蓄光シート
蓄光シートが開示される。蓄光シートは、熱硬化性樹脂であるマトリクス樹脂層と、マトリクス樹脂層に含まれ、青色LEDから照射された光の波長を変換する蛍光体と、マトリクス樹脂層の内部に含まれて、液状の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、マトリクス樹脂層に含まれるものの、蛍光体をマトリクス樹脂層の内部に等しく分散する添加剤とを含む。前記蓄光シートは、青色波長を白色に具現化できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光シートに関し、さらに詳細には、LEDの青色光を白色光に具現化可能な蓄光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間又は室内にて光を提供するか、又は物体を照明するために、多様な種類の照明灯が利用されている。このような照明灯は、電源を供給されて電気エネルギーを光エネルギーに変化させて光を提供するものであって、概して白熱電球又は蛍光灯を使用することが一般的である。しかしながら、白熱電球や蛍光灯は、消費電力が大きく、かつ発熱特性があり、寿命が約6ケ月程度で短いため、頻繁に交替しなければならないという短所を有している。
【0003】
なお、蛍光灯は、発ガン物質である水銀を使用しているため、規制の対象になりえ、直接照明のため光源のフリッカにより視力低下の要因として作用しており、広い設置空間が必要であり、かつ設置方法と色調節が難しい点などの短所を多く有している。
【0004】
このような従来の照明装置を交替するために、LED(Light Emitting Diod)を利用した照明装置が研究されつつある。LEDは、10万時間の寿命を有するので、半永久的だと言え、紫外線より長波長の光を利用するので、人体にも無害である。
【0005】
LEDは、照射される光の波長に応じて、青色LED、白色LED、紫外線LEDなどに分けることができる。しかしながら、紫外線LEDと白色LEDは、製造工程面で青色LEDより複雑で、かつ製造費用もはるかに高いため、その使用が制限されていた。したがって、低価の青色LEDを白色に具現化するために、蓄光シートに対する開発が進められている。このような照明装置は、携帯電話などのバックライトユニットとしても使用可能である。
【0006】
しかしながら、従来の蓄光シートは、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂に無機蛍光体を二軸押出機により混練させるため、樹脂シート内に蛍光体の均一な混合が難しいため、輝度及び色座標の不均一が激しいという問題点があった。
【0007】
また、従来の色変換シートは、マトリクス樹脂と蛍光体とが混練された着色ペレット(colored pellet)を圧出成形して製造されるため、同じ圧出成形条件では、同じ形態の色変換シートのみが生産されて、応用性が落ちるという短所があった。
【0008】
なお、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂であるポリカーボネートやポリメチルメタクリルレート樹脂などは、脆性に強いため、図1の写真のように容易に割れるか、又は耐熱性が低い(120℃以下)ため、高温で容易に塑性変形される性質があるため、その適用に限界があった。
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、低価の青色LEDを利用して白色を具現化でき、かつ耐熱性、脆性に対する耐久性及び耐湿性に強い蓄光シートを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、蓄光シートの表面を変形させて光を拡散する機能、及び他のシートと積層時に接触により発生するむら現象を防止する蓄光シートを提供することにある。
【0011】
本発明の一側面によれば、熱硬化性樹脂であるマトリクス樹脂層と、前記マトリクス樹脂層に含まれ、青色LEDから照射された光の波長を変換する蛍光体と、前記マトリクス樹脂層の内部に含まれて、液状の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、前記マトリクス樹脂層に含まれて、蛍光体をマトリクス樹脂層の内部に等しく分散する添加剤と、を含む蓄光シートが提供される。
【0012】
前記蓄光シートは、使用目的に合うように、輝度強化型蓄光シート、輝度及び色度同時強化型蓄光シート、色度強化型蓄光シートで製造されうる。これらは、以下のような組成比で製造されうる。
【0013】
拡散剤を含まない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる輝度強化型蓄光シートを製造することができ、又は、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる輝度及び色度同時強化型蓄光シートを製造することができる。
【0014】
また、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜65重量部、赤色蛍光体1〜65重量部を含んでなる色度強化型蓄光シートを形成することができる。
【0015】
一方、蓄光シートには、拡散剤が添加されうるが、前記拡散剤は、光源の屈折を促進させて蛍光体の励起率を高める機能及び均一化する機能を果たす。このような蓄光シートは、次のような組成比で多様な目的に使用される。
【0016】
シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる輝度強化型蓄光シートを製造することができ、又は、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる輝度及び色度同時強化型蓄光シートを製造することができる。
【0017】
また、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜50重量部、赤色蛍光体1〜50重量部を含んでなる色度強化型蓄光シートを製造することができる。
【0018】
一方、前記マトリクス樹脂層の表面には、保護フィルムが付着されうる。前記保護フィルムは、透明層であって、マトリクス樹脂層を保護する機能を果たし、耐熱性及び耐湿性を強化させる。
【0019】
前記保護フィルムの表面は、不規則な段差を有することもできる。これは、拡散の機能及びむら現象防止機能を果たす。また、前記保護フィルムの表面にむら現象防止用小型ボールを付着して、蓄光シートと接触する他のシートとのむら現象(Wetting)を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による蓄光シートの実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明することとし、添付図面を参照して説明するに当たって、図面符号に関わらず、同一又は対応する構成要素は、同じ参照番号を付し、これについての重複する説明は省略する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図2に示すように、黄色蛍光体1a、赤色蛍光体1b、緑色蛍光体1c、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、蓄光シート10が示されている。
【0022】
図2に示す蓄光シート10は、400nm〜500nm波長の青色LEDの光を白色光に転換する機能を有する。基本的に薄膜のマトリクス樹脂層2の内部に蛍光体が等しく分散された形態である。
【0023】
図2には図示していないが、マトリクス樹脂層2の内部には、硬化剤と添加剤とが含まれることができる。硬化剤は、液状の熱硬化性樹脂を硬化する用途として使用され、添加剤は、蛍光体を液状の熱硬化性樹脂の内部に等しく分散するために使用される。拡散剤3は、光源の屈折を促進させて、蛍光体の励起率を高める機能及び均一にする機能を果たす。保護フィルム4は、マトリクス樹脂層2を保護する機能を果たす。
【0024】
以下、本発明の実施の形態に用いられる材料について説明する。
【0025】
(マトリクス樹脂層2)
本発明の実施の形態にてマトリクス樹脂層2をなすものは、熱硬化性樹脂であり、特にシリコン樹脂を使用した。熱可塑性樹脂は扱いやすいが、脆性に強く、かつ防湿能力が低いので、表面の均一性が求められる蓄光フィルム10に使用することは困難であるため、本発明は、工程が複雑な熱硬化性樹脂を使用した。
【0026】
シリコン樹脂は、軟性が良く、かつフィルムに印刷時に接着力に優れている。本発明で使用可能なシリコン樹脂の好ましい特性は、光透過度が85%以上であり、粘度が3000cp以上であり、120℃以下で乾燥(硬化)されるものである。また、蛍光体1などとの混合が良好でなければならず、揮発性は、低いほど良く、保護フィルム4との接着性が良くなければならない。このようなシリコン樹脂は、容易に手に入れることができるが、例えば、ダウコーニング社製のシリコン樹脂システム LS4326(シリコン樹脂)−LS4326A(硬化剤)−LS4326C(硬化促進剤)−トルエン又はキシレン(70%、粘度調節剤又は溶媒)、又は同一会社のシリコン樹脂システムCF5010(シリコン樹脂)−SO400(硬化剤)−シリコンオイル(粘度調節剤又は溶媒)などである。
【0027】
このようなシリコン樹脂は、それ自体に消泡剤が添加されているため、スクリーン印刷方式で問題となる気泡問題を解決することができる。したがって、以下で説明するシリコン樹脂は、純粋シリコン樹脂というより、消泡剤などのシリコン樹脂の性質を改善する物質が微量添加されたものと言える。これは、市中で純粋シリコン樹脂を手に入れることが難しく、当業者側でいうシリコン樹脂は、シリコン樹脂製造社側で市販する形態であるためである。
【0028】
(蛍光体1及び拡散剤3)
本発明の前記シリコン樹脂に混入されて、光励起及び/又は拡散機能を行う物質は、以下のとおりである。
【0029】
蛍光体1は、無機蛍光体を利用する。代表的な光励起無機蛍光体は、ガーネット系(Gd)物質であるY3Al5O12(YAG)にセリウム(cerium)をドーピングした蛍光体から構成される。例えば、光励起無機蛍光体は、(Y1−x−yGdxCey)3Al5O12(YAG:Gd,Ce)、(Y1−xCex)3Al5O12(YAG:Ce)、(Y1−xCex)3(Al1−yGay)5O12(YAG:Ga,Ce)、(Y1−x−yGdxCey)3(Al5−zGaz)5O12(YAG:Gd,Ga,Ce)、又は(Gd1−xCex)SC2Al3O12(GSAG)などになりうる。
【0030】
一般に、YAG系蛍光体は、(Y1−x−yGdxCey)3(Al1−zGaz)O12(但し、x+y≦1;0≦x≦1;0≦y≦1;0≦z≦1)と表される。蛍光体1から発光する主波長は、上記で述べた物質に応じて異なる。ガーネット系に依存するCe3+発光は、光効率の減少なしで緑色(〜540nm;YAG:Ga,Ce)から赤色(〜600nm;YAG:Gd,Ce)まで多様に発光させることができる。本発明の実施の形態では、大洲電子(Daejoo Electronic Materials Co.Ltd.)社製の(Y,Gd,Ce)3(Al,Ga)5O12とPhosphor Technology社製のY3Al5O12:Ceを使用した。また、暗赤色(dark red)を発光させるための代表的な無機蛍光体は、SrB4O7:Sm2+である。SM2+は、主に赤色の波長を表すのに寄与する。特に、前記のような暗赤色無機蛍光体は、600nm以下の可視光領域全体を吸収して、暗赤色、すなわち、650nm以上の波長を有して発光をする。輝度向上のために、Phosphor Technology社のSrS:Eu系の620nm波長帯の蛍光体を使用する。また、緑色を発光させるための代表的な無機蛍光体は、SrGa2S4:Eu2+である。前記のような緑色無機蛍光体は、500nm以下の光を吸収して、535nmの主波長を放出する。また、青色を発光させるための代表的な無機蛍光体は、BaMg2Al16O27:Eu2+である。前記のような青色無機蛍光体は、430nm以下の光を吸収して、450nmの主波長を放出する。
【0031】
黄色蛍光体は、YAG系だけでなく、TAG系(Tb3Al5O12)とシリケート系(Sr2SiO4:Eu)のうち、何れか一つを使用することも可能である。また、赤色蛍光体も、CaS:Eu、SrS:Eu、又はSrB4O7:Smのうちの何れか一つを使用することもでき、緑色蛍光体としてSrGa2S4:Euを使用することもできる。
【0032】
光を均一にする散乱又は拡散機能を有する拡散剤3は、大きく透明拡散剤と白色拡散剤とに分けられる。透明拡散剤には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂などの有機透明拡散剤と合成シリカ、ガラスビーズ、ダイアモンドなどの無機透明拡散剤がある。白色拡散剤には、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸バリウム(BASO4)、炭酸カルシウム(CaSO4)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、クレーなどを含む無機酸化物などが代表的である。
【0033】
拡散剤3の大きさ及び濃度は、光源から入射した光の散乱程度を決定する要因である。拡散剤3があまり少ないと、光拡散の効率が落ち、過度に多くなると、光透過率を低下させる。本発明の場合、SiO2の大きさは、5〜7μmが最も良い特性を示した。また、拡散剤3の濃度は、13%であるとき、光拡散及び透過率が良い特性を示した。
【0034】
蛍光体1の大きさも、拡散剤3のように制限される。蛍光体1の大きさは、5〜7μm程度が適当であり、あまり小さいと、光励起効率が減少し、あまり大きくなると、光透過度及び薄膜の均一度を低下させる。
【0035】
しかしながら、拡散剤3は必須物質ではない。光を拡散させる方法は、光励起フィルム10の表面を変形することによって十分に可能なためである。
【0036】
(保護フィルム4)
本発明の保護フィルム4として使用可能な樹脂には、光透過度に優れたものとして無色透明な合成樹脂を使用するが、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタルレート(Polyethylene terephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリスチレン(Polystyrene)などがある。この中で、ポリエチレンテレフタルレート(PET)フィルムは、透明性に優れ、かつ強度及び曲げ性に優れている。また、耐熱性、耐化学性が必要な場合には、保護フィルム4をポリカーボネート(Polycarbonate)とすることが好ましい。保護フィルム4の厚さは、5〜50μm以内のフィルムを使用することが好ましい。10μm以下のフィルムは、取り扱うことが難く、50μm以上のフィルムは、光透過度が落ちるためである。
【0037】
一方、スクリーン印刷に用いられるポリマー製版(Polymer Screen)は、機械的強度が弱いため、量産効率性のためにステンレス製版を使用することが好ましい。製版のメッシュサイズは、印刷される厚さ及び格子の大きさによって適切に調節して使用可能である。本発明の実施の形態では、メッシュサイズが50〜120になる製版(screen)を使用した。
【0038】
(その他物質)
硬化剤は、液状のシリコンを硬化させる機能を果たす。多様な硬化剤を使用することができるが、一般的にダウコーニング社製のCF5010、CD7657、DC9800、LS4326、DC2013を使用する。
【0039】
また、添加剤は、液状のシリコン内部に蛍光体1を均一に分散する分散剤、表面欠陥防止剤、流動性組成添加剤の中から選択された一つ以上の混合物質を使用する。この物質を使用しない場合、蛍光体1は、塊になり、蓄光シート10の効率は落ちるようになる。添加剤は、ドイツBYK社製(BYK−333、BYK−306、BYK−310、BYK−w940、BYK−110、BYK−2001、BYK−410)を主に使用する。以上の硬化剤と添加剤は、用途に符合するように多様な製品及び物質を使用することができる。
【0040】
その他、液状のシリコン樹脂と蛍光体1及び/又は拡散剤3の混合が円滑になされて、膜を均一に製造するか、又は気泡の発生などを防止するために、沈殿防止剤、バインダー、気泡防止剤などが混入されうる。
【0041】
以下では、上述したシリコン樹脂と硬化剤、添加剤、蛍光体1を利用して光励起フィルム10を製造するにおいて、必要な成分の組成比をシリコン樹脂100重量部を基準として、拡散剤3を添加した場合と拡散剤3を添加しない場合とに分けて説明する。
表1は、拡散剤を添加した場合、表2は、拡散剤を使用しない場合の蓄光シートの組成比である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1、2のように、大きく3種類の蓄光シートを製造することができる。それぞれの蓄光シートは、その特性に応じて輝度強化型蓄光シート、輝度及び色度強化型蓄光シート、色度強化型蓄光シートと称される。
【0045】
輝度強化型蓄光シートは、蛍光体の中で黄色蛍光体のみを使用する。したがって、青色光が蓄光シートに照射されると、黄色蛍光体を経た光は、黄色光の波長部位である550nmにてなだらかなピーク(Peak)が現れ、黄色蛍光体を経ない青色光は、本来の450nmにて強いピークが現れる。このような形態の波長は、輝度が強くなる。これに対し、白色光は、赤色、緑色、青色波長が適切に組み合わせなければならないので、輝度強化型蓄光シートで具現された光は、色度が落ちるかもしれない。
【0046】
しかしながら、青色LEDから照射される光の輝度は、一般に高輝度ではないので、蓄光シートを経た光の輝度を最大限保障するためには、輝度強化型蓄光シートを使用することが好ましい。
【0047】
このような輝度強化型蓄光シートは、拡散剤を添加する際に、表1のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んで製造できる。拡散剤を添加しない場合には、表2のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んで製造できる。
【0048】
一方、色度強化型蓄光シートは、白色を具現化するための蓄光シートである。特に、色度強化型蓄光シートは、照明装置に用いられるが、日常的に生活する室内空間は、目の疲労を減らすために、このような形態のシートを使用することが好ましい。
【0049】
このような色度強化型蓄光シートは、蛍光体の中で緑色蛍光体と赤色蛍光体を使用する。白色は、青色、緑色、赤色の波長が適切によく組み合わせられるときに具現化される。したがって、青色光が蓄光シートに照射されると、赤色蛍光体を経た光は、赤色光の波長部位で、緑色蛍光体を経た波長は、緑色波長部位でピークが現れ、如何なる蛍光体も経ない蛍光体は、青色波長でピークが現れて、これらが混合されるとき、白色光が具現化される。
【0050】
このような色度強化型蓄光シートは、拡散剤添加時に表1のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜50重量部、赤色蛍光体1〜50重量部を含んで製造できる。
【0051】
拡散剤が添加されない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜65重量部、赤色蛍光体1〜65重量部を含んで製造できる。
【0052】
上記の輝度強化型蓄光シートと色度強化型蓄光シートとの長所と短所とが混合されたことが輝度及び色度同時強化型蓄光シートである。すなわち、輝度及び色度同時強化型蓄光シートは、輝度と色度を同時に上昇させるという長所がある。
【0053】
輝度及び色度強化型蓄光シートを、拡散剤を添加して製造する場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んで製造できる。
【0054】
拡散剤を添加しない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んで製造できる。
【0055】
上記の3種類の蓄光シートの光励起スペクトルを分析すれば、図3のような形態となる。図3に示すように、輝度強化型蓄光シートの場合、広い範囲で波長が形成され、色度強化型シートの場合、青色及び赤色、緑色の波長範囲で強いピークを形成したことが分かる。
【0056】
一方、前記3種類の蓄光シートを形成するにおいて、上記のように組成比の範囲が制限される理由を説明すれば、次のとおりである。
【0057】
(硬化剤の影響)
硬化剤の含有量が0.05%以下であるとき、印刷後にシリコン樹脂の硬化がほとんど起こらない場合もあり、硬化が起きるとしても、硬化時間が数時間〜数日まで増加して量産性がなくなる。また、硬化剤の含有量が5%以上であるとき、硬化があまりに急激に起きるため、蓄光シートを製作するための印刷工程途中で硬化が起きるという問題がある。
【0058】
早期硬化が起きる場合、印刷と同時に硬化が起きるので、蓄光シートの厚さが厚くなり、それによる色座標が変化する工程変動が深刻で、かつ製造工程の再現性に深刻な問題が発生するようになる。
【0059】
(添加剤の影響)
添加剤としては、分散剤、表面欠陥防止剤、流動性組成添加剤などを一つ又は一つ以上混合して使用し、添加剤の量が0.1重量%未満の場合、蓄光シートを製造した後の蛍光体間の分離及び凝集などの現象が深刻であるため、均一な面光源を作ることができず、添加剤の量が15重量%以上であるとき、以下の表3のような逆効果がある。
【0060】
【表3】
【0061】
表3のように、分散剤は、過量時に印刷表面の流れ現象が発生して、フィルム(蓄光シート)表面の不均一が発生する。表面欠陥防止剤の場合、BYK333を適正量より過量添加時に、硬化遅延、接着力の弱化、表面流動性が低下し、流動性組成添加剤の場合、過量時に印刷表面の流れ現象が発生するようになる。
【0062】
(拡散剤の影響)
シートの内部に拡散剤が入っていく場合、拡散剤の組成に応じる光源の輝度関係は、表4と図4のグラフのとおりである(表4と図4のグラフは、輝度強化型蓄光シートと色度強化型蓄光シートとを対象として実験したものである)。
【0063】
シリコン樹脂100重量部に対して拡散剤が5重量部以下であるとき、輝度の上昇の効果がほとんどなく、15重量部以上であるとき、輝度が減少する傾向を示すので、5〜15重量部範囲が適切な量になる。
【0064】
【表4】
【0065】
(蛍光体の影響)
蛍光体は、提供社別にその発光特性及び色座標特性が異なるので、定形化した組成を決めるのが極めて難しく、広い範囲の組成分布範囲を有する。
【0066】
輝度強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して1重量部以下では、蛍光体の励起がほとんどないので、青色LEDの光源が大部分を占めて、全体的に青色となる。90重量部以上では、色座標が白色を超えて黄色系で現れるようになり、通常、蛍光体のシート製造時に蛍光体の含有量が多くなるほど輝度が増加するが、90重量部以上では、輝度増加がほとんどない。
【0067】
輝度及び色度同時強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して緑色蛍光体1重量部、黄色蛍光体0.1重量部、赤色蛍光体1重量部以下の組成では、蛍光体の励起がほとんどないため、全体的に青色光を帯び、緑色蛍光体30重量部、黄色蛍光体60重量部、赤色蛍光体30重量部以上であるとき、輝度の上昇がほとんどない。
【0068】
色度強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して緑色蛍光体1重量部、赤色蛍光体1重量部以下の組成で蛍光体の励起がほとんどないため、全体的に青色光を帯び、緑色蛍光体50重量部、赤色蛍光体50重量部以上であるとき、輝度の上昇がほとんどない。拡散剤を使用しない場合、緑色蛍光体65重量部、赤色蛍光体65重量部まで使用できる。
【0069】
前記組成比の範囲を考慮して、光励起フィルムの製造方法を説明すれば、以下のとおりである。図5は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法のフローチャートであり、図6は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの製造方法の概念図である。図6に示すように、保護フィルム4、蓄光シート10、シリコン液剤20が示されている。
【0070】
(製造方法)
ゲル形態のシリコン樹脂に硬化剤、蛍光体及び/又は拡散剤を混合攪拌し、シリコンオイルなどで粘度を調節した後、シリコン液剤を製造する。以後、保護フィルム上にスクリーンプリント方式、スリットコート方式、ロールコート方式などで印刷を行い、乾燥硬化して光励起拡散シート10を製造する。蓄光シート10は、保護フィルム4を除去して使用することもできるが、一般に保護膜として保護フィルム4を付着することが好ましい。
【0071】
具体的な製造方法を述べると、シリコン樹脂とシリコン樹脂100重量部を基準に硬化剤0.5重量部、硬化促進剤2重量部を順に添加して、液状シリコン樹脂を製造した。前記で製造された液状シリコン樹脂100重量部を基準に蛍光体13重量部、液状シリコン樹脂100重量部を基準に拡散剤としてSiO2(直径5〜7μm)13重量部を前記液状シリコン樹脂に混合して、空・自転攪拌機を利用して攪拌して、シリコン液剤20を製造した。その後、1層の厚さが10〜25μmで、2層の厚さが20〜100μmである2層構造を有する保護フィルム4(ポリエチレン材質である)を印刷面として、スクリーン印刷方式を利用して前記混合されたシリコン液剤をコーティングした。赤外線乾燥器を介して120℃で硬化した後、保護フィルム4と分離することによって本発明の拡散シートを製造した。
【0072】
しかしながら、保護フィルム4を分離せずに一つの保護フィルム4をさらに積層することもできる。これは、蓄光シート10の耐熱性及び耐湿性を向上させる効果がある。
【0073】
本発明の蓄光シートは、軟性に優れるため、反るばかりで割れる現象は見えない。図7は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの写真(保護フィルム4がない形態)であって、表面にクラックが発生しない蓄光シートの形態を示す。
【0074】
従来では、熱可塑性樹脂を保護フィルムなしで圧出及び引抜方式でフィルムを生産した。このような従来の熱可塑性樹脂を高温(80〜85℃)及び高湿(80〜85%)雰囲気で信頼性テストした結果、図8の写真のような結果を示す。写真のように表面蛍光体が分離されて消失され、蛍光体自体の劣化が伴って輝度の低下が深刻であった。
【0075】
しかしながら、本実施の形態は、熱硬化性樹脂の一種であるシリコン樹脂を使用した結果、図9の写真のように表面蛍光体の損失及び劣化がなく、それによる輝度の低下がほとんどなかった。
【0076】
また、保護フィルム4が積層された場合には、高温及び高湿の環境でも劣化及び輝度の低下がなかった。
【0077】
一方、蓄光シートと他の種類のシートを積層する場合、シートとシートとの間が密着されてむらが生じる現象が発生する。したがって、各々のシートを微細に離隔させる必要がある。以下では、これを改善した実施の形態を説明する。
【0078】
図10は、本発明の第5の実施の形態による蓄光シートの断面図であり、図11は、本発明の第5の実施の形態によって小型ボールを付着した蓄光シートの写真である。図10に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、小型ボール5、接着層6、蓄光シート10が示されている。
【0079】
本発明の第5の実施の形態は、蓄光シート10の表面に小型ボール5を付着することを特徴とする。小型ボール5が蓄光シート10の表面に等しく分散されて付着される場合、他の種類のシートが上下面に位置しても、表面の密着によるむら現象は起こらない。
【0080】
このような小型ボール5も、樹脂からなることが好ましく、輝度を落とさないように透明な材質を使用することが好ましい。小型ボール5は、直接蓄光シート10の表面に付着されうるが、接着層6を上面に塗布することが、小型ボール5が離脱されずに安定して付着されるようにする。
【0081】
図11は、本発明の第5の実施の形態の上から眺めた写真であって、小型ボールは、蓄光シートの表面に分散されて付着されている。
【0082】
図12は、本発明の第6の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図12に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、接着層6、蓄光シート10が示されている。
【0083】
第6の実施の形態の場合、保護フィルム4に粗度(roughness)を形成した。これは、光を効果的に分散するためである。すなわち、マトリクス樹脂層2を入射する光は、保護フィルム4を2回経るようになり、保護フィルム4の照度により、光の経路は、多様に分散される。したがって、このような蓄光シート10には、拡散剤3を使用しなければならない。また、保護フィルム4の粗い表面は、他の種類のシートが上面に位置する場合、表面の密着によるむら現象を防止する機能も同時に有するようになる。
【0084】
図13は、本発明の第7の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図13に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、小型ボール5、蓄光シート10が示されている。本実施の形態は、図12の第6の実施の形態のように、粗度がある表面の保護フィルム4の上面に小型ボール5を付着したものであって、むら防止の機能を強化したものである。
【0085】
本発明の技術思想が上述した実施の形態によって具体的に記述されたが、上述した実施の形態は、その説明のためのもので、その制限のためのものではなく、本発明の技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で多様な実施の形態が可能であることを理解することができるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上の構成により、本発明は、青色LEDの光を白色に信頼性あるように具現できる蓄光シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、従来の技術による蓄光シートの写真である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態による3種類の蓄光シートの光励起スペクトルグラフである。
【図4】図4は、本発明の第3の実施の形態による蓄光シートにおいて拡散剤濃度と輝度間の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法の概念図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの写真である。
【図8】図8は、従来の技術による蓄光シートの信頼性テスト写真である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの信頼性テスト写真である。
【図10】図10は、本発明の第5の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図11】図11は、本発明の第5の実施の形態によって小型ボールを付着した蓄光シートの写真である。
【図12】図12は、本発明の第6の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図13】図13は、本発明の第7の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1a 黄色蛍光体、 1b 赤色蛍光体、 1c 緑色蛍光体、 1 蛍光体、 2 マトリクス樹脂層、 3 拡散剤、 4 保護フィルム、 5 小型ボール、 10 蓄光シート、 20 シリコン液剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光シートに関し、さらに詳細には、LEDの青色光を白色光に具現化可能な蓄光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間又は室内にて光を提供するか、又は物体を照明するために、多様な種類の照明灯が利用されている。このような照明灯は、電源を供給されて電気エネルギーを光エネルギーに変化させて光を提供するものであって、概して白熱電球又は蛍光灯を使用することが一般的である。しかしながら、白熱電球や蛍光灯は、消費電力が大きく、かつ発熱特性があり、寿命が約6ケ月程度で短いため、頻繁に交替しなければならないという短所を有している。
【0003】
なお、蛍光灯は、発ガン物質である水銀を使用しているため、規制の対象になりえ、直接照明のため光源のフリッカにより視力低下の要因として作用しており、広い設置空間が必要であり、かつ設置方法と色調節が難しい点などの短所を多く有している。
【0004】
このような従来の照明装置を交替するために、LED(Light Emitting Diod)を利用した照明装置が研究されつつある。LEDは、10万時間の寿命を有するので、半永久的だと言え、紫外線より長波長の光を利用するので、人体にも無害である。
【0005】
LEDは、照射される光の波長に応じて、青色LED、白色LED、紫外線LEDなどに分けることができる。しかしながら、紫外線LEDと白色LEDは、製造工程面で青色LEDより複雑で、かつ製造費用もはるかに高いため、その使用が制限されていた。したがって、低価の青色LEDを白色に具現化するために、蓄光シートに対する開発が進められている。このような照明装置は、携帯電話などのバックライトユニットとしても使用可能である。
【0006】
しかしながら、従来の蓄光シートは、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂に無機蛍光体を二軸押出機により混練させるため、樹脂シート内に蛍光体の均一な混合が難しいため、輝度及び色座標の不均一が激しいという問題点があった。
【0007】
また、従来の色変換シートは、マトリクス樹脂と蛍光体とが混練された着色ペレット(colored pellet)を圧出成形して製造されるため、同じ圧出成形条件では、同じ形態の色変換シートのみが生産されて、応用性が落ちるという短所があった。
【0008】
なお、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂であるポリカーボネートやポリメチルメタクリルレート樹脂などは、脆性に強いため、図1の写真のように容易に割れるか、又は耐熱性が低い(120℃以下)ため、高温で容易に塑性変形される性質があるため、その適用に限界があった。
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、低価の青色LEDを利用して白色を具現化でき、かつ耐熱性、脆性に対する耐久性及び耐湿性に強い蓄光シートを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、蓄光シートの表面を変形させて光を拡散する機能、及び他のシートと積層時に接触により発生するむら現象を防止する蓄光シートを提供することにある。
【0011】
本発明の一側面によれば、熱硬化性樹脂であるマトリクス樹脂層と、前記マトリクス樹脂層に含まれ、青色LEDから照射された光の波長を変換する蛍光体と、前記マトリクス樹脂層の内部に含まれて、液状の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、前記マトリクス樹脂層に含まれて、蛍光体をマトリクス樹脂層の内部に等しく分散する添加剤と、を含む蓄光シートが提供される。
【0012】
前記蓄光シートは、使用目的に合うように、輝度強化型蓄光シート、輝度及び色度同時強化型蓄光シート、色度強化型蓄光シートで製造されうる。これらは、以下のような組成比で製造されうる。
【0013】
拡散剤を含まない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる輝度強化型蓄光シートを製造することができ、又は、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる輝度及び色度同時強化型蓄光シートを製造することができる。
【0014】
また、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜65重量部、赤色蛍光体1〜65重量部を含んでなる色度強化型蓄光シートを形成することができる。
【0015】
一方、蓄光シートには、拡散剤が添加されうるが、前記拡散剤は、光源の屈折を促進させて蛍光体の励起率を高める機能及び均一化する機能を果たす。このような蓄光シートは、次のような組成比で多様な目的に使用される。
【0016】
シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる輝度強化型蓄光シートを製造することができ、又は、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる輝度及び色度同時強化型蓄光シートを製造することができる。
【0017】
また、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜50重量部、赤色蛍光体1〜50重量部を含んでなる色度強化型蓄光シートを製造することができる。
【0018】
一方、前記マトリクス樹脂層の表面には、保護フィルムが付着されうる。前記保護フィルムは、透明層であって、マトリクス樹脂層を保護する機能を果たし、耐熱性及び耐湿性を強化させる。
【0019】
前記保護フィルムの表面は、不規則な段差を有することもできる。これは、拡散の機能及びむら現象防止機能を果たす。また、前記保護フィルムの表面にむら現象防止用小型ボールを付着して、蓄光シートと接触する他のシートとのむら現象(Wetting)を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による蓄光シートの実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明することとし、添付図面を参照して説明するに当たって、図面符号に関わらず、同一又は対応する構成要素は、同じ参照番号を付し、これについての重複する説明は省略する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図2に示すように、黄色蛍光体1a、赤色蛍光体1b、緑色蛍光体1c、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、蓄光シート10が示されている。
【0022】
図2に示す蓄光シート10は、400nm〜500nm波長の青色LEDの光を白色光に転換する機能を有する。基本的に薄膜のマトリクス樹脂層2の内部に蛍光体が等しく分散された形態である。
【0023】
図2には図示していないが、マトリクス樹脂層2の内部には、硬化剤と添加剤とが含まれることができる。硬化剤は、液状の熱硬化性樹脂を硬化する用途として使用され、添加剤は、蛍光体を液状の熱硬化性樹脂の内部に等しく分散するために使用される。拡散剤3は、光源の屈折を促進させて、蛍光体の励起率を高める機能及び均一にする機能を果たす。保護フィルム4は、マトリクス樹脂層2を保護する機能を果たす。
【0024】
以下、本発明の実施の形態に用いられる材料について説明する。
【0025】
(マトリクス樹脂層2)
本発明の実施の形態にてマトリクス樹脂層2をなすものは、熱硬化性樹脂であり、特にシリコン樹脂を使用した。熱可塑性樹脂は扱いやすいが、脆性に強く、かつ防湿能力が低いので、表面の均一性が求められる蓄光フィルム10に使用することは困難であるため、本発明は、工程が複雑な熱硬化性樹脂を使用した。
【0026】
シリコン樹脂は、軟性が良く、かつフィルムに印刷時に接着力に優れている。本発明で使用可能なシリコン樹脂の好ましい特性は、光透過度が85%以上であり、粘度が3000cp以上であり、120℃以下で乾燥(硬化)されるものである。また、蛍光体1などとの混合が良好でなければならず、揮発性は、低いほど良く、保護フィルム4との接着性が良くなければならない。このようなシリコン樹脂は、容易に手に入れることができるが、例えば、ダウコーニング社製のシリコン樹脂システム LS4326(シリコン樹脂)−LS4326A(硬化剤)−LS4326C(硬化促進剤)−トルエン又はキシレン(70%、粘度調節剤又は溶媒)、又は同一会社のシリコン樹脂システムCF5010(シリコン樹脂)−SO400(硬化剤)−シリコンオイル(粘度調節剤又は溶媒)などである。
【0027】
このようなシリコン樹脂は、それ自体に消泡剤が添加されているため、スクリーン印刷方式で問題となる気泡問題を解決することができる。したがって、以下で説明するシリコン樹脂は、純粋シリコン樹脂というより、消泡剤などのシリコン樹脂の性質を改善する物質が微量添加されたものと言える。これは、市中で純粋シリコン樹脂を手に入れることが難しく、当業者側でいうシリコン樹脂は、シリコン樹脂製造社側で市販する形態であるためである。
【0028】
(蛍光体1及び拡散剤3)
本発明の前記シリコン樹脂に混入されて、光励起及び/又は拡散機能を行う物質は、以下のとおりである。
【0029】
蛍光体1は、無機蛍光体を利用する。代表的な光励起無機蛍光体は、ガーネット系(Gd)物質であるY3Al5O12(YAG)にセリウム(cerium)をドーピングした蛍光体から構成される。例えば、光励起無機蛍光体は、(Y1−x−yGdxCey)3Al5O12(YAG:Gd,Ce)、(Y1−xCex)3Al5O12(YAG:Ce)、(Y1−xCex)3(Al1−yGay)5O12(YAG:Ga,Ce)、(Y1−x−yGdxCey)3(Al5−zGaz)5O12(YAG:Gd,Ga,Ce)、又は(Gd1−xCex)SC2Al3O12(GSAG)などになりうる。
【0030】
一般に、YAG系蛍光体は、(Y1−x−yGdxCey)3(Al1−zGaz)O12(但し、x+y≦1;0≦x≦1;0≦y≦1;0≦z≦1)と表される。蛍光体1から発光する主波長は、上記で述べた物質に応じて異なる。ガーネット系に依存するCe3+発光は、光効率の減少なしで緑色(〜540nm;YAG:Ga,Ce)から赤色(〜600nm;YAG:Gd,Ce)まで多様に発光させることができる。本発明の実施の形態では、大洲電子(Daejoo Electronic Materials Co.Ltd.)社製の(Y,Gd,Ce)3(Al,Ga)5O12とPhosphor Technology社製のY3Al5O12:Ceを使用した。また、暗赤色(dark red)を発光させるための代表的な無機蛍光体は、SrB4O7:Sm2+である。SM2+は、主に赤色の波長を表すのに寄与する。特に、前記のような暗赤色無機蛍光体は、600nm以下の可視光領域全体を吸収して、暗赤色、すなわち、650nm以上の波長を有して発光をする。輝度向上のために、Phosphor Technology社のSrS:Eu系の620nm波長帯の蛍光体を使用する。また、緑色を発光させるための代表的な無機蛍光体は、SrGa2S4:Eu2+である。前記のような緑色無機蛍光体は、500nm以下の光を吸収して、535nmの主波長を放出する。また、青色を発光させるための代表的な無機蛍光体は、BaMg2Al16O27:Eu2+である。前記のような青色無機蛍光体は、430nm以下の光を吸収して、450nmの主波長を放出する。
【0031】
黄色蛍光体は、YAG系だけでなく、TAG系(Tb3Al5O12)とシリケート系(Sr2SiO4:Eu)のうち、何れか一つを使用することも可能である。また、赤色蛍光体も、CaS:Eu、SrS:Eu、又はSrB4O7:Smのうちの何れか一つを使用することもでき、緑色蛍光体としてSrGa2S4:Euを使用することもできる。
【0032】
光を均一にする散乱又は拡散機能を有する拡散剤3は、大きく透明拡散剤と白色拡散剤とに分けられる。透明拡散剤には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂などの有機透明拡散剤と合成シリカ、ガラスビーズ、ダイアモンドなどの無機透明拡散剤がある。白色拡散剤には、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸バリウム(BASO4)、炭酸カルシウム(CaSO4)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、クレーなどを含む無機酸化物などが代表的である。
【0033】
拡散剤3の大きさ及び濃度は、光源から入射した光の散乱程度を決定する要因である。拡散剤3があまり少ないと、光拡散の効率が落ち、過度に多くなると、光透過率を低下させる。本発明の場合、SiO2の大きさは、5〜7μmが最も良い特性を示した。また、拡散剤3の濃度は、13%であるとき、光拡散及び透過率が良い特性を示した。
【0034】
蛍光体1の大きさも、拡散剤3のように制限される。蛍光体1の大きさは、5〜7μm程度が適当であり、あまり小さいと、光励起効率が減少し、あまり大きくなると、光透過度及び薄膜の均一度を低下させる。
【0035】
しかしながら、拡散剤3は必須物質ではない。光を拡散させる方法は、光励起フィルム10の表面を変形することによって十分に可能なためである。
【0036】
(保護フィルム4)
本発明の保護フィルム4として使用可能な樹脂には、光透過度に優れたものとして無色透明な合成樹脂を使用するが、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタルレート(Polyethylene terephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリスチレン(Polystyrene)などがある。この中で、ポリエチレンテレフタルレート(PET)フィルムは、透明性に優れ、かつ強度及び曲げ性に優れている。また、耐熱性、耐化学性が必要な場合には、保護フィルム4をポリカーボネート(Polycarbonate)とすることが好ましい。保護フィルム4の厚さは、5〜50μm以内のフィルムを使用することが好ましい。10μm以下のフィルムは、取り扱うことが難く、50μm以上のフィルムは、光透過度が落ちるためである。
【0037】
一方、スクリーン印刷に用いられるポリマー製版(Polymer Screen)は、機械的強度が弱いため、量産効率性のためにステンレス製版を使用することが好ましい。製版のメッシュサイズは、印刷される厚さ及び格子の大きさによって適切に調節して使用可能である。本発明の実施の形態では、メッシュサイズが50〜120になる製版(screen)を使用した。
【0038】
(その他物質)
硬化剤は、液状のシリコンを硬化させる機能を果たす。多様な硬化剤を使用することができるが、一般的にダウコーニング社製のCF5010、CD7657、DC9800、LS4326、DC2013を使用する。
【0039】
また、添加剤は、液状のシリコン内部に蛍光体1を均一に分散する分散剤、表面欠陥防止剤、流動性組成添加剤の中から選択された一つ以上の混合物質を使用する。この物質を使用しない場合、蛍光体1は、塊になり、蓄光シート10の効率は落ちるようになる。添加剤は、ドイツBYK社製(BYK−333、BYK−306、BYK−310、BYK−w940、BYK−110、BYK−2001、BYK−410)を主に使用する。以上の硬化剤と添加剤は、用途に符合するように多様な製品及び物質を使用することができる。
【0040】
その他、液状のシリコン樹脂と蛍光体1及び/又は拡散剤3の混合が円滑になされて、膜を均一に製造するか、又は気泡の発生などを防止するために、沈殿防止剤、バインダー、気泡防止剤などが混入されうる。
【0041】
以下では、上述したシリコン樹脂と硬化剤、添加剤、蛍光体1を利用して光励起フィルム10を製造するにおいて、必要な成分の組成比をシリコン樹脂100重量部を基準として、拡散剤3を添加した場合と拡散剤3を添加しない場合とに分けて説明する。
表1は、拡散剤を添加した場合、表2は、拡散剤を使用しない場合の蓄光シートの組成比である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1、2のように、大きく3種類の蓄光シートを製造することができる。それぞれの蓄光シートは、その特性に応じて輝度強化型蓄光シート、輝度及び色度強化型蓄光シート、色度強化型蓄光シートと称される。
【0045】
輝度強化型蓄光シートは、蛍光体の中で黄色蛍光体のみを使用する。したがって、青色光が蓄光シートに照射されると、黄色蛍光体を経た光は、黄色光の波長部位である550nmにてなだらかなピーク(Peak)が現れ、黄色蛍光体を経ない青色光は、本来の450nmにて強いピークが現れる。このような形態の波長は、輝度が強くなる。これに対し、白色光は、赤色、緑色、青色波長が適切に組み合わせなければならないので、輝度強化型蓄光シートで具現された光は、色度が落ちるかもしれない。
【0046】
しかしながら、青色LEDから照射される光の輝度は、一般に高輝度ではないので、蓄光シートを経た光の輝度を最大限保障するためには、輝度強化型蓄光シートを使用することが好ましい。
【0047】
このような輝度強化型蓄光シートは、拡散剤を添加する際に、表1のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んで製造できる。拡散剤を添加しない場合には、表2のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、黄色蛍光体1〜90重量部を含んで製造できる。
【0048】
一方、色度強化型蓄光シートは、白色を具現化するための蓄光シートである。特に、色度強化型蓄光シートは、照明装置に用いられるが、日常的に生活する室内空間は、目の疲労を減らすために、このような形態のシートを使用することが好ましい。
【0049】
このような色度強化型蓄光シートは、蛍光体の中で緑色蛍光体と赤色蛍光体を使用する。白色は、青色、緑色、赤色の波長が適切によく組み合わせられるときに具現化される。したがって、青色光が蓄光シートに照射されると、赤色蛍光体を経た光は、赤色光の波長部位で、緑色蛍光体を経た波長は、緑色波長部位でピークが現れ、如何なる蛍光体も経ない蛍光体は、青色波長でピークが現れて、これらが混合されるとき、白色光が具現化される。
【0050】
このような色度強化型蓄光シートは、拡散剤添加時に表1のように、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜50重量部、赤色蛍光体1〜50重量部を含んで製造できる。
【0051】
拡散剤が添加されない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜65重量部、赤色蛍光体1〜65重量部を含んで製造できる。
【0052】
上記の輝度強化型蓄光シートと色度強化型蓄光シートとの長所と短所とが混合されたことが輝度及び色度同時強化型蓄光シートである。すなわち、輝度及び色度同時強化型蓄光シートは、輝度と色度を同時に上昇させるという長所がある。
【0053】
輝度及び色度強化型蓄光シートを、拡散剤を添加して製造する場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、拡散剤5〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んで製造できる。
【0054】
拡散剤を添加しない場合には、シリコン樹脂100重量部に対して、硬化剤0.05〜5重量部、添加剤0.1〜15重量部、緑色蛍光体1〜30重量部、黄色蛍光体0.1〜60重量部、赤色蛍光体1〜30重量部を含んで製造できる。
【0055】
上記の3種類の蓄光シートの光励起スペクトルを分析すれば、図3のような形態となる。図3に示すように、輝度強化型蓄光シートの場合、広い範囲で波長が形成され、色度強化型シートの場合、青色及び赤色、緑色の波長範囲で強いピークを形成したことが分かる。
【0056】
一方、前記3種類の蓄光シートを形成するにおいて、上記のように組成比の範囲が制限される理由を説明すれば、次のとおりである。
【0057】
(硬化剤の影響)
硬化剤の含有量が0.05%以下であるとき、印刷後にシリコン樹脂の硬化がほとんど起こらない場合もあり、硬化が起きるとしても、硬化時間が数時間〜数日まで増加して量産性がなくなる。また、硬化剤の含有量が5%以上であるとき、硬化があまりに急激に起きるため、蓄光シートを製作するための印刷工程途中で硬化が起きるという問題がある。
【0058】
早期硬化が起きる場合、印刷と同時に硬化が起きるので、蓄光シートの厚さが厚くなり、それによる色座標が変化する工程変動が深刻で、かつ製造工程の再現性に深刻な問題が発生するようになる。
【0059】
(添加剤の影響)
添加剤としては、分散剤、表面欠陥防止剤、流動性組成添加剤などを一つ又は一つ以上混合して使用し、添加剤の量が0.1重量%未満の場合、蓄光シートを製造した後の蛍光体間の分離及び凝集などの現象が深刻であるため、均一な面光源を作ることができず、添加剤の量が15重量%以上であるとき、以下の表3のような逆効果がある。
【0060】
【表3】
【0061】
表3のように、分散剤は、過量時に印刷表面の流れ現象が発生して、フィルム(蓄光シート)表面の不均一が発生する。表面欠陥防止剤の場合、BYK333を適正量より過量添加時に、硬化遅延、接着力の弱化、表面流動性が低下し、流動性組成添加剤の場合、過量時に印刷表面の流れ現象が発生するようになる。
【0062】
(拡散剤の影響)
シートの内部に拡散剤が入っていく場合、拡散剤の組成に応じる光源の輝度関係は、表4と図4のグラフのとおりである(表4と図4のグラフは、輝度強化型蓄光シートと色度強化型蓄光シートとを対象として実験したものである)。
【0063】
シリコン樹脂100重量部に対して拡散剤が5重量部以下であるとき、輝度の上昇の効果がほとんどなく、15重量部以上であるとき、輝度が減少する傾向を示すので、5〜15重量部範囲が適切な量になる。
【0064】
【表4】
【0065】
(蛍光体の影響)
蛍光体は、提供社別にその発光特性及び色座標特性が異なるので、定形化した組成を決めるのが極めて難しく、広い範囲の組成分布範囲を有する。
【0066】
輝度強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して1重量部以下では、蛍光体の励起がほとんどないので、青色LEDの光源が大部分を占めて、全体的に青色となる。90重量部以上では、色座標が白色を超えて黄色系で現れるようになり、通常、蛍光体のシート製造時に蛍光体の含有量が多くなるほど輝度が増加するが、90重量部以上では、輝度増加がほとんどない。
【0067】
輝度及び色度同時強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して緑色蛍光体1重量部、黄色蛍光体0.1重量部、赤色蛍光体1重量部以下の組成では、蛍光体の励起がほとんどないため、全体的に青色光を帯び、緑色蛍光体30重量部、黄色蛍光体60重量部、赤色蛍光体30重量部以上であるとき、輝度の上昇がほとんどない。
【0068】
色度強化型蓄光シートの場合、シリコン樹脂100重量部に対して緑色蛍光体1重量部、赤色蛍光体1重量部以下の組成で蛍光体の励起がほとんどないため、全体的に青色光を帯び、緑色蛍光体50重量部、赤色蛍光体50重量部以上であるとき、輝度の上昇がほとんどない。拡散剤を使用しない場合、緑色蛍光体65重量部、赤色蛍光体65重量部まで使用できる。
【0069】
前記組成比の範囲を考慮して、光励起フィルムの製造方法を説明すれば、以下のとおりである。図5は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法のフローチャートであり、図6は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの製造方法の概念図である。図6に示すように、保護フィルム4、蓄光シート10、シリコン液剤20が示されている。
【0070】
(製造方法)
ゲル形態のシリコン樹脂に硬化剤、蛍光体及び/又は拡散剤を混合攪拌し、シリコンオイルなどで粘度を調節した後、シリコン液剤を製造する。以後、保護フィルム上にスクリーンプリント方式、スリットコート方式、ロールコート方式などで印刷を行い、乾燥硬化して光励起拡散シート10を製造する。蓄光シート10は、保護フィルム4を除去して使用することもできるが、一般に保護膜として保護フィルム4を付着することが好ましい。
【0071】
具体的な製造方法を述べると、シリコン樹脂とシリコン樹脂100重量部を基準に硬化剤0.5重量部、硬化促進剤2重量部を順に添加して、液状シリコン樹脂を製造した。前記で製造された液状シリコン樹脂100重量部を基準に蛍光体13重量部、液状シリコン樹脂100重量部を基準に拡散剤としてSiO2(直径5〜7μm)13重量部を前記液状シリコン樹脂に混合して、空・自転攪拌機を利用して攪拌して、シリコン液剤20を製造した。その後、1層の厚さが10〜25μmで、2層の厚さが20〜100μmである2層構造を有する保護フィルム4(ポリエチレン材質である)を印刷面として、スクリーン印刷方式を利用して前記混合されたシリコン液剤をコーティングした。赤外線乾燥器を介して120℃で硬化した後、保護フィルム4と分離することによって本発明の拡散シートを製造した。
【0072】
しかしながら、保護フィルム4を分離せずに一つの保護フィルム4をさらに積層することもできる。これは、蓄光シート10の耐熱性及び耐湿性を向上させる効果がある。
【0073】
本発明の蓄光シートは、軟性に優れるため、反るばかりで割れる現象は見えない。図7は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの写真(保護フィルム4がない形態)であって、表面にクラックが発生しない蓄光シートの形態を示す。
【0074】
従来では、熱可塑性樹脂を保護フィルムなしで圧出及び引抜方式でフィルムを生産した。このような従来の熱可塑性樹脂を高温(80〜85℃)及び高湿(80〜85%)雰囲気で信頼性テストした結果、図8の写真のような結果を示す。写真のように表面蛍光体が分離されて消失され、蛍光体自体の劣化が伴って輝度の低下が深刻であった。
【0075】
しかしながら、本実施の形態は、熱硬化性樹脂の一種であるシリコン樹脂を使用した結果、図9の写真のように表面蛍光体の損失及び劣化がなく、それによる輝度の低下がほとんどなかった。
【0076】
また、保護フィルム4が積層された場合には、高温及び高湿の環境でも劣化及び輝度の低下がなかった。
【0077】
一方、蓄光シートと他の種類のシートを積層する場合、シートとシートとの間が密着されてむらが生じる現象が発生する。したがって、各々のシートを微細に離隔させる必要がある。以下では、これを改善した実施の形態を説明する。
【0078】
図10は、本発明の第5の実施の形態による蓄光シートの断面図であり、図11は、本発明の第5の実施の形態によって小型ボールを付着した蓄光シートの写真である。図10に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、小型ボール5、接着層6、蓄光シート10が示されている。
【0079】
本発明の第5の実施の形態は、蓄光シート10の表面に小型ボール5を付着することを特徴とする。小型ボール5が蓄光シート10の表面に等しく分散されて付着される場合、他の種類のシートが上下面に位置しても、表面の密着によるむら現象は起こらない。
【0080】
このような小型ボール5も、樹脂からなることが好ましく、輝度を落とさないように透明な材質を使用することが好ましい。小型ボール5は、直接蓄光シート10の表面に付着されうるが、接着層6を上面に塗布することが、小型ボール5が離脱されずに安定して付着されるようにする。
【0081】
図11は、本発明の第5の実施の形態の上から眺めた写真であって、小型ボールは、蓄光シートの表面に分散されて付着されている。
【0082】
図12は、本発明の第6の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図12に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、接着層6、蓄光シート10が示されている。
【0083】
第6の実施の形態の場合、保護フィルム4に粗度(roughness)を形成した。これは、光を効果的に分散するためである。すなわち、マトリクス樹脂層2を入射する光は、保護フィルム4を2回経るようになり、保護フィルム4の照度により、光の経路は、多様に分散される。したがって、このような蓄光シート10には、拡散剤3を使用しなければならない。また、保護フィルム4の粗い表面は、他の種類のシートが上面に位置する場合、表面の密着によるむら現象を防止する機能も同時に有するようになる。
【0084】
図13は、本発明の第7の実施の形態による蓄光シートの断面図である。図13に示すように、蛍光体1、マトリクス樹脂層2、拡散剤3、保護フィルム4、小型ボール5、蓄光シート10が示されている。本実施の形態は、図12の第6の実施の形態のように、粗度がある表面の保護フィルム4の上面に小型ボール5を付着したものであって、むら防止の機能を強化したものである。
【0085】
本発明の技術思想が上述した実施の形態によって具体的に記述されたが、上述した実施の形態は、その説明のためのもので、その制限のためのものではなく、本発明の技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で多様な実施の形態が可能であることを理解することができるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上の構成により、本発明は、青色LEDの光を白色に信頼性あるように具現できる蓄光シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、従来の技術による蓄光シートの写真である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態による3種類の蓄光シートの光励起スペクトルグラフである。
【図4】図4は、本発明の第3の実施の形態による蓄光シートにおいて拡散剤濃度と輝度間の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シート製造方法の概念図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの写真である。
【図8】図8は、従来の技術による蓄光シートの信頼性テスト写真である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態による蓄光シートの信頼性テスト写真である。
【図10】図10は、本発明の第5の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図11】図11は、本発明の第5の実施の形態によって小型ボールを付着した蓄光シートの写真である。
【図12】図12は、本発明の第6の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【図13】図13は、本発明の第7の実施の形態による蓄光シートの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1a 黄色蛍光体、 1b 赤色蛍光体、 1c 緑色蛍光体、 1 蛍光体、 2 マトリクス樹脂層、 3 拡散剤、 4 保護フィルム、 5 小型ボール、 10 蓄光シート、 20 シリコン液剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂であるマトリクス樹脂層と、
前記マトリクス樹脂層に含まれ、青色LEDから照射された光の波長を変換する蛍光体と、
前記マトリクス樹脂層の内部に含まれ、液状の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、
前記マトリクス樹脂層の内部に含まれて、前記蛍光体を前記マトリクス樹脂層内に等しく分散する添加剤とを含むことを特徴とする蓄光シート。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、黄色蛍光体であり、
前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜30重量部、前記黄色蛍光体0.1〜60重量部、前記赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜65重量部、前記赤色蛍光体1〜65重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、黄色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜30重量部、前記黄色蛍光体0.1〜60重量部、前記赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜50重量部、前記赤色蛍光体1〜50重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項8】
前記マトリクス樹脂層の表面に付着された保護フィルムをさらに含む請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項9】
前記保護フィルムの表面に付着されたむら防止用小型ボールをさらに含む請求項8に記載の蓄光シート。
【請求項10】
前記保護フィルムの表面は、粗度(roughness)を有する請求項8に記載の蓄光シート。
【請求項1】
熱硬化性樹脂であるマトリクス樹脂層と、
前記マトリクス樹脂層に含まれ、青色LEDから照射された光の波長を変換する蛍光体と、
前記マトリクス樹脂層の内部に含まれ、液状の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、
前記マトリクス樹脂層の内部に含まれて、前記蛍光体を前記マトリクス樹脂層内に等しく分散する添加剤とを含むことを特徴とする蓄光シート。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、黄色蛍光体であり、
前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜30重量部、前記黄色蛍光体0.1〜60重量部、前記赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜65重量部、前記赤色蛍光体1〜65重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、黄色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記黄色蛍光体1〜90重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜30重量部、前記黄色蛍光体0.1〜60重量部、前記赤色蛍光体1〜30重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、シリコン樹脂であり、
前記シリコン樹脂には、光を屈折させる拡散剤が添加され、
前記蛍光体は、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、
前記蓄光シートは、前記シリコン樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.05〜5重量部、前記添加剤0.1〜15重量部、前記拡散剤5〜15重量部、前記緑色蛍光体1〜50重量部、前記赤色蛍光体1〜50重量部を含んでなる請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項8】
前記マトリクス樹脂層の表面に付着された保護フィルムをさらに含む請求項1に記載の蓄光シート。
【請求項9】
前記保護フィルムの表面に付着されたむら防止用小型ボールをさらに含む請求項8に記載の蓄光シート。
【請求項10】
前記保護フィルムの表面は、粗度(roughness)を有する請求項8に記載の蓄光シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−530437(P2009−530437A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500274(P2009−500274)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004389
【国際公開番号】WO2007/105853
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(506149726)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】LG Innotek Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】33Fl., LG Twin Tower West,20,Yeouido−dong,Yeongdeungpo−gu Seoul,150−721,Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004389
【国際公開番号】WO2007/105853
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(506149726)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】LG Innotek Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】33Fl., LG Twin Tower West,20,Yeouido−dong,Yeongdeungpo−gu Seoul,150−721,Korea
【Fターム(参考)】
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