蓄電性ゴム並びにそれを用いた電気二重層キャパシタ及びリチウム電池
【課題】ゴムの有する密着性および柔軟性を利用することで、ゴムを主体とし、機械的強度の保持を集電体に頼らない蓄電性ゴム(電極)を得る。また、集電体への塗布プロセスを使わないで電極を得る。
【解決手段】(1)ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散している蓄電性ゴムであり、(2)ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が均一に分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散している蓄電性ゴムである。(3)上記(1)の蓄電性ゴムに、さらに電池活物質が分散している電極用蓄電性ゴムであり、(4)イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散している電極用蓄電性ゴムである。また、蓄電性ゴムを集電体と接着して電気二重層キャパシタ又はリチウム電池に使用する。
【解決手段】(1)ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散している蓄電性ゴムであり、(2)ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が均一に分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散している蓄電性ゴムである。(3)上記(1)の蓄電性ゴムに、さらに電池活物質が分散している電極用蓄電性ゴムであり、(4)イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散している電極用蓄電性ゴムである。また、蓄電性ゴムを集電体と接着して電気二重層キャパシタ又はリチウム電池に使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電性ゴム並びにそれを電極に用いた電気二重層キャパシタ及びリチウム電池に関し、特に、ゴムを、電極として機能する蓄電性ゴムとするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気を蓄えるデバイスとして二次電池とキャパシタがあり、従来、二次電池は、鉛蓄電池(SLI、動力用、据置用、携帯用)、ニッケル・カドミウム蓄電池(開放型ポケット式、開放型焼結式、密閉式)等が、キャパシタは、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等が実用化されていた。
近年、携帯電話、携帯情報端末等の携帯電子機器の性能は、充放電可能な二次電池の性能に大きく依存しており、搭載される二次電池の容量アップと共に、軽量・コンパクト化をも同時に実現することが望まれている。
これらの要望に答える二次電池として、ニッケル・カドミウム蓄電池の約2倍のエネルギー密度を有する、ニッケル水素蓄電池が開発され、次いで、これを上回るリチウム電池(リチウムイオン電池)が開発され、脚光を浴びてきている。
【0003】
このリチウムイオン電池は、非水系電解液中に、正極及び負極を配設し、各々の極板には、集電体表面に正極活物質又は負極活物質が結着された構成のものである。この電池に用いられる正・負極板は、一般的に、活物質(正極活物質又は負極活物質)、導電材(電子伝導性の分散材)、結着剤(バインダー)等を溶剤に混練分散して合剤とし、集電体の片面もしくは両面に塗布、乾燥した後に、必要に応じてプレスしたものを、所定の形状にスリットすることにより製造されている。
そして、この電池には、従来よりバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が主に用いられてきたが、これは非導電性重合体であるので、増量すると電極における活物質量の割合が低下し、充放電容量が低下するだけでなく、電子の移動を妨げ、電極の内部抵抗が増大し、電池の充放電サイクル寿命、電池の高負荷充放電の能力を劣化させるという問題があった。さらに、電極が硬く脆くなり、電極剥離,ヒビ割れを生じるという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために、ゴムの持っている柔軟性、密着性、耐熱老化性、耐候性、耐寒性等の特性を利用し、ゴムを電池の電極のバインダーとする技術が開発され、これらの技術(発明)は周知である(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、電気二重キャパシタについても、同様にゴムを電極のバインダーとして用いる発明がある(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2000−133275号公報
【特許文献2】特開2000−228197号公報
【特許文献3】特開2002−110145号公報
【特許文献4】特開2004−55493号公報
【特許文献5】特開2004−288782号公報
【0005】
これらの発明は、バインダーとしてゴム(エラストマー、フッ素ゴム、変性アクリルゴム、合成ゴムラテックス)を用いることにより、「電極用エラストマーバインダーは非剛性で展性に富むために劣化しにくく、活物質の脱離を防ぐため、活物質粒子の粒子間接触を保持することができる。」(特許文献1の段落[0036])、「結着剤の主成分として柔軟性に富むフッ素ゴムを用いているので、正極合剤塗膜の柔軟性が向上し、亀裂の発生や導電性基体からの剥離の発生が抑制されるようになる。」(特許文献2の段落[0011])、「結着剤として、合成ゴム系ラテックス型接着剤および増粘剤を所定量含むようにしたので、柔軟性および平滑性を向上させることができ、電極剥離および割れを防ぐことができる。」(特許文献4の段落[0112])といった効果を奏するものであるが、バインダーの活物質に対する重量比が大きいと、電池反応に寄与しない材料が極板中に多く存在することにより、電池容量を低下させてしまうこと(特許文献3の段落[0016])、正極合剤層を形成する際に粘度が著しく上昇して、正極集電体層に塗布することが難しくなること(特許文献4の段落[0023])、電極の内部抵抗が増大しやすいこと(特許文献5の段落[0029])等の理由から、バインダー(ゴム)は、合剤中に最大で10質量%程度しか含有させることができない(特許文献1の請求項23、特許文献2の段落[0030]、特許文献3の請求項1〜4、特許文献4の請求項1及び9、特許文献5の段落[0029])ものであった。
【0006】
また、電極活物質の有効利用率を向上させ、Li電池(一次電池及び二次電池)に適用した際の充放電性能の改善を目的として、「粉末状又は粒状の電極活物質を集電体に結着させた電極であって、非水電解液及び導電性粉末を含み、平均分子量60〜600の1分子当たり2個以上の水酸基を有するポリオール化合物をイソシアネート化合物により架橋反応させたゴム状結着剤により、前記電極活物質どうし及び該電極活物質と集電体とを結着させてなることを特徴とするLi電池用電極。」の発明がなされている(特許文献6参照)。
【特許文献6】特開平11−97026号公報
【0007】
特許文献6の発明は、「結着剤に電子伝導性及びイオン伝導性がほとんど無いため、結着剤が電極活物質の酸化還元反応を阻害する。そのため、電極の本来有する充放電性能を引き出しにくい。」(段落[0003])等の従来技術における問題点を解決するために、「分子レベルで混合した状態で、三次元網目構造を持つ高分子(以下、架橋高分子と称する)中に導電性粉末と電解質を分散・溶解させた有機溶媒からなる非水電解液(以下、結着剤電解液と称する)を含む粘着性ゴム状化合物からなる組成物を結着剤として、電極活物質どうし及び該電極活物質と集電体とを結着させてなることを特徴としている」ものであり、「結着剤組成物において、結着剤電解液はイオン伝導性を担い、導電性粉末は電子伝導性を担」い、「従来結着剤として使用されている材料と同様の結着機能を有するほか、従来の材料にはないイオン伝導性及び電子伝導性を有する」(段落[0007])ものであるが、電極を製造する工程で有機溶媒を使用し集電体に塗布しているから、粘着性ゴム状化合物は支持体ではなく、電解質(イオン伝導性の分散材)、導電性粉末(電子電導性の分散材)、電極活物質を支持体に分散させるものではない。
【0008】
さらに、特許文献6には、「電極活物質と結着剤組成物との配合割合は、用いる電極活物質材料の種類と必要とされる力学的強度によって異なるが、通常は、結着剤と電極活物質との合計量に対して結着剤が10〜50wt%程度とするのが好ましい。」(段落[0016])と記載されており、ゴム状結着剤を従来よりも多く含有させることが示されているが、電極活物質を集電体に塗布し、乾燥させた後、その膜上に結着剤溶液を塗布することが示されている(段落[0022])だけで、電極活物質をゴムと混練してゴム状結着剤を主体とする成形体を得ることは示されていない。
【0009】
いずれにしても、上記従来のリチウム電池や電気二重層キャパシタは、集電体との密着に塗布プロセスを採用しているため、乾燥工程にコストがかかり、集電体と合材(合剤)との密着性、及び反応に伴う活物質の膨張収縮による剥離という問題を十分に解決することができなかった。そして、集電体が機械的強度の保持を担っていたために、電池における活物質の量を増やすことができないという問題があった。また、集電体への塗布のために可燃性の有機溶剤(有機溶媒)を使用するので、安全性、環境汚染の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ゴムの有する密着性および柔軟性を利用することで、ゴムを主体とし、機械的強度の保持を集電体に頼らない蓄電性ゴム(電極)を得ること、また、集電体への塗布プロセスを使わないで電極を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴムである。
(2)前記イオン導電性の分散材が、固体電解質であることを特徴とする前記(1)の蓄電性ゴムである。
(3)ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴムである。
(4)ゴム支持体にイオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴムである。
(5)前記イオン導電性の分散材が、電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩であることを特徴とする前記(4)の電極用蓄電性ゴムである。
(6)イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴムである。
(7)前記電子伝導性の分散材が、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散していることを特徴とする前記(6)の電極用蓄電性ゴムである。
(8)前記電池活物質が、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散していることを特徴とする前記(6)又は(7)の電極用蓄電性ゴムである。
(9)前記ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散していることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(10)前記ゴム支持体が有機溶媒によって膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるものであることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(11)前記イオン導電性の液体が、有機溶媒とリチウム塩を含む電解液であることを特徴とする前記(9)又は(10)の電極用蓄電性ゴムである。
(12)前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末であることを特徴とする前記(4)〜(11)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(13)前記電池活物質が、正極活物質であり、前記電極が正極であることを特徴とする前記(4)〜(12)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(14)前記正極活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする前記(13)の電極用蓄電性ゴムである。
(15)前記電池活物質が、負極活物質であり、前記電極が負極であることを特徴とする前記(4)〜(12)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(16)前記負極活物質が、リチウムインサーション化合物であることを特徴とする前記(15)の電極用蓄電性ゴムである。
(17)前記(1)〜(3)のいずれか一項の蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とする電気二重層キャパシタである。
(18)前記蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする前記(17)の電気二重層キャパシタである。
(19)前記(4)〜(16)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とするリチウム電池である。
(20)前記電極用蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする前記(19)のリチウム電池である。
(21)前記電極用蓄電性ゴムを集電体と加硫接着することを特徴とする前記(19)又は(20)のリチウム電池である。
【発明の効果】
【0012】
ゴムに、電子伝導性の分散材、イオン伝導性の分散材及び電池活物質の2種以上を組み合わせて混練して分散させるので、ゴムの持つ密着性および柔軟性により、集電体との密着性が向上し、かつ充放電にともなう活物質の体積変化にも追従できる効果がある。それによりレート特性やサイクル特性の向上ができる。
また、機械的強度をゴムが担うために電池活物質の割合を増やし集電体重量を低減することで電池容量の増加を期待できる。電気二重層キャパシタについても、同様に集電体重量を低減することで容量の増加を期待できる。
さらに、電解液などによる劣化などがないため蓄電性ゴム自体をリサイクルできる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者等は、種々の研究の結果、ゴムの有する密着性及び柔軟性を利用することによりレート特性やサイクル特性に優れた電池を構成することが可能であることを発見したものである。また、従来の電池と異なり、ゴムを支持体とした電極層が機械的強度を保持するために電池の容量の増大を期待できることを発見したものである。
すなわち、従来のようにゴムを単にバインダー(結着剤)として使用し、電池活物質、導電助剤を結着するのではなく、ゴムにイオン導電性の分散材(固体電解質)、電子伝導性の分散材(導電助剤)及び電池活物質を均一に混練して蓄電性ゴムとするか、ゴムにイオン導電性の分散材を加えずに、電子伝導性の分散材及び電池活物質を均一に混練して蓄電性ゴムとすることにより、ゴム支持体に、これらの成分が均一に分散している電極用蓄電性ゴムを得るものである(図1参照)。
この場合に、ゴムは固体溶媒ではなく、支持体として用いているため、固体電解質ではなく、電池の電極(正極又は負極)合材として機能するものである。
【0014】
また、電池活物質を分散させないで、ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材を分散させたものである蓄電性ゴム、または、ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔を分散させ、電子伝導性の分散材を分散させたものである蓄電性ゴムは、電気二重層キャパシタの電極として機能する。
【0015】
ゴムの種類は、限定されるものではなく、SBR、CR等の合成ゴム、耐熱性ゴム、エラストマー等の従来から使用されているゴムを使用することができる。特に、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)が好ましい。
【0016】
イオン導電性の分散材としては、非水系電解液電池(リチウムイオン電池)の電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩が使用できる。例えば、ClO4-、B10Cll0O2-、B12Cl122-、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、BR4-、B(Ar)4-、AlC4-、CF3SO3-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-のアニオンを含む1又は2以上のリチウム塩が挙げられる。特に、LiClO4やLiPF6が好ましい。
【0017】
ゴム支持体にLiClO4やLiPF6等のイオン導電性の分散材を分散させたものを、リチウムイオン電池の電解液に浸漬すれば、電解液の有機溶媒によりLiClO4やLiPF6等が溶解し、ゴム支持体が多孔質化されるから、電解液がゴム支持体中にしみ込みやすくなり、イオン導電性を良くする。
【0018】
また、イオン導電性の分散材として、酸化物イオン導電体、ハロゲン化物イオン導電体、プロトン導電体、リチウムイオン導電体、ナトリウムイオン導電体、銀イオン導電体、銅イオン導電体、a−60LiS・40SiS2非晶質体、Li2S−SiS2系融液急冷ガラス、Li4Ti2(PO4)3・AlPO4・TiO2、PEO(ポリエチレンオキシド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、PPO(ポリプロピレンオキシド)等の固体電解質を使用することで、有機電解液を使用しない完全固体リチウムイオン二次電池が期待できる。このイオン導電性の分散材は、電気二重層キャパシタにも使用できる。
【0019】
ゴム支持体に分散させたLiClO4やLiPF6等のイオン導電性の分散材を、予め有機溶媒により溶解させることにより、イオン導電性の液体が浸透する細孔が分散している蓄電性ゴムを得ることができる。イオン導電性の液体が浸透する細孔は均一に分散していることが好ましい。
また、イオン導電性の分散材としては機能しない水で抽出可能な化合物を練り込んだゴムに、電子伝導性の分散材と電池活物質を混練したものを熱湯に入れて、その化合物を煮沸抽出することによっても、イオン導電性の液体が浸透する細孔が分散した蓄電性ゴムを得ることができる。この場合には、ゴムに、有機溶媒により溶解するイオン導電性の分散材を含有させる必要はない。
【0020】
さらに、ゴムが有機溶媒によって膨潤するような材質のものである場合には、膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるから、イオン導電性の液体が浸透する細孔を分散させなくてもよい。
この場合には、上記のような煮沸処理を行う必要がないため、電極を作製する工程が簡略化できるという利点がある。また、ゴム支持体にカップリング剤を添加剤として加え、集電体と加硫接着によって電極を作製することができ、ゴムのりを使用しなくても充分な接着力が得られる。
【0021】
蓄電性ゴムに浸透させることができるイオン導電性の液体としては、リチウム電池に従来から非水系電解液として使用されている有機溶媒とリチウム塩(電解質)を含む電解液が挙げられる。
このようなイオン導電性の液体としては、LiBF4/PC(プロピレンカーボネート)、LiBF4/GBL(γ−ブチロラクトン)、LiBF4/PC+DME(1,2−ジメトキシエタン)、LiBF4/GBL+DME、LiBF4/PC+EMC(エチルメチルカーボネート)、LiBF4/PC+MP(プロピオン酸メチル)、LiClO4/PC、LiClO4/GBL、LiClO4/PC+DME、LiClO4/PC+DME、LiClO4/GBL+DME、LiClO4/PC+EMC、LiClO4/PC+MP、LiPF6/PC、LiPF6/GBL、LiPF6/GBL+DME、LiPF6/PC+EMC、LiPF6/PC+MP、LiPF6/PC+DME、LiAsF6/PC、LiAsF6/GBL、LiAsF6/PC+DME、LiAsF6/GBL+DME、LiAsF6/PC+EMC、LiAsF6/PC+MP、LiCF3SO3/PC、LiCF3SO3/GBL、LiCF3SO3/PC+DME、LiCF3SO3/GBL+DME、LiCF3SO3/PC+EMC、LiCF3SO3/PC+MP、Li(CF3SO2)2N/PC、Li(CF3SO2)2N/GBL、Li(CF3SO2)2N/PC+DME、Li(CF3SO2)2N/GBL+DME、Li(CF3SO2)2N/PC+EMC、Li(CF3SO2)2N/PC+MP等がある。
【0022】
電子伝導性の分散材としては、電池に導電助剤として従来から使用されている炭素、金属(鉄鋼等)、合金、セラミックス、ガラスの粉末又は粒子を使用することができる。特に、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末が好ましい。アセチレンブラックとケッチェンブラックとの混合物、グラファイト粉末とケッチェンブラックとの混合物がより好ましい。
電子伝導性の分散材は、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散させることができる。電子伝導性の分散材が少ないと、電池として機能しなくなり、また、多すぎるとゴムへの混練が困難になるので、上記の範囲が好ましい。
【0023】
電池活物質は、本発明の蓄電性ゴムを電池の正極とする場合には、正極活物質になるが、リチウム電池に従来から使用されているLiCoO2、LiCrO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiV2O4、LiFeO2、LiVO2、LiTiO2、LiScO2、LiYO2等のリチウム遷移金属複合酸化物を使用することができる。特に、LiMn2O4が好ましい。
電池活物質(正極活物質)は、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散させることができる。電池活物質が少ないと電池として機能しなくなり、多すぎても電池としての挙動が見られなくなるので、上記の範囲が好ましい。
正極活物質としては、平均粒径10〜30μmのものを使用することができるが、粉砕して、平均粒径2μm程度としたものを使用してもよい。
【0024】
電池活物質は、本発明の蓄電性ゴムを電池の負極とする場合には、負極活物質になるが、リチウム電池に従来から使用されている合成黒鉛(グラファイト)、天然黒鉛、難黒鉛化炭素、非晶質コバルト置換窒化リチウム、非晶質スズ複合酸化物、SnO−B2O3−P2O5系の融液急冷ガラス、非晶質SiO2−SnO系非晶質材料等のリチウムインサーション物質又は化合物を使用することができる。
【0025】
本発明の前記(1)〜(3)のいずれか一項の蓄電性ゴム(電池活物質を分散させないもの)又は前記(4)〜(16)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴム(電池活物質を分散させたもの)は、集電体と接着することにより、電気二重層キャパシタ又は電池とすることができる。
集電体としては、アルミ箔、ステンレス箔等を使用することができ、蓄電性ゴムと加熱圧着により及び/又はゴムのりを使用して接着することができる。その場合、ゴム支持体(蓄電性ゴム)と同種のゴムのりを使用することが好ましい。
また、ゴム支持体にカップリング剤を添加して、集電体と加硫接着することもできる。加硫接着としては、未加硫の蓄電性ゴムの上に集電体をのせ、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時に集電体と接着する方法が採用できる。熱プレスは、165〜175℃で、8〜12分行うことが好ましい。加硫接着の場合、ゴムのりは使用してもよいし、使用しなくてもよい。カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
本発明の蓄電性ゴムを電気二重層キャパシタ又は電池に適用する場合、機械的強度をゴムが担うために集電体重量を低減することができ、蓄電性ゴム(イオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材、電池活物質の質量を含めたもの)に対する集電体の質量比を1以下とすることができる。
【実施例1】
【0026】
原料ゴムとしてアクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)を使用し、ゴム100wt%に対し、40wt%のイオン導電性の分散材(LiClO4)、90wt%の電子伝導性の分散材(アセチレンブラック80wt%及びケッチェンブラック10wt%)、40wt%の正極活物質(LiMn2O4)を加え、オープンロールにて混練し、180℃で10分、加硫を行い、蓄電性ゴムシートを得た。この蓄電性ゴムシートを1cm×1cm切り出し試験管にいれPC(キシダ化学製)を10ml入れシリコンゴムキャップで試験管にふたをした。その後、超音波洗浄機(100W42KHz,yamato2510)にて6.0時間処理をした。これをステンレス箔(SUS304、ニラコ)で挟み込み1cm2面積が電解液に(LiClO4/PC+DME)つかるようにセットし試料極とした。
【実施例2】
【0027】
正極活物質(LiMn2O4)を加えずに、ゴム(H−NBR)100wt%に対し、40wt%のLiClO4、アセチレンブラック80wt%及びケッチェンブラック10wt%の混合材を加え、オープンロールにて混練し、180℃で10分、加硫を行い、蓄電性ゴムシートを得た。この蓄電性ゴムシートを1cm×1cm切り出し、実施例1と同様に処理をした。これをステンレス箔(SUS304、ニラコ)で挟み込み1cm2面積が電解液に(LiClO4/PC+DME)つかるようにセットし試料極とした。
【0028】
実施例1と実施例2で得た試料極を用いて充放電試験を行った。参照極はLi/Li+、対極は金属リチウムとした。電流密度は5μA/cm2,1μA/cm2で行いカットオフ電位は2.8〜4.4V(vsLi/Li+)とした。
【0029】
図2に蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(1cycle目)を示した。
X軸時間(s)、Y軸電位(V)とし、実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では
0秒3.23V、10秒4.2V、20秒4.28V、30秒4.33V、40秒4.37V、50秒4.4V、60秒3.22V、70秒2.82V、72秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.16V、10秒4.25V、20秒4.34V、30秒4.4V、40秒3.12V、48秒2.8Vであった。
【0030】
図3に蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(2cycle目)を示した。
同じく実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では0秒3.15V、10秒4.17V、20秒4.35V、30秒3.8V、48秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.13、10秒4.22V、20秒3.85V、30秒3.32V、40秒2.82V、42秒2.8Vであった。
【0031】
図4に蓄電性ゴムの充放電1μA/cm2(3cycle目)を示した。
同様に実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では0秒3.12V、20秒3.66V、60秒3.89V、240秒4.23V、520秒4.3V、1260秒4.4V、1270秒3.93V、1280秒3.68V、1300秒3.42V、1320秒3.28V、1350秒3.10V、1480秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.12V、5秒3.42V、10秒3.6V、30秒3.88V、70秒4.1V、240秒4.27V、780秒4.39、882秒4.4V、892秒3.9V、902秒3.74V、942秒3.4V、982秒3.2V、1112秒2.91V、1272秒2.8Vであった。
【0032】
図5に実施例2の蓄電性ゴム(活物質なし)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示した。電位3Vの時カレントは0μAから−0.4μA、3.5Vでは−0.1μAと0μA、4Vでは0μAと0.1μA、4・5Vでは0・3μAと1μA、4.6Vでは1.4μAであった。
【0033】
図6に実施例1の蓄電性ゴム(活物質あり)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示した。3.11Vから4.04Vではカレント0μA、4・4Vでは、0.1μAと0.5μA、4.6Vでは0.8μAであった。
【0034】
これらの結果から、本発明の蓄電性ゴムは電池特性があり、電池用電極として作動していると考えられる。
【実施例3】
【0035】
NaClを練り込んだゴム(H−NBR)を使用し、活物質(LiMn2O4)と電子伝導性の分散材(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)が、ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:40wt%、アセチレンブラック(以下、ABと略す)及びケッチェンブラック(以下、KBと略す):90wt%(AB80・KB10の割合)となるように加え、シランカップリング剤を添加して、オープンロールにて混練し、180℃で5分、一次加硫を行った。その後、100℃でNaClを煮沸抽出した。この処理により、ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が均一に分散し、アセチレンブラック及びLiMn2O4が分散してなる蓄電性ゴムシートが得られた。この蓄電性ゴムシートを、アルカリ脱脂を行いゴムのりを塗布したアルミ箔に180℃で30分、圧着することにより接着した。その後、150℃で1時間オーブンにて二次加硫を行い試料を得た。
【0036】
試料とアルミ箔の密着性を調べるためにクロスカット試験を行った。1cm四方に、縦、横1mm幅に切りつけ、セロハンテープ(NICHIBAN:商品名、ニチバン製)を貼り付け、試験を行った(図7参照)。
実施例3の試料にクロスカット試験を行った結果、試験後にゴムの残存量は100%であった。したがって、一般にその特性上、集電体として好ましいアルミ材に対して、十分な密着性を有していることが確認された。すなわち、本発明においては、集電体の変形に対しても追従可能であるから十分な密着性を確保でき、剥離問題が生じ難く、また、フレキシブルな電極とすることができる。
【実施例4】
【0037】
原料ゴムとしてH−NBRを使用し、活物質(LiMn2O4)と電子伝導性の分散材(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)が、ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:40wt%、AB及びKB:90wt%(AB80・KB10の割合)となるように加え、シランカップリング剤を添加して、オープンロールにて混練し、未加硫ゴムシートとし、170℃で1分、熱プレスすることにより一次加硫を行った。この蓄電性ゴムシートを、オーブン中で、アルカリ脱脂を行いゴムのりを塗布したアルミ箔に180℃で30分、加熱圧着することにより接着した。その後、150℃で1時間オーブンにて二次加硫を行い試料を得た。
【実施例5】
【0038】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例6】
【0039】
電子伝導性の分散材として、ABの代わりにグラファイト粉末(以下、Gと略す)を使用し、G及びKB:75wt%(G55・KB20の割合)となるように混練した以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例7】
【0040】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例6と同様にして試料を得た。
【実施例8】
【0041】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例7と同様にして試料を得た。
【実施例9】
【0042】
原料ゴムとしてH−NBRを使用したこと、活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと、加硫接着する際に、アルミ箔にゴムのりを塗布したこと以外は、実施例8と同様にして試料を得た。
【実施例10】
【0043】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例9と同様にして試料を得た。
【実施例11】
【0044】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したことこと以外は、実施例8と同様にして試料を得た。
【実施例12】
【0045】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例5と同様にして試料を得た。
【実施例13】
【0046】
加硫接着する際に、アルミ箔にゴムのりを塗布したこと以外は、実施例12と同様にして試料を得た。
【実施例14】
【0047】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと以外は、実施例12と同様にして試料を得た。
【実施例15】
【0048】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと以外は、実施例13と同様にして試料を得た。
【実施例16】
【0049】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例17】
【0050】
ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:50wt%ととなるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【実施例18】
【0051】
ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:10wt%ととなるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【実施例19】
【0052】
ゴム100wt%に対し、AB及びKB:70wt%(AB60・KB10の割合)となるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【0053】
(比較例1)
ゴム100wt%に対し、AB及びKB:50wt%(AB45・KB5の割合)となるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
実施例1〜19、比較例1で作製した試料の材料、製法を表1にまとめて示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例4〜19、比較例1で作製した試料(蓄電性ゴム電極)を試料極とし、図8のような三極式セルを作製してCV測定を行った。
試料極(1)は、電解液に1.5cm2浸かるようにセットし、参照極(2)、対極(3)としては金属リチウムを使用し、電解液(4)としては、1M LiBF4、PC+DME(1:1)を使用した。
(測定条件)
掃引速度:0.1mV/sec
掃引範囲:2.8V又は3.0V〜4.4V(自然電位によって変更)
【0056】
実施例4〜19で作製した試料について、上記のようにしてCV測定を行った結果を図9〜図24に示す。
図9〜図21に示すデータからみて、本発明の蓄電性ゴムは電池特性があり、電池用電極として作動していると考えられる。
また、図22(実施例17の試料を使用)及び図23(実施例18の試料を使用)に示すデータからみて、電極活物質の含有量については、50質量%と多い場合でも、10質量%と少ない場合でも電極として機能することが分かったが、40質量%程度が、図21(実施例16の試料を使用)に示すように電極の容量が大きくなるから好ましい。
電子伝導性の分散剤(導電助剤)の含有量については、図24(実施例19の試料を使用)に示すように70質量%まで減量した場合でも、マンガンピークが確認でき、電池として機能することが分かった。導電助剤の含有量が50質量%(比較例1)では電池としての挙動が見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の電池構造と本発明のゴム主役の電池構造を模式的に示す図である。
【図2】蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(1cycle目)を示す図である。
【図3】蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(2cycle目)を示す図である。
【図4】蓄電性ゴムの充放電1μA/cm2(3cycle目)を示す図である。
【図5】蓄電性ゴム(活物質なし)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示す図(実施例2)である。
【図6】蓄電性ゴム(活物質あり)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示す図(実施例1)である。
【図7】クロスカット試験を示す図である。
【図8】蓄電性ゴム電極を試料極とし、CV測定を行うために作製した三極式セルを示す図である。
【図9】実施例4の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図10】実施例5の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図11】実施例6の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図12】実施例7の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図13】実施例8の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図14】実施例9の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図15】実施例10の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図16】実施例11の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図17】実施例12の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図18】実施例13の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図19】実施例14の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図20】実施例15の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図21】実施例16の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図22】実施例17の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図23】実施例18の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図24】実施例19の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 試料極
2 参照極
3 対極
4 電解液
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電性ゴム並びにそれを電極に用いた電気二重層キャパシタ及びリチウム電池に関し、特に、ゴムを、電極として機能する蓄電性ゴムとするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気を蓄えるデバイスとして二次電池とキャパシタがあり、従来、二次電池は、鉛蓄電池(SLI、動力用、据置用、携帯用)、ニッケル・カドミウム蓄電池(開放型ポケット式、開放型焼結式、密閉式)等が、キャパシタは、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等が実用化されていた。
近年、携帯電話、携帯情報端末等の携帯電子機器の性能は、充放電可能な二次電池の性能に大きく依存しており、搭載される二次電池の容量アップと共に、軽量・コンパクト化をも同時に実現することが望まれている。
これらの要望に答える二次電池として、ニッケル・カドミウム蓄電池の約2倍のエネルギー密度を有する、ニッケル水素蓄電池が開発され、次いで、これを上回るリチウム電池(リチウムイオン電池)が開発され、脚光を浴びてきている。
【0003】
このリチウムイオン電池は、非水系電解液中に、正極及び負極を配設し、各々の極板には、集電体表面に正極活物質又は負極活物質が結着された構成のものである。この電池に用いられる正・負極板は、一般的に、活物質(正極活物質又は負極活物質)、導電材(電子伝導性の分散材)、結着剤(バインダー)等を溶剤に混練分散して合剤とし、集電体の片面もしくは両面に塗布、乾燥した後に、必要に応じてプレスしたものを、所定の形状にスリットすることにより製造されている。
そして、この電池には、従来よりバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が主に用いられてきたが、これは非導電性重合体であるので、増量すると電極における活物質量の割合が低下し、充放電容量が低下するだけでなく、電子の移動を妨げ、電極の内部抵抗が増大し、電池の充放電サイクル寿命、電池の高負荷充放電の能力を劣化させるという問題があった。さらに、電極が硬く脆くなり、電極剥離,ヒビ割れを生じるという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために、ゴムの持っている柔軟性、密着性、耐熱老化性、耐候性、耐寒性等の特性を利用し、ゴムを電池の電極のバインダーとする技術が開発され、これらの技術(発明)は周知である(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、電気二重キャパシタについても、同様にゴムを電極のバインダーとして用いる発明がある(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2000−133275号公報
【特許文献2】特開2000−228197号公報
【特許文献3】特開2002−110145号公報
【特許文献4】特開2004−55493号公報
【特許文献5】特開2004−288782号公報
【0005】
これらの発明は、バインダーとしてゴム(エラストマー、フッ素ゴム、変性アクリルゴム、合成ゴムラテックス)を用いることにより、「電極用エラストマーバインダーは非剛性で展性に富むために劣化しにくく、活物質の脱離を防ぐため、活物質粒子の粒子間接触を保持することができる。」(特許文献1の段落[0036])、「結着剤の主成分として柔軟性に富むフッ素ゴムを用いているので、正極合剤塗膜の柔軟性が向上し、亀裂の発生や導電性基体からの剥離の発生が抑制されるようになる。」(特許文献2の段落[0011])、「結着剤として、合成ゴム系ラテックス型接着剤および増粘剤を所定量含むようにしたので、柔軟性および平滑性を向上させることができ、電極剥離および割れを防ぐことができる。」(特許文献4の段落[0112])といった効果を奏するものであるが、バインダーの活物質に対する重量比が大きいと、電池反応に寄与しない材料が極板中に多く存在することにより、電池容量を低下させてしまうこと(特許文献3の段落[0016])、正極合剤層を形成する際に粘度が著しく上昇して、正極集電体層に塗布することが難しくなること(特許文献4の段落[0023])、電極の内部抵抗が増大しやすいこと(特許文献5の段落[0029])等の理由から、バインダー(ゴム)は、合剤中に最大で10質量%程度しか含有させることができない(特許文献1の請求項23、特許文献2の段落[0030]、特許文献3の請求項1〜4、特許文献4の請求項1及び9、特許文献5の段落[0029])ものであった。
【0006】
また、電極活物質の有効利用率を向上させ、Li電池(一次電池及び二次電池)に適用した際の充放電性能の改善を目的として、「粉末状又は粒状の電極活物質を集電体に結着させた電極であって、非水電解液及び導電性粉末を含み、平均分子量60〜600の1分子当たり2個以上の水酸基を有するポリオール化合物をイソシアネート化合物により架橋反応させたゴム状結着剤により、前記電極活物質どうし及び該電極活物質と集電体とを結着させてなることを特徴とするLi電池用電極。」の発明がなされている(特許文献6参照)。
【特許文献6】特開平11−97026号公報
【0007】
特許文献6の発明は、「結着剤に電子伝導性及びイオン伝導性がほとんど無いため、結着剤が電極活物質の酸化還元反応を阻害する。そのため、電極の本来有する充放電性能を引き出しにくい。」(段落[0003])等の従来技術における問題点を解決するために、「分子レベルで混合した状態で、三次元網目構造を持つ高分子(以下、架橋高分子と称する)中に導電性粉末と電解質を分散・溶解させた有機溶媒からなる非水電解液(以下、結着剤電解液と称する)を含む粘着性ゴム状化合物からなる組成物を結着剤として、電極活物質どうし及び該電極活物質と集電体とを結着させてなることを特徴としている」ものであり、「結着剤組成物において、結着剤電解液はイオン伝導性を担い、導電性粉末は電子伝導性を担」い、「従来結着剤として使用されている材料と同様の結着機能を有するほか、従来の材料にはないイオン伝導性及び電子伝導性を有する」(段落[0007])ものであるが、電極を製造する工程で有機溶媒を使用し集電体に塗布しているから、粘着性ゴム状化合物は支持体ではなく、電解質(イオン伝導性の分散材)、導電性粉末(電子電導性の分散材)、電極活物質を支持体に分散させるものではない。
【0008】
さらに、特許文献6には、「電極活物質と結着剤組成物との配合割合は、用いる電極活物質材料の種類と必要とされる力学的強度によって異なるが、通常は、結着剤と電極活物質との合計量に対して結着剤が10〜50wt%程度とするのが好ましい。」(段落[0016])と記載されており、ゴム状結着剤を従来よりも多く含有させることが示されているが、電極活物質を集電体に塗布し、乾燥させた後、その膜上に結着剤溶液を塗布することが示されている(段落[0022])だけで、電極活物質をゴムと混練してゴム状結着剤を主体とする成形体を得ることは示されていない。
【0009】
いずれにしても、上記従来のリチウム電池や電気二重層キャパシタは、集電体との密着に塗布プロセスを採用しているため、乾燥工程にコストがかかり、集電体と合材(合剤)との密着性、及び反応に伴う活物質の膨張収縮による剥離という問題を十分に解決することができなかった。そして、集電体が機械的強度の保持を担っていたために、電池における活物質の量を増やすことができないという問題があった。また、集電体への塗布のために可燃性の有機溶剤(有機溶媒)を使用するので、安全性、環境汚染の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ゴムの有する密着性および柔軟性を利用することで、ゴムを主体とし、機械的強度の保持を集電体に頼らない蓄電性ゴム(電極)を得ること、また、集電体への塗布プロセスを使わないで電極を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴムである。
(2)前記イオン導電性の分散材が、固体電解質であることを特徴とする前記(1)の蓄電性ゴムである。
(3)ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴムである。
(4)ゴム支持体にイオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴムである。
(5)前記イオン導電性の分散材が、電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩であることを特徴とする前記(4)の電極用蓄電性ゴムである。
(6)イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴムである。
(7)前記電子伝導性の分散材が、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散していることを特徴とする前記(6)の電極用蓄電性ゴムである。
(8)前記電池活物質が、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散していることを特徴とする前記(6)又は(7)の電極用蓄電性ゴムである。
(9)前記ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散していることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(10)前記ゴム支持体が有機溶媒によって膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるものであることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(11)前記イオン導電性の液体が、有機溶媒とリチウム塩を含む電解液であることを特徴とする前記(9)又は(10)の電極用蓄電性ゴムである。
(12)前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末であることを特徴とする前記(4)〜(11)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(13)前記電池活物質が、正極活物質であり、前記電極が正極であることを特徴とする前記(4)〜(12)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(14)前記正極活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする前記(13)の電極用蓄電性ゴムである。
(15)前記電池活物質が、負極活物質であり、前記電極が負極であることを特徴とする前記(4)〜(12)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムである。
(16)前記負極活物質が、リチウムインサーション化合物であることを特徴とする前記(15)の電極用蓄電性ゴムである。
(17)前記(1)〜(3)のいずれか一項の蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とする電気二重層キャパシタである。
(18)前記蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする前記(17)の電気二重層キャパシタである。
(19)前記(4)〜(16)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とするリチウム電池である。
(20)前記電極用蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする前記(19)のリチウム電池である。
(21)前記電極用蓄電性ゴムを集電体と加硫接着することを特徴とする前記(19)又は(20)のリチウム電池である。
【発明の効果】
【0012】
ゴムに、電子伝導性の分散材、イオン伝導性の分散材及び電池活物質の2種以上を組み合わせて混練して分散させるので、ゴムの持つ密着性および柔軟性により、集電体との密着性が向上し、かつ充放電にともなう活物質の体積変化にも追従できる効果がある。それによりレート特性やサイクル特性の向上ができる。
また、機械的強度をゴムが担うために電池活物質の割合を増やし集電体重量を低減することで電池容量の増加を期待できる。電気二重層キャパシタについても、同様に集電体重量を低減することで容量の増加を期待できる。
さらに、電解液などによる劣化などがないため蓄電性ゴム自体をリサイクルできる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者等は、種々の研究の結果、ゴムの有する密着性及び柔軟性を利用することによりレート特性やサイクル特性に優れた電池を構成することが可能であることを発見したものである。また、従来の電池と異なり、ゴムを支持体とした電極層が機械的強度を保持するために電池の容量の増大を期待できることを発見したものである。
すなわち、従来のようにゴムを単にバインダー(結着剤)として使用し、電池活物質、導電助剤を結着するのではなく、ゴムにイオン導電性の分散材(固体電解質)、電子伝導性の分散材(導電助剤)及び電池活物質を均一に混練して蓄電性ゴムとするか、ゴムにイオン導電性の分散材を加えずに、電子伝導性の分散材及び電池活物質を均一に混練して蓄電性ゴムとすることにより、ゴム支持体に、これらの成分が均一に分散している電極用蓄電性ゴムを得るものである(図1参照)。
この場合に、ゴムは固体溶媒ではなく、支持体として用いているため、固体電解質ではなく、電池の電極(正極又は負極)合材として機能するものである。
【0014】
また、電池活物質を分散させないで、ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材を分散させたものである蓄電性ゴム、または、ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔を分散させ、電子伝導性の分散材を分散させたものである蓄電性ゴムは、電気二重層キャパシタの電極として機能する。
【0015】
ゴムの種類は、限定されるものではなく、SBR、CR等の合成ゴム、耐熱性ゴム、エラストマー等の従来から使用されているゴムを使用することができる。特に、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)が好ましい。
【0016】
イオン導電性の分散材としては、非水系電解液電池(リチウムイオン電池)の電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩が使用できる。例えば、ClO4-、B10Cll0O2-、B12Cl122-、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、BR4-、B(Ar)4-、AlC4-、CF3SO3-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-のアニオンを含む1又は2以上のリチウム塩が挙げられる。特に、LiClO4やLiPF6が好ましい。
【0017】
ゴム支持体にLiClO4やLiPF6等のイオン導電性の分散材を分散させたものを、リチウムイオン電池の電解液に浸漬すれば、電解液の有機溶媒によりLiClO4やLiPF6等が溶解し、ゴム支持体が多孔質化されるから、電解液がゴム支持体中にしみ込みやすくなり、イオン導電性を良くする。
【0018】
また、イオン導電性の分散材として、酸化物イオン導電体、ハロゲン化物イオン導電体、プロトン導電体、リチウムイオン導電体、ナトリウムイオン導電体、銀イオン導電体、銅イオン導電体、a−60LiS・40SiS2非晶質体、Li2S−SiS2系融液急冷ガラス、Li4Ti2(PO4)3・AlPO4・TiO2、PEO(ポリエチレンオキシド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、PPO(ポリプロピレンオキシド)等の固体電解質を使用することで、有機電解液を使用しない完全固体リチウムイオン二次電池が期待できる。このイオン導電性の分散材は、電気二重層キャパシタにも使用できる。
【0019】
ゴム支持体に分散させたLiClO4やLiPF6等のイオン導電性の分散材を、予め有機溶媒により溶解させることにより、イオン導電性の液体が浸透する細孔が分散している蓄電性ゴムを得ることができる。イオン導電性の液体が浸透する細孔は均一に分散していることが好ましい。
また、イオン導電性の分散材としては機能しない水で抽出可能な化合物を練り込んだゴムに、電子伝導性の分散材と電池活物質を混練したものを熱湯に入れて、その化合物を煮沸抽出することによっても、イオン導電性の液体が浸透する細孔が分散した蓄電性ゴムを得ることができる。この場合には、ゴムに、有機溶媒により溶解するイオン導電性の分散材を含有させる必要はない。
【0020】
さらに、ゴムが有機溶媒によって膨潤するような材質のものである場合には、膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるから、イオン導電性の液体が浸透する細孔を分散させなくてもよい。
この場合には、上記のような煮沸処理を行う必要がないため、電極を作製する工程が簡略化できるという利点がある。また、ゴム支持体にカップリング剤を添加剤として加え、集電体と加硫接着によって電極を作製することができ、ゴムのりを使用しなくても充分な接着力が得られる。
【0021】
蓄電性ゴムに浸透させることができるイオン導電性の液体としては、リチウム電池に従来から非水系電解液として使用されている有機溶媒とリチウム塩(電解質)を含む電解液が挙げられる。
このようなイオン導電性の液体としては、LiBF4/PC(プロピレンカーボネート)、LiBF4/GBL(γ−ブチロラクトン)、LiBF4/PC+DME(1,2−ジメトキシエタン)、LiBF4/GBL+DME、LiBF4/PC+EMC(エチルメチルカーボネート)、LiBF4/PC+MP(プロピオン酸メチル)、LiClO4/PC、LiClO4/GBL、LiClO4/PC+DME、LiClO4/PC+DME、LiClO4/GBL+DME、LiClO4/PC+EMC、LiClO4/PC+MP、LiPF6/PC、LiPF6/GBL、LiPF6/GBL+DME、LiPF6/PC+EMC、LiPF6/PC+MP、LiPF6/PC+DME、LiAsF6/PC、LiAsF6/GBL、LiAsF6/PC+DME、LiAsF6/GBL+DME、LiAsF6/PC+EMC、LiAsF6/PC+MP、LiCF3SO3/PC、LiCF3SO3/GBL、LiCF3SO3/PC+DME、LiCF3SO3/GBL+DME、LiCF3SO3/PC+EMC、LiCF3SO3/PC+MP、Li(CF3SO2)2N/PC、Li(CF3SO2)2N/GBL、Li(CF3SO2)2N/PC+DME、Li(CF3SO2)2N/GBL+DME、Li(CF3SO2)2N/PC+EMC、Li(CF3SO2)2N/PC+MP等がある。
【0022】
電子伝導性の分散材としては、電池に導電助剤として従来から使用されている炭素、金属(鉄鋼等)、合金、セラミックス、ガラスの粉末又は粒子を使用することができる。特に、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末が好ましい。アセチレンブラックとケッチェンブラックとの混合物、グラファイト粉末とケッチェンブラックとの混合物がより好ましい。
電子伝導性の分散材は、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散させることができる。電子伝導性の分散材が少ないと、電池として機能しなくなり、また、多すぎるとゴムへの混練が困難になるので、上記の範囲が好ましい。
【0023】
電池活物質は、本発明の蓄電性ゴムを電池の正極とする場合には、正極活物質になるが、リチウム電池に従来から使用されているLiCoO2、LiCrO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiV2O4、LiFeO2、LiVO2、LiTiO2、LiScO2、LiYO2等のリチウム遷移金属複合酸化物を使用することができる。特に、LiMn2O4が好ましい。
電池活物質(正極活物質)は、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散させることができる。電池活物質が少ないと電池として機能しなくなり、多すぎても電池としての挙動が見られなくなるので、上記の範囲が好ましい。
正極活物質としては、平均粒径10〜30μmのものを使用することができるが、粉砕して、平均粒径2μm程度としたものを使用してもよい。
【0024】
電池活物質は、本発明の蓄電性ゴムを電池の負極とする場合には、負極活物質になるが、リチウム電池に従来から使用されている合成黒鉛(グラファイト)、天然黒鉛、難黒鉛化炭素、非晶質コバルト置換窒化リチウム、非晶質スズ複合酸化物、SnO−B2O3−P2O5系の融液急冷ガラス、非晶質SiO2−SnO系非晶質材料等のリチウムインサーション物質又は化合物を使用することができる。
【0025】
本発明の前記(1)〜(3)のいずれか一項の蓄電性ゴム(電池活物質を分散させないもの)又は前記(4)〜(16)のいずれか一項の電極用蓄電性ゴム(電池活物質を分散させたもの)は、集電体と接着することにより、電気二重層キャパシタ又は電池とすることができる。
集電体としては、アルミ箔、ステンレス箔等を使用することができ、蓄電性ゴムと加熱圧着により及び/又はゴムのりを使用して接着することができる。その場合、ゴム支持体(蓄電性ゴム)と同種のゴムのりを使用することが好ましい。
また、ゴム支持体にカップリング剤を添加して、集電体と加硫接着することもできる。加硫接着としては、未加硫の蓄電性ゴムの上に集電体をのせ、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時に集電体と接着する方法が採用できる。熱プレスは、165〜175℃で、8〜12分行うことが好ましい。加硫接着の場合、ゴムのりは使用してもよいし、使用しなくてもよい。カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
本発明の蓄電性ゴムを電気二重層キャパシタ又は電池に適用する場合、機械的強度をゴムが担うために集電体重量を低減することができ、蓄電性ゴム(イオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材、電池活物質の質量を含めたもの)に対する集電体の質量比を1以下とすることができる。
【実施例1】
【0026】
原料ゴムとしてアクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)を使用し、ゴム100wt%に対し、40wt%のイオン導電性の分散材(LiClO4)、90wt%の電子伝導性の分散材(アセチレンブラック80wt%及びケッチェンブラック10wt%)、40wt%の正極活物質(LiMn2O4)を加え、オープンロールにて混練し、180℃で10分、加硫を行い、蓄電性ゴムシートを得た。この蓄電性ゴムシートを1cm×1cm切り出し試験管にいれPC(キシダ化学製)を10ml入れシリコンゴムキャップで試験管にふたをした。その後、超音波洗浄機(100W42KHz,yamato2510)にて6.0時間処理をした。これをステンレス箔(SUS304、ニラコ)で挟み込み1cm2面積が電解液に(LiClO4/PC+DME)つかるようにセットし試料極とした。
【実施例2】
【0027】
正極活物質(LiMn2O4)を加えずに、ゴム(H−NBR)100wt%に対し、40wt%のLiClO4、アセチレンブラック80wt%及びケッチェンブラック10wt%の混合材を加え、オープンロールにて混練し、180℃で10分、加硫を行い、蓄電性ゴムシートを得た。この蓄電性ゴムシートを1cm×1cm切り出し、実施例1と同様に処理をした。これをステンレス箔(SUS304、ニラコ)で挟み込み1cm2面積が電解液に(LiClO4/PC+DME)つかるようにセットし試料極とした。
【0028】
実施例1と実施例2で得た試料極を用いて充放電試験を行った。参照極はLi/Li+、対極は金属リチウムとした。電流密度は5μA/cm2,1μA/cm2で行いカットオフ電位は2.8〜4.4V(vsLi/Li+)とした。
【0029】
図2に蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(1cycle目)を示した。
X軸時間(s)、Y軸電位(V)とし、実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では
0秒3.23V、10秒4.2V、20秒4.28V、30秒4.33V、40秒4.37V、50秒4.4V、60秒3.22V、70秒2.82V、72秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.16V、10秒4.25V、20秒4.34V、30秒4.4V、40秒3.12V、48秒2.8Vであった。
【0030】
図3に蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(2cycle目)を示した。
同じく実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では0秒3.15V、10秒4.17V、20秒4.35V、30秒3.8V、48秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.13、10秒4.22V、20秒3.85V、30秒3.32V、40秒2.82V、42秒2.8Vであった。
【0031】
図4に蓄電性ゴムの充放電1μA/cm2(3cycle目)を示した。
同様に実施例1の試料極(活物質あり)の充放電では0秒3.12V、20秒3.66V、60秒3.89V、240秒4.23V、520秒4.3V、1260秒4.4V、1270秒3.93V、1280秒3.68V、1300秒3.42V、1320秒3.28V、1350秒3.10V、1480秒2.8Vであった。実施例2の試料極(活物質なし)の充放電では0秒3.12V、5秒3.42V、10秒3.6V、30秒3.88V、70秒4.1V、240秒4.27V、780秒4.39、882秒4.4V、892秒3.9V、902秒3.74V、942秒3.4V、982秒3.2V、1112秒2.91V、1272秒2.8Vであった。
【0032】
図5に実施例2の蓄電性ゴム(活物質なし)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示した。電位3Vの時カレントは0μAから−0.4μA、3.5Vでは−0.1μAと0μA、4Vでは0μAと0.1μA、4・5Vでは0・3μAと1μA、4.6Vでは1.4μAであった。
【0033】
図6に実施例1の蓄電性ゴム(活物質あり)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示した。3.11Vから4.04Vではカレント0μA、4・4Vでは、0.1μAと0.5μA、4.6Vでは0.8μAであった。
【0034】
これらの結果から、本発明の蓄電性ゴムは電池特性があり、電池用電極として作動していると考えられる。
【実施例3】
【0035】
NaClを練り込んだゴム(H−NBR)を使用し、活物質(LiMn2O4)と電子伝導性の分散材(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)が、ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:40wt%、アセチレンブラック(以下、ABと略す)及びケッチェンブラック(以下、KBと略す):90wt%(AB80・KB10の割合)となるように加え、シランカップリング剤を添加して、オープンロールにて混練し、180℃で5分、一次加硫を行った。その後、100℃でNaClを煮沸抽出した。この処理により、ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が均一に分散し、アセチレンブラック及びLiMn2O4が分散してなる蓄電性ゴムシートが得られた。この蓄電性ゴムシートを、アルカリ脱脂を行いゴムのりを塗布したアルミ箔に180℃で30分、圧着することにより接着した。その後、150℃で1時間オーブンにて二次加硫を行い試料を得た。
【0036】
試料とアルミ箔の密着性を調べるためにクロスカット試験を行った。1cm四方に、縦、横1mm幅に切りつけ、セロハンテープ(NICHIBAN:商品名、ニチバン製)を貼り付け、試験を行った(図7参照)。
実施例3の試料にクロスカット試験を行った結果、試験後にゴムの残存量は100%であった。したがって、一般にその特性上、集電体として好ましいアルミ材に対して、十分な密着性を有していることが確認された。すなわち、本発明においては、集電体の変形に対しても追従可能であるから十分な密着性を確保でき、剥離問題が生じ難く、また、フレキシブルな電極とすることができる。
【実施例4】
【0037】
原料ゴムとしてH−NBRを使用し、活物質(LiMn2O4)と電子伝導性の分散材(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)が、ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:40wt%、AB及びKB:90wt%(AB80・KB10の割合)となるように加え、シランカップリング剤を添加して、オープンロールにて混練し、未加硫ゴムシートとし、170℃で1分、熱プレスすることにより一次加硫を行った。この蓄電性ゴムシートを、オーブン中で、アルカリ脱脂を行いゴムのりを塗布したアルミ箔に180℃で30分、加熱圧着することにより接着した。その後、150℃で1時間オーブンにて二次加硫を行い試料を得た。
【実施例5】
【0038】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例6】
【0039】
電子伝導性の分散材として、ABの代わりにグラファイト粉末(以下、Gと略す)を使用し、G及びKB:75wt%(G55・KB20の割合)となるように混練した以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例7】
【0040】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例6と同様にして試料を得た。
【実施例8】
【0041】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例7と同様にして試料を得た。
【実施例9】
【0042】
原料ゴムとしてH−NBRを使用したこと、活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと、加硫接着する際に、アルミ箔にゴムのりを塗布したこと以外は、実施例8と同様にして試料を得た。
【実施例10】
【0043】
原料ゴムとしてEPDMを使用したこと以外は、実施例9と同様にして試料を得た。
【実施例11】
【0044】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したことこと以外は、実施例8と同様にして試料を得た。
【実施例12】
【0045】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例5と同様にして試料を得た。
【実施例13】
【0046】
加硫接着する際に、アルミ箔にゴムのりを塗布したこと以外は、実施例12と同様にして試料を得た。
【実施例14】
【0047】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと以外は、実施例12と同様にして試料を得た。
【実施例15】
【0048】
活物質としてLiMn2O4を粉砕して平均粒径2μmとしたものを使用したこと以外は、実施例13と同様にして試料を得た。
【実施例16】
【0049】
接着方法として加熱圧着せずに加硫接着する方法、すなわち、未加硫ゴムシートの上に、アルカリ脱脂を行ったアルミ箔をのせ、170℃で10分、熱プレスすることにより一次加硫を行い、ゴムを加硫させると同時にアルミ箔と接着する方法を採用したこと以外は、実施例4と同様にして試料を得た。
【実施例17】
【0050】
ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:50wt%ととなるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【実施例18】
【0051】
ゴム100wt%に対し、LiMn2O4:10wt%ととなるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【実施例19】
【0052】
ゴム100wt%に対し、AB及びKB:70wt%(AB60・KB10の割合)となるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
【0053】
(比較例1)
ゴム100wt%に対し、AB及びKB:50wt%(AB45・KB5の割合)となるように加えたこと以外は、実施例16と同様にして試料を得た。
実施例1〜19、比較例1で作製した試料の材料、製法を表1にまとめて示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例4〜19、比較例1で作製した試料(蓄電性ゴム電極)を試料極とし、図8のような三極式セルを作製してCV測定を行った。
試料極(1)は、電解液に1.5cm2浸かるようにセットし、参照極(2)、対極(3)としては金属リチウムを使用し、電解液(4)としては、1M LiBF4、PC+DME(1:1)を使用した。
(測定条件)
掃引速度:0.1mV/sec
掃引範囲:2.8V又は3.0V〜4.4V(自然電位によって変更)
【0056】
実施例4〜19で作製した試料について、上記のようにしてCV測定を行った結果を図9〜図24に示す。
図9〜図21に示すデータからみて、本発明の蓄電性ゴムは電池特性があり、電池用電極として作動していると考えられる。
また、図22(実施例17の試料を使用)及び図23(実施例18の試料を使用)に示すデータからみて、電極活物質の含有量については、50質量%と多い場合でも、10質量%と少ない場合でも電極として機能することが分かったが、40質量%程度が、図21(実施例16の試料を使用)に示すように電極の容量が大きくなるから好ましい。
電子伝導性の分散剤(導電助剤)の含有量については、図24(実施例19の試料を使用)に示すように70質量%まで減量した場合でも、マンガンピークが確認でき、電池として機能することが分かった。導電助剤の含有量が50質量%(比較例1)では電池としての挙動が見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の電池構造と本発明のゴム主役の電池構造を模式的に示す図である。
【図2】蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(1cycle目)を示す図である。
【図3】蓄電性ゴムの充放電5μA/cm2(2cycle目)を示す図である。
【図4】蓄電性ゴムの充放電1μA/cm2(3cycle目)を示す図である。
【図5】蓄電性ゴム(活物質なし)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示す図(実施例2)である。
【図6】蓄電性ゴム(活物質あり)のサイクリックボルタモグラム(掃引速度0.1mV/sec)を示す図(実施例1)である。
【図7】クロスカット試験を示す図である。
【図8】蓄電性ゴム電極を試料極とし、CV測定を行うために作製した三極式セルを示す図である。
【図9】実施例4の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図10】実施例5の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図11】実施例6の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図12】実施例7の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図13】実施例8の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図14】実施例9の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図15】実施例10の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図16】実施例11の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図17】実施例12の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図18】実施例13の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図19】実施例14の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図20】実施例15の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図21】実施例16の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図22】実施例17の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図23】実施例18の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【図24】実施例19の蓄電性ゴム電極のCV測定を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 試料極
2 参照極
3 対極
4 電解液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴム。
【請求項2】
前記イオン導電性の分散材が、固体電解質であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電性ゴム。
【請求項3】
ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴム。
【請求項4】
ゴム支持体にイオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴム。
【請求項5】
前記イオン導電性の分散材が、電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩であることを特徴とする請求項4に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項6】
イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴム。
【請求項7】
前記電子伝導性の分散材が、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散していることを特徴とする請求項6に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項8】
前記電池活物質が、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散していることを特徴とする請求項6又は7に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項9】
前記ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項10】
前記ゴム支持体が有機溶媒によって膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項11】
前記イオン導電性の液体が、有機溶媒とリチウム塩を含む電解液であることを特徴とする請求項9又は10に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項12】
前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末であることを特徴とする請求項4〜11のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項13】
前記電池活物質が、正極活物質であり、前記電極が正極であることを特徴とする請求項4〜12のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項14】
前記正極活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項13に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項15】
前記電池活物質が、負極活物質であり、前記電極が負極であることを特徴とする請求項4〜12のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項16】
前記負極活物質が、リチウムインサーション化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項17】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項18】
前記蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする請求項17に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項19】
請求項4〜16のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とするリチウム電池。
【請求項20】
前記電極用蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする請求項19に記載のリチウム電池。
【請求項21】
前記電極用蓄電性ゴムを集電体と加硫接着することを特徴とする請求項19又は20に記載のリチウム電池。
【請求項1】
ゴム支持体にイオン導電性の分散材及び電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴム。
【請求項2】
前記イオン導電性の分散材が、固体電解質であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電性ゴム。
【請求項3】
ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散し、かつ、電子伝導性の分散材が分散していることを特徴とする蓄電性ゴム。
【請求項4】
ゴム支持体にイオン導電性の分散材、電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴム。
【請求項5】
前記イオン導電性の分散材が、電解液の有機溶媒に溶解して、アニオンに解離するリチウム塩であることを特徴とする請求項4に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項6】
イオン導電性の分散材を含まないゴム支持体に電子伝導性の分散材及び電池活物質が分散していることを特徴とする電極用蓄電性ゴム。
【請求項7】
前記電子伝導性の分散材が、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散していることを特徴とする請求項6に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項8】
前記電池活物質が、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散していることを特徴とする請求項6又は7に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項9】
前記ゴム支持体にイオン導電性の液体が浸透する細孔が分散していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項10】
前記ゴム支持体が有機溶媒によって膨潤することによりイオン導電性の液体が浸透し、イオンパスが可能となるものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項11】
前記イオン導電性の液体が、有機溶媒とリチウム塩を含む電解液であることを特徴とする請求項9又は10に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項12】
前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれた一種以上の炭素粉末であることを特徴とする請求項4〜11のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項13】
前記電池活物質が、正極活物質であり、前記電極が正極であることを特徴とする請求項4〜12のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項14】
前記正極活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項13に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項15】
前記電池活物質が、負極活物質であり、前記電極が負極であることを特徴とする請求項4〜12のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項16】
前記負極活物質が、リチウムインサーション化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電極用蓄電性ゴム。
【請求項17】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項18】
前記蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする請求項17に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項19】
請求項4〜16のいずれか一項に記載の電極用蓄電性ゴムを集電体と接着して使用することを特徴とするリチウム電池。
【請求項20】
前記電極用蓄電性ゴムに対する前記集電体の質量比が1以下であることを特徴とする請求項19に記載のリチウム電池。
【請求項21】
前記電極用蓄電性ゴムを集電体と加硫接着することを特徴とする請求項19又は20に記載のリチウム電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−173583(P2006−173583A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330465(P2005−330465)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】
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