説明

荷物用昇降機のかご

【課題】2方向に荷物の出し入れ口をもつ荷物用昇降機のかごにおいて、荷物を入れる際に、入れる側とは反対側の出し入れ口の扉に、荷物がぶつからないようにする。
【解決手段】かご10の床18の背面出し入れ口14の近傍に、正面扉20と連動して動作する背面側ストッパ52を設ける。正面側20の扉を開けると、ロープ28、釣り合い錘30、連動ロープ56およびギアボックス54を介して扉の動きが背面側ストッパ52に伝わり、このストッパが、床18より突出される。正面出し入れ口12より投入された荷物は、この背面側ストッパ52により止められ、背面扉22にぶつかることが阻止される。背面扉22についても、これに連動する正面側ストッパ48が設けられ、背面出し入れ口14から投入された荷物が正面扉20にぶつかることを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物用の昇降機に関し、特に、荷物の出し入れ口が2方向に設けられたかごの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
台車等を載せて昇降する荷物用昇降機が知られている。この荷物用昇降機には、荷物の出し入れ口が2方向、すなわち正面側と背面側とに設けられ、両方向から台車等の荷物を出し入れすることができるものが知られている。両側の出し入れ口には、それぞれ扉が設けられている。2方向にドアを有するエレベータが特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−301689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台車等の荷物を昇降機のかごに載せる際、載せたときの勢いで、台車等を投入した扉の反対側の扉に衝突する場合がある。この衝突により扉が変形したり、ガイドから外れて開閉できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、2方向に出し入れ口のある荷物用昇降機において、台車等の荷物の投入時、これが反対側のドアに衝突することを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷物用昇降機は、荷物を投入したときに、反対側の扉付近で、この反対側の扉に荷物がぶつからないようにするストッパが設けられている。ストッパは、扉の動きに連動し、扉が開いたときに進出して、荷物が反対側の扉にぶつからないようにする。扉が開いたとき以外は、荷物の出し入れ等の邪魔にならない位置に退避している。
【0007】
ストッパは、かごの床に設けることができ、進出時には床より突出し、退避時には床内に格納される。荷物として台車等と出し入れする際には、台車のキャスタに当接して、台車が反対側の扉にぶつからないようにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷物を出し入れする側のストッパは退避しているので、出し入れの邪魔にならず、反対側のストッパは進出して、荷物が反対の扉にぶつかることを阻止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1および図2は、本実施形態に係る荷物用昇降機のかご10の概略構成を示す図である。図1は、右側が正面出し入れ口12、左側が背面出し入れ口14となるよう示した側面図であり、図2は、正面出し入れ口側から見た状態を示している。なお、正面、背面の用語は、説明上、かごの出し入れ口の2方向を区別するために用いるものであり、実際のかごにおいて、いずれか一方の側を正面または背面として限定するものではない。
【0010】
かご10は、荷物を収容するかご室16を備えている。かご室16は床18を有し、また正面出し入れ口12側には正面扉20、背面出し入れ口14側には背面扉22が設けられている。これらの扉20,22は、床18上に立設される正面ガイド枠24および背面ガイド枠26に案内されて上下に動いて開閉する。正面扉20は、ロープ28の一端に接続され、このロープ28の他端には、かご室16の側面に配置される釣り合い錘30が接続されている。ロープ28は、ガイド枠24の上辺に設けられた二つの滑車32,34に掛けられている。また、釣り合い錘30は、錘ガイド36に沿って上下に動くことができる。背面扉22にも同様にロープ38を介して釣り合い錘40が接続され、ロープ38は二つの滑車42,44に掛けられている。さらに、釣り合い錘40も錘ガイド46に案内されて上下に動くことができる。
【0011】
床18の正面出し入れ口12の近傍には、正面側ストッパ48が配置されている。正面側ストッパ48は、ギアボックス50に収められたギア機構の動作により上下する。背面出し入れ口14の近傍にも同様に背面側ストッパ52とギアボックス54が配置されている。背面側のギアボックス54内の減速機構には、正面側の釣り合い錘30に一端が接続された連動ロープ56の他端が接続されている。この連動ロープ56は、釣り合い錘30の下端に一端が接続されており、そこから下方に延びて、床18の下面に配置される滑車58で向きを変えられ、ギアボックス54に延びている。正面側ストッパ48に関しても同様であり、背面側の釣り合い錘40と連動ロープ59にて接続されたギアボックス50により駆動される。
【0012】
図3は、図2中、Aで示す部分の拡大図であり、正面扉20の動きを背面側ストッパ52に伝える伝達機構の要部を示している。前述の、釣り合い錘30から延びる連動ロープ56は、ギアボックス54内の滑車60に達する。滑車60には、これと一体に回転するギア62が結合されており、さらにこのギア62にはピニオン64が噛み合っている。このピニオン64には、背面側ストッパ52と一体設けられ、ストッパ52から下方に延びるラック66が噛み合っている。ギア62とピニオン64の間には、必要な減速比が得られるようにギア列が設けられてもよい。また、図示は省略するが、背面側ストッパ52には、ラック66のピニオン64とは反対側にラック66と並行に延びるロッドが設けられ、このロッドは、ギアボックス内に固定されている筒状ガイドに挿入した状態となっている。ロッドが筒状ガイドに案内されることにより、背面側ストッパ52が安定して上下に運動可能となっている。
【0013】
正面扉20を持ち上げて開くと、釣り合い錘30が下降する。この動きが連動ロープ56を介してギアボックス54内の減速機構に伝わり、背面側ストッパ52を上昇させる。正面出し入れ口12から台車を入れると、台車のキャスターは、背面側ストッパ52に当接し、止まる。これにより、台車が、投入された勢いで、背面扉22にぶつかることが防止される。正面扉20を閉じると、これに連動して背面側ストッパ52は、床内に格納される。
【0014】
正面側ストッパ48についても、背面側と同様の構造および動作を行うものであり、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る昇降機のかごの概略構成を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る昇降機のかごの概略構成を示す正面図である。
【図3】ストッパに扉の動きを伝える伝達機構の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10 かご、12 正面出し入れ口、14 背面出し入れ口、16 かご室、18 床、20 正面扉、22 背面扉、30,40 釣り合い錘、48 正面側ストッパ、52 背面側ストッパ、62 ギア、64 ピニオン、66 ラック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面と背面に荷物の出し入れ口がある荷物用昇降機のかごであって、
かごの正面に設けられた正面扉と、
かごの背面に設けられた背面扉と、
かごの、背面側の出し入れ口近傍に設けられ、正面扉より搬入された荷物が背面扉にぶつからないように止める背面側ストッパと、
かごの、正面側の出し入れ口近傍に設けられ、背面扉より搬入された荷物が正面扉にぶつからないように止める正面側ストッパと、
を有し、
前記背面側ストッパは、正面扉が開けられたとき、正面扉のこの動きによって進出して荷物が背面扉にぶつからないようにし、それ以外のときには退避し、
前記正面側ストッパは、背面扉が開けられたとき、背面扉のこの動きによって進出して荷物が正面扉にぶつからないようにし、それ以外のときには退避する、
荷物用昇降機のかご。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物用昇降機のかごであって、
正面側ストッパおよび背面側ストッパは、かごの床に設けられ、進出時は床より突出し、退避時は床内に格納される、
荷物用昇降機のかご。
【請求項3】
請求項2に記載の荷物用昇降機のかごであって、
正面扉と背面側ストッパ、および背面扉と正面側ストッパは、ロープと減速機構を介して接続され、ストッパが対応する扉の動きに連動する、
荷物用昇降機のかご。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−191271(P2007−191271A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10841(P2006−10841)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】