AG社の市販の焼付用サーフェイサー、製造例4による水性ベースコート(B)およびBASF Coatings AG社の市販の一成分クリアコート(C)を使用した。
【0108】
支持体として20cm×20cmの寸法の鋼からなり、乾燥膜厚20μmの通例かつ公知の電着塗装により被覆されている試験板を使用した。
【0109】
例1ではまず、製造例5による水性ベースコート(A)を静電噴霧塗装(ESTA)により、硬化後に10μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で塗布した。得られたベースコート層(A)を4分間フラッシュオフし、かつ引き続き製造例4による水性ベースコート(B)でエア霧化塗布によって、硬化後に7μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で被覆した。ベースコート層(A)および(B)を80℃で10分間乾燥させた。その後、クリアコート(C)を、硬化後に40μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で塗布した。クリアコート層(C)を5分間フラッシュオフした。引き続き層(A)、(B)および(C)を換気炉中130℃で30分間焼き付けた。
【0110】
比較試験V1のために、例1を繰り返したが、ただし製造例5による水性ベースコート(A)の代わりに、製造例4による水性ベースコート(B)を使用した。
【0111】
比較試験V2のために、例1を繰り返したが、ただし製造例5による水性ベースコート(A)の代わりに、市販の焼付用サーフェイサーを使用し、これは硬化後に、30μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で塗布し、かつ製造例4による水性ベースコート(B)の塗布前に150℃で20分間、換気炉中で焼き付けた。
【0112】
得られる効果を付与する多層コーティングの耐チッピング性は、VDA−チッピング試験およびダイムラー・クライスラーの飛石衝撃試験により測定した。その結果は第1表に記載されている。これらの結果は、水性ベースコーティング(A)自体、わずか10μmの乾燥膜厚で30μmの乾燥膜厚のサーフェイサーコーティングと全ての範囲で置き換えることができたことを証明している。
【0113】
【表1】

【0114】
a)目標値:2/1;1.値=衝撃面積(mm);2.値=支持体までの貫通面積(mm);
b)目標値:8/1;1.値=衝撃面積(mm);2.値=支持体までの貫通面積(mm)。
【0115】
例2および比較試験V3およびV4
自由支持の、効果を付与する多層コーティングの製造
例2のために例1を繰り返した。
【0116】
比較試験V3のために比較試験V1を繰り返した。
【0117】
比較試験V4のために比較試験V2を繰り返した。
【0118】
例2および比較試験V3およびV4の場合、鋼板の代わりにスタミラン板(Stamylantafeln)を使用したので、得られる効果を付与する多層コーティングは自由支持フィルムとして支持体から剥離することができた。自由支持フィルムのUV線の透過(%)を測定した。その結果は第2表に記載されている。これらの結果は、水性ベースコーティング(A)自体、わずか10μmの乾燥膜厚で30μmの乾燥膜厚のサーフェイサーコーティングとUV線の透過の抑制に関しても全ての範囲で置き換えることができたことを証明している。
【0119】
【表2】

【0120】
a)目標値:<0.2%、
b)目標値:<1.0%、
c)目標値:<2.0%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の物理的に、または熱により硬化可能な水性被覆材料(A)、少なくとも1の熱により硬化可能な水性被覆材料(B)および少なくとも1の被覆材料(C)を、
(i)下塗りされてない支持体、
(ii)少なくとも1の硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体または
(iii)少なくとも1の完全に硬化した下塗塗料(G)により被覆された支持体
上に連続的に塗布し、かつ
(1)得られた湿潤層(A)、(B)および(C)または
(2)(A)、(B)および(C)および1もしくは複数の硬化していないか、または部分的にのみ硬化した下塗塗料(G)
を一緒に硬化することによって、
(A)少なくとも1の第一の色彩および/または効果を付与するコーティング、
(B)少なくとも1の第二の色彩および/または効果を付与するコーティング
および
(C)少なくとも1の透明コーティング
がこの順序で重なったものを有する、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを支持体上に製造する方法において、被覆材料(A)が、
(a.1)少なくとも1の(共)重合可能なオレフィン系不飽和基を有するモノマー(a.1.1)または少なくとも2のコモノマー(a.1.1)を、共重合可能なオレフィン系不飽和基を有していないポリウレタンおよび少なくとも1の側位の、および/または少なくとも1の末端の共重合可能なオレフィン系不飽和基を有するポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1のポリウレタン(a.1.2)の存在下で(共)重合し、ならびに場合により部分的にまたは完全に中和することにより製造することができる少なくとも1の(コ)ポリマーまたはグラフトコポリマー、
(a.2)少なくとも1の色彩および/または効果を付与する顔料、
(a.3)少なくとも1のUV線吸収性顔料および
(a.4)タルク
を含有することを特徴とする、色彩および/または効果を付与する多層コーティングを支持体上に製造する方法。
【請求項2】
(コ)モノマー(a.1.1)の(共)重合可能なオレフィン系不飽和基が、(メタ)アクリレート−、エタクリレート−、クロトネート−、シンナメート−、ビニル−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエステル基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリウレタン(a.1.2)が少なくとも1の側位の、および/または末端の共重合可能なオレフィン系不飽和基を有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ポリウレタン(a.1.2)の共重合可能なオレフィン系不飽和基が、(メタ)アクリレート−、エタクリレート−、クロトネート−、シンナメート−、ビニル−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、ビニル−、アリル−またはブテニルエステル基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ポリウレタン(a.1.2)の共重合可能なオレフィン系不飽和基がビニル基であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ポリウレタン(a.1.2)のビニル基がエテニルアリーレン基に含まれていることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
(1)少なくとも1の遊離イソシアネート基を有する少なくとも1のポリウレタンプレポリマー(a.1.2.1)と、
(2)少なくとも1のエテニルアリーレンモノイソシアネートと、少なくとも2のイソシアネート反応性の官能基を有する少なくとも1の化合物とを、付加物(a.1.2.2)中に少なくとも1のイソシアネート反応性の官能基が残留するように相互に反応させることにより得られる少なくとも1の付加物(a.1.2.2)
とを、反応させることによりポリウレタン(a1.2)を製造することができる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
イソシアネート反応性の官能基が、ヒドロキシル基、チオール基および第一級および第二級アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
エテニルアリーレンモノイソシアネートが、一般式I:
CH=C(R)−A−X−NCO (I)
[式中、変項は次の意味を有する:
A=置換された、または置換されていないC〜C20−アリーレン基、
R=水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換された、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、および
X=二価の有機基]を有することを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
アリーレン基Aが、1,2−、1,3−および/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンであることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ポリウレタン(a.1.2)が親水性官能基、特にカルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
色彩および/または効果を付与する顔料(a.2)が、有機および無機、色彩を付与する、光学的な効果を付与する、色彩および光学的な効果を付与する、磁気遮閉性、導電性、耐食性、蛍光および燐光顔料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
UV線を吸収する顔料(a.3)が、二酸化チタン顔料およびカーボンブラック顔料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
被覆材料(A)が二酸化チタン顔料(a.3)およびカーボンブラック顔料(a.3)を含有することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
被覆材料(A)が少なくとも1の添加剤(a.5)を含有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
添加剤(a.5)が、架橋剤、(コ)ポリマーおよびグラフトコポリマー(a.1)とは異なった、オリゴマーおよびポリマーのバインダー;顔料(a.2)〜(a.4)とは異なった、有機および無機の、有色および無色、透明、不透明、有機および無機顔料、充填剤およびナノ粒子、有機溶剤、乾燥剤、沈殿防止剤、UV吸収剤、光保護剤、ラジカル捕捉剤、脱気剤、スリップ助剤、重合防止剤、消泡剤、乳化剤、湿潤剤、定着剤、レベリング剤、塗膜形成助剤、レオロジー調節剤および難燃剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
被覆材料(A)および(B)を、硬化後に合計して10〜25μmの乾燥膜厚(A+B)が得られるような湿潤膜厚で塗布することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
被覆材料(A)を、硬化後に8〜12μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で塗布することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
被覆材料(B)を、硬化後に6〜10μmの乾燥膜厚が得られるような湿潤膜厚で塗布することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
支持体が、移動手段の車体およびこれらの部材、建築物およびこれらの部材、ドア、窓、家具、工業用の小部品、機械、光学および電子部材、コイル、コンテナ、包装、ガラス中空体および日用品であることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−503299(P2007−503299A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524242(P2006−524242)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008226
【国際公開番号】WO2005/021168
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】