説明

蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラント

【課題】蒸気タービンプラントとガスタービンコンバインドサイクルプラントの並存型の発電プラントを提供することを目的とする。
【解決手段】蒸気タービンプラント30の給水53aを加熱するために、ガスタービンコンバインドサイクルプラント1に給水過熱器27を設けて排ガスの排熱を回収、有効利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンプラントとガスタービンコンバインドプラントを併設した発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、図10に示すガスタービンコンバインドサイクルプラント101(以下「GTCCプラント」と略す)と、蒸気タービンプラント130とが知られている。
【0003】
GTCCプラント101は、主に天然ガスなどの軽質燃料5が用いられ、排熱も排熱回収ボイラ109で利用できるので高い熱効率を有している。排熱回収ボイラ109の給水は、ガスタービン107の下流の比較的温度の低い大量の排ガスを用いることができるため、蒸気を利用して給水加熱を行うことは必要としない。
【0004】
一方、蒸気タービンプラント130は、安価な石炭・重油などの重質燃料50が利用可能であるが、その熱効率はGTCCプラント101に比べて低い。ボイラ132の排ガス流量が少ないため、蒸気タービン143等から蒸気の一部を抽気145して給水過熱器146を設けて給水を加熱する必要がある。この給水を別の熱源で加熱をすることができれば、抽気145を低減させて、その分だけ蒸気タービンの出力を取り出すことができ、熱効率の向上が期待できる。
【0005】
ところで、天然ガスなどの軽質燃料は重質燃料に比べその価格が高いため、GTCCプラント101での燃焼器106に重質燃料が直接投入できれば経済的である。しかし、燃料の性状から価格の安い重質燃料を燃焼器106に直接投入することはできない。そこで、GTCCプラント101に石炭ガス化炉、加圧流動床炉、石炭焼却炉などを併設する必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−146813号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、GTCCプラントに石炭ガス化炉、加圧流動床炉、石炭焼却炉などを併設すれば、複雑で高価な機器構成が必要となる。
【0008】
そこで、本発明は従来型の蒸気タービンプラントに、少ない機器構成の追加で、石炭などの重質燃料を利用することのできるより高い熱効率の発電プラントを提供することを目的とする。
さらに本発明では、既存の蒸気タービンプラントに、少ない機器構成の追加工事でGTCCプラントを追設して、既存設備を活用して石炭などの重質燃料を利用することのできるより高い熱効率の発電プラントのリパワリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の発電プラントは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる第1の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記蒸気タービンプラントの給水は、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの排ガスを用いた給水加熱器により加熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0010】
GTCCプラントの排ガスを用いて蒸気タービンプラントの給水を加熱することで、蒸気ガスタービンプラントの蒸気タービンからの抽気を減らすことができ、高い熱効率が得られる。
【0011】
本発明に係る第2の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記蒸気タービンプラントの給水は、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントに設けられた圧縮機から排出される圧縮空気の排熱を用いた給水加熱器により加熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0012】
圧縮機の圧縮空気の一部を冷却する冷却空気熱交換器の排熱を用いて、蒸気タービンプラントの給水加熱を行うことでき、蒸気タービンからの抽気を減らして給水加熱を行うことができ、高い熱効率が得られる。
【0013】
本発明に係る第3の形態は、前記圧縮機は、圧縮機上流段と圧縮機下流段の二段式圧縮機とされ、前記圧縮機空気の排熱は、前記圧縮機上流段と前記圧縮機下流段との間を流れる圧縮空気の排熱であることを特徴とする第2の形態に記載のガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0014】
前記圧縮機上流段と前記圧縮機下流段との間を流れる圧縮空気の排熱を利用して、蒸気タービンプラントの給水を加熱することにより、圧縮機中間段の空気を冷却することができ、圧縮機動力を削減することができる。少ない圧縮空気の抽気で給水加熱を行うことができる。
【0015】
本発明に係る第4の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラで発生する蒸気は、前記蒸気タービンプラントのボイラにより過熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0016】
排熱回収ボイラに、高圧過熱器、低圧過熱器が設けられている場合に、排熱回収ボイラで発生する蒸気は、排熱回収ボイラの高圧過熱器から発生する蒸気が蒸気タービンプラントのボイラにより過熱されることにしてもよく、また、排熱回収ボイラで発生する蒸気は、排熱回収ボイラの低圧過熱器から発生する蒸気が蒸気タービンプラントのボイラにより過熱されることにしてもよい。
【0017】
GTCCプラントの排熱回収ボイラで発生する蒸気を、蒸気タービンプラントのボイラで過熱することにより、ガスタービン出口の排ガスよりも高い温度で蒸気を過熱することができる。そのため、より高い温度の蒸気を得られることができ、過熱蒸気量を増大させることができる。更に、伝熱面積を削減しコンパクトな発電プラントとすることができる。
【0018】
本発明に係る第5の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの高圧蒸気タービンを通過した蒸気を、前記蒸気タービンプラントのボイラにより再熱して前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの低圧蒸気タービンに導入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0019】
GTCCプラントの高圧タービンを出た蒸気を蒸気タービンプラントのボイラで再熱することにより、ガスタービン出口の排ガスよりも高い温度で加熱することができる。そのため、より高い温度の蒸気を得られることができ、過熱蒸気量を増大させることができる。また、伝熱面積を削減しコンパクトな発電プラントとすることができる。
【0020】
本発明に係る第6の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントのボイラに設けられた節炭器により給水を加熱し、前記給水を前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた貫流ボイラで加熱して蒸気を得ることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0021】
GTCCプラントの排熱回収ボイラで加熱された給水を蒸気タービンプラントのボイラで蒸気とすることができる。ガスタービン出口の排ガスよりも高い温度で蒸気を加熱することができるため、より高い温度の蒸気を得ることができ、過熱蒸気量も増大させることができる。更に、伝熱面積を削減しコンパクトな発電プラントとすることができる。
【0022】
本発明に係る第7の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの圧縮機で圧縮された空気を、前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた空気予熱熱交換器により加熱して前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの燃焼器に導入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0023】
GTCCプラントの圧縮機で圧縮された空気を、蒸気タービンプラントのボイラに設けられた空気予熱熱交換器で加熱することにより、燃焼器に投入する前に圧縮空気を高い温度に上昇させることができるので、燃焼器において投入する燃料を減少させることができる。
【0024】
本発明に係る第8の形態は、蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの燃焼器で用いられる燃料を、前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた燃料改質器により水素リッチ燃料に改質して、前記燃焼器に投入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラントを構成とする。
【0025】
GTCCプラントの燃焼器で用いられる燃料を改質して発熱量を高めることにより、燃焼器に投入する燃料を削減することができる。
【0026】
本発明に係る第9の形態は、第1の形態乃至第8の形態のいずれかに記載のガスタービンコンバインドサイクルプラントと、該ガスタービンコンバインドサイクルプラントに組み合わされる蒸気タービンプラントとを備えた発電プラントを構成とする。
【0027】
蒸気タービンプラントとGTCCプラントとを併設した発電プラントとすることで、熱効率の高い発電プラントとすることができる。
【0028】
本発明に係る第10の形態は、既存の蒸気タービンプラントに対して、第1の形態1乃至第8の形態のいずれかに記載のガスタービンコンバインドサイクルプラントを併設することを特徴とする発電所のリパワリング方法である。
【0029】
既存発電所の蒸気タービンプラントに、ガスタービンコンバインドサイクルを新たに設置して、発電所の出力を増強することができる。既存のインフラ設備を有効利用することができる。そのため発電コストの節約ができる。
【0030】
本発明に係る第11の形態は、第9の形態に記載の発電プラントにより発電する発電方法である。
【0031】
熱効率の高い発電プラントを運転して発電することにより、発電コストを節約できる。
【発明の効果】
【0032】
GTCCプラントと蒸気タービンプラントとを併設することにより、GTCCプラントと蒸気タービンプラントをそれぞれ単独で運転するよりも、熱効率を高めることができる。また、それぞれ単独で運転するよりも軽質燃料を減じることができる。その結果、発電コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備えている。
【0034】
本実施形態のGTCCプラント1は、圧縮機4、燃焼器6、ガスタービン7、排熱回収ボイラ9、蒸気タービン18,21、発電機8,19,22、給水加熱器27等を備えている。
一方、蒸気タービンプラント30は、ボイラ32、蒸気タービン41,43、発電機42,44、給水加熱器46、復水器47等を備えている。
【0035】
まず、GTCCプラント1について説明する。
ガスタービン7を稼動するため、圧縮機4は外部から取り入れた空気3を圧縮する。圧縮された空気は燃焼器6に送られ、軽質燃料5とともに燃焼される。燃焼器6から排出される排ガスはガスタービン7を稼動する。ガスタービン7は、接続された発電機8を回転させ発電を行う。
軽質燃料5として、天然ガス、都市ガス、灯油、軽油、ガソリン、A重油などの軽質燃料を用いることができる。
【0036】
次にガスタービン7を稼動させた排ガスは、排熱回収ボイラ(HRSG)9へ移送される。排熱回収ボイラ9は、蒸気タービン18,21で稼動するための蒸気17,20を発生させる。その後、排ガスは排熱回収ボイラ9から給水加熱器27を通って排気28となる。
【0037】
排熱回収ボイラ9の内部には、低圧節炭器10、低圧蒸発器11、低圧過熱器12、高圧節炭器13、高圧蒸発器14、高圧過熱器15が内装されている。
節炭器は、ボイラの排出ガスの熱を使って蒸気ボイラの給水を加熱し、ボイラの効率を向上させる。蒸発器は、液体に戻っていた水を再び蒸気とする。過熱器は蒸発器から発生した蒸気を乾き蒸気にするための加熱装置である。
【0038】
低圧節炭器10と低圧蒸発器11と低圧過熱器12により低圧蒸気20が生成される。発生した低圧蒸気20により、低圧蒸気タービン21を稼動する。発電機22は低圧蒸気タービン21の回転エネルギーを電力に変換する。
低圧節炭器10から低圧蒸発器11へラインは、途中より高圧節炭器13へのラインが分岐されていて、ポンプ16により高圧節炭器13にもボイラ給水が供給される。
【0039】
高圧節炭器13と高圧蒸発器14と高圧過熱器15により高圧蒸気17aが生成される。発生した高圧蒸気17aにより、高圧蒸気タービン18を稼動する。発電機19は高圧蒸気タービン18の回転エネルギーを電力に変換する。高圧蒸気タービン18で使用された蒸気は、低圧過熱器12から供給される高圧蒸気20に混合され、低圧蒸気タービン21を稼動する。
【0040】
低圧蒸気タービン21を稼動させた蒸気は、復水器24で冷却冷媒23により給水に戻される。この給水26はポンプ25により再び排熱回収ボイラ9の低圧節炭器10に供給される。
【0041】
次に、蒸気タービンプラント30について説明する。
ボイラ32で軽質重質燃料50により蒸気を発生させる。軽質重質燃料50として、石炭、重油などの重質燃料を用いることができる。
【0042】
ボイラ32の内部には、低圧節炭器33、低圧蒸発器34、低圧過熱器35、高圧節炭器36、高圧蒸発器37、高圧過熱器38が内装されている。
【0043】
まず、給水が低圧節炭器33に供給されて給水が加熱され、次に加熱された給水は、低圧蒸発器34に移送されて蒸気となり、発生した蒸気は低圧過熱器35に移送されて過熱される。
また、低圧節炭器33で加熱された給水の一部は、低圧蒸発器34に移送する際、その一部がポンプ39により、高圧節炭器36に導入される。
給水が高圧節炭器36に供給されて給水は更に加熱され、加熱された給水は高圧蒸発器37に移送されて蒸気となり、発生した蒸気は高圧過熱器38に移送されて過熱される。
【0044】
高圧過熱器38で発生した高圧蒸気40は、高圧蒸気タービン41を稼動し、発電機42を回転させ発電が行われる。高圧蒸気タービン41を通過した高圧蒸気は、低圧蒸気52と混合され、低圧蒸気タービン43に導入される。この低圧蒸気は、低圧蒸気タービン43を稼動し、発電機44を回転させ発電が行われる。低圧蒸気タービン43を通過した低圧蒸気の一部は抽気45として抜かれ、給水加熱器46で給水を加熱し、低圧節炭器33に戻される。
【0045】
低圧蒸気タービン43を通過した低圧蒸気は、復水器47で冷却冷媒48により給水に戻される。この給水は、ポンプ49によりGTCCプラント1に設けられた給水加熱器27に送られる。給水加熱器27は排熱回収ボイラからの排気28の排熱を回収し、蒸気タービンプラントの給水を加熱する。加熱された給水は、再び蒸気タービンプラント30に戻され、給水加熱器46でさらに加熱され、ボイラ32内の低圧節炭器33に戻される。
【0046】
また、低圧蒸気タービン43を通過した低圧蒸気は、その一部が抽気45されて、給水加熱器46で給水を加熱し、低圧節炭器33に戻されるように構成してもよい。
【0047】
GTCCプラント1と蒸気タービンプラント30の蒸気サイクルは、単圧、複圧、再熱三重圧型のいずれとしてもよい。また、ボイラは、温度条件次第では、高温ガス上流から高圧過熱器、高圧蒸発器、高圧節炭器、低圧過熱器、低圧蒸発器、低圧節炭器の並び方を変更することも可能である。圧縮機、ガスタービン、蒸気タービンの一部、又は全部を同一軸としても良い。ガスタービン、蒸気タービンを同一軸として発電機を共用としても良い。
【0048】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
GTCCプラント1の排ガスを用いて蒸気タービンプラント30の給水を加熱することでき、蒸気ガスタービンプラント30の低圧蒸気タービン43からの蒸気の抽気量を減らすことができる。その結果、高い熱効率の発電プラントとすることができる。
【0049】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。
図2には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備えている。
以下の実施形態について、第一実施形態と同じ構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
GTCCプラント1では、圧縮機4で圧縮された空気の一部を抽気して、冷却空気熱交換器2aを用いてガスタービン7の冷却空気とすることができる。冷却空気熱交換器2aは、圧縮空気の排熱を蒸気タービンプラント30の給水に与え、ガスタービンの冷却用の空気を冷却する。この空気は、冷却空気としてガスタービン7の高温部品を冷却することができる。
【0051】
蒸気タービンプラント30では、低圧蒸気タービン43を通過した蒸気が復水器47で給水に戻され、この給水は、ポンプ49により冷却空気熱交換器2aの(A)に供給される。給水は、冷却空気熱交換器2aで排熱を受け取り(B)より給水熱交換器46へ戻される。
【0052】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
圧縮機3の圧縮空気の一部を冷却する冷却空気熱交換器2aの排熱を用いて、蒸気タービンプラントの給水加熱を行うことできる。その結果、低圧蒸気タービン43からの蒸気の抽気を減らして給水の加熱を行うことができ、高い熱効率の発電プラントとすることができる。
【0053】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図3を用いて説明する。
図3には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備え、GTCCプラント1の圧縮機が二段式となっている。
【0054】
GTCCプラント1で、圧縮機上流段4aで圧縮された圧縮空気は、圧縮機下流段4bとの間に設けられた中間冷却器2bに送り込まれ、この中間冷却器2bは圧縮機中間段の空気を冷却する。このため圧縮機の動力を削減することができる。
【0055】
蒸気タービンプラント30で、低圧蒸気タービン43を通過した蒸気が復水器47で給水に戻される。この給水は、ポンプ49により中間冷却器2bの(A)に供給される。給水は、中間冷却器2bで排熱を受け取り(B)より給水熱交換器46へ戻される。
【0056】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
圧縮機上流段4aと圧縮機下流段4bとの間を流れる圧縮空気の排熱を利用して、蒸気タービンプラント30の給水を加熱することにより、低圧蒸気タービン43からの蒸気の抽気を減らして給水の加熱を行うことができ、高い熱効率の発電プラントとすることができる。
【0057】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図4を用いて説明する。
図4には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備えている。蒸気タービンプラント30のボイラ32には、高圧過熱器31aが内部に設けられている。
【0058】
GTCCプラント1の排熱回収ボイラ9の高圧過熱器15で発生した高圧蒸気17aは、蒸気タービンプラント30のボイラ32内部に設けられた高圧過熱器31aに導入される。ガスタービン7出口の排ガスよりもボイラ32の上流部のほうが温度が高いため、蒸気をより過熱することができる。その結果、GTCCプラント1の高圧蒸気タービンに18に従来よりも圧力の高い高圧蒸気17bを供給することができる。高圧過熱器31aは、蒸気タービンプラント30の蒸気を過熱してもよく、GTCCプラントの蒸気を過熱してもよく、又は双方を過熱してもよい。
【0059】
本実施形態では、第一実施形態と同様に、蒸気タービンプラントの給水がGTCCプラントの排ガスの排熱を利用して給水が加熱されている。
【0060】
低圧蒸気タービン43を通過した低圧蒸気の一部は抽気45されて、給水加熱器46で給水を加熱し、低圧節炭器33に戻される。残りの低圧蒸気タービン43を通過した低圧蒸気は、復水器47で冷却冷媒48により給水53aに戻される。この給水53aは、ポンプ49によりGTCCプラント1に設けられた給水加熱器27に送られる。給水加熱器27は排熱回収ボイラからの排気28の排熱を回収し、蒸気タービンプラントの給水を加熱する。加熱された給水53bは、蒸気タービンプラント30の給水加熱器46でさらに加熱され、ボイラ32内の低圧節炭器33に戻される。
【0061】
ここで図4及び図10に[1]〜[9]と示される第1〜9の計測点における流体の温度、圧力、流量比を表1に示す。
第1計測点では、ガスタービン7出口の排ガスの温度が計測される。
第2計測点では、排熱回収ボイラ9出口の排ガスの温度が計測される。
第3計測点では、給水加熱器27出口の排気の温度が計測される。
第4計測点では、排熱回収ボイラ9の高圧過熱器15出口の高圧蒸気17aの温度が計測される。
第5計測点では、ボイラ32の高圧過熱器31a出口の高圧蒸気17bの温度、圧力及び流量が計測される。
第6計測点では、ポンプ49出口の給水の温度53aが計測される。
第7計測点では、給水加熱器27出口の給水の温度53bが計測される。
第8計測点では、低圧蒸気タービン43入口の低圧蒸気52の流量が計測される。
第9計測点では、低圧蒸気タービン43出口の低圧蒸気から抽気された蒸気45の流量が計測される。
【表1】

【0062】
蒸気タービンプラントの給水の温度は、従来技術で40℃(第6計測点)であったものが、本実施形態で88℃(第7計測点)になる。そのため、差分の48℃分について蒸気タービン43から抽気する蒸気量を減じることができる。第9計測点・第8計測点の流量比から、低圧蒸気タービン43に入ってきた低圧蒸気52のうち抽気に使われた分は、従来技術で16%あったところ、本実施形態で9%にまで低下した。この%の差7ポイント分の蒸気は、蒸気タービンで最後まで膨張して、その分仕事として取り出すことができる。
【0063】
高圧蒸気タービン18の入口(第5計測点)は、従来技術の蒸気圧力が12.5MPaであり、従来技術ではこれ以上圧力を高めると高温蒸気が不足してかえって効率が低下するところ、本実施形態では、ボイラ32の高温過熱器31aのアシストにより蒸気圧力を18.7MPaまで高めることができる。これは従来比1.496倍である。更に第5計測点における高圧蒸気の流量は従来比1.12倍にとなっている。
【0064】
従来技術と比較して、総合熱効率が0.4%LHV(低位発熱量基準)高い熱効率が得られている。総合熱効率は、GTCCプラントと蒸気ガスタービンプラントの出力の和を投入燃料の発熱量で除したものである。
【0065】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
GTCCプラント1の排熱回収ボイラ9で発生する蒸気を、蒸気タービンプラント30のボイラ32の高温過熱器31aで過熱することにより、ガスタービン7出口の排ガスよりも温度の高い温度で高圧蒸気17aを過熱することができる。そのため、より高い圧力の高圧蒸気17bを得られることができ、過熱蒸気量を増大させることができる。更に、伝熱面積を削減しコンパクトな発電プラントとすることができる。
【0066】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、図5を用いて説明する。
図5には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備え、GTCCプラント1の高圧蒸気タービン18を出た蒸気が再熱されている。
【0067】
高圧過熱器15から発生した高圧蒸気17aは、高圧蒸気タービン18を稼動させ発電する。高圧蒸気タービン18で仕事をした高圧蒸気17aは、蒸気タービンプラント30のボイラ32に設けられた再熱器31bに運ばれ再熱される。
再熱器は蒸気タービンプラント30の高圧蒸気タービン41の出口蒸気を再熱する再熱器(図示しない)で、GTCCプラント1の蒸気、蒸気タービンプラント30の両方の蒸気又は何れかの蒸気を再熱する構成としてもよい。
再熱された蒸気は、低圧蒸気17dとして低圧蒸気タービン21bを稼動させ発電する。
【0068】
本実施形態のように、GTCCプラント1の排熱回収ボイラ9の低圧過熱器12で発生した低圧蒸気20が、GTCCプラント1の高圧蒸気タービン18を稼動させた蒸気と混合され、再熱器31bで再熱される構成としてもよい。
【0069】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
GTCCプラント1の排熱回収ボイラ9で発生する蒸気を、蒸気タービンプラント30の再熱器31bで再熱することにより、ガスタービン7出口の排ガスよりも温度の高い温度で蒸気を再熱することができる。そのため、より高い温度の低圧蒸気17dを得られることができ、過熱蒸気量を増大させることができる。更に、伝熱面積を削減しコンパクトな発電プラントとすることができる。
【0070】
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について、図6を用いて説明する。
図6には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備え、GTCCプラント1の高圧水29がボイラ32により高圧蒸気17bとなる。
【0071】
GTCCプラント1の高圧節炭器13を出た高圧水29を昇圧して、蒸気タービンプラント30のボイラ32に設けられた貫流ボイラ31cで加熱する。この蒸気はGTCCプラント1の蒸気タービン18を稼動して発電する。
【0072】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
GTCCプラント1の排熱回収ボイラ9で加熱された給水2を貫流ボイラ31cで蒸気とすることができる。ガスタービン出口の排ガスよりも温度の貫流ボイラ31cにより蒸気を加熱することができる。そのため、より高い圧力の蒸気を得られることができ、過熱蒸気量を増大させることができる。特に、排熱回収ボイラ9の高圧蒸発機及び高圧過熱器が不要となり、コンパクトな排熱回収ボイラ9とすることができる。
【0073】
また、高圧水29の昇圧は、高圧水29を貫流ボイラ31cに移送するポンプ54で、超臨界圧(22.12MPa)以上とすることができる。また、低圧節炭器10から高圧節炭器13へ給水を移送するポンプ16を利用して昇圧してもよい。
貫流ボイラ31cは、超臨界圧に達した高圧水29を加熱し、超臨界圧高圧蒸気17cを発生させる。貫流ボイラ31cは、蒸気タービンプラント30の蒸気を加熱してもよい。
【0074】
また、GTCCプラントのボトミングを超臨界圧蒸気タービンとし、熱効率の向上を得ることができる。
【0075】
[第七実施形態]
次に、本発明の第七実施形態について、図7を用いて説明する。
図7には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備え、GTCCプラント1の圧縮空気が空気予熱熱交換器31dで予熱される。
【0076】
蒸気タービンプラント30のボイラ32に設けた空気予熱熱交換器31dでGTCCプラントの圧縮機4の出口空気を予熱する。空気予熱熱交換器31dで予熱された圧縮空気は燃焼器6に戻され、軽質燃料5と混合して燃焼させる。
【0077】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
GTCCプラント1の燃焼器6に投入する軽質燃料を削減することができる。
【0078】
[第八実施形態]
次に、本発明の第八実施形態について、図8を用いて説明する。
図8には、本実施形態の発電プラントが示されている。この発電プラントはGTCCプラント1と蒸気タービンプラント30を備え、軽質燃料5がボイラ32に設けられた燃料改質器31eよって改質されてから燃焼器6に投入される。
【0079】
軽質燃料5は、高圧節炭器38で発生した高圧蒸気40の一部が加えられる。軽質燃料5は、ボイラ32に設けられた燃料改質器31eで加熱され、水素リッチ燃料に改質される。その後GTCCプラント1の燃焼器6で燃焼される。水素リッチ燃料は、燃料に含まれる炭化水素が低分子化され、水素を富んだガスであり、改質に伴い発生した二酸化炭素や一酸化炭素を含んでいる。
【0080】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
改質用の蒸気はGTCCプラント1の燃焼器6よりも圧力が高ければ、どの蒸気を用いてもよい。軽質燃料5を改質して発熱量を高めることにより、軽質燃料5を削減することができる。
【0081】
[第九実施形態]
次に、本発明の第九実施形態について、図9を用いて説明する。
【0082】
既存の蒸気タービンプラントにGTCCプラントを追設する工事を行うことにより、蒸気タービンプラントとGTCCプラントとが併設した発電プラントとする発電所のリパワリング方法である。
【0083】
図9の既存の蒸気タービンプラント130は、ボイラ132と高圧蒸気タービン141と低圧蒸気タービン143と復水器147と給水加熱器146とを備える。低圧蒸気タービン143から蒸気の一部が抽気145されている。
【0084】
第一の工程で、既存の蒸気タービンプラント130にGTCCプラント1を建設する。第二の工程で、既存の蒸気タービンプラント130から抽気145を移送するラインを取り除く。第三の工程で、蒸気タービンプラント130の給水53aをGTCCプラント1の給水加熱器27に移送するラインを建設する。第四の工程では、GTCCプラント1の給水加熱器27から蒸気タービンプラント130のボイラ132に加熱された給水53bを戻すラインを建設する。なお、これらの工程は必ずしもこの順で行われることは要しない。
【0085】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記工事により、既存の蒸気タービンプラントであっても、GTCCプラントを併設することができ、軽質燃料の消費を削減した発電プラントを構築することができ、発電所のリパワリングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第一実施形態の発電プラントの概略図である。
【図2】本発明の第二実施形態の発電プラントの概略図である。
【図3】本発明の第三実施形態の発電プラントの概略図である。
【図4】本発明の第四実施形態の発電プラントの概略図である。
【図5】本発明の第五実施形態の発電プラントの概略図である。
【図6】本発明の第六実施形態の発電プラントの概略図である。
【図7】本発明の第七実施形態の発電プラントの概略図である。
【図8】本発明の第八実施形態の発電プラントの概略図である。
【図9】本発明の第九実施形態のリパワリング方法の概略図である。
【図10】従来のGTCCプラント及び蒸気タービンプラントの概略図である。
【符号の説明】
【0087】
1 GTCCプラント
2a 冷却空気熱交換器
2b 中間冷却器
4 圧縮機
5 軽質燃料
6 燃焼器
7 ガスタービン
8 発電機
9 排熱回収ボイラ(HRSG)
18 高圧蒸気タービン
21 低圧蒸気タービン
24 復水器
27 給水加熱器
30 蒸気タービンプラント
31a 高圧過熱器
31b 再熱器
31c 貫流ボイラ
31d 空気予熱熱交換器
32 ボイラ
41 高圧蒸気タービン
43 低圧蒸気タービン
44 発電機
45 抽気
46 給水加熱器
50 重質燃料
52 低圧蒸気
53a 給水
53b 給水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記蒸気タービンプラントの給水は、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの排ガスを用いた給水加熱器により加熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項2】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記蒸気タービンプラントの給水は、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントに設けられた圧縮機から排出される圧縮空気の排熱を用いた給水加熱器により加熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項3】
前記圧縮機は、圧縮機上流段と圧縮機下流段の二段式圧縮機とされ、前記圧縮機空気の排熱は、前記圧縮機上流段と前記圧縮機下流段との間を流れる圧縮空気の排熱であることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項4】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラで発生する蒸気は、前記蒸気タービンプラントのボイラにより過熱されることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項5】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの高圧蒸気タービンを通過した蒸気を、前記蒸気タービンプラントのボイラにより再熱して前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの低圧蒸気タービンに導入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項6】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントのボイラに設けられた節炭器により給水を加熱し、前記給水を前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた貫流ボイラで加熱して蒸気を得ることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項7】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの圧縮機で圧縮された空気を、前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた空気予熱熱交換器により加熱して前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの燃焼器に導入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項8】
蒸気タービンプラントと組み合わせて用いられるガスタービンコンバインドサイクルプラントであって、前記ガスタービンコンバインドサイクルプラントの燃焼器で用いられる燃料を、前記蒸気タービンプラントのボイラに設けられた燃料改質器により水素リッチ燃料に改質して、前記燃焼器に投入することを特徴とするガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のガスタービンコンバインドサイクルプラントと、該ガスタービンコンバインドサイクルプラントに組み合わされる蒸気タービンプラントとを備えた発電プラント。
【請求項10】
既存の蒸気タービンプラントに対して、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のガスタービンコンバインドサイクルプラントを併設することを特徴とする発電所のリパワリング方法。
【請求項11】
請求項9に記載の発電プラントにより発電することを特徴とする発電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−187047(P2007−187047A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4864(P2006−4864)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】