芯出し具
【課題】容易に杭の芯出しができると共に、打設時の芯ずれを確認できる芯出し具を提供する。
【解決手段】住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、芯出し具。
【解決手段】住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、芯出し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行う際に使用する芯出し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小規模住宅等の構造物の基礎として、鋼管杭を支持杭として打設している。
支持杭の打設工程は、
(1)支持杭の打設位置を決める芯出し工程
(2)支持杭を決めた位置にセットする杭設置工程
(3)支持杭を地盤に打設する杭打設工程
からなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記した従来の支持杭の打設工程には、以下のような問題がある。
<1>芯出しは、基準点を定め、その基準点から測量を行うため、支持杭一本ごとに芯出しのための測量を行う必要がある。
<2>杭設置工程で目視により杭の位置や杭芯の位置を確認するが、杭打設工程において杭が斜めに貫入して打設された場合には、打設途中では位置ずれや芯ずれを確認することができない。
<3>木製や軽量鉄骨等のユニット住宅の場合、使用するユニットによって杭の位置が常に決まっているが、ユニットを用いて住宅を構築する度に芯出しのために測量を行う必要がある。
【0004】
本発明は、容易に杭の芯出しができると共に、打設時の芯ずれを確認できる芯出し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の芯出し具において、前記帯状部材は可撓性を有することを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第3発明は、第1発明の芯出し具において、前記帯状部材は網材からなることを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第4発明は、第1発明乃至第3発明のいずれかの芯出し具において、前記芯出し具の周囲には、前記地盤と前記芯出し具を離すための足部を設けることを特徴とする、芯出し具を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>帯状の芯出し具を配置するだけで、容易に芯出しを行うことができる。
<2>芯出し具を敷設したまま杭の打設ができ、芯出し具の打設孔が基準となるため、杭打設時の位置ずれや芯ずれを防止できる。
<3>芯出し具は端部同士が係合可能であるため、ユニットの形に合わせて配置することができる。
<4>芯出し具は可撓性を有するため、現場への搬入や現地での配置が容易である。
<5>使用するユニットによって、杭の打設位置は決まっているため、他の部位や他現場で繰り返し利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[1]本発明の全体の構成
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
(1)芯出し具
本発明に係る芯出し具10は帯状の部材である。(図1)
芯出し具10はゴムや合成樹脂等からなり、可撓性を有する。
芯出し具10には打設孔11を形成する。
芯出し具10の一方の端部には、凸部12を芯出し具10の長さ方向に延設する。芯出し具10の他方の端部には、凸部12と係合するように、凹部13を形成する。
【0009】
(2)打設孔
打設孔11は、芯出し具10の表面と裏面とを貫通する孔である。
打設孔11は構造物の基礎となる支持杭20よりも大きな径とする。
支持杭20は、構造物に用いる木製や軽量鉄骨製のユニットによって打設位置が決まっている。そのため、使用するユニットの支持杭20の打設位置に対応するように、打設孔11を一個または複数個形成する。
【0010】
(3)凸部、凹部
芯出し具10の端部には凸部12と凹部13を、お互いに係合するように形成する。
凸部12と凹部13には係合した際に連続する係止穴121、131を設け、係止穴に係止ピン14を挿通して連結する。係止ピン14を地面に貫入できる長さとすると、係止ピン14を介して、芯出し具10を地盤上に固定することができる。
芯出し具10には打設孔11の配置の異なる複数種類の芯出し具10a、10b、10cがあり、構造物に用いるユニットによって決まる支持杭20の打設位置に合わせて、複数種類を連結して用いることができる。(図2)
芯出し具10aと10bとが直角に交わるように組み合わせて用いる際には、凸部12と凹部13は、どちらか一方を芯出し具10の幅方向に形成する。
【0011】
[2]施工方法
次に芯出し具10を用いた芯出し〜杭打設の方法について説明する。
【0012】
(1)芯出し工程
整地した地盤上にユニットの配置位置に合わせた基準杭の打設位置を決め、その位置と芯出し具10及び打設孔11が一致するように、芯出し具10aを配置する。
芯出し具10は可撓性を有する帯状の部材であるため、軽量で丸めたり折り曲げたりすることができ、現場への搬入や地盤上への配置が容易である。
芯出し具10が複数の打設孔11を有する場合、基準杭以外の支持杭20の打設位置も決まる。
【0013】
住宅を構成するユニットの形状に合わせて複数種から予め選定した、芯出し具10aに隣接する芯出し具10b、10cを配置していく。(図2)
芯出し具10aに係合させて10b、10cと配置していくだけで、基準杭以外の支持杭20の打設位置も決まる。
いずれかの基準点から測量することなく、芯出し具10を組み合わせるだけで支持杭20の打設位置が決まるため、芯出しが容易に行うことができる。
【0014】
(2)杭設置〜打設工程
配置した芯出し具10の打設孔11に合わせて支持杭20を設置し、打設していく。(図3)
打設孔11は支持杭20よりも径が大きいため、芯出し具10を地盤上に配置したままの状態で支持杭20を打設することができる。
また、支持杭20は打設孔11を基準として打設することができるため、支持杭20の位置ずれや、打設途中での芯ずれを防止することができる。
【0015】
芯出し具10は支持杭20と係合したりするものではないため、支持杭20打設後は回収して、同一構築物の別の支持杭打設箇所の芯出しや、他の構築物の芯出し等、繰り返し利用できる。
芯出し具10は軽量で丸めたり折り曲げたりすることができるため、現場での回収や現場からの搬出が容易である。
【0016】
[その他実施例]
上記実施例では、芯出し具10はゴムや合成樹脂等により形成したが、金網等の網材によって形成しても良い。(図4)
網材は軽量であるため、搬入や設置が容易である。
【0017】
また、芯出し具10の周囲には、棒材等によって構成した所定の高さの足部15を設けてもよい。
足部15を設けて地盤上面と芯出し具10とを離すことによって、不陸のある地盤上であっても芯出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる芯出し具の斜視図
【図2】本発明の実施例を示す説明図
【図3】本発明の実施例を示す斜視図
【図4】本発明のその他実施例の斜視図
【符号の説明】
【0019】
10 芯出し具
11 打設孔
12 凸部
121 係止穴
13 凹部
131 係止穴
14 係止ピン
15 足部
20 支持杭
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行う際に使用する芯出し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小規模住宅等の構造物の基礎として、鋼管杭を支持杭として打設している。
支持杭の打設工程は、
(1)支持杭の打設位置を決める芯出し工程
(2)支持杭を決めた位置にセットする杭設置工程
(3)支持杭を地盤に打設する杭打設工程
からなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記した従来の支持杭の打設工程には、以下のような問題がある。
<1>芯出しは、基準点を定め、その基準点から測量を行うため、支持杭一本ごとに芯出しのための測量を行う必要がある。
<2>杭設置工程で目視により杭の位置や杭芯の位置を確認するが、杭打設工程において杭が斜めに貫入して打設された場合には、打設途中では位置ずれや芯ずれを確認することができない。
<3>木製や軽量鉄骨等のユニット住宅の場合、使用するユニットによって杭の位置が常に決まっているが、ユニットを用いて住宅を構築する度に芯出しのために測量を行う必要がある。
【0004】
本発明は、容易に杭の芯出しができると共に、打設時の芯ずれを確認できる芯出し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の芯出し具において、前記帯状部材は可撓性を有することを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第3発明は、第1発明の芯出し具において、前記帯状部材は網材からなることを特徴とする、芯出し具を提供する。
本願の第4発明は、第1発明乃至第3発明のいずれかの芯出し具において、前記芯出し具の周囲には、前記地盤と前記芯出し具を離すための足部を設けることを特徴とする、芯出し具を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>帯状の芯出し具を配置するだけで、容易に芯出しを行うことができる。
<2>芯出し具を敷設したまま杭の打設ができ、芯出し具の打設孔が基準となるため、杭打設時の位置ずれや芯ずれを防止できる。
<3>芯出し具は端部同士が係合可能であるため、ユニットの形に合わせて配置することができる。
<4>芯出し具は可撓性を有するため、現場への搬入や現地での配置が容易である。
<5>使用するユニットによって、杭の打設位置は決まっているため、他の部位や他現場で繰り返し利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[1]本発明の全体の構成
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
(1)芯出し具
本発明に係る芯出し具10は帯状の部材である。(図1)
芯出し具10はゴムや合成樹脂等からなり、可撓性を有する。
芯出し具10には打設孔11を形成する。
芯出し具10の一方の端部には、凸部12を芯出し具10の長さ方向に延設する。芯出し具10の他方の端部には、凸部12と係合するように、凹部13を形成する。
【0009】
(2)打設孔
打設孔11は、芯出し具10の表面と裏面とを貫通する孔である。
打設孔11は構造物の基礎となる支持杭20よりも大きな径とする。
支持杭20は、構造物に用いる木製や軽量鉄骨製のユニットによって打設位置が決まっている。そのため、使用するユニットの支持杭20の打設位置に対応するように、打設孔11を一個または複数個形成する。
【0010】
(3)凸部、凹部
芯出し具10の端部には凸部12と凹部13を、お互いに係合するように形成する。
凸部12と凹部13には係合した際に連続する係止穴121、131を設け、係止穴に係止ピン14を挿通して連結する。係止ピン14を地面に貫入できる長さとすると、係止ピン14を介して、芯出し具10を地盤上に固定することができる。
芯出し具10には打設孔11の配置の異なる複数種類の芯出し具10a、10b、10cがあり、構造物に用いるユニットによって決まる支持杭20の打設位置に合わせて、複数種類を連結して用いることができる。(図2)
芯出し具10aと10bとが直角に交わるように組み合わせて用いる際には、凸部12と凹部13は、どちらか一方を芯出し具10の幅方向に形成する。
【0011】
[2]施工方法
次に芯出し具10を用いた芯出し〜杭打設の方法について説明する。
【0012】
(1)芯出し工程
整地した地盤上にユニットの配置位置に合わせた基準杭の打設位置を決め、その位置と芯出し具10及び打設孔11が一致するように、芯出し具10aを配置する。
芯出し具10は可撓性を有する帯状の部材であるため、軽量で丸めたり折り曲げたりすることができ、現場への搬入や地盤上への配置が容易である。
芯出し具10が複数の打設孔11を有する場合、基準杭以外の支持杭20の打設位置も決まる。
【0013】
住宅を構成するユニットの形状に合わせて複数種から予め選定した、芯出し具10aに隣接する芯出し具10b、10cを配置していく。(図2)
芯出し具10aに係合させて10b、10cと配置していくだけで、基準杭以外の支持杭20の打設位置も決まる。
いずれかの基準点から測量することなく、芯出し具10を組み合わせるだけで支持杭20の打設位置が決まるため、芯出しが容易に行うことができる。
【0014】
(2)杭設置〜打設工程
配置した芯出し具10の打設孔11に合わせて支持杭20を設置し、打設していく。(図3)
打設孔11は支持杭20よりも径が大きいため、芯出し具10を地盤上に配置したままの状態で支持杭20を打設することができる。
また、支持杭20は打設孔11を基準として打設することができるため、支持杭20の位置ずれや、打設途中での芯ずれを防止することができる。
【0015】
芯出し具10は支持杭20と係合したりするものではないため、支持杭20打設後は回収して、同一構築物の別の支持杭打設箇所の芯出しや、他の構築物の芯出し等、繰り返し利用できる。
芯出し具10は軽量で丸めたり折り曲げたりすることができるため、現場での回収や現場からの搬出が容易である。
【0016】
[その他実施例]
上記実施例では、芯出し具10はゴムや合成樹脂等により形成したが、金網等の網材によって形成しても良い。(図4)
網材は軽量であるため、搬入や設置が容易である。
【0017】
また、芯出し具10の周囲には、棒材等によって構成した所定の高さの足部15を設けてもよい。
足部15を設けて地盤上面と芯出し具10とを離すことによって、不陸のある地盤上であっても芯出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる芯出し具の斜視図
【図2】本発明の実施例を示す説明図
【図3】本発明の実施例を示す斜視図
【図4】本発明のその他実施例の斜視図
【符号の説明】
【0019】
10 芯出し具
11 打設孔
12 凸部
121 係止穴
13 凹部
131 係止穴
14 係止ピン
15 足部
20 支持杭
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、
前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、
芯出し具。
【請求項2】
請求項1に記載の芯出し具において、前記帯状部材は可撓性を有することを特徴とする、芯出し具。
【請求項3】
請求項1に記載の芯出し具において、前記帯状部材は網材からなることを特徴とする、芯出し具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の芯出し具において、前記芯出し具の周囲には、前記地盤と前記芯出し具とを離すための足部を設けることを特徴とする、芯出し具。
【請求項1】
住宅等の小規模構造物の基礎となる鋼管杭の芯出しを行うために、地盤上に配置して使用する芯出し具であって、
前記芯出し具は帯状部材に、前記鋼管杭の直径より径の大きな打設孔を形成して構成することを特徴とする、
芯出し具。
【請求項2】
請求項1に記載の芯出し具において、前記帯状部材は可撓性を有することを特徴とする、芯出し具。
【請求項3】
請求項1に記載の芯出し具において、前記帯状部材は網材からなることを特徴とする、芯出し具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の芯出し具において、前記芯出し具の周囲には、前記地盤と前記芯出し具とを離すための足部を設けることを特徴とする、芯出し具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2009−256951(P2009−256951A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106644(P2008−106644)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(591226586)兼松日産農林株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(591226586)兼松日産農林株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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