説明

色材量算出装置、色材量算出方法、レンダリングシステム、色材量算出プログラムおよび記録媒体

【課題】カラーレンダリングに用いられる色材の総量を適切に規制する。
【解決手段】本発明を実現することにより、その構成要素の色材の総量が規制値内の第2(すなわち結果として生じる)色材を生成するために、構成要素の色材の総量が総量規制を超えている特定の色材を変換できる。全単射変換を用いることにより、色材サンプリングおよびその他の操作が、名目色材空間の超立方体を用いて行われ、その結果は、名目色材空間から実際の色材規制空間に圧縮して戻される。これにより色材規制ポリトープ空間の操作は単純化される。規制されていない色材超立方体は単体に分割される。各単体に関して、TAC規制と単体のエッジとの間の交点が見出される。そして、規制されていない単体を、色材規制されたポリトープ内の対応する単体へ写像するために重点補間法が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多数の色材によるレンダリングおよび印刷に関するものである。特に、本発明の実施形態は、印刷装置またはカラーレンダリングシステムにおける色材の総量を、多次元単体分割および重心補間を用いて規制するためのシステム、および、その方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、消費者が使用可能なカラー印刷技術として、多様な色の組み合わせを用いて様々な色を再現するカラープリンタがある。このカラープリンタの一例として、インクの液滴を直接紙に飛ばすカラーインクジェットプリンタが挙げられる。低価格帯のインクジェットプリンタは、通常3色のインク(シアン、マゼンタ、および、イエロー)(CMY)を用いて、それらを様々に組み合わせることにより、多様な色を再現する。例えば、3色インクジェットプリンタは、これらを混合して黒を生成する。また、4色インクジェットプリンタでは、シアン、マゼンタ、イエロー、および、黒(CMYK)が用いられる。レーザまたは電子写真プリンタ、染料昇華、およびその他のタイプのプリンタでも、CMYまたはCMYK色材組成が用いられている。
【0003】
インクジェットプリンタは、多種多様な紙、媒体、およびその他の基材を用いることができる。ただし、各紙の特性が特定の媒体における印字に影響を与える。例えば、ある種のクレイコート紙および他の特殊な紙を用いて印刷すると、通常のコピー用紙を用いるよりもはるかによく印刷できる。これは、クレイコート紙や他の特殊な紙は、通常のコピー用紙のようにインクを吸収しないためである。
【0004】
多様なプリンタが用いられている一方で、問題も生じている。カラー画像の印刷工程は、通常、多数の色材を紙(すなわち出力媒体)に供給する工程を含む。この出力媒体上に生成される色は、出力媒体に供給される各色材の量に応じて決まる。この色材の量は、堆積装置によって堆積させることができる最大色材量に対する百分率を用いて表現できる。各色材は最大100%まで堆積できる。出力媒体の所定領域に供給される全色材量は、当該領域に堆積した各色の色材を合わせた量である。
【0005】
例えば、4色材印刷システムにおいて、色は、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒の色材の百分率として表現できる。このようなシステムにおいて、理論的には、最大400%(各色材につき最大100%)の色材が選択された領域に堆積され得る。
【0006】
しかし、この出力媒体には、通常、供給される色材に関して、色材がインクそのものでなない場合にも時々非公式にインク規制と称される総量(TAC;total area coverage(トータルエリアカバレッジ))規制がある。このTAC規制は、出力媒体の所定領域に飽和レベルまで供給できる全色材量を示している。このTAC規制は、印刷に用いられる媒体のタイプ(例えば、紙のタイプ)によって決まる。
【0007】
TAC規制は、一般に、機械的印刷工程の「故障モード」を回避するために設けられる。それゆえに、全色の合計がTAC規制を越えた場合には、過剰のインクが媒体に供給されることとなる。そのため、機械的問題、画質の問題、インク定着の問題などが生じてしまう。例えば、CMYK色材を用いる電子写真プリンタに関しては、各単色色材の最大許容量は100%であるが、TAC規制は280%に設定されている。もし、そのようなシステムにおいて供給される色材の総量が280%を超えた場合には、トナーは紙に確実に付着せず、印刷品質が損なわれるか、プリンタ機構が過剰の定着していないトナーによって汚染されるか、もしくはその両方が生じる。
【0008】
それゆえ、プリンタファームウェア、プリントドライバ、カラープロファイリングソフトウェア、カラー管理モジュール(CMMs)などを開発するにおいて、印刷工程(基材、紙、または他の媒体を含む)のために好ましいTAC規制を超えないようにするために処置を行う必要がある。
【0009】
そのような処理を行う技術の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の発明では、墨を含む4次元以上のデバイス色空間を持つカラー出力デバイスにおける色域外郭を構成する外郭点のうち、中間外郭においては設定された色材総量制限値を超えている外郭点の色信号を色材総量制限値と等しくなるように修正し、上半外郭および下半外郭においては色材総量制限値を超える外郭点を除いた外郭点のみから外郭を構築し、さらに総量規制値と等しい規制外郭を構築して、これらを結合することによりデバイス色空間における色域外郭を構築する。そして、デバイス色空間における色域外郭を構成する外郭点を、所望の色空間における色信号へ変換することで、所望の色空間における設定された色材総量制限を課された色域外郭を算出する。このとき、特定の色材量を固定して他の色材を等量ずつ減じることにより、外郭点の色信号を色材総量制限値と等しい色信号に修正する。
【特許文献1】特開2006−352475号公報(2006年12月28日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の色材規制の方法は、重大な問題を有している。これら従来の方法は、規制を超えた値を規制内に収め、個々のプリント色材を率に応じて決定する工程を含んでいる。しかし、規制を超えた値を除く工程は、可逆性がなく、個々のプリント色材を率に応じて決定する工程は、規制された色材の全範囲を利用していない。
【0011】
また、特許文献1に記載の発明では、1)総量規制外の点が同じ色に修正されてしまうので色の階調性が損なわれるという問題、および2)段落〔0085〕に記載されているように、色信号の一部の要素が負になるおそれがあり、補正を行う必要があるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、カラーレンダリングに用いられる各色材の量を、総量規制値内に収まるように適切に変換することができる色材量算出方法および色材量算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る色材量算出装置は、印刷媒体に供給される複数の色材の、当該印刷媒体上の単位領域あたりの総量が規制値内に収まるように、各色材の量を算出する色材量算出装置であって、上記単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段によって取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定手段と、上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定手段によって決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出手段と、上記交点算出手段によって算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定手段と、上記第2単体特定手段によって特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る色材量算出方法は、印刷媒体に供給される複数の色材の、当該印刷媒体上の単位領域あたりの総量が規制値内に収まるように、各色材の量を算出する色材量算出装置における色材量算出方法であって、上記単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得工程と、上記データ取得工程において取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定工程と、上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定工程において決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出工程と、上記交点算出工程において算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定工程と、上記第2単体特定工程において特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換工程とを含むことを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、大小関係決定手段が決定した大小関係に基づいて、n次元超立方体が、補正前点を内部に含む第1のn次元単体に分割される。第2単体特定手段は、色材総量の規制値を示す(n−1)次元超平面と第1のn次元単体との交点を用いて、第1のn次元単体をさらに第2のn次元単体に分割する。変換手段は、第2のn次元単体内の点を、規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、補正前点を、対応する規制内色材空間内の点に変換する。
【0016】
それゆえ、各色材の総量が規制値内に収まるように各色材量を減少させるための計算を簡単に、かつ高速に行うことができる。従って、色材量を算出する装置を、容易にハードウェア化することができる。
【0017】
また、n次元に拡張しても、n個のベクトルを用いるだけで、演算方法はそのまま使えるため、多次元への拡張が容易である。
【0018】
また、全単射変換を行うことにより、規制内色材空間外の異なる点が規制内色材空間内の同じ点に変換されることがないため、色の階調性を維持することができる。
【0019】
また、上記交点算出手段によって算出された交点の数がn個を超える場合、上記第2単体特定手段は、n個を超える交点の中から、上記n次元超立方体の稜線における交点であるエッジ点と上記原点とを結ぶ線分上および上記n種類の色の色材の全てが最大使用量であることを示す最大点と上記原点とを結ぶ線分上に存在する交点以外の交点を任意に選び、選んだ交点と上記原点とを通る直線が上記n次元超立方体の表面と交わる点を、上記原点、上記最大点および上記エッジ点とともに頂点として有するn次元単体を上記第2のn次元単体として特定することが好ましい。
【0020】
また、上記第2単体特定手段は、上記原点を始点とし上記補正前点を終点とするベクトルを、上記原点を始点とし上記外郭点を終点とするn個のベクトルの線形和として表現した場合の、各ベクトルの係数に基づいて上記第2のn次元単体を特定することが好ましい。
【0021】
上記の構成により、交点算出手段によって算出された交点の数がn個を超える場合でも、第2のn次元単体を特定することができる。
【0022】
また、印刷媒体に供給される各色材のうち、少なくとも1つの色材の量は一定に保たれており、上記第2単体特定手段は、当該一定に保たれている色材に対応する量だけ、上記総量の規制値を減少させることが好ましい。
【0023】
上記の構成により、一部の色材の量が一定に保たれている場合にも、各色材の量を適切に算出することができる。
【0024】
また、上記データ取得手段は、総量規制の対象となる3種類の色材の使用率を示す色材量データを取得することが好ましい。
【0025】
また、上記データ取得手段は、総量規制の対象となる4種類の色材の使用率を示す色材量データを取得することが好ましい。
【0026】
上記の構成により、総量規制の対象となる色材が3つまたは4つの場合の計算を行うことができる。
【0027】
また、上記補正前点に相当する各色材の使用率と、当該補正前点を変換した後の点に相当する各色材の使用率とを示す色材量変換テーブルを生成するテーブル生成手段をさらに備えることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、テーブル生成手段は、上記色材量変換テーブルを生成する。この色材量変換テーブルをレンダリング装置に供給することにより、レンダリング装置における色材量の調整を容易に行うことができる。
【0029】
また、色材量算出装置を動作させる色材量算出プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための色材量算出プログラム、および色材量算出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0030】
本発明に係るレンダリングシステムは、色材量算出装置と、上記色材量算出装置と通信可能に接続され、印刷媒体に色をレンダリングするレンダリング装置とを含むことを特徴としている。
【0031】
また、上記レンダリング装置は、プリンタであることが好ましい。
【0032】
また、上記色材量算出装置と上記レンダリング装置とは、ネットワークを介して接続されていることが好ましい。
【0033】
上記色材量算出装置と上記レンダリング装置とは、一体として設けられていることが好ましい。
【0034】
上記レンダリング装置が使用する色材は、インク、トナーおよび染料からなる群から選ばれた色材を含むことが好ましい。
【0035】
本発明に係るこれらの特徴・利点および他の特徴・利点は、以下の記載および特許請求の範囲の記載により説明される、または、十分に明らかになるであろう。これらの特徴および利点は、特許請求の範囲において特に指摘した手段およびそれらの組み合わせによって実現および獲得されるであろう。さらに、本発明の特徴および利点は、本発明を実施することにより理解されるか、あるいは、以下に示す記載から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明に係る色材量算出装置は、印刷媒体上の単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段によって取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定手段と、上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定手段によって決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出手段と、上記交点算出手段によって算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定手段と、上記第2単体特定手段によって特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換手段とを備える構成である。
【0037】
また、本発明に係る色材量算出方法は、印刷媒体上の単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得工程と、上記データ取得工程において取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定工程と、上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定工程において決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出工程と、上記交点算出工程において算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定工程と、上記第2単体特定工程において特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換工程とを含む構成である。
【0038】
それゆえ、各色材の総量が規制値内に収まるように各色材量を算出するための計算を多次元で、簡単に、かつ高速に行うことができるとともに、色の階調性を維持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の目的および特徴は、付随する図面とともに、下記の記載および添付の請求項から、より明らかになるであろう。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態を図示したものであり、それゆえ、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本発明について、以下の添付図面を用いてさらに詳しく細部まで記載し、説明する。
【0040】
本発明は、多数の色材によるレンダリングおよび印刷に関するものである。特に、本発明の実施形態は、多次元単体分割および重心補間を用いて、印刷装置またはカラーレンダリングシステムにおける色材の総量を規制するためのシステム(色材量算出システム)および方法に関するものである。さらに、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、多数の色材によるレンダリングにおける色材総量を規制するためのシステムおよび方法に関するものである。
【0041】
本発明の実施形態は、色材構成要素の合計が特定の最大量を超えない第2の(すなわち、結果として生じる)色材を生成するために、特定の色材を変換することと関連している。従って、変換された、結果として生じる色材は、色材の総量規制の範囲内で出力される。本発明の実施形態は、不規則なポリトープである、色材規制されたプリンタの信号空間を表現することの問題を、上記ポリトープを規則的な立方体または超立方体上に変換することにより解決する。本発明の方法は、単体分割および重心補間に基づいて、規制されていない名目色材立方体または超立方体と、不規則な色材規制されたポリトープとの間で全単射写像を行うものである。
【0042】
いくつかの実施形態において、第2の(すなわち、結果として生じる)色材を生成するためにコンピュータ装置が利用される。そのため、以下では、コンピュータ装置についての説明がなされている。少なくとも1つの実施形態では、TAC規制のないn―チャネル色材空間が、サンプリングおよび操作に関してアルゴリズムとして簡単であるn次元の超立方体によって表現されている。しかし、TAC規制が適用されたとき、利用可能な色材空間は、サンプリングおよび操作がより困難な不規則なポリトープとなる。本発明の方法では、色材規制されたポリトープと、超立方体を満たす「名目色材空間」との間において全単射変換を行う。全単射変換を用いて、色材サンプリングおよびその他の操作が、名目色材空間の超立方体を用いて行われる。名目色材空間の超立方体は、サンプリングおよび操作が容易なものであり、名目色材空間から得られた結果は、実際の色材規制空間に圧縮して戻される。
【0043】
本発明の方法では、まず、規制されていない色材超立方体を単体に分割する。そして、各単体に関して、TAC規制(または制限)を示す超平面と、上記単体のエッジとの間の交点が見出される。そして、規制されていない単体を、色材規制されたポリトープ内の対応する単体に写像(マッピング)するために、重点補間法が用いられる。
【0044】
後述する本発明の実施形態の開示は、2つの小見出し、すなわち、「典型的な操作環境」および「色材総量の規制」にグループ分けされる。この小見出しの利用は、読み手の便利さを図ったものであり、いかなる意味においても限定を設けたと解釈されるものではない。
【0045】
また、以下の説明では、「色材の総量規制」と同じ意味を表す表現として、「TAC規制」、「色材規制」、「総量規制」という表現を用いている。
【0046】
〔典型的な操作環境〕
図1および図1に関する説明は、本発明を実施できる適切な操作環境の概略を説明するものである。当業者は、本発明の実施形態が、1つまたは複数のコンピュータ装置を用いて実施できること、および、ネットワーク構成を含む様々なシステムにおいて実施できることを理解するであろう。しかしながら、本発明の方法および装置は、汎用コンピュータを含むシステムに特に有効であり、本発明の実施形態は、汎用の処理装置を内蔵したシステム、デジタル/メディア信号プロセッサ(DSP/MSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、独立型電子装置、および、他のこのような電子環境を含む様々な環境における上記方法および工程の使用を含んでいる。
【0047】
本発明の実施形態では、1つまたは複数のコンピュータ読取り可能記録媒体を用いる。これら各媒体は、データまたはそれを処理するためのコンピュータ実行命令を含むように構成されていてもよい。これらのコンピュータ実行命令は、データ構造、オブジェクト、プログラム、ルーチン、または、他のプログラムモジュールを含んでいる。上記他のプログラムモジュールには、処理システム(例えば、多種多様な機能を実行できる汎用コンピュータを有する処理システム、または、限られた数の機能を実行できる汎用コンピュータを有する処理システム)がアクセスできる。
【0048】
コンピュータ実行命令により、処理システムは特定の機能または機能群を実行する。また、コンピュータ実行命令は、本実施形態に示す方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の具体例である。さらに、コンピュータ実行命令の特定のシーケンスが、このようなステップの実行に用いることができる対応する動作の一例を示している。コンピュータ読取り可能媒体の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラム可能読取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、または、処理システムがアクセス可能なデータまたは実行命令を供給することのできる他の全ての装置または構成要素が挙げられる。
【0049】
図1に示すように、本発明を実施するためのシステムはコンピュータ装置10を含んでいる。コンピュータ装置(色材量算出装置)10は、汎用コンピュータまたは特定の目的のためのコンピュータであってもよい。コンピュータ装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)または他の携帯型端末、ワークステーション、小型コンピュータ、大型コンピュータ、スーパーコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークコンピュータ、または、プロセッサを用いた家電製品などであってもよい。
【0050】
コンピュータ装置10は、システムバス12を含んでいる。このシステムバス12は、コンピュータ装置10に含まれる様々な構成要素を接続し、2つまたはそれ以上の構成要素間においてデータの交換が行えるように構成されている。システムバス12としては、メモリバスまたはメモリ制御器、周辺機器用バス、または、あらゆる様々なバスアーキテクチャを使用するローカルバス、を含む様々なバス構造のうちの1つを用いることができる。システムバス12にて接続されている標準的な構成要素としては、処理システム14およびメモリ16がある。システムバス12にて接続されている他の構成要素としては、1つまたは複数の大容量記憶装置インターフェース18、入力インターフェース20、出力インターフェース22、および/または、ネットワークインターフェース24が挙げられる。上記の各構成要素については、それぞれ後述する。
【0051】
処理システム(色材量算出装置)14は、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、中央演算処理装置)を含んでいる。また、処理システム14は、特定の機能またはタスクを実行するために設計された1つまたは複数の他のプロセッサをさらに含んでいてもよい。コンピュータ読取り可能媒体(例えば、メモリ16、磁気ハードディスク、取り外し可能磁気ディスク、磁気カセット、または、光ディスク)に含まれる命令、または、コンピュータ読取り可能媒体とも見なすことができる通信接続先から供給される命令を実行するのは、一般的には処理システム14である。処理システム14の詳細については後述する。
【0052】
メモリ16は、1つまたは複数のコンピュータ読取り可能媒体を含んでいる。この媒体は、データまたはデータを処理するための命令を含むように構成されている。このメモリ16には、処理システム14がシステムバス12を介してアクセスすることができる。メモリ16は、例えば、永続的に情報を格納するために用いられるROM28、および/または、一時的に情報を格納するために用いられるRAM30を含んでいてもよい。ROM28は、例えばコンピュータ装置10の起動中に、通信を確立するために用いられる1つまたは複数のルーチンを有する基本入出力システム(BIOS)を格納していてもよい。RAM30は、1つまたは複数のプログラムモジュール(例えば、1つまたは複数のオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、および/または、プログラムデータ)を格納していてもよい。
【0053】
1つまたは複数の大容量記憶装置インターフェース18は、1つまたは複数の大容量記憶装置26をシステムバス12に接続するために用いられる。なお、この大容量記憶装置26は、コンピュータ装置10に組み込んでもよいし、あるいは、コンピュータ装置10の周辺に配置してもよい。この大容量記憶装置26を用いることによって、コンピュータ装置10はデータを大量に保存できる。また、任意で、大容量記憶装置26のうちの1つまたは複数を、コンピュータ装置10から取り外すこともできる。大容量記憶装置26の例としては、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、テープドライブ、および、光ディスクドライブが挙げられる。
【0054】
大容量記憶装置26は、磁気ハードディスク、取り外し可能磁気ディスク、磁気カセット、光ディスク、または、他のコンピュータ読取り可能媒体、からデータを読み出してもよく、および/または、それらにデータを書き込んでもよい。また、大容量記憶装置26およびそれらに適したコンピュータ読取り可能媒体は、データおよび/または実行命令を記憶する不揮発性の記憶装置を提供する。上記実行命令は、1つまたは複数のプログラムモジュール(例えば、オペレーティングシステム、1つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、または、プログラムデータ)を含んでいる。このような実行命令は、本実施形態に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の具体例である。
【0055】
(処理システム14の構成)
処理システム14は、印刷媒体に印刷される画像の各画素に対する複数の色材の量の総和が、色材の総量規制値を超える場合、各画素における各色材の割合が実質的に変わらないように色材量データを処理し、一方、複数の色材の量の総和が総量規制値を超えない場合、各色材の量を変えずに色材量データを、レンダリング装置等の出力装置34へ出力する。
【0056】
図5は、処理システム14の構成を示すブロック図である。同図に示すように、処理システム14は、データ取得部(データ取得手段)1、比較部2、第1単体選択部(大小関係決定手段)3、第2単体特定部(交点算出手段、第2単体特定手段)4、変換部(変換手段)5を備えている。
【0057】
データ取得部1は、印刷媒体(出力媒体)において連続階調の色を表現するために用いる各色材の量を示す色材量データを取得する。この色材量データには、総量規制の対象となるn(nは、2以上の自然数)種類の色の色材を含む複数の色材の量がそれぞれ示されている。さらに色材量データには、その量が一定に保たれる色材の量が示されていてもよい。
【0058】
換言すれば、色材量データは、印刷媒体の単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示すデータである。
【0059】
データ取得部1は、色材量データを、コンピュータ装置36、レンダリング装置(例えば、カラープリンタ)等の外部の装置から取得する。色材量データは、画像を構成する各画素の色を示す画像データであってもよい。
【0060】
比較部2は、データ取得部1が取得した色材量データに示される各色材の総量(使用率の合計)が、総量規制値以内であるかどうかを判定する。なお、総量規制値は、予めメモリ16などに格納されていてもよいし、入力インターフェース20を介してユーザによって入力されてもよい。
【0061】
第1単体選択部3は、色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定し、決定した大小関係に対応する第1のn次元単体の各頂点の座標を第2単体特定部4へ出力する。上記第1のn次元単体とは、n種類の色の色材のそれぞれについての使用率を0から最大値(100%)まで示す座標軸を、複数の辺のうちの一部の辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当するn次元単体である。
【0062】
第2単体特定部4は、印刷媒体上の単位領域(例えば、1ドッド)あたりに使用可能な色材の総量(使用率の合計)の規制値を示す(n−1)次元超平面と、第1単体選択部3から出力された座標が示す第1のn次元単体のエッジ(稜線)との交点を算出する。
【0063】
そして、第2単体特定部4は、算出した交点のうちの特定の交点を頂点として有し、色材量データに示される、各色材の量を成分とする座標が示す補正前点を内部に含むとともに、上記第1のn次元単体の内部に形成される第2のn次元単体を特定する。
【0064】
より詳細には、第2単体特定部4は、算出した交点とn次元座標空間の原点とを通る複数の直線がn次元超立方体の表面(外郭)とそれぞれ交わる点である外郭点と、原点とを頂点として有し、色材量データに示される、各色材の使用率を成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する。
【0065】
換言すれば、第2単体特定部4は、「算出した交点のうち、原点と最大点(黒点)とを結ぶ線分上の交点および少なくとも1つの色材の使用率が100%であることを示す交点を含むn個の交点と、原点とをそれぞれ結ぶ線分をそのエッジに含み、原点、n種類の色の色材の全てが使用率100%であることを示す最大点(黒点)および少なくとも1つの色材の使用率が100%であることを示す点を頂点として有するとともに、上記補正前点を内部に含み、第1のn次元単体の内部に形成される第2のn次元単体」を特定する。
【0066】
さらに第2単体特定部4は、算出された交点の数がn個を超える場合、n個を超える交点の中から、n次元超立方体のエッジにおける交点であるエッジ点と原点とを結ぶ線分上およびn種類の色の色材の全てが使用率100%であることを示す最大点と原点とを結ぶ線分上に存在する交点以外の交点を任意に選び、選んだ交点と原点とを通る直線がn次元超立方体の表面と交わる点を、原点、最大点およびエッジ点とともに頂点として有するn次元単体を第2のn次元単体として特定する。
【0067】
このとき、第2単体特定部4は、原点を始点とし補正前点を終点とするベクトルを、原点を始点とし外郭点を終点とするn個のベクトルの線形和として表現した場合の、各ベクトルの係数に基づいて第2のn次元単体を特定する。
【0068】
変換部5は、第2単体特定部4によって特定された第2のn次元単体を、(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、総量規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、第2のn次元単体内の点を、規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、補正前点を、対応する規制内色材空間内の点に変換する。
【0069】
上記各部の処理の詳細については後述する。
【0070】
(インターフェースについて)
また、図1に示すように、1つまたは複数の入力インターフェース20を用いることにより、ユーザは、データおよび/または実行命令を、対応する1つまたは複数の入力装置32を介してコンピュータ装置10に入力することが可能になる。このような入力装置32の例として、キーボードおよび他の入力装置(例えば、マウス、トラックボール、ライトペン、スタイラスまたは他のポインティング装置、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、パラボラアンテナ、スキャナ、カムコーダー、デジタルカメラなど)が挙げられる。同様に、入力装置32をシステムバス12に接続するために用いられる入力インターフェース20の例として、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)、集積回路、ファイアワイヤ(IEEE1394)、または、他のインターフェースが挙げられる。例えば、ある実施形態においては、入力インターフェース20は、特定用途向けに設計された特定用途向け集積回路(ASIC)である。また、他の実施形態では、ASICが組み込まれており、既存の回路ブロックと接続しているものもある。
【0071】
また、1つまたは複数の出力インターフェース22を用いて、対応する1つまたは複数の出力装置34をシステムバス12に接続してもよい。出力装置の例として、モニターまたは表示画面、スピーカー、プリンタ、複合周辺装置などが挙げられる。特定の出力装置34を、コンピュータ装置10に集積してもよく、コンピュータ装置10の周辺に集積してもよい。また、出力インターフェース22の例として、ビデオアダプタ、オーディオアダプタ、パラレルポートなどが挙げられる。
【0072】
また、1つまたは複数のネットワークインターフェース24を用いることにより、コンピュータ装置10は、ネットワーク38(例えば、有線および/または無線リンク)を介して、コンピュータ装置36として示した1つまたは複数の、他のローカルコンピュータ装置または遠隔コンピュータ装置と情報を交換することができる。ネットワークインターフェース24の例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはモデム、無線リンクに接続されるネットワークアダプタ、または、広域ネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)に接続される他のアダプタが挙げられる。
【0073】
このネットワークインターフェース24は、コンピュータ装置10に組み込まれていてもよく、その周辺機器に組み込まれていてもよい。ネットワークシステムでは、アクセス可能なプログラムモジュールまたはその一部を、遠隔メモリ記憶装置に格納してもよい。さらに、ネットワークシステムでは、コンピュータ装置10は、ネットワーク接続された複数のコンピュータ装置によって機能またはタスクが実行される、分散型のコンピュータ環境にあってもよい。
【0074】
本発明の実施形態が多種多様なシステム構成を含んでいるということは、当業者であれば理解できるであろう。例えば、ある実施形態では、システム構成には、多数の色材によるレンダリングを実行する出力装置(例えば、複合周辺装置(MFP)または他のプリンタ/プロッタ、複写機、ファクシミリ機器、モニター、など)が含まれている。また、他の実施形態では、システム構成には、1つまたは複数のクライアントコンピュータ装置、任意の1つまたは複数のサーバコンピュータ装置、および、多数の色材によるレンダリングを実行するために構成された出力装置との通信のやりとりを可能にする接続またはネットワーク通信が含まれている。
【0075】
したがって、本発明の実施形態が、複数のタイプのシステム構成を備えた多種多様な環境において実現できるということを、当業者であれば理解できるであろう。図2は、本発明の実施形態において用いられる代表的なネットワークシステム構成を示している。図2に示す代表的なシステムは、クライアント40として図示されているコンピュータ装置を含んでいる。このコンピュータ装置は、ネットワーク38を介して、複合周辺装置(MFP)MFP42、MFP44、MFP46として図示されている多数の周辺装置に接続されている。図2において、MFP42・44・46は、レンダリングを用いるあらゆるタイプの装置であってよい。
【0076】
なお、出力装置が用いる色材は、例えば、インク、トナーおよび染料である。
【0077】
図2には、クライアント(色材量算出装置)40、3つのMFP42・44・46、および、任意で、ネットワーク38に接続された、例えば印刷サーバであるサーバ48を含む実施形態が示されている。しかし、本発明の他の実施形態は、複数のクライアント40を含んでいてもよく、3未満または3より多いMFP42・44・46を含んでいてもよく、3よりも多くのMFPを含んでいてもよく、サーバ48を含まなくてもよく、および/または、ネットワーク38に接続された複数のサーバ48を含んでいてもよい。
【0078】
また、本発明のさらに別の実施形態は、ローカルレンダリング環境、ネットワーク接続されたレンダリング環境、または、ピアトゥピアレンダリング環境を含んでいてもよい。これら各環境では、1つまたは複数のコンピュータ装置が、1つまたは複数のレンダリング装置に接続している。さらに、本発明に係る実施形態は、単一の家電製品、無線ネットワーク環境、および/または、広域ネットワーク環境(例えばインターネット)を含んでいてもよい。
【0079】
上記レンダリング装置は、例えば、プリンタであり、コンピュータ装置10とレンダリング装置とは、ネットワークを介して接続されていてもよいし、コンピュータ装置10とレンダリング装置とは、一体として設けられていてもよい。
【0080】
MFP42・44・46は、ネットワーク38に接続されており、本発明の実施形態では、以下に示す周辺装置(例えば、MFP)を使用している。すなわち、これらの周辺機器は、コンピュータ装置にローカルに接続されているか、組み込み型であるか、ピアトゥピア印刷環境において構成されているか、あるいは、無線ネットワーク環境において構成されているものである。
【0081】
したがって、本発明の図示した実施形態および他の実施形態では、多数の色材によるレンダリングにおける色材の総量規制が行われる。特に、本発明の実施形態は、特定の色材を、その構成要素の総量が所定の最大量を超えないように制限されている第2の色材(すなわち、結果として生じる色材)に変換するためのシステムおよびその方法に関するものである。したがって、変換された色は、色材総量(色材のトータルカバレッジ)の制限内で出力される。これについては、以下でさらに説明する。
【0082】
〔色材総量の規制〕
本発明の発明者によって出願されたペンディング中の米国出願である、NO.10/892,845(2004年7月16日出願)(米国特許公報NO.2006/0012811 A1(2006年1月19日公開))が存在する。当該米国特許公報は、あらゆる目的のために参照として本明細書に組み込まれている。上記米国出願において、本発明の発明者は、色材規制されたポリトープと、超立方体を満たす「名目色材空間」との間において特定の全単射変換を行う方法を確立した。そのような全単射変換を用いて、色材サンプリングおよびその他の操作を、名目色材空間を用いて行うことができ、その結果を、実際の色材規制空間から実際の色材規制空間へ圧縮して戻すことができる。これにより、色材規制ポリトープ空間の扱いを極めて単純化できる。
【0083】
本発明の発明者の先の出願の方法は、色材規制されたポリトープにおける単一の点を起点とする半直線に基づいて全単射変換を行うものである。この半直線上において2つの交点が得られる。一方の点は、TACの規制値を示す超平面上の点であり、他方の点は、規制されていない超立方体の外側表面上の点である。上記変換は、半直線の原点から超立方体の表面上の交点までの線分を、半直線の原点からTAC規制された超平面上の交点までの線分へ縮小することによって行われる。
【0084】
本発明の方法では、全単射変換を行うための別の方法を提供する。本発明の方法では、まず、規制されていない色材の超立方体を単体に分割する。そして、各単体に関して、TAC規制(または制約)を表す超平面と当該単体のエッジとの間に交点が見出される。そして、全単射変換法を用いて、規制されていない単体を、対応する、色材規制されたポリトープ内の単体に写像する。
【0085】
上記方法は、3次元色材空間、例えば、CMYに関して図示される。その普遍的な方法を、プリンタまたはその他のレンダリングシステムにおいて利用可能な色材の数に応じて、あらゆる数の次元に拡張することができる。一般的に用いられている4次元のCMYK空間に関して、上記方法を当該4次元のCMYK空間に直接適用することができる。または、ひとつの色材(例えば、K)を一定にして、条件付の3次元色材空間に上記方法を適用してもよい。
【0086】
例えば、もし総CMYK規制がLCMYKであれば、すべてのCMYK色に関してCMY規制が、“LCMY=LCMYK―K”で表される。
【0087】
すなわち、出力媒体に供給される各色材のうち、少なくとも1つの色材の量(使用率)は一定に保たれており、比較部2および第2単体特定部4は、当該一定に保たれている色材に対応する量だけ、上記総量の規制値を減少させてもよい。
【0088】
規制されていない3次元色材空間は、3次元のCMY立方体で表される。この3次元CMY立方体は、各色材(C、M、Y)の使用率をそれぞれ示す座標軸を1辺とする立方体である。代表的な3次元CMY立方体は、図3(a)〜(f)に示すように、6つの四面体(第1の3次元単体)に分割できる。その四面体には、各入力CMY色材が属しており、当該四面体を、CMY信号(色材量データに含まれる各色材の使用率)を分類することによって容易に見出すことができる。
【0089】
具体的には、図3(a)〜(f)に示すように、第1単体選択部3は、入力される色材量データが示す各色材の使用率の大小関係に基づいて、当該色材の総量のとり得る範囲を示す四面体を選択する。
【0090】
図示している分割スキームに関して、各四面体は、後述する頂点を含んでいる。すなわち、当該頂点とは、白点(原点)(0%カバレッジ)、黒点(300%カバレッジ)、完全に供給される単一色材の頂点(100%カバレッジ)および完全に供給される2つの色材の頂点(200%カバレッジ)である。単一の代表的な四面体Cが図4に図示されている。この図において、C、C、CおよびCは、それぞれ、0%(白)、100%、200%および300%(黒)カバレッジ点を示している。以下では、第1の3次元単体として、この四面体Cを用いて説明を行う。
【0091】
3次元の場合に関して、TAC規制超平面((n−1)次元超平面)は、総量規制値に依存した、3つまたは4つの点で四面体のエッジと交差する2次元平面である。もし、TAC規制値が100%と200%との間であれば、図4においてA、B、CおよびDの点として示したように、4つの交点が存在する。そうでなければ(もし、TAC規制が0%から100%の間または200%から300%の間である場合には)、3つの交点のみが存在する。
【0092】
TAC規制値が100%から200%の場合のTAC規制超平面と四面体との交点A、B、C、Dに関して、交点Aは、3色が混合した場合の点であり、交点Bは、2色が混合した点の点であり、交点Cは、ある1色の使用率が100%のときの点であり、交点Dは、ある1色の使用率が100%の場合で、他の2色が交点Cの場合よりも増加した場合の点である。
【0093】
概して、上記交点は、2つのカテゴリに分類される。ひとつは、白点Cに接続する、四面体のエッジにおける交点(図4にて、点AおよびB)であり、他方は、白点Cに接続していない、四面体のエッジにおける交点(図4にて、点CおよびD)である。
【0094】
次の工程では、全単射写像を、色材規制されたポリトープCABCDと、図3(a)〜(f)において示されている6つの四面体のそれぞれに関する名目ポリトープ(n次元ポリトープ)CCDとの間で行う。図示された例では、ポリトープCCDは、既に色材規制の範囲内にあり、上記写像の影響を受けない。換言すれば、四面体CCD内の点はTAC規制以下の点なので、変更しなくてよい。白点Cに接続している四面体のエッジにおける交点に関しては、各頂点は当該エッジの交点に写像される。図4に示すように、頂点CおよびCは、それぞれ交点AおよびBに写像される。
【0095】
なお、上記名目ポリトープとは、白点Cと、白点Cに接続していない、四面体(第1の3次元単体)のエッジにおける上記交点と、TAC規制外の空間に位置する、四面体の頂点とをその頂点として有するポリトープである。
【0096】
そして、変換部5は、重心補間を用いて、ポリトープCCD上の点をポリトープCABCD上に写像する。補間アルゴリズムをひとつに特定するために、TAC規制平面上の多角形ABCDが、2つの三角形に分割される。この分割を成し遂げるために一般的な分割法(例えば、ドローネ分割(Delaunary tessellation))を利用すればよい。図4には、点Aと点Cとを結ぶための分割方法が示されている。図4に図示されたTAC規制平面に関する、記述および図示された分割工程は、もし、3つの交点のみしか存在しない場合には必要ない。
【0097】
三角形に分割されたTAC平面上の多角形を用いて、重心補間アルゴリズムが唯一に特定される。ここで、上記写像は、四面体間において2つの写像に分類される。すなわち、四面体CABC(規制内色材空間)上への四面体CCの写像および四面体CACD(規制内色材空間)への四面体CDCの写像に分類される。四面体CCにおけるP点に関して、まず補間係数(K、K、K)が下記(1)式を解くことで見出される。
【0098】
【数1】

【0099】
そして、下記(2)式を用いて、名目空間四面体内の重心ウェート(barycentric weight)を、対応する色材規制四面体に適用することにより、四面体CABC内に写像される点Pが得られる。
【0100】
【数2】

【0101】
四面体CDCと四面体CACDとの間の写像も同様に行うことができる。
【0102】
換言すれば、第2単体特定部4は、図6に示すように、五面体CABCDの底辺の四角形ABCDと四角形CDCをそれぞれ二分割(ABCおよびADCと、CDCおよびCC)し、補正前の点P(補正前点)が四面体(CCDC、CCC)のいずれかに属するか判定する。図6は、単体分割の例を示す図である。
【0103】
具体的には、ベクトルCPをベクトルC、ベクトルC、ベクトルCCに分解し((1)式)、その時の係数K、K、Kすべてが0以上1以下であれば、点Pは四面体CCC(図6(a))に属していることになる。そうでなければ(係数K、K、Kのいずれかが負または1より大きい場合)、四面体CCDC(図6(b))に属していることになる。
【0104】
なお、補正前の点Pとは、出力媒体上に形成される像(例えば画像、文字など)を描写するための、連続階調の特定の色を表現するために用いられる各色材の使用率を各座標成分とする座標が示すn次元超立方体内の点であり、データ取得部1によって取得された色材量データによって示される点である。
【0105】
そして、変換部5は、五面体CCDの点が、五面体CABCDの中に納さまるように、五面体CCDの点を変換する。ここで、点Pが属している四面体(第2の3次元単体)によって、圧縮する方法が異なる。
【0106】
すなわち、点Pが四面体CCCに属している場合、五面体ABCCは総量規制外であり、変換部5は、ベクトルCをベクトルCAに対応させ、ベクトルCをベクトルCBに対応させ、四面体CCCを四面体CABCに圧縮する方法を用いる。
【0107】
一方、点Pが四面体CCDCに属している場合、四面体ACDCは総量規制外であり、変換部5は、ベクトルCをベクトルCAに対応させ、四面体CCDCを四面体CACDに圧縮する方法を用いる。
【0108】
なお、上述したように、四面体CABC内に写像される点Pは上記(2)式で表される。また、四面体CACD内に写像される点Pの場合は、上記(2)式の第2項(CB)が(CD)になる。
【0109】
以上のように、第2単体特定部4は、TAC規制平面と、第1の3次元単体(四面体C)との交点を算出し、当該交点を少なくとも1つ、その頂点として有する第2のn次元単体(四面体CCおよび四面体CDC)を特定する。
【0110】
そして、変換部5は、TAC規制平面によって区切られた第2の3次元単体のうち、総量規制値以内の色材の量を示す空間を規制内色材空間(四面体CABCおよび四面体CACD)とし、点Pを含む第2のn次元単体内の点を、規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法を用いて、点Pを点Pに変換する。
【0111】
(2次元空間における計算例)
次に、写像後の点Pの座標を算出するための具体的な計算方法について、2次元平面における例を用いて説明する。
【0112】
まず、総量規制が125%の場合の例について、図7を参照しつつ説明する。図7は、全単射変換の計算例を示す図である。同図に示すように、総量規制の境界線は、点A(25,100)と点B(100,25)とを結ぶ線分になる。補正前の点P(80、90)は、C、A、BおよびCを頂点として有する四角形CABCを2次元単体(すなわち、三角形)に分割することによって形成される三角形CACおよび三角形CBのうち、前者に含まれている。
【0113】
ベクトルCPをベクトルCA、ベクトルCに分解するには、以下の連立方程式を解けばよい。
【0114】
点Pのx成分=k×(点Aのx成分)+k×(点Cのx成分)
点Pのy成分=k×(点Aのy成分)+k×(点Cのy成分)
【0115】
【数3】

【0116】
求めたk、k、およびベクトルCA、ベクトルCCを用いて、修正後のPを表現すると下記(3)式のようになる。なお、点Cは、線分ABと線分Cとの交点である。
【0117】
【数4】

【0118】
次に、総量規制が150%の場合の例について、図8を参照しつつ説明する。図8は、全単射変換の別の計算例を示す図である。同図に示すように、総量規制の境界線は、点A(50,100)と点B(100,50)とを結ぶ線分になる。点P(100,80)は、四角形CABCを分割することによって形成される三角形CACおよび三角形CBのうち、後者に含まれている。
【0119】
ベクトルCPをベクトルCB、ベクトルCに分解するには、以下の連立方程式を解けばよい。
【0120】
点Pのx成分=k×(点Bのx成分)+k×(点Cのx成分)
点Pのy成分=k×(点Bのy成分)+k×(点Cのy成分)
【0121】
【数5】

【0122】
求めたk、k、およびベクトルCB、ベクトルCCを用いて、修正後のPを表現すると下記(4)式のようになる。なお、点Cは、線分ABと線分Cとの交点である。
【0123】
【数6】

【0124】
上述の3次元色材規制写像のための方法をN次元(Nは3よりも大きい)の色材空間に一般化することができる。そのようなN次元の色材空間に関して、図4に図示されたTAC規制平面上の三角分割を、TAC規制超平面上の(N−1)次元単体の分割に一般化できる。当業者には容易に理解されるように、上記(2)式に例示した四面体間の重心写像を、N次元単体間の重心写像によって置き換えることができる。
【0125】
(処理システム14における処理の流れ)
処理システム14における処理の流れの一例について、図9を参照しつつ説明する。図9は、処理システム14における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0126】
まず、データ取得部1は、入力インターフェース20を介して、色材量データを取得する(S1)。この色材量データには、総量規制の対象となるn種類の色の色材の使用率が示されている。データ取得部1は、取得した色材量データをメモリ16に保存する。
【0127】
比較部2は、メモリ16から色材量データを取得し、色材量データに示される各色材の総量(点Pの座標)が、規制値以内であるかどうかを判定する。このとき比較部2は、総量規制値を示す情報を、例えば、メモリ16から取得する。
【0128】
各色材の総量(使用率の合計)が、規制値以内であれば(S2にてYES)、色材量データを変更せずに、当該色材量データを、出力インターフェース22を介して、出力装置34へ出力する(S3)。
【0129】
一方、各色材の総量が、規制値を超えていれば(S2にてNO)、その旨を示す超過情報を第1単体選択部3へ出力する。
【0130】
第1単体選択部3は、超過情報を受け取ると(すなわち、色材の総量が規制値を超えている場合に)、メモリ16から色材量データを取得し、当該色材量データが示すn種類の色材の使用率の大小関係を決定することにより、第1のn次元単体を選択する(S4)。第1単体選択部3は、選択した第1のn次元単体の頂点の座標を第2単体特定部4へ出力する。
【0131】
第2単体特定部4は、総量規制値を示す(n−1)次元超平面と、第1単体選択部3によって選択された第1のn次元単体との交点を算出し、上述したように第2のn次元単体を特定する(S5)。第2単体特定部4は、特定した第2のn次元単体の頂点の座標を変換部5へ出力する。
【0132】
そして、変換部5は、(n−1)次元超平面によって区切られた第2のn次元単体のうち、総量規制値以内の色材の量を示す空間を規制内色材空間とし、第2単体特定部4によって特定された第2のn次元単体の各点を、規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法により、補正前の点Pを、規制内色材空間内の対応する点Pに変換する(S6)。
【0133】
変換部5は、変換した点Pの座標から各色材の使用率を算出し、変更後の色材量データを、出力インターフェース22を介して、出力装置34へ出力する(S7)。
【0134】
なお、処理システム14は、変更の前後の色材量データを用いて、補正前点に相当する各色材の使用率と、当該補正前点を変換した後の点に相当する各色材の使用率とを示す色材変換ルックアップテーブル(色材量変換テーブル)を生成し、当該色材変換ルックアップテーブルを出力装置34に供給してもよい。そのために、処理システム14は、色材変換ルックアップテーブルを生成するテーブル生成部(テーブル生成手段)を備えていてもよい。
【0135】
以上のように、処理システム14では、各色材の総量の範囲を示すポリトープを単体に分割することにより、各色材の総量が規制値内に収まるように各色材量を減少させるための計算を簡単に行うことができ、なおかつ高速に計算ができる。それゆえ、色材量を算出する装置を、容易にハードウェア化することができる。
【0136】
また、n次元に拡張しても、n個のベクトルを用いるだけで、演算方法はそのまま使えるため、多次元への拡張が容易である。
【0137】
本発明を、その精神または本質的な特性から外れることなく他の特定の形態において具現化してもよい。上述した実施形態は、あらゆる観点において、例示のためのみのものであり、本発明を限定するものではない。それゆえ、本発明の範囲は、上記記述よりも添付の請求項によって示されている。請求項に記載の手段および請求項と均等の範囲内でなされるすべての変更は、本発明の範囲に含まれる。
【0138】
例えば、上述したコンピュータ装置10、特に処理システム14の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0139】
すなわち、コンピュータ装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるコンピュータ装置10の制御プログラム(色材量算出プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記コンピュータ装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0140】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0141】
また、コンピュータ装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0142】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0143】
すなわち、本発明の方法は、本発明のカラーレンダリングシステムにおいて、色材の総量を、多次元単体分割および重心補間を用いて規制するための方法であって、
第1のn次元超立方体として表現された色材規制のないnチャネル色材空間を規定する工程と、
不規則なポリトープとして表現される、規則によって定められた色材空間を規定するために、上記nチャネル色材空間に、(n−1)次元の超平面として表現される総量(TAC)規制を適用する工程と、
上記規則によって定められた色材空間と、第2のn次元超立方体を満たすように表現された名目色材空間との間で全単射変換を適用する工程とを含み、
上記全単射変換は、
上記名目色材空間をn次元単体に分割する工程と、
各単体に関して、上記TAC規制(n−1)次元超平面と上記単体のエッジとの交点を見出す工程と、
重心補間法を用いて、上記名目色材空間の各単体を、上記規則によって定められた色材空間内の対応するn次元単体上に写像する工程とによって行われる方法である。
【0144】
上記方法において、上記全単射変換を行う工程は、さらに、その頂点が上記交点である(n−1)次元凸状ポリトープを、TAC規制(n−1)次元超平面上の、(n−1)次元の単体のセットに分割する工程を含んでいることが好ましい。
【0145】
上記方法において、上記nチャネル色材空間は、白点を含み、名目色材空間の各単体を、上記規則によって定められた色材空間内の対応する単体に写像する工程は、
交点を含み、ひとつの頂点として白点を有する名目色材空間の単体のエッジのセットを特定し、上記エッジのセットの各エッジに関して、上記エッジの残りの頂点を、対応する交点に写像する工程と、
上記名目色材空間の単体内の点に関する重心重みを見出す工程と、
上記規則によって定められた色材空間内の対応する単体に上記重心重みを適用することにより、上記規則によって定められた色材空間内に写像された点を見出す工程とを含んでいることが好ましい。
【0146】
上記方法には、n次元色材規制として、(n+1)チャネル色材空間が適用され、ひとつの色材は、一定に保たれており、上記方法のn次元TAC規制は、一定に保たれている色材に対応する量だけ(n+1)次元TAC規制を減少させることによって決定されることが好ましい。
【0147】
上記方法には、n次元色材規制として、(n+m)チャネル色材空間が適用され、m色材は、一定に保たれており、上記方法のn次元TAC規制は、一定に保たれている色材に対応する量だけ(n+m)次元TAC規制を減少させることによって決定されることが好ましい。
【0148】
上記方法は、3チャネル色材空間に対して適用されることが好ましい。
【0149】
上記方法は、4チャネル色材空間に対して適用されることが好ましい。
【0150】
上記方法は、1つまたは複数の色材変換ルックアップテーブルを生成するための工程内で用いられることが好ましい。
【0151】
上記方法は、TAC規制内に落ち着く色材を出力するために用いられ、上記色材は、インク、トナーおよび染料からなる群から選ばれた色材を含むことが好ましい。
【0152】
本発明の複数の色材によるレンダリングシステムは、
総量(TAC)規制を有している出力レンダリング媒体と、
上記出力レンダリング媒体に色をレンダリングするように構成されたレンダリング装置と、
上記レンダリング装置に接続されたプロセッサとを含み、
上記プロセッサは、
第1のn次元超立方体として表現された色材規制のないnチャネル色材空間を規定し、
不規則なポリトープとして表現される、規則によって定められた色材空間を規定するために、上記nチャネル色材空間に、(n−1)次元の超平面として表現される総量(TAC)規制を適用し、
上記規則が指定する色材空間と、第2のn次元超立方体を満たすように表現された名目色材空間との間で全単射変換を適用し、
上記全単射変換は、
上記名目色材空間をn次元単体に分割する工程と、
各単体に関して、上記TAC規制(n−1)次元超平面と上記単体のエッジとの間に交点を見出す工程と、
重心補間法を用いて、上記名目色材空間の各単体を、上記規定された色材空間内の対応するn次元単体上に写像する工程とによって行われる。
【0153】
上記システムにおいて、上記全単射変換を行う工程は、さらに、その頂点が交点である(n−1)次元凸状ポリトープを、TAC規制(n−1)次元超平面上の、(n−1)次元の単体のセットに分割する工程を含んでいることが好ましい。
【0154】
上記システムにおいて、上記nチャネル色材空間は、白点を含み、名目色材空間の各単体を、上記規則によって定められた色材空間内の対応する単体に写像する工程は、
交点を含み、ひとつの頂点として白点を有する名目色材空間の単体のエッジのセットを特定し、上記エッジのセットの各エッジに関して、上記エッジの残りの頂点を、対応する交点に写像する工程と、
上記名目色材空間の単体内の点に関する重心重みを見出す工程と、
上記規則によって定められた色材空間内の対応する単体に上記重心重みを適用することにより、上記規則によって定められた色材空間内に写像された点を見出す工程とを含んでいることが好ましい。
【0155】
上記システムにおいて、上記プロセッサは、n次元色材規制を、(n+1)チャネル色材空間に適用し、ひとつの色材は、一定に保たれており、上記システムのn次元TAC規制は、一定に保たれている色材に対応する量だけ(n+1)次元TAC規制を減少させることによって決定されることが好ましい。
【0156】
上記方法は、n次元色材規制として、(n+m)チャネル色材空間が適用され、m色材は、一定に保たれており、上記方法のn次元TAC規制は、一定に保たれている色材に対応する量だけ(n+m)次元TAC規制を減少させることによって決定されることが好ましい。
【0157】
上記システムにおいて、上記レンダリング装置は、コンピュータ装置に接続されたプリンタであり、当該コンピュータ装置は、上記プロセッサを備えていることが好ましい。
【0158】
上記システムは、さらにネットワークを備え、上記コンピュータ装置およびプリンタは、上記ネットワークを介して接続されていることが好ましい。
【0159】
上記システムは、1つの印刷装置の内部にその全体が含まれていることが好ましい。
【0160】
本発明の方法は、本発明のカラーレンダリングシステムにおいて、色材の総量を、多次元単体分割および重心補間を用いて規制するための方法であって、
第1の3次元立方体として表現された色材規制のない3チャネル色材空間を規定する工程と、
不規則な多面体として表現される、規則によって定められた色材空間を規定するために、上記3チャネル色材空間に、2次元の平面として表現される総量(TAC)規制を適用する工程と、
上記規則によって定められた色材空間と、第2の3次元立方体を満たすように表現された名目色材空間との間で全単射変換を適用する工程とを含み、
上記全単射変換は、
上記名目色材空間を四面体に分割する工程と、
各単体に関して、上記TAC規制平面と上記四面体のエッジとの間に交点を見出す工程と、
重心補間法を用いて、上記名目色材空間の各四面体を、上記規則によって定められた色材空間内の対応する四面体上に写像する工程とによって行われる方法である。
【0161】
上記方法には、3次元色材規制として、4チャネル色材空間が適用され、ひとつの色材は、一定に保たれており、上記方法のn次元TAC規制は、一定に保たれている色材に対応する量だけ4次元TAC規制を減少させることによって決定されることが好ましい。
【0162】
上記方法において、上記全単射変換を行う工程は、さらに、TAC規制平面上の多角形を三角形に分割する工程を含んでいることが好ましい。
【0163】
上記方法において、上記3チャネル色材空間は、白点を含み、名目色材空間の各四面体を、上記規則によって定められた色材空間内の対応する四面体に写像する工程は、
交点を含み、ひとつの頂点として白点を有する名目色材空間の四面体のエッジのセットを特定し、上記エッジのセットの各エッジに関して、上記エッジの残りの頂点を、対応する交点に写像する工程と、
上記名目色材空間の四面体内の点に関する重心重みを見出す工程と、
上記規則によって定められた色材空間内の対応する四面体に上記重心重みを適用することにより、上記規則によって定められた色材空間内に写像された点を見出す工程とを含んでいることが好ましい。
【0164】
本発明は、複数の色材によるレンダリングおよび印刷に関するものである。特に、本発明の実施形態は、多次元単体分割および重心補間を用いて、印刷装置またはカラーレンダリングシステムにおける色材の総量を規制するためのシステムおよび方法に関するものである。さらに、本発明の実施形態は、多数の色材によるレンダリングにおける総色材量を規制するためのシステムおよび方法に関するものである。
【0165】
本発明の実施形態は、色材構成要素の合計が特定の最大量を超えないように制限されている第2の(すなわち結果として生じる)色材を生成するために、色材構成要素の総量が特定の最大値を超えている特定の色材を変換することと関連している。従って、変換された、結果として生じる色材は、色材の総量(TAC)規制の範囲内で出力される。
【0166】
少なくともいくつかの実施形態において、第2の(すなわち、結果として生じる)色材を生成するためにコンピュータ装置が用いられる。少なくとも1つの実施形態において、TAC規制のないnチャネル色材空間が、サンプリングおよび操作に関してアルゴリズムとして簡単であるn次元の超立方体によって表現されている。しかし、TAC規制が適用されたとき、利用可能な色材空間は、サンプリングおよび操作がより困難な不規則なポリトープとなる。本発明の方法では、色材規制されたポリトープと、超立方体を満たす「名目色材空間」との間において全単射変換を行う。全単射変換を用いて、色材サンプリングおよびその他の操作が、名目色材空間の超立方体を用いて行われる。名目色材空間の超立方体は、サンプリングおよび操作が容易なものであり、名目色材空間から得られた結果は、実際の色材規制空間に圧縮して戻される。
【0167】
本発明の方法では、まず、規制されていない色材超立方体を単体に分割する。そして、各単体に関して、TAC規制(または制限)を示す超平面と、上記単体のエッジとの間の交点が見出される。そして、規制されていない単体を、色材規制されたポリトープ内の対応する単体に写像するために、重点補間法が用いられる。
【0168】
本発明の実施形態における方法および工程は、インクジェットプリンタ、電子写真(EP)エンジン、およびその他の印刷工程に関して、複数の色材によるレンダリングにおける色材の総量を規制するために有用であることが証明されている。その例には、プリンタ、コピー、ファクシミリ、プロッタ、複合周辺機器、モニタなど、複数の色材によるレンダリングを行うものが含まれている。
【0169】
当業者には容易に理解できるであろうが、上記方法および工程は、全てのタイプの、複数の色材によるレンダリングにおいて、色材の総量規制を行うために、異なる様々なアプリケーションおよび異なる様々な工程において用いることができる。本発明の方法を、コンピュータ装置を用いて実現してもよく、コンピュータ装置、クライアントコンピュータ装置、サーバ、印刷装置、カラーレンダリング装置、複合装置、または当業者に知られているその他の装置におけるハードウェアまたはソフトウェアにおいて実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明の色材量算出装置は、色材成分の供給量が適正な量となるように制御するものである。このため、画像処理に関して指示または実行する機器に適用可能であり、例えば、複合機(MFP)または他のプリンタ/プロッタ、複写機、ファクシミリ機器、モニター、PC、携帯電話やPDA等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の実施形態のための適切なオペレーティング環境を提供する代表的なシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態のための適切なオペレーティング環境を提供する代表的なネットワークシステム構成を示す図である。
【図3】(a)〜(f)は、色材立方体を6つの四面体に分割する方法を示す図である。
【図4】総量(TAC)規制平面の、図3Aに示す代表的な四面体との交差を示す図である。
【図5】処理システム14の構成を示すブロック図である。
【図6】(a)および(b)は、単体分割の例を示す図である。
【図7】全単射変換の計算例を示す図である。
【図8】全単射変換の別の計算例を示す図である。
【図9】処理システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0172】
1 データ取得部(データ取得手段)
3 第1単体選択部(第1単体選択手段)
4 第2単体特定部(第2単体特定手段)
5 変換部(変換手段)
10 コンピュータ装置(色材量算出装置)
14 処理システム(色材量算出装置)
34 出力装置(レンダリング装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に供給される複数の色材の、当該印刷媒体上の単位領域あたりの総量が規制値内に収まるように、各色材の量を算出する色材量算出装置であって、
上記単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得手段と、
上記データ取得手段によって取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定手段と、
上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定手段によって決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出手段と、
上記交点算出手段によって算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定手段と、
上記第2単体特定手段によって特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換手段とを備えることを特徴とする色材量算出装置。
【請求項2】
上記交点算出手段によって算出された交点の数がn個を超える場合、上記第2単体特定手段は、n個を超える交点の中から、上記n次元超立方体の稜線における交点であるエッジ点と上記原点とを結ぶ線分上および上記n種類の色の色材の全てが最大使用量であることを示す最大点と上記原点とを結ぶ線分上に存在する交点以外の交点を任意に選び、選んだ交点と上記原点とを通る直線が上記n次元超立方体の表面と交わる点を、上記原点、上記最大点および上記エッジ点とともに頂点として有するn次元単体を上記第2のn次元単体として特定することを特徴とする請求項1に記載の色材量算出装置。
【請求項3】
上記第2単体特定手段は、上記原点を始点とし上記補正前点を終点とするベクトルを、上記原点を始点とし上記外郭点を終点とするn個のベクトルの線形和として表現した場合の、各ベクトルの係数に基づいて上記第2のn次元単体を特定することを特徴とする請求項2に記載の色材量算出装置。
【請求項4】
印刷媒体に供給される各色材のうち、少なくとも1つの色材の量は一定に保たれており、上記第2単体特定手段は、当該一定に保たれている色材に対応する量だけ、上記総量の規制値を減少させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色材量算出装置。
【請求項5】
上記データ取得手段は、総量規制の対象となる3種類の色材の使用率を示す色材量データを取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の色材量算出装置。
【請求項6】
上記データ取得手段は、総量規制の対象となる4種類の色材の使用率を示す色材量データを取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の色材量算出装置。
【請求項7】
上記補正前点に相当する各色材の使用率と、当該補正前点を変換した後の点に相当する各色材の使用率とを示す色材量変換テーブルを生成するテーブル生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の色材量算出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の色材量算出装置を動作させる色材量算出プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための色材量算出プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の色材量算出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
印刷媒体に供給される複数の色材の、当該印刷媒体上の単位領域あたりの総量が規制値内に収まるように、各色材の量を算出する色材量算出装置における色材量算出方法であって、
上記単位領域あたりの単一色材の最大使用量に対する当該単一色材の使用量の割合である使用率を、特定の色を表現するために混合され、総量規制の対象となるn種類の色の色材について示す色材量データを取得するデータ取得工程と、
上記データ取得工程において取得された色材量データが示す各色材の使用率の大小関係を決定する大小関係決定工程と、
上記n種類の色の色材のそれぞれについての上記使用率を0から最大値まで示す座標軸を辺として有するn次元超立方体内において、上記大小関係決定工程において決定された大小関係を有する各座標成分を含む座標が存在する範囲に相当する第1のn次元単体の稜線と、上記単位領域あたりの総量の規制値を示す(n−1)次元超平面との交点を算出する交点算出工程と、
上記交点算出工程において算出された交点と上記座標軸の原点とを通る複数の直線が上記n次元超立方体の表面とそれぞれ交わる点である外郭点と、上記原点とを頂点として有し、上記色材量データに示される、各色材の使用率を各座標成分とする座標が示す補正前点を内部に含む第2のn次元単体を特定する第2単体特定工程と、
上記第2単体特定工程において特定された第2のn次元単体を、上記(n−1)次元超平面によって区切ることによって生じる部分うち、上記規制値以内の色材の総量を示す空間を規制内色材空間とし、上記第2のn次元単体内の点を、上記規制内色材空間内の点に全単射変換する変換方法によって、上記補正前点を、対応する上記規制内色材空間内の点に変換する変換工程とを含むことを特徴とする色材量算出方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の色材量算出装置と、
上記色材量算出装置と通信可能に接続され、印刷媒体に色をレンダリングするレンダリング装置とを含むレンダリングシステム。
【請求項12】
上記レンダリング装置は、プリンタであることを特徴とする請求項11に記載のレンダリングシステム。
【請求項13】
上記色材量算出装置と上記レンダリング装置とは、ネットワークを介して接続されていることを特徴とする請求項11または12に記載のレンダリングシステム。
【請求項14】
上記色材量算出装置と上記レンダリング装置とは、一体として設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載のレンダリングシステム。
【請求項15】
上記レンダリング装置が使用する色材は、インク、トナーおよび染料からなる群から選ばれた色材を含むことを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のレンダリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−245272(P2008−245272A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46870(P2008−46870)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】