説明

芯材への表皮形成方法及び自動車内装品

【課題】 柔軟な表皮をマスク治具に簡単且つ短時間に取り付けることができる表皮の塗装方法を提供する。
【解決手段】 塗装部3を有する表皮1を備えるインストルメントパネルにおける前記表皮1の塗装方法であって、柔軟な表皮1を形成するステップと、該表皮1を保持モデル2に密着させるステップと、密着状態の表皮1の塗装されない部分4・5をマスク治具6・7にて覆うステップと、前記マスク治具6・7で覆われた状態で塗装を行うステップと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内装品の表皮に塗装する方法に関し、とくに柔軟な表皮に塗装する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インストルメントパネルは芯材に表皮を形成することによって製造され、表皮は2色又は2色以上に塗装される。表皮への塗装方法として、以下に説明する第1の方法及び第2の方法が考えられる。
【0003】
先ず、第1の方法は、一方の成形型に芯材をセットし、他方の成形型に表皮をセットし、これらの成形型を閉じて芯材と表皮との間に発泡樹脂を形成させた樹脂成型体に塗装する方法である。かかる塗装方法において、表皮の塗装部を露出させると共に表皮の塗装されない部分にマスク治具を取り付けたのち表皮を塗装することによって、見切り外観が良好となる塗装方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、このような方法においては、不必要な発泡樹脂を容易に取り除く為に、成形型や芯材に離型剤を塗ることが多く、この離型剤が表皮に付着しやすい。また、作業者の手の汗も表皮に付着しやすい。よって、表皮に塗装を行なう前に、表皮に付着した離型剤や汗を除去する必要がある。これは、手間がかかるのみならず、離型剤が完全に除去できていなければクレーム発生の原因となる。そこで、予め塗装された表皮を芯材に形成させる第2の方法がよく採用される。
【0005】
【特許文献1】特開平11−197590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第2の方法においては、表皮は柔軟であることから、表皮の塗装されない部分にマスク治具を取り付けることが困難である。そこで、表皮の非塗装部にマスキングテープを貼る等によって対応しているが、多大な工数を要するといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、柔軟な表皮をマスク治具に簡単且つ短時間に取り付けることができる表皮の塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明において、以下の特徴は単独で、若しくは、適宜組合わされて備えられている。前記課題を解決するための本発明に係る表皮の塗装方法は、塗装部を有する表皮を備えるインストルメントパネルにおける前記表皮の塗装方法であって、柔軟な表皮を形成するステップと、該表皮を形状保持部材に密着させるステップと、密着状態の表皮の塗装されない部分をマスク治具にて覆うステップと、前記マスク治具で覆われた状態で塗装を行うステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、「塗装されない部分」とは、塗装される部分と塗装されない部分とを有する表皮のうち塗装されない部分のみを意味するのではなく、上記一連の工程において塗装されない部分をも含む。例えば、上記一例の工程を複数回行うことによって二色以上の色を塗装する場合において、2回目以降の工程では塗装する部分であるが、1回目の工程では塗装しない部分が該当する。
【0010】
これによれば、柔軟な表皮が形状保持部材に密着しているため、インストルメントパネルに沿った表皮の形状が維持される。従って、表皮にマスク治具を簡単且つ短時間に取り付けることが可能となる。しかも、塗装されない部分をマスク治具にて覆うので、塗装の見切り線が確保でき、塗装の仕上がりも優れる。
【0011】
本発明に係る表皮の塗装方法において、前記形状保持部材が、表皮形状と略同一の型であり、空気を吸引して表皮を密着させる吸引孔を表面に開口させた型であることが好ましい。
【0012】
これによれば、表皮の形状と略同一の型に沿って表皮を密着させるので、表皮の形状を正確に保持することが可能となる。
【0013】
本発明に係る表皮の塗装方法において、前記表皮は、スラッシュ成形又は真空成形されたものであることが好ましい。
【0014】
これによれば、スラッシュ成形又は真空成形された表皮は形状の維持が難しいため、本塗装方法が好適に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るインストルメントパネルにおける表皮の塗装方法の好適な実施形態の例について、図1を参照しつつ各工程(ステップ)を順に説明する。なお、表皮の塗装部への塗装は、柔軟な表皮を保持モデルに覆い被せて固定したのちに行なわれる。
【0016】
図1は、表皮1が保持モデル2に保持される態様を示した図である。表皮1は、見切り線9を境界部とする塗装部3と塗装されない部分4とを有する。本実施形態では、先ず、図1に図示されるインストルメントパネルの表皮1の形成を行う。
【0017】
(表皮形成工程)
図1に図示されるインストルメントパネルの表皮1の形成は、スラッシュ成形又は真空成形によって形成されるのが一般的である。以下に、スラッシュ成形により表皮1を形成する工程を説明し、それに続いて真空成形により表皮1を形成する工程について説明する。
【0018】
スラッシュ成形は、エラストマー組成物の粉体を用いて行われる。表皮1は、外層と内層とが積層された積層体である(外層及び内層についてはいずれも図示せず)。表皮1の形成は、型(図示せず)に外層を形成させ、そののち内層を形成させることによって行なわれる。
【0019】
外層は、外層に用いられる組成物の融点よりも高い温度、例えば250℃に加熱された型に、外層に用いられる組成物の粉末を落下投入することにより形成される。そして、粉末が投入された型を、例えば300℃で加熱する。すると、落下投入された粉末が層となって型に付着し、時間の経過とともに溶融して厚さ0.3〜1.0mmの外層が形成される。型に溶融付着しなかった粉末については、型を反転させて回収する。なお、インストルメントパネルに意匠を施すために、型には、例えば皮シボ模様等の模様が形成されている。
【0020】
内層は、型に形成された外層の上に内層に用いられる組成物の粉末を落下投入することにより形成される。そして、外層の上に粉末が投入された型を再度、例えば230℃で加熱する。すると、落下投入された粉末が層となって外層の表面に付着し、時間の経過とともに溶融して厚さ0.7〜1.2mmの内層が形成される。外層に溶融付着しなかった粉末については、型を反転させて回収する。そして、例えば水冷により型を冷却して複合表皮1を脱型する。
【0021】
なお、表皮1は、外層と内層との積層体に限られるものではなく、例えば、1層のみから成るものであってもよい。また、3層から成るものであってもよい。
【0022】
ここで、型の加熱方法としては、オイル循環あるいは熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパイプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面からのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面および成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多いため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方や条件を配慮する必要がある。
【0023】
熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層(2乃至3)に行う時に有効である。即ち、加熱された型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なので成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられることが多い。
【0024】
以上、スラッシュ成形により表皮1を形成する工程について説明したが、本実施形態におけるスラッシュ成形による工程は一例であって、これに限られるものではない。
【0025】
次に、真空成形により表皮1を形成する工程について簡単に説明する。真空成形は、雄型又は雌型が用いられ、これらの型には真空穴が形成されている。表皮材を雄型又は雌型のいずれかにセットし、ヒータ等で型(即ち表皮材)を加熱する。そして、真空穴から90cmHg以内で真空引きすると、表皮材が型に密着する。この密接した状態を維持しながら表皮材の表面に空気等を吹き付けて冷却し、表皮材を脱型する。
【0026】
以上、真空成形により表皮1を形成する工程について簡単に説明したが、本実施形態における真空成形による工程は一例であって、これに限られるものではない。
【0027】
(表皮密着工程)
本工程は、表皮1を保持モデル2に密着させる工程である。先ず、図1に図示される保持モデル2の形状について、図2を参照して説明する。その後、表皮1を保持モデル2に密着させる工程について説明する。なお、図2は、図1に図示される保持モデル2のX−X線断面矢視図である。
【0028】
図2に図示されるように、保持モデル2は、その外表面2aの形状がインストルメントパネルの表皮1の内表面1aの形状と略同一の形状をした硬質樹脂で形成された型である。また、保持モデル2は、内部に中空部10が形成されると共に、この中空部10と連通する孔8が外表面2aの全体に渡って多数形成されている。さらに、保持モデル2の下壁2Aには硬質樹脂で形成された吸引管11が取り付けられている。この吸引管11の一端11aは、保持モデル2の下壁2Aを貫通すると共に、圧入によって保持モデル2と一体的に取り付けられている。また、吸引管11の他端11bには、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0029】
図1に図示されるように、保持モデル2への表皮1の密着は、先ず、保持モデル2の外表面2aと表皮1の内表面1aとが接するように表皮1を保持モデル2に覆い被せ、吸引管11に接続された真空ポンプで中空部10内を吸引することによって行なわれる。吸引によって中空部10内を負圧にすると、表皮1と保持モデル2との間に存在する空気が孔8を通って表皮1と保持モデル2との間から排出される。このように、表皮1と保持モデル2との間から空気が排出されると、表皮1の内表面と保持モデル2の外表面2aとが密着する。
【0030】
このように、外表面2aの全体に渡って多数の孔8が形成された保持モデル2の内部に中空部10を形成し、この中空部10内を吸引すると、中空部10がバッファとしての機能を果たすこととなる。即ち、特定の孔8から吸引されるのではなく、全部の孔8から偏りなく吸引されることとなる。従って、表皮1の内表面1aと保持モデル2の外表面2aとをほぼ全領域に渡って密着させることができる。
【0031】
なお、保持モデル(形状保持部材)2及び吸引管11の材質は、硬質樹脂に限られるものではなく、表皮1に損傷を与えることなく表皮1の形状を保持することができればは特定されるものではない。
【0032】
また、表皮1を保持モデル2に覆い被せたとき、保持モデル2の外表面2aと表皮1の内表面1aとが接しない保持モデル2の外表面2aの部位については、孔8が形成されていなくてもよい。
【0033】
(マスク治具で覆う工程)
本工程は、表皮1の塗装されない部分4・5をマスク治具6・7で覆う工程である。本実施形態においては、図1に図示されるように、表皮1の塗装されない部分4・5が、一方の塗装されない部分4と他方の塗装されない部分5との2箇所に分離していることから、これらの分離した2箇所をマスキングするために、2つのマスク治具6・7を用いている。
【0034】
第1のマスク治具6はL字型の形状をし、一方の塗装されない部分4にセットされる。第2のマスク治具7は、第1のマスク治具6と対称の反L字型の形状をし、他方の塗装されない部分5にセットされる。また、これらのマスク治具6・7は、それぞれ、マスク治具6・7の裏面6b・7bと表皮1の塗装されない部分4・5の外表面とが密着する形状を有している。とくに、表皮の塗装部2aと塗装されない部分2bとの境界線(見切り線)9においては、マスク治具6・7の裏面6b・7bと表皮1の塗装されない部分4・5の表面とが密着するように形成されている。さらに、マスク治具6・7の角部6A・7Aの角度は、それぞれ、表皮1の塗装されない部分4・5の角部4A・5Aの角度よりも若干小さい。これは、表皮1の塗装されない部分4・5にマスク治具6・7を当接したとき、マスク治具6・7が表皮1から脱落せずにセットされるようにするためである。
【0035】
保持モデル2に密着した表皮1は、保持モデル2によって形状が保持される。そして、表皮1の一方の塗装されない部分4に第1のマスク治具6を、他方の塗装されない部分5に第2のマスク治具7をセットする。このとき、表皮1は保持モデル2によって形状が保持されているので、表皮1の塗装されない部分4・5に、それぞれ、マスク治具6・7を容易にセットすることができる。また、マスク治具6・7の角部6A・7Aの角度が、それぞれ、表皮1の塗装されない部分4・5の角部4A・5Aの角度よりも小さいので、表皮1にセットされたマスク治具6・7が表皮1から脱落することもない。
【0036】
(塗装工程)
本工程は、塗装されない部分4・5がマスク治具6・7で覆われた表皮1の表面を塗装する工程である。
【0037】
表皮1への塗装は、スプレー缶を用いて行なわれる。スプレー缶は、表皮1の塗装部3に付したい色彩の塗料が充填されたものを用いる。そして、保持モデル2に密着し、且つ塗装されない部分4・5がマスク治具6・7で覆われた表皮1の表面全体にスプレーして塗装する。すると、図3に図示されるように、表皮1のマスク治具6・7で覆われなかった部位3が塗装され、マスク治具6・7で覆われた部位4が塗装されないインストルメントパネルの表皮1が形成される。なお、図3は、塗装後のインストルメントパネルの表皮を示した図である。
【0038】
なお、見切り線9において、表皮1の表面とマスク治具6・7の裏面6b・7bとが密着しているので、塗装後もこの見切り線9を確保することができる。従って、塗装の仕上がりに優れたインストルメントパネルの表皮1を提供することができる。
【0039】
表皮1の表面に塗装したのち、塗装された部分3を自然乾燥させる。このように、表皮1の塗装された部分3を乾燥させることで、表皮1の塗装部3に塗装膜が形成される。なお、乾燥は、自然乾燥に限られるものではなく、表皮1の塗装部3に塗装膜を形成させることができれば、その態様は限られない。
【0040】
表皮1の塗装部3が乾燥したことを確認したのち、保持モデル2に密着した表皮1からマスク治具6・7を取り外す。表皮1からマスク治具6・7を取り外したのち、続けて、保持モデル2から表皮1を取り外す。表皮1の端を外して空気を入れる、又は真空ポンプを停止することによって容易に取り外すことが可能となる。保持モデル2に形成された孔8を介して、表皮1と保持モデル2との間に空気が入り込むからである。
【0041】
以上のように、上述の実施形態において、柔軟な表皮1を形成する工程と、この表皮1を保持モデル2に密着させる工程と、保持モデル2に密着された表皮1の塗装されない部分4・5をマスク治具6・7で覆う工程と、表皮1の塗装されない部分4・5がマスク治具6・7で覆われた表皮1の表面全体を塗装する工程とを有している。従って、インストルメントパネルに沿った表皮1の形状が維持され、表皮1にマスク治具6・7を簡単且つ短時間に取り付けることが可能となる。とくに、インストルメントパネルは他の自動車内装品と比較して大型であることから、柔軟な表皮を備えるインストルメントパネルに適用すると効果が大きい。さらに、塗装されない部分4・5をマスク治具6・7にて覆うので、塗装の見切り線9を確保することができ、塗装の仕上がりが優れた柔軟な表皮1を提供することが可能となる。
【0042】
また、上述の実施形態において、保持モデル2が、柔軟な表皮1とほぼ同一の型であり、空気を吸引して表皮1を密着させる孔8を表面に開口させている。従って、表皮1の形状を正確に保持することができる。
【0043】
また、上述の実施形態において、インストルメントパネルの表皮1は、スラッシュ成形又は真空成形されたものである。スラッシュ成形又は真空成形された表皮1は、柔軟であることから表皮1の形状を維持することが困難である。このような柔軟な表皮1の塗装されない部分4・5にマスキング処理することは困難であるであるが故、大きな労力を必要とする。従って、本発明は、スラッシュ成形又は真空成形された表皮1に、本発明を適用して部分塗装する場合に、大きな効果を発揮する。
【0044】
尚、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。例えば、本実施形態では、インストルメントパネルの表皮1に塗装する方法について説明しているが、ドアートリム、コンソールボックス等の自動車内装品の表皮に塗装する方法であってもよい。これらの自動車内装品はインストルメントパネルよりも小型ではあるものの、本発明の効果を享受することができる。
【0045】
また、本実施形態では、表皮1の塗装されない部分4・5にマスク治具6・7をセットして塗装しているが、表皮1に二色を塗装する場合にも適用できる。柔軟な表皮1に二色を塗装する場合、一方の色を塗装したい第1の部分にマスク治具をセットし、他方の色を塗装したい第2の部分に他方の色を塗装して乾燥させる。その後、第2の部分にマスク治具をセットし、一方の色を塗装して乾燥させる。こうすることによって、柔軟な表皮1に二色を塗装することができる。また、この場合において、一方の色が他方の色よりも淡い場合には、第1の部分には必ずしもマスク治具をセットする必要はない。即ち、柔軟な表皮1の全体に一方の色を塗装し、この塗装部分(即ち、表面全体)が乾燥したのち、第2の部分にマスク治具をセットして第1の部分に他方の色を塗装してもよい。さらに、表皮1に三色以上を塗装する場合にも、本発明を適用することができる。
【0046】
また、本実施形態では、スラッシュ成形又は真空成形によりインストルメントパネルの表皮1を形成している。上述のとおり、スラッシュ成形又は真空成形された表皮1に、本発明を適用して部分塗装する場合に大きな効果を発揮するが、これに限られるものではない。即ち、結果物としての表皮1が柔軟であれば、これらの工程によって形成された表皮1に限られない。
【0047】
また、本実施形態では、中空部10を有する保持モデル2の外表面2a全体に渡って多数の孔8を形成し、下壁2Aに取り付けられた吸引管11から中空部10内を吸引することによって表皮1の内表面1aと保持モデル2の外表面2aとを密着させている。しかし、これは一例であって、表皮1の形状を崩すことなく表皮1の内表面1aと保持モデル2の外表面2aとを密着させることができれば、この方法に限られるものではない。
【0048】
また、本実施形態では、吸引管11が保持モデル2の下壁2Aに取り付けられているが、中空部10内を吸引することができ、且つ表皮1に損傷を与えることがなければ、吸引含11が取り付けられる部位が下壁2Aに限定されるものではない。
【0049】
また、本実施形態では、第1のマスク治具6をL字型の形状、第2のマスク治具7を反L字型の形状としているが、形状はこれに限られるものではなく、表皮1の塗装されない部分の形状によって決定されるものである。
【0050】
また、本実施形態では、マスク治具6・7の角部6A・7Aの角度を表皮1の塗装されない部分4・5の角部4A・5Aの角度よりも小さくすることによって、マスク治具6・7が表皮1から脱落しないようにされているが、これに限られない。表皮1の表面を損傷させることなく、マスク治具6・7を表皮にセットすることができれば、その態様は限定されるものではない。
【0051】
また、本実施形態では、スプレー缶を用いて表皮1への塗装を行っているが、これに限られない。マスク治具がセットされた柔軟な表皮のうち、マスク治具がセットされていない部分にのみ塗装ができ、且つ見切り線9を確保することができれば、他の方法で表皮への塗装を行ってもよい。この場合であっても、塗装の仕上がりが優れた柔軟な表皮1を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】表皮が保持モデルに保持される態様を示した図である。
【図2】図1に図示される保持モデルのX−X線断面矢視図である。
【図3】塗装後のインストルメントパネルの表皮を示した図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インストルメントパネルの表皮
1a インストルメントパネルの表皮の内表面
2 保持モデル(形状保持部材)
2A 保持モデルの下壁
2a 保持モデルの外表面
3 塗装部
4 一方の塗装されない部分
4A 角部
5 他方の塗装されない部分
5A 角部
6 第1のマスク治具
6A 角部
6a マスク治具の表面
6b マスク治具の裏面
7 第2のマスク治具
7A 角部
7a マスク治具の表面
7b マスク治具の裏面
8 孔(吸引孔)
9 見切り線
10 中空部
11 吸引管
11a 吸引管の一端
11b 吸引管の他端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装部を有する表皮を備えるインストルメントパネルにおける前記表皮の塗装方法であって、
柔軟な表皮を形成するステップと、
該表皮を形状保持部材に密着させるステップと、
密着状態の表皮の塗装されない部分をマスク治具にて覆うステップと、
前記マスク治具で覆われた状態で塗装を行うステップと、を有することを特徴とする表皮の塗装方法。
【請求項2】
前記形状保持部材が、表皮形状と略同一の型であり、空気を吸引して表皮を密着させる吸引孔を表面に開口させた型である請求項1に記載の表皮の塗装方法。
【請求項3】
前記表皮は、スラッシュ成形又は真空成形されたものである請求項1又は2に記載の表皮の塗装方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−43485(P2006−43485A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203019(P2004−203019)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】