説明

蓄電池の配線パターン

【課題】分布蓄電池に関し、最少面積で最大効率を得るための、高密度配線。
【解決手段】一列に並んでいる蓄電池群の配線を、端子に遠い方から近い方へ、順に配線面積を増やすことで、単位面積当たりの配線効率を上げる。一様な太さの配線と比較した、単位面積当たりの電力損失を{一次関数の傾斜の場合は0.35倍}、{指数関数の傾斜の場合は0.20倍}、{2乗関数の傾斜の場合は0.12倍}までそれぞれ下げることができる。
また、配線の{太い端}と{細い端}を交互に並べることで、総面積の利用効率を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【用語の定義】
【0001】
請求項を含む全文を通じ、{}内部の内容は{}の外の内容に優先して意味を持つものとする。
【技術分野】
【0002】
集合蓄電池
集合コンデンサ
プリント配線
放熱
集積回路配線
【背景技術】
【0003】
2009年現在、近年、蓄電池の小型化が進んでいる。特に高性能物理蓄電池の場合、小さな電池セルを高密度に配置することから、電池そのものの性能もさることながら、それぞれの蓄電池の配線についても、電池の{サイズや充放電の性能や信頼性や寿命}と関係して重要なファクターである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一列に並んでいる電池を並列に配線する場合で、充電電流または放電電流の、端子に{より近いところの配線をより太くし}、{より遠いところの配線をより細くする}ことで、{配線による電力損失を一定範囲に制限したとき}の{総配線面積を極小にすることができるような配線幅の分布傾斜}が存在する。
あるいは{配線による電力損失から生じる温度上昇}を配線エリア全体に均一に分布させたい場合、最適な配線のパターンが存在する。
【0005】
微少な電池群を高密度に配線する場合、配線面積を小さくすることは{電池全体のサイズを小さくする}また{電力利用効率を上げる}という条件に照らして、極めて重要なファクターである。
また、高密度に分布した電池群から大電流を取り出す場合、発生熱や温度上昇を全範囲にわたり均一にすることは極めて重要なファクターである。
温度上昇が不均一になると、温度が最も高くなる場所の温度で信頼性の限界が決まる。このことからも、熱発生や温度上昇を出来る限り均一にすることが望ましい。配線パターンに{比例傾斜や指数傾斜や2乗傾斜}あるいはそれらの傾斜の組み合わせを使用することで、上記の問題を大幅に改善できる。
【0006】
[図1][図2]は本案発明の列蓄電池の一実施例の説明図であり、蓄電池セルの電極がそれぞれ表裏にある場合を示す。
図1は{蓄電池セルが配列状に並んでいる様子とそのプラス側電極の配線}の一部を示す。(a)図は奇数列の列蓄電池とその配線、(b)図は偶数列の列蓄電池とその配線を示す。
11は奇数列の列蓄電池、12pはそのプラス側配線パターン、21は偶数列の列蓄電池、22pはそのプラス側配線パターンを示す。
図2は{図1の配線の反対側の面}の{蓄電池セルが配列状に並んでいる様子とそのマイナス側電極の配線}の一部を示す。(a)図は奇数列の列蓄電池とその配線、(b)図は偶数列の列蓄電池とその配線を示す。
11は奇数列の列蓄電池、12nはそのマイナス側配線パターン、21は偶数列の列蓄電池、22nはそのマイナス側配線パターンを示す。
【0007】
[図3][図4]は本案発明の組蓄電池の一実施例の説明図であり、蓄電池セルの電極がそれぞれ表裏にある場合を示す。
図3は{列蓄電池が配列状に並んでいる様子とそのプラス側電極の配線}の一部を示す。
11は第1番目の列蓄電池で12pはそのプラス側配線を示す。21は第1番目の列蓄電池で22pはそのプラス側配線を示す。
H1はH番目の列蓄電池でH2pはそのプラス側配線を示す。(H−1)1は(H−1)番目の列蓄電池で(H−1)2pはそのプラス側配線を示す。
Sopは奇数番目の列電池のプラス側の配線、Sepは偶数番目の列電池のプラス側の配線を示す。
【0008】
図4は{列蓄電池が配列状に並んでいる様子とそのマイナス側電極の配線}の一部を示す。
11は第1番目の列蓄電池で12pはそのマイナス側配線を示す。21は第1番目の列蓄電池で22nはそのマイナス側配線を示す。
H1はH番目の列蓄電池でH2nはそのマイナス側配線を示す。(H−1)1は(H−1)番目の列蓄電池で(H−1)2nはそのマイナス側配線を示す。
Sonは{奇数番目の列電池のマイナス側}の配線、Senは{偶数番目の列電池のマイナス側}の配線を示す。
【0009】
[数式]の説明
数式は蓄電池の配線の電力損失と面積を評価するものである。
Wは列電池、あるいは組電池の端子から始まって配線の熱損失と面積の関係を計算するものである。
【0010】
n=1、2、、、、H は列電池の番号を示す。
H は電池セルまたは並列接続された列電池の個数である。
Inは端子の直近のセルの番号を n とするとき、{n番目の電池セルまたは列電池}付近の配線に流れる電流。
Iuは、{各電池セルまたは各列電池}に流れる電流が等しいと仮定した場合の{個々の電池セルまたは個々の列電池}に流れる電流。
Xnは端子の直近のセルの番号を n とするとき、n番目の{電池セルまたは列電池}の端子からの距離。
【0011】
D(Xn)は端子に近い方から数えてn番目の{電池セルまたは列電池}の付近の配線の太さを定義する関数。
Rnはn番目の{電池セルまたは列電池}の付近の配線の電気抵抗。
Rkは配線の電気抵抗係数。
ΔXは、隣あう{電池セル間または列電池間}の距離
Wは配線全体の熱損失
Sは配線全体の面積
δ(W/S)は{{単位面積当たりの電力損失}の微分}
δ(D(x))は{{配線の傾斜のパターンを決定する傾斜関数}の微分}
とするとき、
【0012】
[式1]は配線全体の発生熱量を表す。右辺は、{個々の{蓄電池セルまたは列電池}の付近の配線の抵抗と電流による熱損失の総和}を表す。
[式2]は{式1の右辺の電流In}を表す。Inはn番目の{電池セルまたは列電池}の付近の配線を流れる電流である。評価を簡素化するために、{個々の{蓄電池セルまたは列電池}に流れる電流を等しい}としての説明である。
【0013】
[式3]は式1の右辺の抵抗Rnを表す。{Rnはn番目の{電池セルまたは列電池}の付近の配線の電気抵抗}である。
[式4]は式1のInとRnに式2と式3の右辺を代入したものであり、配線全体の発生熱量を表す。右辺は、総発熱量が、{個々の{蓄電池セルまたは列電池}の付近の配線と電流による熱損失の総和}であることを示す。
D(Xn)は配線の太さを表す関数で、
直線(一次)関数ならば D(Xn)は Xn
指数関数ならば D(Xn)は a の Xn乗 (aは適度な定数)
2乗関数ならば D(Xn)は b*Xn*Xn (bは適度な定数)
である。
【0014】
[式5]は配線の総面積を表す。右辺は、総面積が{各{蓄電池セルまたは列電池}の付近の配線面積の総和}であることを示す。
【0015】
[式6]は{単位面積あたりの熱損失}に、{傾斜関数の変化}によって最適値が存在することを説明するものである。
計算による例では
傾斜関数が直線関数傾斜である場合は 0.35
傾斜関数が指数関数傾斜である場合の一例は 0.20
傾斜関数が2乗関数傾斜である場合の一例は 0.12
が上げられる。ここで、上記の数値計算結果の詳細の説明は本案発明の本質とするところではないので、これを省略する。
【0016】
即ち、配線幅を傾斜させることで、単位面積あたりの熱損失を著しく下げることができる。このことは、小形軽量が要求されるポータブルセットに使われる電池の小形高性能化にとって有効である。また、高効率が要求される、自動車や電車や船舶や航空機など移動体の動力用エネルギー源の蓄電池の小形高性能化高信頼性化にとって、極めて有効である。
また、配線の熱損失を均一化することで、許容最大電流を増やすことができる。
実際の配線の設計では、{配線パターンの線幅の下限界値}や{電力損失を最少にするか、または、発生熱量を均一化するか}など、最適化するにあたりいくつかの要因も考慮して設計しなければならない。しかし、少なくとも、端子から離れるほど線幅を細くする方向に最適値は存在する。
【発明の効果】
【0017】
{蓄電池セルまたは列電池}を高密度に分布させる場合の{配線の電力損失}対{配線の面積}の比率を最適化することができる。
{蓄電池セルまたは列電池}を高密度に分布させる場合の{配線の許容電流}を最大化することができる。
{2次元状または3次元状}に配列された{蓄電池セルまたは列電池}の高密度化の度合いを高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
高密度分蓄電池のプリント配線や集積回路配線
高密度分蓄電池のプリント配線や集積回路配線による階層構造化
【実施例】
【0019】
自動車、鉄道車両、船舶、航空機など移動体の動力用小型高性能蓄電池内部の配線
携帯用電気製品の小型高性能蓄電池
ラップトップコンピュータの小型高性能蓄電池
電気エネルギー輸送用小型高性能蓄電池
【産業上の利用可能性】
【0020】
実施例に同じ
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本案発明の一実施例を示す。
【図2】本案発明の一実施例を示す。
【図3】本案発明の一実施例を示す。
【図4】本案発明の一実施例を示す。
【数式の簡単な説明】
【0022】
[式1]は配線全体の発生熱量を表す。
[式2]は式1の右辺の電流を表す。
[式3]は式1の右辺の抵抗を表す。
[式4]は式1に式2と式3を代入した、配線全体の発生熱量を表す。
[式5]は配線の総面積を表す。
[式6]は配線の熱損失の変化と傾斜関数の変化の関係を表す。
【式1】

【式2】
=I*(H−X
【式3】

【式4】

【式5】

【式6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度に配列状に分布している{蓄電池セルまたは蓄電池セルの集合体}を蓄電池群とし、
蓄電池群を構成するところの、一本の軸に添って並ぶ蓄電池群を列蓄電池とし、列蓄電池を並列に接続する配線を列蓄電池配線とし、
列蓄電池配線の{放電電流取り出しまたは充電電流供給}のポイントを列蓄電池端子とし、
列蓄電池配線の線幅を{列蓄電池端子に近ければ近いほど}太くし、{列蓄電池端子に遠ければ遠いほど}細くした配線を傾斜幅配線とし、
傾斜幅配線を有することを第1の特徴とする列蓄電池を有する蓄電池。
【請求項2】
請求項1に定義する、任意の数をNとする{N個の列蓄電池}が配列状態に配置されている列蓄電池群において、N個の列蓄電池を、配列順番に1番列蓄電池、2番列蓄電池、というふうに付番をし、最後をN番列蓄電池とし、
{偶数番の列蓄電池端子の隣が奇数番の列電池端子の反対側に}、{奇数番の列蓄電池端子の隣が偶数番の列電池端子の反対側に}なるよう列電池を配列したN個の電池を組電池とし、
傾斜幅配線の傾斜を{{配線による電力損失}の{配線面積}に対する比率}が{最少または著しく小さく}なるよう、傾斜させたことを第2の特徴とする組電池を有する蓄電池。
【請求項3】
上記{請求項1または請求項2}の傾斜幅配線の傾斜が{直線関数または直線関数に類似の傾斜}または{指数関数または指数関数に類似の傾斜}または{2乗関数または2乗関数に類似の傾斜}または{直線関数と指数関数と2乗関数の任意の組み合わせまたは組み合わせに類似の傾斜}であることを第3の特徴とした{列蓄電池または組蓄電池}を有する蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−257920(P2010−257920A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122529(P2009−122529)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(392004015)
【Fターム(参考)】