説明

色素脱失用化粧品

本発明は色素脱質およびまた皮膚を白くする性質を有する化粧品に関するものである。本化粧品は白いラン、特にPhalaenopsis amabilisの表面部分からの抽出物、さらに化粧品担体物質、補助剤、他の活性物質またはそれらの混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色素脱質、従って皮膚を白くする効果を有する化粧品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚を白くする薬剤および方法は既知であり、例えば抗細菌物質、α−またはβ−ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸または乳酸またはサリチル酸、および製薬学的に許容できる担体(特許文献1)の混合物によって皮膚を白くする方法がある。
特許文献2からは、コウジ酸、アスコルビン酸、クマコケモモ抽出物、クワの実抽出物、甘草抽出物、アルブチンおよびそれらの混合物が皮膚を白くすることが知られており、これら薬剤はまた化粧膏剤の形で特許文献3において用いられている。
特許文献4は皮膚を白くする薬剤としてシリコーン中水ゲル組成物中の置換したジフェノールを記載している。しかし、これら薬剤は必ずしも満足な効果をもたらさない。
【特許文献1】国際公開第01/70189号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/58628号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/36090号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第909161号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は皮膚を白くするまたは色素脱失活性を有する新しい化粧品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、新しい化粧品は白いラン、特にコチョウラン(Phalaenopsis amabilis orchid)の地表に出た部分からの抽出物、および通常の化粧品担体物質および/または補助剤および/または他の活性物質またはそれらの混合物を含む。
【0005】
特に、本発明の化粧品は特定のラン種からの抽出物を含む。約25,000ないし30,000種のランが世界中で知られている。コチョウラン属単独は百以上の異なる色彩の約40種からなる。この属は南インドに下るアジアの熱帯部に自生する。白いランのコチョウランはビルマ、ブータンおよび南インドで見られる。
【0006】
この植物の地表に出ている部分、すなわち葉、花および茎からの抽出物が用いられる。前記抽出物は水またはアルコールまたは水/アルコール抽出物であることができる。用いたアルコールは低級一価アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物、または多価アルコール、例えばプロピレングリコールであることができる。抽出温度範囲は10ないし40℃である。得られた抽出物は液体の形でまたは−たとえば噴霧乾燥または凍結乾燥後に、また固体の形で化粧品組成物に混合することができる。抽出物を固体の形で混合する場合、その粒径は0.1ないし100μmが好ましい範囲である。
【0007】
本発明の化粧品は着色した表皮細胞に関して表皮剥奪活性をもち、従って前記着色した細胞を剥離させる。さらに、酵素チロシナーゼが多分阻害され、従って、チロシナーゼがメラニン合成のチロシンからDOPAへの各段階で必要なためメラニンの生成が妨げられる。0.01重量%の少量の抽出物がメラニン生成をはっきりと阻害することが見出された。
抽出物はカプセルに入れるか入れない形で製剤に混入させることができる。用いられるカプセル化物質は種々のタイプのリポソームまたは他の既知のミクロカプセル、例えばレシチン(ホスホリピド)、カルボキシメチルセルロースおよび他の物質を含む。
【0008】
有利には、コチョウランからのラン抽出物は0.005ないし5重量%からなり、0.01ないし1重量%が特に好ましい。0.03および0.05重量%の抽出物が、コントロールテストと比べて、各々約30%および40%チロシナーゼ活性を阻害することが見出された。これは小さい濃度だけの白いラン抽出物を用いてチロシナーゼ活性を60%に制限することができることを意味する。
【0009】
本発明の抽出物は他の皮膚を白くする物質または物質混合物と混合でき、特に甘草(Glycyrrhiza glabra)およびアスペルギウス発酵物(30:1ないし5:1)から得られる抽出物混合物0.05ないし0.3重量%、およびトラガカントゴム(Astragalus)からの水または水/アルコール抽出物0.001ないし0.1重量%のような植物抽出物と混合できる。このパーセンテージはけ商品全量に関するものである。この方法では、皮膚を白くする効果はさらに高められる。
【0010】
化粧品活性に貢献する他の測定は他の植物抽出物、例えば0.5ないし5重量%の濃度範囲のキウイ抽出物の添加である。
化粧品はさらに活性物質を含むことができる。化粧品活性物質は例えば無機または有機日焼け止め剤、フリーラジカルスカベンジャー、保湿剤、皮膚軟化剤、ビタミン、酵素、他の植物ベースの活性物質、ポリマー、抗酸化剤、抗炎症自然活性物質、WO94/00109による酸素を充填した非対称層状凝集体、WO94/13783による酵母または植物物質の穏和な超音波分解により得られた生成物、カオリンならびにWO94/17588によるSiO2で改変したカオリンを含む。
【0011】
抗酸化剤はビタミン、例えばビタミンCおよびその誘導体、例えばアスコルビルアセテート、アスコルビルホスフェートおよびアスコルビルパルミテート;ビタミンAおよびその誘導体;葉酸およびその誘導体;ビタミンEおよびその誘導体、例えばトコフェリルアセテート;フラボンまたはフラボノイド;アミノ酸、例えばヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファンおよびその誘導体;尿酸およびその誘導体を含む。
【0012】
大多数の化合物は通常皮膚軟化剤、例えばステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレエート、グリセリルモノステアレート、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、セチルアルコール、イソヘキサデカン、イソプロピルイソステアレート、ステアリン酸、イソブチルパルミテート、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、デシルオリエート、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、セチルパルミテート、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、植物油、例えばトウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、鉱油、ブチルミリステート、パルミチン酸等が用いられる。
【0013】
有利には、本発明の組成物はさらに適当な水および/または油溶性UVAまたはUVBフイルターまたは両方を含む。有利な油溶性UVBフイルターは4−アミノ安息香酸の誘導体、例えば4−(ジメチルアミノ)安息香酸−(2−エチルヘキシル)エステル;ケイ皮酸のエステル、例えば4−メトキシケイ皮酸(2−エチルヘキシル)エステル;ベンゾフェノン誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;3−ベンジリデンカンファーの誘導体、例えば3−ベンジリデンカンファーを含む。
【0014】
好適な油溶性UVフイルターはベンゾフェノン−3、ブチルメトキシベンゾイルメタン、イソアミルp−メトキシシンナメート、エチルヘキシルメトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、4−メチルベンジリデンカンファー、ホモサレートおよびオクチルジメチルPABAである。
水溶性UVBフイルターは例えばベンゾフェノンまたは3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、または塩、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸のNa塩またはK塩、またはサリチル酸誘導体、例えばエチルヘキシルサリチレートを含む。
【0015】
UVAフイルターはジベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−フェニル−4−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよびビス−エチル−ヘキシルオキシフェノール/メトキシフェニルトリアジンを含む。
本発明の化粧品に特に有効な他の添加剤は高いラジカル保護因子をもちホワイトケブラチョの幹を抽出し次いで酵素加水分解によって得られた生成物を含み、この生成物は少なくとも90重量%のプロアントシアニジンオリゴマーおよび最大10重量%の没食子酸をマイクロカプセルに含み、抽出によって得られたカイコ抽出物を含み、この抽出物はペプチドセクロパイン、アミノ酸およびビタミン混合物、および非イオン性、カチオン性またはアニオン性ヒドロゲルまたはヒドロゲル混合物、および1または複数のホスホリピド、および水を含む。
【0016】
前記生成物、例えばWO99/66881の実施例1または2による活性コンプレックス、または追加としてスーパーオキシドジスムターゼおよびシクロデキストリン、例えばWO01/26617の実施例1によるものを含む形で、さらに本発明の製剤の効果を高めることができる。
さらに本発明の化粧品は化粧用補助剤および担体物質を含むことができ、これらは例えば水、保存剤、着色剤、シックナー、芳香剤、アルコール、ポリオール、エステル、電解質、ゲル形成剤、極性および非極性油、ポリマー、コポリマー、乳化剤、安定剤が常用される。少量の色素、例えば酸化鉄または二酸化チタンもまた含むことができる。
【0017】
本発明に用いられる油は通常の化粧用油、例えば鉱油;水素化ポリイソブテン;合成スクアレンまたは天然生成物から作られたスクアレン;分枝または非分枝、飽和または不飽和の化粧用エステルまたはエーテル;植物油;シリコン油または2またはそれ以上のそれらの混合物である。
特に適当な油は例えば鉱油、水素化ポリイソブテン、ポリイソプレン、スクアレン、トリデシルトリメリテート、トリメチルプロパントリイソステアレート、クエン酸イソデシル、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、PPG−15ステアリルエーテル、シクロメチコンならびに植物油、例えばキンセンカ油、ホホバオイル、アボガドオイル、マカデミアンナッツ油、ひまし油、小麦麦芽油、ブドウ種油、ククイナッツオイル、アザミオイル、マツヨイグサオイル、サフラーワ油またはこれら複数の混合物である。選択された油によって、化粧品の性質、例えば透明度、柔軟性、展性効果に影響がある。
【0018】
適当なエステルまたはエーテルは例えばジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート/トリデシルトリメリテート/トリデシルステアレート/ネオペンチルグリコールジカプリレートジカプレート、プロピレングリコールジオクタノエート5、プロピレングリコールジカプリレート2,30ジカプレート、トリデシルステアレート/ネオペンチルグリコールジカプリレートジカプレート/トリデシルトリメリテート、ネオペンチルグリコールジオクタノエート、イソプロピルミリステート、ジイソプロピルダイマージリノレエート、トリメチルプロパントリイソステアレート、ミリスチルエーテル、ステアリルエーテル、セテアリルオクタノエート、ブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、PPG1−PEG9ラウロイルグリコールエーテル、PPG15ステアリルエーテル、PPG14ブチルエーテル、Fomblin HC25を含む。
【0019】
さらに、本発明の化粧品はまた一価の高級アルコール、例えばセテアリルアルコール、または多価アルコール(ポリオール)を含むことができる。後者は例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ソルビトールおよびこれらの混合物を含む。ポリオールは組成物の0.1ないし40重量%、好ましくは約5ないし20重量%からなる。
本発明による活性製剤を含む化粧品組成物はO/WエマルジョンまたはW/Oエマルジョンとして提供できる。O/WまたはW/Oエマルジョンに適当な乳化剤は既知であり、例えば脂肪酸、エステルまたは油にエチレノキサイドを添加した生成物を含む。
【0020】
組成物はまたゲルとして提供できる。適当な化粧品ゲル形成剤はカーボマー、キサンタンガム、カラギーナン、アカシアガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩およびチロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、四級化セルロース、四級化ガム、特定のポリアクリレート、例えばアクリレート類/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを含む。
【0021】
本発明の化粧品製剤は例えばサンクリーム、サンゲル、アフターサン製品、デイクリーム、ナイトクリーム、マスク、ボデイローション、クレンジングミルク、ホワイトニングファウンデーション、ボデイパウダー(粒子形抽出物を含む)、アンチスポット製品として用いられる。前記製品は当業者に既知の方法で製造される。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。すべての質量は特に断らない限り重量%である。
【実施例1】
【0022】
ホワイトニングクリーム
相A
水 q.s. ad 100
プロピレングリコール 5.0
相B
Steareth−2 1.8
Steareth−21 2.0
セテアリルアルコール 2.0
シクロメチコン 5.5
相C
相D
保存料 0.5
白ラン抽出物 0.05
(抽出剤としてプロピレングリコール中の活性物質
キウイ抽出物(エタノール性) 1.5
香料 0.5
1925のラジカル保護因子(RPF)を
有するWO99/66881の実施例1に
よる活性コンプレックス 1.0
* コチョウラン抽出物の重量に関し約40重量%で作る活性物質。
【0023】
相AおよびBは別々に攪拌し、65℃まで加熱し調製し、合わせて、混合物、すなわち相Cを20分間均質化し約35−40℃に冷却する。次いで、相Dを攪拌し入れる。
【実施例2】
【0024】
スキンホワイトニングスプレイ
エタノール 61.5
水 q.s. ad 100
シクロメチコン 3.0
ジソジウムEDTA 0.01
グリセリン 4.5
BHT(ジ−tert−ブチルヒドロキシトル
オール) 0.05
白ラン抽出物(抽出剤としてエタノール中の
活性物質) 0.05
1925のラジカル保護因子(RPF)を
有するWO99/66881の実施例1に
よる活性コンプレックス 1.0
すべての成分は合わせて20−25℃で混合物が均質になるまで攪拌する。

実施例1と同じ。
【実施例3】
【0025】
抗−スポットスキンカバー
相A
水 q.s. ad 100
グリセリン 3.0
EDTA 0.1
キサンタンガム 0.8
相B
イソプロピルステアレート 2.0
ジカプリルエーテル 2.0
セテアリルアルコール 2.0
セチルアルコール 4.0
相C
相D
白ラン抽出物(抽出剤としてプロピレングリ
コール中の活性物質) 0.5
1925のラジカル保護因子(RPF)を
有するWO99/66881の実施例1に
よる活性コンプレックス 1.0
酸化鉄、黒 0.04
酸化鉄、黄 0.2
酸化鉄、赤 0.02
相E
保存料 0.5
香料 0.7
* 実施例1と同じ。
【0026】
相AおよびBは別々に攪拌し70℃まで加熱し調製し、合わせて、混合物は相Cを構成する。相Cは20分間均質化し約35−40℃に冷却する。次いで、相Dを入れて攪拌し相Eを入れて攪拌する。次いで、混合物を1時間均質化する。
【実施例4】
【0027】
顔および身体用のホワイトニングパウダー(粗い)
タルカム 95.3
香料 0.5
白ラン抽出物(粉末状) 0.5
着色料、白(TiO2) 0.2
酸化鉄、黒 0.001
酸化鉄、黄 0.01
酸化鉄、赤 0.05
各成分をひとつずつ合わせて攪拌し完全に混合した。
【実施例5】
【0028】
ユーザーテスト
30ないし72歳の60人にテストを行った。実施例1によるクリーム(製剤A)を基礎として、ランおよびキウイの抽出物(製剤B)を含まない実施例1による相AないしDから作った基礎クリームと比較した。
テストを4週間続けて週毎に評価した。4週間後の最終評価は次の結果を示した:
色素脱質の改善
改善 なし 僅か 中位 明らかにあり
製剤A 0% 6% 27% 64%
製剤B 22% 73% 2% 0%
テストは明らかに本発明のランを含有するクリームが中位から明らかにありという色素脱失の改善、すなわちテストした90%以上の人に、明らかに注目すべきホワイトニング効果をもたらしたことを示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
白ラン(Phalaenopsis amabilis)の葉、花および茎からの抽出物からなり、さらに化粧品担体物質、補助剤、他の活性物質またはそれらの混合物を含む色素脱失用化粧品。
【請求項2】
ラン抽出物が化粧品全量に対して0.005ないし5重量%から作られる、請求項1記載の化粧品。
【請求項3】
ラン抽出物が0.01ないし1重量%から作られる、請求項2記載の化粧品。
【請求項4】
前記化粧品が追加の活性物質として、化粧品全量に対して、30:1ないし5:1の範囲の割合である甘草(Glycyrrhiza
glabra)およびアスペルギウス発酵物から得られた抽出混合物を0.05ないし0.3重量%、トラガカントゴム(Astragalus)からの水性または水性/アルコール性抽出物を0.001ないし0.1重量%、および前記2つの抽出物の混合物から選択されて含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項5】
前記化粧品がUVAフィルター、UVBフィルターまたはこれらの混合物を追加の活性物質として含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項6】
前記化粧品が追加として化粧品全量に対して0.5ないし5重量%の範囲の濃度でキウイ抽出物を含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項7】
請求項1記載の化粧品を皮膚領域を白くするため、皮膚の黒ずみスポットを白くするかまたは除去するため使用する方法。

【公表番号】特表2006−524211(P2006−524211A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505255(P2006−505255)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004358
【国際公開番号】WO2004/093839
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(500080007)
【Fターム(参考)】