艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法、艶ムラ除去方法、及びプログラム
【課題】 表面に凹凸模様を有する媒体の艶ムラを除去するための艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置等を提供する。
【解決手段】 制御部11は、入力されたハイトフィールド2について所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減するよう各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズは、例えばノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定し、密度を変数とすれば輝度値の調整に利用できる。ノイズ付与前後の輝度値とノイズ密度との関係を予め定義したノイズ付与テーブル100を予め生成して記憶部12に記憶しておき、ノイズ付与テーブル100に定義された範囲でノイズ付与後に全画素の輝度値が均一となるような目標画素値を決定し、ノイズ付与テーブル100から各画素に付与すべきノイズ密度を求め、ノイズデータ6を生成する。
【解決手段】 制御部11は、入力されたハイトフィールド2について所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減するよう各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズは、例えばノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定し、密度を変数とすれば輝度値の調整に利用できる。ノイズ付与前後の輝度値とノイズ密度との関係を予め定義したノイズ付与テーブル100を予め生成して記憶部12に記憶しておき、ノイズ付与テーブル100に定義された範囲でノイズ付与後に全画素の輝度値が均一となるような目標画素値を決定し、ノイズ付与テーブル100から各画素に付与すべきノイズ密度を求め、ノイズデータ6を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様を形成した媒体に生じる艶ムラを低減する艶ムラ除去装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面に凹凸模様を有する壁紙や合成皮革等の媒体が製造されている。この種の媒体を製造する際、まずコンピュータ等を用いて所望の意匠の表面深度データ(以下、ハイトフィールドという)を生成し、次に、このハイトフィールドに基づいて、金属または樹脂製のエンボス版に彫刻またはエッチング等を施して表面に凹凸模様を形成し、このエンボス版に上記媒体を押し当てることにより凹凸模様を写し取っていた。
エンボス版の製造に関しては、例えば、特許文献1等に記述がある。
【0003】
しかしながら、上述のようなエンボス製品には艶ムラが生じやすい。
艶ムラとは、物体表面に照射された光によって生じた反射光や陰影により、光の強度が強い領域と弱い領域とが不均一に表れ、その不均一さが新たな柄に見える現象である。
このような艶ムラのうち、意匠として不都合なものは製品に表れないように削除、修正される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−358662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、媒体表面に艶ムラが生じているか否かを確認するには、まずエンボス版を試作し、艶ムラの位置を特定し、その後、画像処理ソフトを使用して元となるハイトフィールドデータを修正し、再度、修正したハイトフィールドデータを用いてエンボス版を製造していた。エンボス版は彫刻やエッチング等の工程を経て得られるものであり、その製造には時間を要するものである。また、艶ムラが生じたエンボス版は、その後は使用されないため無駄となっていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、表面に凹凸模様を有する媒体の艶ムラを除去するための艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法、艶ムラ除去方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するため第1の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成手段と、を備えることを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置である。
【0008】
第1の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、輝度値算出手段によって所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、ノイズ生成手段によって、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。
これにより、凹凸模様が形成された媒体表面に生じる艶ムラ(輝度値の不均一性により生じる新たな柄)を除去するためのノイズデータを、元のハイトフィールドから生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を前記媒体表面に付与すれば、媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減できるため、艶ムラの除去に寄与できる。
【0009】
第1の発明において、前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれか一つを変数とし、ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、前記ノイズ生成手段は、前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、を備えることが望ましい。
【0010】
すなわち、ノイズ生成手段は、各画素の輝度値のうち最大輝度値を求め、ノイズ付与前後の輝度値とノイズデータの変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルに定義される輝度値範囲で、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定し、各画素の輝度値がその目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じた変数をノイズ付与テーブルから算出し、算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータを生成する。ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれかを一つを変数として調整できる。
これにより、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変更して、各画素に各々の輝度値に応じたノイズデータを与えることが可能となる。また、各画素の輝度値はノイズ付与後に目標輝度値に統一されるようになるため、艶ムラが除去される。
【0011】
また、第1の発明において、入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、前記ノイズデータ生成手段によって生成されたノイズデータに応じた深度データを付与するノイズ付与手段と、前記ノイズ付与手段によってノイズデータの付与されたハイトフィールドデータについて、前記評価条件で前記ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化処理した可視化画像を出力するノイズ付与後可視化画像出力手段と、を更に備えることが望ましい。
【0012】
これにより、入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、生成されたノイズデータを付与し、前記評価条件で可視化処理したノイズ付与後可視化画像を生成し、出力することが可能となる。これにより、ノイズ付与後のハイトフィールドの艶ムラをエンボス版製作前に確認できるようになるため、エンボス版の試作回数を減らすことが可能となり、コストを低減できる。
【0013】
第2の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータを生成するノイズ生成手段と、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成手段により生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成手段と、を備えることを特徴とする艶ムラ除去装置である。
【0014】
第2の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、輝度値算出手段によって所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、ノイズ生成手段によって、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。また、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、ノイズ形成手段によって、前記ノイズデータに基づく凹凸を形成する。
これにより、ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に生じた艶ムラを、そのエンボス版の表面にノイズの凹凸を形成することにより除去できる。また、ハイトフィールドに基づく凹凸を形成したエンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズを損失なくエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。
【0015】
第2の発明において、前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのうちいずれか一つを変数とし、ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、前記ノイズ生成手段は、記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、を備えることが望ましい。
【0016】
すなわち、ノイズ生成手段は、各画素の輝度値のうち最大輝度値を求め、ノイズ付与前後の輝度値とノイズデータの変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルに定義される輝度値範囲で、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定し、各画素の輝度値がその目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じた変数をノイズ付与テーブルから算出し、算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータを生成する。ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれかを一つを変数として調整できる。
これにより、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変更して、各画素に各々の輝度値に応じたノイズデータを与えることが可能となる。また、各画素の輝度値はノイズ付与後に目標輝度値に統一されるようになるため、艶ムラが除去される。
【0017】
第3の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータ生成し、出力するノイズ生成ステップと、を含むことを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法である。
【0018】
第3の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。
これにより、ハイトフィールドデータに応じた凹凸模様を形成した媒体表面の輝度値の不均一性により生じる艶ムラを除去するためのノイズデータを生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を前記媒体表面に形成すれば、媒体表面に生じた輝度値の不均一性を低減でき、艶ムラを除去できる。ハイトフィールドデータに生じてしまう艶ムラを除去するためのノイズデータを予め生成できるため、媒体製造工程におけるエンボス版の修正作業と確認作業を繰り返し行う必要がなくなり、コストを低減できるようになる。
【0019】
第4の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズ生成ステップと、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成ステップにより生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成ステップと、を含むことを特徴とする艶ムラ除去方法である。
【0020】
第4の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。また、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に前記ノイズデータに基づく凹凸を形成する。
これにより、ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に生じた艶ムラを、そのエンボス版の表面にノイズの凹凸を形成することにより除去できる。また、エンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズをエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。エンボス版製造後にノイズを形成することは、表面の深度に応じた多段エッチングを行う場合に、特に好適である。
【0021】
第5の発明は、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【0022】
第5の発明のプログラムにより、コンピュータを請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、表面に凹凸模様を有する媒体の艶ムラを除去するための艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ製造方法、艶ムラ除去方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1のハードウエア構成図
【図2】艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の全体の流れを説明するフローチャート
【図3】ノイズ付与テーブル作成処理の流れを説明するフローチャート
【図4】入力されるハイトフィールド2の一例
【図5】評価条件(光源方向、視点方向)の設定の一例を示す図
【図6】ノイズ付与前のハイトフィールド2の可視化画像22の一例を示す図
【図7】影及びオクルージョンについて説明する図
【図8】注目画素の法線ベクトルの一例を示す図、
【図9】媒体表面の視点ベクトル、光源ベクトル、法線ベクトル、正反射ベクトルの一例を示す図
【図10】ノイズ付与テーブル100の一例
【図11】ノイズデータ生成処理の流れを説明するフローチャート
【図12】入力されたハイトフィールド2について算出された輝度値データ4の一例
【図13】輝度値を低減できる範囲101についてノイズ付与テーブル100を用いて説明する図
【図14】各画素に与えるべきノイズ変数(密度)の一例
【図15】生成されたノイズデータ6の一例
【図16】元のハイトフィールド2にノイズデータ6を付与したハイトフィールド61の一例
【図17】ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化したノイズ付与後可視化画像63の一例
【図18】輝度値算出時における好適な評価条件設定例
【図19】艶ムラ除去装置7の概略構成を示すブロック図
【図20】フォトマスクを用いたエッチングによりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Aの構成を示す図
【図21】レーザ加工によりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Bの構成を示す図
【図22】彫刻によりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Cの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1のハードウエア構成を示す図である。
【0026】
図1に示すように、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1は、例えば、コンピュータ等により構成され、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、入力部14、表示部15、通信制御部16、周辺機器1/F部17等がバス18を介して接続されて構成される。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Accsess Memory)等により構成される。
CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス18を介して接続された各部を駆動制御する。制御部11のCPUは後述する艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理(図2参照)を実行する。
【0028】
ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0029】
記憶部12は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部11が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0030】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、PDドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
【0031】
入力部14は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部11へ出力する。
表示部15は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部11の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0032】
通信制御部16は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク19との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
【0033】
周辺機器1/F部17は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器1/F部17を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器1/F部17は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0034】
バス18は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0035】
次に、図2〜図18を参照して、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の動作について説明する。
図2は、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1が行う艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0036】
艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、記憶部12から図2の艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理に関するプログラム及びデータを読み出し、このプログラム及びデータに基づいて処理を実行する。
【0037】
艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、まず、ノイズ付与テーブル100を作成する(ステップS1)。
ステップS1のノイズ付与テーブル作成処理について、図3を参照して説明する。
【0038】
図3に示すように、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、まず様々な意匠のハイトフィールドを可視化処理し、各画素の輝度値を算出する(ステップS11)。
可視化処理とは、ハイトフィールドの艶ムラをデータの段階で視認可能な画像として出力するための処理である。以下、可視化処理について説明する。
【0039】
まず、例えば図4に示すような表面に織物調の凹凸を形成するためのハイトフィールドデータ(以下、ハイトフィールド2という)が入力されるものとする。このハイトフィールド2に対して、制御部11は、図5に示すように光源方向及び視点方向を設定し、光源からハイトフィールド2に対して照射された光による各画素の輝度値を求め、求めた輝度値を所定の投影面3に投影し、投影面3の各画素の輝度値に応じた画素値を与えた画像を可視化画像22として出力する。投影面3は、例えばハイトフィールド2に対して平行とし、また、投影方向は投影面3に対して鉛直方向となるようにすればよい。また光源方向及び視点方向は、例えば、後述する評価条件(図18参照)を設定することが好適であるが、これに限定されず、任意の方向に設定可能である。
【0040】
可視化画像22は、図6に示すように、例えば、算出した輝度値を階調数に応じた値(例えば、0から255といった所定範囲の整数や0か1の整数等)に正規化したグレースケール画像、または色相画像(不図示)等となる。
【0041】
ステップS11の可視化処理において、輝度値を算出する際は、設定したハイトフィールドに生じる影やオクルージョンを考慮して算出するようにすれば、製品(媒体)を人の目で観察するときに近い、正確な輝度値が算出できる。
【0042】
図7は、影及びオクルージョンについて説明する図である。
ここで、影とは、光源の光が直接反射されない領域をいい、オクルージョンとは、視点から見えない領域をいう。これらの領域は他の領域より暗くなる。
図7に示すように、表面に凹凸のある媒体(ハイトフィールド2)に対して光源及び視点が所定の角度をもって設定されると、隣接する領域より深い領域では、影及びオクルージョンが発生することがある。影及びオクルージョンの領域については、輝度値を0または他の領域より小さい値となるように算出する。
【0043】
輝度値を算出する際、制御部11は、注目画素と隣接する周囲4近傍の画素との高度差を示す接線ベクトルを算出する。図8に示すように、右側の隣接画素との接線ベクトルをTr、下側の隣接画素との接線ベクトルをTd、左側の隣接画素との接線ベクトルをTl、上側の隣接画素との接線ベクトルをTuとし、位置(x,y)での表面形状の高度をzx,y、左右に隣接する画素との距離、すなわちハイトフィールドの幅方向をΔx、上下に隣接する画素との距離、すなわちハイトフィールドの縦方向をΔyとすると、各接線ベクトルは、次の式(1)〜(4)で表される。
【0044】
Tr=(Δx,0,(zx+1,y−zx,y))・・・・(1)
Td=(0,Δy,(zx,y+1−zx,y))・・・・(2)
Tl=(−Δx,0,(zx―1,y−zx,y))・・・・(3)
Tu=(0,−Δy,(zx,y―1−zx,y))・・・・(4)
【0045】
次に、制御部11は、注目画素の周囲4近傍の法線ベクトルの平均である法線ベクトルNi,jを算出する。
まず制御部11は、注目画素の4近傍の接線ベクトルTr、Td、Tl、Tuの外積から次の式(5)〜(8)で表される法線ベクトルを算出する。
【0046】
Nlu=Tl×Tu・・・・(5)
Nur=Tu×Tr・・・・(6)
Nrd=Tr×Td・・・・(7)
Ndl=Td×Tl・・・・(8)
【0047】
そして、制御部11は、上述の法線ベクトルNlu,Nur,Nrd,Ndlの平均を算出し、注目画素の法線ベクトルNi,jとする。注目画素の法線ベクトルNi,jは以下の式(9)で表される。
【0048】
Ni,j=(Nlu+Nur+Nrd+Ndl)/4 ・・・・(9)
【0049】
次に、制御部11は、設定した光源方向から、図9に示す光源ベクトルLを算出する。光源の仰角をθ、方位角をψとすると、光源ベクトルLは次の式(10)のように表される。
【0050】
L=(cosθcosψ,cosθsinψ,sinθ)・・・・(10)
【0051】
制御部11は、注目画素の法線ベクトルNと光源ベクトルLから、光線の正反射ベクトルRを算出する。正反射ベクトルRは次の式(11)のように表される。
【0052】
R=(2×N)×(L・N)−L ・・・・(11)
【0053】
視点方向の視点ベクトルWについても、光源ベクトルLと同様に、設定した視点方向から上述の式(10)のように表される。
【0054】
次に制御部11は、視点ベクトルWと正反射ベクトルRのなす角の余弦を算出する。ここで、視点ベクトルWと正反射ベクトルRのなす角をαとする。余弦cosαは次の式(12)により算出される。
【0055】
cosα=(W・R)/(|W|×|R|) ・・・(12)
【0056】
次に制御部11は、法線ベクトルNと光源ベクトルLのなす角の余弦を算出する。ここで、法線ベクトルNと光源ベクトルLのなす角をβとする。余弦cosβは次の式(13)により算出される。
【0057】
cosβ=(L・N)/(|L|×|N|) ・・・(13)
【0058】
光源から照射された光による媒体の各画素の輝度値は、拡散反射と鏡面反射の各成分を足し合わせることにより求められる。
【0059】
拡散反射光による輝度値Idは、ランバートの余弦則に基づき、次の式(14)で表される。
【0060】
Id=Ii・kd・cosβ ・・・(14)
【0061】
また、鏡面反射光による輝度値Isは、フォンの反射モデルに基づき、次の式(15)で表される。
【0062】
Is=Ii・ks・cosnα ・・・(15)
【0063】
ここで、入射光の強さをIi、拡散反射光による輝度値をId、鏡面反射光による輝度値をIs、反射の強さを表す拡散反射率をkd、光沢の強さを表す鏡面反射率をks、光沢の鋭さを表す係数をnとしている。
入射光の強さIi、拡散反射率kd、鏡面反射率ks、光沢の鋭さを表す係数nは定数で、固定値としてもよいし、ユーザが設定するようにしてもよい。これらは媒体の材質によって定まるものである。
【0064】
以上より、制御部11は、光源から照射された光による媒体の各画素の輝度値Ioを、次の式(16)により算出する。
【0065】
Io=Id+Is=Ii(kdcosβ+kscosnα) ・・・(16)
【0066】
以上の演算により各画素の輝度値が算出される。
制御部11はノイズ付与前のハイトフィールド2の各画素の輝度値をノイズ付与前輝度データメモリに格納する。
【0067】
以上のようにして、様々なハイトフィールドをサンプルとして、ノイズ付与前輝度データを得る。
【0068】
次に、制御部11は、様々な種類のハイトフィールドのサンプルにノイズ変数を変化させた各種ノイズを付与し、ノイズ付与後のハイトフィールドについて可視化処理し、ノイズ付与後輝度値データを得る(図3のステップS12)。
【0069】
ここで、ノイズについて説明する。
本発明では、ハイトフィールド2の艶ムラを除去するため、ハイトフィールド全体の輝度値を一定値に均一化する。すなわち各画素に対して各々の輝度値に応じたノイズを付与し、輝度値を調整する。
【0070】
ノイズデータは、複数のノイズオブジェクト(例えば、図15に示すドット)により構成されるが、このノイズオブジェクトは、大きさ、深さ、及び密度の3つのパラメータを有する。これら3つのパラメータを変化させたノイズを媒体表面に付与すると、いずれもその度合いに応じて媒体表面の輝度値が調整できる。
しかし、入力される情報は画素毎にノイズ付与前輝度値データ1つのみであるため、3つのパラメータを入力情報によって決めることはできない。そのため、3つのパラメータのうちいずれか一つを変化させ、他の2つのパラメータを固定することとする。
【0071】
本実施の形態では、一例として、ノイズオブジェクトの密度を変化させ、大きさ及び深さについては固定とする。すなわち、ノイズオブジェクトの密度が大きいノイズをハイトフィールド2に付与すれば輝度値を大きく低減させることができ、ノイズオブジェクトの密度が小さいノイズをハイトフィールド2に付与すれば輝度値の低減幅が小さくなる。
【0072】
制御部11は、ステップS12において、様々な意匠のハイトフィールド2に対して密度を変化させた様々なノイズを付与し、それぞれノイズ付与後の輝度値データを再度算出する。
【0073】
そして、制御部11は、ステップS11で算出したノイズ付与前輝度値データと、ステップS12で付与したノイズオブジェクトの密度と、ノイズ付与後輝度値データとの関係から、ノイズ付与テーブル100を作成する(ステップS13)。
【0074】
図10は、ノイズ付与テーブル100の一例を表すグラフである。図10のグラフの横軸はノイズ付与後の輝度値を表し、縦軸はノイズ付与前の輝度値を表す。
また、ノイズ付与前輝度値データとノイズ付与後輝度値データとノイズオブジェクトの密度との関係は以下の式(17)で表すことができる。
【0075】
密度=f(ノイズ付与前の輝度値,ノイズ付与後の輝度値)・・・(17)
【0076】
図10に示すノイズ付与テーブル100によれば、例えばノイズ付与前に輝度値aを示す画素に対して、密度5%のノイズを付与すると、ノイズ付与後の輝度値がbとなることがわかる。このノイズ付与テーブル100を用いれば、ノイズ付与前の輝度値とノイズ付与後の輝度値を与えることにより、付与すべきノイズの密度を決定することが可能となる。
【0077】
制御部11は、作成したノイズ付与テーブル100を記憶部12に保存し(ステップS14)、一連のノイズ付与テーブル作成処理を終了する。
【0078】
ノイズ付与テーブル100が作成され、記憶部12に保存されている状態で、図2のステップS2に示すように、処理対象となるハイトフィールド2が入力されると(図2;ステップS2)、制御部11は入力されたハイトフィールド2の各画素の輝度値を算出する(ステップS3)。輝度値の算出は、上述のステップS11における輝度値算出処理と同様であるので説明を省略する。
【0079】
次に制御部11は、算出した輝度値及び記憶部12に記憶されているノイズ付与テーブル100に基づいて、ノイズデータを生成する(ステップS4)。
【0080】
ステップS4のノイズデータ生成処理について、図11〜図14を参照して詳細に説明する。
図11はノイズデータ生成処理の流れを説明するフローチャート、図12はステップS3にて算出されたノイズ付与前の各画素の輝度値を示す輝度値データ4の一例、図13はノイズ付与テーブル100の具体例、図14は各画素に与えるべきノイズの密度の一例を示す図である。
【0081】
図11に示すノイズデータ生成処理において、まず制御部11は上述のステップS3で算出したハイトフィールド2の各画素の輝度値のうち、最大輝度値を求める。例えば、ステップS3の輝度値算出処理において、ハイトフィールド2から図12に示すような輝度値「2」〜「5」を示す輝度値データ4を得た場合、このハイトフィールド2の最大輝度値は「5」である。
【0082】
次に、制御部11は、ノイズ付与テーブル100を参照して、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する。目標輝度値は、ノイズ付与テーブル100に定義される低減可能な輝度値範囲内で決定される。本実施形態では、例えば、算出した最大輝度値がノイズ付与によって低減される最小の輝度値を目標輝度値とする。
【0083】
具体的には、図13に示すようにノイズ付与テーブル100には輝度値を低減できる範囲101が定められている。図13の例では、最大輝度値「5」に対して、密度15%のノイズを付与すれば輝度値「2」まで低減できるため、この最小輝度値「2」を目標輝度値とする(ステップS42)。
すなわち、処理対象とするハイトフィールド2の輝度値が全体的に目標輝度値「2」となるように均一化すれば、艶ムラが除去できる。
【0084】
制御部11は、ハイトフィールド2の輝度値が全体的に図11のステップS42で求めた目標輝度値となるように、ノイズ付与テーブル100を参照して、各画素の輝度値に応じたノイズ変数(本実施の形態では、ノイズオブジェクトの密度)を算出する(ステップS43)。
【0085】
例えば、図14のノイズ密度分布5に示すように、ノイズ付与前の輝度値が「5」であった画素(図14の領域51)には、密度15%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となる。また、ノイズ付与前の輝度値が「4」であった画素(図14の領域52)には、密度10%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となり、ノイズ付与前の輝度値が「3」であった画素(図14の領域53)には、密度5%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となり、ノイズ付与前の輝度値が「2」であった画素(図14の領域54)には、密度0%のノイズを付与すれば(すなわちノイズ付与なし)、ノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となる。
【0086】
制御部11は、ステップS43で算出した密度(ノイズ変数)に応じたノイズオブジェクト(図15の拡大図に示すようなドット)を該当する各画素に与え、ノイズデータ6とする(ステップS44)。
【0087】
ノイズの密度は確率値で与えられているため、制御部11はその確率に応じて各画素にノイズオブジェクトを発生させる。すなわち、ノイズ付与前の輝度値が「5」の画素については、ステップS43の処理においてノイズ密度が15%と決定されたので、該当する画素に対して15%の確率でノイズを発生させる。
【0088】
図15は、図2のステップS4のノイズデータ生成処理で生成されたノイズデータ6を可視化した図である。図15の拡大図に示すように、ノイズデータ6は、一様な密度ではなく、領域(画素)に応じて異なる密度で付与される。
【0089】
以上のようなノイズデータ生成処理(ステップS41〜ステップS44)が終了すると、制御部11は、生成したノイズデータ6を出力する(図2のステップS5)。
【0090】
出力の態様としては、ノイズデータ6そのものを示すハイトフィールド、またはノイズ付与後可視化画像63のいずれかとする。ノイズ付与後可視化画像63とは、入力されたハイトフィール2に対して、ノイズデータ6を付与したハイトフィールド61(図16参照)を可視化した画像(図17)である。
【0091】
ノイズデータ6のハイトフィールドを出力する場合は、制御部11は、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1に接続されるエンボス版製造手段(図19;第2の実施の形態において詳述する)に対して、生成したノイズデータ6を表すハイトフィールドを出力する。
エンボス版製造手段は、元のハイトフィールド2に基づくエンボス版を製造し、その後、エンボス版の表面に、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1によって生成されたノイズデータ6に基づく凹凸を形成するよう彫刻またはエッチング処理を行う。エンボス版製造手段の詳細については、第2の実施の形態で説明する。
【0092】
ノイズ付与後可視化画像63を出力する場合、制御部11は、元のハイトフィールドフィールド2にノイズデータ6を付与したノイズ付与後ハイトフィールド61を生成し、これを可視化処理し、ノイズ付与後可視化画像63を生成し(ステップS6)、表示部15に表示(出力)する(ステップS7)。ノイズデータ6は元のハイトフィールド2の対応する各画素の深さ方向にそれぞれ付与される。
ハイトフィールド2にノイズデータ6を付与したハイトフィールド61を図16に示し、ノイズ付与後可視化画像63を図17に示す。
この段階における可視化処理も、図2のステップS1の説明における可視化処理と同様であり、所定の評価条件でそれぞれ可視化処理が行われる。
【0093】
ノイズ付与後可視化画像63は、例えば、輝度値を0から255の整数に正規化し、その数値を濃度値に変換した256階調のグレースケール画像や、輝度値を例えば0から255の整数に正規化し、その数値をR・G・Bの組み合わせからなる色相データに変換して出力した色相画像等とする。図17のノイズ付与後可視化画像63はグレースケール画像としての出力例である。
【0094】
ここで、可視化処理や輝度値算出処理における評価条件について追記する。
図2の艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の輝度値算出処理(ステップS3)、可視化処理(ステップS6)、及び図3のノイズ付与テーブル作成処理に含まれる輝度値算出処理(ステップS11、ステップS12)では、各画素の輝度値を算出するために所定の光源方向及び視点方向を設定することとしている。
また、艶ムラは、光源や視点の方向で変化するものであるため、ノイズ付与前後で評価条件(光源や視点の方向)が変化することは望ましくない。このため、ノイズ付与前後の各段階で設定する評価条件(光源や視点の方向)は、各段階で同じ条件を用いるものとする。
【0095】
例えば、人の目で行う艶ムラ確認作業では、慣習的に図18に示す3パターンの光源及び視点位置を評価条件とすることが多い。
【0096】
すなわち、以下の(a)、(b)、(c)に示す3パターンの視点、光源位置を評価条件として、試作された媒体表面を確認している。
(a)意匠の施された壁紙から所定距離(数メートル程度)離れた位置に確認者が立ち、斜め方向(γ1=15°程度)から光をあて、その反対の方向(γ2=15°程度)から確認者が目視する。
(b)壁紙の配置を90度回転させて、上述の(a)と同様に確認者が目視する。
(c)光源の位置は(a)と同様にし、視点は光源の方位角と90度をなす方向とする。
【0097】
従って、上述の輝度値算出処理や可視化処理において設定する光源方向及び視点方向も、図18(a),(b),(c)に示す3パターンとすることが望ましい。
ただし、図18の例の他の光源方向及び視点方向を評価条件として設定することを妨げるものではなく、必要に応じて適当な光源方向及び視点方向の設定が行われることが望ましい。
【0098】
以上説明したように、第1の実施の形態の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、入力されたハイトフィールド2について、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減するよう各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。
ノイズデータは、例えば、ノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定し、密度を変数とすれば、付与するノイズの密度を各画素で調整することによりハイトフィールド2の輝度値を均一化できる。
【0099】
この際、ノイズ付与前の輝度値及びノイズ付与後の輝度値に応じたノイズ変数(例えば、密度)を予め定義したノイズ付与テーブル100を生成して記憶部12に記憶しておき、制御部11はハイトフィールド2の各画素の輝度値のうち最大となる輝度値を求め、当該最大輝度値をノイズ付与テーブル100に定義された範囲でノイズ付与後に全体的に輝度値が均一となるように目標画素値を決定する。例えば、最大輝度値をノイズ付与後に低減できる輝度値範囲のうち最小のもの(最小輝度値)を目標輝度値とする。そして、ハイトフィールド2の輝度値が全体的に目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じたノイズ密度をノイズ付与テーブル100から求める。そして、制御部11は、算出したノイズ密度に応じた確率で各画素にノイズオブジェクトを与え、ノイズデータ6を生成する。
【0100】
これにより、凹凸模様を形成した媒体表面の輝度値の不均一性により生じる艶ムラを除去するためのノイズデータを生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を上記媒体表面に付与すれば、媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減できるため、艶ムラの除去に寄与できる。
【0101】
また、生成したノイズデータ6をハイトフィールドとして出力し、後段のエンボス版製造工程で使用してもよいし、入力されたハイトフィールド2の各画素にノイズデータ6付与したノイズ付与ハイトフィールド61を算出し、所定の評価条件で可視化したノイズ付与後可視化画像63として出力してもよい。
【0102】
ノイズ付与後可視化画像63として出力すれば、ハイトフィールドのノイズ付与結果をエンボス版製造前に可視化して確認できるため、多くの時間を要するエンボス版の試作回数を低減でき、コスト低減に寄与できる。
【0103】
なお、上述の実施の形態では、ノイズ変数はノイズオブジェクトの密度とし、ノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定する例を示したが、例えば、ノイズオブジェクトの大きさをノイズ変数とし、密度及び深さを固定としてもよいし、ノイズオブジェクトの深さをノイズ変数とし、密度及び大きさを固定としてもよい。
また、可視化処理の演算例は一例であり、上述の手順以外の手順を採用してもよい。
また、ノイズ付与テーブル100の密度とノイズ付与前後の輝度値との関係は一例であり、ハイトフィールドの意匠や媒体の材質等によってそれぞれ適切なノイズ付与テーブルをいくつか作成して記憶部12に記憶しておき、ノイズデータ6の生成時に選択的にいずれかのノイズ付与テーブルを参照するようにしてもよい。
【0104】
[第2の実施形態]
次に、図19〜図22を参照して本発明に係る艶ムラ除去装置7について説明する。
第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7は、図19に示すようにコンピュータ71(第1の実施の形態の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)と、エンボス版製造手段72とを備える。
エンボス版製造手段72は、入力されたハイトフィールドに基づいて、エンボス版シリンダ表面に凹凸模様を施すものであり、図20や図21に示す例のようにエッチングの手法を利用したり、図22に示す例のように彫刻の手法を利用したりすることが可能である。
【0105】
艶ムラ除去装置7のコンピュータ71のハードウエア構成は図1に示す構成と同様である。
コンピュータ71は、上述の第1の実施の形態における艶ムラ除去ノイズデータ生成装置1として機能するとともに、エンボス版製造手段72(パターン露光装置73、彫刻機77)の制御装置としても機能する。
【0106】
例えば、艶ムラ除去装置7の一態様として、図20の艶ムラ除去装置7Aが挙げられる。図20の艶ムラ除去装置7Aでは、上述のエンボス版製造手段72としてパターン露光装置73を採用する。パターン露光装置73は、フォトマスク製造段階にて使用されるものであり、ハイトフィールドデータ2及びノイズデータ6に応じたフォトマスク74(74a,74b,・・・,74z)を製造する。これらのフォトマスク74を利用して、エンボス版シリンダ8にエッチングを施せば、ハイトフィールドデータ及びノイズデータに応じた凹凸が形成されることとなる。
【0107】
すなわち図20(A)に示すように、艶ムラ除去装置7Aは、コンピュータ71(艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)、及びパターン露光装置73を備える。パターン露光装置73は、複数のフォトマスク74a,74b,・・・に対してハイトフィールド2の深さ位置に従った所定の遮光パターンをそれぞれ形成する。また、これらのフォトマスク74a,74b,・・・とは別に、ノイズデータ6に従った所定の遮光パターンを形成したフォトマスク74zを製造する。
【0108】
パターン露光装置73は、走査部731、レーザ発振器732、及び光学ユニット733を備え、コンピュータ71から入力されるハイトフィールドデータ2またはノイズデータ6に従って走査部731を駆動し、レーザ照射口である光学ユニット733をフォトマスク74の面に沿って移動させるとともに、レーザ発振器732を制御して各深さ位置に応じた遮光パターン(露光部と非露光部とからなるパターン)を形成する露光処理を行う。
【0109】
フォトマスク74は、初期段階ではフォトマスク基板743上に遮光膜742が形成され、更にその上にレジスト層741がコーティングされている。このような状態のフォトマスク74に対して、パターン露光装置73の露光により、ハイトフィールド2の各深さ位置に応じた二値パターンが形成され、レジスト層741に露光部と非露光部とが形成される。露光後に、フォトマスク74は現像、洗浄され、不要なレジスト層が除去され、更に腐食液を作用させ、腐食、洗浄が行われて不要な遮光膜が除去される。このようにして、フォトマスク基板743上に所定深さ位置用の遮光パターンが形成される。
【0110】
必要な深さ位置の数だけ、該当する遮光パターンが形成されたフォトマスク74a,74b,74c,・・・が製造される。また、同様の手順で、ノイズデータ6に応じた遮光パターンが形成されたフォトマスク74zも製造される。これらのフォトマスク74a〜74zは、それぞれ図20(B)に示すようにエンボス版シリンダ8への露光の際に使用される。
【0111】
エンボス版シリンダ8へ露光を行う際は、図20(B)に示すように、レジスト層のコーティングされたエンボス版シリンダ8をまずフォトマスク74aにて覆い、回転駆動手段76によって回転させながら露光する。これにより、エンボス版シリンダ8にフォトマスク74に形成されている遮光パターンに従った露光部及び非露光部が形成される。更に、現像処理、腐食処理、洗浄処理を行うことにより、エンボス版シリンダ8の表面に凹凸が形成される。フォトマスク74aを別のフォトマスク74bに交換して、レジスト層コーティング、露光、現像、腐食、洗浄を繰り返すことにより、エンボス版シリンダ8の表面に順に複数段の凹凸が形成される。
【0112】
このようにして、エンボス版シリンダ8にハイトフィールド2に基づく凹凸模様が形成された後、最後に、ノイズデータ6に基づく遮光パターンが形成されたフォトマスク74zを利用して、露光、現像、腐食、洗浄を行うことにより、エンボス版シリンダ8の表面にノイズの凹凸模様が形成される。
【0113】
上述のように多段にわたり繰り返しエッチングを行う場合は、最終段階でノイズの凹凸を形成するようにすれば、細かい模様であっても損失なく凹凸を形成でき好適である。
【0114】
また、図21に示す艶ムラ除去装置7Bのように、レジスト層を被覆したエンボス版シリンダ8に対して、直接露光パターンを形成するようにしてもよい。
この手法を採用する場合、艶ムラ除去装置7Bは、コンピュータ71(艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)、パターン露光装置73、支持台75、及び回転駆動部76を備えて構成する。支持台75にはレジスト層をコーティングしたエンボス版シリンダ8が取り付けられている。
回転駆動部76は、コンピュータ71から入力される指示に従って、支持台75,75に支持されたエンボス版シリンダ8を回転軸A−A方向を中心に回転する。
【0115】
パターン露光装置73は、コンピュータ71から入力されるハイトフィールドデータ2に従って走査部731を駆動し、レーザ照射口である光学ユニット733をエンボス版シリンダ8の回転軸方向(図中A−A方向)に移動させるとともに、レーザ発振器732を制御して深さ情報に従った出力値に変調する。これにより、エンボス版シリンダ8の所定位置に所定の出力でレーザビームを照射し、露光部と非露光部とからなるパターンを形成する露光処理を行う。この露光処理が完了したエンボス版シリンダ8は図示しない現像装置において現像、および版洗浄によって、レジスト層のうち露光部(ポジ型レジストの場合)もしくは非露光部(ネガ型レジストの場合)が除去される。その後、エンボス版シリンダ8に腐食液を作用させると、露出した金属面が腐食を受けて窪み、露光したパターンに応じた凹凸構造が形成される。このレジスト層コーティング、露光処理、現像処理、洗浄処理(非レジスト部の除去)、腐食処理、洗浄処理(レジスト部の除去)を複数回繰り返すことにより、エンボス版シリンダ8の表面に深さの異なる凹凸が形成される。
そして、エンボス版シリンダ8の表面にハイトフィールドに基づく凹凸が形成された後、最後にノイズデータに基づく露光処理を行い、現像処理、洗浄処理(非レジスト部の除去)、腐食処理、洗浄処理(レジスト部の除去)を行えば、凹凸を有するエンボス版表面に、更に、艶ムラ除去用のノイズ(凹凸)が形成されることとなる。
【0116】
また、レーザビームによってレジストを形成する手段としては、他にも、レジスト層をコーティングしたシリンダに直接描画(レジスト層を焼飛ばす)をし、現像処理や、洗浄処理による非レジスト部の除去を必要としないレーザ刷版装置もある。
【0117】
また、エンボス版製造手段72として彫刻機77を利用してもよい。
図22に艶ムラ除去装置7Cの構成を示す。
【0118】
図22に示すように、艶ムラ除去装置7Cは、コンピュータ71、彫刻機77、支持台75、及び回転駆動部76を備えて構成される。支持台75にはエンボス版シリンダ9が支持される。
彫刻機77は、彫刻機制御部771、駆動部772、及び彫刻用刃(打刻刃)773を備える。彫刻機制御部771は、コンピュータ71から入力されたハイトフィールドデータ2に従って彫刻機駆動部772を駆動し、彫刻用刃773を支持台75に支持されたエンボス版シリンダ9の版面に対して深さ方向に上下動するとともに、エンボス版シリンダ9の回転軸方向(図中A−A方向)に移動させる。
これにより、彫刻機77は、コンピュータ71から入力されたハイトフィールド2に従った深さで金属製或いは樹脂製のエンボス版シリンダ9に彫刻を施し、凹凸模様を表面に形成する。
【0119】
その後、彫刻機77は、コンピュータ71から入力されたノイズデータ6に従った深さで凹凸模様が形成されたエンボス版シリンダ9に更に彫刻を施し、ノイズの凹凸模様を表面に形成する。
【0120】
なお、彫刻機77は、彫刻用刃773に代えて、レーザ等を用いる方式のものでもよい。
【0121】
彫刻機77は、例えば、階調画像におけるグレースケール0%の部分を凸、グレースケール100%の部分を凹として彫刻を行う。彫刻の深さは任意に設定可能であるが、例えば、500μmに設定した場合は、グレースケール0%の部分は深さ0μm、グレースケール50%の部分は深さ250μm、グレースケール100%の部分は深さ500μmで彫刻される。
【0122】
グレースケール画像データからエンボス版シリンダを彫刻する手法については、例えば本願と同一の出願人による特開2008−246853号公報に詳述されている。
【0123】
本第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7A〜7Cにより製造されたエンボス版を用いて、所望のシートに対してエンボス加工を行えば、所定の意匠の凹凸模様をなす表面に更にノイズが形成された表面形状を有するシートを得ることが可能となる。シートは、紙、樹脂、合成皮革、金属等からなり、例えば、壁紙等の建材として利用される。ノイズは艶ムラが除去されるように生成されているため、艶ムラのないエンボス版またはシートが製造されることとなる。
【0124】
以上説明したように、第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7によれば、第1の実施の形態と同様の手法で生成されたノイズデータ6に基づいて、ハイトフィールド2に基づく凹凸模様が形成されたエンボス版シリンダ8,9の表面に更に凹凸を形成することが可能となる。また、このエンボス版シリンダ8,9を用いて、所望のシートにエンボス加工を施すことが可能となる。これにより従来のエンボス版やシートの製造においてみられたような艶ムラのないエンボス版またはシートを製造できる。そのため、艶ムラ確認のためのエンボス版の試作回数を減らすことが可能となり、効率よくシートを製造できるようになる。
【0125】
また、第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7によれば、ハイトフィールドに基づく凹凸を形成したエンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズを損失なくエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。エンボス版を製造した後にノイズを形成することは、表面の深度に応じた多段エッチングを行う場合に、特に好適である。
【0126】
以上、添付図面を参照して、本発明に係る艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0127】
1・・・・・・艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置
11・・・・・制御部
12・・・・・記憶部
2・・・・・・ハイトフィールド
3・・・・・・投影面
22・・・・・ノイズ付与前の可視化画像
100・・・・ノイズ付与テーブル
101・・・・ノイズ付与テーブルにおいて輝度値を低減できる範囲
4・・・・・・ノイズ付与前の輝度データ
5・・・・・・画素毎のノイズ変数の分布を示すデータ
6・・・・・・ノイズデータ
61・・・・・ノイズデータを付与したハイトフィールドデータ
63・・・・・ノイズ付与後可視化画像
7・・・・・・艶ムラ除去装置
7A・・・・・ノイズ除去用のフォトマスクを製造する艶ムラ除去装置
7B・・・・・エッチングによりエンボス版にノイズを形成する艶ムラ除去装置
7C・・・・・彫刻によりエンボス版にノイズを形成する艶ムラ除去装置
71・・・・・コンピュータ
72・・・・・エンボス版製造手段
73・・・・・パターン露光装置
74・・・・・フォトマスク
77・・・・・彫刻機
8・・・・・・エンボス版シリンダ(レジスト層被覆)
9・・・・・・エンボス版シリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様を形成した媒体に生じる艶ムラを低減する艶ムラ除去装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面に凹凸模様を有する壁紙や合成皮革等の媒体が製造されている。この種の媒体を製造する際、まずコンピュータ等を用いて所望の意匠の表面深度データ(以下、ハイトフィールドという)を生成し、次に、このハイトフィールドに基づいて、金属または樹脂製のエンボス版に彫刻またはエッチング等を施して表面に凹凸模様を形成し、このエンボス版に上記媒体を押し当てることにより凹凸模様を写し取っていた。
エンボス版の製造に関しては、例えば、特許文献1等に記述がある。
【0003】
しかしながら、上述のようなエンボス製品には艶ムラが生じやすい。
艶ムラとは、物体表面に照射された光によって生じた反射光や陰影により、光の強度が強い領域と弱い領域とが不均一に表れ、その不均一さが新たな柄に見える現象である。
このような艶ムラのうち、意匠として不都合なものは製品に表れないように削除、修正される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−358662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、媒体表面に艶ムラが生じているか否かを確認するには、まずエンボス版を試作し、艶ムラの位置を特定し、その後、画像処理ソフトを使用して元となるハイトフィールドデータを修正し、再度、修正したハイトフィールドデータを用いてエンボス版を製造していた。エンボス版は彫刻やエッチング等の工程を経て得られるものであり、その製造には時間を要するものである。また、艶ムラが生じたエンボス版は、その後は使用されないため無駄となっていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、表面に凹凸模様を有する媒体の艶ムラを除去するための艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法、艶ムラ除去方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するため第1の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成手段と、を備えることを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置である。
【0008】
第1の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、輝度値算出手段によって所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、ノイズ生成手段によって、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。
これにより、凹凸模様が形成された媒体表面に生じる艶ムラ(輝度値の不均一性により生じる新たな柄)を除去するためのノイズデータを、元のハイトフィールドから生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を前記媒体表面に付与すれば、媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減できるため、艶ムラの除去に寄与できる。
【0009】
第1の発明において、前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれか一つを変数とし、ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、前記ノイズ生成手段は、前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、を備えることが望ましい。
【0010】
すなわち、ノイズ生成手段は、各画素の輝度値のうち最大輝度値を求め、ノイズ付与前後の輝度値とノイズデータの変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルに定義される輝度値範囲で、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定し、各画素の輝度値がその目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じた変数をノイズ付与テーブルから算出し、算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータを生成する。ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれかを一つを変数として調整できる。
これにより、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変更して、各画素に各々の輝度値に応じたノイズデータを与えることが可能となる。また、各画素の輝度値はノイズ付与後に目標輝度値に統一されるようになるため、艶ムラが除去される。
【0011】
また、第1の発明において、入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、前記ノイズデータ生成手段によって生成されたノイズデータに応じた深度データを付与するノイズ付与手段と、前記ノイズ付与手段によってノイズデータの付与されたハイトフィールドデータについて、前記評価条件で前記ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化処理した可視化画像を出力するノイズ付与後可視化画像出力手段と、を更に備えることが望ましい。
【0012】
これにより、入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、生成されたノイズデータを付与し、前記評価条件で可視化処理したノイズ付与後可視化画像を生成し、出力することが可能となる。これにより、ノイズ付与後のハイトフィールドの艶ムラをエンボス版製作前に確認できるようになるため、エンボス版の試作回数を減らすことが可能となり、コストを低減できる。
【0013】
第2の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータを生成するノイズ生成手段と、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成手段により生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成手段と、を備えることを特徴とする艶ムラ除去装置である。
【0014】
第2の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、輝度値算出手段によって所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、ノイズ生成手段によって、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。また、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、ノイズ形成手段によって、前記ノイズデータに基づく凹凸を形成する。
これにより、ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に生じた艶ムラを、そのエンボス版の表面にノイズの凹凸を形成することにより除去できる。また、ハイトフィールドに基づく凹凸を形成したエンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズを損失なくエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。
【0015】
第2の発明において、前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのうちいずれか一つを変数とし、ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、前記ノイズ生成手段は、記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、を備えることが望ましい。
【0016】
すなわち、ノイズ生成手段は、各画素の輝度値のうち最大輝度値を求め、ノイズ付与前後の輝度値とノイズデータの変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルに定義される輝度値範囲で、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定し、各画素の輝度値がその目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じた変数をノイズ付与テーブルから算出し、算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータを生成する。ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれかを一つを変数として調整できる。
これにより、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変更して、各画素に各々の輝度値に応じたノイズデータを与えることが可能となる。また、各画素の輝度値はノイズ付与後に目標輝度値に統一されるようになるため、艶ムラが除去される。
【0017】
第3の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータ生成し、出力するノイズ生成ステップと、を含むことを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法である。
【0018】
第3の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。
これにより、ハイトフィールドデータに応じた凹凸模様を形成した媒体表面の輝度値の不均一性により生じる艶ムラを除去するためのノイズデータを生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を前記媒体表面に形成すれば、媒体表面に生じた輝度値の不均一性を低減でき、艶ムラを除去できる。ハイトフィールドデータに生じてしまう艶ムラを除去するためのノイズデータを予め生成できるため、媒体製造工程におけるエンボス版の修正作業と確認作業を繰り返し行う必要がなくなり、コストを低減できるようになる。
【0019】
第4の発明は、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズ生成ステップと、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成ステップにより生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成ステップと、を含むことを特徴とする艶ムラ除去方法である。
【0020】
第4の発明によれば、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成する。ノイズデータは、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減されるように生成される。また、前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に前記ノイズデータに基づく凹凸を形成する。
これにより、ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に生じた艶ムラを、そのエンボス版の表面にノイズの凹凸を形成することにより除去できる。また、エンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズをエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。エンボス版製造後にノイズを形成することは、表面の深度に応じた多段エッチングを行う場合に、特に好適である。
【0021】
第5の発明は、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【0022】
第5の発明のプログラムにより、コンピュータを請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、表面に凹凸模様を有する媒体の艶ムラを除去するための艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ製造方法、艶ムラ除去方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1のハードウエア構成図
【図2】艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の全体の流れを説明するフローチャート
【図3】ノイズ付与テーブル作成処理の流れを説明するフローチャート
【図4】入力されるハイトフィールド2の一例
【図5】評価条件(光源方向、視点方向)の設定の一例を示す図
【図6】ノイズ付与前のハイトフィールド2の可視化画像22の一例を示す図
【図7】影及びオクルージョンについて説明する図
【図8】注目画素の法線ベクトルの一例を示す図、
【図9】媒体表面の視点ベクトル、光源ベクトル、法線ベクトル、正反射ベクトルの一例を示す図
【図10】ノイズ付与テーブル100の一例
【図11】ノイズデータ生成処理の流れを説明するフローチャート
【図12】入力されたハイトフィールド2について算出された輝度値データ4の一例
【図13】輝度値を低減できる範囲101についてノイズ付与テーブル100を用いて説明する図
【図14】各画素に与えるべきノイズ変数(密度)の一例
【図15】生成されたノイズデータ6の一例
【図16】元のハイトフィールド2にノイズデータ6を付与したハイトフィールド61の一例
【図17】ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化したノイズ付与後可視化画像63の一例
【図18】輝度値算出時における好適な評価条件設定例
【図19】艶ムラ除去装置7の概略構成を示すブロック図
【図20】フォトマスクを用いたエッチングによりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Aの構成を示す図
【図21】レーザ加工によりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Bの構成を示す図
【図22】彫刻によりエンボス版にノイズを形成する場合の、艶ムラ除去装置7Cの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1のハードウエア構成を示す図である。
【0026】
図1に示すように、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1は、例えば、コンピュータ等により構成され、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、入力部14、表示部15、通信制御部16、周辺機器1/F部17等がバス18を介して接続されて構成される。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Accsess Memory)等により構成される。
CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス18を介して接続された各部を駆動制御する。制御部11のCPUは後述する艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理(図2参照)を実行する。
【0028】
ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0029】
記憶部12は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部11が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0030】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、PDドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
【0031】
入力部14は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部11へ出力する。
表示部15は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部11の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0032】
通信制御部16は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク19との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。
【0033】
周辺機器1/F部17は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器1/F部17を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器1/F部17は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0034】
バス18は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0035】
次に、図2〜図18を参照して、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の動作について説明する。
図2は、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1が行う艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0036】
艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、記憶部12から図2の艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理に関するプログラム及びデータを読み出し、このプログラム及びデータに基づいて処理を実行する。
【0037】
艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、まず、ノイズ付与テーブル100を作成する(ステップS1)。
ステップS1のノイズ付与テーブル作成処理について、図3を参照して説明する。
【0038】
図3に示すように、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、まず様々な意匠のハイトフィールドを可視化処理し、各画素の輝度値を算出する(ステップS11)。
可視化処理とは、ハイトフィールドの艶ムラをデータの段階で視認可能な画像として出力するための処理である。以下、可視化処理について説明する。
【0039】
まず、例えば図4に示すような表面に織物調の凹凸を形成するためのハイトフィールドデータ(以下、ハイトフィールド2という)が入力されるものとする。このハイトフィールド2に対して、制御部11は、図5に示すように光源方向及び視点方向を設定し、光源からハイトフィールド2に対して照射された光による各画素の輝度値を求め、求めた輝度値を所定の投影面3に投影し、投影面3の各画素の輝度値に応じた画素値を与えた画像を可視化画像22として出力する。投影面3は、例えばハイトフィールド2に対して平行とし、また、投影方向は投影面3に対して鉛直方向となるようにすればよい。また光源方向及び視点方向は、例えば、後述する評価条件(図18参照)を設定することが好適であるが、これに限定されず、任意の方向に設定可能である。
【0040】
可視化画像22は、図6に示すように、例えば、算出した輝度値を階調数に応じた値(例えば、0から255といった所定範囲の整数や0か1の整数等)に正規化したグレースケール画像、または色相画像(不図示)等となる。
【0041】
ステップS11の可視化処理において、輝度値を算出する際は、設定したハイトフィールドに生じる影やオクルージョンを考慮して算出するようにすれば、製品(媒体)を人の目で観察するときに近い、正確な輝度値が算出できる。
【0042】
図7は、影及びオクルージョンについて説明する図である。
ここで、影とは、光源の光が直接反射されない領域をいい、オクルージョンとは、視点から見えない領域をいう。これらの領域は他の領域より暗くなる。
図7に示すように、表面に凹凸のある媒体(ハイトフィールド2)に対して光源及び視点が所定の角度をもって設定されると、隣接する領域より深い領域では、影及びオクルージョンが発生することがある。影及びオクルージョンの領域については、輝度値を0または他の領域より小さい値となるように算出する。
【0043】
輝度値を算出する際、制御部11は、注目画素と隣接する周囲4近傍の画素との高度差を示す接線ベクトルを算出する。図8に示すように、右側の隣接画素との接線ベクトルをTr、下側の隣接画素との接線ベクトルをTd、左側の隣接画素との接線ベクトルをTl、上側の隣接画素との接線ベクトルをTuとし、位置(x,y)での表面形状の高度をzx,y、左右に隣接する画素との距離、すなわちハイトフィールドの幅方向をΔx、上下に隣接する画素との距離、すなわちハイトフィールドの縦方向をΔyとすると、各接線ベクトルは、次の式(1)〜(4)で表される。
【0044】
Tr=(Δx,0,(zx+1,y−zx,y))・・・・(1)
Td=(0,Δy,(zx,y+1−zx,y))・・・・(2)
Tl=(−Δx,0,(zx―1,y−zx,y))・・・・(3)
Tu=(0,−Δy,(zx,y―1−zx,y))・・・・(4)
【0045】
次に、制御部11は、注目画素の周囲4近傍の法線ベクトルの平均である法線ベクトルNi,jを算出する。
まず制御部11は、注目画素の4近傍の接線ベクトルTr、Td、Tl、Tuの外積から次の式(5)〜(8)で表される法線ベクトルを算出する。
【0046】
Nlu=Tl×Tu・・・・(5)
Nur=Tu×Tr・・・・(6)
Nrd=Tr×Td・・・・(7)
Ndl=Td×Tl・・・・(8)
【0047】
そして、制御部11は、上述の法線ベクトルNlu,Nur,Nrd,Ndlの平均を算出し、注目画素の法線ベクトルNi,jとする。注目画素の法線ベクトルNi,jは以下の式(9)で表される。
【0048】
Ni,j=(Nlu+Nur+Nrd+Ndl)/4 ・・・・(9)
【0049】
次に、制御部11は、設定した光源方向から、図9に示す光源ベクトルLを算出する。光源の仰角をθ、方位角をψとすると、光源ベクトルLは次の式(10)のように表される。
【0050】
L=(cosθcosψ,cosθsinψ,sinθ)・・・・(10)
【0051】
制御部11は、注目画素の法線ベクトルNと光源ベクトルLから、光線の正反射ベクトルRを算出する。正反射ベクトルRは次の式(11)のように表される。
【0052】
R=(2×N)×(L・N)−L ・・・・(11)
【0053】
視点方向の視点ベクトルWについても、光源ベクトルLと同様に、設定した視点方向から上述の式(10)のように表される。
【0054】
次に制御部11は、視点ベクトルWと正反射ベクトルRのなす角の余弦を算出する。ここで、視点ベクトルWと正反射ベクトルRのなす角をαとする。余弦cosαは次の式(12)により算出される。
【0055】
cosα=(W・R)/(|W|×|R|) ・・・(12)
【0056】
次に制御部11は、法線ベクトルNと光源ベクトルLのなす角の余弦を算出する。ここで、法線ベクトルNと光源ベクトルLのなす角をβとする。余弦cosβは次の式(13)により算出される。
【0057】
cosβ=(L・N)/(|L|×|N|) ・・・(13)
【0058】
光源から照射された光による媒体の各画素の輝度値は、拡散反射と鏡面反射の各成分を足し合わせることにより求められる。
【0059】
拡散反射光による輝度値Idは、ランバートの余弦則に基づき、次の式(14)で表される。
【0060】
Id=Ii・kd・cosβ ・・・(14)
【0061】
また、鏡面反射光による輝度値Isは、フォンの反射モデルに基づき、次の式(15)で表される。
【0062】
Is=Ii・ks・cosnα ・・・(15)
【0063】
ここで、入射光の強さをIi、拡散反射光による輝度値をId、鏡面反射光による輝度値をIs、反射の強さを表す拡散反射率をkd、光沢の強さを表す鏡面反射率をks、光沢の鋭さを表す係数をnとしている。
入射光の強さIi、拡散反射率kd、鏡面反射率ks、光沢の鋭さを表す係数nは定数で、固定値としてもよいし、ユーザが設定するようにしてもよい。これらは媒体の材質によって定まるものである。
【0064】
以上より、制御部11は、光源から照射された光による媒体の各画素の輝度値Ioを、次の式(16)により算出する。
【0065】
Io=Id+Is=Ii(kdcosβ+kscosnα) ・・・(16)
【0066】
以上の演算により各画素の輝度値が算出される。
制御部11はノイズ付与前のハイトフィールド2の各画素の輝度値をノイズ付与前輝度データメモリに格納する。
【0067】
以上のようにして、様々なハイトフィールドをサンプルとして、ノイズ付与前輝度データを得る。
【0068】
次に、制御部11は、様々な種類のハイトフィールドのサンプルにノイズ変数を変化させた各種ノイズを付与し、ノイズ付与後のハイトフィールドについて可視化処理し、ノイズ付与後輝度値データを得る(図3のステップS12)。
【0069】
ここで、ノイズについて説明する。
本発明では、ハイトフィールド2の艶ムラを除去するため、ハイトフィールド全体の輝度値を一定値に均一化する。すなわち各画素に対して各々の輝度値に応じたノイズを付与し、輝度値を調整する。
【0070】
ノイズデータは、複数のノイズオブジェクト(例えば、図15に示すドット)により構成されるが、このノイズオブジェクトは、大きさ、深さ、及び密度の3つのパラメータを有する。これら3つのパラメータを変化させたノイズを媒体表面に付与すると、いずれもその度合いに応じて媒体表面の輝度値が調整できる。
しかし、入力される情報は画素毎にノイズ付与前輝度値データ1つのみであるため、3つのパラメータを入力情報によって決めることはできない。そのため、3つのパラメータのうちいずれか一つを変化させ、他の2つのパラメータを固定することとする。
【0071】
本実施の形態では、一例として、ノイズオブジェクトの密度を変化させ、大きさ及び深さについては固定とする。すなわち、ノイズオブジェクトの密度が大きいノイズをハイトフィールド2に付与すれば輝度値を大きく低減させることができ、ノイズオブジェクトの密度が小さいノイズをハイトフィールド2に付与すれば輝度値の低減幅が小さくなる。
【0072】
制御部11は、ステップS12において、様々な意匠のハイトフィールド2に対して密度を変化させた様々なノイズを付与し、それぞれノイズ付与後の輝度値データを再度算出する。
【0073】
そして、制御部11は、ステップS11で算出したノイズ付与前輝度値データと、ステップS12で付与したノイズオブジェクトの密度と、ノイズ付与後輝度値データとの関係から、ノイズ付与テーブル100を作成する(ステップS13)。
【0074】
図10は、ノイズ付与テーブル100の一例を表すグラフである。図10のグラフの横軸はノイズ付与後の輝度値を表し、縦軸はノイズ付与前の輝度値を表す。
また、ノイズ付与前輝度値データとノイズ付与後輝度値データとノイズオブジェクトの密度との関係は以下の式(17)で表すことができる。
【0075】
密度=f(ノイズ付与前の輝度値,ノイズ付与後の輝度値)・・・(17)
【0076】
図10に示すノイズ付与テーブル100によれば、例えばノイズ付与前に輝度値aを示す画素に対して、密度5%のノイズを付与すると、ノイズ付与後の輝度値がbとなることがわかる。このノイズ付与テーブル100を用いれば、ノイズ付与前の輝度値とノイズ付与後の輝度値を与えることにより、付与すべきノイズの密度を決定することが可能となる。
【0077】
制御部11は、作成したノイズ付与テーブル100を記憶部12に保存し(ステップS14)、一連のノイズ付与テーブル作成処理を終了する。
【0078】
ノイズ付与テーブル100が作成され、記憶部12に保存されている状態で、図2のステップS2に示すように、処理対象となるハイトフィールド2が入力されると(図2;ステップS2)、制御部11は入力されたハイトフィールド2の各画素の輝度値を算出する(ステップS3)。輝度値の算出は、上述のステップS11における輝度値算出処理と同様であるので説明を省略する。
【0079】
次に制御部11は、算出した輝度値及び記憶部12に記憶されているノイズ付与テーブル100に基づいて、ノイズデータを生成する(ステップS4)。
【0080】
ステップS4のノイズデータ生成処理について、図11〜図14を参照して詳細に説明する。
図11はノイズデータ生成処理の流れを説明するフローチャート、図12はステップS3にて算出されたノイズ付与前の各画素の輝度値を示す輝度値データ4の一例、図13はノイズ付与テーブル100の具体例、図14は各画素に与えるべきノイズの密度の一例を示す図である。
【0081】
図11に示すノイズデータ生成処理において、まず制御部11は上述のステップS3で算出したハイトフィールド2の各画素の輝度値のうち、最大輝度値を求める。例えば、ステップS3の輝度値算出処理において、ハイトフィールド2から図12に示すような輝度値「2」〜「5」を示す輝度値データ4を得た場合、このハイトフィールド2の最大輝度値は「5」である。
【0082】
次に、制御部11は、ノイズ付与テーブル100を参照して、ノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する。目標輝度値は、ノイズ付与テーブル100に定義される低減可能な輝度値範囲内で決定される。本実施形態では、例えば、算出した最大輝度値がノイズ付与によって低減される最小の輝度値を目標輝度値とする。
【0083】
具体的には、図13に示すようにノイズ付与テーブル100には輝度値を低減できる範囲101が定められている。図13の例では、最大輝度値「5」に対して、密度15%のノイズを付与すれば輝度値「2」まで低減できるため、この最小輝度値「2」を目標輝度値とする(ステップS42)。
すなわち、処理対象とするハイトフィールド2の輝度値が全体的に目標輝度値「2」となるように均一化すれば、艶ムラが除去できる。
【0084】
制御部11は、ハイトフィールド2の輝度値が全体的に図11のステップS42で求めた目標輝度値となるように、ノイズ付与テーブル100を参照して、各画素の輝度値に応じたノイズ変数(本実施の形態では、ノイズオブジェクトの密度)を算出する(ステップS43)。
【0085】
例えば、図14のノイズ密度分布5に示すように、ノイズ付与前の輝度値が「5」であった画素(図14の領域51)には、密度15%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となる。また、ノイズ付与前の輝度値が「4」であった画素(図14の領域52)には、密度10%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となり、ノイズ付与前の輝度値が「3」であった画素(図14の領域53)には、密度5%のノイズを付与すればノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となり、ノイズ付与前の輝度値が「2」であった画素(図14の領域54)には、密度0%のノイズを付与すれば(すなわちノイズ付与なし)、ノイズ付与後の輝度値は最小輝度値と同一の「2」となる。
【0086】
制御部11は、ステップS43で算出した密度(ノイズ変数)に応じたノイズオブジェクト(図15の拡大図に示すようなドット)を該当する各画素に与え、ノイズデータ6とする(ステップS44)。
【0087】
ノイズの密度は確率値で与えられているため、制御部11はその確率に応じて各画素にノイズオブジェクトを発生させる。すなわち、ノイズ付与前の輝度値が「5」の画素については、ステップS43の処理においてノイズ密度が15%と決定されたので、該当する画素に対して15%の確率でノイズを発生させる。
【0088】
図15は、図2のステップS4のノイズデータ生成処理で生成されたノイズデータ6を可視化した図である。図15の拡大図に示すように、ノイズデータ6は、一様な密度ではなく、領域(画素)に応じて異なる密度で付与される。
【0089】
以上のようなノイズデータ生成処理(ステップS41〜ステップS44)が終了すると、制御部11は、生成したノイズデータ6を出力する(図2のステップS5)。
【0090】
出力の態様としては、ノイズデータ6そのものを示すハイトフィールド、またはノイズ付与後可視化画像63のいずれかとする。ノイズ付与後可視化画像63とは、入力されたハイトフィール2に対して、ノイズデータ6を付与したハイトフィールド61(図16参照)を可視化した画像(図17)である。
【0091】
ノイズデータ6のハイトフィールドを出力する場合は、制御部11は、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1に接続されるエンボス版製造手段(図19;第2の実施の形態において詳述する)に対して、生成したノイズデータ6を表すハイトフィールドを出力する。
エンボス版製造手段は、元のハイトフィールド2に基づくエンボス版を製造し、その後、エンボス版の表面に、艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1によって生成されたノイズデータ6に基づく凹凸を形成するよう彫刻またはエッチング処理を行う。エンボス版製造手段の詳細については、第2の実施の形態で説明する。
【0092】
ノイズ付与後可視化画像63を出力する場合、制御部11は、元のハイトフィールドフィールド2にノイズデータ6を付与したノイズ付与後ハイトフィールド61を生成し、これを可視化処理し、ノイズ付与後可視化画像63を生成し(ステップS6)、表示部15に表示(出力)する(ステップS7)。ノイズデータ6は元のハイトフィールド2の対応する各画素の深さ方向にそれぞれ付与される。
ハイトフィールド2にノイズデータ6を付与したハイトフィールド61を図16に示し、ノイズ付与後可視化画像63を図17に示す。
この段階における可視化処理も、図2のステップS1の説明における可視化処理と同様であり、所定の評価条件でそれぞれ可視化処理が行われる。
【0093】
ノイズ付与後可視化画像63は、例えば、輝度値を0から255の整数に正規化し、その数値を濃度値に変換した256階調のグレースケール画像や、輝度値を例えば0から255の整数に正規化し、その数値をR・G・Bの組み合わせからなる色相データに変換して出力した色相画像等とする。図17のノイズ付与後可視化画像63はグレースケール画像としての出力例である。
【0094】
ここで、可視化処理や輝度値算出処理における評価条件について追記する。
図2の艶ムラ除去用ノイズデータ生成処理の輝度値算出処理(ステップS3)、可視化処理(ステップS6)、及び図3のノイズ付与テーブル作成処理に含まれる輝度値算出処理(ステップS11、ステップS12)では、各画素の輝度値を算出するために所定の光源方向及び視点方向を設定することとしている。
また、艶ムラは、光源や視点の方向で変化するものであるため、ノイズ付与前後で評価条件(光源や視点の方向)が変化することは望ましくない。このため、ノイズ付与前後の各段階で設定する評価条件(光源や視点の方向)は、各段階で同じ条件を用いるものとする。
【0095】
例えば、人の目で行う艶ムラ確認作業では、慣習的に図18に示す3パターンの光源及び視点位置を評価条件とすることが多い。
【0096】
すなわち、以下の(a)、(b)、(c)に示す3パターンの視点、光源位置を評価条件として、試作された媒体表面を確認している。
(a)意匠の施された壁紙から所定距離(数メートル程度)離れた位置に確認者が立ち、斜め方向(γ1=15°程度)から光をあて、その反対の方向(γ2=15°程度)から確認者が目視する。
(b)壁紙の配置を90度回転させて、上述の(a)と同様に確認者が目視する。
(c)光源の位置は(a)と同様にし、視点は光源の方位角と90度をなす方向とする。
【0097】
従って、上述の輝度値算出処理や可視化処理において設定する光源方向及び視点方向も、図18(a),(b),(c)に示す3パターンとすることが望ましい。
ただし、図18の例の他の光源方向及び視点方向を評価条件として設定することを妨げるものではなく、必要に応じて適当な光源方向及び視点方向の設定が行われることが望ましい。
【0098】
以上説明したように、第1の実施の形態の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1の制御部11は、入力されたハイトフィールド2について、所定の評価条件における各画素の輝度値を算出し、媒体表面全体としての輝度値の不均一性が低減するよう各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力する。
ノイズデータは、例えば、ノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定し、密度を変数とすれば、付与するノイズの密度を各画素で調整することによりハイトフィールド2の輝度値を均一化できる。
【0099】
この際、ノイズ付与前の輝度値及びノイズ付与後の輝度値に応じたノイズ変数(例えば、密度)を予め定義したノイズ付与テーブル100を生成して記憶部12に記憶しておき、制御部11はハイトフィールド2の各画素の輝度値のうち最大となる輝度値を求め、当該最大輝度値をノイズ付与テーブル100に定義された範囲でノイズ付与後に全体的に輝度値が均一となるように目標画素値を決定する。例えば、最大輝度値をノイズ付与後に低減できる輝度値範囲のうち最小のもの(最小輝度値)を目標輝度値とする。そして、ハイトフィールド2の輝度値が全体的に目標輝度値となるように、各画素の輝度値に応じたノイズ密度をノイズ付与テーブル100から求める。そして、制御部11は、算出したノイズ密度に応じた確率で各画素にノイズオブジェクトを与え、ノイズデータ6を生成する。
【0100】
これにより、凹凸模様を形成した媒体表面の輝度値の不均一性により生じる艶ムラを除去するためのノイズデータを生成できる。生成されたノイズデータに応じた凹凸模様を上記媒体表面に付与すれば、媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減できるため、艶ムラの除去に寄与できる。
【0101】
また、生成したノイズデータ6をハイトフィールドとして出力し、後段のエンボス版製造工程で使用してもよいし、入力されたハイトフィールド2の各画素にノイズデータ6付与したノイズ付与ハイトフィールド61を算出し、所定の評価条件で可視化したノイズ付与後可視化画像63として出力してもよい。
【0102】
ノイズ付与後可視化画像63として出力すれば、ハイトフィールドのノイズ付与結果をエンボス版製造前に可視化して確認できるため、多くの時間を要するエンボス版の試作回数を低減でき、コスト低減に寄与できる。
【0103】
なお、上述の実施の形態では、ノイズ変数はノイズオブジェクトの密度とし、ノイズオブジェクトの大きさ及び深さを固定する例を示したが、例えば、ノイズオブジェクトの大きさをノイズ変数とし、密度及び深さを固定としてもよいし、ノイズオブジェクトの深さをノイズ変数とし、密度及び大きさを固定としてもよい。
また、可視化処理の演算例は一例であり、上述の手順以外の手順を採用してもよい。
また、ノイズ付与テーブル100の密度とノイズ付与前後の輝度値との関係は一例であり、ハイトフィールドの意匠や媒体の材質等によってそれぞれ適切なノイズ付与テーブルをいくつか作成して記憶部12に記憶しておき、ノイズデータ6の生成時に選択的にいずれかのノイズ付与テーブルを参照するようにしてもよい。
【0104】
[第2の実施形態]
次に、図19〜図22を参照して本発明に係る艶ムラ除去装置7について説明する。
第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7は、図19に示すようにコンピュータ71(第1の実施の形態の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)と、エンボス版製造手段72とを備える。
エンボス版製造手段72は、入力されたハイトフィールドに基づいて、エンボス版シリンダ表面に凹凸模様を施すものであり、図20や図21に示す例のようにエッチングの手法を利用したり、図22に示す例のように彫刻の手法を利用したりすることが可能である。
【0105】
艶ムラ除去装置7のコンピュータ71のハードウエア構成は図1に示す構成と同様である。
コンピュータ71は、上述の第1の実施の形態における艶ムラ除去ノイズデータ生成装置1として機能するとともに、エンボス版製造手段72(パターン露光装置73、彫刻機77)の制御装置としても機能する。
【0106】
例えば、艶ムラ除去装置7の一態様として、図20の艶ムラ除去装置7Aが挙げられる。図20の艶ムラ除去装置7Aでは、上述のエンボス版製造手段72としてパターン露光装置73を採用する。パターン露光装置73は、フォトマスク製造段階にて使用されるものであり、ハイトフィールドデータ2及びノイズデータ6に応じたフォトマスク74(74a,74b,・・・,74z)を製造する。これらのフォトマスク74を利用して、エンボス版シリンダ8にエッチングを施せば、ハイトフィールドデータ及びノイズデータに応じた凹凸が形成されることとなる。
【0107】
すなわち図20(A)に示すように、艶ムラ除去装置7Aは、コンピュータ71(艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)、及びパターン露光装置73を備える。パターン露光装置73は、複数のフォトマスク74a,74b,・・・に対してハイトフィールド2の深さ位置に従った所定の遮光パターンをそれぞれ形成する。また、これらのフォトマスク74a,74b,・・・とは別に、ノイズデータ6に従った所定の遮光パターンを形成したフォトマスク74zを製造する。
【0108】
パターン露光装置73は、走査部731、レーザ発振器732、及び光学ユニット733を備え、コンピュータ71から入力されるハイトフィールドデータ2またはノイズデータ6に従って走査部731を駆動し、レーザ照射口である光学ユニット733をフォトマスク74の面に沿って移動させるとともに、レーザ発振器732を制御して各深さ位置に応じた遮光パターン(露光部と非露光部とからなるパターン)を形成する露光処理を行う。
【0109】
フォトマスク74は、初期段階ではフォトマスク基板743上に遮光膜742が形成され、更にその上にレジスト層741がコーティングされている。このような状態のフォトマスク74に対して、パターン露光装置73の露光により、ハイトフィールド2の各深さ位置に応じた二値パターンが形成され、レジスト層741に露光部と非露光部とが形成される。露光後に、フォトマスク74は現像、洗浄され、不要なレジスト層が除去され、更に腐食液を作用させ、腐食、洗浄が行われて不要な遮光膜が除去される。このようにして、フォトマスク基板743上に所定深さ位置用の遮光パターンが形成される。
【0110】
必要な深さ位置の数だけ、該当する遮光パターンが形成されたフォトマスク74a,74b,74c,・・・が製造される。また、同様の手順で、ノイズデータ6に応じた遮光パターンが形成されたフォトマスク74zも製造される。これらのフォトマスク74a〜74zは、それぞれ図20(B)に示すようにエンボス版シリンダ8への露光の際に使用される。
【0111】
エンボス版シリンダ8へ露光を行う際は、図20(B)に示すように、レジスト層のコーティングされたエンボス版シリンダ8をまずフォトマスク74aにて覆い、回転駆動手段76によって回転させながら露光する。これにより、エンボス版シリンダ8にフォトマスク74に形成されている遮光パターンに従った露光部及び非露光部が形成される。更に、現像処理、腐食処理、洗浄処理を行うことにより、エンボス版シリンダ8の表面に凹凸が形成される。フォトマスク74aを別のフォトマスク74bに交換して、レジスト層コーティング、露光、現像、腐食、洗浄を繰り返すことにより、エンボス版シリンダ8の表面に順に複数段の凹凸が形成される。
【0112】
このようにして、エンボス版シリンダ8にハイトフィールド2に基づく凹凸模様が形成された後、最後に、ノイズデータ6に基づく遮光パターンが形成されたフォトマスク74zを利用して、露光、現像、腐食、洗浄を行うことにより、エンボス版シリンダ8の表面にノイズの凹凸模様が形成される。
【0113】
上述のように多段にわたり繰り返しエッチングを行う場合は、最終段階でノイズの凹凸を形成するようにすれば、細かい模様であっても損失なく凹凸を形成でき好適である。
【0114】
また、図21に示す艶ムラ除去装置7Bのように、レジスト層を被覆したエンボス版シリンダ8に対して、直接露光パターンを形成するようにしてもよい。
この手法を採用する場合、艶ムラ除去装置7Bは、コンピュータ71(艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置1)、パターン露光装置73、支持台75、及び回転駆動部76を備えて構成する。支持台75にはレジスト層をコーティングしたエンボス版シリンダ8が取り付けられている。
回転駆動部76は、コンピュータ71から入力される指示に従って、支持台75,75に支持されたエンボス版シリンダ8を回転軸A−A方向を中心に回転する。
【0115】
パターン露光装置73は、コンピュータ71から入力されるハイトフィールドデータ2に従って走査部731を駆動し、レーザ照射口である光学ユニット733をエンボス版シリンダ8の回転軸方向(図中A−A方向)に移動させるとともに、レーザ発振器732を制御して深さ情報に従った出力値に変調する。これにより、エンボス版シリンダ8の所定位置に所定の出力でレーザビームを照射し、露光部と非露光部とからなるパターンを形成する露光処理を行う。この露光処理が完了したエンボス版シリンダ8は図示しない現像装置において現像、および版洗浄によって、レジスト層のうち露光部(ポジ型レジストの場合)もしくは非露光部(ネガ型レジストの場合)が除去される。その後、エンボス版シリンダ8に腐食液を作用させると、露出した金属面が腐食を受けて窪み、露光したパターンに応じた凹凸構造が形成される。このレジスト層コーティング、露光処理、現像処理、洗浄処理(非レジスト部の除去)、腐食処理、洗浄処理(レジスト部の除去)を複数回繰り返すことにより、エンボス版シリンダ8の表面に深さの異なる凹凸が形成される。
そして、エンボス版シリンダ8の表面にハイトフィールドに基づく凹凸が形成された後、最後にノイズデータに基づく露光処理を行い、現像処理、洗浄処理(非レジスト部の除去)、腐食処理、洗浄処理(レジスト部の除去)を行えば、凹凸を有するエンボス版表面に、更に、艶ムラ除去用のノイズ(凹凸)が形成されることとなる。
【0116】
また、レーザビームによってレジストを形成する手段としては、他にも、レジスト層をコーティングしたシリンダに直接描画(レジスト層を焼飛ばす)をし、現像処理や、洗浄処理による非レジスト部の除去を必要としないレーザ刷版装置もある。
【0117】
また、エンボス版製造手段72として彫刻機77を利用してもよい。
図22に艶ムラ除去装置7Cの構成を示す。
【0118】
図22に示すように、艶ムラ除去装置7Cは、コンピュータ71、彫刻機77、支持台75、及び回転駆動部76を備えて構成される。支持台75にはエンボス版シリンダ9が支持される。
彫刻機77は、彫刻機制御部771、駆動部772、及び彫刻用刃(打刻刃)773を備える。彫刻機制御部771は、コンピュータ71から入力されたハイトフィールドデータ2に従って彫刻機駆動部772を駆動し、彫刻用刃773を支持台75に支持されたエンボス版シリンダ9の版面に対して深さ方向に上下動するとともに、エンボス版シリンダ9の回転軸方向(図中A−A方向)に移動させる。
これにより、彫刻機77は、コンピュータ71から入力されたハイトフィールド2に従った深さで金属製或いは樹脂製のエンボス版シリンダ9に彫刻を施し、凹凸模様を表面に形成する。
【0119】
その後、彫刻機77は、コンピュータ71から入力されたノイズデータ6に従った深さで凹凸模様が形成されたエンボス版シリンダ9に更に彫刻を施し、ノイズの凹凸模様を表面に形成する。
【0120】
なお、彫刻機77は、彫刻用刃773に代えて、レーザ等を用いる方式のものでもよい。
【0121】
彫刻機77は、例えば、階調画像におけるグレースケール0%の部分を凸、グレースケール100%の部分を凹として彫刻を行う。彫刻の深さは任意に設定可能であるが、例えば、500μmに設定した場合は、グレースケール0%の部分は深さ0μm、グレースケール50%の部分は深さ250μm、グレースケール100%の部分は深さ500μmで彫刻される。
【0122】
グレースケール画像データからエンボス版シリンダを彫刻する手法については、例えば本願と同一の出願人による特開2008−246853号公報に詳述されている。
【0123】
本第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7A〜7Cにより製造されたエンボス版を用いて、所望のシートに対してエンボス加工を行えば、所定の意匠の凹凸模様をなす表面に更にノイズが形成された表面形状を有するシートを得ることが可能となる。シートは、紙、樹脂、合成皮革、金属等からなり、例えば、壁紙等の建材として利用される。ノイズは艶ムラが除去されるように生成されているため、艶ムラのないエンボス版またはシートが製造されることとなる。
【0124】
以上説明したように、第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7によれば、第1の実施の形態と同様の手法で生成されたノイズデータ6に基づいて、ハイトフィールド2に基づく凹凸模様が形成されたエンボス版シリンダ8,9の表面に更に凹凸を形成することが可能となる。また、このエンボス版シリンダ8,9を用いて、所望のシートにエンボス加工を施すことが可能となる。これにより従来のエンボス版やシートの製造においてみられたような艶ムラのないエンボス版またはシートを製造できる。そのため、艶ムラ確認のためのエンボス版の試作回数を減らすことが可能となり、効率よくシートを製造できるようになる。
【0125】
また、第2の実施の形態の艶ムラ除去装置7によれば、ハイトフィールドに基づく凹凸を形成したエンボス版を製造した後に、艶ムラ除去用のノイズの凹凸を形成するため、微細なノイズを損失なくエンボス版表面に形成でき、艶ムラを確実に除去できる。エンボス版を製造した後にノイズを形成することは、表面の深度に応じた多段エッチングを行う場合に、特に好適である。
【0126】
以上、添付図面を参照して、本発明に係る艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0127】
1・・・・・・艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置
11・・・・・制御部
12・・・・・記憶部
2・・・・・・ハイトフィールド
3・・・・・・投影面
22・・・・・ノイズ付与前の可視化画像
100・・・・ノイズ付与テーブル
101・・・・ノイズ付与テーブルにおいて輝度値を低減できる範囲
4・・・・・・ノイズ付与前の輝度データ
5・・・・・・画素毎のノイズ変数の分布を示すデータ
6・・・・・・ノイズデータ
61・・・・・ノイズデータを付与したハイトフィールドデータ
63・・・・・ノイズ付与後可視化画像
7・・・・・・艶ムラ除去装置
7A・・・・・ノイズ除去用のフォトマスクを製造する艶ムラ除去装置
7B・・・・・エッチングによりエンボス版にノイズを形成する艶ムラ除去装置
7C・・・・・彫刻によりエンボス版にノイズを形成する艶ムラ除去装置
71・・・・・コンピュータ
72・・・・・エンボス版製造手段
73・・・・・パターン露光装置
74・・・・・フォトマスク
77・・・・・彫刻機
8・・・・・・エンボス版シリンダ(レジスト層被覆)
9・・・・・・エンボス版シリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成手段と、
を備えることを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項2】
前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれか一つを変数とし、
ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、
前記ノイズ生成手段は、
前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、
当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、
前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、
前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項3】
入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、前記ノイズデータ生成手段によって生成されたノイズデータに応じた深度データを付与するノイズ付与手段と、
前記ノイズ付与手段によってノイズデータの付与されたハイトフィールドデータについて、前記評価条件で前記ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化処理した可視化画像を出力するノイズ付与後可視化画像出力手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項4】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータを生成するノイズ生成手段と、
前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成手段により生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成手段と、
を備えることを特徴とする艶ムラ除去装置。
【請求項5】
前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変数とし、
ノイズ付与前の輝度値及びノイズ付与後の輝度値に応じた前記変数を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、
前記ノイズ生成手段は、
前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大となる輝度値を求め、当該最大輝度値を前記ノイズ付与テーブルに定義された範囲でノイズ付与後に最小とする輝度値を決定する最小輝度値算出手段と、
前記各画素の輝度値が前記最小輝度値算出手段によって算出された最小輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、
前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータとするノイズオブジェクト付与手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の艶ムラ除去装置。
【請求項6】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、
を含むことを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法。
【請求項7】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズ生成ステップと、
前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成ステップにより生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成ステップと、
を含むことを特徴とする艶ムラ除去方法。
【請求項8】
コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成手段と、
を備えることを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項2】
前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、及び深さのうちいずれか一つを変数とし、
ノイズ付与前後の輝度値と前記変数との関係を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、
前記ノイズ生成手段は、
前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大輝度値を求める最大輝度値算出手段と、
当該最大輝度値がノイズ付与によって低減可能な輝度値範囲を前記ノイズ付与テーブルから求め、該輝度値範囲内でノイズ付与後に統一すべき目標輝度値を決定する目標輝度値決定手段と、
前記各画素の輝度値がノイズ付与後に前記目標輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、
前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与えるノイズオブジェクト付与手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項3】
入力された前記ハイトフィールドデータの各画素に、前記ノイズデータ生成手段によって生成されたノイズデータに応じた深度データを付与するノイズ付与手段と、
前記ノイズ付与手段によってノイズデータの付与されたハイトフィールドデータについて、前記評価条件で前記ノイズ付与後のハイトフィールドを可視化処理した可視化画像を出力するノイズ付与後可視化画像出力手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置。
【請求項4】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、前記輝度値算出手段により算出された各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズデータを生成するノイズ生成手段と、
前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成手段により生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成手段と、
を備えることを特徴とする艶ムラ除去装置。
【請求項5】
前記ノイズデータは、ノイズオブジェクトの密度、大きさ、または深さのいずれかを変数とし、
ノイズ付与前の輝度値及びノイズ付与後の輝度値に応じた前記変数を予め定義したノイズ付与テーブルを記憶するノイズ付与テーブル記憶手段を更に備え、
前記ノイズ生成手段は、
前記輝度値算出手段によって算出された各画素の輝度値のうち最大となる輝度値を求め、当該最大輝度値を前記ノイズ付与テーブルに定義された範囲でノイズ付与後に最小とする輝度値を決定する最小輝度値算出手段と、
前記各画素の輝度値が前記最小輝度値算出手段によって算出された最小輝度値となるように、前記各画素の輝度値に応じた前記ノイズデータの変数を前記ノイズ付与テーブルから算出する変数算出手段と、
前記変数算出手段によって算出された変数に応じたノイズオブジェクトを各画素に与え、ノイズデータとするノイズオブジェクト付与手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の艶ムラ除去装置。
【請求項6】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、
を含むことを特徴とする艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法。
【請求項7】
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成するノイズ生成ステップと、
前記ハイトフィールドデータに基づき製造されたエンボス版の表面に、前記ノイズ生成ステップにより生成されたノイズデータに基づく凹凸を形成するノイズ形成ステップと、
を含むことを特徴とする艶ムラ除去方法。
【請求項8】
コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
媒体表面に凹凸模様を形成するためのハイトフィールドデータについて、所定の評価条件で各画素の輝度値を算出する輝度値算出ステップと、
前記媒体表面全体としての輝度値の不均一性を低減するように、各画素の輝度値に応じたノイズデータを生成し、出力するノイズ生成ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図4】
【図6】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図4】
【図6】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−61650(P2012−61650A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206288(P2010−206288)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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