説明

荷揃えシステム

【課題】 サンプルのピッキングを自動化してランニングコストの低減化、荷揃え精度の向上を実現する荷揃えシステムを提供する。
【解決手段】 本発明による荷揃えシステムは、サンプルを自動ピッキングし出荷箱に投入するためのシステムである。本荷揃えシステムは、投入すべきサンプルに関する情報を上位装置に要求する要求手段と、該要求手段からの要求に応じて前記上位装置から送信されてくるサンプルに関する情報を受信する受信手段と、投入するサンプルをアイテム別に保管している保管部110を有して、受信されたサンプルに関する情報に基づいて保管部からサンプルを自動的に切り出すピッキング装置100とを含むことにより、切り出されたサンプルを作業者の手元に排出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の配送センターや流通センター等に設置されてオーダに応じた商品の荷揃えを行い出荷箱に投入するための荷揃えシステムに関し、特に、出荷箱に商品に加えてサンプルを投入する機能をも有する荷揃えシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や健康食品を扱う通信販売会社の流通センターにおいては、拡販のためにサンプルを配送したり、あるいは配送する商品にサンプルを同封することがある。この種のサンプルはアイテムが多く、100アイテムに達することもある。
【0003】
これまで、オーダに応じた商品の荷揃え、つまり出荷箱への配送先に応じた商品投入のために、様々な自動化が提案されている(例えば、特許文献1)。一方、サンプルの荷揃えはすべて人手により行われているのが実情である。例えば、商品荷揃えゾーンの下流側に別にサンプル荷揃えゾーンが設けられる。商品荷揃えゾーンでは、オーダに応じた商品のピッキングが行われて出荷箱に投入される。商品が投入された出荷箱はサンプル荷揃えゾーンに搬送される。サンプル荷揃えゾーンでは、指定されたサンプルのピッキングが人手によって行われて出荷箱に投入される。
【0004】
ここで、サンプルの荷揃えに際しても、アイテム数の大小にかかわりなく、商品の荷揃えと同様、間違いの無い高精度での荷揃えが要求されることは言うまでも無い。
【0005】
しかしながら、人手によるピッキングはランニングコストが高くなるうえに、間違いが避けられない。勿論、POS検品工程を追加することで荷揃え精度を上げることはできるが、更なるコストアップとなる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−95412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、サンプルのピッキングを自動化してランニングコストの低減化、荷揃え精度の向上を実現する荷揃えシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、サンプルをピッキングし出荷箱に投入する荷揃えシステムにおいて、投入すべきサンプルに関する情報を上位装置に要求する要求手段と、該要求手段からの要求に応じて前記上位装置から送信されてくるサンプルに関する情報を受信する受信手段と、投入するサンプルをアイテム別に保管している保管部を有して、受信されたサンプルに関する情報に基づいて前記保管部からサンプルを自動的に切り出すピッキング装置とを含み、切り出されたサンプルを作業者の手元に排出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明による荷揃えシステムにおいては、前記ピッキング装置により切り出されたサンプルを作業者の手元に排出するホッパーシュートを更に備え、該ホッパーシュートからのサンプルが自動または手動で出荷箱に投入される。
【0010】
本発明による荷揃えシステムにおいては、前記保管部は、投入するサンプルをアイテム別に複数のスロットに保管しており、前記ピッキング装置は更に、スロットからサンプルを切り出す吸着アームと、該吸着アームを駆動する駆動装置と、スロットからのサンプル切り出しを検出する検出装置とをスロット毎に備えるとともに、前記受信手段に接続され受信されたアイテムのサンプルに応じて駆動装置を制御する制御部を備える。
【0011】
本発明による荷揃えシステムにおいては、前記出荷箱はサンプルと共にオーダに応じた商品が投入されるものであって該出荷箱には少なくとも前記オーダに関する情報が付与されており、該出荷箱はまた搬送ラインによって作業者の手元に搬送されるように構成されており、該搬送ラインには前記出荷箱から前記オーダに関する情報を取得する取得手段が設置され、該取得手段は前記オーダに関する情報を取得するとこれを前記上位装置に送ることにより、前記要求手段を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サンプルのピッキングを自動化することでランニングコストの低減化を実現できる。
【0013】
ピッキング能力が人手に比べて高いため荷揃え精度の向上を実現できる。
【0014】
ピッキング装置及びこれに付随する各手段を搬送ラインに付加するだけで良いため搬送ラインを複雑にすることなく課題を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照して、本発明による荷揃えシステムの実施形態について説明する。本実施形態による荷揃えシステムは、通信販売会社の流通センターに適用されてオーダに応じた商品を荷揃えし、更にサンプルを荷揃えして出荷箱に投入し出荷するためのものである。本荷揃えシステムは、商品投入ステーション10と、サンプル投入ステーション20と、検品梱包ステーション30と、以降で説明される動作を制御するための制御装置(図示せず)とを含む。各ステーションの間は、出荷箱を搬送するための搬送コンベヤ等による搬送ライン40で連絡できるようにされている。制御装置は、各ステーションに個別に設置されても良いし、各ステーションの制御を1つの制御装置で実行しても良い。いずれにしても、制御装置は上位装置との間で双方向通信が可能であり、上位装置から制御に必要な情報を受ける。つまり、上位装置はあらかじめ受け付けられたオーダに応じて配送先別に出荷情報を保持しており、荷揃えのための作業計画を行ったうえで、作業計画実行のために必要な情報を制御装置に送る。作業計画実行のために必要な情報には、例えばオーダ情報がある。オーダ情報は、出荷箱に投入されるべき商品の内容(種類、個数等)や同封されるべきサンプル、配送先等を含んでいる。以下では、各ステーションに個別に制御装置が設置される場合について説明する。
【0016】
本荷揃えシステムを上流側から順に説明すると以下の通りである。搬送ライン40の始端部に設置された空出荷箱搭載ステーション50から作業者により空出荷箱が搬送ライン40に載せられる。搬送ライン40の始端部に近い位置にはオートラベラ41が設置されている。オートラベラ41は、出荷箱にラベル情報を印刷あるいは貼付するものである。ラベル情報の内容は、商品投入ステーション10の上位装置から直接、あるいは制御装置を経由して受信し、前記オーダ情報と同じ内容で良い。ラベル情報はバーコードで表されるのが好ましいが、ICタグ等で実現されても良い。以下では、バーコードで表されている場合について説明する。
【0017】
商品投入ステーション10は、これまでのものと同じもので良く、一例をあげれば以下の通りである。商品投入ステーション10は、商品を個別に保管しているフローラック11を備えるとともに、軽量あるいは小物商品を対象とした軽量ラック12を備える。各ラックには作業者にピッキング(個数を含む)を指示する表示ランプ及びピッキング完了(出荷箱への投入完了)を知らせる押釦が設けられている。これらのラックからの商品ピッキングは、通常、複数の作業者により行われる。作業者の作業位置に近い場所には、搬送ライン40で搬送されてくる出荷箱に付されているラベル情報を読み取るバーコードリーダが配置されている。このバーコードリーダは搬送ライン40上に設置して自動的に読取りが行われるようにしても良いし、作業者が手で持って手動で読取りが行われるようにしても良い。いずれにしても、この読取りデータは制御装置に送られる。制御装置ではこの読取りデータを受けると、これを上位装置に送信し、上位装置からピッキングすべき情報を受け取る。制御装置は、受け取った情報に基づいてピッキングすべき商品を保管しているラックの表示ランプを点灯させる。作業者は点灯した表示ランプに基づいて商品のピッキングを行い、完了したら押釦を押す。この押釦によるピッキング完了は制御装置を経由して上位装置に送られる。このようなピッキング作業を繰り返すことで、出荷箱にはオーダ情報に応じた商品が投入され、この出荷箱は次のサンプル投入ステーション20に送られる。なお、搬送ライン40、例えばオートラベラ41の近くにはまた、プリンタ(図示せず)が設置され、ピッキング開始に先立って上位装置からの指示により前記オーダ情報と同じような内容の明細書が印刷されるようになっている。この明細書は、出荷箱に同封される。
【0018】
サンプル投入ステーション20には、サンプルのピッキングを自動的に行うためのピッキング装置が設置されている。図2は、ピッキング装置の一例を示す。サンプルは、通常、ビニールラミネートの小包(パウチと称する)である。大きさも概ね100*100(mm)以下である。以下では、このようなパウチを対象として説明するが、これに限定されるものではない。
【0019】
図2を参照して、ピッキング装置100は、パウチ101をアイテム別に保管している二列のスロット111から成る保管部110を備える。二列のスロット111の下部にはそれぞれ、スロット111からパウチ101を切り出す吸着アーム121と、吸着アーム121を回動させる駆動装置(図示せず)とが備えられている。
【0020】
吸着アーム121は、先端にエア式の吸着パッド122を有する。吸着パッド122には吸引のために可撓性を持つエア配管123が接続され、吸着パッド122と吸引源(図示せず)との間のエア配管には吸着パッド122におけるパウチの吸着、解放を制御するための電磁弁(図示せず)が設置される。電磁弁は制御装置で制御される。駆動装置もまた制御装置で制御される。駆動装置は、吸着パッド122がスロット111の下端部の開口、つまりパウチ吸着位置と、そこから反時計回りのパウチ解放位置との間を往復するように吸着アーム121を往復回動させる。
【0021】
なお、各スロット111の下部には、吸着パッド122によるパウチ101の吸着分離を安定させるために、パウチ101の大きさに合わせてスロット111の下端部の開口幅を調整可能なガイド124が設置されている。スロット111の下端部の開口位置にはまた、吸着パッド122によるパウチ101の吸着分離を検出するための検出装置が設置されている。ここでは検出装置は光電スイッチ125で実現される。周知のように、光電スイッチは発光部と受光部とを有し、発光部から受光部に向かう光がパウチの通過によって遮断されることをもってパウチの吸着分離を検出する。この分離検出信号はパウチの吸着分離が正常に行われたことを示すために制御装置に送られる。
【0022】
制御装置は、駆動装置に対して駆動信号を出力したにもかかわらず、上記分離検出信号が送られて来ない場合にはピッキング異常と判別し、異常検出ランプ126を点灯させる。本例では、異常検出ランプ126はスロット111の下側に2列設置される。例えば、上の列の異常検出ランプ126は表側の列のスロット111用であり、下の列の異常検出ランプ126は裏側の列のスロット111用である。各スロット111はまた、保管量を視認し易いように、外側に面した部分は縦に開口を入れるか、あるいは透明体とすることが好ましい。
【0023】
本例では保管量が一定量まで低下したことを検出する品切れ検出スイッチ127がスロット毎に設けられている。この品切れ検出スイッチ127も上述した光電スイッチで実現できる。品切れ検出スイッチ127からの品切れ検出信号も制御装置に送られる。制御装置は、品切れ検出信号を受けると、これを出力したスロットの異常検出ランプ126を点灯させる。このため、異常検出ランプ126は、ピッキング異常検出と、品切れ検出とを色別に表示するようにされるのが好ましい。勿論、品切れ検出表示用のランプが別に設けられても良い。
【0024】
二列のスロット111の下方であって各吸着アーム121の回動空間の下方には、どのスロット111から吸着分離されたパウチ101でもこれを一カ所に集約して落下させるためのホッパーシュート128が設けられている。ホッパーシュート128の出口128−1は搬送ライン40による出荷箱の通過域の上方に位置するようにされるのが好ましい。このようにすれば、上蓋を開放した出荷箱が出口128−1の直下に来た時に上記のピッキング動作を行わせることにより、ピッキングされたパウチ101は自動的に出荷箱に投入される。勿論、パウチ101の出荷箱への投入は作業者により手動で行われても良い。
【0025】
サンプル投入ステーション20には上記の構成の他、ピッキングすべきパウチ101に関する情報を制御装置を介して上位装置に要求する要求手段と、この要求手段からの要求に応じて上位装置から送信されてくるオーダ情報を受信する受信装置が備えられる。このような要求、受信は有線、無線のいずれで行われても良いが、有線の場合には制御装置が受信装置を兼ねることができる。加えて、本例では、サンプル投入ステーション20にも出荷箱に付与されているラベル情報を読み取るための読取り手段、例えばバーコードリーダが設置されている。具体的には、バーコードリーダはピッキング装置100の少し手前の搬送ライン40に設置され、搬送ライン40で搬送されてくる出荷箱のラベル情報を自動的に読取り可能にされている。このバーコードリーダで読み取られたラベル情報は、制御装置を経由して上位装置に送られる。このことから、本例ではこのバーコードリーダを上記要求手段として機能させることができる。バーコードリーダは手動による読取り方式のものであっても良い。
【0026】
上位装置は、ラベル情報を受けるとこの情報に基づいてピッキングすべきパウチに関する情報を制御装置(受信装置)に送る。制御装置は、受信したパウチに関する情報に基づいてピッキング装置100における駆動装置、つまり投入すべきパウチに対応する駆動装置を制御して指定されたパウチの自動ピッキングを行わせる。
【0027】
なお、本例では、スロット111の下側からパウチ101の吸着切り出しを行うようにしているが、摩擦ローラによる切り出しでも良く、スロット111の上側からの吸着切り出しであっても良い。また、スロット111は二列に限らず、一列あるいは三列以上であっても良い。
【0028】
検品梱包ステーション30では、出荷箱に同封されている明細書に基づいて商品の検品が行われ、検品の終了後、パンフレット、案内状等の同封物が同封されて梱包が行われる。梱包が終了した出荷箱は出荷センター(図示せず)に送られる。
【0029】
上記の形態では商品投入ステーション10の後にサンプル投入ステーション20があるが、この順序は逆、つまり商品投入ステーション10の前にサンプル投入ステーション20があっても良い。
【0030】
以上のように、本実施形態による荷揃えシステムは、サンプル投入ステーション20にピッキング装置100及びその周辺装置を備えるだけで、サンプル投入ステーション20では1人の作業者でサンプルのピッキング及び出荷箱への投入を行うことができ、ランニングコストの低減化を実現できる。また、本実施形態による自動ピッキングは人手に比べて誤りが少ないのでサンプル荷揃え精度の向上を実現できる。更に、ピッキング装置及びこれに付随するいくつかの手段を搬送ラインに付加するだけで良いため搬送ラインを複雑にすることなく課題を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による荷揃えシステムの実施形態を説明するための構成図である。
【図2】図1に示されたサンプル投入ステーションに設置されるサンプルのピッキング装置について説明するための図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は図2(a)の線Aによる断面図、図2(c)は図2(a)の線Bによる断面図、図2(d)は図2(b)のC部の拡大図である。
【符号の説明】
【0032】
10 商品投入ステーション
11 フローラック
12 軽量ラック
20 サンプル投入ステーション
30 検品梱包ステーション
40 搬送ライン
50 空出荷箱搭載ステーション
100 ピッキング装置
101 パウチ
110 保管部
111 スロット
121 吸着アーム
122、125 光電スイッチ
123 エア配管
124 ガイド
126 異常検出ランプ
127 品切れ検出スイッチ
128 ホッパーシュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルをピッキングし出荷箱に投入する荷揃えシステムにおいて、
投入すべきサンプルに関する情報を上位装置に要求する要求手段と、
該要求手段からの要求に応じて前記上位装置から送信されてくるサンプルに関する情報を受信する受信手段と、
投入するサンプルをアイテム別に保管している保管部を有して、受信されたサンプルに関する情報に基づいて前記保管部からサンプルを自動的に切り出すピッキング装置とを含み、
切り出されたサンプルを作業者の手元に排出するようにしたことを特徴とする荷揃えシステム。
【請求項2】
前記ピッキング装置により切り出されたサンプルを作業者の手元に排出するホッパーシュートを更に備え、該ホッパーシュートからのサンプルが自動または手動で出荷箱に投入されることを特徴とする請求項1に記載の荷揃えシステム。
【請求項3】
前記保管部は、投入するサンプルをアイテム別に複数のスロットに保管しており、
前記ピッキング装置は更に、スロットからサンプルを切り出す吸着アームと、該吸着アームを駆動する駆動装置と、スロットからのサンプル切り出しを検出する検出装置とをスロット毎に備えるとともに、前記受信手段に接続され受信されたアイテムのサンプルに応じて駆動装置を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の荷揃えシステム。
【請求項4】
前記出荷箱はサンプルと共にオーダに応じた商品が投入されるものであって該出荷箱には少なくとも前記オーダに関する情報が付与されており、該出荷箱はまた搬送ラインによって作業者の手元に搬送されるように構成されており、該搬送ラインには前記出荷箱から前記オーダに関する情報を取得する取得手段が設置され、該取得手段は前記オーダに関する情報を取得するとこれを前記上位装置に送ることにより、前記要求手段を兼ねることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の荷揃えシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−8666(P2007−8666A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192283(P2005−192283)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】