蒸気排出機構及びジャー炊飯器の内蓋の製造方法
【課題】ジャー炊飯器の簡素化された蒸気排出機構とそれを可能にする内蓋を提供する。
【解決手段】この発明に係る蒸気排出機構は、当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする。
【解決手段】この発明に係る蒸気排出機構は、当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内釜上部に適度な調湿機構と加熱機構とを兼ね備えた内蓋を具備するジャー炊飯器の内蓋に穴を開けることなく蒸気を排出する蒸気排出機構に関する。さらに、ジャー炊飯器の内蓋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャー炊飯器による炊飯において、お米のデンプンのα化を促進させることが粘りある食感と甘みの維持する食味を確保するうえで重要である。お米のα化の進行には、強い火力で継続した沸騰を行い、釜全体を加熱し、細やかな対流を起こすことで、むら無く高い温度を維持することが肝要である。高い温度を得るためには、炊飯釜内部の圧力を高める必要があり、従来のジャー炊飯器では、外蓋で機械的に内蓋を強く固定して押さえる複雑な加圧機構を具備しなくてはならない。また、内蓋を固定しているため、炊飯時に発生する蒸気を炊飯器内部から排除するための蒸気排出機構をさらに設ける必要があった。
【0003】
これらの課題に対し、蓋を鉄系や銅系の金属により形成することにより、蓋自体の重さを大きくして簡単に内圧を高める釜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、蓋の重量を大きくするだけでは炊き上がりの調節ができないだけでなく、釜内の突発的な圧力上昇により蓋が一気に持ち上がり、蒸気の排出が安定しないため、温度が急激に変化してしまい、お米のα化が抑制され、食味を低下させる。さらに、蒸気が排出される方向が特定されないため、火傷を招く恐れがある。
【0005】
また、炊飯釜を均一に加熱することが難しく、温度のばらつきから結露が発生し、水滴が米飯に落下して部分的に過度な水分を供給することによって食味に悪影響を及ぼしている。
【0006】
さらに、保温中の加熱や蓋を開閉することで蒸気が放出され、米飯が乾燥して食感の悪化を来しやすいという課題があった。
【0007】
これらの課題に対し、例えば、鍋本体の上端開口が内蓋とその上方の外蓋で二重に覆われる炊飯調理鍋に於いて、高い保温性が確保でき、且つ、保温米飯の乾燥を抑制できる炊飯調理鍋を提供するために、内蓋が下面に生地が露出した多孔質の陶器で形成される炊飯調理鍋が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、鍋の内部に向く内側面に、吸放湿性及びエチレンガス吸着性を有する無機多孔質成形体を装着することを基本とし、安定した保湿性能及びガス吸着性能が得られるため、長時間保温しても炊き立てご飯の味を維持できる炊飯器を提供するために、炊飯器本体と、この炊飯器本体に収容される鍋と、この鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体の上部の開口部を覆う蓋とを具え、蓋は、鍋の内部に向く内側面に、吸放湿性及びエチレンガス吸着性を有する無機多孔質成形体を装着した炊飯器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に記載された炊飯調理鍋や特許文献3に記載された炊飯器は、内蓋底面方向に向かって気孔が大きくなる多孔質体の内蓋を備え、不足する湿度に応じた蒸気を供給して乾燥を抑止することを特徴とするが、炊飯溶出物(おねば)が滞留して腐敗しやすいという課題を来す。
【0010】
さらに、蒸気の吸収に伴う水分の保持量が不足するうえ、多孔質層から積極的に放出する機能を持たないため、長期に渡って吸放湿性を維持できず、連続して使用できないなどの課題があった。
【0011】
この課題を解決するために、加熱板の良好な加熱特性は損なわずに、良好な耐食性と熱伝導性を確保した炊飯器を提供することを目的として、本体と、本体に着脱自在に収納される鍋と、本体の上方を開閉自在に覆う蓋体と、蓋体に着脱自在に装着され鍋の開口部を覆う加熱板と、蓋体に装着され加熱板を誘導加熱する加熱コイルと備え、加熱板は、炭素材料を主成分とする材料を構成要素とし、炭素材料を主成分とする材料は少なくとも加熱コイルに対向する部位に配置した炊飯器が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3100934号
【特許文献2】特開2006−192102号公報
【特許文献3】特開2007−296262号公報
【特許文献4】特開2007−319453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献4に記載の炊飯器は、炭素材料表面は高い撥水性を有するため、蒸気が内蓋に付着すると表面に水滴が発生し、これが落下して米飯を軟質化させ、食味を悪化させる課題がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ジャー炊飯器の簡素化された蒸気排出機構を提供する。
【0015】
さらに、そのジャー炊飯器の内蓋の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る蒸気排出機構は、当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、
内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る蒸気排出機構は、内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備える構成にしたので、簡素化された蒸気排出機構が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1を示す図で、ジャー炊飯器100の断面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3の要部断面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、別部品の積載による内蓋3の加圧の様子を示す図。
【図4】実施の形態1を示す図で、内蓋3の重心位置を変化させる機構を示す図。
【図5】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法の一例を示す断面図。
【図6】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法の他の例を示す断面図。
【図7】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法のさらに他の例を示す断面図。
【図8】実施の形態1を示す図で、窪み13におもり9を装着した内蓋3の平面図。
【図9】実施の形態1を示す図で、スリット18におもり9を装着した内蓋3の平面図。
【図10】実施の形態2を示す図で、圧縮成形による内蓋3の成型体を得る製造工程を示す図。
【図11】実施の形態3を示す図で、内蓋3の連通した気孔による蒸気排出機構の断面図。
【図12】実施の形態3を示す図で、内蓋3に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図。
【図13】実施の形態3を示す図で、内釜2に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図。
【図14】実施の形態3を示す図で、内釜2におねば返しを具備した蒸気排出機構の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1はジャー炊飯器100の断面図、図2は多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3の要部断面図、図3は別部品の積載による内蓋3の加圧の様子を示めす図、図4は内蓋3の重心位置を変化させる機構を示す図、図5はおもり9の固定方法の一例を示す断面図、図6はおもり9の固定方法の他の例を示す断面図、図7はおもり9の固定方法のさらに他の例を示す断面図、図8は窪み13におもり9を装着した内蓋3の平面図、図9はスリット18におもり9を装着した内蓋3の平面図である。
【0020】
本実施の形態のジャー炊飯器は、調湿機能を備え、詳しくは気孔の大きさを適正化して、その内部および表面が親水性を保持して、気孔内部への蒸気の吸収放散を容易にして、炊飯時の水滴落下による米飯の軟質化や保温時の食米の乾燥を防止することができる。同様に抗菌性を保持することから、腐食を防止することができ、炊飯時においては圧力付与を助長する、詳しくは内蓋自体の自重と気孔に含んだ水分の重量と別部品の積載によって圧力調整を簡単に行える内蓋を備えるものである。本実施の形態の気孔径は、底面方向に向かって微細気孔とすることで、内蓋内部では蒸気を水滴として保持しやすく、内蓋底面からの炊飯溶出物の気孔内部への侵入を阻止するものである。
【0021】
図1を参照しながら、ジャー炊飯器100の構成を説明する。ジャー炊飯器100は、以下の要素を備える。
(1)ジャー炊飯器100の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなすとともに、テーブル・カウンターなどの上に安定して載置される本体1;
(2)本体1に着脱自在に収納される内釜2;
(3)内釜2の上方を自在に開閉する内蓋3;
(4)内蓋3の上方を自在に覆う外蓋4;
(5)内蓋3に直接接触しないように外蓋4に装着され、内蓋3を加熱する加熱コイル5(加熱装置);
(6)外蓋4に設置された蒸気排出口6。
(7)内釜2の底面の外側に装着される加熱コイル10。
【0022】
(底面方向に微細な連続気孔)
図2に示すように、多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3は、内蓋3底面の微細気孔7aから吸収した蒸気を、内蓋3内部に水分を保持するための連続気孔7を備えている。内蓋3は、連続気孔7を持つ層と気密層8(または半気密層)とから成るため、蒸気が内蓋3表面から放出されない構造となっている。
【0023】
また、内蓋3は、底面側ほど微細な気孔となっており、おねば等の腐食の原因となる物質が気孔に浸入することがない構造となっている。
【0024】
底面の微細気孔7aを通過すると、水滴を保持できる大きな気孔となる。気孔同士は連通しており、長時間の保温にも十分な水分を保持できる容積をもつ。なお、底面の微細気孔7aの直径は特に限定されないが、水蒸気<微細気孔7a<水滴(直径)となるような1〜100μm程度が望ましい。
【0025】
(自重)
本実施の形態におけるジャー炊飯器100の内蓋3は、内部に蒸気を蓄える特徴を備えることから、その効果を十分に発揮するためには所定の厚みをもたせる。それにより大きな自重を備えることになる。
【0026】
また、炊飯時に余剰の蒸気を内蓋3内部に保持することで、さらに内蓋3の自重が増加する。
【0027】
ジャー炊飯器100は、内蓋3が多孔質であることからジャー炊飯器100内が低温のときは、気孔で蒸気および結露水を吸収し、ジャー炊飯器100内が高温のときは釜内へ蒸気を拡散させる調湿効果があるため、米飯上に水滴が落下することがなく味の劣化を防ぎ、おいしさを長時間維持することができる。
【0028】
内蓋3の内部に水分を保持することで、内蓋3の開閉等で水分が蒸発しても内蓋3内部に保持した水分を還元することができるため、米飯のパサつきを抑え、炊き上がりの状態を保つことができる。また、保持した水分により、内蓋3の自重に加えて重量が増加するため、炊飯時の圧力を任意に上げることができ、好みの食感、食味を保ちやすい。
【0029】
さらに、熱伝導性の高いカーボン材から成るため、内釜2との接触面から伝わる熱によって内蓋3が加熱され、釜内の温度むらが小さくなる効果がある。内釜2も共にカーボン材から成る場合、この効果は特に大きい。
【0030】
多孔質カーボン凝結体の素材を用いるため、上記の効果を同時に得ることが可能である。
【0031】
さらに、内蓋3の底面を微細気孔7aにすることによる毛管現象が蒸気の吸着を助長し、蒸気が凝縮して水滴になることで吸着量が増大する。さらに、多孔質層内部へ、おねば等の汚染の原因となる物質の進入および付着を抑制できるため、衛生面においても優れている。
【0032】
底面の微細気孔7a通過後、連続気孔7は段階的に大きくなるため、より多くの結露水を含有させることができる。
【0033】
(圧力付与)
図3に示すように、内蓋3単体では、その肉厚を変化させて成ることに伴って重心が一方に偏っている。炊飯時の圧力負荷は反重心位置側に具備する別部品(おもり9)によって行い、おもり9の積載量の増減や配置場所の変化によって任意の圧力を得るものである。
【0034】
おもり9の配置方法は、内蓋3の上部に積み重ねる方法や、内蓋3におもり9を装着する空洞を設け、そこに入れ込む方法などがある。
【0035】
内蓋3自体が任意の圧力を担うことで、内蓋3を外蓋4の治具等で固定するなどの密閉強度や加圧機能を簡素化できる。さらに、別部品の積載による加重付与を行うことで、炊き上がりを好みに調節することができる。
【0036】
(積載物の固定)
上記の炊飯時の圧力負荷は、おもり9の積載量を増減するようにしたものであるが、次におもり9の設置位置の変化にともない、内蓋3の重心を変化させて所定の圧力を得るような場合に実施する形態について説明する。
【0037】
図4に示すように、おもり9の位置を変化させる機構とする。但し、内蓋3の開閉時におもり9が移動しないように固定する治具を設け、炊飯米の炊き上がり状態に合わせておもり9の位置を変化させることにより、内蓋3の開き具合を調節する。このとき、内蓋3の開閉位置が変化しないように、おもり9を複数積載する場合は左右対称に配置することが好ましい。また、内蓋3の開閉部の反対に位置する部分の重量が最も大きくなるようにすることが好ましい。
【0038】
図5乃至図9により、内蓋3の開閉時におもり9が移動しないように固定する治具の具体例を説明する。図5に示すおもり9の固定方法は、内蓋3におもり9と略同形状の窪み13を設ける。そして、その窪み13に、おもり9を収納する。内蓋3には、おもり9を軽く押えるドーナツ状のゴムパッキン14が装着される。また、おもり9には、ユーザ等がおもり9の出し入れ時に用いる手掛け部9aが形成されている。
【0039】
図6に示すおもり9の固定方法は、おもり9が、ネジ15を回すことにより、伸縮する把持部16を備える。また、内蓋3には、把持部16が摺動・固定されるレール17が設けられる。
【0040】
図7に示すおもり9の固定方法は、内蓋3に凹部3aが形成されている。そして、おもり9に、内蓋3の凹部3aに挿入されておもり9が固定される移動可能な固定手段9bが形成されている。
【0041】
図8に示すように(平面視)、おもり9を装着した内蓋3は、開閉部(蒸気排出部)側が軽く、開閉部(蒸気排出部)の反対側が重くなるように、重心が位置するように配置する。蒸気の排出を容易にし、かつ蒸気の排出部を一点に固定するためである。おもり9の積載により、重心が開閉部側に偏らないようにするために、開閉部とは反対側(内蓋3の肉厚部)により比重の大きいおもりを積載してもよい。
【0042】
内蓋3には、複数個の窪み13が設けられている。ユーザの好みにより、おもり9の位置が変えられるようになっている。
【0043】
例えば、開閉部(蒸気排出部)側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が高くなるので、内蓋3は開きにくくなり、内釜内部に保持される蒸気量が多いため、米飯は軟らかめに炊き上がる。
【0044】
それに対して、内蓋3の重心側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が低くなるので、内蓋3は開きやすくなり、蒸気の排出量が多くなるため、内蓋内部に保持される蒸気量が少なくなり、米飯は硬めに炊き上がる。
【0045】
また、図6、図7のように内蓋3内でおもり9をスライドされるケースでは、図9に示すように、ユーザの好みによりおもり9をスリット18内で開閉部(蒸気排出部)側もしくは重心側に移動して固定する。図8と同様に、開閉部(蒸気排出部)側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が高くなるので、米飯は軟らかめに炊き上がる。それに対して、内蓋3の重心側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が低くなるので、米飯は硬めに炊き上がる。
【0046】
このように、本実施の形態における内蓋3の形状には厚みがあるため、内蓋3上面の積載物(おもり9)と同形状の窪み13を設けることによって、積載物(おもり9)の移動を防止することができる(図5)。
【0047】
また、積載した積載物(おもり9)を窪み13のレール17上をスライドするように配置して、積載物(おもり9)の位置を変化させることによって内蓋3の重心を変化させ、所定の圧力を得る方法を用いてもよい(図6)。
【0048】
このように、複雑な加圧機構を用いない簡素な機構となるため、部品点数が削減され軽量化につながる。また、おもり9の重量や積載位置によって、炊き上がりの状態を好みに調節することができる。
【0049】
(内蓋加熱)
このように構成された内蓋3においては、外蓋4に装着された加熱コイル5が直接接触しないように対向して成り、加熱する。内釜2と内蓋3との温度むらを低減するために、内釜2は内蓋3と同様に炭素系材料を中心とした物質で構成されるのが望ましい。このとき、加熱コイルは誘電コイルに代えることも可能となる。
【0050】
内蓋3に対向して外蓋4に装着された加熱コイル5と、内釜2に対向して具備された加熱コイル10との制御を、同時に行うか別々に行うかは任意である。
【0051】
また、蒸気の排出は、内蓋3の開閉により内蓋3と内釜2に隙間を形成して行うので、内蓋3に穴を設けるなどの蒸気排出機構を新たに具備する必要はない。
【0052】
米飯の保温終了時には、内蓋3の気孔内部に残留した結露水を完全に排出するため、加熱コイル5によって加熱が行われる。
【0053】
蓋体のみを加熱することで、米飯から水分を奪うことなく内釜2へ水分を供給することができるため、味を劣化させずに長時間の保温ができる。本発明による蓋体はカーボン凝結体であるため、熱伝導性に優れており蓋体全体を効率よく加熱し、積極的に気孔内の水分を放出することができる。そのため、気孔内に水滴を残さず汚染物の付着を抑制し、高い衛生状態を維持でき、再生により機能が回復して半永久的に使用が可能となる特徴がある。
【0054】
(酸化チタン、酸化ケイ素)
内蓋3と連続気孔7には酸化チタンあるいは酸化ケイ素により親水性加工が成されており、内蓋3底面では粒状の水滴になりにくいが、連続気孔7内部では蒸気から水へ状態変化しやすく、保持される水分量が増大する。
【0055】
酸化チタンあるいは酸化ケイ素による表面処理によって内蓋の蒸気と接する面が親水性になることで、蒸気の吸着を助長すると共に、水滴状になるのを防ぐため、米飯への落下を防止できる。
【0056】
さらに酸化チタンは、エチレンガスを吸収・分解するため、長時間の保存においても米飯の劣化を抑制することができる。
【0057】
また、親水性効果を得ることで、水が汚れの下に入り込み、浮き上がらせることによって汚れが流れ落ちるため、おねば等の付着物が少なくなり、内蓋の洗浄が簡単にできるようになる。
【0058】
(腐食対策)
抗菌剤が内蓋3底面および連続気孔7内に積層または添加されているため、カビや菌類の繁殖を低減する。
【0059】
連続気孔7内部で雑菌やカビ類が繁殖するのを抑制し、繰り返し安全に使用することができる。
【0060】
実施の形態2.
(カーボン凝結体形成方法+熱可塑性樹脂)
ここでは、上記実施の形態1に示すジャー炊飯器100を得るため製造方法について説明する。
【0061】
図10は実施の形態2を示す図で、圧縮成形による内蓋3の成型体を得る製造工程を示す図である。
【0062】
本発明に係る圧縮成形による内蓋3の成型体を得る手段であって、カーボン粉粒に結合剤としてフェノール系樹脂と気孔形成剤として熱可塑性樹脂を混練し、形成可能な高炭素混合物の態様を得る。
【0063】
この高炭素混合物の原料を任意の金型に充填して圧縮および加熱して得た後、無酸素状態で焼成処理を行い、連続気孔をもつカーボン凝結体の成型品を得るものである。フェノール系樹脂は800〜1200℃程度の無酸素雰囲気下での焼成処理によって炭化し、周囲のカーボン粉粒を結合させると共に、有機物が飛散して炭化し、カーボンを形成する。
【0064】
また、ポリエステル繊維やポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂などの、炭素を多く含まない有機物を含有して焼成処理段階での飛散に伴い空隙形成を促す気孔形成剤を添加することで気孔生成を行うものである。
【0065】
金型へ投入して、大きさの異なる熱可塑性樹脂を混練した高炭素混合物の原料を充填し、圧縮・加圧・焼成処理を同様に行い、成型品の気孔サイズを段階的に変化させた後、親水性および抗菌性付与のため表面処理を行う製造方法について、図10の工程表に基づいて以下に詳述する。
【0066】
(原料混練)
それぞれ粒子径の異なるカーボン粉粒と熱可塑性樹脂未硬化物およびフェノール系樹脂を混練し、混合物を得る。
【0067】
(底面微細孔(投入、圧縮・硬化、焼成))
内蓋3底面(炊飯釜の内面側)には小さな粒子径のカーボンを含む混合物を、内蓋3表面(内部〜外面側)には粒子径の大きな粒子径のカーボンを含む混合物を積層して配する。
【0068】
最初に金型へ投入する高炭素混合物は、カーボン粉粒の粒子径の小さいものとし、その上に粒子径が大きいカーボンなどの混合物を投入し、さらにその上により粒子径が大きいカーボンなどの混合物を投入し、段階的に投入する混合物の粒子径を大きくする。これを圧縮・硬化させ、800〜1200℃程度の無酸素雰囲気下での焼成処理を行う。このようにして、底面方向に向かって微細気孔になるような形態の連続気孔7をもつ内蓋3の成型品を得る。
【0069】
また、上記の方法とは別の方法として、本発明で実施する形態の内蓋3の成形方法について説明する。
【0070】
粒子が粗い高炭素混合物が最上方に位置し、下方に向かって小さい粒子を順に積層する。このためこの蓋の上面に相当する金型の底面には粒子径が小さい高炭素混合物が集中する。これを加熱および加圧して無酸素状態で高温焼成処理することで、本実施の形態の内蓋3を形成する。
【0071】
(親水化処理)
上記方法で形成した多孔質カーボン凝結体を酸化チタンまたは酸化ケイ素を生成する親水性薬液に浸漬させ、真空加圧含浸法によって含浸する。これを乾燥させ、連続気孔7内および底面から表面にかけて均一な塗膜を形成した後、光触媒性酸化チタンゾルとテトラアルコキシシランを混合した酸化チタンを生成する薬液を光触媒性酸化物に変化する400℃以上の温度で焼成処理を行い、シラザンをアルコールで希釈した酸化ケイ素生成薬液を400℃で焼成処理を行い、内蓋3底部や連続気孔7内に親水性薄膜を保持させる。
【0072】
親水性薄膜を内蓋3底部および連続気孔7内に保持させる手法として、化学蒸着法や物理蒸着法、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング等の方法で塗布後、焼成処理により固定してもよい。
【0073】
(酸化ケイ素による親水化)
上記とは別に酸化ケイ素を用いた親水化手法について説明する。カーボン凝結体の表面を炭化ケイ素化させ、その表面が酸化することによって酸化ケイ素による表面処理効果を得る。反応に用いる一酸化ケイ素ガスの供給源は特に限定されないが、連続気孔7内に一酸化ケイ素ガスが入り込み、連続気孔7表面の炭素と反応して炭化ケイ素が生成されるため、連続気孔7内にガスが拡散しやすいように周囲の一酸化ケイ素ガス濃度は大きいほうが望ましい。また、一酸化ケイ素ガスの発生量を多くさせるため、高真空下の1000〜1400℃で加熱するのが望ましい。
【0074】
(酸化チタンによる親水化)
酸化チタンによる親水化手法について説明する。光触媒性酸化チタンゾルとテトラアルコキシシランとの混合物を、連続気孔7表面にスプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング等の方法で塗布後、乾燥させて、テトラアルコキシシランを加水分解、脱水縮重合させることにより無定型シリカを生成させるとともに、表面層を内蓋3底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0075】
他には、無定型酸化チタンなどの光触媒性酸化チタンの前駆体とシリカゾルを気孔表面にスプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、電子ビーム蒸着等の方法で塗布後、光触媒性酸化チタンの前駆体が光触媒性酸化物に変化する温度以上である400℃以上の温度で焼成し、表面層を内蓋3底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0076】
または、光触媒性酸化チタン粒子を懸濁したゾルを気孔表面上に上記と同様の手法で塗布、乾燥後、テトラアルコキシシランまたはシリカゾルを上記いずれかの方法で塗布後、乾燥させて、テトラアルコキシシランを加水分解、脱水縮重合させることにより無定型シリカを生成させるとともに、表面層を内蓋底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0077】
(腐食対策)
カビや菌類の繁殖を低減するため、抗菌剤を内蓋底面および気孔内に積層または添加する。
【0078】
本実施の形態において、抗菌剤とは黒カビや青カビ等の真菌、黄色ブドウ球菌や大腸菌等の細菌に対する抗菌活性を有する化合物や天然抽出物の総称であり、具体的には銀や銅等の金属粒子またはこれらの金属イオン種をチタンゼオライトやアパタイト等の坦持させた微粒子、キトサンや茶抽出物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
上記の抗菌剤含有量は、内蓋3の耐熱性が炊飯時の加熱により影響を受けない程度のものとする。
【0080】
抗菌性表面処理の施工例について説明する。抗菌性粉末の塗料を連続気孔7表面や内蓋3底面から表面にかけて塗布し、塗膜を乾燥させる。塗布方法は、スピンコート、浸漬、噴霧、などが可能である。乾燥温度は50〜170℃程度が適当である。また、350℃の高温で膜を焼成してもよい。
【0081】
前述した表面処理において、親水性薬液により塗膜層を形成し、抗菌剤塗膜層を塗装焼き付けること、また抗菌剤塗膜層を形成し、その上に親水性薬液により塗膜層を形成すること、また親水性薄膜と抗菌性薄膜を同時に形成することは任意である。なお、形成された親水性薄膜や抗菌性薄膜によって微細気孔が閉塞されることがないようにすることが肝要である。
【0082】
(気孔密閉)
上記のように圧縮、焼成、親水化、抗菌処理を行い形成したカーボン凝結体の上面を気密層8(または半気密層)で覆い、連続気孔7内に保持した蒸気や水粒子が内蓋3の上面から排出されるのを防止する。
【0083】
本発明において、内蓋3に備えた連続気孔7が底面では微細であり、この面より気孔内部の表面処理を行うことが困難であることから、気孔径が大きい上面側より内部の処理を終えてから前記の上面部の気孔を気密層8(または半気密層)で閉塞させた形態に加工する。
【0084】
なお、本発明では内蓋3内部の表面処理を行った後、内蓋3表面の連続気孔7の密閉を行っているが、内蓋3内部の連続気孔7に表面処理を行うことが目的であり、これが達成できるのであれば順序は問わない。また、気密層8(または半気密層)に用いる素材に関しては炭素材料であることが好ましい。
【0085】
本実施の形態の内蓋成型品は、表面(外面側)が気密であり、内部に大きな連続気孔7をもち、底面(内面側)が微細気孔7aとなっているため、先に内蓋成型品を賦形してしまうと、内部へのコーティングを行うために含浸可能部は底面の微細気孔7aからのみである。しかしながら、底面の微細気孔7aは蒸気のみが通過できる程度の径であるため、親水性薬液および抗菌剤の侵入が困難であると考えられ、気孔径が大きな内部が密閉される前に、これらのコーティングを行うことが好ましい。
【0086】
上記の気孔密閉の具体的な手法として、表面にフッ素樹脂を塗装する方法を用いる。
【0087】
ポリエステルエラストマー(TPC)とテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)微粉末を分散させた液状樹脂を含浸させる。FEP微粉末の大きさはカーボン凝結体が備える気孔径よりわずかに小さいものとする。含浸はスプレーで吹付け、液状樹脂が表面から吸収せずに表面層に滞留する状況が生じた段階で終了する。
【0088】
上記液状樹脂の含浸後、不飽和ポリエステル樹脂が半硬化状態になるまで乾燥させ、ポリエーテルスルフォン(PES)の水分散溶液の最表面に塗装するフッ素樹脂と同じテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキフビニルエーテル共重合体(PFA)微粉末を分散させた液状樹脂をスプレーで吹付けフッ素樹脂との接合に供するプライマー層を形成する。最表面層を形成するため、フッ素樹脂であるPFA微粉末を吹付けによって保持した後、360℃雰囲気中に投入して表面(外面側)から加熱する。加熱は、微粉末の溶融が内部に気泡が残留しないようにしたものであり、最表面までがほぼ均一に加熱され全体が溶融する時間は10〜20分間であることが好ましい。
【0089】
なお、ここでは液状樹脂としてPESを用いたが、調理器具が受ける最高温度以上の融点を備える耐熱性樹脂であれば上述の樹脂にこだわる必要はなく、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)ポリスルホン(PSU)などの耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0090】
上記とは別の方法として、内蓋形成時においてカーボン粉粒の大きさを制御し、任意の金型への投入順を粒子径の小さいものから、段階的に粒子径が大きいカーボンの混合物にする。さらにその上(内蓋上面方向)に粒子径が極めて微細なカーボンなどの混合物を投入することで内蓋上面を半気密状態にする。この半気密状態は、極めて微細な空隙を解放することとし、フッ素樹脂の塗装において、液状樹脂が表面に滞留しない程度に含浸させて乾燥し、薄膜を形成する。乾燥の過程で、溶剤気散に伴う樹脂薄膜の収縮によってTPCとFEPの界面が部分的に剥離して、極めて微細な空隙を形成する。この空隙は、内部の水分放出を容易に行うことが可能な大きさではなく、水蒸気の侵入時の気孔内圧力を過度に高くしない用に、内部の空気などのガスを放出するうえで有効に作用する。
【0091】
実施の形態3.
図11乃至図14は実施の形態3を示す図で、図11は内蓋3の連通した気孔による蒸気排出機構の断面図、図12は内蓋3に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図、図13は内釜2に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図、図14は内釜2におねば返しを具備した蒸気排出機構の断面図である。
【0092】
本実施の形態に係るジャー炊飯器の蒸気排出機構は、連続気孔の多孔質カーボン凝結体であって、偏芯した重心を備えるものであり、内蓋に備えた底面と側面の連通した気孔または側面にあるスリットによって蒸気を排出するものである。
【0093】
次に蒸気排出機構について説明する。内蓋3においては、上面が気密層8(または半気密層)となっており閉塞されているため、加熱しても蒸気が抜け出さない構造となっている。しかし、連続気孔7が底面から外周面(側面)へ連通しており、一定以上の蒸気圧によって内蓋3が押し上げられ、外周部(側面)が内釜2より上にせり出すと、連続気孔7から蒸気が放出される。
【0094】
上記のように、内蓋3が開かなくても蒸気を排出できるようにしているので、おねば等の噴きこぼれを抑制することができる。
【0095】
また、図11に示すように、内蓋3の上面の気密層8(または半気密層)は、連続気孔7の蒸気排出機能の能力によって適当な厚さに変更する。
【0096】
次に連続気孔7からの蒸気排出量では間に合わないような場合に、蒸気を放出する形態を示す。
【0097】
図12、図13は、このような場合の、内蓋3を完全に開放せずに蒸気を放出するための機構である。
【0098】
内蓋3の自重による加圧より釜内部の圧力が大きくなり、内蓋3を押し上げようとしたとき、内蓋スリット11(開口部、スリット)または内釜スリット12(開口部、スリット)から蒸気が放出され、内釜2内部の圧力を低下させる。
【0099】
図14のように、内釜2の端部を折り返すことで、おねば返しを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の活用例として、ジャー炊飯器について示したが、湯沸かし器、蒸し器、その他調理器具などの加熱部についても、同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 本体、2 内釜、3 内蓋、3a 凹部、4 外蓋、5 加熱コイル、6 蒸気排出口、7 連続気孔、7a 微細気孔、8 気密層、9 おもり、9a 手掛け部、9b 固定手段、10 加熱コイル、11 内蓋スリット、12 内釜スリット、13 窪み、14 ゴムパッキン、15 ネジ、16 把持部、17 レール、18 スリット、100 ジャー炊飯器。
【技術分野】
【0001】
この発明は、内釜上部に適度な調湿機構と加熱機構とを兼ね備えた内蓋を具備するジャー炊飯器の内蓋に穴を開けることなく蒸気を排出する蒸気排出機構に関する。さらに、ジャー炊飯器の内蓋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャー炊飯器による炊飯において、お米のデンプンのα化を促進させることが粘りある食感と甘みの維持する食味を確保するうえで重要である。お米のα化の進行には、強い火力で継続した沸騰を行い、釜全体を加熱し、細やかな対流を起こすことで、むら無く高い温度を維持することが肝要である。高い温度を得るためには、炊飯釜内部の圧力を高める必要があり、従来のジャー炊飯器では、外蓋で機械的に内蓋を強く固定して押さえる複雑な加圧機構を具備しなくてはならない。また、内蓋を固定しているため、炊飯時に発生する蒸気を炊飯器内部から排除するための蒸気排出機構をさらに設ける必要があった。
【0003】
これらの課題に対し、蓋を鉄系や銅系の金属により形成することにより、蓋自体の重さを大きくして簡単に内圧を高める釜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、蓋の重量を大きくするだけでは炊き上がりの調節ができないだけでなく、釜内の突発的な圧力上昇により蓋が一気に持ち上がり、蒸気の排出が安定しないため、温度が急激に変化してしまい、お米のα化が抑制され、食味を低下させる。さらに、蒸気が排出される方向が特定されないため、火傷を招く恐れがある。
【0005】
また、炊飯釜を均一に加熱することが難しく、温度のばらつきから結露が発生し、水滴が米飯に落下して部分的に過度な水分を供給することによって食味に悪影響を及ぼしている。
【0006】
さらに、保温中の加熱や蓋を開閉することで蒸気が放出され、米飯が乾燥して食感の悪化を来しやすいという課題があった。
【0007】
これらの課題に対し、例えば、鍋本体の上端開口が内蓋とその上方の外蓋で二重に覆われる炊飯調理鍋に於いて、高い保温性が確保でき、且つ、保温米飯の乾燥を抑制できる炊飯調理鍋を提供するために、内蓋が下面に生地が露出した多孔質の陶器で形成される炊飯調理鍋が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、鍋の内部に向く内側面に、吸放湿性及びエチレンガス吸着性を有する無機多孔質成形体を装着することを基本とし、安定した保湿性能及びガス吸着性能が得られるため、長時間保温しても炊き立てご飯の味を維持できる炊飯器を提供するために、炊飯器本体と、この炊飯器本体に収容される鍋と、この鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体の上部の開口部を覆う蓋とを具え、蓋は、鍋の内部に向く内側面に、吸放湿性及びエチレンガス吸着性を有する無機多孔質成形体を装着した炊飯器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に記載された炊飯調理鍋や特許文献3に記載された炊飯器は、内蓋底面方向に向かって気孔が大きくなる多孔質体の内蓋を備え、不足する湿度に応じた蒸気を供給して乾燥を抑止することを特徴とするが、炊飯溶出物(おねば)が滞留して腐敗しやすいという課題を来す。
【0010】
さらに、蒸気の吸収に伴う水分の保持量が不足するうえ、多孔質層から積極的に放出する機能を持たないため、長期に渡って吸放湿性を維持できず、連続して使用できないなどの課題があった。
【0011】
この課題を解決するために、加熱板の良好な加熱特性は損なわずに、良好な耐食性と熱伝導性を確保した炊飯器を提供することを目的として、本体と、本体に着脱自在に収納される鍋と、本体の上方を開閉自在に覆う蓋体と、蓋体に着脱自在に装着され鍋の開口部を覆う加熱板と、蓋体に装着され加熱板を誘導加熱する加熱コイルと備え、加熱板は、炭素材料を主成分とする材料を構成要素とし、炭素材料を主成分とする材料は少なくとも加熱コイルに対向する部位に配置した炊飯器が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3100934号
【特許文献2】特開2006−192102号公報
【特許文献3】特開2007−296262号公報
【特許文献4】特開2007−319453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献4に記載の炊飯器は、炭素材料表面は高い撥水性を有するため、蒸気が内蓋に付着すると表面に水滴が発生し、これが落下して米飯を軟質化させ、食味を悪化させる課題がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ジャー炊飯器の簡素化された蒸気排出機構を提供する。
【0015】
さらに、そのジャー炊飯器の内蓋の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る蒸気排出機構は、当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、
内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る蒸気排出機構は、内蓋の側面と底面とが連通した連続気孔を備えて内釜と接し、上面にある連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた内蓋の底面から端部分に開口部を備える構成にしたので、簡素化された蒸気排出機構が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1を示す図で、ジャー炊飯器100の断面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3の要部断面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、別部品の積載による内蓋3の加圧の様子を示す図。
【図4】実施の形態1を示す図で、内蓋3の重心位置を変化させる機構を示す図。
【図5】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法の一例を示す断面図。
【図6】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法の他の例を示す断面図。
【図7】実施の形態1を示す図で、おもり9の固定方法のさらに他の例を示す断面図。
【図8】実施の形態1を示す図で、窪み13におもり9を装着した内蓋3の平面図。
【図9】実施の形態1を示す図で、スリット18におもり9を装着した内蓋3の平面図。
【図10】実施の形態2を示す図で、圧縮成形による内蓋3の成型体を得る製造工程を示す図。
【図11】実施の形態3を示す図で、内蓋3の連通した気孔による蒸気排出機構の断面図。
【図12】実施の形態3を示す図で、内蓋3に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図。
【図13】実施の形態3を示す図で、内釜2に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図。
【図14】実施の形態3を示す図で、内釜2におねば返しを具備した蒸気排出機構の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1はジャー炊飯器100の断面図、図2は多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3の要部断面図、図3は別部品の積載による内蓋3の加圧の様子を示めす図、図4は内蓋3の重心位置を変化させる機構を示す図、図5はおもり9の固定方法の一例を示す断面図、図6はおもり9の固定方法の他の例を示す断面図、図7はおもり9の固定方法のさらに他の例を示す断面図、図8は窪み13におもり9を装着した内蓋3の平面図、図9はスリット18におもり9を装着した内蓋3の平面図である。
【0020】
本実施の形態のジャー炊飯器は、調湿機能を備え、詳しくは気孔の大きさを適正化して、その内部および表面が親水性を保持して、気孔内部への蒸気の吸収放散を容易にして、炊飯時の水滴落下による米飯の軟質化や保温時の食米の乾燥を防止することができる。同様に抗菌性を保持することから、腐食を防止することができ、炊飯時においては圧力付与を助長する、詳しくは内蓋自体の自重と気孔に含んだ水分の重量と別部品の積載によって圧力調整を簡単に行える内蓋を備えるものである。本実施の形態の気孔径は、底面方向に向かって微細気孔とすることで、内蓋内部では蒸気を水滴として保持しやすく、内蓋底面からの炊飯溶出物の気孔内部への侵入を阻止するものである。
【0021】
図1を参照しながら、ジャー炊飯器100の構成を説明する。ジャー炊飯器100は、以下の要素を備える。
(1)ジャー炊飯器100の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなすとともに、テーブル・カウンターなどの上に安定して載置される本体1;
(2)本体1に着脱自在に収納される内釜2;
(3)内釜2の上方を自在に開閉する内蓋3;
(4)内蓋3の上方を自在に覆う外蓋4;
(5)内蓋3に直接接触しないように外蓋4に装着され、内蓋3を加熱する加熱コイル5(加熱装置);
(6)外蓋4に設置された蒸気排出口6。
(7)内釜2の底面の外側に装着される加熱コイル10。
【0022】
(底面方向に微細な連続気孔)
図2に示すように、多孔質なカーボン凝結体から成る内蓋3は、内蓋3底面の微細気孔7aから吸収した蒸気を、内蓋3内部に水分を保持するための連続気孔7を備えている。内蓋3は、連続気孔7を持つ層と気密層8(または半気密層)とから成るため、蒸気が内蓋3表面から放出されない構造となっている。
【0023】
また、内蓋3は、底面側ほど微細な気孔となっており、おねば等の腐食の原因となる物質が気孔に浸入することがない構造となっている。
【0024】
底面の微細気孔7aを通過すると、水滴を保持できる大きな気孔となる。気孔同士は連通しており、長時間の保温にも十分な水分を保持できる容積をもつ。なお、底面の微細気孔7aの直径は特に限定されないが、水蒸気<微細気孔7a<水滴(直径)となるような1〜100μm程度が望ましい。
【0025】
(自重)
本実施の形態におけるジャー炊飯器100の内蓋3は、内部に蒸気を蓄える特徴を備えることから、その効果を十分に発揮するためには所定の厚みをもたせる。それにより大きな自重を備えることになる。
【0026】
また、炊飯時に余剰の蒸気を内蓋3内部に保持することで、さらに内蓋3の自重が増加する。
【0027】
ジャー炊飯器100は、内蓋3が多孔質であることからジャー炊飯器100内が低温のときは、気孔で蒸気および結露水を吸収し、ジャー炊飯器100内が高温のときは釜内へ蒸気を拡散させる調湿効果があるため、米飯上に水滴が落下することがなく味の劣化を防ぎ、おいしさを長時間維持することができる。
【0028】
内蓋3の内部に水分を保持することで、内蓋3の開閉等で水分が蒸発しても内蓋3内部に保持した水分を還元することができるため、米飯のパサつきを抑え、炊き上がりの状態を保つことができる。また、保持した水分により、内蓋3の自重に加えて重量が増加するため、炊飯時の圧力を任意に上げることができ、好みの食感、食味を保ちやすい。
【0029】
さらに、熱伝導性の高いカーボン材から成るため、内釜2との接触面から伝わる熱によって内蓋3が加熱され、釜内の温度むらが小さくなる効果がある。内釜2も共にカーボン材から成る場合、この効果は特に大きい。
【0030】
多孔質カーボン凝結体の素材を用いるため、上記の効果を同時に得ることが可能である。
【0031】
さらに、内蓋3の底面を微細気孔7aにすることによる毛管現象が蒸気の吸着を助長し、蒸気が凝縮して水滴になることで吸着量が増大する。さらに、多孔質層内部へ、おねば等の汚染の原因となる物質の進入および付着を抑制できるため、衛生面においても優れている。
【0032】
底面の微細気孔7a通過後、連続気孔7は段階的に大きくなるため、より多くの結露水を含有させることができる。
【0033】
(圧力付与)
図3に示すように、内蓋3単体では、その肉厚を変化させて成ることに伴って重心が一方に偏っている。炊飯時の圧力負荷は反重心位置側に具備する別部品(おもり9)によって行い、おもり9の積載量の増減や配置場所の変化によって任意の圧力を得るものである。
【0034】
おもり9の配置方法は、内蓋3の上部に積み重ねる方法や、内蓋3におもり9を装着する空洞を設け、そこに入れ込む方法などがある。
【0035】
内蓋3自体が任意の圧力を担うことで、内蓋3を外蓋4の治具等で固定するなどの密閉強度や加圧機能を簡素化できる。さらに、別部品の積載による加重付与を行うことで、炊き上がりを好みに調節することができる。
【0036】
(積載物の固定)
上記の炊飯時の圧力負荷は、おもり9の積載量を増減するようにしたものであるが、次におもり9の設置位置の変化にともない、内蓋3の重心を変化させて所定の圧力を得るような場合に実施する形態について説明する。
【0037】
図4に示すように、おもり9の位置を変化させる機構とする。但し、内蓋3の開閉時におもり9が移動しないように固定する治具を設け、炊飯米の炊き上がり状態に合わせておもり9の位置を変化させることにより、内蓋3の開き具合を調節する。このとき、内蓋3の開閉位置が変化しないように、おもり9を複数積載する場合は左右対称に配置することが好ましい。また、内蓋3の開閉部の反対に位置する部分の重量が最も大きくなるようにすることが好ましい。
【0038】
図5乃至図9により、内蓋3の開閉時におもり9が移動しないように固定する治具の具体例を説明する。図5に示すおもり9の固定方法は、内蓋3におもり9と略同形状の窪み13を設ける。そして、その窪み13に、おもり9を収納する。内蓋3には、おもり9を軽く押えるドーナツ状のゴムパッキン14が装着される。また、おもり9には、ユーザ等がおもり9の出し入れ時に用いる手掛け部9aが形成されている。
【0039】
図6に示すおもり9の固定方法は、おもり9が、ネジ15を回すことにより、伸縮する把持部16を備える。また、内蓋3には、把持部16が摺動・固定されるレール17が設けられる。
【0040】
図7に示すおもり9の固定方法は、内蓋3に凹部3aが形成されている。そして、おもり9に、内蓋3の凹部3aに挿入されておもり9が固定される移動可能な固定手段9bが形成されている。
【0041】
図8に示すように(平面視)、おもり9を装着した内蓋3は、開閉部(蒸気排出部)側が軽く、開閉部(蒸気排出部)の反対側が重くなるように、重心が位置するように配置する。蒸気の排出を容易にし、かつ蒸気の排出部を一点に固定するためである。おもり9の積載により、重心が開閉部側に偏らないようにするために、開閉部とは反対側(内蓋3の肉厚部)により比重の大きいおもりを積載してもよい。
【0042】
内蓋3には、複数個の窪み13が設けられている。ユーザの好みにより、おもり9の位置が変えられるようになっている。
【0043】
例えば、開閉部(蒸気排出部)側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が高くなるので、内蓋3は開きにくくなり、内釜内部に保持される蒸気量が多いため、米飯は軟らかめに炊き上がる。
【0044】
それに対して、内蓋3の重心側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が低くなるので、内蓋3は開きやすくなり、蒸気の排出量が多くなるため、内蓋内部に保持される蒸気量が少なくなり、米飯は硬めに炊き上がる。
【0045】
また、図6、図7のように内蓋3内でおもり9をスライドされるケースでは、図9に示すように、ユーザの好みによりおもり9をスリット18内で開閉部(蒸気排出部)側もしくは重心側に移動して固定する。図8と同様に、開閉部(蒸気排出部)側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が高くなるので、米飯は軟らかめに炊き上がる。それに対して、内蓋3の重心側におもり9を配置する場合は、内蓋3が開くのに必要な蒸気圧が低くなるので、米飯は硬めに炊き上がる。
【0046】
このように、本実施の形態における内蓋3の形状には厚みがあるため、内蓋3上面の積載物(おもり9)と同形状の窪み13を設けることによって、積載物(おもり9)の移動を防止することができる(図5)。
【0047】
また、積載した積載物(おもり9)を窪み13のレール17上をスライドするように配置して、積載物(おもり9)の位置を変化させることによって内蓋3の重心を変化させ、所定の圧力を得る方法を用いてもよい(図6)。
【0048】
このように、複雑な加圧機構を用いない簡素な機構となるため、部品点数が削減され軽量化につながる。また、おもり9の重量や積載位置によって、炊き上がりの状態を好みに調節することができる。
【0049】
(内蓋加熱)
このように構成された内蓋3においては、外蓋4に装着された加熱コイル5が直接接触しないように対向して成り、加熱する。内釜2と内蓋3との温度むらを低減するために、内釜2は内蓋3と同様に炭素系材料を中心とした物質で構成されるのが望ましい。このとき、加熱コイルは誘電コイルに代えることも可能となる。
【0050】
内蓋3に対向して外蓋4に装着された加熱コイル5と、内釜2に対向して具備された加熱コイル10との制御を、同時に行うか別々に行うかは任意である。
【0051】
また、蒸気の排出は、内蓋3の開閉により内蓋3と内釜2に隙間を形成して行うので、内蓋3に穴を設けるなどの蒸気排出機構を新たに具備する必要はない。
【0052】
米飯の保温終了時には、内蓋3の気孔内部に残留した結露水を完全に排出するため、加熱コイル5によって加熱が行われる。
【0053】
蓋体のみを加熱することで、米飯から水分を奪うことなく内釜2へ水分を供給することができるため、味を劣化させずに長時間の保温ができる。本発明による蓋体はカーボン凝結体であるため、熱伝導性に優れており蓋体全体を効率よく加熱し、積極的に気孔内の水分を放出することができる。そのため、気孔内に水滴を残さず汚染物の付着を抑制し、高い衛生状態を維持でき、再生により機能が回復して半永久的に使用が可能となる特徴がある。
【0054】
(酸化チタン、酸化ケイ素)
内蓋3と連続気孔7には酸化チタンあるいは酸化ケイ素により親水性加工が成されており、内蓋3底面では粒状の水滴になりにくいが、連続気孔7内部では蒸気から水へ状態変化しやすく、保持される水分量が増大する。
【0055】
酸化チタンあるいは酸化ケイ素による表面処理によって内蓋の蒸気と接する面が親水性になることで、蒸気の吸着を助長すると共に、水滴状になるのを防ぐため、米飯への落下を防止できる。
【0056】
さらに酸化チタンは、エチレンガスを吸収・分解するため、長時間の保存においても米飯の劣化を抑制することができる。
【0057】
また、親水性効果を得ることで、水が汚れの下に入り込み、浮き上がらせることによって汚れが流れ落ちるため、おねば等の付着物が少なくなり、内蓋の洗浄が簡単にできるようになる。
【0058】
(腐食対策)
抗菌剤が内蓋3底面および連続気孔7内に積層または添加されているため、カビや菌類の繁殖を低減する。
【0059】
連続気孔7内部で雑菌やカビ類が繁殖するのを抑制し、繰り返し安全に使用することができる。
【0060】
実施の形態2.
(カーボン凝結体形成方法+熱可塑性樹脂)
ここでは、上記実施の形態1に示すジャー炊飯器100を得るため製造方法について説明する。
【0061】
図10は実施の形態2を示す図で、圧縮成形による内蓋3の成型体を得る製造工程を示す図である。
【0062】
本発明に係る圧縮成形による内蓋3の成型体を得る手段であって、カーボン粉粒に結合剤としてフェノール系樹脂と気孔形成剤として熱可塑性樹脂を混練し、形成可能な高炭素混合物の態様を得る。
【0063】
この高炭素混合物の原料を任意の金型に充填して圧縮および加熱して得た後、無酸素状態で焼成処理を行い、連続気孔をもつカーボン凝結体の成型品を得るものである。フェノール系樹脂は800〜1200℃程度の無酸素雰囲気下での焼成処理によって炭化し、周囲のカーボン粉粒を結合させると共に、有機物が飛散して炭化し、カーボンを形成する。
【0064】
また、ポリエステル繊維やポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂などの、炭素を多く含まない有機物を含有して焼成処理段階での飛散に伴い空隙形成を促す気孔形成剤を添加することで気孔生成を行うものである。
【0065】
金型へ投入して、大きさの異なる熱可塑性樹脂を混練した高炭素混合物の原料を充填し、圧縮・加圧・焼成処理を同様に行い、成型品の気孔サイズを段階的に変化させた後、親水性および抗菌性付与のため表面処理を行う製造方法について、図10の工程表に基づいて以下に詳述する。
【0066】
(原料混練)
それぞれ粒子径の異なるカーボン粉粒と熱可塑性樹脂未硬化物およびフェノール系樹脂を混練し、混合物を得る。
【0067】
(底面微細孔(投入、圧縮・硬化、焼成))
内蓋3底面(炊飯釜の内面側)には小さな粒子径のカーボンを含む混合物を、内蓋3表面(内部〜外面側)には粒子径の大きな粒子径のカーボンを含む混合物を積層して配する。
【0068】
最初に金型へ投入する高炭素混合物は、カーボン粉粒の粒子径の小さいものとし、その上に粒子径が大きいカーボンなどの混合物を投入し、さらにその上により粒子径が大きいカーボンなどの混合物を投入し、段階的に投入する混合物の粒子径を大きくする。これを圧縮・硬化させ、800〜1200℃程度の無酸素雰囲気下での焼成処理を行う。このようにして、底面方向に向かって微細気孔になるような形態の連続気孔7をもつ内蓋3の成型品を得る。
【0069】
また、上記の方法とは別の方法として、本発明で実施する形態の内蓋3の成形方法について説明する。
【0070】
粒子が粗い高炭素混合物が最上方に位置し、下方に向かって小さい粒子を順に積層する。このためこの蓋の上面に相当する金型の底面には粒子径が小さい高炭素混合物が集中する。これを加熱および加圧して無酸素状態で高温焼成処理することで、本実施の形態の内蓋3を形成する。
【0071】
(親水化処理)
上記方法で形成した多孔質カーボン凝結体を酸化チタンまたは酸化ケイ素を生成する親水性薬液に浸漬させ、真空加圧含浸法によって含浸する。これを乾燥させ、連続気孔7内および底面から表面にかけて均一な塗膜を形成した後、光触媒性酸化チタンゾルとテトラアルコキシシランを混合した酸化チタンを生成する薬液を光触媒性酸化物に変化する400℃以上の温度で焼成処理を行い、シラザンをアルコールで希釈した酸化ケイ素生成薬液を400℃で焼成処理を行い、内蓋3底部や連続気孔7内に親水性薄膜を保持させる。
【0072】
親水性薄膜を内蓋3底部および連続気孔7内に保持させる手法として、化学蒸着法や物理蒸着法、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング等の方法で塗布後、焼成処理により固定してもよい。
【0073】
(酸化ケイ素による親水化)
上記とは別に酸化ケイ素を用いた親水化手法について説明する。カーボン凝結体の表面を炭化ケイ素化させ、その表面が酸化することによって酸化ケイ素による表面処理効果を得る。反応に用いる一酸化ケイ素ガスの供給源は特に限定されないが、連続気孔7内に一酸化ケイ素ガスが入り込み、連続気孔7表面の炭素と反応して炭化ケイ素が生成されるため、連続気孔7内にガスが拡散しやすいように周囲の一酸化ケイ素ガス濃度は大きいほうが望ましい。また、一酸化ケイ素ガスの発生量を多くさせるため、高真空下の1000〜1400℃で加熱するのが望ましい。
【0074】
(酸化チタンによる親水化)
酸化チタンによる親水化手法について説明する。光触媒性酸化チタンゾルとテトラアルコキシシランとの混合物を、連続気孔7表面にスプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング等の方法で塗布後、乾燥させて、テトラアルコキシシランを加水分解、脱水縮重合させることにより無定型シリカを生成させるとともに、表面層を内蓋3底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0075】
他には、無定型酸化チタンなどの光触媒性酸化チタンの前駆体とシリカゾルを気孔表面にスプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、電子ビーム蒸着等の方法で塗布後、光触媒性酸化チタンの前駆体が光触媒性酸化物に変化する温度以上である400℃以上の温度で焼成し、表面層を内蓋3底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0076】
または、光触媒性酸化チタン粒子を懸濁したゾルを気孔表面上に上記と同様の手法で塗布、乾燥後、テトラアルコキシシランまたはシリカゾルを上記いずれかの方法で塗布後、乾燥させて、テトラアルコキシシランを加水分解、脱水縮重合させることにより無定型シリカを生成させるとともに、表面層を内蓋底面と連続気孔7表面に固定することにより得られる。
【0077】
(腐食対策)
カビや菌類の繁殖を低減するため、抗菌剤を内蓋底面および気孔内に積層または添加する。
【0078】
本実施の形態において、抗菌剤とは黒カビや青カビ等の真菌、黄色ブドウ球菌や大腸菌等の細菌に対する抗菌活性を有する化合物や天然抽出物の総称であり、具体的には銀や銅等の金属粒子またはこれらの金属イオン種をチタンゼオライトやアパタイト等の坦持させた微粒子、キトサンや茶抽出物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
上記の抗菌剤含有量は、内蓋3の耐熱性が炊飯時の加熱により影響を受けない程度のものとする。
【0080】
抗菌性表面処理の施工例について説明する。抗菌性粉末の塗料を連続気孔7表面や内蓋3底面から表面にかけて塗布し、塗膜を乾燥させる。塗布方法は、スピンコート、浸漬、噴霧、などが可能である。乾燥温度は50〜170℃程度が適当である。また、350℃の高温で膜を焼成してもよい。
【0081】
前述した表面処理において、親水性薬液により塗膜層を形成し、抗菌剤塗膜層を塗装焼き付けること、また抗菌剤塗膜層を形成し、その上に親水性薬液により塗膜層を形成すること、また親水性薄膜と抗菌性薄膜を同時に形成することは任意である。なお、形成された親水性薄膜や抗菌性薄膜によって微細気孔が閉塞されることがないようにすることが肝要である。
【0082】
(気孔密閉)
上記のように圧縮、焼成、親水化、抗菌処理を行い形成したカーボン凝結体の上面を気密層8(または半気密層)で覆い、連続気孔7内に保持した蒸気や水粒子が内蓋3の上面から排出されるのを防止する。
【0083】
本発明において、内蓋3に備えた連続気孔7が底面では微細であり、この面より気孔内部の表面処理を行うことが困難であることから、気孔径が大きい上面側より内部の処理を終えてから前記の上面部の気孔を気密層8(または半気密層)で閉塞させた形態に加工する。
【0084】
なお、本発明では内蓋3内部の表面処理を行った後、内蓋3表面の連続気孔7の密閉を行っているが、内蓋3内部の連続気孔7に表面処理を行うことが目的であり、これが達成できるのであれば順序は問わない。また、気密層8(または半気密層)に用いる素材に関しては炭素材料であることが好ましい。
【0085】
本実施の形態の内蓋成型品は、表面(外面側)が気密であり、内部に大きな連続気孔7をもち、底面(内面側)が微細気孔7aとなっているため、先に内蓋成型品を賦形してしまうと、内部へのコーティングを行うために含浸可能部は底面の微細気孔7aからのみである。しかしながら、底面の微細気孔7aは蒸気のみが通過できる程度の径であるため、親水性薬液および抗菌剤の侵入が困難であると考えられ、気孔径が大きな内部が密閉される前に、これらのコーティングを行うことが好ましい。
【0086】
上記の気孔密閉の具体的な手法として、表面にフッ素樹脂を塗装する方法を用いる。
【0087】
ポリエステルエラストマー(TPC)とテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)微粉末を分散させた液状樹脂を含浸させる。FEP微粉末の大きさはカーボン凝結体が備える気孔径よりわずかに小さいものとする。含浸はスプレーで吹付け、液状樹脂が表面から吸収せずに表面層に滞留する状況が生じた段階で終了する。
【0088】
上記液状樹脂の含浸後、不飽和ポリエステル樹脂が半硬化状態になるまで乾燥させ、ポリエーテルスルフォン(PES)の水分散溶液の最表面に塗装するフッ素樹脂と同じテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキフビニルエーテル共重合体(PFA)微粉末を分散させた液状樹脂をスプレーで吹付けフッ素樹脂との接合に供するプライマー層を形成する。最表面層を形成するため、フッ素樹脂であるPFA微粉末を吹付けによって保持した後、360℃雰囲気中に投入して表面(外面側)から加熱する。加熱は、微粉末の溶融が内部に気泡が残留しないようにしたものであり、最表面までがほぼ均一に加熱され全体が溶融する時間は10〜20分間であることが好ましい。
【0089】
なお、ここでは液状樹脂としてPESを用いたが、調理器具が受ける最高温度以上の融点を備える耐熱性樹脂であれば上述の樹脂にこだわる必要はなく、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)ポリスルホン(PSU)などの耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0090】
上記とは別の方法として、内蓋形成時においてカーボン粉粒の大きさを制御し、任意の金型への投入順を粒子径の小さいものから、段階的に粒子径が大きいカーボンの混合物にする。さらにその上(内蓋上面方向)に粒子径が極めて微細なカーボンなどの混合物を投入することで内蓋上面を半気密状態にする。この半気密状態は、極めて微細な空隙を解放することとし、フッ素樹脂の塗装において、液状樹脂が表面に滞留しない程度に含浸させて乾燥し、薄膜を形成する。乾燥の過程で、溶剤気散に伴う樹脂薄膜の収縮によってTPCとFEPの界面が部分的に剥離して、極めて微細な空隙を形成する。この空隙は、内部の水分放出を容易に行うことが可能な大きさではなく、水蒸気の侵入時の気孔内圧力を過度に高くしない用に、内部の空気などのガスを放出するうえで有効に作用する。
【0091】
実施の形態3.
図11乃至図14は実施の形態3を示す図で、図11は内蓋3の連通した気孔による蒸気排出機構の断面図、図12は内蓋3に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図、図13は内釜2に設けたスリットによる蒸気排出機構の断面図、図14は内釜2におねば返しを具備した蒸気排出機構の断面図である。
【0092】
本実施の形態に係るジャー炊飯器の蒸気排出機構は、連続気孔の多孔質カーボン凝結体であって、偏芯した重心を備えるものであり、内蓋に備えた底面と側面の連通した気孔または側面にあるスリットによって蒸気を排出するものである。
【0093】
次に蒸気排出機構について説明する。内蓋3においては、上面が気密層8(または半気密層)となっており閉塞されているため、加熱しても蒸気が抜け出さない構造となっている。しかし、連続気孔7が底面から外周面(側面)へ連通しており、一定以上の蒸気圧によって内蓋3が押し上げられ、外周部(側面)が内釜2より上にせり出すと、連続気孔7から蒸気が放出される。
【0094】
上記のように、内蓋3が開かなくても蒸気を排出できるようにしているので、おねば等の噴きこぼれを抑制することができる。
【0095】
また、図11に示すように、内蓋3の上面の気密層8(または半気密層)は、連続気孔7の蒸気排出機能の能力によって適当な厚さに変更する。
【0096】
次に連続気孔7からの蒸気排出量では間に合わないような場合に、蒸気を放出する形態を示す。
【0097】
図12、図13は、このような場合の、内蓋3を完全に開放せずに蒸気を放出するための機構である。
【0098】
内蓋3の自重による加圧より釜内部の圧力が大きくなり、内蓋3を押し上げようとしたとき、内蓋スリット11(開口部、スリット)または内釜スリット12(開口部、スリット)から蒸気が放出され、内釜2内部の圧力を低下させる。
【0099】
図14のように、内釜2の端部を折り返すことで、おねば返しを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の活用例として、ジャー炊飯器について示したが、湯沸かし器、蒸し器、その他調理器具などの加熱部についても、同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 本体、2 内釜、3 内蓋、3a 凹部、4 外蓋、5 加熱コイル、6 蒸気排出口、7 連続気孔、7a 微細気孔、8 気密層、9 おもり、9a 手掛け部、9b 固定手段、10 加熱コイル、11 内蓋スリット、12 内釜スリット、13 窪み、14 ゴムパッキン、15 ネジ、16 把持部、17 レール、18 スリット、100 ジャー炊飯器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、前記本体に着脱自在に収納される内釜と、前記内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、
前記内蓋の側面と底面とが連通した前記連続気孔を備えて前記内釜と接し、上面にある前記連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた前記内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする蒸気排出機構。
【請求項2】
前記内蓋もしくは前記内釜に、スリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気排出機構。
【請求項3】
当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、前記本体に着脱自在に収納される内釜と、前記内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の内蓋の製造方法であって、
カーボン粉粒にフェノール系樹脂および気孔形成剤を混合した高炭素含有物の混合物が、金型内で加熱および加圧して得た任意形状の内蓋形成品を無酸素状態の高温で焼成処理して得た多孔質のカーボン凝結体に、親水性を付与する薬液および抗菌剤添加物を含浸させて、前記カーボン凝結体が備える気孔の内面に親水性の表面処理加工を施して成ることを特徴とするジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項4】
前記カーボン凝結体が、黒鉛粒の大きさを調整して得られる接合粒子間の空隙、および成形品が備える有機物が焼成時に分解して飛散した痕跡である気孔を形成することを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項5】
前記有機物が、熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項4に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項6】
前記粒子間の空隙および前記気孔の大きさが、前記内蓋の表面側の気孔が大きく、底面側ほど微細な気孔となるように異なる大きさの黒鉛粒を混合および積層した状態で成形することを特徴とする請求項4に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項7】
前記親水性薬液が、酸化チタンまたは酸化ケイ素を生成する親水性薬液を添加剤として成ることを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項8】
前記親水性処理過程において、前記親水性薬液の含浸が真空加圧含浸法によって行われ、含浸後に任意の温度で加熱処理を行い、含浸剤によって微細気孔が閉塞されることがないことを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項9】
前記親水性処理および前記抗菌性処理が行われる工程が、任意の内蓋を得る造型過程の途中に行われ、連続気孔への親水性処理および抗菌性処理が内蓋内部から行われることを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項1】
当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、前記本体に着脱自在に収納される内釜と、前記内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の蒸気排出機構であって、
前記内蓋の側面と底面とが連通した前記連続気孔を備えて前記内釜と接し、上面にある前記連続気孔が閉塞されており、偏芯した重心を備えた前記内蓋の底面から端部分に開口部を備えることを特徴とする蒸気排出機構。
【請求項2】
前記内蓋もしくは前記内釜に、スリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気排出機構。
【請求項3】
当該ジャー炊飯器の外郭を構成し、上部が開口した容器状をなす本体と、前記本体に着脱自在に収納される内釜と、前記内釜の上方を自在に開閉し、水分を保持する連続気孔を備えた多孔質カーボンから成り、重量が変化可能な内蓋と、を備えたジャー炊飯器の内蓋の製造方法であって、
カーボン粉粒にフェノール系樹脂および気孔形成剤を混合した高炭素含有物の混合物が、金型内で加熱および加圧して得た任意形状の内蓋形成品を無酸素状態の高温で焼成処理して得た多孔質のカーボン凝結体に、親水性を付与する薬液および抗菌剤添加物を含浸させて、前記カーボン凝結体が備える気孔の内面に親水性の表面処理加工を施して成ることを特徴とするジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項4】
前記カーボン凝結体が、黒鉛粒の大きさを調整して得られる接合粒子間の空隙、および成形品が備える有機物が焼成時に分解して飛散した痕跡である気孔を形成することを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項5】
前記有機物が、熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項4に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項6】
前記粒子間の空隙および前記気孔の大きさが、前記内蓋の表面側の気孔が大きく、底面側ほど微細な気孔となるように異なる大きさの黒鉛粒を混合および積層した状態で成形することを特徴とする請求項4に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項7】
前記親水性薬液が、酸化チタンまたは酸化ケイ素を生成する親水性薬液を添加剤として成ることを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項8】
前記親水性処理過程において、前記親水性薬液の含浸が真空加圧含浸法によって行われ、含浸後に任意の温度で加熱処理を行い、含浸剤によって微細気孔が閉塞されることがないことを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【請求項9】
前記親水性処理および前記抗菌性処理が行われる工程が、任意の内蓋を得る造型過程の途中に行われ、連続気孔への親水性処理および抗菌性処理が内蓋内部から行われることを特徴とする請求項3に記載のジャー炊飯器の内蓋の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−143043(P2011−143043A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5558(P2010−5558)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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