説明

落とし蓋

【課題】従来の落とし蓋は金属、木、樹脂、紙などが素材であった。これらを、使用する際、食材に対し加熱したり調味したりといった作業がなされるが、一緒に入れている落とし蓋も同時に加熱される。光熱費の無駄であるし、また木製や紙製等の場合は煮汁が落とし蓋にもしみこみ大変無駄である。場合によっては紙や木の匂いや味が逆に食品に移ってしまうこともある。加熱するので樹脂製品の場合は環境ホルモンの問題も無視できない。これらを解決する。
【解決手段】食品を材料にした落とし蓋を作る

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理に使用する落とし蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に落とし蓋は金属、木、樹脂などを用いて作られる。家庭に置いては和紙などを丸く切って用いることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の落とし蓋は金属、木、樹脂、紙などが素材であった。これらを、使用する際、食材に対し加熱したり調味したりといった作業がなされるが、一緒に入れている落とし蓋も同時に加熱される。光熱費の無駄であるし、また木製や紙製等の場合は煮汁が落とし蓋にもしみこみ大変無駄である。場合によっては紙や木の匂いや味が逆に食品に移ってしまうこともある。加熱するので樹脂製品の場合は環境ホルモンの問題も無視できない。
上記の状況をふまえ、本発明では加熱や調味が有効に生かされて健康上の心配も無用な落とし蓋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
落とし蓋を食品そのもので作る。昆布や蒟蒻、高野豆腐など長時間の加熱に向くあらゆる食品を素材として適当な形状の落とし蓋を作る。
【発明を実施するための形態】
【0005】
落とし蓋もダシ昆布も煮物の必需品である。本発明品で一石二鳥。使用法は従来の昆布と同様1番だし(1回目の使用)は吸い物などにささっと使い、2番だし(2回目の使用)で煮物の落とし蓋とする。落とし蓋の昆布も煮物と同様に食べてしまえば調味料も光熱費も無駄にならない上に健康にも良い。
昆布の落とし蓋で煮物を作ると昆布からダシが出るのでより美味しく仕上がる。又使用中徐々に柔らかくなり食材に沿うので全体に味が回り、煮くずれもしにくい。昆布を有効に利用するだけでなく煮物もより美味しく仕上がる。
工場で昆布を干す前に丸くカットしておけば小鍋に丁度良い大きさにできる。2回目以降の使用まで清潔に保管する為にフック穴を設ける。このフック穴は繊維方向に直角となる直径の上には設けない。その理由は柔らかくなった昆布がフック穴によって割かれる事を防ぐ為である。繊維方向の直径上か、繊維方向から45度以内にある直径の上に設けることが望ましい。
また、これとは別に煮汁の循環を助ける穴を所々に設ける。
加熱すると昆布が反るので、これを防ぐため切り目を何カ所かに入れておくと良い。実験の結果、昆布の繊維方向に切り目を入れると効果が高い。図2では同じ深さで切り目を入れているがこれに限らない。又外周から離れた内側にも切り目を入れておくと循環穴としても機能する。
細長い昆布から丸くカットすると無駄が出るようだが、カットした残りは更に細かく切って塩昆布等に加工できるので材料に無駄は生じない。
【0006】
蒟蒻も昆布とは違った利点を持つ。蒟蒻を一緒に煮炊きすると煮くずれし難いという性質がある。落とし蓋の素材としては大変優秀な性質である。また蒟蒻はセラミド成分を多量に含み、アトピー肌の改善など保湿効果が認められている。また繊維成分が多いため腸の健康にも良いとされている。煮物をする度に少しずつ蒟蒻を食する事ができれば結構なことである。
蒟蒻は厚さ1〜10mm、望むらくは3〜6mmで鍋の直径に合う円盤形に成型するとよい。円盤の直径は鍋の直径の16cm、18cm、20cm、22cm、24cm、26cmなどに合わせて、直径で1cm〜2cm程度小さく設定する。
型に流して作る方法においては成型する際に流し込む型にあらかじめ穴を設ける設計にしておく。カットする方法では円柱状の蒟蒻に穴を開けてからスライスする。スライスする方が薄いものができる。
保存が利く利点を生かし、成型後乾燥蒟蒻としておくのも良い。
蒟蒻も昆布と同様、循環用の穴を何カ所かに設ける。また現在売られている乾燥糸蒟蒻をもっと薄くまとめたものならば、煮汁に入れすっかり煮ほどけてしまうまでは落とし蓋の役割を果たす。
蒟蒻の落とし蓋は平面状でなく曲面をなしている円盤型でもよい。また少し円錐状だと中央部に煮汁や蒸気があつまり中央部に穴を設けていると循環高率がよい。この場合中も円錐状にくりぬかれていて厚みはほぼ一定のものである。
【0007】
昆布、蒟蒻以外の食材でも落とし蓋を作ることが出来る。
高野豆腐、かんぴょう、麩、春雨、くずきり等、及びこれらの材料を適当な形状に整形したもの、他に形状を自由に整形できるあらゆる食材が原料となる。
【発明の効果】
【0008】
1.落とし蓋を暖めるエネルギーが無駄にならない。
2.落とし蓋にしみこんだ調味料が無駄にならない。
3.落とし蓋の材料の食材としての特徴を生かすことが出来る。
4.昆布の風味が煮物にしみこむので美味しく調理できる。
5.健康によいとされる蒟蒻を食べるチャンスが増える。
6.煮くずれを防ぐ。特に蒟蒻の場合、その性質が生きる。
7.不潔にならない。
8.落とし蓋がより身近になり省エネにも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】落とし蓋の正面図 フック穴を設けた例
【図2】昆布の落とし蓋正面図 図の上下方向が昆布の繊維の方向
【図3】蒟蒻の落とし蓋正面図 中央部に循環穴を3つ設けた例
【符号の説明】
1.落とし蓋
2.昆布
3.蒟蒻
4.フック穴
5.切り目
6.循環用の穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理に使用する落とし蓋であって、一般の煮物程度の時間及び強さで加熱しても損なわれない食品を原料とし、形状を概ね円盤状に加工した落とし蓋。
【請求項2】
コンニャクを原料とする請求項1に記載の落とし蓋。
【請求項3】
乾燥こんにゃくを原料とする請求項1または2に記載の落し蓋。
【請求項4】
昆布を原料として外周から10mm〜40mm内側の位置に直径3mm〜10mm、望むらくは4〜7mmの穴を設け、繊維方向を含む数箇所以上の切り目を外周と内部の少なくとも一方に設けた事を特徴とする請求項1に記載の落とし蓋。
【請求項5】
請求項4に記載の落とし蓋であって、その穴の位置が昆布の繊維方向の直径上にあるか、繊維方向から60度以内にある直径の上に設けることを特徴とする請求項1または4に記載の落し蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−55664(P2012−55664A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219886(P2010−219886)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(300056598)
【Fターム(参考)】