説明

芳香族および脂肪族化合物を分離するためのポリマー膜

本発明は、付随ポリマー(associating polymer)を含む高分子膜組成物に関する。ポリマー被覆は、硬質および軟質部分を有するものとして特徴付けられ、硬質部分は、TMPAを、HDPAと組み合わされて含む。膜は、多孔質基体を用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非有害化合物4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物「HPDA」)および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(「TMPA」)を用いる高分子膜組成物、高分子膜の製造方法、および原料ストリームの成分を、高分子膜を用いて分離するための方法に関する。より詳しくは、限定されることなく、本発明は、高分子膜組成物、並びに芳香族を、芳香族および脂肪族化合物を含む炭化水素原料ストリームから分離するためのプロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透、パーベーパレーション、およびパーストラクションなどの高分子膜ベースの分離プロセスは、伝統的なものである。パーベーパレーションプロセスにおいては、混合液体原料の所望原料成分(例えば、芳香族成分)は、優先的に、膜によって吸収される。膜は、片側で、液体原料の混合物からなるストリームに暴露され、減圧が、膜へ、反対側で付され、そのために、吸収された成分は、溶液−拡散メカニズムにより、膜を通って移動し、蒸気として膜の反対側から除去される。濃度勾配駆動力は、所望成分を、膜を通して、その原料または上流側から透過液または下流側へ選択的に進めるように確立される。
【0003】
パーストラクションプロセスは、液体ストリームを、別個の生成物に分離するように用いられる。このプロセスにおいては、ストリームを別個の生成物に分離するための駆動メカニズムは、膜を横切って働く濃度勾配によって与えられる。流体のある成分は、膜およびプロセス流体の両者の物理的および組成的特性のために、優先的に、膜を横切って移動し、膜の他方の側で、透過液として集められるであろう。プロセス流体の他の成分は、優先的に、膜を横切って移動せず、膜領域から残留液ストリームとして運び去られるであろう。パーストラクション分離の圧力メカニズムにより、透過液が、気相で抽出される必要はない。従って、減圧は、膜の下流ストリーム(透過液)側に、全く必要とされず、透過液は、膜の下流(透過液)側から、液相で現れる。典型的には、透過液は、膜から、掃引液により運び去られる。
【0004】
これらの分離を行うための経済的ベースは、この分離プロセスにより得られる二つの生成物(即ち、残留液および透過液)は、未分離原料ストリームの価値より大きな精製価値を有することである。膜技術ベースの分離は、これらの原料ストリームの生成物分離を行うのに、対費用効果がよいプロセス代替を提供することができる。蒸留および溶剤抽出などの従来の分離プロセスは、膜プロセス代替法と比較して、設備化および運転するのに高価であることができる。これらの従来ベースのプロセスは、設備化するのに、実質量の工業技術、機械設備、および建設コストを必要とすることができ、また付随施設を運転状態で維持するのに、高レベルの運転および保全の人件費を必要としてもよい。従って、殆どのこれらのプロセスは、異なる成分をプロセス工程において分離するのに、プロセスストリームを比較的高温度へ加熱することを必要とする。これは、低エネルギー膜分離プロセスによって一般に必要とされるより高いエネルギーコストをもたらす。
【0005】
膜分離技術を商業的に運転する際の主な障害は、膜技術の建設コストおよび分離効率を、例えば製油所規模の運転および車上分離プロセスにおいて、経済的に存立可能にするのに、現行膜系の透過流束および選択性特性を向上することである。
【0006】
無数の高分子膜組成物が、数年に亘って開発されている。これらの組成物には、ポリ尿素/ウレタン膜(特許文献1)、ポリウレタンイミド膜(特許文献2)、ポリエステルイミドコポリマー膜(特許文献3)、ポリイミド脂肪族ポリエステルコポリマー膜(特許文献4)、およびジエポキシオクタン架橋/エステル化ポリイミド/ポリアジペートコポリマー(ジエポキシオクタンPEI)膜(特許文献5)が含まれる。
【0007】
これらのコポリマー膜は、一般に、「軟質部分」および「硬質部分」からなる。これは、ポリマー鎖を膜内に形成する。ポリマーの軟質部分は、一般に、透過液を膜を通して選択拡散するのに活性な領域を提供する。しかし、膜のこれらの軟質部分は、構造的および熱的強度特性が限定される。従って、構造的強度を膜へ与えるのに、硬質部分ポリマー(例えば、二無水物およびジアミンの反応生成物)が、長鎖コポリマーを最終的な膜内に形成するのに適切な溶剤中で、軟質部分ポリマーへ加えられる。この最終的な膜は、好ましくは、互い違いの軟質および硬質ポリマー部分からなる。これらの硬質部分は、実質的な機械的および熱的安定性を膜へ与えるが、本質的には、プロセスストリーム成分に対して非透過性である。先行技術のこれらのコポリマーは、次いで、高温の「熱架橋」を経て、これらのコポリマー鎖間の分子結合が、最終的な膜組成物内で更に促進される。
【0008】
所定の高分子膜組成物については、所定の膜を横切る透過流束は、一般に、膜厚に逆比例する。従って、構成された膜の断面は、膜の選択性の利点を推し進め、一方膜の透過流束特性を最大化するために、通例、非常に薄い(約0.1〜約50ミクロン程度)。しかし、一定の原料組成およびプロセス条件で運転される膜については、特定の膜組成物の選択性は、実質的に、膜厚から独立であり、主に、膜の組成的特長に依存する。
【0009】
従って、膜プロセスの選択性を増大するために、向上された選択性特性を有する新規膜組成物が、発見されなければならない。膜の高い透過流束能力が望まれるものの、膜組成物の透過流束特性の不足は、活性な膜領域を増大するか、またはより薄い断面の膜の製作することによって、克服されることができる。類似の「機械的変数」は、一般に、膜組成物の固有の選択性性能を向上するのに用いられることができない。
【0010】
加えて、高分子膜を製作するのに本発明で用いられるいくつかの化合物は、潜在的に毒性であるか、または環境に対して有害であり、それにより、製造上の難題を有する。
【0011】
高分子膜を製作する際に有害成分を用いることはまた、出荷および取扱いコストの増大、同様に、設備化、運転および保全の人件費、並びにこれらの化合物の製造および取扱いに必要とされる環境保護装置のより高いコストのために、より高い製造コストをもたらす。従って、有害成分を用いるという潜在的な健康問題および潜在的な逆環境観点に加えて、また、先行技術の高分子膜の処理能力および耐久性を満足するか、またはそれを超えることができる膜を製作するために、新規非有害物質の発見、およびその使用に付随する工業的な経済上の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,914,064号明細書
【特許文献2】米国特許第4,929,358号明細書
【特許文献3】米国特許第4,946,594号明細書
【特許文献4】米国特許第4,990,275号明細書
【特許文献5】米国特許第5,550,199号明細書
【特許文献6】米国特許出願第 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、固有の選択性特性を向上された新規膜組成物に対する工業的な必要性がある。また、非毒性、および最小の負の環境影響特性を有する物質を用いる新規膜組成物に対する別個の工業的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、非有害化合物HPDAおよびTMPAを用いる高分子膜組成物、高分子膜の製造方法、および原料ストリーム成分を高分子膜を用いて分離するためのプロセスに関する。より詳しくは、高分子膜は、芳香族を、芳香族および脂肪族炭化水素からなる炭化水素原料ストリームから選択分離するためのプロセスで用いられる。
【0015】
一実施形態においては、本発明は、炭化水素原料ストリームの成分を選択分離する際に効果的な高分子膜の組成物に関する。より詳しくは、本発明は、芳香族および非芳香族の両者を含む炭化水素ストリームから、芳香族を選択分離する際に効果的な高分子膜の組成物に関する。本発明は、先行技術に勝って向上された膜の物理的完全性および向上された分離特性を有する膜組成物をもたらす。他の重要な態様は、この新規高分子膜組成物は、非有害性分を用いることである。これは、先行技術で用いられる潜在的に有害なポリマー鎖−伸長化合物の必要性を排除する。
【0016】
実施形態においては、本発明は、ポリイミド硬質部分、および脂肪族ポリエステルを含む軟質部分からなる物質のコポリマー組成物に関する。ここで、ポリイミド硬質部分は、HPDAおよびTMPAからなる。
【0017】
好ましい実施形態においては、膜組成物の軟質部分は、脂肪族ポリエステルであり、ポリアジペート、ポリスクシネート、ポリマロネート、ポリオキサレート、およびポリグルタレートからなる群から選択される一種以上の化合物からなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の簡単な実施形態を示す。
【図2】硬質および軟質部分を有する本発明の膜系の簡単な実施形態を示す。
【図3】管状無機基体を用いる本発明を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で用いられる際、用語「炭化水素」は、主に炭化水素性を有する有機化合物を意味する。従って、一種以上の非炭化水素遊離基(例えば、硫黄または酸素)を含む有機化合物は、この定義の領域内にあろう。本明細書で用いられる際、用語「芳香族炭化水素」または「芳香族」は、少なくとも一つの芳香族環を含む炭化水素ベースの有機化合物を意味する。環は、縮合されるか、橋架されるか、またはこの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態においては、炭化水素原料から分離される芳香族種は、一つ以上の芳香族環を含む。用語「非芳香族炭化水素」または「非芳香族」、若しくは「飽和物」は、芳香族核を有しない炭化水素ベースの有機化合物を意味する。更に、本明細書で用いられる際、用語「熱架橋」は、硬化温度が典型的に約250超〜約400℃(482〜572°F)である膜硬化プロセスを意味する。これは、溶液の隣接高分子鎖の水素結合によって特徴付けられる。用語「化学架橋」は、化学硬化プロセスを意味する。これは、イミド化/エステル化を経て、溶液の隣接高分子鎖の化学結合の主反応によって特徴付けられる。それにより、三次元ポリマー網目が形成される。更に、本明細書で用いられる際、用語「選択性」は、(透過液中の所望成分/透過液中の非所望成分)比/(原料ストリーム中の所望成分/原料ストリーム中の非所望成分)比を意味する。また、用語「透過流束」または「標準化透過流束」は、膜を横切る透過液流の質量速度として、通常、Kg/m−日、Kg/m−時、Kg−μm/m−日、またはKg−μm/m−時の次元で定義される。更に、本明細書で用いられる際、用語「選択的」は、記載される部分が、原料ストリームの一種以上の特定成分を、他の原料ストリーム成分に関して、その部分を優先的に通過することを可能にする傾向を有することを意味する。用語「非芳香族」および「脂肪族」は、この明細書では、互換的に用いられる。「硬質部分」は、本明細書で用いられる際、ガラス転移温度約100℃超を有するポリマーの部分を意味する。「軟質部分」は、本明細書で用いられる際、(硬質部分に比較して)比較的より低いモジュラス/弾性的な部分であり、ガラス転移温度約100℃未満を有するポリマー部分を意味する。
【0020】
本発明は、脂肪族ポリエステルを含む「軟質」部分、およびジアミンおよび二無水物の組み合わせを含む「硬質」ポリイミド部分を有する高分子膜である。本発明の好ましい実施形態は、無水ジフタル酸4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(「HPDA」)、およびジアミン2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン(「TMPA」)を組み合わせて、原料ストリームの成分を分離するためのプロセスで有用なコポリマー膜を製造する。特に、芳香族を、芳香族および非芳香族の両者からなる炭化水素ストリームから選択分離するのに有用である。
【0021】
好ましい実施形態においては、本発明の膜は、硬質部分および軟質部分の複数ブロック構造を、より好ましくは交互する硬質−軟質−硬質−軟質の形態で含む。軟質部分は、一般に、脂肪族ポリエステル、より特定的にはポリアジペート、ポリスクシネート、ポリマロネート、ポリオキサレート、ポリグルタレート、またはそれらの組み合わせである。例証の軟質部分には、ポリエチレンアジペート(PEA)が含まれる。
【0022】
本発明の特に注目すべき態様は、膜の「硬質」部分である。本発明においては、硬質部分は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)無水ジフタル酸(「HPDA」)、および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(「TMPA」)を含むポリイミドを含む。用語「内容物」は、本明細書で用いられる際、硬質部分の相の成分を意味する。その機能性に関して特定の理論に束縛されるものではないものの、本発明の硬質部分は、膜の選択性および透過流束に影響を及ぼすことが、現在、理解されている。これは、膜の硬質相の全組成および容量分率を変更すること、および分子構造(即ち、膜の鎖充填およびその動特性)を変更することの両者による。それにより、得られる膜の構造は、あるサイズの原料分子の透過を促進し、一方より大きな分子の透過を阻害する。
【0023】
本発明の他の新規態様は、硬質/軟質部分膜を製造するためのプロセスである。本発明は、ポリアミド酸を前駆体として用いて、膜のポリイミドを形成する。これらのポリアミド酸は、最良には、付随ポリマー(associating polymer)として記載される。これは、更に、本明細書に記載される。
【0024】
付随機能は、膜ポリマーの沈積を実質的に促進することと理解される。本発明は、ポリアミド酸タイプの付随ポリマーを用いることに限定されないが、一般に付随ポリマー構造を用いることに限定される。コポリマーのこれらの種類には、例えば、水素結合相互作用(例えば、ポリアミド酸)、二極性相互作用、疎水性、およびイオン相互作用を有する機能性が含まれる。膜形成、性能、および有用性は、直接に、コポリマー構造を構成する構造成分に関連する。付随ポリマーは、個々のポリマー鎖の分子量より高い効果的な分子量を提供する。好ましい実施形態においては、付随ポリマーは、無水条件下で容易に形成されることができる。これは、典型的には、より高分子量の個々のポリマー鎖の形成を可能にする。より高分子量のポリマーは、緊密な、均一な、および薄いポリマー膜を製造するのに望ましい。本発明の他の態様は、ジアミン、二無水物、および二官能性軟質部分の種々の組み合わせが、コポリマー構造に組込まれて、幅広い種類の多元組成のポリアミド酸が形成されることができることである。これは、多孔質無機基体の表面上に被覆され、乾燥されて、化学的に硬化されることができる。本発明の他の態様は、多孔質無機基体(例えば、管状セラミックまたはモノリスなど)の内側および/または外側表面を、効果的かつ効率的に被覆する能力である。異なるポリイミド構造、または幅広い種類の別のコポリマー構造は、無機担体の内側および外側表面上に被覆されることができる。これらの方法によるアセンブリは、それ自体を、優れた品質制御を伴う高度な自動化製造に役立たせる。
【0025】
ポリマー合成の完了時には、ポリマーは、架橋剤(例えばジエポキシドなど)を用いることによって架橋される。一実施形態においては、架橋反応は、エステル結合に隣接するペンダントカルボン酸基の中で生じると理解される。これは、ポリイミド硬質部分およびポリエステル軟質部分の間に配置される。完全に理解されてはいないものの、これらの反応は、無機基体との表面におけるジエポキシドと水酸基との反応を含むと考えられる。
【0026】
本発明の他の態様は、変動する原料組成物に対して、膜の透過性および選択性を最適化するように調整された異なる膜組成物を用いて、異なる域を、膜の長さに沿ってもたらす能力である。これらの膜は、多数の用途で用いられることができる。その際、芳香族および脂肪族の効率的かつ効果的な分離は、例えば、自動車およびトラックの燃料の車上分離、製油所および他の下流運転、上流用途などに必要とされる。
【0027】
例証の合成方式を、ポリイミドコポリマーについて、次に記載する。
【化1】

【0028】
得られる膜組成物は、向上された選択性を有する。本発明はまた、先行技術の膜組成物における有害な鎖−伸長化合物の必要性を排除する。
【0029】
図1を参照すると、本発明のポリマー被覆多孔質基体膜系が示されている。本発明のすべての応用に必要されることはないが、多孔質基体が、物理的な支持体用に及び向上した膜の一体性のために使用され得る。基体10(ここでは、層12の下に配置されて示される)は、多孔質物質(例えば、テフロン(登録商標)など)を含む。基体10は、多孔質物質を含むものとして特徴付けられ、以下に記載される高分子膜の物理的担体として好適である。基体の多孔度は、分離に用いられる原料物質に基づいて選択される。即ち、基体の細孔サイズは、全膜系の透過液であると意図される物質の透過に、殆どまたは全く障害をもたらさないように選択される。適切な有機基体として、例えばテフロン(登録商標)が挙げられる。適切な無機基体には、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどが含まれる。好ましい実施形態においては、多孔質基体10は、シリカ、アルミナ、またはそれらの組み合わせなどの無機セラミック物質を含む。また、セラミック基体は、実質的に、炭化水素液体(例えば、ガソリン、ディーゼル、およびナフサなど)に透過性であることが好ましい。また、細孔サイズ分布は、構造が非対称であることが好ましい。例えば、より小さな細孔サイズの被覆が、より大きな細孔サイズの無機構造上に担持される。
【0030】
膜12は、ポリイミド「硬質」部分、および脂肪族ポリエステル(例えば、ポリアジペートなど)を含む軟質部分を有するコポリマー組成物を含む。より特定的には、「硬質」部分は、無水ジフタル酸4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(「HDPA」)およびジアミン2,3,5,6−テトラメチル−1,4フェニレン(「TMPA」)を含む。
【0031】
本発明は、膜軟質部分を形成するのに、ポリアジペートを用いることに限定されない。他の化合物もまた、本発明の膜組成物で用いられてもよい。これには、限定されることなく、ポリスクシネート、ポリマロネート、ポリオキサレート、およびポリグルタレートが含まれる。異なる軟質部分の物質が、所望の最終分離特性(例えば、透過流束および選択性)を得るのに、同様に独特のまたは優れた製造および処理特性を有してもよい組成物を得るのに用いられてもよい。また、異なる分子量濃度の混合物は、膜の最終プロセス特性を変更または向上するのに、製造プロセスで用いられてもよいことは、特記されるべきである。
【0032】
他の好ましい実施形態においては、膜組成物は、ポリイミド硬質部分および軟質部分からなる。これは、化学架橋されて、得られた膜の硬質および軟質部分のガラス転移温度(T)が向上される。本発明の好ましい実施形態においては、膜は、軟質部分のT212°F(100℃)未満を有する。好ましくは167°F(75℃)未満、より好ましくは−13°F(−25℃)未満である。他の実施形態においては、膜はまた、硬質部分のT212°F(100℃)超を有する。好ましくは248°F(120℃)超である。本明細書で言及される全てのガラス転移温度は、製作後に、およびいかなる外部原料または前処理媒体にも暴露される前に、溶剤を含まない膜(即ち、「膨潤していない」状態)から得られる測定値に基づく。
【0033】
更に他の好ましい実施形態においては、本発明の膜組成物は、ポリエチレンアジペート(PEA)(HPDAと反応されて、TMPAが添加されるプレポリマーが形成される)、およびジエポキシシクロ−オクタンなどの化学架橋化合物からなる。
【0034】
他のより好ましい実施形態においては、ポリエチレンアジペート(PEA)は、モル範囲約0.25〜約2.0で存在し、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン無水ジフタル酸)(HPDA)は、モル範囲約0.5〜約4.0で存在し、ジアミン(TMPA)は、モル範囲約0.25〜約2.0で存在し、化学架橋化合物は、モル範囲約0.5〜約4.0で存在する。より好ましくは、ポリエチレンアジペート(PEA)は、モル範囲約0.5〜約1.5で存在し、無水ジフタル酸(HPDA)は、モル範囲約1.0〜約3.0で存在し、ジアミン(TMDA)は、モル範囲約0.5〜約1.5で存在し、化学架橋化合物は、モル範囲約1.0〜約3.0で存在する。更により好ましくは、ポリエチレンアジペート(PEA)、無水ジフタル酸(HPDA)、ジアミン(TMDA)、および化学架橋剤は、それぞれ、実質的に、モル量1、2、1、および2で存在する。
【0035】
他の好ましい実施形態においては、化学架橋剤は、ジエポキシシクロオクタン、ジエポキシオクタン、1,3−ブタジエンジエポキシド、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、およびポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルから選択される。好ましくは、化学架橋剤は、ジエポキシシクロオクタン、ジエポキシオクタン、および1,3−ブタジエンジエポキシドから選択される。
【0036】
本発明の膜組成物および形態はまた、非担持および担持の両形態で用いられることができる。非担持膜形態の限定しない例には、膜をガラス平板上に形取り、引続いてそれを、化学架橋反応が完了した後に除去することが含まれる。担持膜形態の限定しない例には、膜を、次の物質から製作された担体物質上に形取ることが含まれる。限定されることなく、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(例えば、Teflon(登録商標))、芳香族ポリアミド繊維(例えば、Nomex(登録商標)およびKevlar(登録商標))、多孔質金属、焼結金属、多孔質セラミック、多孔質ポリエステル、多孔質ナイロン、活性炭繊維、ラテックス、シリコーン、シリコーンゴム、透過性(多孔質)ポリマー(ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびポリフェニレンオキシドを含む)、金属およびポリマー発泡体(開放気泡および独立気泡発泡体)、シリカ、多孔質ガラス、メッシュスクリーン、並びにそれらの組み合わせなどである。好ましくは、高分子膜担体は、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリアミド繊維、多孔質金属、焼結金属、多孔質セラミック、多孔質ポリエステル、多孔質ナイロン、活性炭繊維、ラテックス、シリコーン、シリコーンゴム、透過性(多孔質)ポリマー(ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびポリフェニレンオキシドを含む)、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0037】
本発明の膜組成物および形態は、膜を、いかなる加工可能なハウジング形態においても用いる分離プロセスで用いられることができる。限定されることなく、平板要素、ウェハ要素、渦巻き要素、多孔質モノリス、多孔質管、または中空繊維要素などである。
【0038】
本明細書に記載される膜組成物をこれらの担体上に組込むための担体形態、担体組成物、および方法について、別の好ましい形態は、同時出願され、「芳香族および脂肪族化合物を分離するためのポリマー被覆無機膜(Polymer−Coated Inorganic Membrane for Separating Aromatic and Aliphatic Compounds)」と題された、同時係属の特許文献6に、より完全に記載される。これは、本明細書に参照して含まれる。
【0039】
本明細書に記載される膜は、選択された成分または種を、液体原料、蒸気/液体原料、または凝縮蒸気原料から分離するのに有用である。本発明の結果としての膜は、パーストラクションおよびパーベーパレーションの両分離プロセスで用いられることができる。
【0040】
好ましい実施形態においては、透過液は、液体または蒸気掃引ストリームによって透過液域から除去される。透過液は、掃引ストリームに溶解し、掃引ストリーム流によって運び去られて、透過液が、透過液域中に蓄積することが防止される。
【0041】
膜分離は、膜性能が悪化するか、若しくは膜が物理的に損傷されるか、または化学的に変性(例えば、酸化)されるであろう温度未満の温度で、優先的に作動するであろう。炭化水素分離については、膜温度は、好ましくは約32°F〜約950°F(0〜510℃)、より好ましくは約75°F〜約500°F(24〜260℃)の範囲であろう。
【0042】
更に他の好ましい実施形態においては、残留液域の運転圧力範囲は、約大気圧〜約150psigである。透過液域の運転圧力範囲は、約大気圧〜約1.0mmHg(絶対圧)である。
【0043】
本発明の膜は、所望の種または成分を、原料ストリーム、好ましくは炭化水素原料ストリームから分離するのに有用である。
【0044】
好ましい実施形態においては、上記の膜組成物および形態は、芳香族を、芳香族および非芳香族を含む炭化水素原料ストリームから選択分離するのに用いられる。
【0045】
他の実施形態においては、上記の膜組成物および形態は、硫黄および窒素ヘテロ原子を、硫黄ヘテロ原子および窒素ヘテロ原子を含む炭化水素ストリームから、選択分離するのに用いられる。
【0046】
更に他の実施形態においては、炭化水素原料ストリームは、沸点範囲約80〜約450°F(27〜232℃)を有するナフサであり、芳香族および非芳香族炭化水素を含む。好ましい実施形態においては、芳香族炭化水素は、ナフサ原料ストリームから分離される。本明細書で用いられる際、用語「ナフサ」には、熱分解ナフサ、接触分解ナフサ、および直留ナフサが含まれる。流動接触分解プロセス(「FCC」)から得られるナフサは、その高い芳香族含有量から、特に好ましい。
【0047】
更に他の好ましい実施形態においては、パーベーパレーション条件下で、残留液域の運転圧力範囲は、好ましくは約大気圧〜約150psigであろう。透過液域の運転圧力範囲は、好ましくは約大気圧〜約1.0mmHg(絶対圧)であろう。
【0048】
図2は、本発明の「硬質」および「軟質」部分を示す。第一の、または「硬質部分」(22)は、ガラス転移温度約100℃超を有するものとして特徴付けられる。硬質部分(22)は、好ましくは、ポリマー構造に沿って交互方式で配置される。これは、図面に示される。硬質部分(22)は、ポリイミドを含む。より詳しくは、硬質部分は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)無水ジフタル酸(「HDPA」)および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(「TMPA」)を含むポリイミドである。
【0049】
「軟質部分」(24)は、ガラス転移温度約100℃未満を有するものとして特徴付けられる。軟質部分は、好ましくは、図に示されるように、交互する方式で分配される。軟質部分(24)は、一般に、脂肪族ポリエステルを含み、好ましくは硬質部分(22)より低いモジュラスを有する。適切な軟質部分(24)は、例えば、ポリアジペート、ポリスクシネート、ポリマロネート、ポリオキサレート、またはポリグルタレートを含む。いかなる特定の理論にもとらわれることを望むものではないが、「硬質部分」は、コポリマー膜の物理的一体性を改善し、また、基体の表面への化学的な架橋によって基体に対する接着性も改善すると考えられる。これは、化学架橋によって引き起こされる増大された剛性に起因すると考えられる。「軟質部分」の組成は、透過液の溶解性および拡散のレベルに勝ると考えられ、これが、本発明の膜の観察された高い選択性および透過流束の膜特性に帰結する。別様に言えば、原料は「軟質部分」を通って優先的に拡散する。従って、分離系は、軟質/硬質膜部分の量および/または位置を制御することによって、ある原料成分を優先的に透過するように調整されてもよい。
【0050】
次に示される例は、本発明の主題を例証する。
【実施例】
【0051】
実施例1−PEI−DECO−PEA2000
ジエポキシド架橋/エステル化ポリイミド−脂肪族ポリエステルコポリマーを、オリゴマー脂肪族ポリエステルジオール、無水物、ジアミン、およびジエポキシドから合成した。この「ベース」PEIコポリマーの合成および組成物を例証するために、ジエポキシシクロオクタン架橋/エステル化ポリイミド−ポリアジペートコポリマー(ジエポキシシクロオクタンポリエチレンイミド[PEI])膜を用いた。合成においては、ポリエチレンアジペート(PEA)ジオール(2000g/モル)5g(0.0025モル)を、ピロメリット酸二無水物(PMDA)1.08g(0.005モル)と反応させて、プレポリマーを、エンドキャップ工程(165℃/6.5時間)で製造した。ジメチルホルムアミド(DMF)25gを加えた。温度を70℃へ下げた。プレポリマーを、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶剤に溶解した。4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(MOCA)0.67g(0.0025モル)を、引続いて加えた(DMF5gに溶解される)。DMF溶液においては、プレポリマー1モルが、MOCA1モルと反応されて、ポリアミド酸硬質部分およびPEA軟質部分を含むコポリマーが、鎖−伸長工程で製造された。更なるDMF59.5gを加えた。引続いて、アセトン89.5gを加えて、ゲル化が防止された。溶液を、1.5時間70℃で撹拌し、次いで連続撹拌条件の下に、室温へ冷却した。ジエポキシシクロオクタン(DECO)(化学架橋剤)を、ジエポキシド/PEAモル比2で、コポリマー−DMF溶液へ加えた(0.7g)。コポリマー膜を、調製した。これは、溶液を、多孔質担体(例えば、0.2ミクロンの多孔質Gortex(登録商標)Teflon(登録商標))およびガラス平板上へ形取り(即ち膜被覆)し、厚さを、形取りナイフにより調節し、膜を、先ず、適切な温度(例えば、室温)で乾燥して、殆どの溶剤を除去(即ち、溶剤の蒸発)し、更に硬化(即ち、化学架橋:150℃で1.5時間)して、ジエポキシドとペンダントカルボン酸基とを反応させることによった。初期乾燥工程においては、DMFを、窒素ガスで掃気された箱内で、室温で約12時間かけて膜から蒸発した。硬化工程をまた、窒素ガスパージングを用いて完了した。得られた膜は、架橋/エステル化ポリイミド−ポリアジペートコポリマーである。硬化工程により、ポリアミドエステル硬質部分は、イミド閉環により、ポリイミド硬質部分へ転化される。
【0052】
PEA、PMDA、MOCA、およびジエポキシドを用いる合成(モル比1/2/1/2)においては、架橋反応は、エステル結合に隣接するペンダントカルボン酸基に生じる。これは、ポリイミド硬質部分およびポリエステル軟質部分の間に配置される。架橋の程度は、複数ブロック構造に組み込まれたジエポキシドの濃度を制御することによって、変えられることができる。このベース膜の性能を、表1に示す。
【0053】
実施例2―PHTI−DECO−PEA2000
実施例1に示される合成を、修正して、本発明の膜を製造した。
【0054】
ジエポキシド架橋/エステル化ポリイミド−脂肪族ポリエステルコポリマーを、オリゴマー脂肪族ポリエステルジオール、無水物、ジアミン、およびジエポキシド、またはそれらの混合物から合成した。ポリエチレンアジペート(PEA)ジオール(2000g/モル)5g(0.0025モル)を、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)無水ジフタル酸(HPDA)2.22g(0.005モル)と反応させて、プレポリマーを、エンドキャップ工程(165℃/7.0時間)で製造した。ジメチルホルムアミド(DMF)20gを加えた。温度を70℃へ下げた。プレポリマーを、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶剤に溶解した。2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(TMPA)0.41g(0.0025モル)を、引続いて加えた(DMF5gに溶解される)。DMF溶液においては、プレポリマー1モルが、MOCA1モルと反応して、ポリアミド酸硬質部分およびPEA軟質部分を含むコポリマーが、鎖−伸長工程で製造された。更なるDMF64.5gを加えた。加えられたDMFの全量は、89.5gであった。引続いて、アセトン89.5gを加えて、ゲル化が防止された。溶液を、1.5時間(70℃)かけて撹拌し、溶液を、連続撹拌条件下に室温へ冷却した。ジエポキシシクロオクタン(DECO)(化学架橋剤である)を、ジエポキシド/PEAモル比2で、コポリマー−DMF溶液へ加えた(0.7g)。新規コポリマー膜を、調製した。これは、溶液を、多孔質担体(例えば、0.2ミクロンの多孔質Gortex(登録商標)Teflon(登録商標))およびガラス平板上へ形取り(即ち膜被覆)し、厚さを、形取りナイフにより調節し、膜を、先ず、適切な温度(例えば、室温及び120℃で1時間)で乾燥して、殆どの溶剤を除去(即ち、溶剤の蒸発)し、更に硬化(即ち、化学架橋:150℃で1.5時間)して、ジエポキシドとペンダントカルボン酸基との反応を進行させることによった。初期乾燥工程においては、DMFを、窒素ガスで掃気された箱内で、室温で約12時間かけて膜から蒸発した。硬化工程をまた、窒素ガスパージングを用いて完了した。得られた膜は、架橋/エステル化ポリイミド−ポリアジペートコポリマーであった。硬化工程により、ポリアミドエステル硬質部分は、イミド閉環により、ポリイミド硬質部分へ転化された。
【0055】
PEA、HPDA、TMPA、およびジエポキシド架橋剤(DECO)を用いる合成(モル比1/2/1/2)においては、架橋反応は、エステル結合に隣接するペンダントカルボン酸基に生じる。これは、ポリイミド硬質部分およびポリエステル軟質部分の間に配置される。架橋の程度は、複数ブロック構造に組み込まれたジエポキシドの濃度を制御することによって、変えられることができる。この膜の性能を、表1に示す。
【0056】
実施例3
実施例1、2、および3で製造された膜を評価した。膜のポリマー被覆厚は、約10ミクロン〜約15ミクロンであった。直径4.7625cm(1−7/8インチ)の円板試験片を、評価のために、硬化されたシートから切取った。二枚の円板を、対面で置いて、膜厚を増大した。膜を、微細に仕上げた平板ステンレス鋼スクリーン上に支持し、テフロン(登録商標)O−リングを用いて膜ホルダーを密閉した。膜ホルダーを、恒温槽内で、所望温度で保持した。膜の有効領域は、評価された際に、9.5cmであった。膜試験片を、次の名目組成(wt)を有するモデルガソリン原料を用いて評価した。即ち、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)10%、n−ヘプタン40%、トルエン20%、n−オクタン10%、メシチレン10%、およびn−デカン10%である。原料を、所望温度へ予熱し、3.6リットル/時で膜上に流した。典型的な温度は、80〜140℃の範囲であった。減圧2mmHgを、膜の反対(スクリーン)側で保持した。透過液を、減圧下に、ドライアイスおよび液体窒素でそれぞれ直列で冷却されたトラップを用いて集めた。典型的な透過速度2g/時未満が、観察された。これは、原料に対して透過液0.06%未満に対応した。事実上、原料に対する示差収率である。
【0057】
表4は、モデル原料の芳香族および脂肪族成分を分離するに際して、これらの種々の膜を用いることの結果を明らかにする。原料は、60cc/分であり、膜領域は約9.5cmであり、温度は100℃であり、圧力(原料)は約262kPa(ガス)であり、減圧は2mmHgであった。データの検証により、PHTI膜の芳香族選択性特性の顕著な向上が示される。
【0058】
【表1】

【0059】
図3は、管状無機基体を用いる別の実施形態を示す。図面を参照すると、原料(31)が、シリカまたはアルミナを例えば含んでもよい多孔質無機基礎体(30)内の複数の通路(33)へ供給される。通路(33)の表面は、好ましい実施形態においては、多孔質無機物質を含んでもよく、その多孔度は、基体(30)の嵩多孔度と異なる。最も好ましくは、通路(33)の表面多孔度は、付随ポリマーの凝集体ポリマーサイズ未満か、またはそれにほぼ等しい。分解図3Aに示されるように、通路(33)は、表面領域(33A)を有する。これは、基体(30)の通路(33)の内側表面をウォッシュコートすることによって形成されてもよく、例えば、シリカトップコートが形成される。
【0060】
最適の表面領域(33A)を有する通路(33)は、付随ポリマー層(34)(実施例1に記載されるものなど)を用いて被覆されて、本発明の膜系が形成される。
【0061】
この例証の形態においては、膜系からの透過液は、(35)で示されるように、半径方向に抽出されてもよく、残留液は、(36)として、軸方向に出る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド膜硬質部分および脂肪族ポリエステル膜軟質部分を含み、前記ポリイミド膜硬質部分は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)無水ジフタル酸(HPDA)を含む少なくとも一種の無水物および1,4−フェニレンジアミン(TMPA)を含む少なくとも一種のジアミンからなることを特徴とするコポリマー膜。
【請求項2】
前記膜軟質部分は、ポリアジペート、ポリスクシネート、ポリマロネート、ポリオキサレートおよびポリグルタレートからなる群から選択される化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のコポリマー膜。
【請求項3】
前記膜軟質部分のガラス転移温度Tは、212゜F(100℃)未満であることを特徴とする請求項1に記載のコポリマー膜。
【請求項4】
前記膜軟質部分のガラス転移温度Tは、167゜F(75℃)未満であることを特徴とする請求項3に記載のコポリマー膜。
【請求項5】
前記膜軟質部分のガラス転移温度Tは、122゜F(50℃)未満であることを特徴とする請求項4に記載のコポリマー膜。
【請求項6】
前記コポリマー膜は、ジエポキシシクロオクタンを用いて架橋されたポリイミド−ポリアジペートコポリマーを含むことを特徴とする請求項3に記載のコポリマー膜。
【請求項7】
前記ポリアジペート、無水物(HPDA)、1,4−フェニレンジアミン(TMPA)および架橋剤は、それぞれ、モル比0.5〜1.5、1.0〜3.0、0.5〜1.5、および1.0〜3.0で存在することを特徴とする請求項1に記載のコポリマー膜。
【請求項8】
前記膜硬質部分のガラス転移温度Tは、212゜F(100℃)超であることを特徴とする請求項7に記載のコポリマー膜。
【請求項9】
前記膜硬質部分のガラス転移温度Tは、248゜F(120℃)超であることを特徴とする請求項8に記載のコポリマー膜。
【請求項10】
少なくとも1つの膜要素および少なくとも1つの担体物質を含むハウジングを含み、
前記膜要素は、ポリイミド硬質部分および軟質部分からなり、
前記ポリイミド硬質部分は二無水物並びにTMPAおよびHPDAからなり、
膜の前記軟質部分は脂肪族ポリエステルジオールからなる
ことを特徴とする膜アセンブリ。
【請求項11】
前記担体物質は、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリアミド繊維、多孔質金属、焼結金属、多孔質セラミック、多孔質ポリエステル、多孔質ナイロン、活性炭繊維、ラテックス、シリコーン、シリコーンゴム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、金属発泡体、ポリマー発泡体、シリカ、多孔質ガラス、メッシュスクリーンおよびそれらの組み合わせから選択される物質からなることを特徴とする請求項10に記載の高分子膜アセンブリ。
【請求項12】
前記膜要素および前記担体物質は、平板要素、ウェハ要素、渦巻き要素、多孔質モノリス、多孔質管および中空繊維要素から選択されるハウジング形態で含まれることを特徴とする請求項11に記載の高分子膜アセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの膜要素は、ジエポキシシクロオクタン、ジエポキシオクタン、1,3−ブタジエンジエポキシド、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルおよびポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルから選択される架橋剤からなることを特徴とする請求項12に記載の高分子膜アセンブリ。
【請求項14】
高分子膜を製造する方法であって、
a)ポリエチレンアジペートを無水物HPDAと反応させて、プレポリマーを形成する工程;
b)ジアミンTMPAを前記プレポリマーに加えて、第一の溶液を形成する工程;
c)架橋剤を前記第一の溶液に加えて、第二の溶液を形成する工程;
d)前記第二の溶液を適切な担体上へ組み込む工程;および
e)第二の溶液を硬化させて、膜を形成する工程
を含むことを特徴とする高分子膜の製造方法。
【請求項15】
前記ポリエチレンアジペート、無水物HPDAおよびジアミンTMPA、並びに架橋剤は、それぞれ、モル比0.25〜2.0、0.5〜4.0、0.25〜2.0および0.5〜4.0で存在することを特徴とする請求項14に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項16】
前記架橋剤は、ジエポキシシクロオクタン、ジエポキシオクタン、1,3−ブタジエンジエポキシド、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルおよびポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルから選択されることを特徴とする請求項15に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項17】
所望成分を、炭化水素原料ストリームから選択分離するプロセスであって、
a)炭化水素原料ストリームを、少なくとも1つの膜要素および少なくとも1つの担体物質を含むハウジングからなる高分子膜アセンブリの片側と接触させる工程であって、
前記膜要素は、ポリイミド硬質部分および軟質部分からなり、
前記ポリイミド硬質部分は、無水物HPDAおよびジアミンTMPAからなる工程;および
b)透過液を、前記高分子膜アセンブリの反対側から回収する工程であって、前記透過液のストリーム中の前記所望成分のwt%による濃度は、前記炭化水素原料ストリーム中の前記所望成分のwt%による濃度より高い工程
を含むことを特徴とする所望成分の選択分離プロセス。
【請求項18】
前記所望成分は、芳香族化合物であることを特徴とする請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記所望成分は、硫黄ヘテロ原子であることを特徴とする請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記担体物質は、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリアミド繊維、多孔質金属、焼結金属、多孔質セラミック、多孔質ポリエステル、多孔質ナイロン、活性炭繊維、ラテックス、シリコーン、シリコーンゴム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホンおよびポリフェニレンオキシド、金属発泡体、ポリマー発泡体、シリカ、多孔質ガラス、メッシュスクリーン並びにそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
前記膜要素および前記担体物質は、平板要素、ウェハ要素、渦巻き要素、多孔質モノリス、多孔質管および中空繊維要素から選択されるハウジング形態で含まれることを特徴とする請求項20に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500448(P2010−500448A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523816(P2009−523816)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/017511
【国際公開番号】WO2008/021063
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】