説明

著作権鍵管理方法

【課題】 コンテンツの著作権の保護を図るための有効な鍵の管理方法に関し、記録媒体の秘匿領域内に記録する著作権管理のための鍵を、有効なものだけを効率よく残すことで、記憶領域が無駄に消費されるのを防ぐことができる。
【解決手段】 記録媒体が著作権鍵を管理する装置に挿入された場合に、通常領域20に鍵管理情報が存在せず、かつ秘匿領域21にタイトル鍵25が存在する場合に、秘匿領域21のタイトル鍵25と当該タイトル鍵25の使用不使用の状態を示すための鍵使用フラグとを、たとえ鍵使用フラグが使用状態であっても全て消去し、通常領域20に鍵管理情報が存在し、かつ秘匿領域21にタイトル鍵25が存在する場合に、通常領域20の鍵管理情報が参照していない秘匿領域21のタイトル鍵25を、たとえ鍵使用フラグが使用状態であっても消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘匿領域を有する記録媒体に音楽や映画等のコンテンツの記憶を行い、それらコンテンツの著作権の保護を図るための有効な鍵の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像および音響機器でのデジタル化と小型化が進み、半導体メモリカードのような小型の記録媒体にコンテンツを記録する装置が広まりつつある。そのようなデジタル機器で著作権を有する映像や音声のデジタルコンテンツを記録する場合、コンテンツの複製や配信などを制限するため、コンテンツを暗号化する著作権保護技術が導入されるようになった。例えば半導体メモリカードの中にも、これらの著作権保護を行う目的でSDカード(商標)やメモリスティック(商標)など半導体メモリカードの中に著作権制御機能を搭載し、認証を行って正規の機器と認められた場合に限り書き込み読み出しが可能となる秘匿領域を有するものも広く使用されるようになった。
【0003】
以下に、このような著作権保護機能を有する記録媒体を用いた記録再生装置について説明する。
【0004】
図14は、記録媒体として半導体メモリカードを用いた従来の記録再生装置の一例である。
【0005】
図14において、2はSDカード等の半導体メモリカード(記録媒体)、6は記録再生装置、61は映像信号と音声信号をデジタルで圧縮符号化する符号化部、62はコンテンツ暗号化部、63はメディアインタフェース部、64はコンテンツ暗号復元部、65は圧縮符号化された信号を復号して映像信号と音声信号を出力する復号化部である。
【0006】
記録再生装置6に半導体メモリカード2が挿入された場合、先ず始めに記録再生装置6からみて半導体メモリカード2が正規のメモリカードであるかどうかを確認し、なおかつ、半導体メモリカード2からみて記録再生装置6が正規の装置であるかを確認するために、メディアインタフェース部63が相互認証を行う。相互認証は半導体メモリカード2ごとにメディアユニークな情報を使って行い、相互認証の成功によって半導体メモリカード2の秘匿領域21(図15参照)内のタイトル鍵25等の情報を、記憶および読み出しすることが可能になる。少なくとも、新たな半導体メモリカード2が挿入される毎に相互認証を行う。
【0007】
まず、記録の動作を説明する。入力された映像信号と音声信号を、符号化部61で圧縮符号化する。コンテンツ暗号化部62は、コンテンツ毎にランダムに生成するタイトル鍵25を使って符号化信号を暗号化し暗号化コンテンツ26を出力する。メディアインタフェース部63は、暗号化コンテンツ26を半導体メモリカード2の通常領域20に記録するとともに、秘匿領域21にタイトル鍵25を記録する。どのタイトル鍵25を使用したかがわかるように、対応する使用鍵番号27を通常領域20内のテーブルに記載する。秘匿領域21のタイトル鍵25には、鍵が使用されていることがわかるように、鍵使用フラグ28を立てておく。2回目以降の記録では、通常領域20の使用鍵番号27のテーブルの空き(0)と、秘匿領域21の鍵使用フラグ28の空き(0)とをそれぞれ探して新たな追加記録を行っていく。
【0008】
図15に、従来の記録再生装置6での半導体メモリカード2への記録の一例を示す。
【0009】
図15の例では、5つの暗号化コンテンツ26を記録した状態で6つめ以降に空きがある。図15では理解を容易にするために、使用鍵番号27とタイトル鍵25が全て番号順に対応しているが、コンテンツの一部削除や編集などを行うことで順序が乱れることも許される。この対応付けのために、使用鍵番号27のテーブルが必要となる。また、使用鍵番号27のテーブルから参照されていないタイトル鍵25を簡単に探すのに鍵使用フラグ28が有効となる。
【0010】
次に、再生の動作を説明する。メディアインタフェース部63は、再生したいコンテンツを選択し、あらかじめ相互認証を行って秘匿領域21をアクセスして選択したコンテンツのタイトル鍵25を読み出す。コンテンツ暗号復元部64は、読み出したタイトル鍵25を使って暗号を解く。復号化部65は、圧縮信号を復号化して、映像信号と音声信号を出力する。
【0011】
半導体メモリカード2のメディアユニークな情報は外部からの書き換えを行うことができないため、他の記録媒体に通常領域20の暗号化コンテンツ26を不正にコピーしたとしても、正常に復号を行うことができない。
【0012】
以上のようにして従来の方式では、著作権を有する映像や音声のデジタルコンテンツを記録する場合、コンテンツを暗号化することで、コンテンツの複製などを制限する著作権保護を実現することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2002−15147号公報(段落0044〜0088、図12〜29)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の著作権鍵管理方法では、半導体メモリカード2を、著作権保護の必要のない通常のデジタルスチルカメラなどでも使用することができ、このような機器で半導体メモリカード2を共用して使用することで問題が発生する場合があった。
【0014】
ユーザが撮影した画像のような著作権保護の必要のない画像のみを扱うような機器では、半導体メモリカード2の秘匿領域21にアクセスする必要は全くないため、通常領域20のみを使用する。例えば、半導体メモリカード2をはじめて使用する場合に半導体メモリカード2の情報を初期化(フォーマット)する機能が一般的に搭載されているが、秘匿領域21はそのままにして、通常領域20のみを初期化してしまう機器も多い。デジタルスチルカメラのみならずパソコン等での初期化でも同様である。
【0015】
もしその場合、コンテンツ管理のためのタイトル鍵25が、著作権保護を行う機能を有する機器によって既に秘匿領域21に記録されていた場合、通常領域20のみ初期化を行うことで秘匿領域21のタイトル鍵25がそのまま残されてしまい、秘匿領域21の記憶領域を無駄に消費した状態になってしまう。
【0016】
その後、その半導体メモリカード2で秘匿領域21の初期化を行わずに、著作権保護機能を有する従来の機器で再度追加記録を行った場合、一部のタイトル鍵25が使用された状態のままになっているため、追加記録可能な領域が減少してしまう。場合によっては、秘匿領域21にコンテンツ管理のためのタイトル鍵25が、記録可能な上限まで使用された状態になってしまい、通常領域20の記録可能領域は十分空いているのに記録できないといった問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の著作権鍵管理方法は、自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグを記録し、前記記録媒体が著作権鍵を管理する装置に挿入された場合に、前記通常領域に鍵管理情報が存在せず、かつ前記秘匿領域に前記タイトル鍵が存在する場合に、前記秘匿領域のタイトル鍵と当該タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグとを、たとえ前記鍵使用フラグが使用状態であっても全て消去し、前記通常領域に鍵管理情報が存在し、かつ前記秘匿領域に前記タイトル鍵が存在する場合に、前記通常領域の鍵管理情報が参照していない前記秘匿領域の前記タイトル鍵を、たとえ前記鍵使用フラグが使用状態であっても消去することを特長とする。
【0018】
本発明の著作権鍵管理方法によれば、記録媒体を使用した場合に、秘匿領域の鍵使用フラグが使用状態を示すタイトル鍵であっても初期化することで、無駄に秘匿領域を消費しないようにでき、秘匿領域を扱わない機器との混在使用を行っても、通常領域に容量が残っているにもかかわらず記録ができないような問題が発生しない。
【0019】
本発明の著作権鍵管理方法は、自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグを記録し、前記記録媒体に著作権鍵を管理する装置でコンテンツの記録を行う場合に、前記通常領域の鍵管理情報上は前記秘匿領域の前記タイトル鍵の領域に空きが存在し、かつ前記秘匿領域の鍵管理情報はこれ以上記録できない数の前記タイトル鍵が使用されている状態になっている場合に、前記秘匿領域の前記タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグを、たとえ当該鍵使用フラグが使用状態であっても少なくとも一つ以上消去して空いたタイトル鍵領域を使用することを特長とする。
【0020】
本発明の著作権鍵管理方法によれば、コンテンツの記録時に、秘匿領域のタイトル鍵の記憶領域が不足する場合に秘匿領域の鍵使用フラグが使用状態を示すタイトル鍵であっても不要なタイトル鍵の初期化を行いその領域を使用するようにすることで、タイトル鍵を最大限残しつつ無駄に秘匿領域を消費するのを防いでいる。また、秘匿領域を扱わない機器あるいは従来の記録再生装置との記録媒体の混在使用を行っても、通常領域に容量が残っているにもかかわらず記録ができないような問題が発生せず、かつ鍵を最大限残すことができるため、何らかの理由で意図的に鍵だけを残すような利用をした場合に、鍵の消去を最小限の抑えることができる。
【0021】
本発明の著作権鍵管理方法は、自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグと、前記タイトル鍵を削除してもよいかどうかを示すための鍵削除不可フラグとを記録し、前記記録媒体に著作権鍵を管理する装置でコンテンツの記録を行う場合に、前記通常領域の鍵管理情報上は前記秘匿領域の前記タイトル鍵の領域に空きが存在し、かつ前記秘匿領域の鍵管理情報はこれ以上記録できない数の前記タイトル鍵が使用されている状態になっている場合に、前記秘匿領域の前記タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグを、たとえ当該鍵使用フラグが使用状態であっても前記秘匿領域の前記鍵削除不可フラグが削除可能となっている中から少なくとも一つ以上消去して空いたタイトル鍵領域を使用することを特長とする。
【0022】
本発明の著作権鍵管理方法によれば、コンテンツの記録時に、秘匿領域のタイトル鍵の記憶領域が不足する場合に、タイトル鍵を意図的に残すことを示す鍵削除不可フラグが立っていない範囲で、秘匿領域の鍵使用フラグが使用状態を示すタイトル鍵であっても不要なタイトル鍵の初期化を行い、その領域を使用するようにすることで、記録媒体の秘匿領域内の利用してない必要なタイトル鍵が、不用意に消去されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の著作権鍵管理方法によると、記録媒体の秘匿領域内に記録する著作権管理のための鍵を、有効なものだけを効率よく残すことで、記憶領域が無駄に消費されるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1ないし図7を参照しながら説明する。
【0025】
図1は記録再生装置のブロック図、図2は記録媒体のブロック図、図3〜6は記録媒体の記録説明図、図7は著作権鍵管理方法のフローチャートである。
【0026】
図1において、1は記録再生装置、2は半導体メモリカード(記録媒体)、11は映像信号と音声信号をデジタルで圧縮符号化する符号化部、12はコンテンツ暗号化部、13はメディアインタフェース部、14はコンテンツ暗号復元部、15は圧縮符号化された信号を復号して映像信号と音声信号を出力する復号化部である。
【0027】
なお、記録再生装置1は、図14に示した記録再生装置6と同様に構成されており、各部の説明は省略する。ただし、メディアインタフェース部13の動作については、メディアインタフェース部63とは異なる。
【0028】
図2は記録媒体の一例である半導体メモリカード2の構成例を示す。
【0029】
半導体メモリカード2の内部の記憶領域は大別すると2つの領域に分割されており、特定の手続きを経てのみアクセス可能な秘匿領域21と、通常の手続きでアクセス可能な通常領域20からなる。秘匿領域21には、読み出し専用のMKB(メディア・キー・ブロック)23とメディアID24が書き込まれている。メディアID24は、各メディア毎にユニークなIDであってメモリカード製造時にあらかじめ記録される。また、秘匿領域21の読み書き可能なエリアに、コンテンツを暗号化するためのタイトル鍵(著作権鍵)25や鍵管理情報を保存することができる。通常領域20は、ユーザが通常のアクセス方法で自由に読み書き可能であり、暗号化されたコンテンツ26や鍵管理情報を保存することができる。また、この例では半導体メモリカード2内部に、相互認証と鍵交換を行うためのAKE(オーセンティケーション・アンド・キー・エクスチェンジ)処理部22を有している。
【0030】
記録媒体としては、必ずしも全て半導体である必要はなく、例えば磁気記録を使った小型ハードディスクのようなものを利用したものであってもよい。
【0031】
記録再生装置1に半導体メモリカード2が挿入された場合、メディアインタフェース部13は先ず始めに記録再生装置1からみて半導体メモリカード2が正規のメモリカードであるかどうかを確認し、また、半導体メモリカード2からみて記録再生装置1が正規の装置であるかを確認するため相互認証を行う。相互認証は、メディアインタフェース部13が半導体メモリカード2からまず所定の手続きによってMKB23とメディアID24とを読み出し、これらとメディアインタフェース部13が所有するデバイス固有の鍵を用いて所定の演算処理を行うことで、メディアユニーク鍵Kmuを算出する。次に、メディアインタフェース部13が発生した乱数を使って所定の演算をすることで、お互いの持つメディアユニーク鍵Kmuが一致していることを確認し相互認証を完了する。この相互認証が成功することによって、秘匿領域21のアクセスが可能になる。また、相互認証時に所定の演算によって得られるセッション鍵Ksによって、秘匿領域21内部のタイトル鍵25等の情報を記憶および読み出しすることが可能になる。相互認証は、少なくとも新たな半導体メモリカード2が挿入される毎に行う。
【0032】
次に、記録の動作を説明する。入力された映像信号と音声信号を符号化部11で圧縮符号化する。コンテンツ暗号化部12は、コンテンツ毎にランダムに生成するタイトル鍵25を使って符号化信号を暗号化し暗号化コンテンツ26を出力する。メディアインタフェース部13は、暗号化コンテンツ26を半導体メモリカード2の通常領域20に記録するとともに、秘匿領域21にタイトル鍵25を記録する。どのタイトル鍵25を使用したかがわかるように、使用鍵番号27を通常領域20内のテーブルに記載する。秘匿領域21のタイトル鍵25には鍵が使用されていることがわかるように、鍵使用フラグ28を立てておく。2回目以降の記録では、通常領域20の使用鍵番号27のテーブルの空き(0)と、秘匿領域21の鍵使用フラグ28の空き(0)とをそれぞれ探して新たな記録を行っていく。
【0033】
次に、図3〜7を用いて著作権鍵管理方法について説明する。
【0034】
ここで一例として、従来の記録再生装置で説明した記録状態の半導体メモリカード2(図15)があるものとする。図15の例では、5つの暗号化コンテンツ26を記録した状態で6つめに空きがあり、使用鍵番号27とタイトル鍵25が全て番号順に対応している。
【0035】
このような状態の半導体メモリカード2を通常領域20のみ初期化すると、通常領域20の使用鍵番号27のリストや暗号化コンテンツ26が存在しない、初期状態と同じ図3に相当する状態となる。このような半導体メモリカード2が記録再生装置1に挿入されると、メディアインタフェース部13は通常領域20に使用鍵番号(通常領域の鍵管理情報)27のリストが存在するかを判断し(図7のS31)、使用鍵番号27のリストが存在しないため、メディアインタフェース部13は秘匿領域21のタイトル鍵25と鍵使用フラグ28を全て消去し(同S32)、図4の状態にする。
【0036】
また、図3の状態の半導体メモリカード2を、従来の記録再生装置6によって記録した場合、タイトル鍵25が5つ既に使用されている状態になっているため、図5のような状態となる。このような半導体メモリカード2が記録再生装置1に挿入されると、メディアインタフェース部13は通常領域20に使用鍵番号27のリストが存在するかを判断し(同S31)、使用鍵番号27のリストが存在するため、次に秘匿領域21に鍵使用フラグ(秘匿領域の鍵管理情報)28のリストが存在するかを判断する(同S33)。鍵使用フラグ28のリストが存在しなければそのまま終了し、鍵使用フラグ28のリストが存在すれば、メディアインタフェース部13は使用鍵番号が使われていない#1から#5のタイトル鍵をすべて消去し(同S34)、これらの鍵使用フラグを(0)にし、図6のような状態となる。
【0037】
このように構成された著作権鍵管理方法によれば、半導体メモリカード2を挿入した場合に、秘匿領域21の鍵使用フラグ28が使用状態を示すタイトル鍵25であっても、初期化することで、使用していないタイトル鍵25ならびに当該鍵使用フラグ28を削除し、秘匿領域21が無駄に消費されるのを防ぐとともに、使用していないタイトル鍵25によって追加可能な領域が減少してしまうのを防止できる。
【0038】
また、秘匿領域21を扱わない機器との混在使用を行っても、使用していないタイトル鍵25ならびに当該鍵使用フラグ28を削除することで、通常領域20に容量が残っているにもかかわらず記録ができないという問題が発生するのを防ぐことができる。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について、図1,2,8〜10を参照しながら説明する。
【0040】
図1は記録再生装置のブロック図、図2は記録媒体のブロック図、図8,9は記録媒体の記録説明図、図10は著作権鍵管理方法のフローチャートである。
【0041】
なお、記録再生装置1および半導体メモリカード2の構成は、実施の形態1と同様であり、各部の説明は省略する。ただし、メディアインタフェース部13の動作については、実施の形態1とは異なる。
【0042】
図8〜10を用いて著作権鍵管理方法について説明する。
【0043】
ここで一例として、実施の形態1の図3で説明したような記録状態の半導体メモリカード2であって、従来の記録再生装置6で暗号化コンテンツ1〜3まで記録されているものがあるとする。この半導体メモリカード2を図8に示す。図8の例では、5つのタイトル鍵25が使用鍵番号27のリストから参照されない状態で使用状態になっている。
【0044】
このような状態の半導体メモリカード2を記録再生装置1に挿入し、記録を開始しようとした場合、メディアインタフェース部13は、まず通常領域20から使用鍵番号27のリストを読み出し(図10のS41)、使用鍵番号27に空きがあることを確認する(同S42)。図8の例では4番目以降が空いているため、4番目に記録を行うことに決定する。次に、必要であれば相互認証を行い、秘匿領域21から鍵使用フラグ28のリストを読み出し(同S43)、鍵使用フラグ28に空きがあるかを確認する(同S44)。もし、空きが無い場合、使用鍵番号27のリストから参照されていないタイトル鍵25があるかどうかを順に確認する(同S45)。タイトル鍵#1が参照されていないため、使用されていないと判断し、この#1の鍵領域を使用してタイトル鍵25を新たに生成し(同S46)、そのタイトル鍵25で暗号化を行って記録を行う(同S48)。なお、S44で、鍵使用フラグ28に空きがある場合、その鍵使用フラグ28を(1)にして新たにタイトル鍵25を生成し(同S47)、そのタイトル鍵25で暗号化を行って記録を行う(同S48)。記録後の半導体メモリカード2の状態を図9に示す。
【0045】
このように構成された著作権鍵管理方法によれば、コンテンツの記録時に、秘匿領域21の鍵の記憶領域が不足する場合に、秘匿領域21の鍵使用フラグ28が使用状態を示すタイトル鍵25であっても、不要なタイトル鍵25の初期化を行い、その領域を使用するようにすることで、タイトル鍵25を最大限残しつつ無駄に秘匿領域21が消費されるのを防止できる。
【0046】
また、秘匿領域21を扱わない機器あるいは従来の記録再生装置6との半導体メモリカード2の混在使用を行っても、通常領域20に容量が残っているにもかかわらず記録ができないような問題が発生せず、なおかつタイトル鍵25を最大限残すことができるため、何らかの理由で意図的にタイトル鍵25だけを残すような利用をした場合に、タイトル鍵25の消去を最小限の抑えることができる。
【0047】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態2について、図1,2,11〜13を参照しながら説明する。
【0048】
図1は記録再生装置のブロック図、図2は記録媒体のブロック図、図11,12は記録媒体の記録説明図、図13は著作権鍵管理方法のフローチャートである。
【0049】
なお、記録再生装置1および半導体メモリカード2の構成は、実施の形態1と同様であり、各部の説明は省略する。ただし、メディアインタフェース部13の動作については、実施の形態1とは異なる。
【0050】
ここで一例として、実施の形態1の図3で説明したような記録状態の半導体メモリカード2であって、従来の記録再生装置6で暗号化コンテンツ1〜3まで記録されているものがあるとする。この半導体メモリカード2を図11に示す。図11の例では、5つのタイトル鍵25が使用鍵番号27のリストから参照されない状態で使用状態になっている。また、秘匿領域21にはタイトル鍵25の削除をしてもよいかどうかの鍵削除不可フラグ(秘匿領域の鍵管理情報)29が新たに設けられており、この例ではタイトル鍵#1が削除不可となっているものとする。この鍵削除不可フラグ29は、例えば半導体メモリカード2を鍵束として使用し、記録再生装置1とは異なる特定の装置にこのカードを挿入した場合に、その鍵を参照してその装置の内部のコンテンツをこの鍵を使って暗号を解くような用途のために用いられる。
【0051】
このような状態の半導体メモリカード2を記録再生装置1に挿入し、記録を開始しようとした場合、メディアインタフェース部13は、まず通常領域20から使用鍵番号27のリストを読み出し(図13のS51)、使用鍵番号27に空きがあることを確認する(同S52)。図11の例では4番目以降が空いているため、4番目に記録を行うことに決定する。次に、必要であれば相互認証を行い、秘匿領域21から鍵使用フラグ28のリストを読み出し(同S53)、鍵使用フラグ28に空きがあるかを確認する(同S54)。もし、空きが無い場合、使用鍵番号27のリストから参照されていないタイトル鍵25があるかどうかを順に確認する(同S55)。タイトル鍵#1は鍵削除不可フラグ29が立っているため使用できないと判断し、次のタイトル鍵#2を調査する。タイトル鍵#2は使用鍵番号27のリストから参照されていないため、使用されていないと判断し、かつ鍵削除不可フラグ29が立っていないため使用できると判断し、この#2の鍵領域を使用してタイトル鍵25を新たに生成し(同S56)、そのタイトル鍵25で暗号化を行って記録を行う(同S58)。なお、S54で、鍵使用フラグ28に空きがある場合、その鍵使用フラグ28を(1)にして新たにタイトル鍵25を生成し(同S57)、そのタイトル鍵25で暗号化を行って記録を行う(同S58)。記録後の半導体メモリカード2の状態を図12に示す。
【0052】
このように構成された著作権鍵管理方法によれば、コンテンツの記録時に、秘匿領域21のタイトル鍵25の記憶領域が不足する場合に、タイトル鍵25を意図的に残すことを示す鍵削除不可フラグ29が立っていない範囲で、秘匿領域21の鍵使用フラグ28が使用状態を示すタイトル鍵25であっても、不要なタイトル鍵25の初期化を行い、その領域を使用するようにすることで、必要なタイトル鍵25を残しつつ無駄に秘匿領域21が消費されるのを防止できる。
【0053】
また、秘匿領域21を扱わない機器あるいは従来の記録再生装置6との半導体メモリカード2の混在使用を行っても、通常領域20に容量が残っているにもかかわらず記録ができないような問題が発生せず、なおかつその半導体メモリカード2内で利用してない秘匿領域21内の必要なタイトル鍵25を、鍵削除不可フラグ29によって残すことができるため、何らかの理由で意図的にタイトル鍵25だけを残すような利用をした場合に、必要なタイトル鍵25が誤って消去されるのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、半導体メモリカードのような小型の記録媒体に映像や音声のデジタルコンテンツを記録するデジタル機器における著作権鍵管理方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態における記録再生装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態における記録媒体のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における記録媒体の記録説明図
【図4】本発明の実施の形態1における記録媒体の記録説明図
【図5】本発明の実施の形態1における記録媒体の記録説明図
【図6】本発明の実施の形態1における記録媒体の記録説明図
【図7】本発明の実施の形態1における著作権鍵管理方法のフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2における記録媒体の記録説明図
【図9】本発明の実施の形態2における記録媒体の記録説明図
【図10】本発明の実施の形態2における著作権鍵管理方法のフローチャート
【図11】本発明の実施の形態3における記録媒体の記録説明図
【図12】本発明の実施の形態3における記録媒体の記録説明図
【図13】本発明の実施の形態3における著作権鍵管理方法のフローチャート
【図14】従来例における記録再生装置のブロック図
【図15】従来例における記録媒体の記録説明図
【符号の説明】
【0056】
1 記録再生装置
2 半導体メモリカード(記録媒体)
11 符号化部
12 コンテンツ暗号化部
13 メディアインタフェース部
14 コンテンツ暗号復元部
15 復号化部
20 通常領域
21 秘匿領域
22 AKE処理部
23 MKB
24 メディアID
25 タイトル鍵(著作権鍵)
26 暗号化コンテンツ
27 使用鍵番号(通常領域の鍵管理情報)
28 鍵使用フラグ(秘匿領域の鍵管理情報)
29 鍵削除不可フラグ(秘匿領域の鍵管理情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、
前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグを記録し、
前記記録媒体が著作権鍵を管理する装置に挿入された場合に、前記通常領域に鍵管理情報が存在せず、かつ前記秘匿領域に前記タイトル鍵が存在する場合に、前記秘匿領域のタイトル鍵と当該タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグとを、たとえ前記鍵使用フラグが使用状態であっても全て消去し、
前記通常領域に鍵管理情報が存在し、かつ前記秘匿領域に前記タイトル鍵が存在する場合に、前記通常領域の鍵管理情報が参照していない前記秘匿領域の前記タイトル鍵を、たとえ前記鍵使用フラグが使用状態であっても消去する、ことを特長とする著作権鍵管理方法。
【請求項2】
自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、
前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグを記録し、
前記記録媒体に著作権鍵を管理する装置でコンテンツの記録を行う場合に、前記通常領域の鍵管理情報上は前記秘匿領域の前記タイトル鍵の領域に空きが存在し、かつ前記秘匿領域の鍵管理情報はこれ以上記録できない数の前記タイトル鍵が使用されている状態になっている場合に、前記秘匿領域の前記タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグを、たとえ当該鍵使用フラグが使用状態であっても少なくとも一つ以上消去して空いたタイトル鍵領域を使用する、ことを特長とする著作権鍵管理方法。
【請求項3】
自由にアクセスできる通常領域と認証を行ってのみアクセス可能な秘匿領域とを有する記録媒体を使用し、前記通常領域に暗号化コンテンツと,当該暗号化コンテンツの暗号を行ったタイトル鍵とを対応付けするための鍵管理情報とを記憶させ、前記秘匿領域にコンテンツのタイトル鍵と,当該タイトル鍵の有効性を管理する鍵管理情報とを記憶させる著作権鍵管理方法であって、
前記秘匿領域の鍵管理情報として、前記タイトル鍵が前記通常領域で使用されているか使用されていないかの状態を示すための鍵使用フラグと、前記タイトル鍵を削除してもよいかどうかを示すための鍵削除不可フラグとを記録し、
前記記録媒体に著作権鍵を管理する装置でコンテンツの記録を行う場合に、前記通常領域の鍵管理情報上は前記秘匿領域の前記タイトル鍵の領域に空きが存在し、かつ前記秘匿領域の鍵管理情報はこれ以上記録できない数の前記タイトル鍵が使用されている状態になっている場合に、前記秘匿領域の前記タイトル鍵の使用不使用の状態を示すための前記鍵使用フラグを、たとえ当該鍵使用フラグが使用状態であっても前記秘匿領域の前記鍵削除不可フラグが削除可能となっている中から少なくとも一つ以上消去して空いたタイトル鍵領域を使用する、ことを特長とする著作権鍵管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−217218(P2006−217218A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27427(P2005−27427)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】