説明

芳香族化合物の製造方法

【課題】芳香族環の、隣接位置に、含窒素複素環とアルケニル基とを有する化合物の製造方法であって、アルケニル化剤として、ハロゲンを含まないオレフィン化合物を用いる新規な製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)


(式中、Ar1環は、芳香族炭化水素環等を表し、Ar2環は、X1及びN*を含む複素環を表し、該X1は、窒素原子または炭素原子を表し、該N*は、Ar2環内の隣接する2つの原子のいずれか一方と二重結合で結合している窒素原子を表す。
該Ar1環および/または該Ar2環は、アルキル基、アルコキシ基等を有していてもよい)
で示される化合物と式(2)


(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素原子、アルキル基等を表す。)
で示されるオレフィン化合物とを、遷移金属錯体の存在下で反応させる下式(3)


(式中、Ar1、Ar2、X1、N*、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物は、電子材料、医薬、農薬、工業薬品などの製造原料として有用であり、その新しい製造方法の開発が望まれている。
そして、ベンゼン環の隣接位置に、含窒素複素環である2−ピリジル基と、アルケニル基とを有する芳香族化合物の製造方法として、ベンゼン環上に2−ピリジル基を有する化合物と、アルケニル化剤としての臭素化オレフィン化合物とをルテニウム錯体の存在下反応させる以下のような方法が報告されている(非特許文献1)。
【0003】

【0004】
【非特許文献1】organic letters 2001 Vol.3, No.16 2579−2581
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法は、アルケニル化剤として臭素化物を用いる点等でエコロジー的に満足し得るものではなく、この点の改良された製造方法が求められていた。
本発明の目的は、芳香族環の、隣接位置に、含窒素複素環とアルケニル基とを有する化合物の製造方法であって、アルケニル化剤として、ハロゲンを含まないオレフィン化合物を用いる新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
下式(1)

(式中、Ar1環は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、Ar2環は、X1及びN*を含む複素環を表し、該X1は、窒素原子または炭素原子を表し、該N*は、環構造内の隣接する2つの原子のいずれか一方と二重結合で結合している窒素原子を表す。
該Ar1環および/または該Ar2環は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基および炭素数6〜10のアリールオキシ基から選ばれる基を有していてもよい。また、該Ar1環と該Ar2環が直接または2価の基を介してさらに結合することもできる。)
で示される化合物と式(2)

(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基を表す。)
で示されるオレフィン化合物とを、遷移金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする下式(3)

(式中、Ar1、Ar2、X1、N*、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族化合物の製造方法を提供するものである。
【0007】
また本発明は、式(1’)

(式中、Ar1’環は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、Ar2環、X1及びN*は前記と同じ意味を表し、
該Ar1’環および/または該Ar2環は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基および炭素数6〜10のアリールオキシ基から選ばれる基を有していてもよく、また、該Ar1’環と該Ar2環が直接または2価の基を介してさらに結合することもできる。)

で示される化合物と前記式(2)
で示されるオレフィン化合物とを、遷移金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする下式(4)

(式中、Ar1’、Ar2、X1、N*、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族化合物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によれば、 芳香族環の、隣接位置に、含窒素複素環とアルケニル基とを有する化合物を、アルケニル化剤として、ハロゲンを含まないオレフィン化合物を用いて製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
式(1)で示される芳香族化合物におけるAr1環は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。Ar1環はAr2環との結合のα位の炭素原子の1つまたは2つに該炭素原子に結合した水素原子を有する。
Ar1環がα位の炭素原子の2つに該炭素原子に結合した水素原子を有する上記式(1’)で示される化合物を用いてアルケニル化を行う場合、生成物として、前記式(2)のオレフィン化合物由来のアルケニル基を2個有する上記式(4)の化合物を製造できる。
また、前記式(2)で示されるオレフィン化合物の由来のアルケニル基を1個有する下記式(3’)の化合物を得ることもできる。



Ar1環およびAr1’環における芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられ、芳香族複素環としては、フラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、フェナジン環などが挙げられる。
【0010】
また、Ar2環は、X1及びN*を含む複素環を表し、該X1は、窒素原子または炭素原子を表し、該N*は、Ar2環内の隣接する2つの原子のいずれか一方と二重結合で結合している窒素原子を表す。
Ar2環の例としてはたとえば、イミダゾール環、ピラゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、フェナジン環等の芳香族複素環、オキサゾリン環、チアゾリン環、ピラゾリン環等の非芳香族複素環が挙げられる。
【0011】
また、該Ar1環またはAr1’環と該Ar2環が直接または2価の基を介してさらに結合することもできる。ここに2価の基としては、−CRxRw−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NRx−、−SiRxRw−、−PRx−、−P(=O)Rx−、−BRx−、−(CRxRw)2−、−CRxRw−O−、−CRxRw−S−、−CRxRw−NRx−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−(CRxRw)3−、−(CRxRw)4−、−CRx=N−、−(CRx=CRw)−、フェニレン、ナフチレンなどがあげられる。
該Ar1環と該Ar2環とが結合して形成される縮合環としては、例えば、ベンゾ[h][1,6]ナフチリジン、チエノ[2,3−h]キノリン、フロ[2,3−h]キノリン、7H−ピロロ[2,3−h]キノリン、3H−9−アザ−シクロペンタ[a]ナフタレン、7H−ピロロ[3,4−h]キノリンなどがあげられる。
ここでRx、Rwはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基を表す。
【0012】
該Ar1環、Ar1’環および/または該Ar2環は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、および炭素数6〜10のアリールオキシ基から選ばれる基を有していてもよい。
【0013】
ここに、炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、これらアルキル基の水素はフッ素などのハロゲンで置換されていてもよく、例えばトリフルオロメチルが挙げられる。
【0014】
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、などが挙げられる。
【0015】
炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニルなどが挙げられる。
【0016】
炭素数6〜18のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ、フェナントリルオキシ、ピレニルオキシなどが挙げられる。
【0017】
上記式(1)または式(1’)で示される化合物の具体例としては、2−フェニルピリジン、2−o−トリルピリジン、2−o−トリル−3−メチルピリジン、2−o−トリル−4−メチルピリジン、7,8−ベンゾキノリン、2−(2−メトキシフェニル)−ピリジン、2−(3−メトキシフェニル)−ピリジン、2−(3−メチルフェニル)−ピリジン、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−ピリジン、2−o−トリル−4,4−ジメチルオキサゾリン、3−フェニル−2−N−メチル−1,2,4,5−テトラゾール、2−フェニル−1−N−メチルイミダゾール、1−N−フェニルピラゾール、2−メチル−4−フェニルチアゾール、2−(3−チエニル)−ピリジン、2−(3−フリル)−ピリジン、2−(3−ピロリル)−ピリジン、などが挙げられる。
【0018】
本発明に用いる前記式(2)で示されるオレフィン化合物のR1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基を表す。
【0019】
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0020】
炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニルなどが挙げられる。
【0021】
式(2)で示されるオレフィン化合物の具体例としては、酢酸ビニルエステル、ピバル酸ビニルエステル、絡酸ビニルエステル、安息香酸ビニルエステル、β−アセチルオキシスチレンなどが挙げられる。
【0022】
式(2)で示されるオレフィン化合物の使用量は、もう一方の原料である式(1)または式(1’)で示される化合物1モルに対して通常0.5モル以上用い、1.0モル以上が好ましく、1.5モル以上が好ましい。オレフィン化合物の使用量の上限は通常15モル以下が好ましく、8モル以下がより好ましい。
反応温度は、−50℃〜300℃の範囲で反応を行うのがよい。反応時間は0.5時間〜200時間の範囲で反応させることが好ましい。
【0023】
生成物として得られる式(3)または(3’)で示される化合物の具体例としては、2−(2−ビニルフェニル)ピリジン、2−(2−ビニル−6−メチルフェニル)ピリジン、2−(2−ビニル−6−メチルフェニル)−3−メチルピリジン、2−(2−ビニル−6−メチルフェニル)−4−メチルピリジン、10−(β−スチリル)ベンゾ[h]キノリン、2−(2−メトキシ−6−ビニルフェニル)−ピリジン、2−(3−メトキシ−6−ビニルフェニル)−ピリジン、2−(3−メチル−6−ビニルフェニル)−ピリジン、2−(3−トリフルオロメチル−6−ビニルフェニル)−ピリジン、2−(2−ビニル−6−メチルフェニル)−4,4−ジメチルオキサゾリン、3−(2−スチリルフェニル)−2−N−メチル−1,2,4,5−テトラゾール、2−(2−ビニルフェニル)−1−N−メチルイミダゾール、1−N−(2−ビニルフェニル)ピラゾール、2−メチル−4−(2−ビニルフェニル)チアゾール、2−(2−ビニルチオフェン−3−イル)−ピリジン、2−(2−スチリル−チオフェン−3−イル)−ピリジン、2−(2−ビニルフラン−3−イル)−ピリジン、2−(2−ビニルピロール−3−イル)−ピリジン、などが挙げられる。
【0024】
上記式(4)で示される化合物の例として、2−(2,6−ジビニルフェニル)ピリジン、1−(2,6−ジスチリルフェニル)−1H−ピラゾール、2−(2,6−ジスチリルフェニル)−ピリジンなどが挙げられる。
【0025】
反応条件としては、式(2)で示されるオレフィン化合物の使用量を、もう一方の原料である式(1)で示される化合物1モルに対して、0.5モル〜8モルの条件で反応させることが好ましく、反応温度は50℃〜130℃の条件で反応させることが好ましい。また、反応時間は0.5時間〜200時間が好ましい。
上述のように、原料として式(1’)で示される化合物を用いた場合、その構造および原料として用いる式(2)で示される化合物の構造(立体的な構造、電子吸引基などを有することによる電子的な構造)にもよるが通常上記式(3’)の化合物と、上記式(4)の化合物の両方が生成し得る。
【0026】
一般に上記式(3’)の化合物の生成の選択性を高めるためには、式(2)で示されるオレフィン化合物の使用量を、もう一方の原料である式(1’)で示される化合物1モルに対して、0.5モル〜4モルが好ましく、より好ましくは0.5モル以上3モル以下の条件で反応させることが好ましい。
【0027】
上記式(4)の化合物の生成の選択性を高めるためには、式(2)で示される化合物の使用量を、もう一方の原料である式(1’)で示される化合物1モルに対して、4モルを超える量、より好ましくは5モル以上8モル以下の条件で反応させるのが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法に用いられる遷移金属錯体は、好ましくは、ルテニウム錯体、ロジウム錯体から選ばれる少なくとも1種であり、例えば、Ru3(CO)12(ルテニウムカルボニル)、Rh4(CO)12(テトラロジウムドデカカルボニル)、RhCl(PPh33(クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I))、[RhCl(coe)22(クロロビス(シクロオクテン)ロジウム(II)ダイマー)、Ru(cod)(cot)((シクロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム)、Ru(CO)3(PPh32(トリカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム)、などが挙げられる。好ましくは、Ru(cod)(cot)、[RhCl(coe)22、Rh4(CO)12が用いられ、この中でも特に、Ru(cod)(cot)が好ましい。
【0029】
これらの錯体の使用量は、原料である式(1)で示される芳香族化合物に対して、0.01モル%以上50モル%以下程度用いられ、好ましくは1.0モル%以上20モル%以下程度用いられ、さらに好ましくは、3モル%以上15モル%以下用いられる。
【0030】
本発明の製造方法は、溶媒存在下で行うことが好ましい。この場合用いられる溶媒としては、特に限定されずこの反応に不活性な溶媒を用いて行なうことができるが、例えば、トルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、NMP(1−メチルー2−ピロリジノン)、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、イソプロパノール、アセトニトリル、ピナコロン、などが挙げられる。好ましくは、トルエン、NMP、ジオキサンが挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(1)で示される化合物の重量に対して、1倍量以上100倍量以下用いられる。好ましくは、2倍量以上30倍量以下用いられる。
【0031】
通常この反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行なう。
反応時間は特に限定されないが、例えば、原料の一方が、無くなった時を終点とすることや、生成物の量が最大量で一定に達した時などを終点とすることができる。
反応は、通常、0.5時間から200時間以内で終了する。
反応温度は、通常、−50℃〜300℃程度、好ましくは50℃〜130℃程度の範囲である。
【0032】
この反応に、トリフェニルホスフィン、トリ2−フリルホスフィン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンなどホスフィン類やノルボルナジエンやフタル酸ジメチルエステルなどオレフィン類を添加して行なうこともできる。
【0033】
この反応に、例えば、炭酸カリウム、カリウム tert−ブトキサイド、炭酸セシウム、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、酢酸ナトリウム、ピリジンなどの塩基類を添加して行なうこともできる。
【0034】
この反応に、例えば、安息香酸、ギ酸、酢酸などプロトン源を添加してもよい。
【0035】
この合成反応に用いる反応容器は、乾燥させていなくても、乾燥させてもよく、好ましくは、乾燥させた容器を用いて反応を行う。操作としては、窒素やアルゴンなどの不活性ガスで反応装置全体を置換する。この容器に遷移金属錯体、式(1)で示される化合物、式(2)で示されるオレフィン化合物及び必要に応じ溶媒を投入し攪拌混合する。この混合物を必要に応じ加熱還流し攪拌して反応させる。
【0036】
反応終了後は、例えば、得られた反応混合物をそのまま濃縮するか、該反応混
合物を水中に投入し、トルエン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどの有機溶媒を用いて抽出処理し、得られた有機層を濃縮することにより、目的とする式(3)で示される芳香族化合物を得ることができる。必要によりカラムクロマトグラフィー、抽出、再結晶および蒸留などにより精製することができる。
【0037】
本発明の芳香族化合物の一つは、前記式(3)および(4)においてAr1環またはAr1’環が環構造内にヘテロ原子を含む芳香族複素環である芳香族化合物であり、環構造内に1から3個のヘテロ原子を含む芳香族複素環が好ましい。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄等が挙げられる。
該芳香族複素環としては、具体的には、フラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、フェナジン環などがあげられ、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環等が好ましい。
本発明の芳香族化合物の具体例としては、2−(2−ビニルチオフェン−3−イル)−ピリジン、2−(2−スチリル−チオフェン−3−イル)−ピリジン、2−(2−ビニルフラン−3−イル)−ピリジン、2−(2−ビニルピロール−3−イル)−ピリジン、2−(3−ビニルピラジン−2−イル)−ピリジン、2−(5−ビニルチアゾール−4−イル)−ピリジン、2−(5−ビニルオキサゾール−4−イル)−ピリジン、2−(5−ビニル[1,2,4]トリアジン−6−イル)−ピリジンなどがあげられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれによって
限定されるものではない。
【0039】
実施例1
2−[2−メチル−6−(2−メチル−プロペニル)−フェニル]−ピリジンの製造


4 mL 耐圧スクリューバイアルにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、加熱乾燥した後、反応装置にN2ガスを数分フローさせ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、窒素気流下で、反応容器に、Ru(cod)(cot)錯体(0.1 mmol, 31.6 mg)、トリスフリルホスフィン(0.1mmol, 23.2mg)、2−o−トリルピリジン(1 mmol, 169mg)酢酸2−メチルプロペニルエステル(3 mmol, 342.4mg)、トルエン(1 mL)を加え、密閉した。オイルバスで100 °Cに加熱し、24時間反応させた。50時間後反応溶液を室温まで放冷後、内部標準を加え、ガスクロマトグラフィーにより生成物の定量を行った。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 8:1:0.1; 25 mL each)で行った。
収率86%で目的物2−[2−メチル−6−(2−メチル−プロペニル)−フェニル]−ピリジンを得た。
IR (neat) 3058 m, 2969 m, 2856 m, 1654 w, 1587 s, 1563 m, 1459 s, 1421 m, 1376 m, 1280 w, 1182 w, 1147 w, 1091 w, 1064 w, 1025 w, 987 w, 892 m, 840 m, 775 m, 752 s, 649 m, 622 m, 472 s, 441 s, cm-1

1H NMR (CDCl3) δ 1.658 (d, J = 1.4 Hz, 3H, CH3), 1.719 (dt, J = 1.4 Hz, 3H, CH3), 2.083 (s, 3H, CH3), 5.802 (s, 1H, CH), 7.11−7.28 (m, 5H, ArH), 7.700 (td, J = 7.6 Hz, 1.9 Hz, 1H, ArH), 8.692 (dd, J = 4.9 Hz, 1.9 Hz, 1H, ArH);

13C NMR (CDCl3) δ 19.41, 20.21, 26.09, 121.42, 124.33, 125.18, 127.23, 127.37, 128.12, 134.93, 135.76, 135.91, 137.15, 139.81, 149.19, 159.64;

MS m/z (% relative intensity) 223 (M+, 5), 209 (17), 208 (100), 90 (10), 51 (10)

Elemental Analysis Anal. Calcd for C1617N: C, 86.05; H, 7.67; N, 6.27%. Found: C, 85.93; H, 7.38; N, 6.38%.
【0040】
実施例2
1−(2−スチリルフェニル)−1H−ピラゾールの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8mg)、1−フェニル−1H−ピラゾール(1 mmol, 144.2 mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。50時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率56%で目的物1−(2−スチリルフェニル)−1H−ピラゾールを得た。
IR (neat) 3027 m, 1598 w, 1573 w, 1515 s, 1496 s, 1461 s, 1415 w, 1394 s, 1328 m, 1191 w, 1095 w, 1045 m, 1020 w, 964 m, 937 m, 755 s, 728 m, 692 s, 622 w, 551 w, 522 m, cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 6.470 (s, 1H, ArH), 6.937 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 7.056 (d, J = 16.5 Hz, 1H) , 7.26−7.46 (m, 8H, ArH), 7.655 (d, J = 2.2 Hz, 1H, ArH), 7.75−7.78 (m, 2H, ArH);
13C NMR (CDCl3) δ 106.52, 123.77, 126.20, 126.44, 126.58, 127.83, 128.01, 128.28, 128.53, 131.09, 131.42, 132.84, 136.84, 138.60, 140.62;
MS m/z (% relative intensity) 246 (M+, 35), 245 (41), 218 (12), 217 (14), 170 (11), 169 (100), 168 (13), 89 (11), 77 (10), 76 (13), 51 (14)
Elemental Analysis Anal. Calcd for C17142: C, 82.90; H, 5.73; N, 11.37%. Found: C, 82.70; H, 5.67; N, 11.27%.
この反応条件では、2個スチリル基が付加反応した1−(2,6−ジスチリルフェニル)−1H−ピラゾールも収率15%で得られた。
IR (KBr) 3133 m, 3079 w, 3043 m, 1625 m, 1581 m, 1511 m, 1492 m, 1461 s, 1415 m, 1390 m, 1328 m, 1213 m, 1072 m, 1054 m, 1022 m, 962 s, 941 m, 854 w, 796 s, 775 s, 736 s, 690 s, 624 w, 553 w, 526 m, 505 m, cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 6.492 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 6.538 (d, J = 2.2 Hz, 1H, ArH), 7.023 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 7.21−7.31 (m, 10H, ArH), 7.481 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.555 (d, J = 1.9 Hz, 1H, ArH), 7.710 (d, J = 7.8 Hz, 2H, ArH), 7.866 (d, J = 1.6 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 106.47, 123.08, 124.73, 126.69, 12796, 128.61, 129.36, 131.53, 132.93, 136.18, 136.60, 136.90, 140.67;
MS m/z (% relative intensity) 349 (22), 348 (M+, 98), 347 (100), 272 (19), 271 (84), 268 (10), 254 (12), 241 (13), 193 (13), 165 (10), 152 (11) , 135 (24), 134 (10), 115 (10), 77 (17) , 51 (15)
Elemental Analysis Anal. Calcd for C25202: C, 86.17; H, 5.79; N, 8.04%. Found: C, 85.93; H, 5.72; N, 8.03%.
【0041】
実施例3
2−(2,6−ジスチリルフェニル)−ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−フェニルピリジン(1 mmol, 155.2mg)、酢酸スチリルエステル(5mmol, 811.0 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で72時間反応させた。72時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加え塩基性にし、反応混合物をsilica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 8:1:0.1; 25 mL each)で精製した。収率93%で目的物2−(2,6−ジスチリルフェニル)−ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 6.752 (d, J = 16.2 Hz, 2H, VinylH), 6.984 (d, J = 16.2 Hz, 2H, VinylH), 7.15−7.36 (m, 12H, ArH), 7.432 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.696 (d, J = 7.8 Hz, 2H, ArH), 7.761 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 8.800 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH)

13C NMR (CDCl3) δ 122.02, 124.71, 126.28, 126.39, 126.92, 127.40, 128.40, 129.96, 135.93, 136.39, 137.25, 138.46, 149.40, 157.96

MS m/z (% relative intensity) 360 (12), 359 (M+, 37), 357 (11), 283 (21), 282 (100), 267 (11), 204 (24), 191 (12), 140 (78), 133 (15), 58 (15), 51 (12)
【0042】
実施例4
2−(2−スチリルフェニル)−ピリジンの製造



10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−フェニルピリジン(1 mmol, 155.2 mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で32時間反応させた。32時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。収率69%で目的物2−(2−スチリルフェニル)−ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) 7.061 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.20−7.47 (m, 10H, VinylH, ArH), 7.563 (d, J = 7.0 Hz, 1H, ArH), 7.72−7.78 (m, 2H, ArH), 8.753 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH);

13C NMR (CDCl3) δ 121.66, 124.86, 126.01, 126.36, 127.26, 127.31, 127.46, 128.37, 128.44, 129.82, 129.98, 135.42, 135.82, 137.27, 139.22, 149.21, 158.48;

; MS m/z (% relative intensity) 257 (M+, 10), 181 (14), 180 (100), 152 (10), 127 (23), 51 (13)
【0043】
実施例5
2−(5−メチル−2−スチリル−フェニル)−ピリジンの製造




10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−m−トリルピリジン(1 mmol, 169.2 mg)、酢酸スチリルエステル(3mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。50時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率98%で目的物2−(5−メチル−2−スチリル−フェニル)−ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.415 (s, 3H, CH3), 7.017 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.21−7.46 (m, 10H, ArH, VinylH), 7.663 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.731 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 8.749 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH);
MS m/z (% relative intensity) 271 (M+, 11), 195 (14), 194 (100), 127 (24)
【0044】
実施例6
2−(2−メチル−6−スチリル−フェニル)−ピリジンの製造



4 mL 耐圧スクリューバイアルにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、加熱乾燥した後、反応装置にN2ガスを数分フローさせ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、窒素気流下で、反応容器に、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.08 mg)、2−o−トリルピリジン(1 mmol, 169 mg)、酢酸スチリルエステル(3mmol, 486.6 mg)、ジオキサン(1.0 mL)を加え、密閉した。オイルバスで100 °Cに加熱し、40時間反応させた。40時間後反応溶液を室温まで放冷後、内部標準を加え、ガスクロマトグラフィーにより生成物の定量を行った。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 8:1:0.1; 25 mL each)で行った。
収率97%で目的物2−(2−メチル−6−スチリル−フェニル)−ピリジンを得た。

IR (neat) 3056 s, 3027 s, 2923 m, 1585 s, 1563 s, 1494 s, 1455 s, 1423 s, 1378 w, 1326 w, 1278 m, 1224 m, 1149 m, 1091 w, 1052 m, 1025 s, 985 m, 962 s, 782 s, 742 s, 692 s, 649 w, 620 m, 553 m, 522 m, cm-1

1H NMR (CDCl3) δ 2.097 (s, 3H, CH3), 6.690 (d, J = 16.5 Hz, 1H, VinylH), 6.945 (d, J = 16.5 Hz, 1H, VinylH), 7.14−7.35 (m, 9H, ArH), 7.607 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.770 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 8.761 (d, J = 4.9 Hz, 1H, ArH)

13C NMR (CDCl3) δ 20.26, 121.68, 122.77, 125.24, 126.23, 127.02, 127.18, 127.96, 128.27, 129.19, 129.52, 135.73, 135.95, 136.15, 137.26, 149.31, 158.71

MS m/z (% relative intensity) 272 (10), 271 (M+, 47), 270 (15), 195 (16), 194 (100), 127 (15), 51 (18)
【0045】
実施例7
4,4−ジメチル−2−(2−メチル−6−スチリル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾールの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、4,4−ジメチル−2−(2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール(1 mmol, 189.3 mg)、酢酸スチリルエステル(3mmol, 486.6 mg)、2,6−ルチジン(2 mmol, 214.3mg)、トルエン(1.0 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で40時間反応させた。40時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率69%で目的物4,4−ジメチル−2−(2−メチル−6−スチリル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾールを得た。

IR (KBr) 3064 m, 2967 s, 2925 m, 2869 m, 1656 s, 1592 m, 1494 m, 1461 s, 1359 m, 1292 s, 1211 m, 1187 m, 1103 m, 1043 s, 958 s, 919 m, 869 w, 821 w, 781 m, 742 s, 709 s, 692 m, 619 w, 557 w, 512 w, 491 w, cm-1

1H NMR (CDCl3) δ 1.469 (s, 6H, CH3), 2.368 (s, 3H, CH3), 4.410 (s, 2H, CH2), 7.037 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.115 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.24−7.37 (m, 5H, ArH, VinylH), 7.44−7.47 (m, 2H, ArH), 7.530 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH)

13C NMR (CDCl3) δ 19.66, 28.64, 68.18, 79.01, 122.59, 125.95, 126.43, 127.55, 128.55, 128.94, 129.42, 130.50, 136.56, 137.17, 137.31, 161.57

MS m/z (% relative intensity) 291 (M+, 6), 215 (16), 214 (100), 142 (12), 55 (24)
【0046】
実施例8
2−(2−スチリル−チオフェン−3−イル)−ピリジンの製造



10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−(チオフェン−3−イル)−ピリジン(1 mmol, 161.2 mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。50時間後反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 170−250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率89%で目的物2−(2−スチリル−チオフェン−3−イル)−ピリジンを得た。

1H NMR (CDCl3) δ 7.066 (d, J = 16.5 Hz, 1H, VinylH), 7.19−7.60 (m, 10H, ArH, VinylH), 7.736 (td, J = 7.6 Hz, J = 1.9. Hz, 1H, ArH), 8.693 (d, J = 4.9 Hz, 1H, ArH)

MS m/z (% relative intensity) 263 (M+, 8), 187 (12), 186 (100), 51 (13)
【0047】
実施例9
4−(2,6−ジスチリルフェニル)−2−メチルチアゾールの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−メチル−4−フェニルチアゾール(1 mmol, 175.2 mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 10 : 1 : 0.1; 10 mL each)で行った。
収率60%で目的の生成物4−(2,6−ジスチリルフェニル)−2−メチルチアゾールを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.835 (s, 3H, CH3), 6.906 (d, J = 16.2 Hz, 2H, VinylH), 7.005 (d, J = 16.4 Hz, 2H, VinylH), 7.051 (s, 1H, ArH), 7.18−7.36 (m, 10H, ArH), 7.417 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.680 (d, J = 7.8 Hz, 2H, ArH);
13C NMR (CDCl3) δ 19.33, 118.35, 124.50, 126.33, 127.19, 127.28, 128.34, 129.70, 133.01, 137.29, 137.50, 151.72, 164.93;
IR (KBr) 3052 m, 3025 m, 1594 m, 1569 m, 1490 s, 1444 s, 1326 w, 1282 m, 1191 m, 1162 s, 1072 w, 1051 w, 958 s, 844 w, 788 s, 736 s, 690 s, 649 m, 551 w, 532 m, 501 m, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 380 (10), 379 (M+, 32), 302 (26), 289 (27), 288 (100), 243 (10), 242 (10), 150 (29), 59 (24)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C2621NS: C, 82.28; H, 5.58; N, 3.69; S, 8.45%. Found: C, 82.17; H, 5.57; N, 3.58; S, 8.45%.
この反応条件では、1個スチリル基が付加した2−メチル−4−(2−スチリルフェニル)チアゾールも収率22%で得られた。
1H NMR (CDCl3) δ 2.806 (s, 3H, CH3), 7.038 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.112 (s, 1H, ArH), 7.22−7.47 (m, 8H, ArH), 7.696 (t, J = 7.0 Hz, 2H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 19.29, 116.85, 126.45, 126.56, 127.52, 127.62, 128.08, 128.22, 128.64, 129.94, 130.00, 133.84, 135.98, 137.56, 154.00, 165.22
IR (neat) 3052 s, 3023 s, 2919 m, 1598 m, 1494 s, 1448 s, 1434 s, 1307 m, 1214 w, 1170 s, 1101 w, 1027 s, 962 s, 856 w, 790 w, 759 s, 728 m, 692 s, 647 w, 547 m, 512 m, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 277 (M+, 27), 236 (13), 235 (11), 203 (10), 202 (24), 201 (17), 200 (100), 186 (48), 115 (14), 101 (11), 59 (11) , 51 (10)
HRMS Calcd for C1815NS: 277.0925. Found: 277.0931.
【0048】
実施例10
(E)−10−スチリルベンゾ[h]キノリンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、ベンゾ[h]キノリン(1 mmol, 179.2mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 220 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 8 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率37%で目的の生成物(E)−10−スチリルベンゾ[h]キノリンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 6.954 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.295 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.420 (t, J = 7.5 Hz, 2H, ArH), 7.498 (dd, J = 7.8 Hz, 4.3 Hz, 1H, ArH), 7.66−7.72 (m, 4H, ArH), 7.835 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.899 (t, J = 6.4 Hz, 2H, ArH), 8.186 (dd, J = 5.1 Hz, 1.6 Hz, 1H, ArH), 9.056 (d, J = 1.6 Hz, 1H, ArH), 9.102 (d, J = 15.9 Hz, 1H, VinylH)
13C NMR (CDCl3) δ 120.87, 125.71, 126.73, 126.97, 127.58, 127.65, 127.69, 128.12, 128.15, 128.60, 128.76, 134.66, 134.92, 135.63, 138.55, 138.77, 147.83, 148.05
IR (neat) 3048 m, 3023 m, 1619 m, 1598 m, 1587 m, 1565 m, 1492 s, 1448 m, 1417 s, 1394 m, 1324 m, 1124 w, 950 s, 908 w, 869 m, 854 m, 833 s, 819 m, 761 s, 748 s, 727 s, 692 s, 640 m, 557 w, 487 w, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 281 (M+, 8), 205 (15), 204 (100), 139 (10), 51 (10)
この反応条件では、立体化学異性体である(Z)−10−スチリルベンゾ[h]キノリンも収率15%で得られた。
1H NMR (CDCl3) δ 6.686 (d, J = 12.1 Hz, 1H, VinylH), 6.95−7.15 (m, 5H, ArH), 7.43−7.56 (m, 3H, ArH), 7.702 (d, J = 8.3 Hz, 1H, ArH), 7.82−7.86 (m, 2H, ArH) , 7.904 (d, J = 11.9 Hz, 1H, VinylH), 8.182 (dd, J = 7.8 Hz, 1.3 Hz, 1H, ArH), 9.035 (d, J = 2.7 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 121.00, 124.56, 125.51, 126.00, 126.73, 127.39, 127.51, 127.73, 127.80, 128.54, 129.30, 129.58, 130.88, 134.92, 135.36, 136.30, 137.24, 137.79, 147.84
IR (neat) 3048 m, 3021 m, 1619 m, 1598 m, 1587 m, 1565 m, 1509 m, 1492 s, 1440 m, 1421 s, 1394 m, 1324 m, 1120 w, 1074 w, 979 w, 910 m, 867 m, 848 m, 833 s, 773 s, 742 s, 730 s, 694 s, 657 m, 470 w, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 281 (M+, 16), 205 (15), 204 (100), 51 (10)
【0049】
実施例11
2−(2,5−ジスチリル−1H−ピロール−1−イル)ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−(1H−ピロール−1−イル)ピリジン(1 mmol, 144.2mg)、酢酸スチリルエステル(5 mmol, 811.0 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で50時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 300 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 10 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率92%で目的の生成物2−(2,5−ジスチリル−1H−ピロール−1−イル)ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 6.709 (d, J = 16.4 Hz, 2H, VinylH), 6.710 (s, 2H, ArH), 6.843 (d, J = 16.5 Hz, 2H, VinylH), 7.12−7.35 (m, 11H, ArH), 7.42−7.47 (m, 1H, ArH), 7.908 (td, J = 8.1 Hz, 1.9 Hz, 1H, ArH), 8.755 (d, J = 4.8 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 108.69, 117.66, 123.23, 123.51, 125.98, 126.61, 126.98, 128.52, 134.20, 137.65, 138.29, 149.65, 150.93
IR (KBr) 3021 w, 1621 m, 1585 m, 1571 m, 1492 w, 1469 s, 1436 s, 1407 m, 1342 w, 1328 w, 1249 w, 1022 w, 950 m, 796 m, 767 m, 746 m, 692 s, 555 m, 507 w , cm-1
MS m/z (% relative intensity) 349 (27), 348 (M+, 100), 347 (31), 272 (10), 271 (37), 256 (12), 173 (20), 173 (15), 134 (26), 115 (10), 78 (27), 51 (14)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C25202: C, 86.17; H, 5.79; N, 8.04%. Found: C, 85.89; H, 5.75; N, 7.96%
【0050】
実施例12
2−(2,6−ジスチリルフェニル)ピリミジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−フェニルピリミジン(1 mmol, 156.2mg)、酢酸スチリルエステル(5 mmol, 811.0 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で36時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 270 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 10 : 1 : 0.1; 50 mL each)で行った。
収率90%で目的の生成物2−(2,6−ジスチリルフェニル)ピリミジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 6.736 (d, J = 15.9 Hz, 2H, VinylH), 6.982 (d, J = 15.9 Hz, 2H, VinylH), 7.16−7.28 (m, 10H, ArH), 7.352 (t, J = 4.8 Hz, 1H, ArH), 7.463 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.694 (d, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 8.938 (d, J = 4.8 Hz, 2H, ArH)
13C NMR (CDCl3) 119.18, 125.14, 126.59, 127.60, 128.52, 129.06, 130.80, 136.38, 137.38, 157.17, 167.51
IR (KBr) 3021 m, 1596 w, 1556 s, 1492 m, 1444 m, 1403 s, 1322 w, 1155 w, 1072 w, 1031 w, 981 w, 960 s, 833 w, 792 m, 736 s, 690 s, 659 w, 632 w, 532 w, 505 w, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 361 (13), 360 (M+, 47), 359 (19), 284 (23), 283 (100), 206 (10), 140 (50), 133 (175)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C26202: C, 86.64; H, 5.59; N, 7.77%. Found: C, 86.42; H, 5.70; N, 7.70%
【0051】
実施例13
(E)−2−(2−スチリル−6−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン(1 mmol, 223.2mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で30時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 300 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 10 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率93%で目的の生成物(E)−2−(2−スチリル−6−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 6.572 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 6.987 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.15−7.40 (m, 7H, ArH), 7.532 (t, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 7.684 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.784 (td, J = 7.6 Hz, 4.3 Hz, 1H, ArH) 7.938 (d, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 8.747 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH)
IR (neat) 3079 s, 3006 s, 1953 w, 1812 w, 1635 m, 1567 s, 1492 m, 1479 m, 1450 s, 1425 s, 1332 s, 1280 m, 1245 m, 1211 m, 1054 m, 1024 m, 985 m, 960 m, 900 m 852 w, 804 m, 692 m, 669 m, 619 w, 503 w, cm-1
Elemental Analysis Anal. Calcd for C20143N: C, 73.84; H, 4.34; F, 17.52; N, 4.31%. Found: C, 73.64; H, 4.22; F, 17.66; N, 4.36%
【0052】
実施例14
(E)−2−(2−メトキシ−6−スチリルフェニル)ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、2−(2−メトキシフェニル)ピリジン(1 mmol, 185.2mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で20時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 220 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 3 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率88%で目的の生成物(E)−2−(2−メトキシ−6−スチリルフェニル)ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 3.747 (s, 3H, CH3), 6.747 (d, J = 15.9 Hz, 1H, VinylH), 6.915 (dd, J = 7.0 Hz, 2.1 Hz, 1H, ArH), 6.985 (d, J = 15.9 Hz, 1H, VinylH), 7.16−7.42 (m, 9H, ArH), 7.749 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 8.759 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 55.90, 109.91, 117.82, 121.79, 126.27, 126.44, 126.68, 127.38, 128.39, 129.02, 129.08, 130.05, 135.72, 137.31, 137.44, 149.24, 156.09, 157.02
IR (neat) 3077 s, 3002 s, 2935 s, 2834 s, 1631 m, 1594 s, 1563 s, 1490 s, 1427 s, 1247 s, 1182 m, 1149 m, 1024 m, 962 s, 931 m, 850 w, 782 s, 750 s, 732 s, 694 s, 605 m, 561 m, 539 w, 501 m, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 287 (M+, 23), 211 (15), 210 (100), 195 (36), 167 (20), 127 (23), 120 (14), 51 (12)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C2017NO: C, 83.59; H, 5.96; N, 4.87; O, 5.57%. Found: C, 83.35; H, 5.94; N, 4.84%
【0053】
実施例15
(E)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)−3−スチリルベンゾニトリルの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、4−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾニトリル(1 mmol, 194.2mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で30時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率86%で目的の生成物(E)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)−3−スチリルベンゾニトリルを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.097 (s, 3H, CH3), 6.681 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.060 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.23−7.33 (m, 6H, ArH), 7.390 (d, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 7.61−7.65 (m, 2H, ArH), 8.055 (s, 1H, ArH), 8.583 (d, J = 4.6 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 19.09, 112.38, 118.67, 123.13, 123.91, 126.69, 128.26, 128.60, 129.18, 130.28, 130.38, 131.90, 132.38, 136.32, 136.88, 138.18, 143.38, 146.99, 156.60
MS m/z (% relative intensity) 296 (M+, 29), 295 (12), 220 (18), 219 (100), 65 (10), 51 (15)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C21162: C, 85.11; H, 5.44; N, 9.45%. Found: C, 84.91; H, 5.51; N, 9.45%
【0054】
実施例16
(E)−3−メチル−2−(2−スチリルフェニル)ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、3−メチル−2−フェニルピリジン(1 mmol, 169.2mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で14時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 5 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率93%で目的の生成物(E)−3−メチル−2−(2−スチリルフェニル)ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.10 (s, 3H, CH3), 6.76 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.01 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.18−7.44 (m, 9H, ArH), 7.58 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 8.56 (d, J = 4.3 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 19.31, 122.33, 125.17, 126.25, 126.39, 127.41, 128.14, 128.41, 129.23, 129.77, 132.05, 135.26, 137.29, 137.64, 139.53, 146.71, 158.60
IR (neat) 3056 s, 3027 s, 2923 m, 1567 s, 1494 s, 1446 s, 1421 s, 1382 m, 1328 m, 1259 m, 1216 m, 1184 m, 1159 w, 1120 m, 1099 m, 1068 m, 1024 m, 964 s, 794 s, 759 s, 736 s, 692 s, 624 m, 574 w, 539 m, 520 m, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 271 (M+, 32), 270 (12), 195 (14), 194 (100), 134 (12) , 127 (26)
Elemental Analysis: Anal. Calcd for C2017N: C, 88.52; H, 6.31; N, 5.16%. Found: C, 88.25; H, 6.29; N, 5.13%
【0055】
実施例17
(E)−2−メチル−6−(2−メチル−6−スチリルフェニル)ピリジンの製造


10 mL 2口フラスコにテフロン(登録商標)コーティングした磁気攪拌子を入れ、還流冷却管を取り付けた。還流冷却管を減圧/窒素ラインに繋ぎ、装置全体を減圧下で加熱乾燥した。その後、反応装置にN2ガスを入れ、反応装置全体を窒素置換した。反応容器を室温まで放冷後、Ru(cod)(cot)錯体(0.05 mmol, 15.8 mg)、3−メチル−2−フェニルピリジン(1 mmol, 183.3mg)、酢酸スチリルエステル(3 mmol, 486.6 mg)、トルエン(1.5 mL)を加えた。オイルバスで加熱し、還流条件下で60時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷後、トリエチルアミン(0.3 mL)を加えた。生成物の単離は、silica gel column chromatography (i.d.= 30 mm; length = 250 mm; hexane:EtOAc:Et3N = 9 : 1 : 0.1; 25 mL each)で行った。
収率19%で目的の生成物(E)−3−メチルピリジン−2−(2−スチリルフェニル)ピリジンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.096 (s, 3H, CH3), 2.669 (s, 3H, CH3), 6.727 (d, J = 16.4 Hz, 1H, VinylH), 6.943 (d, J = 16.2 Hz, 1H, VinylH), 7.058 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.11−7.33 (m, 8H, ArH), 7.597 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.651 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH)
13C NMR (CDCl3) δ 20.35, 24.70, 121.36, 122.35, 122.96, 126.45, 127.34, 127.49, 128.04, 128.50, 129.49, 135.91, 136.38, 136.45, 137.63, 139.82, 158.23, 158.29
IR (neat) 3058 m, 3027 m, 2923 w, 1577 s, 1494 m, 1452 s, 1375 w, 1324 w, 1222 w, 1159 w, 995 m, 962 m, 800 m, 782 s, 742 s, 694 m, 644 w, 549 w, 503 w, 468 m, cm-1
MS m/z (% relative intensity) 285 (M+, 26), 284 (12), 208 (15), 195 (14), 194 (100) , 141 (16) , 134 (26), 127 (10)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)

(式中、Ar1環は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、Ar2環は、X1及びN*を含む複素環を表し、該X1は、窒素原子または炭素原子を表し、該N*は、Ar2環内の隣接する2つの原子のいずれか一方と二重結合で結合している窒素原子を表す。
該Ar1環および/または該Ar2環は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基および炭素数6〜10のアリールオキシ基から選ばれる基を有していてもよい。また、該Ar1環と該Ar2環とが、直接または2価の基を介してさらに結合することもできる。)
で示される化合物と式(2)

(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基を表す。)
で示されるオレフィン化合物とを、遷移金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする下式(3)

(式中、Ar1、Ar2、X1、N*、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族化合物の製造方法。
【請求項2】
前記式(1)で示される化合物が、 下式(1’)

(式中、Ar1’環は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、Ar2環、X1及びN*は前記と同じ意味を表し、
該Ar1’環および/または該Ar2環は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基および炭素数6〜10のアリールオキシ基から選ばれる基を有していてもよい。また、該Ar1’環と該Ar2環とが、直接または2価の基を介してさらに結合することもできる。)
で示される化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記式(1’)
で示される化合物と前記式(2)
で示されるオレフィン化合物とを、遷移金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする下式(4)

(式中、Ar1’、Ar2、X1、N*、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族化合物の製造方法。
【請求項4】
遷移金属錯体が、ルテニウム錯体および、ロジウム錯体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
ルテニウム錯体が、(1,5-シクロオクタジエン)(1,3,5-シクロオクタトリエン)ルテニウムであることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記式(3)においてAr1環が環構造内に1から3個のヘテロ原子を含む芳香族複素環である芳香族化合物。
【請求項7】
前記式(4)においてAr1’環が環構造内に1から3個のヘテロ原子を含む芳香族複素環である芳香族化合物。
【請求項8】
前記式(3)において、Ar1環がチオフェン環である芳香族化合物。
【請求項9】
前記式(4)において、Ar1’環がチオフェン環である芳香族化合物。

【公開番号】特開2007−231010(P2007−231010A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23843(P2007−23843)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】