説明

荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法

【目的】データ処理領域内のパターン面積密度を計算するまでの計算時間の短縮を図る描画装置を提供する。
【構成】描画装置100は、チップ領域を複数のデータ処理領域に分割する分割部70と、複数のセルから、データ処理領域毎に、当該データ処理領域にセルの基準位置が位置するセルを抽出するセル抽出部78と、データ処理領域毎に、当該データ処理領域と抽出されたセルとを取り囲む枠を作成する外接枠作成部80と、枠毎に、当該枠内を複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域に配置される図形パターンの面積密度を算出する面積密度算出部86と、異なる複数の枠間における重なるメッシュ領域同士の面積密度を合成する合成部90と、面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算する照射量演算部94と、得られた照射量になるように荷電粒子ビームを照射することによって、試料にパターンを描画する描画部150と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法に係り、例えば、描画する際の面積密度計算の効率化に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、高精度の原画パターン(レチクル或いはマスクともいう。)が必要となる。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、高精度の原画パターンの生産に用いられる。
【0003】
図14は、可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
可変成形型電子線(EB:Electron beam)描画装置は、以下のように動作する。第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式(VSB方式)という。
【0004】
描画装置では、描画領域を一定の幅で短冊状にストライプ領域に分割する(例えば、特許文献1参照)。そして、ストライプ領域毎に、ストライプ領域へ分割した方向と直交する方向に、ストライプ領域を複数のデータ処理領域に分割して、データ処理領域単位でデータ処理を行う。その際、データ処理領域に一部でも含まれるセルについては、当該データ処理領域に割り当てられる。よって、セルが複数のデータ処理領域に跨っている場合には、同じセルが、複数のデータ処理領域に割り当てられることになる。複数のデータ処理領域では、各自、それぞれ割り当てられたセル内のパターンの所属判定処理が行なわれる。
【0005】
ここで、昨今のパターンの微細化・高密度化に伴い、データ処理領域のサイズは小さくなる傾向にある。一方、パターン数は増大する傾向にある。そのため、複数のデータ処理領域で所属判定処理される同じパターン数も増大しており、描画時間に与える影響が無視できないものとなってきているといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−267844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、昨今のパターンの微細化・高密度化に伴い、複数のデータ処理領域で所属判定処理される同じパターン数も増大しており、データ処理領域でのパターンの所属判定処理に時間がかかってしまう。かかる所属判定処理時間が、データ処理領域内のパターン面積密度等を計算する際の計算時間を遅延させてしまうといった問題があった。その結果、描画時間を増加させてしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、データ処理領域内のパターン面積密度を計算するまでの計算時間の短縮を図る描画装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
チップ領域を複数のデータ処理領域に分割するデータ処理領域分割部と、
少なくとも1つの図形パターンを含む複数のセルから、データ処理領域毎に、当該データ処理領域にセルの基準位置が位置するセルを抽出するセル抽出部と、
データ処理領域毎に、当該データ処理領域と抽出されたセルとを取り囲む枠を作成する枠作成部と、
枠毎に、当該枠内を複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域に配置される図形パターンの面積密度を算出する面積密度算出部と、
異なる複数の枠間における重なるメッシュ領域同士の面積密度を合成する面積密度合成部と、
面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量になるように荷電粒子ビームを照射することによって、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上述した複数のデータ処理領域を複数の第1のデータ処理領域とし、上述したデータ処理領域分割部を第1のデータ処理領域分割部とする場合に、
チップ領域を複数の第1のデータ処理領域とは異なる複数の第2のデータ処理領域に分割する第2のデータ処理領域分割部と、
第1のデータ処理領域毎に作成された枠に基づいて、各第2のデータ処理領域に複数の第1のデータ処理領域の少なくとも1つを関連付けする関連付部と、
をさらに備え、
照射量演算部は、第2のデータ処理領域毎に、関連付けされた少なくとも1つの第1のデータ処理領域における面積密度の算出が終了した後に、関連付けされた少なくとも1つの第1のデータ処理領域における面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算すると好適である。
【0011】
また、上述した枠を第1の枠とし、上述した枠作成部を第1の枠作成部とし、上述した関連付部を第1の関連付部とする場合に、
第1のデータ処理領域毎に、当該第1のデータ処理領域のいずれかの頂点に基準位置が重なるように、予め設定された最大セルサイズの最大セルを当該第1のデータ処理領域の外側に配置した場合の当該第1のデータ処理領域と最大セルとを取り囲む第2の枠を作成する第2の枠作成部と、
第1のデータ処理領域毎に作成された第2の枠に基づいて、各第2のデータ処理領域に複数の第1のデータ処理領域の少なくとも1つを関連付けする第2の関連付部と、
をさらに備え、
第2の関連付部による関連付けは、第1の関連付部による関連付けよりも先に行われ、
第1の関連付部は、関連付けの際、第2の枠に基づいて関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、第1の枠に基づいて関連付けし直すと好適である。
【0012】
また、上述した関連付部を第1の関連付部とする場合に、
第2のデータ処理領域毎に、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が左側から右側に進む場合には第2のデータ処理領域の右上の頂点より左下側に左下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域を当該第2のデータ処理領域に関連付けし、描画方向が右側から左側に進む場合には第2のデータ処理領域の左上の頂点より右下側に右下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域を当該第2のデータ処理領域に関連付けする第2の関連付部をさらに備え、
第2の関連付部による関連付けは、第1の関連付部による関連付けよりも先に行われ、
第1の関連付部は、関連付けの際、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が左側から右側に進む場合には各第2のデータ処理領域の右上の頂点よりそれぞれ左下側に左下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域が関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が右側から左側に進む場合には各第2のデータ処理領域の左上の頂点よりそれぞれ右下側に右下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域が関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、枠に基づいて関連付けし直すように構成すると好適である。
【0013】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画方法は、
チップ領域を複数のデータ処理領域に分割する工程と、
少なくとも1つの図形パターンを含む複数のセルから、データ処理領域毎に、当該データ処理領域にセルの基準位置が位置するセルを抽出する工程と、
データ処理領域毎に、当該データ処理領域と抽出されたセルとを取り囲む枠を作成する工程と、
枠毎に、当該枠内を複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域に配置される図形パターンの面積密度を算出する工程と、
異なる複数の枠間における重なるメッシュ領域同士の面積密度を合成する工程と、
面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算する工程と、
得られた照射量になるように荷電粒子ビームを照射することによって、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、データ処理領域内のパターン面積密度を計算するまでの計算時間の短縮が可能となる。その結果、描画時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図3】実施の形態1と比較される、跨るセルをすべて抽出した場合のデータ処理領域の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1におけるデータ処理領域と抽出されるセルとの一例を示す図である。
【図5】実施の形態1における面積密度計算用のデータ処理領域と照射量演算用のデータ処理領域との一例を示す図である。
【図6】実施の形態1における最大セルサイズのセルを用いて作成される外接枠の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1における最大セルサイズのセルとの外接枠と照射量演算用のデータ処理領域との関連付けを説明するための概念図である。
【図8】実施の形態1における抽出されたセルを用いて作成される外接枠の一例を示す図である。
【図9】実施の形態1における抽出されたセルとの外接枠と照射量演算用のデータ処理領域との関連付けを説明するための概念図である。
【図10】実施の形態1における外接枠内がメッシュ分割された状態の一例を示す図である。
【図11】実施の形態1における複数の外接枠のメッシュ領域の面積密度の合成を説明するための概念図である。
【図12】実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図13】実施の形態2における関連付けの手法を説明するための概念図である。
【図14】可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
【0018】
制御部160は、制御計算機110、メモリ112、制御回路120、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ112、制御回路120、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
【0019】
制御計算機110内には、分割部70,72、外接枠作成部74、関連付部76、セル抽出部78、外接枠作成部80、関連付部82、メッシュ分割部84、面積密度算出部86、合成部90、判定部92、照射量演算部94、ショットデータ生成部96、及び描画制御部98が配置される。分割部70,72、外接枠作成部74、関連付部76、セル抽出部78、外接枠作成部80、関連付部82、メッシュ分割部84、面積密度算出部86、合成部90、判定部92、照射量演算部94、ショットデータ生成部96、及び描画制御部98といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。分割部70,72、外接枠作成部74、関連付部76、セル抽出部78、外接枠作成部80、関連付部82、メッシュ分割部84、面積密度算出部86、合成部90、判定部92、照射量演算部94、ショットデータ生成部96、及び描画制御部98に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0020】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の多段偏向器を用いているが、1段の偏向器或いは3段以上の多段偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。
【0021】
記憶装置140(記憶部)には、少なくとも1つの図形パターンから構成される複数のセルを有するチップの描画データが外部より入力され、格納されている。描画データには、各セルの配置座標、およびサイズ、そして、各セル内の各図形パターンの形状、配置座標、およびサイズ等を示す各図形パターンデータが定義される。
【0022】
図2は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図2において、実施の形態1における描画方法は、データ処理領域(DPB)(1)分割工程(S102)と、DPB)(2)分割工程(S104)と、外接枠(1)作成工程(S106)と、関連付(1)工程(S108)と、セル抽出工程(S110)と、外接枠(2)作成工程(S112)と、関連付(2)工程(S114)と、メッシュ分割工程(S116)と、面積密度算出工程(S118)と、合成工程(S120)と、判定工程(S122)と、照射量演算工程(S124)と、ショットデータ生成工程(S126)と、描画工程(S128)という一連の工程を実施する。
【0023】
図3は、実施の形態1と比較される、跨るセルをすべて抽出した場合のデータ処理領域の一例を示す図である。図3(a)では、あるチップ領域を複数のデータ処理領域(DPB)20a〜20eに分割した例を示している。DPB20a〜20eには、セル30a〜30kが配置される。具体的には、DPB20aには、セル30a,30b,30cの少なくとも一部が含まれている。DPB20bには、セル30b,30c,30d,30e,30fの少なくとも一部が含まれている。DPB20cには、セル30e,30f,30gの少なくとも一部が含まれている。DPB20dには、セル30a,30c,30h,30iの少なくとも一部が含まれている。DPB20eには、セル30f,30g,30j,30kの少なくとも一部が含まれている。よって、跨るセルをすべて抽出した場合、図3(b)に示すように、DPB20aでは、セル30a,30b,30c内の図形パターンの所属判定処理を行ない、実際にDPB20a内に位置する図形パターンを判定することになる。DPB20bでは、セル30b,30c,30d,30e,30f内の図形パターンの所属判定処理を行ない、実際にDPB20b内に位置する図形パターンを判定することになる。DPB20cでは、セル30e,30f,30g内の図形パターンの所属判定処理を行ない、実際にDPB20c内に位置する図形パターンを判定することになる。DPB20dでは、セル30a,30c,30h,30i内の図形パターンの所属判定処理を行ない、実際にDPB20d内に位置する図形パターンを判定することになる。DPB20eでは、セル30f,30g,30j,30k内の図形パターンの所属判定処理を行ない、実際にDPB20e内に位置する図形パターンを判定することになる。各DPB単位でその領域内の面積密度を計算するためには、それぞれのDPB内に所属する図形パターンを把握する必要がある。よって、一部でも含まれるセルについては、その内部の図形パターンの所属判定が必要となってしまう。このように、セル30d,30h,30i,30j以外のセルは、複数のDPBで重複して所属判定処理が行なわれる。そのため、それぞれに所属するセル内の図形パターンを判定するだけでも多くの時間がかかってしまう結果となる。これに対して、実施の形態1では、以下のようにセルを抽出する。
【0024】
図4は、実施の形態1におけるデータ処理領域と抽出されるセルとの一例を示す図である。図4(a)の内容は、図3(a)と同様である。実施の形態1では、各DPBに少しでも跨るセルをすべて抽出するのではなく、DPB毎に、当該DPB内にセルの基準位置が位置するセルを抽出する。セルの基準位置としては、例えば、図面の左下の角の位置を用いると好適である。よって、図4(b)に示すように、セルが重複して抽出されず、いずれか1つのDPBに抽出される。このままでは、各DPB内のパターン面積密度を正確に演算することは困難である。そこで、実施の形態1では、以下に説明するように、外接枠を利用して、パターン面積密度を正確に演算する。
【0025】
データ処理領域(DPB)(1)分割工程(S102)として、分割部70は、チップ領域を面積密度計算用の複数のデータ処理領域(DPB)(1)(第1のデータ処理領域)に分割する。分割部70は、第1のデータ処理領域分割部の一例である。
【0026】
図5は、実施の形態1における面積密度計算用のデータ処理領域と照射量演算用のデータ処理領域との一例を示す図である。図5において、面積密度計算用のデータ処理領域(DPB)(1)では、例えば、領域内のビームのショット数がほぼ均一になる分割サイズで分割される。面積密度の計算時間は、ビームのショット数がほぼ均一であれば、ほぼ同等の計算時間になる。ビームのショット数は、図示しない計算器等で所定のメッシュ領域毎に予め見積もっておけばよい。図5では、面積密度計算用のデータ処理領域(DPB)(1)として、例えば、図4(a)で示したように、チップ領域10を複数のDPB20a〜20eに分割した例を示している。
【0027】
DPB)(2)分割工程(S104)として、分割部72は、チップ領域を照射量演算用の複数のデータ処理領域(DPB)(2)に分割する。分割部72は、チップ領域を複数の面積密度計算用のデータ処理領域(DPB)(1)(第1のデータ処理領域)とは異なる複数のデータ処理領域(DPB)(2)(第2のデータ処理領域)に分割する。分割部72は、第2のデータ処理領域分割部の一例である。図5において、照射量演算用のデータ処理領域(DPB)(2)では、一定のサイズの分割サイズで分割される。図5では、照射量演算用のDPB(2)として、例えば、チップ領域10を座標(1,1)〜(3,6)で示す複数のDPB40に分割した例を示している。
【0028】
外接枠(1)作成工程(S106)として、外接枠作成部74は、DPB(1)毎に、当該DPB(1)のいずれかの頂点に基準位置が重なるように、予め設定された最大セルサイズの最大セルを当該DPB(1)の外側に配置した場合の当該DPB(1)と最大セルとを取り囲む外接枠(第2の枠)を作成する。外接枠作成部74は、第2の枠作成部の一例である。
【0029】
図6は、実施の形態1における最大セルサイズのセルを用いて作成される外接枠の一例を示す図である。図6において、ある面積密度計算用のDPB(1)(例えば、DPB20b)の右上頂点に最大セルサイズのセル52の基準位置(ここでは、例えば、左下頂点)を重ねて配置する。そして、DPB20bとセル52を取り囲むように外接枠50bを作成する。外接枠は、取り囲む複数の矩形(ここでは、DPB20bとセル52)の最も外側に位置する辺と接するように最小サイズの矩形(長方形或いは正方形)で取り囲む枠である。なお、最大セルサイズは予め描画装置100に設定しておけばよい。同様に、残りのDPB20a,20c〜20eについて、それぞれセル52を同様に配置して取り囲むように図示しない外接枠50a,50c〜50eを作成する。
【0030】
関連付(1)工程(S108)として、関連付部76は、面積密度計算用のDPB(1)毎に作成された外接枠50(第2の枠)に基づいて、各照射量演算用のDPB(2)に複数のDPB(1)の少なくとも1つを関連付けする。関連付部76は、第2の関連付部の一例である。
【0031】
図7は、実施の形態1における最大セルサイズのセルとの外接枠と照射量演算用のデータ処理領域との関連付けを説明するための概念図である。図7では、例えば、照射量演算用のDPB(2)として、座標(2,4)のDPB40を示している。座標(2,4)のDPB40と一部でも重なる外接枠50は、DPB20aの外接枠50a、DPB20bの外接枠50ba、DPB20cの外接枠50c、DPB20dの外接枠50d、及びDPB20eの外接枠50eとなる。よって、ここでは、照射量演算用の座標(2,4)のDPB40に対して、面積密度計算用のDPB20a〜20eを関連付けする。残りの座標の各DPB40に対しても、同様に、面積密度計算用のDPB20の少なくとも1つを関連付けする。
【0032】
このように、面積密度計算用のDPB(1)と照射量演算用のDPB(2)とでは、その領域サイズが異なっている。ここで、照射量演算用のDPB(2)で照射量を演算するためには、当該DPB(2)が位置する領域分の面積密度の値が必要となる。よって、ここでは、仮の関連付けを行なった。かかる仮の関連付けにより、照射量演算用のDPB(2)の演算のために最大どの面積密度計算用のDPB(1)が必要かを把握できる。但し、上述した関連付けは、あくまで最大セルサイズのセルを右上の配置した場合の外接枠なので、実際に抽出されたセルを含むが必要以上の大きさになっている。
【0033】
セル抽出工程(S110)として、セル抽出部78は、少なくとも1つの図形パターンを含む複数のセルから、面積密度計算用のDPB(1)毎に、当該面積密度計算用のDPB(1)にセルの基準位置が位置するセルを抽出する。図4(a)に示したように、あるチップ領域を複数のDPB20a〜20eに分割した例では、DPB20a〜20eには、セル30a〜30kが配置される。具体的には、DPB20aには、セル30a,30b,30cの少なくとも一部が含まれている。DPB20bには、セル30b,30c,30d,30e,30fの少なくとも一部が含まれている。DPB20cには、セル30e,30f,30gの少なくとも一部が含まれている。DPB20dには、セル30a,30c,30h,30iの少なくとも一部が含まれている。DPB20eには、セル30f,30g,30j,30kの少なくとも一部が含まれている。かかる場合に、図4(b)において説明したように、実施の形態1では、各DPB(1)に少しでも跨るセルをすべて抽出するのではなく、DPB(1)毎に、当該DPB(1)内にセルの基準位置が位置するセルを抽出する。セルの基準位置としては、例えば、図面の左下の角の位置を用いる。よって、図4(b)に示すように、DPB20aでは、セル30a,30cが抽出される。DPB20bでは、セル30d,30e,30fが抽出される。DPB20cでは、セル30gが抽出される。DPB20dでは、セル30h,30iが抽出される。DPB20eでは、セル30j,30kが抽出される。このように、セルが重複して抽出されず、いずれか1つのDPBに抽出される。なお、セル30bは、図示しないDPB20aの下側に位置するDPBに抽出されることになる。
【0034】
外接枠(2)作成工程(S112)として、外接枠作成部80は、面積密度計算用のDPB(1)毎に、当該面積密度計算用のDPB(1)と抽出されたセルとを取り囲む外接枠(第1の枠)を作成する。外接枠作成部80は、第1の枠作成部の一例である。
【0035】
図8は、実施の形態1における抽出されたセルを用いて作成される外接枠の一例を示す図である。図8において、ある面積密度計算用のDPB(1)(例えば、DPB20b)には、セル30d,30e,30fが抽出される。抽出されセル30d,30e,30fが配置された状態で、DPB20bとセル30d,30e,30fとを取り囲むように外接枠60bを作成する。外接枠は、取り囲む複数の矩形(ここでは、DPB20bとセル30d,30e,30f)の最も外側に位置する辺と接するように最小サイズの矩形(長方形或いは正方形)で取り囲む枠である。図8の例では、DPB20bの左辺と底辺、セル30eの右辺、及び、セル30fの上辺に接触する外接枠60bが示されている。同様に、残りのDPB20a,20c〜20eについて、それぞれ抽出されたセルを同様に配置して取り囲むように図示しない外接枠60a,60c〜60eを作成する。
【0036】
関連付(2)工程(S114)として、関連付部82は、面積密度計算用のDPB(1)毎に作成された外接枠60(第1の枠)に基づいて、各照射量演算用のDPB(2)に複数のDPB(1)の少なくとも1つを関連付けする。このように、関連付部82は、かかる関連付けの際、既に外接枠50に基づいて関連付けされた各照射量演算用のDPB(2)に対し、外接枠60に基づいて関連付けし直す。関連付部82は、第1の関連付部の一例である。ここでは、実際に抽出されたセル30の外接枠なので、最大セルサイズのセル52を使って作成した外接枠50に比べて枠のサイズが小さくできる。
【0037】
図9は、実施の形態1における抽出されたセルとの外接枠と照射量演算用のデータ処理領域との関連付けを説明するための概念図である。図9では、例えば、照射量演算用のDPB(2)として、座標(2,4)のDPB40を示している。座標(2,4)のDPB40と一部でも重なる外接枠60は、DPB20aの外接枠60a、DPB20bの外接枠60ba、DPB20cの外接枠60c、DPB20dの外接枠60d、及びDPB20eの外接枠60eとなる。よって、ここでは、照射量演算用の座標(2,4)のDPB40に対して、面積密度計算用のDPB20a〜20eを関連付けする。残りの座標の各DPB40に対しても、同様に、面積密度計算用のDPB20の少なくとも1つを関連付けする。
【0038】
このように、実際に抽出されたセルを用いた外接枠60で関連付けを行っているため、外接枠60のサイズが最大セルサイズのセルを用いた外接枠50より小さい。よって、図9の例では、照射量演算用の座標(2,4)のDPB40に対して、外接枠50を用いた場合と同じ数の、面積密度計算用のDPB20a〜20eを関連付けしたが、他の座標のDPB40では、関連付けされる面積密度計算用のDPB20の数を少なくできる場合が発生し得る。
【0039】
メッシュ分割工程(S116)として、メッシュ分割部84は、外接枠60毎に、当該外接枠60内を複数のメッシュ領域に分割する。
【0040】
図10は、実施の形態1における外接枠内がメッシュ分割された状態の一例を示す図である。図10では、例えば、DPB20aの外接枠60aが複数のメッシュ領域62にメッシュ分割された例を示している。その他の面積密度計算用のDPB20b〜20eの外接枠60b〜60eについても、それぞれ同様に複数のメッシュ領域に分割される。メッシュサイズは、例えば、近接効果補正を行うためのサイズにすると好適である。例えば、近接効果の影響半径の1/10程度にすると好適である。例えば、1μm程度にすると好適である。ここで、メッシュサイズは、近接効果補正を行うためのサイズに限定されるものではない。例えば、かぶり効果の補正を行うためのサイズにしてもよい。かぶり効果は、その影響半径が、数mmに及ぶため、補正演算を行なうには、かぶり用メッシュのサイズを影響半径の1/10程度、例えば、1mmにすると好適である。
【0041】
面積密度算出工程(S118)として、面積密度算出部86は、外接枠60a毎に、各メッシュ領域62に配置される図形パターンの面積密度ρを算出する。例えば、DPB20aには、セル30a,30cが抽出されている。よって、外接枠60a内には、セル30a,30cが配置される。そこで、これらのセル内の図形パターンが外接枠60aに配置された状態の各メッシュ領域62の面積密度ρを算出する。同様に、その他の面積密度計算用のDPB20b〜20eの外接枠60b〜60eについても、順に、それぞれ各メッシュ領域62に配置される図形パターンの面積密度ρを算出していく。
【0042】
ここで、照射量演算用のある座標のDPB40内での照射量を演算するためには、関連付けされたDPB(1)の面積密度が必要となる。よって、外接枠60で関連付けされたDPB(1)の面積密度の算出が終了するまで照射量の演算は待機せざるを得ない。よって、関連付けされたDPB(1)の面積密度計算の高速化が望まれる。外接枠60は、外接枠50よりもサイズが小さいので、外接枠50を用いる場合に比べて、それぞれの外接枠60内の面積密度ρを計算する計算時間を短縮できる。
【0043】
合成工程(S120)として、合成部90は、異なる複数の外接枠60間における重なるメッシュ領域同士の面積密度ρを合成する。合成部90は、面積密度合成部の一例となる。
【0044】
図11は、実施の形態1における複数の外接枠のメッシュ領域の面積密度の合成を説明するための概念図である。図11では、例えば、DPB20aの外接枠60aとDPB20bの外接枠60bとDPB20dの外接枠60dとの重なり状況の一例を示している。図11では重なる部分を斜線で示している。外接枠60同士が重なっている部分では、その重なっている部分のメッシュ領域でそれぞれ計算された面積密度が累積加算され、合成される。これにより、メッシュ領域毎に、一意に面積密度が決定できる。実施の形態1では、セル抽出工程(S110)において、各DPB(1)に少しでも跨るセルをすべて抽出するのではなく、DPB(1)毎に、当該DPB(1)内にセルの基準位置が位置するセルを抽出した。よって、各メッシュ領域において重複して面積密度が演算されることを回避できる。さらに、外接枠60を用いて、重なる部分のメッシュ領域は合成することで、DPB(1)毎に、DPB(1)内の図形パターンの所属判定を行う必要がない。よって、その分の演算時間を短縮できる。
【0045】
判定工程(S122)として、判定部92は、照射量演算用のDPB40毎に、外接枠60で関連付けされたDPB(1)の面積密度の算出が終了したかどうかを判定する。まだ終了していない場合は判定工程(S122)に戻る。終了している場合には照射量演算へと進む。
【0046】
照射量演算工程(S124)として、照射量演算部94は、計算された面積密度を用いて、電子ビームの照射量を演算する。照射量演算部94は、DPB(2)毎に、外接枠60で関連付けされた少なくとも1つのDPB(1)における面積密度ρの算出が終了した後に、関連付けされた少なくとも1つのDPB(1)における面積密度ρを用いて、電子ビーム200の照射量を演算する。また、照射量演算部94は、DPB(2)を所定のサイズのメッシュ領域に分割して、かかるメッシュ領域(照射量演算用メッシュ)毎に必要な照射量を演算する。照射量は、基準照射量Dbaseに補正係数を乗じた値で演算できる。補正係数として、例えば、近接効果の補正を行うための近接効果補正照射係数Dp(ρ)を用いると好適である。近接効果補正照射係数Dp(ρ)は、近接効果用メッシュのパターン面積密度ρに依存する関数である。また、かぶり補正を行う際には、基準照射量Dbaseに、かぶり効果補正照射係数Df(ρ)を乗じた値で演算できる。かぶり効果補正照射係数Df(ρ)は、かぶり用メッシュのパターン密度ρに依存する関数である。その他、照射量は、ローディング効果補正用の補正係数Dl(ρ)等で補正しても好適である。また、これらの一部或いは全ての補正係数を基準照射量Dbaseに乗じて補正してもよい。これらの補正においてもそれぞれの計算用のメッシュ領域におけるパターン密度が利用される。そして、照射量演算部22は、演算された各照射量を領域毎に定義した照射量マップを作成する。生成された照射量マップは、記憶装置142に記憶される。
【0047】
ショットデータ生成工程(S126)として、ショットデータ生成部96は、記憶装置140から描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。上述したように、描画装置100で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズに描画データに定義された各図形パターンを分割する必要がある。そこで、ショットデータ生成部96は、実際に描画するために、各図形パターンを1回のビームのショットで照射できるサイズに分割してショット図形を生成する。そして、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。生成されたショットデータは、記憶装置142に記憶される。
【0048】
描画工程(S128)として、描画制御部98に制御された制御回路120は、記憶装置142からショットデータと照射量マップを入力し、描画部150を制御し、描画部150は、電子ビーム200を用いて、得られた照射量になるように電子ビーム200を照射することによって、試料101にパターンを描画する。具体的には、以下のように動作する。
【0049】
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形させる)ことができる。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でストライプ領域をさらに仮想分割したサブフィールド(SF)の基準位置にステージ移動に追従しながら該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。
【0050】
以上のように、実施の形態1では、各DPB(1)に少しでも跨るセルをすべて抽出するのではなく、DPB(1)毎に、当該DPB(1)内にセルの基準位置が位置するセルを抽出した。よって、各メッシュ領域において重複して面積密度が演算されることを回避できる。さらに、外接枠60を用いて、重なる部分のメッシュ領域は合成することで、DPB(1)毎に、DPB(1)内の図形パターンの所属判定を行う必要がない。よって、その分の演算時間を短縮できる。よって、DPB(1)内のパターン面積密度ρを計算するまでの計算時間の短縮が可能となる。その結果、その後の描画処理を含めたトータルな描画時間を短縮できる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1では、外接枠50を用いて、仮の関連付けを行ったが、これに限るものではない。実施の形態2では、さらに、簡略化した手法で仮の関連付けを行う構成について説明する。実施の形態2における描画装置100の構成は図1と同様である。
【0052】
図12は、実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図12において、外接枠(1)作成工程(S106)が無くなった点と、関連付(1)工程(S108)の代わりに関連付(1)工程(S109)が追加された点と、以外は図2と同様である。また、以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1と同様である。
【0053】
関連付(1)工程(S109)として、関連付部76は、DPB(2)(第2のデータ処理領域)毎に、当該DPB(2)に向かって描画方向が左側から右側に進む場合にはDPB(2)の右上の頂点より左下側に左下頂点が位置する全てのDPB(1)(第1のデータ処理領域)を当該DPB(2)に関連付けし、描画方向が右側から左側に進む場合にはDPB(2)の左上の頂点より右下側に右下頂点が位置する全てのDPB(1)を当該DPB(2)に関連付けする。関連付部76は、第2の関連付部の一例である。
【0054】
図13は、実施の形態2における関連付けの手法を説明するための概念図である。図13では、例えば、照射量演算用のDPB(2)として、座標(2,4)のDPB40を示している。描画方向がチップ領域の左側から右側に進む場合には、座標(2,4)のDPB40の右上の頂点より左下側に左下頂点が位置するDPB20a,20b,20c,20d,20eを座標(2,4)のDPB40に関連付けする。このようにすれば、座標(2,4)のDPB40に一部でも重なる全てのDPB(1)と関連付けできる。なお、DPB20aでは、後に抽出されるセルが右上側にはみ出すことが想定されるので関連付けされることが望ましい。また、もし、描画方向がチップ領域の右側から左側に進む場合には、座標(2,4)のDPB40の左上の頂点より右下側に右下頂点が位置するDPB20b,20c,20d,20eを座標(2,4)のDPB40に関連付けすればよい。
【0055】
セル抽出工程(S110)から、外接枠(2)作成工程(S112)は、実施の形態1と同様である。
【0056】
関連付(2)工程(S114)として、関連付部82は、面積密度計算用のDPB(1)毎に作成された外接枠60(第1の枠)に基づいて、各照射量演算用のDPB(2)に複数のDPB(1)の少なくとも1つを関連付けする。このように、関連付部82は、当該DPB(2)に向かって描画方向が左側から右側に進む場合には各DPB(2)の右上の頂点よりそれぞれ左下側に左下頂点が位置する全てのDPB(1)が関連付けされた各DPB(2)に対し、外接枠60に基づいて関連付けし直す。また、関連付部82は、当該DPB(2)に向かって描画方向が右側から左側に進む場合には各DPB(2)の左上の頂点よりそれぞれ右下側に右下頂点が位置する全てのDPB(1)が関連付けされた各DPB(2)に対し、外接枠60に基づいて関連付けし直す。以降の各工程は実施の形態1と同様である。
【0057】
以上のように、実施の形態2によれば、仮の外接枠50を作成しなくとも、DPB(1)の頂点位置で関連付けを行なうことができる。よって、その分の工程処理が不要となり、実施の形態1よりもさらにデータ処理時間を短縮できる。よって、実施の形態1よりもさらに、DPB(1)内のパターン面積密度ρを計算するまでの計算時間の短縮が可能となる。その結果、その後の描画処理を含めたトータルな描画時間を短縮できる。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0059】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0060】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0061】
10 チップ領域
20,40 DPB
30,52 セル
50,60 外接枠
62 メッシュ領域
70,72 分割部
74 外接枠作成部
76 関連付部
78 セル抽出部
80 外接枠作成部
82 関連付部
84 メッシュ分割部
86 面積密度算出部
90 合成部
92 判定部
94 照射量演算部
96 ショットデータ生成部
98 描画制御部
100 描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
120 制御回路
140,142 記憶装置
150 描画部
160 制御部
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203,410 第1のアパーチャ
204 投影レンズ
205 偏向器
206,420 第2のアパーチャ
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
330 電子線
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ領域を複数のデータ処理領域に分割するデータ処理領域分割部と、
少なくとも1つの図形パターンを含む複数のセルから、データ処理領域毎に、当該データ処理領域にセルの基準位置が位置するセルを抽出するセル抽出部と、
データ処理領域毎に、当該データ処理領域と抽出されたセルとを取り囲む枠を作成する枠作成部と、
枠毎に、当該枠内を複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域に配置される図形パターンの面積密度を算出する面積密度算出部と、
異なる複数の枠間における重なるメッシュ領域同士の面積密度を合成する面積密度合成部と、
前記面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算する照射量演算部と、
得られた照射量になるように荷電粒子ビームを照射することによって、試料にパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記複数のデータ処理領域を複数の第1のデータ処理領域とし、前記データ処理領域分割部を第1のデータ処理領域分割部とする場合に、
前記チップ領域を前記複数の第1のデータ処理領域とは異なる複数の第2のデータ処理領域に分割する第2のデータ処理領域分割部と、
前記第1のデータ処理領域毎に作成された枠に基づいて、各第2のデータ処理領域に前記複数の第1のデータ処理領域の少なくとも1つを関連付けする関連付部と、
をさらに備え、
前記照射量演算部は、第2のデータ処理領域毎に、関連付けされた少なくとも1つの第1のデータ処理領域における面積密度の算出が終了した後に、関連付けされた少なくとも1つの第1のデータ処理領域における面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記枠を第1の枠とし、前記枠作成部を第1の枠作成部とし、前記関連付部を第1の関連付部とする場合に、
第1のデータ処理領域毎に、当該第1のデータ処理領域のいずれかの頂点に基準位置が重なるように、予め設定された最大セルサイズの最大セルを当該第1のデータ処理領域の外側に配置した場合の当該第1のデータ処理領域と最大セルとを取り囲む第2の枠を作成する第2の枠作成部と、
前記第1のデータ処理領域毎に作成された第2の枠に基づいて、各第2のデータ処理領域に前記複数の第1のデータ処理領域の少なくとも1つを関連付けする第2の関連付部と、
をさらに備え、
前記第2の関連付部による関連付けは、前記第1の関連付部による関連付けよりも先に行われ、
前記第1の関連付部は、前記関連付けの際、前記第2の枠に基づいて関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、前記第1の枠に基づいて関連付けし直すことを特徴とする請求項2記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記関連付部を第1の関連付部とする場合に、
第2のデータ処理領域毎に、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が左側から右側に進む場合には第2のデータ処理領域の右上の頂点より左下側に左下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域を当該第2のデータ処理領域に関連付けし、描画方向が右側から左側に進む場合には第2のデータ処理領域の左上の頂点より右下側に右下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域を当該第2のデータ処理領域に関連付けする第2の関連付部をさらに備え、
前記第2の関連付部による関連付けは、前記第1の関連付部による関連付けよりも先に行われ、
前記第1の関連付部は、前記関連付けの際、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が左側から右側に進む場合には各第2のデータ処理領域の右上の頂点よりそれぞれ左下側に左下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域が関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、当該第2のデータ処理領域に向かって描画方向が右側から左側に進む場合には各第2のデータ処理領域の左上の頂点よりそれぞれ右下側に右下頂点が位置する全ての第1のデータ処理領域が関連付けされた各第2のデータ処理領域に対し、前記枠に基づいて関連付けし直すことを特徴とする請求項2記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
チップ領域を複数のデータ処理領域に分割する工程と、
少なくとも1つの図形パターンを含む複数のセルから、データ処理領域毎に、当該データ処理領域にセルの基準位置が位置するセルを抽出する工程と、
データ処理領域毎に、当該データ処理領域と抽出されたセルとを取り囲む枠を作成する工程と、
枠毎に、当該枠内を複数のメッシュ領域に分割して、各メッシュ領域に配置される図形パターンの面積密度を算出する工程と、
異なる複数の枠間における重なるメッシュ領域同士の面積密度を合成する工程と、
前記面積密度を用いて、荷電粒子ビームの照射量を演算する工程と、
得られた照射量になるように荷電粒子ビームを照射することによって、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−243967(P2012−243967A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113005(P2011−113005)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】