説明

蓄電装置、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、及びリチウムイオンキャパシタ

【課題】耐還元性に優れた環状の4級アンモニウムカチオン、および1価のアニオンから構成される常温溶融塩を電解液とする高性能な蓄電装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(G1)で表される環状の4級アンモニウムカチオンから構成される常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。


式中、R1〜R5のうち、一または二は、炭素数は1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の三または四は、水素原子とし、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温溶融塩および常温溶融塩を用いた蓄電装置に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
蓄電装置の一つであるリチウムイオン二次電池は、携帯電話や、電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの様々な用途に用いられており、リチウムイオン二次電池に求められる特性として、高エネルギー密度化、サイクル特性および様々な動作環境での安全性などがある。
【0004】
リチウムイオン二次電池の電解液によく用いられている有機溶媒としては、誘電率が高くイオン伝導性に優れている環状カーボネートがあり、中でもエチレンカーボネートは、よく用いられている。
【0005】
しかし、エチレンカーボネートに限らず、有機溶媒の多くは、揮発性および低引火点を有している。このため、有機溶媒をリチウムイオン二次電池の電解液として用いる場合、内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇し、リチウムイオン二次電池の破裂や発火などが起こる可能性がある。
【0006】
上記を考慮し、難燃性であり、難揮発性である常温溶融塩を、リチウムイオン二次電池の電解液として用いることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−331918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リチウムイオン二次電池の電解液として常温溶融塩を用いた場合、常温溶融塩の耐還元性が低いために、低電位負極材料を用いることが出来ないという問題がある。そこで、4級アンモニウム塩を用いた常温溶融塩において、常温溶融塩の耐還元性を向上させることで、添加剤なしに低電位負極材料であるリチウムの溶解および析出を可能にする技術が開示されている(特許文献1参照)。しかし、このように耐還元性を向上させた常温溶融塩においても、その還元電位はリチウムの酸化還元電位とほぼ同程度であり、さらなる耐還元性の改良が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を鑑み、より耐還元性に優れた常温溶融塩を電解液とする、蓄電装置を提供することを目的の一とする。さらに、高性能な蓄電装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される環状の4級アンモニウムカチオンから構成される、常温溶融塩を含む蓄電装置である。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、R1〜R5のうち、一または二は、炭素数は1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の三または四は、水素原子とし、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。
【0013】
特に、一般式(G1)で表される常温溶融塩において、R1〜R5のうち、一または二は、炭素数は1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G2)で表される環状の4級アンモニウムカチオンから構成される常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。
【0015】
【化2】

【0016】
式中、RまたはRのうち、いずれか一は、炭素数は1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の一は、水素原子を表し、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。
【0017】
また、本発明の別の一態様は、一般式(G2)で表される常温溶融塩は、R1またはR2のうち、いずれか一は、炭素数は1〜4のアルキル基である常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。
【0018】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G3)で表される環状の4級アンモニウムカチオンから構成される常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。
【0019】
【化3】

【0020】
式中、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。
【0021】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G4)で表される環状の4級アンモニウムカチオンから構成される常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。
【0022】
【化4】

【0023】
式中、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。
【0024】
また、本発明の別の一態様は、一般式(G1)乃至一般式(G4)におけるAが、(C2n+1SO(n=0〜4)、(C2m+1SO(m=0〜4)、または、CF(CFSOから選択される、いずれか一の1価のアニオンである常温溶融塩を電解液とする蓄電装置である。
【0025】
また、本発明の別の一態様は、少なくとも正極と、負極と、一般式(G1)乃至一般式(G4)で表される常温溶融塩、およびリチウムを含む電解質塩とを有し、電解液は、一般式(G1)乃至一般式(G4)で表される常温溶融塩、およびリチウムを含む電解質塩を含むリチウムイオン二次電池である。
【0026】
また、本発明の別の一態様は、少なくとも正極と、負極と、一般式(G1)乃至一般式(G4)で表される常温溶融塩とを有し、該常温溶融塩を電解液とする電気二重層キャパシタであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の別の一態様は、少なくとも正極と、負極と、一般式(G1)乃至一般式(G4)で表される常温溶融塩、およびリチウムを含む電解質塩とを有し、電解液は、上記一般式(G1)乃至一般式(G4)で表される常温溶融塩、およびリチウムを含む電解質塩から構成されるリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、より耐還元性に優れた常温溶融塩を電解液とする、蓄電装置を提供することができる。さらに、高性能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】リチウムイオン二次電池を示す断面図である。
【図2】リチウムイオン二次電池の上面図及び斜視図である。
【図3】リチウムイオン二次電池の作製方法を示す斜視図である。
【図4】リチウムイオン二次電池の作製方法を示す斜視図である。
【図5】蓄電装置の応用の形態を説明するための斜視図である。
【図6】1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのNMRチャートを示す図である。
【図7】1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのNMRチャートを示す図である。
【図8】合成した試料、および比較試料のリニアスイープボルタモグラムを示す図である。
【図9】1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドのNMRチャートを示す図である。
【図10】リチウムイオン二次電池の作製方法を示す斜視図である。
【図11】作製したリチウムイオン二次電池の充放電特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。また、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。また、便宜上、絶縁層は上面図には表さない場合がある。なお、各図面において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。従って、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置の電解液である常温溶融塩について説明する。
【0032】
本発明の一態様である常温溶融塩は、環状の4級アンモニウムカチオンおよび、1価のアニオンから構成され、下記一般式(G1)で表すことができる。
【0033】
【化5】

【0034】
一般式(G1)中、R1〜R5のうち、一または二は、炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の三または四は、水素原子とし、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF)またはヘキサフルオロホスフェート(PF)のいずれかを表す。
【0035】
また、一般式(G1)中、R1〜R5を炭素数1〜20のアルキル基とした場合、炭素数は小さい(例えば炭素数1〜4)方が、合成する常温溶融塩の粘度を低くすることができるため、蓄電装置に好適である。
【0036】
耐還元性(還元安定性ともいう)の低い常温溶融塩を蓄電装置の電解液に用いた場合、正極材料、または負極材料から電子を受け取り、該常温溶融塩は還元されて分解に至る。その結果として蓄電装置の特性劣化に繋がる。
【0037】
常温溶融塩の還元は、常温溶融塩が正極材料または負極材料から電子を受容することである。それゆえ、常温溶融塩のうち、特に正電荷を有するカチオンが電子を受容し難くすること、すなわち、常温溶融塩の還元電位を低電位化させることで、還元安定性を向上することができる。
【0038】
本発明の一態様である常温溶融塩は、電子供与性の置換基を有していることによって誘起効果が生じる。常温溶融塩のうち、正電荷をもつカチオンは生じた誘起効果により、電気的偏りが緩和されるために電子の受容を困難にし、常温溶融塩の耐還元性が向上している。
【0039】
電子供与性の置換基としては、上記したように、炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基とすることができ、炭素数1〜20のアルキル基においては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基のどちらでもよい。
【0040】
また、一般式(G1)において、電子供与性を有する置換基の数は、1つまたは2つであっても、常温溶融塩の還元電位を低電位化させることができ、該常温溶融塩の耐還元性を向上させることができる。
【0041】
本発明の一態様である常温溶融塩は、環状の4級アンモニウムカチオンおよび、1価のアニオンから構成され、下記一般式(G2)で表すことができる。
【0042】
【化6】

【0043】
一般式(G2)におけるRまたはRのうち、いずれか一は、炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の一は、水素原子を表し、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、BFまたはPFのいずれかを表す。
【0044】
一般式(G2)においても、一般式(G1)の場合と同様に、アルキル基の炭素数は小さい方が環状の4級アンモニウムカチオンの合成を容易にするため、好ましい。
【0045】
一般式(G2)は、一般式(G1)のR〜Rが水素原子である常温溶融塩であることから、一般式(G2)は耐還元性が向上した常温溶融塩である。
【0046】
さらに、本発明の一態様は、一般式(G2)において、Rをメチル基とし、Rを水素原子とした常温溶融塩であり、下記一般式(G3)で表すことができ、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、BFまたはPFのいずれかを表す。
【0047】
【化7】

【0048】
また、本発明の一態様は、一般式(G2)において、Rを水素原子とし、Rをメチル基とした常温溶融塩であり、下記一般式(G4)で表すことができ、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、BFまたはPFのいずれかを表す。
【0049】
【化8】

【0050】
一般式(G3)および一般式(G4)ともに、一般式(G2)、さらには一般式(G1)に基づく常温溶融塩であることから、一般式(G3)および一般式(G4)は耐還元性が向上した常温溶融塩である。
【0051】
また、一般式(G1)乃至一般式(G4)において、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、BFまたはPFを表すとしているが、Aは、これに限定されるものではなく、本発明の一態様である環状の4級アンモニウムカチオンとで、常温溶融塩としてふるまうアニオンであればよい。
【0052】
ここで、電子供与性を有する置換基による、耐還元性の向上についての計算結果を示す。
【0053】
一般式(G1)において、R〜Rの置換基をメチル基とし、下記構造式(α−1)乃至構造式(α−8)で表される8種類の常温溶融塩のカチオンについて、量子化学計算から算出した、最低空軌道準位(LUMO準位)を表1に示す。また、蓄電装置の負極として用いられるリチウムの酸化還元電位と同程度の還元電位を有する常温溶融塩であり、下記構造式(α−9)で表される(N−メチル−N−プロピルピペリジニウム)カチオンの最低空軌道準位(LUMO準位)についても、比較例として表1に示す。
【0054】
【化9】

【0055】
【表1】

【0056】
本発明の一態様である常温溶融塩におけるカチオン、および(N−メチル−N−プロピルピペリジニウム)カチオンについて、本実施の形態における量子化学計算は、基底状態、三重項状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)を用いて計算している。DFTの全エネルギーはポテンシャルエネルギー、電子間静電エネルギー、電子の運動エネルギーと複雑な電子間の相互作用を全て含む交換相関エネルギーの和で表される。DFTでは、交換相関相互作用を電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数(関数の関数の意)で近似しているため、計算は高速かつ高精度である。ここでは、混合汎関数であるB3LYPを用いて、交換と相関エネルギーに係る各パラメータの重みを規定している。また、基底関数として、6−311(それぞれの原子価軌道に三つの短縮関数を用いたtriple split valence基底系の基底関数)を全ての原子に適用する。上述の基底関数により、例えば、水素原子であれば、1s〜3sの軌道が考慮され、また、炭素原子であれば、1s〜4s、2p〜4pの軌道が考慮されることになる。さらに、計算精度向上のため、分極基底系として、水素原子にはp関数を、水素原子以外にはd関数を加えている。
【0057】
なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を使用している。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(SGI社製、Altix4700)を用いて行っている。なお、構造式(α−1)乃至構造式(α−9)で表される全てのカチオンにおいて、本量子化学計算は、最安定構造および真空中として行っている。
【0058】
常温溶融塩を蓄電装置における電解液とした場合、上記したように、常温溶融塩の耐還元性は、常温溶融塩を構成するカチオンが、正極または負極からの電子受容の程度に起因している。
【0059】
例えば、カチオンのLUMO準位が負極材料の伝導帯よりも高い場合、該カチオンを有する常温溶融塩は還元されないことになる。代表的な低電位な負極材料であるリチウムの酸化還元電位と同程度の還元電位を有する(N−メチル−N−プロピルピペリジニウム)カチオンのLUMO準位と比較することで、リチウムに対するカチオンの耐還元性を相対的に評価することができる。つまり、本発明の一態様である常温溶融塩のカチオンのLUMO準位が、(N−メチル−N−プロピルピペリジニウム)カチオンのLUMO準位より、高ければ本発明の一態様である常温溶融塩は、耐還元性に優れているといえる。
【0060】
表1より、構造式(α−1)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.047eVであり、構造式(α−2)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.174eVであり、構造式(α−3)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.192eVであり、構造式(α−4)で表されるカチオンのLUMO準位は、−2.941eVであり、構造式(α−5)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.013eVであり、構造式(α−6)で表されるカチオンのLUMO準位は、−2.877eVであり、構造式(α−7)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.125eVであり、構造式(α−8)で表されるカチオンのLUMO準位は、−3.102eVである。
【0061】
構造式(α−9)で表される比較例の(N−メチル−N−プロピルピペリジニウム)カチオンのLUMO準位は、−3.244eVであるが、本発明の一態様である常温溶融塩のカチオンのLUMO準位は、全てのカチオンにおいても−3.244eVより高い。故に、本発明の一態様である常温溶融塩は、耐還元性に優れている。
【0062】
つまり、常温溶融塩の耐還元性の向上は、分子内に電子供与性の置換基を導入することによる効果である。
【0063】
常温溶融塩における酸化電位は、アニオン種によって変化し、本発明の一態様である常温溶融塩は、(C2n+1SO(n=0〜4)、(C2m+1SO(m=0〜4)、または、CF(CFSOから選択した1価のアニオンとすることで、酸化電位を高電位化させることができる。酸化電位を高電位化させることは、耐酸化性(酸化安定性ともいう)が向上することを意味する。本発明の一態様である常温溶融塩における耐酸化性の向上は、電子供与性の置換基を有することで電気的な偏りが緩和したカチオンと、上記したアニオンとの相互作用によるものである。
【0064】
蓄電装置における電解液は、還元電位が低く、かつ酸化電位が高いほど、言い換えると、酸化還元の電位窓が広いほど、正極および負極に用いる材料の選択肢を多くすることができ、選択した正極材料および負極材料に対して安定となる。故に、信頼性に優れた蓄電装置を実現することができる。
【0065】
また、蓄電装置におけるエネルギー密度は、正極材料の酸化電位と、負極材料の還元電位との差に起因していることから、酸化還元の電位窓が広い電解液を用いることで、低電位負極材料、および高電位正極材料を選択することができるようになり、エネルギー密度の高い蓄電装置を実現することができる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、一般式(G1)または一般式(G2)におけるR〜Rは、炭素数が1〜4のアルキル基である場合について説明したが、炭素数についてはこの限りではない。炭素数は1〜20であれば良く、例えば、炭素数を5以上にすることができ、炭素数を調節することで、凝固点を変化させることができる。凝固点を変化させることで、様々な用途においても用いることができる蓄電装置を作製できる。
【0067】
本実施の形態によれば、耐還元性および耐酸化性に優れた常温溶融塩を、蓄電装置における電解液に用いることで、エネルギー密度が高く、信頼性に優れた高性能な蓄電装置とすることができる。
【0068】
また、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0069】
(実施の形態2)
本発明の一態様である蓄電装置における電解液は、非水溶媒および電解質塩から構成されている。本発明の一態様である常温溶融塩は、電解質塩を溶解させる非水溶媒として用いることができる。そして、非水溶媒に溶解させる電解質塩は、キャリアイオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンを含む電解質塩であればよい。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、もしくはカリウムイオンがある。アルカリ土類金属イオンとしては、例えばカルシウムイオン、ストロンチウムイオン、もしくはバリウムイオンがある。本実施の形態では、電解質塩を、リチウムイオンを含んだ電解質塩(以下、含リチウム電解質塩という)とする。さらに、少なくとも正極、負極、およびセパレータを用いることで、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンキャパシタを構成することができる。また、この構成において、電解質塩を用いずに、本発明の一態様である常温溶融塩のみを電解液として用いることで、電気二重層キャパシタとすることができる。
【0070】
本実施の形態では、上記蓄電装置のうち、常温溶融塩および含リチウム電解質塩からなる電解液を用いたリチウムイオン二次電池と、その作製方法について図1を用いて説明する。
【0071】
図1(A)にリチウムイオン二次電池130の構造の例を示す。
【0072】
本実施の形態のリチウムイオン二次電池130は、正極集電体142及び正極活物質層143を有する正極148と、負極集電体101及び負極活物質層104を有する負極149とを有する。図1(A)に示すリチウムイオン二次電池130は、正極148及び負極149との間にセパレータ147を有し、正極148、負極149、セパレータ147を筐体141中に設置し、筐体141中に電解液146を有するリチウムイオン二次電池である。
【0073】
正極集電体142には、例えば導電材料などを用いることができ、導電材料としては、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、またはチタン(Ti)を用いることができる。また、正極集電体142としては、上記導電材料のうち複数からなる合金材料を用いることもでき、合金材料としては、例えばAl−Ni合金、又はAl−Cu合金などを用いることもできる。また、別途基板上に成膜することにより設けられた導電層を剥離して正極集電体142として用いることもできる。
【0074】
正極活物質層143としては、例えばキャリアとなるイオン及び遷移金属を含む材料を用いることができる。キャリアとなるイオン及び遷移金属を含む材料としては、例えば、一般式APO(h>0、i>0、j>0)で表される材料を用いることができる。ここでAは、例えば、リチウム、ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属、またはカルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムなどのアルカリ土類金属、ベリリウム、またはマグネシウムである。Mは、例えば、鉄、ニッケル、マンガンもしくはコバルトなどの遷移金属である。一般式APO(h>0、i>0、j>0)で表される材料としては、例えばリン酸鉄リチウム、リン酸鉄ナトリウムなどが挙げられる。Aで表される材料およびMで表される材料は、上記のいずれか一または複数を選択すればよい。
【0075】
または、一般式A(h>0、i>0、j>0)で表される材料を用いることができる。ここでAは、例えば、リチウム、ナトリウム、もしくはカリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムなどのアルカリ土類金属、ベリリウム、またはマグネシウムである。Mは、例えば、鉄、ニッケル、マンガン、もしくはコバルトなどの遷移金属である。一般式A(h>0、i>0、j>0)で表される材料としては、例えばコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムまたはニッケル酸リチウムなどが挙げられる。Aで表される材料およびMで表される材料は、上記のいずれか一または複数を選択すればよい。
【0076】
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池であるため、正極活物質層143は、リチウムを含む材料を選択することがよい。つまり、上記一般式APO(h>0、i>0、j>0)、または一般式A(h>0、i>0、j>0)におけるAを、リチウムとすることである。
【0077】
また、正極活物質層143は、導電助剤(例えばアセチレンブラック(AB))やバインダ(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF))などを混合させてペースト化して正極集電体142上に塗布して形成してもよいし、スパッタリング法により形成してもよい。正極活物質層143を塗布法により形成した場合についても、必要に応じて加圧成形するとよい。
【0078】
なお、厳密には「活物質」とは、キャリアであるイオンの挿入及び脱離に関わる物質のみを指す。ただし本明細書では、塗布法を用いて正極活物質層143を形成した場合、便宜上、正極活物質層143の材料、すなわち、本来「正極活物質」である物質に、導電助剤やバインダなどを含めて正極活物質層143と呼ぶこととする。
【0079】
負極集電体101には、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等の単体またはこれらの化合物を用いることができる。
【0080】
負極活物質層104には、リチウムの溶解・析出又はリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能であれば特に限定されるものではなく、リチウム金属、炭素系材料、シリコン、シリコン合金、スズなどがある。リチウムイオンの挿入および脱離が可能な炭素としては、粉末状もしくは繊維状の黒鉛、またはグラファイト等の黒鉛系炭素を用いることができる。
【0081】
電解液146は、実施の形態1で記載した常温溶融塩を非水溶媒として、さらに、電解質塩として、含リチウム電解質塩を用いることができる。さらに、電解液146において、電解質塩を融解させる非水溶媒は、実施の形態1で記載した常温溶融塩のみの単一溶媒である必要はなく、さらに他の種類と混合させた複数の種類からなる混合溶媒でもよい。
【0082】
含リチウム電解質塩としては、例えば、塩化リチウム(LiCl)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、硼弗化リチウム(LiBF)、LiAsF、LiPF、Li(CFSONなどがある。また、実施の形態1で記載した常温溶融塩の非水溶媒に溶解させる電解質塩は、キャリアイオンを含み、正極活物質層143に対応した電解質塩であればよい。本実施の形態では、正極活物質層143にリチウムを含む材料を用いているため、電解質塩を含リチウム電解質塩としているが、例えば、正極活物質層143にナトリウムを含む材料と用いれば、電解質塩はナトリウムを含む電解質塩とすることが好ましい。
【0083】
セパレータ147として、紙、不織布、ガラス繊維、あるいは、ナイロン(ポリイミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維等を用いればよい。ただし、上記電解液に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
【0084】
より具体的には、セパレータ147の材料として、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子およびこれらの誘導体、セルロース、紙、不織布から選ばれる一種を単独で、または二種以上を組み合せて用いることができる。
【0085】
次に、図1(A)と構造が異なる、図1(B)に示したリチウムイオン二次電池131について説明する。図1(B)に示した二次電池131は、正極集電体142及び正極活物質層143を有する正極148と、負極集電体101及び負極活物質層104を有する負極149とを有し、正極148及び負極149との間に設けたセパレータ156に、電解液を含浸させている。
【0086】
図1(B)における負極集電体101、負極活物質層104、正極集電体142、正極活物質層143は、リチウムイオン二次電池130で示したものと同様とすればよい。
【0087】
セパレータ156は多孔質膜であることが好ましい。該多孔質膜の材料としては、ガラス繊維、合成樹脂材料またはセラミック材料などを用いればよい。
【0088】
セパレータ156に含浸している電解液については、リチウムイオン二次電池130で説明した電解液を用いることができる。
【0089】
〈リチウムイオン二次電池の作製方法〉
ここで、正極活物質層143を正極集電体142上に有する正極148の作製方法について説明する。
【0090】
正極集電体142および、正極活物質層143の材料ついては上記したものを用いることができる。
【0091】
次いで、正極集電体142上に、正極活物質層143を形成する。また正極活物質層143の形成方法は、上述したようにスパッタリング法や塗布法により形成すればよい。正極活物質層143を塗布法によって形成する場合は、正極活物質層143の材料に、導電助剤やバインダなどを混合させてペースト化して正極集電体142上に塗布して乾燥させて形成する。正極活物質層143を塗布法により形成した場合、必要に応じて加圧成形するとよい。以上により、正極集電体142上に正極活物質層143が形成された正極148が形成される。
【0092】
なお、上記の導電助剤としては、蓄電装置中で化学変化を起こさない電子伝導性材料であればよい。例えば、黒鉛、炭素繊維などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などを用いることができる。
【0093】
なお、上記のバインダとしては、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、またはEPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムもしくはポリエチレンオキシドなどゴム弾性を有するポリマーなどがある。
【0094】
次に、負極集電体101及び負極活物質層104を有する負極149の作製方法について説明する。
【0095】
負極集電体101および、負極活物質層104の材料については上記したものを用いることできる。
【0096】
次いで、負極集電体101上に負極活物質層104を形成する。本実施の形態では、リチウム箔を用いる。本発明の一態様である常温溶融塩は、耐還元性に優れており、最も低電位な負極材料のリチウムに対しても安定であるため、該常温溶融塩を電解液とすることで、高いエネルギー密度を有し、信頼性に優れたリチウムイオン二次電池130およびリチウムイオン二次電池131とすることができる。
【0097】
また、負極活物質層104にリチウム箔以外を用いる場合は、正極活物質層143と同様の方法で作製することが出来る。例えば、負極活物質層104にシリコンを用いる場合には、微結晶シリコンを成膜し、微結晶シリコン中に存在する非結晶シリコンをエッチングにより除去したものを用いてもよい。微結晶シリコン中に存在する非結晶シリコンを除去すると、残った微結晶シリコンの表面積が大きくなる。微結晶シリコンの成膜方法としては、化学気相成長法や物理気相成長法を用いることができる。例えば、化学気相成長法としてプラズマCVD法、物理気相成長法としては、スパッタリング法を用いることが出来る。なお、導電助剤、バインダも上記のものを用いることができる。
【0098】
電解液146およびセパレータ156に含浸している電解液の作製方法は、実施の形態1で示した常温溶融塩に、キャリアイオンを含む電解質塩を混合すればよい。本実施の形態では、Li(CFSONを含リチウム電解質塩とする。
【0099】
実施の形態1で示した常温溶融塩における合成方法としては、種々の反応を適用することができる。ここでは一つの例として、合成スキーム(S−1)で得ることができる。
【0100】
【化10】

【0101】
上記スキーム(S−1)において、一般式(α−10)から一般式(α−11)の反応は、ヒドリド存在下で、アミン化合物とカルボニル化合物から、アミンのアルキル化を行う反応である。例えば、過剰のギ酸を用いることで、ヒドリド源とすることができる。本発明の一態様の常温溶融塩は、カルボニル化合物としてCHOを用いている。
【0102】
上記スキーム(S−1)において、一般式(α−11)から一般式(α−12)の反応は、3級アミン化合物とハロゲン化アルキル化合物とで、アルキル化を行い、4級アンモニウム塩を合成する反応である。本発明の一態様の常温溶融塩は、ハロゲン化アルキル化合物としてプロパンハライドを用いている。Xはハロゲンであり、反応性の高さから、好ましくは臭素またはヨウ素とし、より好ましくはヨウ素とする。
【0103】
一般式(α−12)で表される4級アンモニウム塩と、所望の金属塩とでイオン交換をさせることで、本発明の一態様である常温溶融塩を得ることができる。合成スキーム(S−1)では、リチウム金属塩を用いることができる。
【0104】
次に、図1(A)に示すリチウムイオン二次電池130をラミネート型リチウムイオン二次電池としたときの具体的な構造の上面図を図2(A)に、図1(B)に示す二次電池131をボタン型リチウムイオン二次電池としたときの具体的な構造の斜視図を図2(B)に示す。また、図2(B)に示すボタン型リチウムイオン二次電池131の組み立て方法を図3(A)、(B)及び図4に示す。
【0105】
図2(A)に示すラミネート型リチウムイオン二次電池130は、上記に示した正極集電体142と正極活物質層143を有する正極148と、負極集電体101と負極活物質層104を有する負極149を有している。また図2(A)に示すラミネート型リチウムイオン二次電池130は、正極148及び負極149との間にセパレータ147を有する。ラミネート型リチウムイオン二次電池130は、正極148、負極149、セパレータ147を筐体141中に設置し、筐体141中に電解液146を有するリチウムイオン二次電池である。
【0106】
図2(A)では、下から順に負極集電体101、負極活物質層104、セパレータ147、正極活物質層143、正極集電体142が配置されている。負極集電体101、負極活物質層104、セパレータ147、正極活物質層143、正極集電体142は、筐体141内に設けられる。また筐体141内は電解液146で満たされている。
【0107】
図2(A)の正極集電体142及び負極集電体101は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体142の一部及び負極集電体101の一部は、筐体141から外側に露出するように配置される。
【0108】
なお図2(A)では、ラミネート型リチウムイオン二次電池130の一例を示しているだけであり、ラミネート型二次電池130は他の構造を有するラミネート型リチウムイオン二次電池であってもよい。
【0109】
また図2(B)に示すボタン型リチウムイオン二次電池131は、正極148及び負極149との間に設けられ、電解液が含浸されたセパレータ156を有する。図3(A)、(B)及び図4を用いて、以下に図2(B)に示すボタン型リチウムイオン二次電池131の具体的な構造及びその組み立て方を説明する。
【0110】
まず第1の筐体171を用意する。第1の筐体171の底面は円であり、横から見た形状は長方形である。すなわち、第1の筐体171は円柱状の皿であるといえる。また第1の筐体171は、外部と正極148を電気的に接続するため導電性材料である必要がある。例えば、第1の筐体171は、金属材料で形成されていればよい。第1の筐体171の内部に正極集電体142及び正極活物質層143を有する正極148を設ける(図3(A)参照)。
【0111】
また第2の筐体172を用意する。第2の筐体172の底面は円であり、横から見た形状は上辺が下辺より長い台形である。すなわち、第2の筐体172は、上に行くほど径が大きくなる円柱状の皿であると言える。ただし第2の筐体172の径は、第1の筐体171の底面の径よりも小さい。この理由については後述する。
【0112】
また第2の筐体172は、外部と負極149を電気的に接続するため導電性材料である必要がある。例えば、第2の筐体172は、金属材料で形成されていればよい。第2の筐体172の内部に負極集電体101及び負極活物質層104を有する負極149を設ける。
【0113】
第1の筐体171に設けられた正極148の外側を覆うようにして、リング状絶縁体173を設ける。リング状絶縁体173は、負極149と正極148を絶縁する機能を有する。またリング状絶縁体173は、絶縁性樹脂を用いて作製されていると好適である。
【0114】
あらかじめ電解液を含浸させたセパレータ156を介して、図3(B)に示された負極149が設けられた第2の筐体172をリング状絶縁体173が設けられた第1の筐体171の内部に設置する。第2の筐体172の径は、第1の筐体171の底面の径よりも小さいので、第2の筐体172を第1の筐体171の内部にはめ込むことができる(図4参照)。
【0115】
上述のように、正極148及び負極149は、リング状絶縁体173により絶縁されているので短絡することはない。
【0116】
なお、図2(B)では、ボタン型リチウムイオン二次電池131の一例を示しているだけであり、ボタン型リチウムイオン二次電池131は他の構造を有するボタン型二次電池であってもよい。
【0117】
また、図2(A)は、図1(A)のリチウムイオン二次電池130をラミネート型にする例、図2(B)、図3(A)、(B)及び図4では、図1(B)に示すリチウムイオン二次電池131をボタン型にする例を示したが、これらに限定されるものではない。図1(A)、(B)に示すリチウムイオン二次電池130およびリチウムイオン二次電池131は、ボタン型、積層型、筒型、ラミネート型など様々な構造にすることができる。
【0118】
以上のように、本実施の形態によれば、耐還元性および耐酸化性に優れた常温溶融塩を、蓄電装置における電解液に用いることで、エネルギー密度が高く、信頼性に優れた高性能な蓄電装置とすることができる。
【0119】
また、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0120】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について図5を用いて説明する。
【0121】
実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等の電気推進車両に用いることができる。ここでは、電気推進車両の代表例として車椅子を用いて説明する。
【0122】
図5は電動式の車椅子501の斜視図である。電動式の車椅子501は、使用者が座る座部503、座部503の後方に設けられた背もたれ505、座部503の前下方に設けられたフットレスト507、座部503の左右に設けられたアームレスト509、背もたれ505の上部後方に設けられたハンドル511を有する。アームレスト509の一方には、車椅子の動作を制御するコントローラ513が設けられる。座部503の下方のフレーム515を介して、座部503前下方には一対の前輪517が設けられ、座部503の後下方には一対の後輪519が設けられる。後輪519は、モータ、ブレーキ、ギア等を有する駆動部521に接続される。座部503の下方には、バッテリー、電力制御部、制御手段等を有する制御部523が設けられる。制御部523は、コントローラ513及び駆動部521と接続しており、使用者によるコントローラ513の操作により、制御部523を介して駆動部521が駆動し、電動式の車椅子501の前進、後進、旋回等の動作及び速度を制御する。
【0123】
実施の形態2で説明した蓄電装置を制御部523のバッテリーに用いることができる。制御部523のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部から電力供給により充電をすることができる。なお、電気推進車両が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
【実施例1】
【0124】
本実施例では、構造式(α−13)で表される1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:2mPP13−TFSA)を製造する例を示す。
【0125】
【化11】

【0126】
ギ酸(15.6g,300mmol)に、水冷下において2−メチルピペリジン(1.98g,200mmol)をゆっくり加えた。次いで、この溶液に、ホルムアルデヒド(22.5ml,300mmol)を加え、100℃まで加熱し、気泡発生後、室温に戻し約30分攪拌を行った。その後、再び加熱還流を1時間行った。
【0127】
炭酸ナトリウムを用いてギ酸を中和後、ヘキサンにて抽出、硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒留去を行うことにより淡黄色液体の1,2−ジメチルピペリジンを(12.82g,113mmol)を得た。
【0128】
得られた淡黄色液体を加えた塩化メチレン(10ml)中に、ブロモプロパン(20.85g,170mmol)を加え、24時間、加熱還流を行ったところ、白色沈殿が生じた。ろ過後、エタノール/酢酸エチルで残りの物質に対して再結晶を行い、80℃で24時間減圧乾燥を行うことで、白色固体;1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイド(11.93g,48mmol)を得た。
【0129】
1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイド(5.3g,22mmol)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(7.09g,25mmol)を純水中、混合攪拌することにより直ちに水に不溶な常温溶融塩を得た。その後、得られた常温溶融塩を、塩化メチレンで抽出した後、純水で6回洗浄し、100℃で真空乾燥することによって、1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(9.37g,21mmol)を得た。
【0130】
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、上記ステップで合成した化合物が目的物である1,2−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを確認した。
【0131】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,298K):δ(ppm)1.00,1.03,1.06(t,3H),1.29,1.34,1.40(d,3H),1.59〜1.88(m,8H),2.85,2.90,3.00,3.07(s,3H),2.85〜2.98,3.20〜3.42(m,2H),3.20〜3.54(m,2H),3.50〜3.54(m,1H)
【0132】
また、H NMRチャートを図6(A)、(B)に示す。なお、図6(B)は、図6(A)における0.750ppm〜3.75ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0133】
得られた化合物のエレクトロスプレーイオン化質量分析(Electro Spray Ionization Mass Spectrum、ESI−MS)スペクトルの測定結果を以下に示す。
MS(ESI−MS):m/z=156.2(M);C1022N(156.2),279.98(M);CNO(280.15)
【実施例2】
【0134】
次に、構造式(α−14)で表される1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:3mPP13−TFSA)を製造する例を示す。
【0135】
【化12】

【0136】
ギ酸(15.6g,300mmol)に、水冷下において3−メチルピペリジン(1.98g,200mmol)をゆっくり加えた。次いで、この溶液に、ホルムアルデヒド(22.5ml,300mmol)を加え、100℃まで加熱し、気泡発生後、室温に戻し約30分攪拌を行った。その後、再び加熱還流を1時間行った。
【0137】
炭酸ナトリウムを用いてギ酸を中和後、ヘキサンにてその溶液を抽出、硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒留去を行うことにより淡黄色液体;1,3−ジメチルピペリジンを(12.82g,113mmol)を得た。
【0138】
この淡黄色液体を加えた塩化メチレン(10ml)中に、ブロモプロパン(20.85g,170mmol)を加え、24時間、加熱還流を行ったところ、白色沈殿が生じた。ろ過後、エタノール/酢酸エチルで残りの物質に対して再結晶を行い、80℃で24時間減圧乾燥を行うことで、白色固体;1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイド(19.42g,82mmol)を得た。
【0139】
1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイド(10.60g,44mmol)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(14.18g,50mmol)を純水中、等モル量となるように混合攪拌することにより直ちに水に不溶な常温溶融塩を得た。
【0140】
これを塩化メチレンで抽出した後、純水で6回洗浄し、100℃で真空乾燥することによって、常温溶融塩;1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(18.31g,42mmol)を得た。
【0141】
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、上記ステップで合成した化合物が目的物である1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを確認した。
【0142】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,298K):δ(ppm)0.93〜1.06(m,6H),1.13〜1.23,1.75〜1.95(m,2H),1.60〜1.95(m,2H),1.75〜1.95(m,2H),1.95〜2.12(m、1H),2.72〜2.84,3.30〜3.42(m,2H),2.98,3.01,3.02,3.07(s,3H),3.07〜3.52(m,2H),3.19〜3.28(m,2H)
【0143】
また、H NMRチャートを図7(A)、(B)に示す。なお、図7(B)は、図7(A)における0.750ppm〜3.75ppm範囲を拡大して表したチャートである。
【0144】
得られた化合物のエレクトロスプレーイオン化質量分析(Electro Spray Ionization Mass Spectrum、ESI−MS)スペクトルの測定結果を以下に示す。
MS(ESI−MS):m/z=156.2(M);C1022N(156.2),279.98(M);CNO(280.15)
【実施例3】
【0145】
上記実施例で示した2mPP13−TFSA、および3mPP13−TFSAのリニアスイープボルタモグラムの測定を行い、上記常温溶融塩の電位窓を算出した。比較試料として、関東化学株式会社製のN−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた。
【0146】
測定は、北斗電工株式会社製の電気化学測定システムHZ−5000を用いて、グローブボックス内アルゴン雰囲気下で行った。作用電極にはグラッシーカーボン電極を用い、対極として白金線を用いた。参照電極として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに0.1Mの濃度でトリフルオロメタンスルホン酸銀を溶解させた溶液に銀線を浸漬したものを用いた。常温溶融塩の酸化還元電位は、フェロセンの酸化還元電位(Fc/Fc)を基準として補正した。
【0147】
図8に、2mPP13−TFSA及び3mPP13−TFSA、比較試料のリニアスイープボルタモグラムを示す。本実施例における電位窓は、酸化電位と還元電位との差である。図8において、電位を走査していく中で、−1mA/cmの電流密度を検出した電位を、還元電位として算出した。また、図8において、電位を走査していく中で、1mA/cmの電流密度を検出した電位を、酸化電位として算出した。電位窓は、「酸化電位」−「還元電位」で算出した。
【0148】
図8より、細線は比較試料を表し、太線が本発明の一態様である2mPP13−TFSA、および3mPP13−TFSAを表している。図8より、比較試料の還元電位は、−3.4evであり、酸化電位は2.5eVであり、電位窓は5.9eVであった。2mPP13−TFSAの還元電位は、−3.6evであり、酸化電位は2.7eVであり、電位窓は6.3eVであった。また、3mPP13−TFSAの還元電位は、−3.6evであり、酸化電位は2.7eVであり、電位窓は6.3eVであった。
【0149】
本発明の一態様である2mPP13−TFSA、および3mPP13−TFSAは、比較試料と比べて、低い還元電位を有し、かつ高い酸化電位を有することが確認された。比較試料に比べて、耐還元性が確認された。つまり、電子供与性の置換基を導入することで、リチウム金属、シリコン、スズ等の低電位負極に対する安定性が向上した。さらに、本発明の一態様である2mPP13−TFSA、および3mPP13−TFSAは、比較試料と比べて、高い酸化電位を有するため、耐酸化性に優れており、結果として、広い電位窓を有している。以上より、本発明の一態様である常温溶融塩を電解液として用いることで、低電位負極材料、および高電位正極材料を選択することができるようになり、エネルギー密度の高い蓄電装置とすることができる。
【実施例4】
【0150】
次に、構造式(α−15)で表される1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(略称:3mPP13−FSA)を製造する例を示す。
【0151】
【化13】

【0152】
実施例2で説明した1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイドを得る工程までは同じであるため、ここでは省略する。実施例2と同様にして得た1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムブロマイド(17.02g,72mmol)とカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(17.04g,78mmol)を純水中、混合攪拌することにより直ちに水に不溶な常温溶融塩を得た。
【0153】
これを塩化メチレンで抽出した後、純水で6回洗浄し、−80℃のトラップを介しながら室温で真空乾燥することによって、常温溶融塩;1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(20.62g,61mmol)を得た。
【0154】
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、上記ステップで合成した化合物が目的物である1,3−ジメチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドであることを確認した。
【0155】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,298K):δ(ppm)1.02〜1.09(m,6H),1.21〜1.26,1.69〜1.75(m,2H),1.83〜1.91(m,2H),1.94〜1.97(m,2H),1.97〜2.15(m,1H),2.77〜2.87,3.30〜3.43(m,2H),3.05,3.10(s,3H),3.15〜3.54(m,2H),3.25〜3.29(m,2H)
【0156】
また、H NMRチャートを図9(A)、(B)に示す。なお、図9(B)は、図9(A)における0.750ppm〜3.75ppm範囲を拡大して表したチャートである。
【0157】
得られた化合物のエレクトロスプレーイオン化質量分析(Electro Spray Ionization Mass Spectrum、ESI−MS)スペクトルの測定結果を以下に示す。
MS(ESI−MS):m/z=156.2(M);C1022N(156.2),179.98(M);FNO(180.13)
【実施例5】
【0158】
次に実施例4で示した3mPP13−FSAを非水電解液として用いたコイン型リチウムイオン二次電池セルの充放電特性の結果を示す。なお、本実施例では、3mPP13−FSAを非水電解液として用いたコイン型リチウムイオン二次電池セルを試料Aとする。
【0159】
まず、試料Aの作製方法について図10を用いて説明する。試料Aの非水電解液は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:LiTFSA)1.84g(6.4mmol)と3mPP13−FSA6.81g(20.0mmol)とをアルゴン雰囲気中のグローブボックス内で混合して作製した。
【0160】
試料Aにおいて、非水電解液以外の正極148、負極149、リング状絶縁体173およびセパレータ156は、市販されているものを用いた。具体的に、正極148は、パイオトレック社製の電極を用い、正極活物質層143がコバルト酸リチウム、正極集電体142がアルミニウム箔により形成されている。正極148に用いた電極は、電極重量あたりの容量が112mAh/gである。負極149は、負極活物質層104がリチウム箔により形成されている。セパレータ156は、Whatman社製のガラス繊維濾紙であるGF/Cを用いた。そして、これら正極148、負極149、およびセパレータ156は、非水電解液に含浸させた。そして、正極148および負極149を外部と電気的に接続させる筐体171および筐体172も、市販されているものを用いた。なお、筐体171および筐体172は、ステンレス(SUS)で形成されている。このほかにはステンレス(SUS)で形成されているスペーサー181やワッシャー183を用意し、これらも市販されているものを用いた。
【0161】
非水電解液に含浸させた正極148、負極149およびセパレータ156を図10に示したように、筐体171を下にしてワッシャー183、スペーサー181、負極149、リング状絶縁体173、セパレータ156、正極148、筐体172を底側から順に積層し、「コインかしめ機」で筐体171および筐体172をかしめ、試料Aを作製した。
【0162】
次に、比較用のコイン型リチウムイオン二次電池セル(試料B)を試料Aと同様の方法で作製した(図10参照)。なお、試料Bは試料Aと、非水電解液の構成だけが異なっている。試料Bにおける非水電解液は、LiTFSAとN−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド(略称:PP13−FSA)を用いた。具体的には、2.82g(9.8mmol)のLiTFSAと、10.02g(31.0mmol)のPP13−FSAをアルゴン雰囲気中のグローブボックス内で混合して作製した。
【0163】
作製した試料Aおよび試料Bの充放電特性について測定を行った。充放電特性は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて測定を行った。充放電の測定には定電流方式を採用し、0.15mAの電流を0.1Cのレートで充放電し、上限電圧を4.2V、下限電圧を2.5Vとして行った。なお、充電−放電を1サイクルとし、本実施例では50サイクル行った。すべての測定は、室温で行った。
【0164】
図11に測定した試料Aおよび試料Bのサイクル特性を示した。図11の横軸はサイクル数を表し、縦軸はコイン型リチウムイオン二次電池セルの容量維持率である。なお、容量維持率とは、50サイクル間における最大の容量に対する一定サイクル後の容量の割合である。そして、図11において、実線は試料Aの充放電特性であり、点線が試料Bの充放電特性である。図11より、試料Aのほうが、50サイクル後の容量維持率が高いことから、劣化しにくいということが確認された。
【0165】
以上より、耐還元性に優れた常温溶融塩を非水電解液として用いることにより、充放電特性に優れた高性能な蓄電装置とすることできる。
【符号の説明】
【0166】
101 負極集電体
104 負極活物質層
130 リチウムイオン二次電池
131 リチウムイオン二次電池
141 筐体
142 正極集電体
143 正極活物質層
148 正極
149 負極
146 電解液
147 セパレータ
156 セパレータ
171 筐体
172 筐体
173 絶縁体
501 車椅子
503 座部
505 背もたれ
507 フットレスト
509 アームレスト
511 ハンドル
513 コントローラ
515 フレーム
517 前輪
519 後輪
521 駆動部
523 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G1)で表される構造を有する常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【化1】

(式中、R〜Rのうち、一または二は、炭素数は1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の三または四は、水素原子とし、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートのいずれかを表す。)
【請求項2】
請求項1において、
前記R〜Rのうち、一または二は、炭素数は1〜4のアルキル基である常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
一般式(G2)で表される構造を有する常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【化2】

(式中、RまたはRのうち、いずれか一は、炭素数は1〜20のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の一は、水素原子を表し、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートのいずれかを表す。)
【請求項4】
請求項3において、
前記RまたはRのうち、いずれか一は、炭素数は1〜4のアルキル基である常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
一般式(G3)で表される構造を有する常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【化3】

(式中、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートのいずれかを表す。)
【請求項6】
一般式(G4)で表される構造を有する常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【化4】

(式中、Aは、1価のイミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートのいずれかを表す。)
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記Aは、(C2n+1SO(n=0〜4)、(C2m+1SO(m=0〜4)、または、CF(CFSOから選択される、いずれか一の1価のアニオンである常温溶融塩を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記蓄電装置は、少なくとも正極と、負極と、セパレータと、および電解質塩とを有し、
前記電解質塩は、リチウムイオンを含む電解質塩であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記蓄電装置は、少なくとも正極と、負極と、およびセパレータとを有することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記蓄電装置は、少なくとも正極と、負極と、セパレータと、および電解質塩とを有し、
前記電解質塩は、リチウムイオンを含む電解質塩であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−33477(P2012−33477A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142108(P2011−142108)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】