説明

色空間変換装置、色空間変換方法及びプログラム

【課題】色空間を変換する際の階調潰れを抑制する。
【解決手段】色空間変換部105は、第1の色空間の画像データから第2の色空間の画像データへの変換処理に対応する第1の変換行列と、第2の色空間の画像データから第1の色空間の画像データへの変換処理に対応する第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように第1の変換行列の係数が調整された第3の変換行列を用いて、第1の色空間の画像データを第2の色空間の画像データに変換する。色空間変換部107は、第1の変換行列と第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように第2の変換行列の係数が調整された第4の変換行列を用いて、色空間変換部105により生成された第2の色空間の画像データを第1の色空間の画像データに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色空間を変換する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、動画記録機能を備えるデジタルスチルカメラや、静止画記録機能を備えるデジタルビデオカメラが広く普及しており、撮影した画像データをテレビやパーソナルコンピュータの表示装置で表示させる機会が増えてきている。デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の入力機器により取り込まれた画像データは、様々な信号形態及びフォーマットで記憶手段に記録される。最も一般的なフォーマットとして、静止画データはJPEGで記録され、動画データはMPEGで記録されることが知られている。
【0003】
よく知られたデータ形態としてRGBデータがある。JPEGの場合、RGBデータはITU−R BT.601に準拠してYCCデータ(輝度データ及び色差データ)に変換される。このYCCデータを以下ではYCC601と称す。また、HD動画のMPEGの場合、RGBデータはITU−R BT.709に準拠してYCCデータに変換される。このYCCデータを以下ではYCC709と称す。
【0004】
同一の画像データでも、表示デバイスの違いにより再現される色味が異なることがある。この色味の違いを防ぐ概念としてカラーマッチングがある。カラーマッチングでは、表現できる色空間の領域が指定されている。最も広く普及している色空間の領域の1つにsRGB色空間があり、テレビやパーソナルコンピュータ等の表示装置の標準の色空間として採用されている。
【0005】
画像データのビット幅を8ビットとする。テレビでは、ビデオレンジと呼ばれる輝度データが16〜235、色差データが16〜240の範囲が100%のsRGB空間に対応している。一方、JPEGでは、フルレンジと呼ばれる輝度データ及び色差データともに0〜255の範囲を100%のsRGB空間に対応させている。なお、以下の説明においては、ITU−R BT.601に準拠して変換されたYCCデータであって、且つフルレンジが100%のsRGB空間に対応するYCCデータを、<sRGB、YCC601、フルレンジ>と記載する。また、ITU−R BT.709に準拠して変換されたYCCデータであって、且つビデオレンジが100%のsRGB空間にするYCCデータを、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>と記載する。その他、<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>、<sRGB、YCC709、フルレンジ>と記載することがあるが、これらも各記載に対応する意味のYCCデータである。
【0006】
動画記録機能を備えるデジタルスチルカメラでは、画像データはJPEGで採用されている<sRGB、YCC601、フルレンジ>に信号処理され、動画記録やテレビ出力時にのみ<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換されることがある。一方、静止画記録機能を備えるデジタルビデオカメラでは、画像データは<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に信号処理され、静止画記録時のみ<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換されることがある。
【0007】
このように、動画記録機能を備えるデジタルスチルカメラや静止画記録機能を備えるデジタルビデオカメラでは、<sRGB、YCC601、フルレンジ>と<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>との間で変換が行われる。非特許文献1には、YCC601とYCC709との間の一般的な変換方法について開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】SMPTE ENGINEERING GUIDELINE(EG 36−2000) Transformations Between Television Component Color Signals
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際の計算では、入出力のビット精度や変換係数のビット精度の問題があり、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する際に階調潰れが発生する。同様に、<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC709、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>に変換する際にも階調潰れが発生する。この階調潰れが疑似輪郭として認識されてしまう。
【0010】
例えば、動画記録機能を備えるデジタルスチルカメラにおいて、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>で動画を記録し、動画再生時に<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換して信号処理を行い、テレビ出力時に<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換して出力するパスが想定される。この場合、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換される。このとき、階調潰れが発生し、疑似輪郭として認識されてしまう。
【0011】
また、静止画記録機能を備えるデジタルビデオカメラにおいて、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>で信号処理した画像データを<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換して静止画を記録し、静止画再生時に、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換してテレビで出力するパスが想定される。この場合も、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換される。そのため、階調潰れが発生し、疑似輪郭として認識されてしまう。
【0012】
そこで、本発明の目的は、色空間を変換する際の階調潰れを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の色空間変換装置は、第1の色空間の画像データから第2の色空間の画像データへの変換処理に対応する第1の変換行列と、前記第2の色空間の画像データから前記第1の色空間の画像データへの変換処理に対応する第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第1の変換行列の係数が調整された第3の変換行列を用いて、前記第1の色空間の画像データを前記第2の色空間の画像データに変換する第1の変換手段と、前記第1の変換行列と前記第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第2の変換行列の係数が調整された第4の変換行列を用いて、前記第1の変換手段により生成された前記第2の色空間の画像データを前記第1の色空間の画像データに変換する第2の変換手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色空間を変換する際の階調潰れを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラの構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るデジタルビデオカメラの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラの構成を示す図である。本実施形態に係るデジタルスチルカメラは動画記録機能を備えている。なお、図1に示すデジタルスチルカメラの各構成は、CPU109が不図示の記録媒体から必要なプログラムを読み出し、実行することにより制御される構成である。
【0018】
現像処理部102は、撮像部101において撮影された画像データを、JPEGフォーマットとして記録可能な<sRGB、YCC601、フルレンジ>に現像する。即ち、ここではITU−R BT.601に準拠した色空間の画像データが生成される。なお、ITU−R BT.601に準拠した色空間は、第1の色空間の例である。画像信号処理部103は、現像処理部102により生成された<sRGB、YCC601、フルレンジ>に対して所定の信号処理を施す。
【0019】
静止画データを記録する場合、静止画圧縮伸長部104は、画像信号処理部103において所定の信号処理が施された<sRGB、YCC601、フルレンジ>をJPEGフォーマットで圧縮する。静止画圧縮伸長部104の圧縮処理により生成されたJPEGフォーマットの画像データは、静止画データ記録メディア110に記録される。一方、静止画データを再生する場合、静止画圧縮伸長部104は、静止画データ記録メディア110からJPEGフォーマットの画像データを読み出し、<sRGB、YCC601、フルレンジ>に伸長する。画像信号処理部103は、静止画圧縮伸長部104の伸長処理により生成された<sRGB、YCC601、フルレンジ>に対して所定の信号処理を施す。色空間変換部107は、画像信号処理部103において所定の信号処理が施された<sRGB、YCC601、フルレンジ>を、テレビ出力が可能な<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する。色空間変換部107において生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>は、外部出力部108を介してテレビに出力される。
【0020】
動画データを記録する場合、色空間変換部105は、画像信号処理部103において所定の信号処理が施された<sRGB、YCC601、フルレンジ>を、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する。即ち、ここではITU−R BT.709に準拠した色空間の画像データが生成される。なお、ITU−R BT.709に準拠した色空間は、第2の色空間の例である。
【0021】
動画圧縮伸長部106は、色空間変換部105により生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>をMPEGフォーマットで圧縮する。動画圧縮伸長部106の圧縮処理により生成されたMPEGフォーマットの画像データは、動画データ記録メディア111に記録される。一方、動画データを再生する場合、動画圧縮伸長部106は、動画データ記録メディア111からMPEGフォーマットの画像データを読み出し、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に伸長する。色空間変換部105は、動画圧縮伸長部106の伸長処理により生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>を、<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換する。画像信号処理部103は、色空間変換部105において生成された<sRGB、YCC601、フルレンジ>に対して所定の信号処理を施す。色空間変換部107は、画像信号処理部103において所定の信号処理が施された<sRGB、YCC601、フルレンジ>を、テレビ出力が可能な<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する。色空間変換部107において生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>は、外部出力部108を介してテレビに出力される。
【0022】
本実施形態は、色空間変換部105と色空間変換部107との変換係数を制御することにより階調潰れを抑制するものである。以下、本実施形態における変換係数の算出方法について説明する。
【0023】
入出力のビット幅を8ビット、変換係数のビット幅を9ビットとしたときの、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換する際の理論式は、次の式1で表すことができる。なお、式1は第1の変換行列の例である。
【0024】
【数1】

【0025】
また、<sRGB、YCC601、フルレンジ>から<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する際の理論式は、次の式2で表すことができる。なお、式2は第2の変換行列の例である。
【0026】
【数2】

【0027】
変換係数のビット精度を無限大にとった場合の<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>への理論式(変換行列)と、<sRGB、YCC601、フルレンジ>から<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>への理論式(変換行列)とは、逆行列の関係にある。しかしながら、実際には、変換係数のビット精度が有限であるため、誤差が生じる。変換係数の制御方法としては、式1の理論式(変換行列)と式2の理論式(変換行列)とを乗算し、乗算結果が単位行列に近付くように式1及び式2の変換係数を調整する。ここで各変換係数のビット幅を大幅に変更した場合、<sRGB、YCC601、フルレンジ>時の値が理論値からずれるので、変換係数のビット幅の変更範囲を限定する必要がある。
【0028】
ここでは、式1及び式2変換係数を所定の範囲内(ここでは、±1の範囲内)で調整した調整式を示す。<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換する際の調整式は、次の式3で表すことができる。なお、式3は第3の変換行列の例である。
【0029】
【数3】

【0030】
また、<sRGB、YCC601、フルレンジ>から<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する際の調整式は、次の式4で表すことができる。なお、式4は第4の変換行列の例である。
【0031】
【数4】

【0032】
これらの調整式により、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する際の変換係数のビット精度による階調潰れを抑制することができる。
【0033】
次に、<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC709、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>に変換する際の理論式及び調整式について説明する。<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC709、フルレンジ>に変換する際の理論式は、次の式5で表すことができる。
【0034】
【数5】

【0035】
また、<sRGB、YCC709、フルレンジ>から<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>に変換する際の理論式は、次の式6で表すことができる。
【0036】
【数6】

【0037】
また、<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC709、フルレンジ>に変換する際の調整式は、次の式7で表すことができる。
【0038】
【数7】

【0039】
また、<sRGB、YCC709、フルレンジ>から<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>に変換する際の調整式は、次の式8で表すことができる。
【0040】
【数8】

【0041】
階調潰れにより疑似輪郭と認識されやすい画像データの領域として、画像データの値が一定の間隔で緩やかに変化するグラディエーション領域や中間階調領域が挙げられる。画像解析部112は、階調潰れにより疑似輪郭と認識されやすい画像データの領域を識別し、CPU109に通知する。CPU109は、当該通知に基づいて、疑似輪郭と認識されやすい領域に対しては、色空間変換部105及び色空間変換部107において上記の調整式を用いて変換するように制御する。これにより、階調潰れを抑制することができる。一方、ラディエーション領域や中間階調領域以外の領域に対しては、CPU109は、色空間変換部105及び色空間変換部107において上記の理論式で変換するように制御する。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係るデジタルビデオカメラの構成を示す図である。本実施形態に係るデジタルビデオカメラは、静止画記録機能を備えている。なお、図2に示すデジタルビデオカメラの各構成は、CPU209が不図示の記録媒体から必要なプログラムを読み出し、実行することにより制御される構成である。
【0043】
現像処理部202は、撮像部201において撮影された画像データを、MPEGフォーマットとして記録可能な<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に現像する。画像信号処理部203は、現像処理部202により生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に対して所定の信号処理を施す。
【0044】
動画データを記録する場合、動画圧縮伸長部206は、画像信号処理部203により所定の信号処理が施された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>をMPEGフォーマットで圧縮する。動画圧縮伸長部206の圧縮処理により生成されたMPEGフォーマットの画像データは、動画データ記録メディア211に記録される。一方、動画データを再生する場合、動画圧縮伸長部206は、動画データ記録メディア211からMPEGフォーマットの画像データを読み出し、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に伸長する。画像信号処理部203は、動画圧縮伸長部206の伸長処理により生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に対して所定の信号処理を施す。画像信号処理部203により所定の信号処理が施された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>は、外部出力部208を介してテレビに出力される。
【0045】
静止画データを記録する場合、色空間変換部205は、画像信号処理部203において所定の信号処理が施された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>を、<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換する。静止画圧縮伸長部204は、色空間変換部205により生成された<sRGB、YCC601、フルレンジ>をJPEGフォーマットで圧縮する。静止画圧縮伸長部204の圧縮処理により生成されたJPEGフォーマットの画像データは、静止画データ記録メディア210に記録される。一方、静止画データを再生する場合、静止画圧縮伸長部204は、静止画データ記録メディア210からJPEGフォーマットの画像データを読み出し、<sRGB、YCC601、フルレンジ>に伸長する。色空間変換部205は、静止画圧縮伸長部204の伸長処理により生成された<sRGB、YCC601、フルレンジ>を、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する。画像信号処理部203は、色空間変換部205により生成された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に対して所定の信号処理を施す。画像信号処理部203により所定の信号処理が施された<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>は、外部出力部208を介してテレビに出力される。
【0046】
上述した実施形態においては、静止画データの記録パス及び再生パスにおいて、<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC601、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC709、ビデオレンジ>に変換する。その際、色空間変換部205の変換係数を制御することにより、階調潰れを抑制することができる。変換係数の算出方法は、第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
【0047】
なお、<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>から<sRGB、YCC709、フルレンジ>に変換し、再び<sRGB、YCC601、ビデオレンジ>に変換する際にも、上述した実施形態と同様に、変換係数が制御された調整式を用いることにより、階調潰れを抑制することができる。
【0048】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0049】
101、201:撮像部、102、202:現像処理部、103、203:画像信号処理部、104、204:静止画圧縮伸長部、105、205:色空間変換部、106、206:動画圧縮伸長部、107:色空間変換部、108、208:外部出力部、109、209:CPU、110、210:静止画データ記録メディア、111、211:動画データ記録メディア、112:画像解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色空間の画像データから第2の色空間の画像データへの変換処理に対応する第1の変換行列と、前記第2の色空間の画像データから前記第1の色空間の画像データへの変換処理に対応する第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第1の変換行列の係数が調整された第3の変換行列を用いて、前記第1の色空間の画像データを前記第2の色空間の画像データに変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換行列と前記第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第2の変換行列の係数が調整された第4の変換行列を用いて、前記第1の変換手段により生成された前記第2の色空間の画像データを前記第1の色空間の画像データに変換する第2の変換手段とを有することを特徴とする色空間変換装置。
【請求項2】
前記第1の変換行列を用いて、前記第1の色空間の画像データを前記第2の色空間の画像データに変換する第3の変換手段と、
前記第2の変換行列を用いて、前記第3の変換手段により生成された前記第2の色空間の画像データを前記第1の色空間の画像データに変換する第4の変換手段と、
前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段を用いるか、前記第3の変換手段及び前記第4の変換手段を用いるかを決定する決定手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の色空間変換装置。
【請求項3】
前記決定手段は、所定の領域に該当する画像データに対しては前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段を用い、前記所定の領域以外の領域に該当する画像データに対しては前記第3の変換手段及び前記第4の変換手段を用いることを決定することを特徴とする請求項2に記載の色空間変換装置。
【請求項4】
前記所定の領域は、画像データの値が一定の間隔で変化するグラディエーション領域であることを特徴とする請求項3に記載の色空間変換装置。
【請求項5】
前記所定の領域は、中間階調領域であることを特徴とする請求項3に記載の色空間変換装置。
【請求項6】
前記第3の変換行列の係数は、前記第1の変換行列の係数から所定の範囲内で調整された係数であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の色空間変換装置。
【請求項7】
前記第4の変換行列の係数は、前記第2の変換行列の係数から所定の範囲内で調整された係数であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の色空間変換装置。
【請求項8】
前記第1の色空間は、ITU−R BT.601に準拠した色空間であり、前記第2の色空間は、ITU−R BT.709に準拠した色空間であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の色空間変換装置。
【請求項9】
前記第1の色空間は、ITU−R BT.709に準拠した色空間であり、前記第2の色空間は、ITU−R BT.601に準拠した色空間であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の色空間変換装置。
【請求項10】
色空間変換装置によって実行される色空間変換方法であって、
第1の色空間の画像データから第2の色空間の画像データへの変換処理に対応する第1の変換行列と、前記第2の色空間の画像データから前記第1の色空間の画像データへの変換処理に対応する第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第1の変換行列の係数が調整された第3の変換行列を用いて、前記第1の色空間の画像データを前記第2の色空間の画像データに変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換行列と前記第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第2の変換行列の係数が調整された第4の変換行列を用いて、前記第1の変換ステップにより生成された前記第2の色空間の画像データを前記第1の色空間の画像データに変換する第2の変換ステップとを有することを特徴とする色空間変換方法。
【請求項11】
第1の色空間の画像データから第2の色空間の画像データへの変換処理に対応する第1の変換行列と、前記第2の色空間の画像データから前記第1の色空間の画像データへの変換処理に対応する第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第1の変換行列の係数が調整された第3の変換行列を用いて、前記第1の色空間の画像データを前記第2の色空間の画像データに変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換行列と前記第2の変換行列との乗算結果が単位行列に近付くように前記第2の変換行列の係数が調整された第4の変換行列を用いて、前記第1の変換ステップにより生成された前記第2の色空間の画像データを前記第1の色空間の画像データに変換する第2の変換ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−115736(P2013−115736A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262466(P2011−262466)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】