説明

蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法

【課題】熱効率を向上させる蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法を提供する。
【解決手段】ラジアントチューブ10の両端部内にバーナ本体Bra,Brbを設けてこのバーナ本体の外周部に蓄熱体14a,14bを配置するとともに、前記蓄熱体後部に位置するラジアントチューブに燃焼用空気供給口兼排ガス排出口17a,17bを備えた蓄熱式ラジアントチューブバーナにおいて、前記蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼排ガス排気系に脈動流発生機構V8を設け、バーナ燃焼時に前記ラジアントチューブ内の排ガス圧力を脈動させる蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーナ装置において、加熱効率を向上させる技術として、伝熱管内の燃焼排ガスを脈動させることにより流速を速め熱伝達係数を大きくするパルス燃焼方式が知られている。
【0003】
しかしながら、従来、パルス燃焼を行なうには、非常に短いサイクルで圧力変動を発生させる機構を、燃料および燃焼用空気の供給側に設ける必要がある。しかし、この機構を蓄熱式ラジアントチューブバーナに適用すると、バーナの点火、消火を断続的に、かつ、2台のバーナを交番させながら行なうため、燃焼の不安定や火炎検知器の検知不良にもとづく燃焼遮断が生じたり、また、バーナの点火、消火を制御する制御器の追従性に不安要素があり、蓄熱式ラジアントチューブバーナにパルス燃焼を適用することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、パルス燃焼と同様、簡単な手段でラジアントチューブ内の圧力を脈動させて熱効率を向上させる蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記の目的を達成するために、ラジアントチューブの両端部内に、外周部に蓄熱体を備えたバーナ本体を設けて、このバーナ本体の外周部に蓄熱体を配置するとともに、前記蓄熱体後部に位置するラジアントチューブに燃焼用空気供給口兼排ガス排出口を備えた蓄熱式ラジアントチューブバーナにおいて、前記蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼排ガス排気系にラジアントチューブ内の排ガスに脈動流を発生させる脈動流発生機構を設け、前記ラジアントチューブ内の圧力を脈動させるものである。
【発明の効果】
【0006】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、バーナの加熱効率を向上させるに必要な燃焼排ガスの脈動流の発生を、燃焼排ガス排気系に設けた脈動流発生機構で行なうものでありバーナの燃焼は通常燃焼であるため、バーナのパルス燃焼と異なり他の機構に何の支障も与えることなく、加熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態を図1にしたがって説明する。
【0008】
10はラジアントチューブで、その両端部には、燃料供給管11a,11bが設けられるとともに、この燃料供給管11a,11bの外方に設けた内筒12a,12bの外周に外筒13a,13bが設けられ、前記内筒12a,12bと外筒13a,13bとで形成される空間にはたとえば、セラミックボールやセラミック製のハニカム体からなる蓄熱体14a,14bが充填されている。なお、蓄熱体14a,14bの前方には多数の開口15a,15bが設けられている。
【0009】
また、前記外筒13a,13bとラジアントチューブ10との間には隙間Aが形成されているが、この隙間Aは仕切板16a,16bにより長手方向に2分割されている。
【0010】
さらに、ラジアントチューブ10の前記仕切板16a,16bより後方には燃焼用空気供給兼排気口17a,17bが、前方には冷却用空気供給兼排気口18a,18bが設けられている。
【0011】
そして、前記燃料供給管11a,11bは燃料遮断弁V1a,V1bを介して燃料供給ラインに接続するとともに、燃焼用空気供給兼排気口17a,17bは排ガス遮断弁V2a,V2bを介して排ガス吸引ファンF1に連通し、かつ、前記排ガス遮断弁V2a,V2bと燃焼用空気供給兼排気口17a,17b間は燃焼用空気遮断弁V3a,V3bを介して燃焼用空気供給ブロワF2に連通している。
また、前記冷却用空気供給兼排気口18a,18bは冷却用空気遮断弁V4a,V4bを介して前記燃焼用空気供給ブロワF2に連通するとともに、前記冷却用空気遮断弁V4a,V4bと冷却用空気供給兼排気口18a,18bとの間は冷却用空気遮断弁V5a,V5bに接続している。
【0012】
さらに、前記排ガス遮断弁V2a,V2bより下流の排ガス合流点aより下流の排ガスラインに排ガス遮断弁V6を設けるとともに、この排ガス遮断弁V6のバイパスラインに調整弁V7とモータ駆動により開・閉する脈動流発生機構である回転弁V8が設置してある。
【0013】
前記回転弁V8は、図2に示すように、流路Pを有する弁箱20と、弁体21を回転するシャフト22とからなり、モータMの駆動により流路Pを開閉するものである。なお、23はシールパッキンで24はグランドである。
【0014】
つぎに、前記構成からなる蓄熱式ラジアントチューブバーナBは、まず、前記燃料遮断弁V1a、排ガス遮断弁V2b、燃焼用空気遮断弁V3aおよび排ガス遮断弁V6を開、その他の遮断弁を閉とし、燃焼用空気供給ブロワF2、排ガス吸引ファンF1を駆動するとともに燃料供給ラインから燃料ガスを一方のバーナ本体Braに供給する。燃焼用空気は蓄熱体14aを通過して開口15aから噴出する一方、燃料ガスは燃料供給管11aの先端開口部から噴出する。そして、燃焼用空気と燃料ガスは開口15aと燃料供給管11aの先端開口部との間に形成される保炎部19aで混合され、図示しない点火プラグのスパークによりバーナ本体Braが着火し完全燃焼する。そして、その燃焼排ガスはラジアントチューブ10を通り、その輻射伝熱により炉T内を加熱したのち蓄熱体14bを通過して、該蓄熱体14bを800〜900℃に加熱し、燃焼ガス自身は約200℃に降温し、排ガス吸引ファンF1から排気される。
【0015】
その後、所定時間経過後、前記冷却用空気遮断弁V4a,V4b,V5a,V5bを除く他の遮断弁を互いに逆方向に切替え、つまり、バーナ本体Brbが燃焼し、バーナ本体Braは消火する。
【0016】
この場合、バーナ本体Brbに供給される燃焼用空気は、既に高温となった蓄熱体14bを通過して高温(700〜800℃)に予熱されて開口15bから噴出する一方、燃料ガスは燃料供給管11bの先端開口部から噴出する。そして、燃焼用空気と燃料ガスは燃料供給管11bの先端開口部との間で形成される保炎部19bで混合され完全燃焼する。この燃焼排ガスは今度は蓄熱体14aを通って蓄熱体14aを800〜900℃に予熱して排気される。
【0017】
その後、所定時間が経過すると、前述とは逆に各遮断弁が元の状態に切替り順次バーナ本体Bra,Brbは交番燃焼を行なう。
【0018】
つぎに、ラジアントチューブ10内の燃焼排ガスを脈動させるには、前述のように、バーナ本体Bra,Brbを交番燃焼させるとともに、前記排ガス遮断弁V6を閉とし、調整弁V7をラジアントチューブ10内の圧力P1をプラス圧力となるように調整したうえで、モータMの駆動により回転弁V8を作動させて数10Hz〜100Hzのサイクルで流路Pを開閉させる。これによりラジアントチューブ10内の圧力は、図3に示すように圧力はP1,Pmaxと変動し、つまり、燃焼排ガスは脈動流となって排気されることとなり、ラジアントチューブ10内の加熱効率が向上することになる。
【0019】
つぎに、ヒートサイクルの変更等により、炉温を降温させる必要が生じると、前記燃料遮断弁V1a,V1b、排ガス遮断弁V2a,V2b、燃焼用空気遮断弁V3a,V3bを閉とするとともに、たとえば、冷却用空気遮断弁V4aを開、V4bを閉とし、また冷却用空気遮断弁V5aを閉、V5bを開、排ガス吸引ファンF1を停止する。
【0020】
そうすると、冷却用空気供給兼排気口18aから燃焼用空気供給ブロワF2からの冷却用空気が供給され、この冷却用空気は高温となっている蓄熱体14a内を通過することなく、すなわち、余り昇温することなくラジアントチューブ10に供給され、ラジアントチューブ10を有効に冷却したのち冷却用空気遮断弁V5bから排気されることになる。
【0021】
なお、冷却用空気を供給する冷却用空気供給口兼排気口は18a,18bのいずれでもよいが、低温側蓄熱体、たとえば、今まで燃焼状態にあったバーナ本体側から供給すれば、ラジアントチューブ10を通過して昇温した冷却用空気が高温側蓄熱体の外周を通過するため該蓄熱体の保有熱の損失が少なく、つぎのバーナ燃焼時に、バーナ点火初期から燃焼用空気を予熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる蓄熱式ラジアントチューブバーナおよびその配管系統を示す図。
【図2】回転弁の断面図。
【図3】回転弁開閉周期と炉圧との関係を示すグラフ。
【図4】従来の蓄熱式ラジアントチューブバーナを示す図。
【符号の説明】
【0023】
10…ラジアントチューブ、11a,11b…燃料供給管、12a,12b…内筒、13a,13b…外筒、14a,14b…蓄熱体、15a,15b…開口、16a,16b…仕切板、17a、17b…燃焼用空気供給兼排気口、18a,18b…冷却用空気供給兼排気口、19a,19b…保炎部、A…隙間、Bra,Brb…バーナ本体、F1…排ガス吸引ファン、F2…燃焼用空気供給ブロワ、V1a,V1b…燃料遮断弁、V2a,V2b…排ガス遮断弁、V3a,V3b…燃焼用空気遮断弁、V4a,V4b…冷却用空気遮断弁、V5a,V5b…冷却用空気遮断弁、V6…排ガス遮断弁、V7…調整弁、V8…回転弁、a…排ガス合流点、T…炉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアントチューブの両端部内にバーナ本体を設けてこのバーナ本体の外周部に蓄熱体を配置するとともに、前記蓄熱体後部に位置するラジアントチューブに燃焼用空気供給口兼排ガス排出口を備えた蓄熱式ラジアントチューブバーナにおいて、前記蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼排ガス排気系に脈動流発生機構を設け、バーナ燃焼時に前記ラジアントチューブ内の排ガス圧力を脈動させることを特徴とする蓄熱式ラジアントチューブバーナの燃焼方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−46901(P2007−46901A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261221(P2006−261221)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【分割の表示】特願平10−149008の分割
【原出願日】平成10年5月29日(1998.5.29)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】