説明

蓄電制御装置、蓄電システム及び制御プログラム

【課題】蓄電システムにおいて、蓄電池の寿命や充放電特性を向上させ、かつ加熱・放熱のために要するエネルギー消費を低減させる。
【解決手段】実施形態の蓄電制御装置は、複数の蓄電池を有する蓄電ユニットの充放電制御を行う蓄電制御装置であり、蓄電制御装置の制御手段は、蓄電ユニットを構成する蓄電池を複数の制御系統に分割し、制御系統毎に独立して充放電を行わせて、蓄電ユニット周囲の温度が所定温度範囲内となるように蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電制御装置、蓄電システム及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ICT(Information and Communications Technology)を利用して電力需給を最適化するスマートグリッドにおいて、電力系統における需給調整や、需要家における安定稼働やピークカット・シフト、太陽光等の自然エネルギーの発電電力の変動を吸収することを目的として蓄電池の活用が進んでいる(たとえば、特許文献1参照)。
また、蓄電池は、使用温度が充放電特性や劣化度合に影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−155710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電池は、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して充電し、またその逆変換により放電するものであり、充電と放電を繰り返し行うことができる。充電または放電のエネルギー変換時には、一部が熱エネルギーとして放出される。たとえば、鉛蓄電池は放電時には吸熱し、充電時には発熱する。また、リチウムイオン蓄電池は、放電時には発熱し、充電時には吸熱することが知られている。蓄電池の温度は、蓄電池の劣化や充放電特性に影響を及ぼすため、適切な温度範囲で使用されることが望ましい。
【0005】
したがって、蓄電池に対する冷却または加熱対策は規模の大きな蓄電池システムでは特に重要となる。このため、蓄電池の周囲温度及び蓄電池の発熱や吸熱による温度変化に対する対策としては、冷却用ファンやヒートパイプが用いられるが、設置のためのコストや運転のための電力等のエネルギーが必要となり、蓄電池システムとしてのエネルギー効率に影響する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、蓄電池の寿命や充放電特性を向上させ、かつ加熱・放熱のために要するエネルギー消費を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の蓄電制御装置は、複数の蓄電池を有する蓄電ユニットの充放電制御を行う蓄電制御装置である。
そして、蓄電制御装置の制御手段は、蓄電ユニットを構成する蓄電池を複数の制御系統に分割し、制御系統毎に独立して充放電を行わせて、蓄電ユニット周囲の温度が所定温度範囲内となるように蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
【図2】図2は、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有する蓄電池を単体で充電した場合の当該蓄電池の温度変化の一例を示す図である。
【図3】図3は、充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有する蓄電池を単体で充電した場合の当該蓄電池の温度変化の一例を示す図である。
【図4】図4は、蓄電池の設置例の説明図である。
【図5】図5は、充電制御の説明図である。
【図6】図6は、第2実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
【図7】図7は、蓄電池の発吸熱量テーブルの一例の説明図である。
【図8】図8は、蓄電池の充放電温度特性例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。図1においては、図示の簡略化のため、充電時の発吸熱特性が異なる2種類の蓄電池を、それぞれ直列に接続した蓄電池群をそれぞれ一系統ずつ図示している。また、図1においては、各蓄電池群は、離間して配置して図示しているが、実際には、充電時の発吸熱特性が互いに異なる蓄電池同士が熱良導体により熱結合されている。なお、同一種類の蓄電池において、複数系統の蓄電池群を設ける場合、これらを一つの充放電制御部により一体に制御してもよいし、各系統を独立に制御する複数の充放電制御部を備えるようにしてもよい。
【0009】
蓄電システム10は、図1に示すように、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有する第1の種類の複数個の蓄電池11Aを備えた蓄電池群11と、充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有するとともに、蓄電池群11を構成する対応する蓄電池と熱良導体(たとえば、銅、アルミニウムで形成)により熱結合された第2の種類の複数個の蓄電池12Aで構成された蓄電池群12と、電力線PSに接続され、蓄電池群11を構成する第1の種類の蓄電池11Aに対する充放電制御を行う第1充放電制御部13と、電力線PSに接続され、蓄電池群12を構成する第2の種類の複数個の蓄電池12Aに対する充放電制御を行う第2充放電制御部14と、蓄電池群11の温度を計測する温度計15と、蓄電池群12の温度を計測する温度計16と、温度計15、16により計測した温度及び予め設定された充放電計画に基づいて第1充放電制御部13及び第2充放電制御部14を制御する充放電計画部17と、を備えている。
さらに充放電計画部17は、外部インタフェース部18を介して、当該充放電計画部17の設定等を行う外部のホストコンピュータ19に接続されている。
【0010】
本第1実施形態では、蓄電池群11の発熱量と、蓄電池群12の吸熱量と、がほぼ等しくなるように制御し、あるいは、蓄電池群11の吸熱量と、蓄電池群12の発熱量と、がほぼ等しくなるように制御しつつ、蓄電システム10全体の充電量及び放電量を制御している。すなわち、理想的な制御状態下では、蓄電システム10は、周囲温度に影響を与えることがなく、周囲温度を変化させる外的要因がない限り周囲温度を一定に保つことが可能となる。
【0011】
まず、第1実施形態の動作説明に先立ち、蓄電池群11及び蓄電池群12のそれぞれを構成する蓄電池について説明する。
蓄電池群11を構成する蓄電池11Aは、上述したように、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有しており、たとえば、リチウムイオン電池が一例として挙げられる。
一方、蓄電池群12を構成する蓄電池12Aは、上述したように、充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有しており、たとえば、ニッケル水素二次電池が一例として挙げられる。
【0012】
図2は、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有する蓄電池を単体で充電した場合の当該蓄電池の温度変化の一例を示す図である。
図2に示すように、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有する蓄電池群11を構成する蓄電池11Aは、充電にしたがって発熱して、温度が上昇していることがわかる。
【0013】
図3は、充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有する蓄電池を単体で充電した場合の当該蓄電池の温度変化の一例を示す図である。
図3に示すように充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有する蓄電池群12を構成する蓄電池12Aは、充電にしたがって吸熱して、温度が低下していることがわかる。
【0014】
図4は、蓄電池の設置例の説明図である。
図4においては、蓄電池群11を構成する蓄電池11Aと、蓄電池群12を構成する蓄電池12Aと、を交互に配置した場合の模式図である。このように蓄電池を交互に配置し、充電時の発吸熱特性が互いに異なる蓄電池同士を熱良導体により熱結合させている。
【0015】
次に第1実施形態の動作を説明する。
図5は、充電制御の説明図である。
図5(a)は、蓄電システム全体の充電量と、種類の異なる蓄電池でそれぞれ構成された各蓄電池群への充電量の割合の制御状態の説明図である。
図5(a)に示すように、本第1実施形態の蓄電システム10においては、充放電計画部17は、時刻t1になると充電を開始する。
【0016】
そして、充放電計画部17は、第1充放電制御部13及び第2充放電制御部14を制御し、蓄電池群11を構成する蓄電池11A全体の充電量P_aと、当該蓄電池群11を構成する蓄電池11Aに熱結合された蓄電池群12を構成する蓄電池12A全体の充電量P_bと、の合計の充電量Pが一定になるようにする。
P=P_a+P_b=const.
そして、充放電計画部17は、時刻t2に至ると、充電を停止する。
【0017】
図5(b)は、第1実施形態において理想的な制御を行った場合の蓄電池周辺の温度変化の説明図である。
図5(a)に示したように、充電量を一定量確保しつつ、図5(b)に示すように、蓄電池群11の単位時間当たりの総発熱量QH11(上部の斜線部の面積に相当)と蓄電池群12の単位時間当たりの総吸熱量QC12(下部の斜線部の面積に相当)と、蓄電池群11の単位時間当たりの総吸熱量QC11(下部の斜線部の面積に相当)と蓄電池群12の単位時間当たりの総発熱量QH12(上部の斜線部の面積に相当)と、をそれぞれ等しくするように制御すれば、蓄電システム10全体としては、発熱も吸熱も行わない状態となり、外的な要因により周囲温度が変動しない限り、周囲温度を一定温度範囲内に保つことが可能となっている。なお、図5(b)において、THaは、発熱時の電池11Aの温度、THbは、発熱時の電池12Aの温度、TCaは、吸熱時の電池11Aの温度、TCbは、吸熱時の電池12Aの温度である。
【0018】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、蓄電システム10の装置内の温度上昇や低下が避けられ、蓄電システム10のうち、少なくとも蓄電池群11及び蓄電池群12を周囲温度の変化が少ない場所に設置しておけば、冷却のためのファンや加熱のためのヒータが不要となる。
また、以上の説明においては、用いる蓄電池が2種類の場合について説明したが、充放電時の発吸熱特性の異なる3種類以上の蓄電池を用いるようにすることも可能である。
さらに用いる複数種類の蓄電池の容量は同一でなくともよい。
【0019】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
蓄電池は各々の特性に応じて、推奨動作温度範囲が存在する。推奨動作範囲を超えた温度における蓄電池の使用(充放電)は、蓄電池の充放電特性や劣化度合に大きく影響する。このため、蓄電池は、できる限り推奨動作温度範囲内で動作させるのが望ましい。この推奨動作温度範囲は、通常、蓄電池の製造者から提示されている。
図6は、第2実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
第2実施形態の蓄電システム10Aが、第1実施形態の蓄電システム10と異なる点は、蓄電システム10Aが設けられている周囲(特に、蓄電池群11、12が配置されている周囲)の温度を測定する周囲温度計20を設けた点である。
【0020】
第2実施形態においては、充放電計画部17に対し、外部インタフェース部18を介して外部のホストコンピュータ19から蓄電池群11を構成する蓄電池11Aと、蓄電池群12を構成する蓄電池12Aの推奨動作温度範囲を入力する。
そして、周囲温度計20から得られる周囲温度が、記憶した推奨動作温度範囲と比較して低温の場合は、発熱する特性を有する蓄電池への充放電量の割合が高くなるよう制御する。具体的には、蓄電池11Aとしてリチウムイオン電池を用い、蓄電池12Aとしてニッケル水素二次電池を用いて充電を行う場合には、蓄電池11Aへの充電量の割合が高くなるよう制御する。
【0021】
一方、記憶した推奨動作温度範囲と比較して周囲温度が高温の場合は、吸熱する特性を有する蓄電池への充放電量の割合が高くなるよう制御する。具体的には、蓄電池11Aとしてリチウムイオン電池を用い、蓄電池12Aとしてニッケル水素二次電池を用いて充電を行う場合には、蓄電池12Aへの充電量の割合が高くなるよう制御する。
このように、吸熱または発熱する割合を制御するので、周囲温度が推奨動作温度範囲に無い場合でも、冷却のためのファンや加熱のためのヒータが不要で推奨動作温度範囲での充放電が可能となり、蓄電池の能力を最大限に生かすことができる。
【0022】
[3]第3実施形態
蓄電池の発吸熱反応は、蓄電池に蓄えられている現在の蓄電量と、蓄電池の充放電可能な全容量と、の比率を示す残容量比(%)によって発吸熱特性の数値が変化することが知られている。
そこで、本第3実施形態は、残容量比に基づいて、より正確に充放電制御を行って、所望の温度範囲に制御する場合の実施形態である。
【0023】
この場合において、第1充放電制御部13及び第2充放電制御部14は、蓄電池各々の残容量を計測する機能を備えているものとする。
以下の説明においては、蓄電システムの構成は、第2実施形態の蓄電システム10Aと同様であるので、図6を参照して説明を行うものとする。
【0024】
次に第3実施形態の動作について説明する。
まず、第1充放電制御部13及び第2充放電制御部14は、蓄電池各々の残容量を計測し、充放電計画部17に通知する。
また、充放電計画部17は、外部インタフェース部18を介して、外部のホストコンピュータ19から蓄電池群11を構成する蓄電池11Aと、蓄電池群12を構成する蓄電池12Aの残容量と、周囲温度と、をパラメータとして、単位充放電量当たりの発吸熱量を示す参照テーブルを取得する。
【0025】
図7は、蓄電池の発吸熱量テーブルの一例の説明図である。
この発吸熱量テーブル30は、充放電時の発吸熱特性が異なる電池毎にそれぞれ設けられている。
発吸熱量テーブル30を構成している発吸熱量データa1、a2、…、ai、…、akは、蓄電池11A、12Aの製造者から提供されたデータあるいは蓄電システム10Aの運用により得られたデータを使用することとなる。
図8は、蓄電池の充放電温度特性例の説明図である。
たとえば、充電時に発熱し、放電時に吸熱する発吸熱特性を有する蓄電池群11を構成する蓄電池11Aは、図8(a)に示すように、残容量が多いほど、発熱して、温度が上昇していることがわかる。
また、充電時に吸熱し、放電時に発熱する発吸熱特性を有する蓄電池群12を構成する蓄電池12Aは、図8(b)に示すように、残容量が多いほど、吸熱して、温度が低下していることがわかる。
そこで、図8に示したような、蓄電池の充放電温度特性にしたがって、発吸熱量テーブル30を作成する。
そして、発吸熱量データa1、a2、…、ai、…akとしては、発熱量を表す場合には正値(>0)とし、吸熱量を表す場合には負値(<0)とする。
【0026】
上記構成において、図7に示す発吸熱量テーブル30が蓄電池群11を構成する蓄電池11Aに対応するものである場合、蓄電池11Aの残容量と温度計15により計測した温度から、充放電計画部17は、蓄電池11Aの充電を行おうとする場合には、発吸熱量テーブル30を参照して、当該時点における蓄電池11Aの発熱量または吸熱量を計算して、蓄電池11Aで構成される蓄電池群11に配分する電力量を決定する。
【0027】
より具体的には、周囲温度が−20℃であり、蓄電池11Aの残容量が10%である場合には、充放電計画部17は、吸熱量あるいは発熱量=a2を読み出して、制御を行うこととなる。
このように、本第3実施形態によれば、蓄電池の実際の残容量比に基づいて、充放電量に対する吸熱または発熱する量を予め計算して制御するので、より正確な温度管理が可能となる。
【0028】
[4]第4実施形態
以上の各実施形態は、充電時あるいは放電時の温度を測定して制御を行うものであったが、充電及び放電は、蓄電システムの稼働中、常時行っているものでは無く、必要あるいは充放電計画に基づいて行うものである。
ところで、実際に充電あるいは放電を行う時点で、温度制御を行おうとしても、周囲温度を上昇させたいのに、充電時に吸熱反応となる電池に充電を行う必要があったり、逆に周囲温度を低下させたいのに充電時に発熱反応となる電池に充電を行う必要があったりした場合には、所望の温度制御を行うことができない。
【0029】
そこで、本第4実施形態は、次回の充放電制御を考慮して、今回の充放電制御を行う場合の実施形態である。
この場合において、充放電計画部17は、充放電の時刻と電力量の予約を可能とするため、充放電計画部17は、時刻を管理するタイマ機能を備えている。
さらに充放電計画部17は、充電または放電のスケジュール情報(=開始時刻情報、継続時間情報及び充電/放電電力量情報)が予め設定され、複数のスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶機能を備えている。
この場合において、充放電計画部17は、時刻情報とともに周囲温度を所定周期で記憶し、時刻に応じた周囲温度の履歴情報を24時間分乃至1年分保持することにより(あるいは、そのような履歴情報をホストコンピュータ19から取得することにより)、充放電時間帯の周囲温度を把握し推定することが可能となっている。
【0030】
そして、充放電計画部17は、現在時刻(現在日時も含む)、スケジュール情報及び履歴情報に基づいて、次回の充電開始時刻または放電開始時刻の周囲温度を推定する。この場合において、推定する周囲温度は、変動可能性を考慮するため、数日分の履歴情報を参照してそれらの平均値を周囲温度として推定してもよい。
【0031】
そして、現在時刻(現在日時も含む)、スケジュール情報及び履歴情報に基づいて、推定した次回の充電開始時刻または放電開始時刻の周囲温度が、予め設定された推奨動作温度範囲と比較して高温または低温であると判定される場合は、次回の充電開始後または放電開始後において、周囲温度が推奨動作温度範囲となるように、吸熱あるいは発熱する蓄電池群を優先的に充放電可能となるように、今回の充電完了時または放電完了時に、次回の充電開始時あるいは放電開始時に優先的に充放電する蓄電池が充放電を可能となるように残容量を制御しておくこととなる。
【0032】
たとえば、スケジュール情報に基づいて、今回は充電を行い、次回は放電を行うようにスケジュールが予約されており、周囲温度の履歴情報から推定した次回放電の開始時刻の周囲温度が予め設定されている推奨動作温度範囲と比較して高温であると判定される場合、放電時に吸熱する特性のある蓄電池群11を構成する蓄電池11Aの放電量の割合を大きくすることが望まれる。
このため、今回の充電完了時には、蓄電池群11への充電割合を上げて蓄電池群11全体の残容量を高くしておくこととなる。
【0033】
また、スケジュール情報に基づいて、今回は放電を行い、次回は充電を行うようにスケジュールが予約されている場合は、今回の放電完了時に、蓄電池群11の放電量の割合を抑えて蓄電池群11の残容量を高くしておくこととなる。
同様にして、次回の充電開始時刻又は放電開始時刻における推定した周囲温度が推奨動作温度範囲と比較して低温である場合も残容量を同様に制御する。
このように、本第4実施形態によれば、次回の充放電開始時に使用する蓄電池の容量を事前に調整することにより、推奨動作温度範囲での運転が容易になり、効率的な充放電を行うことができる。
【0034】
[5]実施形態の変形例
以上の説明では、述べなかったが、実際の蓄電池システムには、蓄電池群11、12を冷却する冷却ファンや、加熱する加熱ヒータ等が備えられている。
したがって、上述した実施形態にしたがって、充放電制御、ひいては、温度制御を行ったにもかかわらず、推奨動作温度範囲を含む使用温度範囲を逸脱した、あるいは、逸脱しそうとなった場合にのみ、これらのファンやヒータを駆動する構成を採ることにより、駆動のための電力等のエネルギー消費を低減させることが可能となる。
【0035】
以上の説明においては、充放電時の発吸熱特性が異なる複数種類の蓄電池を別系統として制御を行っていたが、充放電時の発吸熱特性が同一の蓄電池を複数系統に分割して制御し、一方を充電系統、他方を放電系統として、同様の制御を行うように構成することも可能である。
【0036】
本実施形態の蓄電制御装置(充放電計画部17)は、CPU等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM等の記憶装置と、USBやLAN等の外部との入出力インタフェースを備えた専用の組込用コンピュータのハードウェア構成としたり、CPU等の制御装置と、ROMやRAM等の記憶装置と、HDD、CDドライブ装置等の外部記憶装置、ディスプレイ装置等の表示装置、キーボードやマウス等の入力装置を備えた通常のコンピュータを利用したハードウェア構成としたりすることが可能となっている。
【0037】
本実施形態の蓄電制御装置で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0038】
また、本実施形態の蓄電制御装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の蓄電制御装置で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0039】
また、本実施形態の蓄電制御装置の制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10、10A 蓄電システム
11、12 蓄電池群
11A、12A 蓄電池
13 第1充放電制御部
14 第2充放電制御部
15 温度計
16 温度計
17 充放電計画部
18 外部インタフェース
19 ホストコンピュータ
20 周囲温度計
30 発吸熱量テーブル
PS 電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池を有する蓄電ユニットの充放電制御を行う蓄電制御装置であって、
前記蓄電ユニットを構成する蓄電池を複数の制御系統に分割し、前記制御系統毎に独立して充放電を行わせて、前記蓄電ユニット周囲の温度が所定温度範囲内となるように前記蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、を制御する制御手段を備えた蓄電制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記蓄電ユニットを、発吸熱特性として、充電時に発熱し放電時に吸熱する蓄電池で構成される第一の制御系統と、
前記発吸熱特性として、充電時に吸熱し放電時に発熱する蓄電池で構成される第二の制御系統と、に分割して制御する、
請求項1記載の蓄電制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、外部のセンサにより前記蓄電ユニット周囲の温度情報が入力されて、前記蓄電ユニット周囲の温度が当該蓄電ユニットを構成する蓄電池の所定の推奨動作温度範囲内となるように制御する、
請求項1又は請求項2記載の蓄電制御装置。
【請求項4】
蓄電池の残量を検出する残量検出手段と、
蓄電池の残量と、蓄電池の充放電可能な全容量と、の比率を示す残容量比と、発吸熱特性と、の関係を予め記憶する残容量比−発吸熱特性記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記残容量比−発吸熱特性記憶手段を参照し、前記検出された蓄電池残量時における発吸熱特性に基づいて前記蓄電ユニット周囲の温度を制御する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蓄電制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、が等しくなるように制御する請求項1又は請求項2記載の蓄電制御装置。
【請求項6】
前記蓄電ユニットの充放電スケジュール情報を予め記憶するスケジュール記憶手段と、
前記蓄電ユニット周囲の温度の履歴情報を予め記憶する周囲温度履歴記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記充放電スケジュール情報及び前記蓄電ユニット周囲の温度の履歴情報に基づいて、次回の充電開始時あるいは放電開始時の前記周囲の温度を推定する周囲温度推定手段と、
前記推定した周囲温度に基づいて、次回の充電時あるいは次回の放電時に適した状態となるように、今回の充電動作あるいは今回の放電動作を行わせる今回動作制御手段と、
を備える請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓄電制御装置。
【請求項7】
外部の電力線に接続され、いずれかの前記制御系統に属する蓄電池の充放電制御を行う充放電制御手段を複数備え、
前記制御手段は、前記充放電制御手段を介して、前記制御系統毎に独立して充放電を行わせる、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の蓄電制御装置。
【請求項8】
複数の蓄電池を有する蓄電ユニットと、
前記蓄電ユニットを構成する蓄電池を複数の制御系統に分割し、前記制御系統毎に独立して充放電を行わせて、前記蓄電ユニット周囲の温度が所定温度範囲内となるように前記蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、を制御する制御手段と、
を備えた蓄電システム。
【請求項9】
複数の蓄電池を有する蓄電ユニットの充放電制御を行う蓄電制御装置をコンピュータにより制御する制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記蓄電ユニットを構成する蓄電池を複数の制御系統に分割し、前記制御系統毎に独立して充放電を行わせて、前記蓄電ユニット周囲の温度が所定温度範囲内となるように前記蓄電ユニット全体の発熱量と、吸熱量と、を制御する制御手段、
として機能させる制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−46559(P2013−46559A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185174(P2011−185174)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】